前編後編


 男達は逃げ回り、物陰で息を潜めていた。
 ……強い、勝てない。
 どうやら、彼女のアーツ能力はカルシウムや化合物の制御らしい。身体に纏って鎧代わりにするばかりか、武器や腕に纏わせ破壊力を上昇させる使い方もある。腕にカルシウムを纏わせた刃の切れ味は、周囲の鉄板さえ切り裂いていた。
 男達は暴走グループだった。
 鉱石病の感染により、軽視や迫害を受ける感染者達の集まりで、やがて自分達を虐げる社会に復讐しようと考えた集まりである。ロドスはそこにサリアを送りつけ、武力制圧を試みたというわけだ。
 この村はもはや半壊状態だ。
 男達のグループは、武器商人による武器の横流しを受け、武力を手に入れたことに始まっている。多数の重火器を用いることで、小さな村に攻め入り制圧したが、村人の全てを殺すか追い出すかしてしまったことで、ろくに人質もいない状態でサリアを迎え撃つこととなった。
 たった一人を送りつけてくるなど、ロドスも何の冗談を考えているのかと、最初のうちは思ったものだ。
 しかし、投げた爆弾は意味を成さず、隊列を組んだマシンガンによる面攻撃さえ、巨大な盾がことごとく弾き返した。
 九人ほどのグループからは、一人また一人と脱落して地に伏して、残っているのはもはや自分達二人だけである。
「くそっ、なんなんだあの化け物は」
 青年が歯噛みする。
「逃げるしかないってのかよ」
 中年もこの状況に舌打ちしていた。
 爆撃によって吹き飛んだ建物の、小さな壁だけを残骸として残した影に、二人は背中を預けて身を潜めていた。
 勝ち目の無さを悟った二人は、ただ運良く生きのびることだけを考えている。
 とっくに武器もなくなっていた。
 手元にあるのは、サリアの腕に切断され、使い物にならなくなったマシンガンと、とても効くとは思えないナイフや警棒だけである。銃身を切り取られたマシンガンの断面は、恐ろしく滑らかで、こんな危機なのにいっそ感動さえしたくなる。
(接近戦なんて冗談じゃねぇ)
 青年は己の装備を見て激しく汗ばむ。
(ナイフ? 警棒? 死にに行くようなもんだろ)
 中年も頭に戦略を組み立てようと必死になるが、とても勝ち筋は見えて来ない。
 ここを乗り切る手立ては、見つからないように最後まで隠れきり、逃げ出すチャンスを見つけることしかない。
 だが、サリアはいつまでも崩壊した村の中を歩き回り、二人のことを探して徘徊をやめてくれない。
(頼む! 諦めてくれ!)
(もういいだろ! もう十分じゃないか!)
 足音が近づき、二人は身を硬直させた。
 暑くもないのに、まるで真夏の炎天下にでもいるように、毛穴から玉のような汗を噴き出している。口を押さえ、呼吸音を止めることに必死になり、胸を握り絞めることで、心臓の音さえ止めたい一心になっていた。

