前の話 目次




『九重一族は代々よりドレスを引き継ぎ、そして今は子孫であるエリサが身につけています! 代々こんな格好をしていたのでしょうか? 真相はわかりませんが、歴代の仕事人達は身長が低かったのではないでしょうか!』
 どこでチャイナドレスの情報まで知ったのか。
 実況はエリサについて、まだまだ解説を続けていく。
『私達が正体を暴いたのはエリサのみ! その親が誰だったのか、そのさらに親は? さすがにそこまでは掴めていません。よって推測に過ぎませんが、背の低かった先祖のドレスを恒例通りに引き継いで、しかしエリサは今までよりも背が高く、一七五センチもあるわけです! お尻もオッパイも大きくて、結果ピチピチ! ぱつんぱつん!』
 推測を交え、事情を察する風を装いながら、結局は胸やお尻に注目する。
『いやいや! それとも、色仕掛けなんかもするんでしょうか!? そのためのこの服装って可能性もあるわけでしょう!? ってことは、歴代の方々もピチピチのぱつぱつを着ていた可能性ってありますよね!?』
 一族への侮辱であった。
(……違う。色仕掛けなどしていない)
 そういった作戦は取っていないが、一族の歴史全てを暴いたわけではない、限られた情報を握ったに過ぎないカジノ側には、そんなことはわからない。あるいは、仮にわかっていても、わざとらしく煽ってきたのだろう。
『ペラペラと捲れやすいお尻! もちろん前だって見えやすい! そんなエリサの全身に注目しながら、ゲームの経過を見ていきましょう!』
 いくつも宙に浮かんで漂うスクリーンの一つには、テーブルに置かれるカードを映したものもある。しかし、きっと誰も見ていない。もっぱら胸や尻ばかりに注目して、興奮することに忙しいに違いない。
 ゲームが再び進行する。
 引き当てた手札から二枚捨て、新たに二枚を引き直すが、エリサの手元には役が来ない。そてに対して支配人は五〇〇ゴールドも出してくる。もしや本当に良い手札を揃えたのではと感じてフォールドする。
 次の勝負ではスリーカードが揃ったため、ここは賭け金を積み上げるが、それに乗って来た支配人が出したのはフルハウスだった。

 プシュゥゥ!

 またしても噴射のように気体がかかり、体が芯から熱くなる。内部に火でも灯ったようなじわっとした熱さの次には、触ってもいないアソコが気持ち良くなり、内股に愛液が流れ出ていた。
『見て下さい! 濡れています! 濡れています!』
「くっ!」
 エリサは咄嗟に手で押さえ、太ももを引き締める。
 だが、脚の隙間に映った愛液の滴りは、それでも大勢の目に留まり、濡れている事実は観客獣に知れ渡る。見られたことも恥ずかしいが、濡れている事実が大勢に広まって、それによるざわめきが四方八方から伝わってくるのも羞恥を煽る。
「やっぱり代々エロいんだ!」
「ベッドで暗殺ってか?」
「ご先祖様もエロエロだったんだろ?」
 エリサ自身だけでなく、血筋もろとも侮辱してくる言葉に怒りが込み上げ、思わず客席を睨みつけていた。
「ふざけるな……」
 頭に血が上り、怒りと羞恥の果たしてどちらで顔が赤いのか。
「そんなに怒ってても?」
「マジックハンドで?」
「くぅぅ……! んっ、んぅぅぅ……!」
 エリサは乳首をつままれ、責められていた。
 乳房に刺激が迸り、反射的に体が逃げる。背中が大きく反り返り、それに応じて尻が引っ込んだ瞬間に――ぺちん! と、丈の上から平手打ちが、良い音が鳴ったと共に、叩かれたことを冷やかす声が飛ぶ。
「お尻ペンペンか?」
「ははははは!」
「形無しだなぁ?」
 馬鹿にされ、笑われる。
 その悔しさに歯を噛み締め、こうなったら何としても勝ってやると、乱暴に手札を引いていらないカードを入れ替える。多めの額を賭けに出し、大きく勝負に出たところで、エリサのツーペアはストレートの前に敗れ去る。

 プシュゥゥゥ!

 ますます体の感度が上がり、乳首は最大限に硬くなる。それをつまんでくる指により、乳房が根からとろけ落ちそうなほどの快感が走る上、性器の方ではクリトリスが突起する。染み出た愛液が内股の皮膚を伝って流れ落ち、尻もどことなくウズウズと、何かを求める信号を発してしまう。
「はぁ……あぁっ、あぅぅ………………」
 息遣いは完全に乱れていた。
 熱く興奮しきった呼吸と共に、いつの間にかヨダレが出ていた。体中から噴き出る汗で、ただでさえピチピチであるチャイナドレスは、余計に肌に張りついていた。
 そして、その時である。
 スクリーンが一つ増え、そこにはテーブルの下から覗き込んだアソコが映る――ドレスの丈がかかって隠れているが、透明なマジックハンドは捲ってしまう。透明であるおかげで、マジックハンドの存在に遮られることなく、観衆の目にはしっかりと、愛液に輝くワレメが映し出されていた。
「おお!」
「いいねいいねぇ!」
 観客の興奮度合いが増す。
 その次の瞬間だった。

