もっとも、今日は儀式だけでなく、身体検査の時間も控えている。
廊下で列となって並んでいた。
男女別に分かれた縦一列で、女子はショーツ一枚の姿となり、上半身を晒している。たまたま廊下を歩いていた教師の目について、その教師はついでのように女子を目にやり、剥き出しの肌を眺めながら通りすがる。
廊下移動が始まった。
教室前から身体検査の実施場所へと、足並みを揃えて進んで行く。女子それぞれの顔にはちょっとした羞恥が浮かび、かすかな赤らみを帯びてはいるが、誰一人として過剰な反応をする者はいない。
川澄由香里も冷静だった。
この格好で廊下を歩かされているからと、慌てた気持ちや恥ずかしさで死にそうな気持ちになることはなく、比較的冷静な顔をしている。もちろん羞恥心はあるが、先ほどのお尻叩きと違い、女子全員で揃って同じ格好をして、同じように移動をしている。
尻を叩かれる瞬間は、順番の回った女子一人がクラスメイトの前に晒される。
今はみんなで同時に同じ目に遭っている感覚があり、集団心理で心が守られ、儀式よりも落ち着いていられるのだ。
とはいえ、一応胸は隠している。
どうせ曝け出すことになるのはわかっているし、乳房よりも恥ずかしい場所を散々晒してはいるのだが、やはり恥部を守っている方が落ち着くのだ。だから移動時の作法のように、みんなで腕のクロスを固めているが、移動先の教室が近づけば近づくほど、このクロスを解く瞬間は迫って来る。
やがて、身体測定の専用教室に到着した。
まずは身長計の前に並んで、順番が回って来るなり、由香里は冷たい柱に背をつける。背骨のラインに沿って金属の硬さを感じながら、顎もしっかりと引いて姿勢を正し、両腕も下ろしていく。
じぃ……。
計測担当の視線が乳房に向いた。
だが、慌てはしない。
(いい加減、慣れてるもの)
下ろされたバーが頭に触れ、数値を読み取るために計測担当は顔を近づけ、耳のすぐ横にまで迫って来る。呼吸の音がよく聞こえ、吐息が耳に届いてくる不快感には、さすがに少しは顔を歪めるが、由香里は物静かに耐え忍ぶ。
腹に手が当たっていた。
まるでずれないように押さえてやるためであるような、冷静に考えれば必要ない、ただのセクハラでしかない手なのだが、やはりそれにも騒がない。手の位置が上へと動き、乳房を微妙に持ち上げてきてでさえ、由香里は至極落ち着いていた。
不快ではあるが、この学校とはこういうものだ。
やがて数値の確認が済まされると、次の計測の列へと並び、由香里はスリーサイズの計測に移っていく。
メジャーを持つ次の計測担当に、まずはバストを測ってもらう。
ネックレスでもかけるように、メジャーを頭の上からかけてもらうと、脇の下を通したそれがピンと手前へ引っ張られる。背中に少しだけ食い込んで、そのまま乳房へと巻きつけられると、目盛りは乳首の近くに合わさった。
数字を読むため、計測担当はわざとらしく顔を接近させてくる。
「ん…………」
恥部から数センチもない距離に顔があり、こうも至近距離から見られているのは、さすがに落ち着かないものがある。
だが、こういう身体測定も、もう初めてなどではない。
やはり冷静に堪えていた。
自分自身の羞恥心と落ち着いて向かい合い、膨れ上がらないように抑え込む。放っておけば膨張していくものを両手で包み、握って抑え込むような気持ちになって、羞恥心の増幅を封じていた。
卒業手前の由香里である。この程度の我慢は心得ていた。
メジャーがウエストに移る。
ヘソの近くに合わさった目盛りから、腰のサイズが判明すると、次はヒップサイズに移る。尻に巻きつき、アソコの近くに目盛りが合わさることで、今度は性器に顔が迫るが、これも同じく耐え忍ぶ。
特に問題はなかった。
顔は赤いかもしれないが、次の内容に比べれば、アソコをジロジロと見られるぐらい、もはや大したことがないようにさえ思えてくる。
次はギョウ虫検査だった。
それも、専用の検査フィルムを自分で貼るのではなく、わざわざベッドで四つん這いに、人にやってもらうのだ。
(さすがに、ね……)
お尻叩きの儀式などで、下半身裸の機会は多いが、肛門まで見せる機会はあまりない。だから尻の穴まで晒すことには、最後の最後まで慣れきってはいなかった。
