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 決闘場は楕円形の広場となっており、その周囲には客席が用意されている。
 日頃の経営では魔物と戦士の戦いを見世物にしたり、剣闘士で客を集めているが、今日の試合では王族と領主という権力者が自ら争いの場に立つのだ。
 話を決めたのはつい先ほど。
 そして、執務室から決闘場まで移動して、今日が休業日だったのをいいことに、滞りなく場所を借りた上、二人揃ってユミルと対峙している。
 話題が広まるだけの時間はなかったはずだ。
 だというのに、周囲の客席にはちらほらと、何故だか観客が集まりつつあった。
「嫌っ、最悪……」
 アリシアは顔を歪めた。
 こんなオイルまみれの姿で、人前に立たされているのだ。
 耳を澄ませば、周囲からは何かざわめきの気配のようなものが届いてきて、きっと自分達の有様について言い合っているに違いない気がしてくる。
 決闘のルールは単純で、先に魔力が枯渇しきるか、相手を降参かダウンに追い込むことで勝負は決まる。フィールド自体に専用の魔法がかかっており、身体の欠損や過度の負傷を与える出力は制限されることになっている。
 もっとも、危険な戦いである以上は、王族といえども流血のリスクは背負う。
「まずは決闘を受けて頂いたことに礼を言いましょう」
 ユミルはニヤニヤしていた。
 小さい分だけ、これから行う悪戯が楽しみで仕方なさそうな顔に見えるが、実態はそんな可愛いものではない。自分には力があり、王族を二人まとめていたぶることが可能であると思っているのだ。
「ふん。礼など必要ありません」
 アリシアは思う。
 わざわざ不利な条件での決闘など、裏はあるのかもしれないが、検問所での屈辱を晴らすチャンスである。逆にこちらがユミルをいたぶり、泣いて許しを請うようにでもしてやりたい。こちらは奴隷の実態も見てきているのだ。
「では始めよう。たった今から我々は敵同士、お互い遠慮なくいきましょう」
「ええ、当然です」
 マリエルが毅然と答える。
 その瞬間、マリエルはすぐさまユミルに向けて、真っ直ぐに腕を突き出したと思いきや、その直後に魔法は発動していた。
 急にユミルは吹っ飛んだ。
 弓から放たれた矢のように、一直線に勢いよく飛んだ上、その先にある壁に身体がめり込むほどの、魔法の光弾を放っていた。フィールド内だからダメージは自動的に抑えられが、即死しそうな威力に見えても死にはしないが、本来であれば巨大な魔物の肉と骨が四散して、たちまちおぞましい血の海が出来上がる。
「さすがは王族の魔力」
 しかし、ユミルはめり込んだ手足を一本ずつ、何事もないように引っ張り出すと、人型の凹みを背にして悠々と練り歩く。
「効いていないの?」
「それはないわよ? アリシア。咄嗟に防御魔法を展開して、ダメージを抑えたのでしょうけど、まったくの無傷ではいられないはず。それに今の魔力量を防ぐのに、あちらも同等かそれ以上の魔力を使ったはずよ」
 少量の魔力で大出力の魔法を防ぐのは難しい。
 よって、基本的に同量かそれに近い量の魔力で凌ぐことになる。すると魔力量の上回る相手と戦う場合、防ぐだけで反撃に使える残量が減り、あっという間に不利になるため、負傷も覚悟でバリアを弱め、魔力の節約を行う戦法もある。
 きっと、ユミルも節約したはずだ。
 それが何の負傷もないかのように突き進み、遠く離れたはずのユミルがみるみるうちに元の位置まで迫って来る。
 その歩いている最中に呪文でも唱えていたのか、アリシアは攻撃的な魔力の気配を感じて、すぐさま相殺を試みた。
 ユミルが仕掛けてきたのは火炎魔法だ。
 何の火種もないはずの空中に、壁でも滲み出て来るように炎が広がる。それは壁というよりも、炎の柱のなのかもしれなかった。火炎壁の中に人を閉じ込め、内側で焼死させようとする魔法の結果、円柱に閉じ込められた形となっているのだ。
 それは少しずつ急速に範囲を狭め、炎の壁が縮まるように迫って来る。
 しかし、アリシアにとって打ち消すことは造作もない。
 天に腕を突き出したそれだけで、さもロウソクの火を吹き消すように一瞬で、簡単に炎は消え去っていた。王族の持つ魔法にかかれば、これしきを打ち消すなど造作もないことなのだった。
「領主といえど、王族には及ばないわね」
 アリシアは手本を見せた。
 ユミルが披露したものとまったく同じ魔法を使い、今度はアリシアがユミルを閉じ込める。ぼっ、と燃え上がる音を立てながら、燃え上がる炎の柱の中にユミルの姿が包まれると、客席からは歓声が上がっていた。
 見れば先ほどより増えている。
 高い魔力の応酬に、誰もが興奮しているらしい。
「悪いけど、そう長々と見世物でいる気はないわ」
「そうね。お母様」
 アリシアは今、腕を突き出したその方向に持ち得る魔力を放出している。その魔力の放出にマリエルも力を貸してくるので、このまま炎で倒しきってしまおうと考えていた。
 炎柱を縮めることで、壁で圧殺するように倒そうとしていた。
 だが、縮めるだけ縮めきり、本来なら人体が炭に変わり果てる頃合いを見計らって切り上げるが、炎を消したその場所にはユミルの姿がなかった。石造りの地面に焦げ後が残っただけで、その場にダウンしたはずのユミルが見当たらない。
 どこかへ消えた?
 転移魔法での脱出なら簡単だろうが、だからアリシアは炎にある種の魔力を宿していた。転移を妨害して、脱出手段を奪って確実に焼ききるための妨害術まで付与しての、並みの権力者なら確実に倒せる術だったが、いない以上は脱出されてしまったはず。
「どこに?」
 マリエルも冷や汗を浮かべつつ、周囲に視線を滑らせる。
 アリシアも同じく見渡して、果ては浮遊魔法で上にでもいるのかと、空さえ見上げる真似をしてさえ見当たらない。

