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 最初を思い出すスタイルだった。
 ニニムはM字開脚の形で持ち上げられ、もう完全にアソコを隠すことができなくなる。隠すどころか、ポーズのせいでよく目立つ。
 こうして赤ん坊のように抱えられ、樹木に向かって放尿させられたのが、つい先日の出来事である。あの時は偶然通りかかった兵士に唖然とされ、思えばあれでウェインは何かに目覚めたのかもしれない。
(こんな最悪な性癖に……!)
 ニニムの顔は燃えていた。

 じぃぃぃ…………じぃぃ…………
 じぃ――じぃぃ…………
 じっ、じぃぃ………じぃぃ…………じぃぃ…………

 一体、ここには幾つの視線があって、何人に視姦されているのか。
 そんなことは考えたくもない。
 ただただ、激しい羞恥心に飲み込まれ、頭の中には炎の渦が吹き荒れている。これまでの経験で、悲しくも露出慣れしてしまったはずだと自分では思っていたのに、これからするのはオナニーだと思ったら、新鮮な恥ずかしさが湧いてならない。
 手が震える。
 愛液が出ているせいで、風が通るとアソコの濡れた部分がひんやりする。体が興奮している今、指で触れてしまったら、一体どれほどの刺激になってしまうか。その怖さでニニムは大いに躊躇っていた。
 アソコに指を近づけて、あとは触れさえすればオナニーを開始できる。
 しかし、腕が簡単には動かない。
 開始に迫れば迫るほど、おびただしい視線の数々が本当に気になって仕方なくなる。心と体がオナニーを拒み、あと数ミリで触れるところまで指を近づけながら、ニニムはいつまでも始めることが出来ずにいた。
(だって……恥ずかしすぎる……)
「どうした? 早くしないと、いつまでも見られ続けるだけだぞ?」
 ウェインの囁き声は耳の裏側にかかってくる。
「わ、わかってるわ……」
「にしても、みんなが注目してるな?」
「余計にやりにくくなるじゃない…………」
 ぷつぷつとたくさんの針で刺されるように痛い。
 オナニーを躊躇うのは、下手な刺激で尿意が強まり、決壊が早まるかもしれない恐怖からでもある。あの時は兵士二人、次はウェイン一人の前、そして今は大勢の人前だ。一体、何回放尿すればいいというのか。
「羞恥心がひしひしと伝わってきますなぁ?」
「もう既に触って見えるものの、実はまだ手が近づいているだけのように思えるね」
「そうそう。触るに触れない、あの感じの可愛らしさといったらもう」
 中年グループが語ってくる。
(どんどんやりにくくなるじゃない……)
 ニニムの細かな挙動を一々口にしたり、嬉しそうに語って来るから落ち着かない。
(ほらほら、どうしたニニム)
(ウェイン……ああもう、やるわ……やればいいんでしょう…………)
 やっとのことで、ニニムはワレメに指を置く。