「そこにいたか」

 冷たい声に、二人の全身が凍りつく。
 次の瞬間、二人が背中を預けていた壁は、綺麗に消し飛んでいた。まるで突如とした突風がそれだけを運び去ったかのように、急に背中を離れて消えていた。
 恐る恐る二人は振り向く。
「…………っ!?」
「――――っ!?」
 美麗な女の顔を見て、二人は抱くのは戦慄だった。
(駄目だ……)
(もう……終わりか……)
 その時である。
「っ!?」
 手元の端末に何かの通信が入り、中年は咄嗟に視線を下げて確かめる。
 別のグループからだ。
 この二人の属する集団は、二つの村を攻め落とすため、重火器を頼りに二手に分かれ、それぞれて作戦を展開していた。
 だが、あちらにも既にロドスからの戦力が来ているだろう。
 果たして、制圧した村を守りきることができたのだろうか。もしそうなら、彼らに自分達の危機を伝え、サリアとは決して戦わないように忠告をしなければと、使命感から震えながら端末を握り絞める。
 何らの希望も抱いてはいない。
 きっと、壊滅状態の報告なのだろう。
「仲間か? いいだろう。確認するといい」
 サリアの言葉に、中年は恐怖の予感と共にメッセージを確認した。
 自分達はサリア一人でこの有様だ。
 だとしたら、今頃は向こうも似たような状態だろう。来たのは仲間からの連絡ではなく、ロドスが仲間の端末を奪い、投降を求めるメッセージでも送って来たのかもしれない。
 悪い想像しかしていなかった。
「……なんだと」
 しかし、怯えきっていた彼の震えが一瞬止まった。
「どうした? どんな連絡が来た」
「……これだ」
 中年は恐怖しながら画面を見せる。
 それを見た瞬間、サリアがどう出るか、中年にはわからなかった。もしかしたら、激情に任せて二人のことを一瞬で始末するかもしれない。この吉報を見てもなお、自分達の逆転など欠片も信じていないのだ。
 しかし、彼女はただ顔を顰めただけで、恐れたような事態は起きなかった。
「……ふん」
 つまらなそうな顔をして、サリアは鼻を慣らしていた。
 端末に映っていたのは、二人の女が囚われて、手錠と目隠しをかけられた画像である。戦果の報告と共に受け取った画像では、彼女達は椅子に縛り付けられ、銃を持った見張りに生殺与奪の権を握られていた。
 イフリータ、サイレンス、それが二人の名前らしい。
 一体、どうやって彼女達を捕らえたのか。何か作戦でもあったのか。武器証人が便利な武器でもくれたのか。中年には今のところ想像もつかないが、どうあれサリアの仲間を人質に取ったわけである。
「それで、どうする気だ」
「……ぶ、武器を捨てろ! 盾もだ!」
「ふん」
 これで満足かとばかりに、サリアは大きな盾を投げ捨てて、握っていた銃器も放り投げる。女一人が丸腰になったはずなのだが、まるで有利になった気がしない。こちらは男二人だというのに、力関係は何も逆転しきっていないと、体の芯から本能が叫んでいる。
「……て、抵抗すれば……仲間の命は保証しないぞ!」
 優位は得ているはずなのだ。
 それなのに、まるで小さな子供にでもなりきって、大の大人相手に精一杯の虚勢でも張っているかのようだ。
「だろうな。お前達ごときが、よくもやってくれたものだ」
 サリアはこちらを蔑んでいた。
 まさに虫を見下す目だ。たかが格下ごときが人質を取り、優位を気取ったことが不快でならないかのように、冷ややかな侮蔑の視線を送ってくる。
(冗談じゃねぇ)
 中年は思う。
(大人しく武器を捨てた。盾も捨てた。ってことは、人質は有効ってことだ。仲間の命を無視して抵抗するってことはないはずだ)
 それでも足が竦んでいる。
(くそ!)
 臆病な自分自身に対して苛つきながら、中年は隣でへたれ込む青年を見た。
「おい、そいつの胸でも揉んでやれ」
 どうしても、確証が欲しかった。
 サリアは決して抵抗してこない。人質がいる限り、自分達は安全である。その確信を得るために、一番手っ取り早い方法はそれである。
「……お、俺かよ」
 恐ろしい役目を押しつけられ、青年は中年を睨み返す。
「た、頼む! お前がやってくれ!」
「……ちっ!」
 青年は力強い舌打ちで、中年の無茶振りに対する感情を隠しもせず、しかしながらも立ち上がる。腰が後ろに引けた不格好な姿勢で、青年は一歩ずつサリアに歩み寄る。震えた足で近づいて、実に恐る恐る手を伸ばした。
 厚みある服の上から胸に触れ、青年はどれほど戦慄していることだろう。
 きっと、生きた心地がしていないはずだ。
 鬼神の逆鱗に触れ、これで自分の死は確定してしまったようにさえ感じているに違いない。
「…………クズめ」
 だが、サリアからの反撃はなかった。
 人質はやはり間違いなく有効だったのだ。

