前の話 目次 次の話




 翌日には性器検査が控えていた。
 校医に性器を見てもらい、その健康を確かめるための検査では、言うまでもなくショーツを脱ぐ。
 今回の流れでは、教室で事前にスカートとショーツを脱ぎ、下半身裸で廊下移動を行って、指定の教室でワレメを広げて見てもらうことになっていた。
 クラスの女子は今、その移動の最中である。
 担任を先頭に、後ろに続いて一列で歩く女子達には、上半身にはセーラー服を着ていながら、下半身にあるのは上履きや靴下だけである。
 途中ですれ違う教師が、他クラスや他学年の生徒が、チラリと視線をやって性器や尻を気にしてくる。そんなちょっとした視線を意識して、多少なりとも恥じらいを覚えつつ、女子達は移動先の教室へ到着する。
 あとは校医の前に列を成し、一人ずつ順番にベッドへ上がり、股を開くのみだった。

「川澄由香里です。よろしくお願いします」

 由香里がやはり頭を下げる。
 礼儀正しく、真っ直ぐな背筋で上半身を前に倒すと、それから校医の指示に従いベッドに上がる。診察用のベッドで仰向けに、しかし股はきちんと左右に、さらには自らの手でワレメを開いて中身を晒す。
 今朝の担任の指示により、ここまでが今日の作法とされていた。
「お願いします」
 アソコを自分自身で開いてから、改めてお願いの言葉を口にする。
「はーい。じゃあ、診ていくからね?」
 ペンライトを握る校医の顔が、アソコの奥を覗き込む。
 性器の中身を観察され、さしもの由香里も昨日以上に顔を赤くし、恥じらいをふつふつと浮かべていた。
 視診によって、校医は血色の良し悪しを確かめている。
 ギョウ虫検査とどちらが恥ずかしいかといったら、それはギョウ虫検査の方かもしれないが、性器検査でも普段は見せないところを見せている。しかも、腰の下には枕を敷き、やや角度を上向きにしているため、脚を水平にせんばかりにまで大きく開けば、上下の穴が同時に見える。
 そのたまらない羞恥心で、顔がどこまで染まっているか、由香里自身にもわからない。
 ペンライトで膣の奥まで覗かれて、続けて指の挿入までされる恥辱感に、由香里はただひたすらに歯を食い縛る。
 これが検査というものかと、由香里は改めて痛感していた。
 普通なら、肉体関係にまで発展した恋人にしか、こんなところは触らせない。性器という究極のプライベートゾーンでさえ、校則の下で性器検査を言い渡されれば、否が応でも侵入を許さなくてはならないのだ。
 見知らぬ人間を部屋に招くのは、一体どれだけ抵抗のあることか。
 由香里が今こうして感じているのは、あるいはそれ以上の感覚かもしれなかった。

「羽川唯です。よろしくお願いします」

 巨乳の少女が頭を下げれば、垂れ下がった乳房から大きさが見て取れる。
 胸の膨らみ具合というものは、正面よりも横から見た方がわかりやすい時もあり。今回は礼をしているために、だから上弦部分のカーブが下向きに、それを覗き込むことでサイズ感を拝めるわけだった。
 校医のそうした視線を唯は感じる。
(胸、見てるんだ……)
 礼をした唯に対して、何故だか同じく姿勢を低め、まるでタンスの下でも覗き込むようなポーズを取られては、どこに注目しているかなど簡単に感じ取れるわけだった。
「さあ、上がって?」
「……はい」
 緊張感を帯びながら、唯はベッドへ上がっていく。
 枕の上に腰を置き、尻の角度をやや上向きにした上での、股を左右に完全に、柔軟性の許す限りの限界まで開ききったM字の上で、自らの下半身に両手を回す。アソコのワレメに指を割り、サーモンピンクの中身を見せたところで、唯は作法に倣って口にした。
「お願いします……先生……」
 本当はお願いしたくないとは思いつつ、学校が定めた健康診断の一環である以上、決して逆らうことは許されない。
 何事も諦めの境地である。
 それに三年もここに通って、鍛えられてはいるはずだ。転校してくる前の自分なら、こんな性器検査をいきなり経験しては、泣き出したのではないかとさえ思う。大袈裟に恥じらったり、涙を流すわけではない分だけ、校則の理念で語られているように、丈夫な強い精神を多少は養えているはずだ。
 だから、これも我慢できる。
 お尻の穴をグリグリとされる方が恥ずかしいくらいだったと、唯は自分に言い聞かせ、この性器検査に臨んでいた。
 校医がペンライトで中身を照らし、膣の奥まで覗き込もうと顔を接近させている。至近距離でアソコを見られる恥ずかしさに、頬をピクピクと痙攣のように震わせるが、それ以上の恥じらいは決して見せなかった。
 ビニール手袋を嵌めた手で、指が挿入されてくる。
 膣壁を指でなぞって、感触を確かめてくる行為にも、ぐっと歯を食い縛ることで堪え抜いた。

「沢城麗香です。よろしくお願いします」

 次に順番の回った麗香は、その気品ある顔立ちと振る舞いからか、礼の作法が誰よりも整って見えてくる。
 そんな麗香もベッドに上がり、同じく股を開ききる。
 自らの両手をアソコにやって、指で中身を開いて見せた時、その桃色と同じ具合にまで頬を染め変え、初々しく見える恥じらいを顔に浮かべた。
「では先生、どうか検査のほど、お願い致します」
 これも精神鍛錬か何かと思い、麗香は粛々とそう告げた。
 修行者に対する苦行とでも思わなければ、一体誰がアソコを見せびらかし、M字開脚にまでなって「お願い」などするだろう。究極のプライベートゾーンを晒した上で、自分こそがお願いする立場となって、それを聞き入れて下さる校医の方が快く対応する。
 あくまで生徒を下に置こうとするやり方は、それも鍛錬とでも思っていなければ、この三年間を耐えることなど出来なかったことだろう。
 校医の顔が接近してくる。
 鼻息がかかるほどの距離感から、肉ヒダをじっくりと観察してくる視線に苦悶していると、ペンライトのカチリとスイッチが入った音で、ますます頬を強張らせる。まるで緊張しきったような顔をしてしまうが、それだけ落ち着かない状況だ。
 名も知らぬ他人にアソコを見せている。
 そして、詳しく観察されている。
 まるで弱点を読み取られ、秘密の情報を取得され続けているような感覚に、体中の細胞がそわそわしてならなかった。
 さらにはビニール手袋を嵌めた指まで入り、触診までしてくるのだ。
 指の侵入によって、落ち着かない感覚はますます吹き荒れ、細胞という細胞の数々がいたるところで騒ぎ立てる。
 しかし、その落ち着かない時間もほどなくして終わりを迎える。
 当然、お礼も告げた上での切り上げだ。
 この性器検査において、お礼で頭を下げるのは、やはり昨日と同じであった。



 
 
 

コメント一覧

    コメント投稿

    CAPTCHA