ニニムは広場に囚われていた。
拘束板を使った拘束で、両手と頭が一枚の板に同時に封じられている。晒し台とも呼ばれるもので、本来は罪人を捕らえて晒すための用途なのだが、ウェインはこれを性的趣向のために利用していた。
「どうだニニム、気分の方は」
「いいわけないわよ…………」
周りには囚人が集まっている。
何をしたんだろう、どんな罪状だろうと、誰も彼もがヒソヒソと小声で囁き合う。ニニムはそんな衆人環視の中心にいて、手で恥部を隠すことすらできないのだ。
哀れにも尻を突き出し、人々はそれを好きなだけ鑑賞している。
「うーん。でもまあ、逃げようとしたニニムが悪いし」
「そんなこと言ったって……」
あれほどの人数の前で放尿して、唖然とした顔やドン引きの顔を向けられた。それで平然としていられるわけがない。未だ立ち直っていないところに、まだこんなプレイが続くのだ。いつになったら地獄から解放されるのか、これではいよいよわからなくなってくる。
「まだ媚薬の効果は残っているな」
「た、たぶん……」
正直、もう切れていて欲しいが、ニニムの肉体には熱い疼きが残っていた。
風が吹くだけでも気持ちいい状態は、かえって拷問的ですらあった。
「ま、今度こそ終わりにしてやるよ。ここでやることが済んだらな」
「もう諦めるしかないのね……」
諦観に浸り、ニニムは静かに目を閉じる。
ウェインが満足するまで、後は辛抱するしかない。
ニニムがこうして目を閉じるのは、言うまでもなく現実を意識の外に押し出すためだ。先ほどよりも、さらに人数を増やした野次馬の輪に包囲され、一体何十人に視姦されているかもわからない状況など、恥ずかしさだけで頭が弾け飛ぶ。
まぶたの裏の暗闇を見ていなければ、到底耐えきれるものではない。
「さて、始めるぞ」
ウェインは尻の真後ろに回り込む。
ニニムの視界から外れたことで、いつどのタイミングで、何をされるのかがわからない。その不安感もさることながら、こんな裸で野次馬に囲まれて、罪人と変わらない扱いの惨めさに泣けてくる。
赤面しきった顔のまま、もう首から上の肌の色がこのまま変わってしまいそうである。
「あーあー」
「本当に何の罪だ?」
本気で罪人への罰と勘違いしている声がいくらでもあり、それが耳に届くたび、心の底から惨めでならなくなってくる。
「……ひっ!」
尻に触られた瞬間、ニニムの身体は弾み上がった。
ウェインが尻を撫でている。
その感触は見えない分だけ如実になる。衆人環視の地獄から目を塞ぎ、まぶたの闇に閉じこもっているニニムは、触覚への意識が尚更に強かった。
(やっ、やだ……こんな……お尻だけで……あぁ…………)
肌を撫でられているだけで気持ちいい。
すぐにその手はアソコへ移り、今度は快楽によって全身が弾み上がった。
「ひぁぁ! あっ、あぁぁ……!」
膣に指が入っていた。
その出入りによって、ニニムは大きく目を見開き、苦悶に髪を振り乱しながら喘いでいた。
「おおっ、これはこれは」
「背中が浮き沈みするような反応、なかなかの感じぶりが見受けられますなぁ?」
中年グループは当然のように見に来ていた。
「ほら、あれだけ感じているわけだから」
「確かに乳首のアクセサリーがプラプラ揺れていますな」
彼らが指摘する通り、乳房からぶら下がる羽根を覗いてみれば、それは面白いほどに暴れている。腰がビクっと跳ね上がり、またビクっとして逆に引っ込む。弓なりのアーチが上下に向きを入れ替え続けるように、ニニムの上半身は波打っているのだ。
「んっ! あぁああああああああああ――――!」
ニニムの絶叫に野次馬は色めき立つ。
「今度こそイキましたなぁ!」
「全身ビクビク!」
「ちょっと潮噴いたのが見えましたよ?」
中年グループが盛り上がる。
ニニムは実際に体中を痙攣させながら、ウェインの指が刺さった隙間から愛液を拭きだしていた。その噴射の直後には、トロっと内股を流れ落ち、表皮が反射で光り輝く面積が広がっていく。
それだけではない。
ニニムにはまだ、放出するだけの尿が残っていた。
より正確に言うならば、先ほどの放尿で出し切ったが、利尿剤の効果がまだ微妙に残っていたせいで、短時間のあいだに新しく膀胱に溜まり直していた。それが今の絶頂で決壊し、緩んだ股から流れ出したのだ。
「お? あれはもしや?」
「またもや放尿!」
(いやぁぁ……見ないでぇぇぇ…………!)