     *

 まず、サリアは中年に侮辱の視線を送っていた。
 人質を取っただけでは安心できず、本当に大人しくなったかどうか、確かめておきたい心理が働いたわけなのだろう。女相手に性的な辱めを試みて、それで抵抗するかどうかの反応を窺おうとしているのだと、サリアには中年の考えが読めていた。
「…………クズめ」
 サリアがそう口にしたのは、胸を揉むなどという発想への不快感も確かにある。
 だが、それを人にやらせる点である。
 もしもサリアが抵抗して、人質などお構いなしに暴れたら、まず命はないと思っているわけだろう。その上で危険な役目を押しつけて、自分は後ろからそれを見守る態度は、侮蔑の対象以外の何でもない。
「……う、動くなよ?」
 青年は声を震わせていた。
「動いていないだろう」
「だ、黙れ!」
「どこまで臆病なんだ。怖いなら逃げたらどうだ?」
 優位を得ながら、この腰の引けようだ。
 胸を揉まれていることは、さしずめ虫でもくっついてきたものと思うようにして、サリアは物言わず静かに堪えた。
 青年が滑稽ではある。
 サリアの胸へと、片腕だけを伸ばしつつ、何か少しでも動きがあったら、即座に腕を引っ込め逃げ出したいかのように、大いに腰が引けているのだ。本当はもっと離れていたい気持ちがありありと表れて、一歩でも離れた位置から腕だけを一生懸命に伸ばしている。
 だが、サリアが何も言わずにいると、やがて青年は恐る恐る迫って来た。
 冷や汗を噴き出しながらも、抱き合ってもおかしくない距離にまで詰めて来て、今度は両手を胸に置く。厚みある服の上から、恐る恐ると指に強弱をつけていた。
 サリアの衣服は、ちょうど乳房に『×』のマークをそのまま重ねたように、胸の手前にベルトが折り重なっている。その上から動く手は、衣服と下着の中に隠れた乳房にかけて、確実に食い込んでいた。
 サリアは目つきから不快感を隠しもしない。
「抵抗ならしていない。人質の安全を保障しろ」
 と、中年に向かって告げる。
「な、何言ってる……」
「仲間の身が保障されなければ、こうして大人しくしている意味がない。余計な手出しはしないように連絡を入れろ」
「命令できる立場だと思っているのか!」
「二人が助からないなら……」
「わ、わかった! 連絡する!」
 中年はすぐさま端末の通信を繋げ、その向こう側に向かって叫ぶ。自分達は人質のおかげで助かっている身なのであり、二人の安全が保障されなければ困る。そんな身の上を必死になって訴えていた。
「あ、アンタ」
 青年が口を開く。
「なんだ」
「どこまで大人しくしていられるか、試してやる……」
 凄もうとしてみせながら、声は震えきっている。
「害虫め」
「うるさい! このくらいじゃ、お前の態度はまだ証明されきっていない!」
 青年はサリアのスカートから上着を引きずり出す。ベルトにシャツを入れるかのように、内側へとしまわれていた上着の丈を乱暴に引っ張り出すと、青年は下から手を潜り込ませてきた。
 今度はブラジャー越しに揉んでくる。
「……ちっ」
 なおも抵抗しないとわかれば、それでもまだ安心感が足りないかのように、青年はもう一方の手まで潜り込ませて、両方の乳房を揉みしだいた。
「馬鹿な奴が、脳は足りているのか?」
 どうかしている。
 何をしても抵抗しない、それを確かめるための痴漢行為をエスカレートさせてくる。だんだんと激しい責めを行うことで、サリアが無抵抗であることの確証を得たいのが、この二人の理屈というわけだろう。
 余計に事を進めることで、ないはずだった反発を招くとは思わないのか。
 やりすぎることで一定のラインを越え、その瞬間から人質を無視して暴れ始める――という可能性が彼らの頭からは抜け落ちている。
「誰が馬鹿だ。いいから、動くんじゃねーぞ」
「だから動いていないだろう」
 淡々と答えるサリアに対し、抱きついてきた。
「何ッ」
 不快感から引き攣ると、服の内側にある青年の手は、這いずるように背中へ回る。ブラジャーのホックを指先で探り始めたことで、急に密着してきた目的は見えてきた。
 ぱちりと、服の内側でホックが外れる。
 緩んだブラジャーのカップの隙間へ両手を潜らせ、乳房を直接揉み始める。とうとう肌に直接触れられることになった不快感から、一見して無表情に見えるサリアだが、その実、密かに奥歯を噛み締める。
「おい! 連絡は済ませたぞ!」
 その時、中年が声を荒げてきた。
「そうか。二人は無事か?」
「それはお前しだいだ! サリア、俺達二人が無事に戻らなければ、仲間の命はない。お前はどうあっても俺達に危害を加えるわけにはいかねーのさ!」
 そう吠える中年には、未だ冷や汗が流れ続けている。
 恐れてはいるらしい、
 だが、サリアの顔を眺める目つきに少しばかりの変化があった。
「ゲスが」
 いやらしい目つきを見れば、中年が何を考えているかなど簡単にわかる。
「黙れ! いいから大人しくしていろ!」
 中年は背後に回り込む。
 正面からは胸を揉まれ続けている一方で、後ろに密着してくる中年は、遠慮なく尻に股間を押しつけながら、スカートを持ち上げていた。たぐり寄せるようにだんだんと、脛の半ばまであったスカート丈をたくし上げ、アソコに指を押し込んできた。
 全身に鳥肌が広がっていく。
 ふつふつと肌が泡立ち、皮膚に腐敗が広がるような不快感に顔を顰めた。
「どこまでする気だ」
「お前には散々仲間をやられてるんだ。お礼はたっぷりしてもらわないとな」
「クズの考えそうなことだ」
「なんとでも言え!」
 中年の指遣いは、ショーツの上から巧妙にクリトリスを見つけ出し、爪で軽やかに引っ掻くものだった。青年からは乳首をつままれ、ますます深まる不快感に嫌悪感を隠せない。いや、始めから隠してなどいないのだが、たとえ表情を取り繕っても、隠しきれないものが見るからに滲み出てしまうことだろう。
 ふー……ふー……と、嫌に熱い吐息が耳の裏側に当たって来る。
 青年の手も汗ばんできて、ねっとりとしたものが皮膚に浸透してくるかのようで、その気持ち悪さに細胞が震えそうだ。
 ショーツに手が入り込む。
 中年がまず行うのは、茂みをしきりに掻き分ける行為であった。陰毛ばかりを執拗に撫で回し、そのついでのように耳裏に鼻先が触れてくる。鼻と口がそこまで接近するせいで、髪の隙間に中年の呼気が入り込み、それに肌を撫でられブルっと震えた。
 指をV字のようにして、ワレメの外側に当てて来る。指圧で先端を食い込ませ、何度も何度も執拗に広げ始めた。
 胸や性器で遊ばれていることが屈辱でならない。
 青年も乳首を中心に責め始め、指先で上下に弾き続けてくる。
(……この害虫どもが)
 腹の内側にはふつふつと怒りを溜め込みながら、仲間の命を思って懸命に堪えている。