「――――――――っ!?」

 その瞬間、ニニムは動揺した。
(媚薬って……こんなに…………)
 予想外の快感だったのだ。
 電気が弾けたように爆発して、アソコから四散したものが体中を駆け巡る。ちょっと触れただけだからまだしも軽いが、これで本格的にオナニーを開始したら、自分は一体どんな風になってしまうか、恐怖は増幅していた。
(や、やだ……こんなに……これでオナニー……するなんて…………)
 ニニムの指には糸が引いていた。
 一瞬しか触っていないのに、愛液の量が増え、指とワレメのあいだに引いていたのだ。
 それに気づいた時、ニニムは恐怖しながら再び触れ、なるべく気持ち良すぎないようにと意識しながら、触れるか触れないかの微妙なタッチでなぞり始める。
「おおっ、始まった始まった」
 中年グループが嬉しそうな顔をする。
「すっげぇ!」
「あれが女の人のオナニーか」
 男の子のグループは、関心しきった顔で夢中になって視姦してくる。
「あらあら」
「本当にやってるわ」
 ニニムのことを嘲る同性の声が辛い。
 だが、快感は容赦ない。
 心の中にどんな葛藤があろうと、同性の声にどんなショックを受けようとも、触っていれば生理的な反応は呼び起こされる。
(うぅ……いやぁぁ………………)
 見られたくない、漏らしたくない。
 そんな心境で本当に慎重に触っているが、表面をくすぐるようなタッチがそれはそれで刺激になる。かといって、下手に刺激を強めれば、尿意の方がどうなるかもわからない。下手をしたら簡単に壊れるものを扱うように、ニニムは実に慎重だった。
「ゆっくりとやってますなー」
「これだけみんなに見られているんです。そりゃあ、せっせとやるのは恥ずかしいんでしょう」
「なるほど恥じらいの表れですなー」
 中年グループがそのように解釈して、解説を繰り広げる。
「風で感じちゃうくらい感度が強いわけだからね」
「ああ、だから慎重にやっているのか」
「気持ち良すぎて、人前で夢中になったら、もう後で死んじゃいたくなるだろうしね」
(既に死にたいわよぉ……!)
 ニニムの心が悲鳴を上げる。
 ワレメをなぞっているうちに、だんだんとクリトリスが突起していた。その刺激の強さに触れないように気をつけて、無難なところだけを触るようにしているが、やはり愛液はみるみるうちに染み出してくる。
「んぅ……んふぁ…………あっ、はぁ……はぁ……はぁ……はぁ………………」
 息が乱れていた。
「顔が火照ってきましたな」
「ずっと赤面しっぱなしではあったけどね」
「こう、快感の熱気というか。少し違った感じが出て来ているね」
 中年グループはニヤニヤ語る。
(変わらないわよぉ…………)
 指に絡みつく量が増えるほど、自分はこんな状況でも感じているのかと、自己嫌悪に陥りたくもなってくる。
「ふぅっ、ふはぁ……あっ、あふっ、あっ、あぅぅ………………」
 声を抑えようと、口元に手を運ぶ。
「お? 声の我慢のようだ」
「つまり声が出そうなほど気持ちいいと」
「聞かれたくないんだねぇ?」
 それはその通りだ。
 こうして乱れきった息遣いをするだけでも、自分の感じた様子が伝わってしまう。伝われば伝わるほど、そこまでして感じているのかと、蔑まれそうで不安になる。自分の様子をネタに喜んでくるのも嫌で、少しでも抑えたくなってくる。
 快感の様子を少しでも縮め、乱れ具合を控え目に見せるためにも、今の息遣いを押さえ、声を出さないようにしたかった。
 だが、こうして口に手をやったこと自体、声を我慢しようとしたものと見做された。どんどん気持ち良くなっているのだと、こんな挙動一つでかえって教えてしまったのだ。
(もう……どうすればいいの……)
 あまりにもやりきれない。
「おっ? 足がピクって」
「はははっ、私も見逃しませんでしたよ?」
 甘い痺れが走り続けて、不意に強めの電流が流れた時、足首が微妙に跳ね上がったのだ。それは本当に些細な反応だったと思うのだが、それでも中年グループは見逃さず、肉体の興奮度が上がっている様子であると盛り上がる。
「無理無理」
「事情は知らないけど、私ならあそこまでできないわー」
「案外、罪人が処罰を受けてるんだったり?」
 そんな邪推さえ広まって、女性同士のあいだでは、一体なにをしでかしたのだろうという話を交わし始めている。
(違う……違うわよ……で、でも罪人じゃなかったら、それはそれでなんでって話で……ああああぁ……本当に、何もどうにもならないじゃない…………)
 中年グループの言葉も、同性の喋り越えも、何も聞きたくない。できるなら両手で耳を塞いでしまいたいほどだったが、ニニムがどんな切実な思いを抱いたところで、腕は二本しか存在しない。
 口を覆い、右手はオナニーに使っているだけで精一杯だ。
 そして、その時……。