ニニムの尿はまず内股の表面を伝って流れ落ちていた。
決壊すると同時に相応の量が流れ出し、皮膚の上には黄色い層が出来上がるも、その層の厚みは直ちに薄れていく。それは尿が途切れたわけではなく、もっと別の移り変わりだ。
尿道口から地面にかけて、直線型へと変化したのだ。
チョロロロロロロロロ………………。
決壊をきっかけに、少しのあいだ緩やかに流れた尿は、すぐさま勢いを手に入れて、石造りの地面に向かって激突する。土や砂ではないため、吸水性が悪く、尿は染み込むように消えてはくれない。表面が濡れたらもう吸水できなくなり、あとは周囲に飛沫を散らすようになる。
足の内側で放射状に飛沫を散らしていることで、靴にそれがかかっていた。
チョロロロロロロロロ………………。
二度目の放尿のせいか、体外に放出される水分には限りがある。
どこか途切れ途切れの黄色い直線に、ウェインはいい気になっていた。
「おいおい、またか? これはいけない子だな」
いい気になって煽っていた。
「なんで……私……こんな歳じゃないのに……なんで…………」
利尿剤の事実を知らないニニムは、本気で打ちのめされている。
(ま、後々教えてやった方がいいか?)
さすがにフォローを考えるウェインなのだが、もっとも今この場で慰めるつもりは毛頭ない。
それどころか、尿の途切れた瞬間を見計らい、再び愛撫を開始していた。
放尿に軽く驚き、一度は抜いていた指を再び挿入して、ウェインは責めを再開する。熱気に満ちた膣内は、膣壁の表面に厚い愛液の層を作り上げ、ピストンする際の滑りが良い。活性油の働きをして、ツルっと抜け出て、ヌルっとあっさり入り込む。
ウェインも最初は慎重だった。
(下手なことしたら逆に痛いだけだもんな)
この時代、性の細やかな知識は現代ほどに広まってはいないものの、爪が当たったら痛いだろう、負荷をかけたらきついだろうと、ウェインも想像だけはしていた。だから最初のうちだけは丁寧に、優しく慎重に出し入れしていたが、様子を見ながらペースを速め、だんだんとコツを掴みながら激しくしていた。
「あぁぁあああ! あぁぁっ! ああああっ、あぁぁぁああああ!」
(媚薬のおかげかもしれないが、上手くいってるみたいだな)
大きな喘ぎ声が響き渡り、ウェインは得意げに愛撫を続ける。
「あっ! あぁぁ! あああああああ! あぁぁあぁあ!」
ニニムの感じ方は本当に激しい。
もう頭の中は快感でいっぱいだろう。考え事などする余地はなくなって、周囲の視線に恥じらったり、屈辱や悲しみを感じる暇がどこにもない。
「あぁぁ! いや! いやぁああああ!」
髪を目一杯に振り乱し、喘ぐことしかできなくなっていた。
「あぁああ! あん! あぁぁん!」
快楽に支配され、完全に翻弄されていた。
「いやぁ凄い! あの感じよう!」
「ヨダレを垂らしたみっともない顔に、もう自分で気づく状況ではないんでしょうな!」
「顔まで上下に動いてますね」
というように、ニニムは頭を上げ下げしていた。
快楽電流が流れた際の反応で、びくっと跳ね上げた頭を直後に落とす。そうやって、しきりに上げ下げすることで、髪を滑稽に振り乱している。
「あぁぁああああぁああああ……………………!」
また、イっていた。
腰を痙攣させ、震えながら愛液を垂れ流す。
(これで二回目か)
一旦、指を抜いてみると、長い長い愛液の糸が引いていた。
「おおっ、糸ですよ糸」
「あ、消えた」
「しかし、面白いものを見てしまいましたねぇ」
中年グループも大喜びらしい。
(再開するか)