 くぱっ、くぱっ、くぱっ、

 ショーツの中では、さも口をパクパクと開閉するようになっているのだろう。潜り込む手でショーツが内側から盛り上がり、そのおかげで入り込んでくる大気は、ワレメが開くたびに膣口に触れてくる。
 もう一方の手が下着に忍び込み、クリトリスを剥き始めた。
(感じさせようとでもしているのか?)
 冗談じゃない。
 こんなところで、こんな奴らの玩具などになる気はない。
(せいぜい無駄な努力でもしていろ)
 そう、感じるわけがない。
 無理矢理触られ、何一つの快感もなく、不快感ばかりが込み上げている。ナメクジやゴキブリの汁でも触れてくるようなおぞましさで、何度顔が引き攣っていることか。この状況で少しでもサリアが感じると思っているなら、この二人はなかなかにおめでたい。
「おい、そろそろ俺が胸を弄る。お前はアソコを嬲ってやれ」
 中年が命じる。
「はいはい」
 青年が仕方なさそうにしゃがみ込むと、中年は上着をたくし上げ、乳房を外界に晒してしまう。赤らみかけた顔から羞恥心を振り払い、こんな奴らに恥じらい一つ見せるものかと、冷静に表情を取り繕った。
(見るなら見ればいい)
 一瞬でも頬に浮かびかけた桃色は、まるで気のせいだったように沈んでいく。
 黒いブラジャーまでずり上がっての生乳に、背後からの両手は食らいつき、五指が一心不乱に踊り狂った。がむしゃらな強弱で指が食い込み、かと思えば急に表面だけを撫でるタッチに変わり、その次には乳輪をなぞってくる。
 青年の方はスカートのホックを探り当て、力ずくでずり下げてきた。脱げ落ちたスカートは足下にくしゃついた輪を作り、あらわとなった黒いショーツさえもが脱がされる。するすると下げられていく。
 青年はサリアの陰毛を視姦してきた。
 サリアの黒い陰毛は、茂みの厚さで内側にある肌を覆い隠して、ふっさりと盛り上がっている。やや広めの三角形をジロジロと、何が面白くてか観察して、その下にあるワレメにかけてギラついた目で視姦する。
「足、広げろよ」
「……面倒な」
 サリアは嫌がる表情を隠しもせず、露骨な不快感をあらわに、乱暴に地面を踏みならし、足を肩幅ほどに広げた。おかげで見えやすくなった股には、ますますの視線が注がれて、当然のように指でワレメを開き、中身まで覗いてくる。
「中身がヒクついてるじゃないか」
 青年は小馬鹿にしてきた。
 事実、覗かれた瞬間に下腹部が反応して、膣口を収縮なり何なりさせたのかもしれないが、それは間違っても性的な期待感などではない。視姦される嫌悪感で、ただアソコが縮み上がっただけの話だ。
「何か言ったか?」
 だからサリアは冷たく返す。
「ヒクヒクしてんだよ。穴の入り口のところが、物欲しそうにな」
「気のせいだろう」
「どうかねぇ、サリアさんよォ。俺らみたいな、楽に一蹴できるはずの格下なんかに好きにされて、案外興奮してるんじゃないか?」
「妄想もそこまで来るとおめでたいな」
 サリアは青年を見下す。
 切れ味のある視線を注いだことで、青年は戦慄していた。
「……おい。て、抵抗すんなよ?」
 ビビるのなら、最初から挑発などしなければいいものを、この男は一体どこまで馬鹿なのか。
「大人しくしているだろう。だが、感じてやることまではできないな。生理的な反応まで自在にコントロールできるわけではない」
 そんなに人を感じさせたいなら、そちらで努力すればいいだろう。
 と、サリアは鼻を慣らしていた。
「……ちっ、後悔すんなよ」
 青年は面白くなさそうな顔をして、仕返しがしたいかのように、急にアソコに食らいつき、舌でベロベロと舐め回してきた。