覚悟を決めて、由香里は診察用のベッドに上がる。
校医に尻を差し向けると、ショーツが遠慮なく下ろされて、下腹部はあっさり露出した。姿勢のために割れ目が広がり、皺の窄まりが丸見えとなる状態の、いかにも恥ずかしい尻が出てしまった。
(ん……)
顔の赤らみが増すと同時に、由香里はそっと唇を噛み締める。
ひどく視線を感じた。
剥き出しの尻、その中心に見える肛門、そのすぐ下に控えるワレメの、全ての恥ずかしい部分に視線は行き来している。それを如実に感じてしまい、羞恥心で脳が沸きたちそうだった。
「では」
校医の合図と共に、ぺりっ、と、何かの粘着を剥がした音が聞こえてくる。
次の瞬間――。
プラスチックシートを介した指が肛門に食い込んできた。
セロハンテープほどであろう粘着力の、フィルム越しの指がぐにぐにと、マッサージのようにして肛門をなぞってくる。
すぐさま指は離れるが、尻の穴にはフィルムが残った。
粘着力で肛門に付着して、尻でフィルムを咥えた状態を数秒ほど、それからすぐに剥がされるが、二枚目のフィルムが用意され、改めてぐにぐにと肛門を揉みしだかれる。
(くっ、うぅぅ…………)
さすがの屈辱感だった。
尻の穴を晒した挙げ句、自分でやれば済みそうなことを人にしてもらっての、肛門に指が押し込まれる感覚は、恥辱が吹き荒れてたまらない。心の中に何かが膨張して、衝動が溢れかえりそうだった。
人目があるから落ち着きを装って、冷静であり続けはしているが、もしも数分後に一人になって、誰の視線も気にせず過ごせる空間に移ったら、間違いなくのたうち回る。屈辱だった思いを発散しようと、無駄に頭を打ちつけたり、掻き毟る自分が簡単に想像できる。
二枚目のフィルムが肛門を離れていった。
「はーい。終わりだよ」
屈辱から解放され、由香里はショーツを穿き直す。
元のショーツ一枚の姿に戻った後、決まり通りに由香里は校医に頭を下げた。
「……ありがとうございました」
必ずお礼を言うようにと、学校からは指導されている。
それに従い、伸びきった背筋をそのまま倒し、綺麗な礼の形でお礼を言ってから、由香里はその場を後にした。
*
羽川唯に順番が回って来る。
「よろしくお願いします」
まず、頭を下げるのが作法であった。
計測をしてもらう直前に一回、終わった後で一回、それぞれの場所で必ず二回は頭を下げる指導に従い、唯は綺麗な礼の姿勢を保つ。
それをショーツ一枚の姿でしている結果、後ろに向かって尻を突き出しているのが気になった。
廊下移動は男女別々の列なのに、身体測定の場に辿り着くなり、男女混合で列を作って並ぶことになったのだ。
唯は前後を男子に挟まれていた。
そして、身長計の順番が回って来て、こうして頭を下げたなら、すぐ後ろの男子からすれば尻の突き出た姿勢に見えるだろう。それがどれほど男子の興奮を煽るなのか、完全には想像しきれない部分はあるが、きっと後ろを喜ばせている。
こんな学校に通っていて、女子の色んな姿を見ているから、この学校の男子は取り繕うのが上手である。わかりやすく鼻息を荒げたり、あからさまな興奮はしないのだが、とはいえ女子の裸は気になるようで、儀式の時やこうした身体測定の時、視線だけは必ず向いてくる。
ならば、今も後ろから、尻に対する視線が突き刺さっているはずだった。
それがどうも、落ち着かない。
(早く終わって欲しいなぁ……)
頭を下げ終わり、身長計へと進んで行く。
男子にはほとんと乳房を見せていない。
礼をする際は、もちろん両手をしっかり下ろし、綺麗な姿勢で頭を下げるが、その直前までは腕のクロスを固めている。気をつけになった途端、すぐさま頭を下げている。そして、姿勢を戻した瞬間に、やはり腕も戻すので、ばっちりと見える時間は本当に限られる。
まして、後ろに並ぶ男子からは背中と尻しか見えないはずで、胸をじっくりと眺める機会はない。
なのでこの時までは、また落ち着きを持って羞恥心を抑えていた。
こんな学校に通っていて、恥じらいを抑える術が身につかないはずはなく、女子の大半は心を落ち着かせる作業に長けている。精神統一や無の境地というほど大袈裟ではないが、心の中で膨らみそうになっているものを押さえ、必要以上の感情が溢れないように抑える行為は、誰もが会得しているものだ。