「んあぁ!」
「きゃん!」

 その時、二人は突如として悲鳴を上げた。
 それも痛みへの悲鳴でなく、急にアソコが激しく疼き、膣の内側で何かが弾けての、太ももを引き締めながらの悲鳴であった。内股になりきって、膝を擦り合わせた挙げ句、両手でアソコを押さえる姿は、傍からすれば漏れそうなオシッコを必死になって我慢する際のポーズそのものだった。
「おいおい! どうしたんだぁ!?」
「オシッコが漏れそうになる魔法かぁ!?」
 客席から大きな声が聞こえてきた。
 荒くれ者なら、貴族だろうと王族だろうと関係なく罵声を浴びせたり、下品な言葉を使ってくるのは容易に想像のつく話だが、アリシアはその瞬間に真っ赤に染まり上がって、屈辱で客席を睨んでいた。
「何がオシッコよ!」
 そんな魔法はかかっていない。
 もっと、別の何かに違いない。検問所でも感じた未知の快感。性知識のないアリシアにとって、まったく正体のわからない感覚は、それだけに余計に焦燥を煽ってくる。

 ビュゥゥゥゥ!

 激しく風音が鳴るほどの、突如とした突風で、二人のスカートが捲れ上がった。
 オシッコの我慢に見えるポーズによって、後ろへくの字に突き出していた尻に向け、その隙を突いたかのように吹く風は、そこに宿った気配さえ感じれば、すぐに魔法による風だとわかる。
 魔法でコントロールしている以上、風向きの操作も可能なはずだ。
 オイルによる付着でべったりと張りついて、剥がれにくくなってしまった布地があっさりと、不思議なほど簡単に持ち上がり、白い下着の尻があらわとなっていた。
「こんな真似をするなんて!」
 憤りと共に魔力を放出して、風の魔法を直ちに打ち消す。
 捲れたスカートは元の形に垂れ直すが、何十人といる観客全てに白い下着を見られてしまった。