(なっ! なんだコイツは!)
 突如とした口による刺激にサリアは驚く。
 だが、一瞬だけ焦った次には、もう嫌悪感ばかりが膨らんで、ざらりとした舌が触れてくる感触のおぞましさに引き攣っていた。
(くっ、気持ち悪い……忌々しい……)
 唾液をたっぷりと纏ったものが、ぬるり、ぬるりと、ワレメをなぞる。その舐められる感触には、体中のいたるところに寒気が走った。背筋に氷でも当たったように体が震え、気持ち悪さのあまりに肌中が戦慄する。
 舌先がチロチロとクリトリスを虐めてきた。
 肉芽を集中的にねぶり回し、唾液を塗り込んでくる青年の責めは、サリアにとっておぞましい以外の言葉が見つからない。
 もわもわとした熱気を含んだ息が当たって、その上で生温かい舌で舐められ続ける。その気持ち悪さといったらない。内股に鳥肌が立ち、背筋には寒気が走っていた。
 後ろからの乳揉みで、中年も調子付いていた。
「おい、乳首が突起してるよなァ?」
 中年はいい気になって乳首をつまむ。
「知らんな」
「違うとは言わせないぜ? さっきまではもう少し小さかった。なんだかんだ、お前もこの状況で感じてるってこったろう」
(……ふざけるな)
 中年を睨んでやりたい思いに駆られ、サリアは目力を込めて目つきを細める。
 言っていることは気に入らない。
 しかし、汗ばんだ手が這い回り、乳の表面を刺激しているうちに、サリアの乳首がだんだんと突起してきたことは事実であった。気持ち悪いはずなのに、一瞬たりとも悦んだ覚えもないのに、自分自身の反応に納得できない。
「残念ながら、こっちも感じた証拠が出て来てるぜ?」
 真下を見れば、得意げに見上げてくる青年と目が合った。
「お前の唾液で濡れただけだろう」
「そんなわけあるかよ。舐めてるうちにだんだん味がしてきたぜ? ほら、この味が愛液じゃなかったら、一体なんだっていうんだろうなぁ?」
 青年はこれみよがしの味わう顔で、長々と伸ばした舌でぺろりと舐め上げる。ワレメの端から端にかけ、ねっとりと這いずる舌は、そのままクリトリスさえも刺激して、サリアはそのおぞましさに顔を顰める。
(冗談じゃない。私がいつ悦んだというんだ?)
 サリアは頬を強張らせていた。
 青年の言う愛液など、断じて認めたくない話だが、言われてしまえばアソコに意識がいってしまい、すると知らないうちに生じていた甘い痺れに気づくことになる。自分がどうなっているかを突きつけられた衝撃に、納得のいかなさと、馬鹿共が調子付くことへの苛立ちで、ますます顔を強張らせた。
 愛液は確かに出ていた。
 膣壁から滲み出るものが、そのままワレメの表面に染み出ていき、青年の舌責めとのあいだにしきりに糸を引くようになっていた。
「ほらほら、こっちの反応も良くなってるよなぁ?」
 中年の乳首責めが活発になり、指が執拗な愛撫を仕掛けて来た。くりくりといじめ抜く指先で、まるでレバーを倒し込むかのように、三百六十度のありとあらゆる角度を向かされ続ける。上下左右に寝かされた乳首は、指が離れるたびに元の形状にぷるっと戻り、戻るが否やまたいずれかの角度に倒されていた。
 指が乳首を弾き抜き、乳首はぷるっと正面に向き直る。
 これが繰り返されていることで、乳首を中心に甘い痺れが拡散して、乳房の内側に走る神経には、たびたび快楽信号が行き交っている。
 やがて、肩がモゾモゾと動くようになっていた。
(……くっ、こいつらの好きになど)
 そうは思ってみても、乳首の気持ち良さに体は反射的に反応して、肩がどうしてももぞついてしまう。
 アソコへの舌責めも活発だった。
 汚いヨダレの音を立て、膣口にねじ込むような舌使いまで行って、青年は一心不乱に頬張ってくる。唇で可能な限り飲み込んで、口内でねぶり回して、クリトリスの部分に吸いつく。止まらない刺激に腰が快楽に痺れてきて、下半身さえモゾモゾと動き始めてしまっていた。
「ほら、股に汁が滴ってきたぜ?」
 青年はわざわざ指摘してくる。
 その言葉の通り、ワレメから流れ出て来た愛液は、皮膚の表面を伝って内股にまで広がっていた。皮膚に水分が染み込むことで、大気の流動がひんやりと敏感に感じられ、それが自分の濡れた事実を実感させる。
「ちゅぅっ」
 と、クリトリスを吸われた瞬間だ。
「んっ!」
 淫らな声が出かかって、サリアは咄嗟に噛み殺した。
 しかし、いくら声を抑えたつもりでも、噛み潰した音が漏れ、それは二人の男の耳まで届いてしまう。
「あれ? 感じたねぇ?」
 中年が耳の裏側をぺろりと舐めて煽ってくる。
「き、気持ち悪い……!」
 耳に付着した唾液から、みるみるうちに鳥肌が広がっていく。
「気持ちいいの間違いだろ?」
 青年がさらに舌使いを駆使すると、サリアの股に電流が走り、まるで刺激から逃げたいように反応して、腰をくの字に折ろうとしてしまう。密着してくる中年に阻まれて、実際には腰は折れずに、ただ尻と尻尾を中年の身体に押しつけてしまっていた。
 ますます愛液が溢れ出て、何滴もの滴がワレメから流れ落ち、内股から膝にかけての筋を何本も作り上げている。愛液の染み込んだ皮膚の潤いも面積を広げていき、ヌラヌラとした光沢はより拡大していた。
 青年の顔が離れる。
 だが、これで責めが終わるはずもなく、次の責めが始まるだけだ。
「んっ、くふぅ…………!」
 指が挿入された。
 天に突き立てた中指は、存分に愛液を纏った膣壁の狭間にあっさりと埋め込まれ、サリアの穴はそれを咥え込んでしまう。ピストンが始まるなり、すぐさま甘い痺れが行き交って、股から放たれる快楽信号が体中へ拡散した。
「んぅ……んっ、んくぅ…………!」
「おいおい、我慢しないで声を聞かせてくれよ」
 中年はますます調子付き、嬉しそうに指を踊らせ、乳房に指を食い込ませる。
「お前は感じまくってるんだよ! クズの害虫とやらに弄られて! ここからエロ汁を出しまくってるんだ!」
 青年の指遣いはみるみるうちに活発になっていき、もう一方の手でクリトリスへの愛撫まで行われる。股は二点を同時に責められ、胸も左右を動じにやられ、上半身でも下半身でも快楽信号が放たれ続け、サリアの口から吐き出される息遣いは、どんどん乱れたものとなっていく。
「んっ、んぅ……んぅ……んぅぅぅ………………!」
 サリアは静かに歯を食い縛っていた。
(ゴミ虫共が)
 指に翻弄されていながら、それでも見下すことをやめていない。
(私が好きで喘ぐわけないだろう)
 青年の指が二本に増え、膣穴をその分だけ広げてくる。出入りによって膣壁に擦れてくる感触は、より一層のこと如実となり、クリトリスへの責めも指で巧妙にくすぐるようなタッチで、どうしても快楽は溢れてくる。
「んぅ……んぅぅぅ…………! んふぁ……あふぅ…………ふぅぅぅ…………!」
 吐き出す息には、かなりの熱気がこもっていた。
 睨み、見下す目つきとは相反して、頬がしだいに火照っている。肩で息を大きく吸うようになっていき、身体の上下が目立つ。
「んくぅ…………!」
 脳に電流が弾けた時、サリアは一つの予感に身構えた。
(ま、まずい――)
 かつて一度も経験のなかったそれだが、その存在は知識的には知っている。アソコの中に見えない何かが集まって、少しずつ膨らんでいるかのような、いつか弾ける風船が大きくなり続けている感覚は、きっとそういうことに違いない。
(くっ! こんな男に!?)
 サリアはより強く歯を食い縛る。
 次の瞬間、自分に訪れるであろう激しい電撃に備え、全身を固くして構えていた。