だから、顔が赤いといっても、唯の頬とて薄らとしか染まっていない。
ただ、身長計の台に足を乗せ、両手を下ろす瞬間が来た時には、この顔がもう少しだけ赤くなることを覚悟した。
身長を測るには、両手を下ろさなくてはならない。
隠したままでは測ってもらえない。
何かを諦めるような気持ちで、だらりと腕を垂らした途端、乳房に絡みつく視線の数々を唯は感じた。
(みんなチャンスだと思って……)
服の上からでも、たまに気にされることのある胸だ。
それが曝け出される機会は限られており、しかも卒業手前のこんな時期とあっては、これを逃しては次はないような気持ちもあるのだろう。
今まで後ろに立っていた男子と正面から向かい合う形となり、その視線が真っ直ぐに突き刺さる。そのさらに後ろに並んだ男子も、唯の乳房を明らかに気にしている。
もちろん、計測担当の視線は言うまでもない。
頭にバーが触れてきて、あとは数値を確認して終了という時になっても、すぐに終わりにはしてくれない。もう数秒だけ見ておきたいかのように、まじまじとした視線を送ってから、ようやくの解放なのだ。
そして、終わればお礼である。
「ありがとうございました」
同じく頭を下げながら、測って頂いたことへの礼を口にする。
それから、次だ。
「よろしくお願いします」
スリーサイズ計測の列に並んで、その順番を迎えた時、やはり同じく頭を下げる。
それから、計測担当の先生にメジャーをかけてもらい、上から順に測っていくが、目盛りは乳首の近くに合わさっていた。乳房に巻きつけ、皮膚に軽く一ミリほど、かすかに食い込んでの締め付けを感じた時、すぐに顔は迫ってきた。
乳房から数センチもない、そのまま鼻でも触れてくるのではと思うほどの距離感から、あまりにもじっくりと眺められては落ち着かない。
(恥ずかしい……な…………)
唯は羞恥を堪えていた。
メロンとまではいかないと、唯本人は思っているが、そう例えたくもなる大きさには違いない。ボールを生やしたとも言えるサイズ感にぴったりと沿い合わさり、乳輪の上に重なる目盛りへと、計測担当の視線は注がれている。
ついでのように、指も当たっていた。
メジャーを持つ手が皮膚に触れ、ごくさりげなく乳房に食い込んでいた。
「はい、次ね」
と、急にバスト計測が終了して、アンダーバストの計測へと移っていく。
やはり、手前側で目盛りが合わさり、乳房に顔が接近してくる緊張感でたまらなかったが、ウエストは比較的に心が楽だ。ヘソの辺りに目盛りが来て、腹に目が近づいても、乳房ほどには恥ずかしさがない。
そもそも、あれほど下半身を曝け出し、今朝も儀式をこなしたばかりだ。
いい加減、もっと慣れていてもいいではないかと我ながら思うのだが、かといって乳房まで出し慣れているわけでもない。
結局は恥ずかしさを残したまま、卒業を迎えることになるのだろう。
次のヒップサイズの計測では、アソコの近くに目盛りが合わさる。
ショーツ越しの凝視など、脱いだアソコを直接見られることに比べれば、ずっと楽な部類ではあるものの、やはり落ち着かない気持ちはする。妙に体がそわそわして、貧乏揺すりでもしたくなるような、やたらに体を動かしたくなる種類の感覚に、唯は妙にきょろきょろと、特に意味もなく視線を泳がせていた。
そのヒップ計測も終了して、数値の書類への書き込みが済まされると、いよいよ最後の検査がやって来る。
(お尻の穴………………)
ギョウ虫検査の場へ移り、その列での順番を迎えた時、唯はこれまでにない覚悟を決めた。
三年生となった今、既に経験はある。
だが、下半身を晒したり、お尻を叩かれることよりも、もしかしたら恥ずかしいかもしれない内容がこの先には控えている。
いよいよ順番が回って来た。
「よろしくお願いします」
白衣の校医に、やはりきちんと頭を下げる。
それから、校医の合図に従って、診察用ベッドに上がっていくと、指示によって定められたポーズを取る。四つん這いの、それも頭を下につけての、尻だけを高らかにしたポーズだ。いかにも尻を差し出しているような、情けない姿勢になるのは、それだけでも恥ずかしいものがある。
さらにショーツを下げられて、尻を剥き出しにされた時、唯の顔はより一層の赤らみを帯びていた。
(やぁ……!)