 尿意がより急速に強まっていた。

(やっ、ま、まずい…………)
 ニニムは慌てて後ろを意識する。
 心の中ではウェインに助けを求めるが、きっとどうもしてくれないことはわかっている。ニニムが漏らす瞬間をむしろ楽しみにするはずだと、悲しくも先が読めてしまっている。
 内股にぐっと力を込めた。
 漏らすまいと、尿意を抑え込もうと、下腹部から太ももにかけ、筋肉を押し固める。必死になって尿意を封印しようと試みるが、どうしても押さえ込める気配がない。こんなに我慢しようとしているのに、無関係に尿意の増幅は続いていた。
(や……やだ……やだ……やだ………………!)
 そんなニニムの様子を見てのことである。
「おや、何か焦っているようだ」
「あの脚がそわそわしたような動き、絶頂の予感と対峙しているのでは?」
「ほほっ、そうかそうか! イキそうなのか!」
(違うわよ! ちが……違うけど…………!)
 ニニムのオシッコを堪える様子は、挙動にも現れてしまっていた。
 それは股をかすかに、本当にかすかに開閉しようとするような、実にそわそわとした落ち着きのない動きである。中年グループはそれを絶頂の前触れと勘違いして、そちらの期待をしながらニニムのイク瞬間を待ち侘びている。
(だ――だめ――だめ、ダメダメ! も、もう……!)
 ニニムはますます焦っていた。
 アソコや下腹部への意識を異常に強め、念じることで何とかしようとするように、必死になって尿意の封印を試みる。これまで異常に筋肉に力を込め、身体の内側で何かが潰れそうなほどの勢いで、ニニムは爪先にかけでまで硬直していた。
「おやまあ、随分と力を入れて。筋肉の強張った様子がありありとわかりますな」
「我々がこんなことを言うから、イクのが余計に恥ずかしくなったんでしょう」
「それで必死に我慢とは、可愛いもので」
「お? イキますかな?」
 慌てた顔や様子から、中年グループはいよいよ絶頂直前を迎えているように誤解する。
(駄目……こんな…………)
 ニニムはしきりに股を開閉していた。
 ウェインに両膝を抱えられ、実際にはあまり可動しないが、開閉するかのような力を加えていた。
 我慢に我慢を重ね、その上でオナニーを続けている。
「お、お願い……もう十分に…………」
 ニニムは小声で懇願した。
 ここまでオナニーしたのだから、もうこれで許して欲しいと慈悲を求めた。
「もう少しだ」
「そんな…………」
 ニニムは本当に気をつけながらワレメを擦る。
 少しでも扱いを間違えれば、途端に崩れ落ちるものを扱うように、本当に慎重に行っていた。
(あぁ……もう…………)
 筋力の限界まで下腹部を固めているにも関わらず、ニニムはなおもより強い力を込めようと意識していた。もう我慢の限界を迎えていて、このまま自分はどうなってしまうのか。未来を悟っていながらも、最後の最後まで足掻こうと我慢を強めていた。
 だが、尿は出る。
 まずは滴がぷっくりと浮き出るように、尿道口から出て来た玉が指に触れ、ニニムは自らの尿に触れてしまう。
「おや? ピタリと止まりましたな」
「イク直前だったのかな?」
 中年グループはそんな解釈をしているが、ニニムは悲痛な顔をしていた。
(で、出ちゃう…………だめ………………)
 それでも堪える。
 もう出てしまうとわかっていながら、ニニムは最後まで堪え抜こうとした。
 しかし、動きを止めた手の下で、次の滴の玉が尿道口から浮かび上がる。ぷっくりと膨らむそれは、次の瞬間にはワレメの溝に取り込まれ、上下に広がる。その線を刻んだ溝の中身が少しずつ嵩を増し、溢れるかのように肉貝の左右の表面に染み出ていく。
「どうしたのかな?」
「何か凄い顔をしているようだが」
 中年グループはこぞって怪訝な顔をする。

 ぽたり、

 一滴だけ、ニニムのアソコから滴が垂れる。
「お、今何か」
「ほほう? そこまで愛液が出ていたとは」
 中年グループの視線は地面にあった。
 ニニムの股から垂れたのは、愛液の滴だと勘違いして、みんなでそれに注目する。
 だが、もうニニムはそれどころではない。余裕でもあったなら、すぐにでもウェインの両手を下りて、足で滴の痕跡を掻き消したいと思うところだが、ニニムの胸に膨らむのは、ほとんどが悲壮感だ。
 運命は決まってしまった。
 このままより大きな恥をかかざるを得ない。