「――――――――――っ!!!」

 声は出さなかった。
 その代わり、勢いよくせり上がったものを強引に抑え込み、堪え抜くための壮絶な表情は、これ以上ないほどに頬や顎が強張る我慢に満ちたものだった。
 サリアは潮を吹いていた。
 小さな噴水であるように、アソコから噴き出るおびただしい水分が、今までピストンしていた手を濡らす。青年の顔にもシャツにも滴はかかり、足下に落としたスカートさえ、当然のように汚れていた。
(イカされた…………)
 腸が煮えくりかえり、目の前の全てをどうにかしてやらなければ気が済まないような、巨大な屈辱が胸に生まれる。抑えなければ、衝動的に彼らをいたぶって、その結果として人質となったイフリータとサイレンスが傷つけられるかもしれない。
(抑えろ、抑えるんだ)
 ぐっと怒りを噛み殺す。
「イったなぁ? とうとうイっちまった気分はどうだぁ!」
 青年はすっかり強気になっていた。
「……黙れ、害虫」
「格下なんかにイカされちゃって。気持ちいいねぇ? サリアさーん」
「下らん。こんなことで何の手柄を上げたつもりか? 今もで出世でもするのか?」
 サリアは青年を睨む。
「おい、やってやれ」
 中年は背後から、青年に向かって一言命じる。
「ま、そうだよな。俺が最初にこいつのおっぱい揉んだんだから、一番乗りの権利だって俺にあるよなぁ」
 青年はゆっくりと立ち上がる。
 それをサリアは静かに睨んだ。
「後ろを向け」
「……ふん」
 中年と向かい合い、青年には背中を向ける。
「ほらほら、わかってんだろ? 向こうに尻を突き出すんだよ。おっと、お手々は俺の胸にでも当ててもらおうか」
 壁に両手を突く代わりに、サリアは中年の胸板に両手を置くこととなる。
 まるで身長差のある男女で抱き締め合い、男の胸にしがみつくような形が出来上がるが、サリアが中年に向けるのは、もはや睨み殺さんばかりの凶眼だった。
「へっ、怖い怖い」
 しかし、ここまで言うことを聞き続けているサリア相手に、もはや急に刃向かってくる可能性など考えてもいないらしい。
「こんな形で憂さ晴らしをして、ご満悦というわけか」
 尻を後ろに突き出すと、青年は邪魔な尻尾を払い退け、腰を両手で掴んできた。ワレメに押し当てられたものが何であるかは、もはやわかりきっている。
 サリアのアソコは散々に濡れているのだ。
 青年の逸物がどんな太さで、どんな長さをしていようとも、それをあっさりと飲み込むだけの準備は整っている。指にやられ続けた膣壁はよくほぐれ、棒の太さに合わせて柔らかに広がる用意が出来ている。
「ほーら、お邪魔するぜぇ?」
 青年の肉棒が突き込まれ、サリアは屈辱で苦悶を浮かべた。
 体内に収まっている。
 膣の穴幅を存分に押し広げ、ヘソの内側にまで届いていそうな勢いの、長々とした感触が根元まで埋まったことで、青年の陰毛がサリアの尻に押し潰されていた。
「なあ、どうだ? 棒が入った気分ってのは?」
 中年がニヤニヤと楽しげに尋ねてくる。
「最悪の気分だな。お前達のことがどんどんゴミ虫に見えてくる」
「へっ、ならお前はこれからゴミ虫のチンポでよがるってか?」
 中年はサリアの頬に手を当てて、可愛がらんばかりに撫でてくる。
「下らない。さっさと済ませたらどうだ」
「言われなくとも、ヒィヒィ言わせてやるよ!」
 青年がピストンを開始した。
 大胆なストロークがすぐさま尻を激しく打ち鳴らし、肌で打ち合う打音が楽器のように鳴り響く。後ろからぶつかってくる衝撃に身体を揺らされて、サリアの顔はしきりに前後に小刻みに動き続けた。
「んっ、くっ、んぅ――んぅぅぅ――――――」
「気持ちよさそうじゃないか」
 中年に言われ、サリアは視線に殺意を込めて睨み返した。
「黙ったらどうだっ――んっ、んぅぅ―――」
「そう必死に睨んだって、気持ちいい声が隠せてないぜ?」
「んぅ……だ、黙れと言っている…………!」
 サリアの視線はより圧を強めていき、もはや本当に呪い殺そうとしている勢いだ。視線だけで命を奪おうとする意思がありありと瞳には浮かび上がって、これほど調子付いていた中年も、さすがに少しは冷や汗をかく。
「んぅ……んっ、んくぅ………………んっ、んぅぅぅ……………………!」
 出て来る声は、始終抑えたものだった。
 どんなに気持ち良くなっても、サリアは延々と歯を食い縛り、その隙間から息を吹き出すだけの声で喘いでいた。
「んふぅ……ふぅぅっ、ふっ、くっ、んぅぅぅ………………!」
 堪えるあまり、喘ぐどころか呻き声ですらあった。
 そして、その視線は中年を睨め上げたまま、ぶれることなく瞳に敵意を浮かべている。尻を打ち鳴らすと共に膣内が掻き回され、流れ出る愛液が内股を滴っても、サリアの眼差しは一貫してそれだった。
 そんなサリアに再び絶頂の予感が迫って来る。
「んぅっ、くぅ……ゴミ虫、などに…………!」
 アソコの内側でみるみるうちに膨らんで、見えない何かが弾け飛ぶ瞬間に、サリアはぐっと強く、今まで以上の力で歯を食い縛った。
 その食い縛る直前。