「ほう? 二人揃って白か」

 突如、ユミルは二人の目の前に立っていた。
 ぱっと景色の表示を切り替えたかのように、唐突に現れていたユミルに、アリシアはまず真っ先に怒りを向ける。
「ユミル……!」
「オイルで透けているではないか。ほれ」
 人の怒りなど気にも留めないどころか、むしろ余計に怒らせてやろうとするように、ユミルは映写魔法を使っていた。

 二人の尻の写真が出現していた。

 現実の景色をそのまま切り取り、そこに張り付けてあるように、二人のつい先ほどの尻が宙に浮かんで漂っている。両手で抱えるほどの大きな絵となり、実物そのものの景色を映す映写魔法は、過去の出来事を映像や写真として記録するための術である。
 決闘場の観客にも、それと似た魔法のかかった石版――中継版という名の魔法道具が貸し出しで配布され、遠くの席でも二人の様子が大きく映し出されて見える。だから角度からして見えるはずのない位置に座った客にも、先ほどの下着はきっと必ず見られている。
 そして、今はアリシアやマリエル自身も、ユミルに見せつけられる形によって、自分自身の尻を見ていた。
 オイルを吸って、透けきった白い下着は、豊満な尻の厚みにべったりと張りつきながら、内側の肌を透かせている。透けうる範囲の限りで透明に近づいて、割れ目の溝さえくっきりと見える二人の尻は、未だ乾く気配すらないオイルのために、ヌラヌラとした光沢を放って輝いていた。
「全員が二人の尻を見ているぞ?」
「くっ……!」
「最低ですよ? ユミル」
 アリシアが歯軋りして、マリエルも憤りをあらわにする。
「そうか。ではこういう魔法はどうだ?」
 その瞬間、ユミルは魔法言語を口ずさみ、次の風を吹かせてきた。肌に大気の流れを感じた瞬間、またしても捲られるのではと、アリシアは瞬時に警戒するのだったが、風は風でも先ほどとは異なる魔法であった。

 突如として二人の衣服が引き裂け始めた。

「な……!」
「なんなの……!」
 揃って戦慄していた。
 みるみるうちに切れ目が走り、引き裂けた繊維の隙間から糸がほつれる光景は、例えるなら剣士に囲まれた状況だった。目には見えない剣士の群れに、おびただしい数の剣を振られ続けて、数え切れない斬撃がドレスを切り裂く場面といえた。
 アリシアはつい先ほどの魔法言語を思い出す。
『風』を意味する単語が聞こえ、だから咄嗟にスカート捲りを警戒したが、続いて紡がれた言葉にや『刃』を意味する単語も含まれていた。
 つまり風に切れ味を帯びさせての、かまいたちの魔法である。
 しかもユミルは肉体を狙うことなく、服だけを狙って切り裂いている。二人のドレスの有様は、おかげで刃物でがむしゃらに切り裂き続け、ボロボロになったものをそのまま着ている状態だった。
 切れ込みが重なるあまり、歪んだ三角形の布切れがいくつも生まれ、それが見えない刃に絡め取られて剥がされている。二人の足元には糸の露出した布切れがおびただしく散乱して、スカートはとっくに下着を隠せる面積を失っていた。
 胸元が裂け、二の腕も剥き出しに、露出度の一気に上がったアリシアは、羞恥心をあらわに顔を沸騰させ始める。
「ひゅー!」
「いいぜいいぜぇ!」
「王族の柔肌なんて、生涯二度と見るチャンスはねぇ!」
「領主様ー! 応援してるぜー!」
 飛び交う声援の全てがユミルを応援するもので、しかも王族への辱めを期待していた。集まる客の一人一人が荒くれ者の性格をして、しかもユミルを英雄視していた。
「さて、気分はいかがだろうか? お二人とも」
「最低! どうかしてるわ!」
 アリシアが声を荒げる。
「そう言われてもな。決闘などというものは、元より細かなルールなど存在しない。女だから気を遣うといったレギュレーションなど、わざわざ組まれることはないものだ」
「だからって、こんな風にばっかり! まともな攻撃をすればいいじゃない!」
 許せないのはそれだった。
 大勢の観客の前で肌を晒させ、辱める目的の攻撃ばかりをする。普通の攻撃をして、ごく当たり前に追い詰めようとするのでなく、わざとらしく晒し者にして楽しもうとする戦い方こそが気に入らない。
「さて、まともな攻撃というと、例えばこういうものかな?」
 ユミルはこれみよがしに呪文を唱える。
 その魔法言語を聞くなり、それが光弾を放つ魔法と気づき、アリシアはそれを跳ね返す結界を作り出す。さらにマリエルも呪文を唱え、攻撃の準備に入っていた。アリシアが守る一方で、即座に反撃を行う態勢に親子で入っているわけだった。
 ユミルが光弾を解き放つ。
 さながら光る大砲だ。鉄球を装填した大砲から、発光体でも飛ばされて来ているような、純白の輝きが目前まで迫って来るも、その頃にはアシリアも結界を整えていた。
「自分で喰らいなさい!」
 反射用の結界だ。
 相手より魔力量で上回れば、受けた攻撃をそのままそっくり跳ね返す。まさに攻防一体の術により、アリシアの目の前には光の壁が現れていた。例えるなら薄らと透けるプレートでも立ててあるかのように、バリアはそこに張られていた。
 結界が光弾を受け止める。
 そして、壁に物をぶつけた反射のように、ユミルの元へと跳ね返っていくはずだった。
「え……!?」
 ところが、アリシアは驚愕した。