 ちょろっ、

 一気に放出することは免れた。
 しかし、少しでも出てしまった尿は、さらに土に染み込んで、ニニムの尻の下には濡れた痕跡を広げていた。
 もう誤魔化しが効かない。
「え、あれって……」
「もしかして……」
 ようやく勘違いに気づいた中年グループは、その一瞬にして盛り上がりが冷え込んで、イクだ何だと言っていた手前、バツが悪くて苦笑いをしていた。
「嘘、マジかよ」
「お姉ちゃんいくつだよ……」
 男の子のグループはショックを受けていた。
「ありえないわ」
「まさか、ねえ……」
 数人ほどいる女性達も、引ききった顔をニニムに向ける。
(やめて……そんな目で……いや……やだっ、出ちゃう…………だめっ、だめ…………)
 我慢を続けることなど出来はしない。
 そんなことはわかっている。ほんの少しばかり先延ばしにする程度がせいぜいだ。
 ニニムはそれでも体中が震えるほどに力を込め、ついには背中や肩の関係のない筋肉に至るまで、まんべんなく硬直させていた。
 その努力にも関わらず、決壊する。

 ジョロォォォォォォォォォォォォ――――――。

 ニニムの股から黄色いアーチが放出された。
(いやぁああああああああ!)
 ニニムは心の中で絶叫していた。
 太陽の光を浴びることで、どこかキラキラと輝いているものの、決して綺麗なものではない。一度解き放たれてしまったアーチは、もはや留まることを知らない勢いで、今までの努力などなかったように、残酷なまでの勢いで飛び出ている。
「おおっ」
「危ない危ない」
 中年グループが反射的に後ずさる。
「うおっ」
「きったねぇ!」
 男の子も同じく後ろに一歩下がった。
 着弾地点の表面をかすかに削り、微妙なクレーターを作った上に、さらに尿は降り注がれる。水分の染みきった泥の表面を打つことで、まるで水面を打ったように飛沫が広がり、それが衣服にかかりそうになることで、中年や男の子達は咄嗟に後ろへ避けたのだ。
(あ、あぁぁ……!)
 待って、とばかりに手を突き出すが、戻って来るはずもない。

 ジョロロォォォォォォォォォォォォォォォォ――――。

 水の染み込んだ円が広がる。
「…………」
「……………………」
「…………」
 それぞれの絶句があった。
 ただ口を塞いでいるのではない。衝撃を受け、何も言えなくなっている顔で、信じられないものを見て呆然としているのだ。女が青ざめ、中年が微妙な顔で引き攣って、男の子はもっと露骨にドン引きしている。

 ジョロォォォォォォォォォォォォォ――――――。

 まだ、止まらない。
 しかし、やっとのことで勢いは緩み始め、着弾地点はニニムから見た手前へと移動していく。そうなることで、地面に線を描いているように、円から一直線に濡れた痕跡が伸びていく。それがニニムの真下にまで来たところで、ぽたり、ぽたりと、あとは滴だけが垂れていた。
(あ、あぁ……もう嫌……本当に嫌……もう死にたい……!)
 ぽた、ぽた。
 と、その最後の滴が止まらない。
 もうアーチを成すほどの量と勢いは残っていないまでも、股下へ垂れ続けている。
「な、なんて子なの……」
「いくらなんでも…………」
 女性が心の底から引いている。
「マジでお漏らししやがった」
「ありえねぇ……」
 男の子達が本当に衝撃を受けていた。
(もう無理! もう耐えきれない!)
 耐えかねたニニムはウェインの手から降り立って、すかさず逃げだそうとしていた。
 だが、手首を掴まれ、呆気なく捕まって、振り向いた先にあるウェインのニヤニヤした顔から、新しい地獄を告げる言葉が出て来るのだった。
「これはお仕置きしないとな」
「そんな……」
 たまらず逃げようとしたばかりに、新しい展開が待ち受けることとなってしまった。



 
 
 

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