「……………………い、いく」

 それは二人のうち、どちらに聞こえることもない、本当に小さな声だった。
 喘ぎ声を抑えに抑え、それでも吐き出してしまった言葉であった。

「――――――――――――んっ!」

 サリアの次に出した声はそれだけだった。
 しかし、アソコは確かに潮を吹き、堪えさえしていなければ、もっと淫らで大きな声が出ていたはずであることを証明していた。
 肉棒がハマったままの噴水は、潮吹きとして噴き上がる隙間もなく、青年の股に直接飛沫が噴きかかった。サリアの腰がビクビクとした様子に構うことなく、青年はイっている最中の
サリアになお腰を振り続ける。
(くっ! ぬぅぅぅぅ! この性欲猿がぁ!)
 ほんの数秒さえも休ませてくれない、何かに憑かれたように一心不乱に膣を貫き続ける青年に、サリアは肩越しの凶眼を送りつける。睨み殺す勢いの視線に、青年は一瞬だけ怯んで、一秒後にはもう恐怖を忘れて性欲を優先する。
「んっ! んぅぅぅ………………! ふぅっ、くふぅぅ……………………!」
「へっ! そんな怖い顔したって、中にくれてやるぜ!」
「な、何ッ! お前、中にだと!? ふざけるなゴミが!」
「おっと人質を忘れるなよ?」
「クズが! 害虫が!」
 暴言を吐き散らすサリアに向かって、青年はピストンを加速させ、自分の出しうる限り全速のペースで膣を掻き回そうとした。
「くっ、ぬぅぅ……! んっ、んぅぅぅぅぅ………………!」
 肉棒の出入りが生み出す摩擦で、後退のたびにカリ首が膣壁を引っ掻くたびに、激しい電流が太ももまで震わせる。根元まで一気に突き込む貫通のたびに、子宮に流れ込まんばかりのおびただしい量の快楽信号が発生する。
 サリアの膣はうねり回っていた。
 戦闘ではどちらが格上か、そんなことははっきりしている。
 しかし、ここまで雄々しくメスの穴を貫いて、大きな快楽の波をもたらす肉棒の勇ましさに、アソコの方が青年の男を認めてしまっていた。思考による理性的な判断など全て無視して、サリアの膣肉は嬉々として男根を受け入れて、ヒクヒクとした収縮を繰り返し、うねりまわることで歓迎をしてしまう。
(冗談じゃないぞ! どうして私がこんな害虫どもで!)
 その瞬間、またしても一気に膨らみ、弾けそうな予感にサリアは備えた。

(イク! ま、またイカされる!)

 全身を強ばらせ、今度こそ何らの声も出さずに凌ぎきるが、頭のてっぺんから爪先にかけての、まんべんなく震える反応ばかりは抑えようがなかった。
 それと同時に、膣内にはぬるま湯のように温かいものが広がっていた。
「お前……」
 サリアは肩越しの視線で静かに青年を睨む。
「なんだよ。そんな睨んだって、アソコはちゃっかり悦んでるじゃねーか」
「……黙れ」
 サリアはそう凄むが、青年の言葉通りである。
 サリアのアソコは精液に大喜びして、膣壁を活発に鳴動させてしまっている。まるで膣肉を使ったジェスチャー表現でも存在するかのように、嬉々として収縮を繰り返し、こんなにもたくさんの精液を出してくれた肉棒に対して、キュッ、キュッ、と、感謝を込めて締め上げる反応さえ示していた。