 結界が割れた。

 ガラスが粉々に砕けるようにして、魔力によって生成した壁は打ち砕かれる。それどころか破片を周囲に散らしつつ、結界を撃ち抜いてきた光弾は、そのままアリシアの元へ迫っていた。
「アリシア!」
 母がすかさず娘を守る。
 ユミルへの攻撃に使うはずだった魔法によって、生み出していた火球を光弾の方にぶつけることで、攻撃同士の衝突によって打ち消せば相殺できる。そう思っての、咄嗟に慌てて行ったであろう魔法は、しかしそれさえ一方的に打ち砕かれた。
 火球の方が火の粉となって四散して、なおもアリシアへ迫って来る。
 もう駄目だ、かわしようがない。
 直撃を覚悟した時、光弾はさらに分裂していた。魔力をそのまま分割して、二つに切り分けてしまったことで、光弾のサイズは縮小するが、さながらY字を成さんばかりの軌道となって、親子どちらにも光弾は迫っていた。
 それはついに直撃する。
 胸に当たってきた瞬間、まず真っ先に痛みや強い衝撃を覚悟して、耐え忍ぼうとぐっと歯を食い縛っていたのだが、ところが感じるのは痛みでも何でもない。

 衣服が下着もろとも弾け飛び、乳房がぷるっと露出していた。

 破裂でもしたように布が千切れて四散して、アリシアの豊満な胸も、マリエルのもう一回り大きな胸も、どちらも外気に曝け出されていた。
「え?」
「これって……!」
 二人して、一瞬の動揺に虚でも突かれた顔で驚き、数秒をかけて固まるものの、次の瞬間にはますます顔を赤くしていた。
「いやぁぁぁ! なによ! なんてことするのよ!」
 アリシアは大声で喚き散らして、涙目になって両腕で乳房を隠す。
「破廉恥な攻撃ばかり! これが決闘ですか!」
 マリエルも怒声を上げながら、同じく腕で隠しつつ、ユミルを睨みつけていた。
 しかし、そんな二人の怒りをむしろ嘲笑うようにして、ユミルは続けて魔法を繰り出した。
「隠すことはないだろう? まったく、羨ましいスタイルだ」
 次にユミルが魔法を放った時、アリシアとマリエルの乳房が腕の中から解放され、観衆の視線を浴びるままとなっていた。
 拘束魔法である。
 まるで物体が内側から発光しているような、光のリングが二人の手首に現れて、それが力尽くで腕を動かしてしまったのだ。さながら壁に背中を押しつけられ、そこに両手も括り付けられているように、二人は両手の自由を失っていた。
「か、隠せない……!」
 恥じらいながら、アリシアは必死になって身を捩る。当然のように魔力を操り、こんな高速程度は打ち破ろうとしているが、一向にリングが砕ける気配はなく、このままでは視線を浴びる一方である。
「先ほどから、あなたの魔力はどうなっているのです!」
 マリエルの赤らみを強めていきながら、しかし気丈な顔で問いかける。
「教えてやろう。奴隷から吸い上げたものだ」
 ユミルはニヤニヤと自慢げに、子供が何かを誇らしげに見せつけてくる表情そのままに、満面の笑みを浮かべていた。それが本当の子供の笑顔で、何かを無邪気に喜んでいる時の顔でさえあったなら、一体どれほど微笑ましかったことだろう。
「奴隷ってどういうことよ!」
 アリシアはますます赤くなっていた。
 もはや羞恥心だけでなく、怒りによっても顔は染まりきっていた。