これで肛門が出てしまった。
校医は見ている。
尻の中央に咲く皺の窄まりと、その数センチ下にある性器のワレメの、両方の穴が後ろからは同時に見える。
これほど恥ずかしい状況があるだろうか。
しかも――。
ぺりっ、
粘着同士の貼り合わせを剥がした音が聞こえると、その次の瞬間には、唯の肛門には校医の指が押し込まれていた。
(やっ、あぁ……!)
フィルム越しの指である。
それがマッサージのようにぐにぐにと、皺をほぐそうと揉んでくる。数秒も続いたマッサージはふとした拍子に急に途切れて、指は離れていくのだが、残されたフィルムは肛門に付着したまま、さながら皺に物を挟んだ状態が出来上がる。
指で押し込もうとする力がかかり、先端を数ミリほど穴に埋めたフィルムの変形は、しわくちゃの三角コーンといったところか。とても表面が綺麗とはいえない。皺の折れ重なりによってなるコーン形状が肛門へと突き刺さり、数秒かけての放置が続く。
十数秒が過ぎた頃、それは急にぺりっと剥がされた。
粘着力が皮膚を引っ張り、ほんの少しだけ伸ばしたと思ったら、肛門は元の何事もない状態へと立ち戻る。
だが、そこへ二枚目のフィルムが押し込まれ、改めてコーン状に変形していた。
(これにも、お礼を言うんだ……)
唯はそんなことを考えていた。
決して初めてではない。これまで数回は経験してきたギョウ虫検査は、唯にとって他の何よりも恥ずかしい。
検査のためとはいえ、肛門をぐにぐにとやられた上で、それに対するお礼を言う。
その屈辱を飲み込みながら、唯の身体検査は終了した。
*
沢城麗香は背筋を真っ直ぐに伸ばしていた。
両腕はだらりと下ろし、背中を金属の柱に沿い合わせ、身長を測ってもらうべくしての姿勢を整えている。
それが男子と正面から向き合う状況を作っていた。
今まで麗香の後ろに並び、だから背中や尻しか見せることのなかった面々に、こうして乳房を曝け出している。羽川唯とほとんど同じ、メロンサイズに至るか否かのボリュームをぷるっと瑞々しくも前に突き出し、鮮やかな桃の乳首を尖らせている。
男子もトランクス一枚だ。
おかげで勃起しているのが一目でわかり、自分のこの胸にために、どれだけ男を興奮させているかがひしひしと伝わって来る。表情を取り繕い、あからさまには鼻の下を伸ばさないだけマシなのだが、ちゃっかりと凝視はしているあたり、やはり男は男らしい。
「じゃあ、測るからねー」
計測担当の先生から声がかかって、次の瞬間には腹に手が置かれていた。
(せ、セクハラ……)
そういったことへの意識も、不快感も、この学校に通えど持ち合わせている。
校則だから、儀式だから堪えているのであり、それとは関係のないタイミングで下半身を晒されたり、お尻を叩かれたいとは思っていない。
これも、そうだ。
不必要な接触に対する不快感は確かにあるが、かといってこの学校である以上、文句を言ったり意見を唱えても、生徒の我が儘として片付けられる。それが目に見えているために、だから本当は何かを言いたい気持ちを堪え、渋々と押し黙っていた。
バーが頭に乗ってくる。
と、同時に手の位置も上へと動き、なんと乳房を持ち上げてきた。
(や……)
手の平を肌にべったりと貼り合わせ、親指を上向きにした形で、乳房を微妙にプルプルと、下から振動を加えて揺らしている。
男子の視線圧力が強まった。
いや、気のせいなのかもしれないが、軽い乳揺れを見ることで、どことなく興奮度合いを増し、無表情を装った目が本当は血走っているように思えてくる。
数秒感、麗香は乳房で遊ばれていた。
他の順番待ちもいるのに、そう長々とやるわけにはいかないおかげか、ほどなくして数値の確認が済まされて、麗香は身長計から解放される。
「ありがとうございました」
これでお礼を言うのは、何とも微妙な気持ちである。
もっとも、男が乳房を気にするのは仕方がない。
わざわざセクハラされたいわけではないが、麗香は自分の乳房に自信を持っていた。実に性的魅力に溢れ、男なら誰もが憧れる魅惑の果実に違いないと、密かに誇らしく思っている。