 ――キュッ♥ キュッ♥

 膣壁の反応を言語化すれば、ハートマークさえ浮かんでいたのだ。
(冗談じゃないぞ! どうして私がここまで悦ばなくてはいけないんだ!)
 己の肉体を戒めたくて仕方がない。
 しかも、肉棒が引き抜かれていく瞬間、もうセックスが終わってしまうと感じるなり、サリアは無意識のうちに締め付けていた。行かないで、もっと突いてと訴えかけるかのように、締め付けによって引き留めようとしてしまっていた。
(ふざけるな……私がこんな形で……ありえない……あってたまるか……)
 それでも肉棒が抜けていき、今まで収まっていたものが急に失われた寂しさが、入り口から子宮にかけて充満する。
 サリアは激しい力を込めて拳を振り震わせていた。
 今の今まで、壁に両手を当てる代わりに、中年のシャツを握っていたサリアである。その拳を爪が食い込むほどに握り絞めることで、シャツを破きかねないほどだった。
 だが、サリアが味わう屈辱はまだ残されていた。
 サリアは油断していた。
 あるいは絶頂を伴う強すぎる快楽の余韻のせいで、自覚することが出来ずにいた。

 チョロォォォォォォォ……………………。

 サリアが自分でも気づかずにいた尿意は、ここまで何度も絶頂したアソコの中で、我慢の余地など与えないほどまでに尿道を緩めていた。
「なっ、馬鹿な……!」
 失禁していた。
 サリアの股からチョロチョロと、少しだけ緩めた蛇口のような勢いで、黄金の筋が滴り落ちている。それを真下に控える肉棒が受け止めて、青年は何とも言えない複雑な顔を浮かべることとなった。
「おい、マジかよ」
 自分の身体に小便を引っかけられ、青年はからかうよりもまず引き攣った。
「ははっ、面白いじゃないか。こんな化け物でも、ちびっ子みたいにオシッコを漏らすだけの可愛げがあったってことだ」
 一方の中年は、嬉しそうでならない明るい顔でサリアを見下ろし、まさしく子供を可愛がるかのような手つきで頭をポンポンと叩いて来る。
 サリアにとってはたまらない。
(なんだ……なんなんだ……この屈辱は……!)
 歯が折れかねないほどに激しく食い縛り、力がこもるあまりに顎が痙攣のように震え出す。睨み殺すような凶眼で中年を睨め上げて、青年にも肩越しの視線を送った。

     *

 次に中年の相手をすることになるなど、言うまでもない話であった。
 青年が中出しをしたものだから、オシッコのこともあるのでアソコをよく洗うように言い渡されて、サリアはそんなことのために洗浄を行う無念を味わった。
 中年にいいように使わせてやるため、この場所を綺麗にしたのだ。
 村の水源で水洗いを済ませれば、中年が早速のように望みの体位を命じてくる。
「片足を上げろ」
 壁に背中をつけ、立った状態で交わることが中年の望みらしい。
「ふん。何が楽しいのやら」
 サリアは静かに中年を睨み、すっと左脚を上げた時、中年はその膝を腕に抱えるようにしながら肉棒で狙いを定める。片足が上がったことで、姿勢のために剥き出しのはずのアソコへと、中年は位置を合わせて挿入した。
「…………ちっ!」
 サリアは舌打ちする。
 こんな男を相手に、わざわざ気持ち良くなどなりたくない。快楽など不要だというのに、アソコの方が肉棒を歓迎してしまっている。入り口に亀頭が来た途端、だらだらとヨダレを垂らし、それが入って来たなら鳴動して悦ぶのだ。

 きゅっ♥ きゅっ♥

 というわけである。
「ほら、ヒィヒィ言ったっていいんだぜ?」
 中年がピストンを始めると、不本意ながらに快楽は生じてしまう。甘い痺れが執拗に拡散して、それが充満することで、股や下腹部が甘ったるくなってくる。
 寄りかかった壁へと重心を預け、サリアはただただ中年のことを睨んでいた。
「その顔が快感に染まったら嬉しいんだけどなぁ?」
「ゴミ虫らしい発想だ。人質を使った命令なら、それらしい努力はしてやるが?」
 突かれることで、身体が上下に許されながらも、サリアはそんな調子で言葉を返す。
「ま、時間はいくらでもある。これからたっぷりとな」
(……ちっ、拉致でもする気か)
 イフリータとサイレンスに続き、サリアの身柄まで確保する気でいるのなら、確かにこれからまだまだ時間はある。
「んっ、んぅ……んっ、んぅぅぅ………………んぅっ、んぅぅ………………」
 油断をすれば、声を抑えていることで、喘ぐ代わりに呻いた声が喉から絞り出されていく。
 そのうちに、またこの予感だ。
(……チッ! またイク)
 気に食わないとばかりに、サリアは大いに顔を顰めて、睨む視線を鋭くする。
 その一秒後には頭の中で何かが弾け、中身は一瞬真っ白に、体中がまんべんなくビクビクと痙攣するのだった。
 一切の声を出さずに、始終睨み続けたまま絶頂を乗り切るが、アソコの反応までは変えられない。

 きゅっ♥ きゅっ♥

 今の絶頂に合わせた射精により、再び精液が腹に広がり、アソコは大いに悦んでしまっていた。
「お前のことは、これから俺達のアジトで確保する。仲間の二人にも、気が向いたら合わせてやるぜ」
 かくして、サリアの身柄は確保され、ロドスによる救出が行われるまでの間中、日常的に性奴隷として扱われることとなる。
 その日々を送る中、サリアは一度として媚びへつらう顔はせず、みだりに喘ぎ声を聞かせてやることすらないままに、最後の最後までを乗り切るのだった。


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