「ぬおぁああ!」

 エリサは滑稽な喘ぎ声を出していた。
 見えない手が、いくつ存在するかもわからないマジックハンドの一つが、天を指差すような形で膣口に潜り込み、ピストンを開始したのだ。その突然の陵辱にエリサの足腰には途方もない刺激が走り、たちまち腰は引っ込んでいた。
 体が快感から逃げようとして、反射的に引っ込んで、くの字に折れ曲がる腰なのだが、しかし指が穴に入っているのだ。それが抜け出ることはなく、むしろ穴に咥えてマジックハンドもろとも引っ込むだけだ。
 ピストンは止まることなく続いていき、脳天まで走る刺激のせいで、エリサはそのまま上半身をテーブルに投げ出していた。台に体を置いた上、後ろに腰を突き出したかのような、はしたない形となってしまっていた。
「おやおや、大丈夫ですか?」
 支配人は口先では心配している風な言葉をかけつつ、その顔は完全にニヤついていた。
「き、貴様――あぁ! あぁっ、あん! あぁん! あぁん! あああ!」
 指のピストンだけで、エリサはまるで極上のペニスにでも犯されているように、多大な快楽を味わい大きく喘ぐ。頭の中で電気が弾け、全てが真っ白になり、その次の瞬間に内股を伝って流れ落ちるのは尿だった。
 エリサは失禁していた。
(……くっ、こんな! なんで!)
 オシッコまで漏らしてしまう自分に、エリサはこれまで以上に顔を顰め、折れんばかりに歯を食い縛っていた。
(ふざけるな! ふざけるな! ふざけるな!)
 失禁している最中のアソコに対し、なおもピストンが続くおかげで、エリサの尻はやたらにくねくねと動いている。左右に振りたくり、後ろにいる誰かを誘惑しようとしているかのようになっている。
「お尻フリフリ!」
「エロいぞー!」
「誘ってんのかー!」
「ああ、犯してやりてぇ」
「あのデカいケツに突っ込んだら、さぞ気持ちいいんだろうなぁ?」
 こうした言葉だけではない。
 またしても丈を捲られ、スクリーン上に丸出しの尻が浮かび上がったと思いきや、その剥き出しの尻たぶに両手が置かれる。透明な手であるため、だから手の平の型を取ろうと凹ませたような変形で、マジックハンドが尻を掴んでいることが見る者には伝わった。
 そして、その両手が尻の割れ目をぐいっと開く。

(や、やめろぉぉぉぉぉぉ!)

 肛門さえもあらわになった。
 性器も、肛門も、恥ずかしい穴のどちらでさえも大衆に拝まれて、見世物として男達の興奮を煽っている。
『見えている! 肛門が見えている!』
 実況が高らかに煽る。
『ヒクヒクと蠢く肛門も、マジックハンドがピストンしているアソコの穴も、そのどちらもがあらわとなっています!』
 観客の熱気はより上がる。
「うおおおお!」
「最高! 最高!」
「なんてドスケベなんだー!」
「き、貴様らぁ……! あっ、あぁん! あぁ……! ああぁああ……!」
 気持ち良すぎた。
 多大な快楽に翻弄され、もはやポーカーどころではない。カードを握る余裕すら失いつつある状況で、それでもエリサは倒れた上半身を起こしていく。
「あぁ……んぅ…………! んっ、んっ、んぅ…………!」
 などと喘ぎつつ、それでも捲れたお尻を掻くし、手札を握って支配人と対峙する。
「大丈夫ですか? エリサ」
「あぁっ、だ、黙れぇ……! しょっ、しょうぶぅ…………!」
 これまでの勝負の中、お互い三回までとされたいたフォールドは、エリサはもう使い切ってしまっている。嫌でも勝負に出るしかない。運良くフォーカードを引き当てて、この手札ならばと、残る全てのゴールドを賭けに出し、テーブルに手札を広げる。

 だが、支配人の手札はロイヤルストレートフラッシュだった。

 衝撃だった。
 せっかく強い役を引き当てて、これなら勝てると踏んだ直後に、こんな確率の低い役など見せられては、もはや笑うしかなかった。

 プシュゥゥ!

 いいや、笑ってなどいられない。
 最後の勝負に負けた上、さらに追加の媚薬を噴射され、もう皮膚に風さえ当たって欲しくないほどに、感度は上がりきっていた。まともな意識も持っていられず、快感のあまりに朦朧として、ヨダレの出ている自分に気づくことすらできずにいた。
 マジックハンドのピストンが激しさを増す。
「んんんんんんんんんん!」
 さらにもう一つの手が丈の内側に潜り込み、クリトリスを弄り始める。
「んんぁああ! あっ、おあああ! あぁっ、あああ!」
 エリサは絶頂した。
 仰け反りながら、顔を天に向けながらイキ果てて、その頭は真っ白になっている。電流が弾けるあまり、全てが焼き消えてしまったように、頭は完全に空っぽだった。体中の力までもが抜けていき、エリサはふらりと倒れ込む。
 仰向けとなったエリサを支配人が見下ろした。
 にやりと、勝ち誇った笑みで、その失神した顔をしばし眺め尽くした後……。

 エリサは店の奥へと引きずられていく。

 実に無様であった。
 片足を持ち上げられ、引っ張られている最中のエリサは、意識がないので丈が捲れた状態に気づくことすらできやしない。ヨダレの垂れたみっともない表情で、床の上をずるずると引かれた挙げ句、その先にある扉の奥へと姿を消す。
 一体、支配人はエリサをどうしてしまうのか。
 自分のための奴隷にするのか、それともどこかに売り飛ばすのか。
 いずれにせよ、この日から九重エリサは行方不明となり、大陸にはびこる悪党は二度と始末されることがなくなった。悪事によって稼がれた金が市民にばらまかれることもなく、世は再び暗黒時代を迎えたのだ。



 
 
 

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