(だから、そう……仕方ないことなのよね……)
どこか諦めの境地のようなものに至りながら、麗香はスリーサイズ計測の列につく。
そして、その順番を迎え、礼を済ませた時、メジャーを持った計測担当はさっそく頭上からかけてくる。
ネックレスをかけてもらうようにして、頭から背中に引っかけてもらったメジャーは、脇下を通して手前に引っ張り出されることになる。続けて閉じ合わせるように目盛りが合わさり、そのまま乳首へと顔が迫った。
麗香は物静かにそれを堪える。
至近距離から視姦される恥ずかしさに、薄らと頬を染めながらも、静かに目を閉ざした佇まいは、どこかお淑やかなお嬢様を思わせる。
またしても、乳房は持ち上げられていた。
ここでの計測担当は、二本の指でメジャーをつまんでいるのだが、残る指を下弦に回し、下から持ち上げんばかりにタッチしてきていた。
(まただ……)
などと思いながら、佇まいは崩さない。
やがて、メジャーはアンダーバストへ移り、ウエストに移り、さらにヒップの計測になった時には、メジャーをかけ直すフリをして、両手を後ろに回された。まるで抱きつこうとするような形で、髪が軽く触れてくるほど顔を迫らせ、尻をかすかに触られた。
その上で手前に引っ張り出されたメジャーの目盛りを合わせ、数値を読み取りスリーサイズの計測は済まされる。
「ありがとうございました」
頭を下げ、次の列へ移った時、麗香はいよいよの覚悟を決める。
そもそも、多少胸に触られる程度、ギョウ虫検査に比べれば序の口だ。四つん這いで尻だけを高らかにして、お尻の穴が丸見えになった状態で、しかも指でグニグニやられるなど、これ以上の屈辱があるだろうか。
屈辱というなら、お尻を叩くのも同じだけ屈辱ではあるのだが、校則なので良くも悪しくも慣らされている。
尻の穴を見られるのは、慣れるほどには回数をこなすことがなく、列に並んでいる時から顔の赤らみが強まりそうだ。
列は縮んで、麗香に順番は回って来る。
「よろしくお願いします」
ゆったりと頭を下げた。
礼儀作法に則った腰の角度で、上半身を倒した分だけ髪は垂れ下がり、数秒は低めた頭をやがては上げ直す。気をつけの姿勢で、乳房を隠すことなく校医と向き合うと、ベッドへ上がる指示が出るので、それに伴い上がっていく。
四つん這いとなり、シーツに額を当てた瞬間、すぐにショーツは下げられた。
ショーツのゴムに指が入って、左右の尻たぶそれぞれに四指が擦り付けられる形で剥き出しに、アソコも肛門も一瞬にして丸見えにされてしまう。
顔が赤らむ。
慣れない恥ずかしさに、シーツに押し当てた表情はみるみるうちに歪んでいく。
ぐにぃ……。
フィルム越しに指が来た。
校医はそのままマッサージを施すように、しばしのあいだ揉みしだく。一本の指先だけを当てた形で、押し込む力に強弱をつけ、周囲をぐるぐるとなぞろうともするように、肛門は揉まれ続ける。
加えて左の尻に手が置かれた。
ぺたりと、何の意味もなく、校医の手は左の尻たぶに置かれている。
やがて剥がされ、新しいフィルムが改めて押し込まれると、やはり揉むような指遣いが繰り返され、麗香はそれに耐え忍ぶことになる。
(うっ、うぅ……)
さすがに辛かった。
シーツに額を押しつけて、だからその表情を誰にも見せてはいないのだが、まるで激痛に苦悶でもしているような、今のこの耐え忍ぶ顔付きは、とてもでないが人に見せられるものではなかった。
そして、二枚目のフィルムも終わり、ようやくショーツを戻してベッドを降りる。
「あ、ありがとう……ございました…………」
麗香はきちんとお礼を告げていた。
最初にそうしたのと同じく、正しい角度に腰を折り曲げ、伸びきった背筋を前へと倒している。数秒感は頭を下げ、ようやく気をつけの姿勢に戻ってから、背中を向けてその場を去った。
この、お礼を言う最中にも、肛門にはグリグリとほじられていた感覚が余韻として残っていた。
きっと、今日一日はしばらく残るだろう。
取れない染みのように浸透して、肛門に深く刻まれた感覚は、それどころか翌日になってなお、しばらくは消えることがないのだった。
コメント投稿