たった数秒という、実に申し訳程度の休憩を与えただけで、ウェインはまたしても指を入れ、ニニムの身体を弄ぶ。
「あぁぁん! あん! あっ、あぁぁあ!」
今度は挿入せず、クリトリスの方をくすぐるが、こちらでも激しい感じようだ。指にまとわりついた愛液を利用して、滑りの良さを活かした軽やかなタッチで攻めるが、これが実によく効いている。
腰が上向きに引っ込んでいた。
ウェインの愛撫から逃げようと、ニニムの股は反射的に動いてしまい、あらゆる方向に曲がりくねって、触るたび触るたび、どこかへビクっと遠のこうとする。特に尻が跳ね上がるような動きが多く、中年グループもそれを見逃さない。
「お尻がしきりに上になってますな」
「あのピクピクと弾み上がる感じ」
「まるでお尻を上下に振るかのようで楽しい光景ですなー」
彼らの目を大いに喜ばせているらしい。
(そろそろかな?)
ウェインは次の絶頂を予感する。
「あぁぁああああぁぁああああぁああああ――――――――!」
全身を痙攣させ、ニニムはまたイった。
(まだまだ)
ウェインは容赦なく愛撫を繰り返し、イったばかりのニニムをさらに喘がせる。
「あぁっ、あぁぁ………………!」
数秒ほどで、またしても腰が上下左右にビクビクと、今度はかなりの短時間で絶頂していた。
もちろん、媚薬のせいだろう。
しかし、随分と感度の上がってしまったニニムの身体は、驚くほどにイキやすくなっていた。ほんの数分もクリトリスをくすぐれば、また次の絶頂を迎え、そのさらに数分後にも、ニニムは絶叫しながらイキ果てる。
(すげぇ、こんなにイキまくるのか!)
ウェインはすっかり夢中になっていた。
ニニムが自分の指に翻弄され、こうも連続でイっている状況に酔ってしまい、しきりにクリトリスを責め続けた。そのせいか手の平は愛液にまみれきり、手首から上が完全にねっとりと、ヌラヌラとした光沢を帯びていた。
「あぁぁ…………」
そして、ニニムは失神した。
急に事切れたように動かなくなり、だらりと全身から力の抜けている様子に、ウェインは一瞬焦るのだが、すぐさま様子を見るに単なる失神とわかって安心する。
(さすがにやりすぎたか)
ようやく冷静になって、調子に乗りすぎたことを自省する。
(もっとも、ここまでめっちゃ楽しんだぜ。マジで最高だった!)
ウェインが満足しきった時だ。
「……え」
それを見て驚愕した。
「お、おいおいおいおい」
「マジかよ……」
「き、汚ぇ!」
「不潔だ不潔だ!」
ウェインだけではない。
周囲の人々まで驚愕して、中年グループも引き攣っていた。
そして、そんな時にニニム自身も、想像以上に早く意識を取り戻し、自分が何をしでかしてしまっているか、皮膚の感覚で悟ったのだろう。
「……え? い、いやぁぁああああああああああ!」
ニニムは絶叫して涙を流していた。
(そ、そりゃそうだよな……さすがに泣くよな……っていうか、よく今まで泣いてなかったよな…………)
ウェインも焦っていた。
いくらなんでも、これは……と、その惨状に引き攣って、逆に笑うしかないように壊れた笑みを浮かべていた。
後ろの方まで漏らすとは……。
失神のせいで、色々と緩んだせいなのだろう。
その後、執務室でウェインが相応の報復を受けたのは言うまでもない。臣下達の前では顔色一つ変えることなく、平静を装ってみせるのだが、かけられた技の数々により、ありとあらゆる関節が痛むこととなるのだった。
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