「なに、魔力が本当に皆無な奴というのはな、かえって珍しいくらいだ。ゼロに近いというだけで、本当は誰にでも魔力はある。どうせ使い道のない魔力を有効活用するためにな、我が領地の奴隷達にはちょっとした細工をしてあるので、何千何百人分もの魔力を私は自由に使えるわけだ」
「そんな……人間を燃料みたいに……!」
 許せなかった。
 人を人と思わぬ扱いで、鞭打ちながら働かせる光景は、幼い当時に街の様子を見て回ってのアリシアが受けた衝撃は大きなもので、それが今の自分を作っているといってもいい。あんなことがあってはならない、少しでも減らしていかなければという思いで今まで勉強や魔法の訓練を重ねてきた。
 どうあれ魔力を価値基準とする国家の王族に生まれた以上、周囲の貴族や騎士に権威を示すためには、それ相応の魔法力は必要だった。
 だが、ユミルは違う。
 奴隷を減らす努力どころか、むしろ資源か何かとして使い潰し、積極的に消費するための発明まで行っている。他人の魔力を吸い上げて、自分のもののように扱う手段を一体どう実現したかは不明だが、人の形をした生き物をそれほどまでに平然と、ストーブに焼べる薪くらいの感覚で扱えるなど、本当に常軌を逸している。
 こんな人間を許してはならない。
 何としても罪人として裁きを与え、牢で生活させてやる必要がある。
「いかに許せないとはいってもな。今のお二人に、私を倒す力がおありかな? なかろう? ゴミ程度の魔力であっても、数さえいれば山のように大きく積み重なるわけだからな」
 ユミルがまたしても光弾を放った時、手首をその場に固定され、動きを封じられている二人には、逃げることなどできなかった。攻撃魔法で相殺するか、結界を張るしかなかったが、二人がかりの魔力で結界を作り出し、先ほどよりも分厚いもので守ってさえ、それはあっさり撃ち抜かれた。
 やはりY字を成すように分裂して、二人それぞれに身体に命中すると、今度は全ての衣服が弾け飛び、もやは身体には布切れ一枚残らなくなっていた。

「やぁああああ!」
「なんてことを! なんてことをするのです!」

 アリシアが絶叫して、マリエルは荒っぽい声を震わせていた。
「おおお! すげぇ! すげぇ!」
「王族様が丸裸だぁ!」
「エロいぞー! なんてデケぇ乳なんだ!」
「デカ尻を叩いてやりてー!」
 下品な言葉の数々が客席から投げかけられる。
 戦いの中でいいように扱われ、全裸にまでさせられた屈辱もさることながら、観衆の言葉の一つ一つがアリシア達への追い打ちとなる。
「そら、羨ましい部分をじっくりと見てもらおう」
 さらに映写魔法を繰り出して、ユミルは宙に浮かべる写真を増やしていた。
 先ほどまでの下着の尻がそのままに、加えて生の乳房や尻のアップが漂って、アソコさえもが大きく拡大されている。しかもユミルはそれら映写魔法の写真に魔力を注ぎ、全てをみるみるうちに巨大化させた。

 うおおおおおお!

 と、熱狂の渦が巻き起こった。
 気づけばますます観客は増えていた。ちらほらとしか人が座っていなかったはずなのに、いつ集まってのことなのか、むしろ空席の方が人の数より減っていた。



 
 
 

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