ロウェルミナは血の気の引いた表情をしていながら、それでも赤面しきっていた。
(マジですか? マジなんですか?)
この劇場の四隅には、天井を支えるための支柱がある。
ロウェルミナはその柱までやって来て、今まさに放尿の瞬間を迎えつつある。我慢しようにも、限界が来るのはもはや時間の問題で、逃げ出したところでトイレまで間に合う気がしない。そもそも逃がしてもらえるか。
「ほら、片足を上げるんだ」
ウェインが命じてくる。
「いや…………」
おいそれとは応じられず、ロウェルミナはしばらく足掻いていた。
もうどうしようもない。
そうとわかっていても、ロウェルミナは全力で股を引き締め、下腹部にも力を込め、尿を出すまい出すまいと努力する。しまいにはアソコを手で押さえてでも耐え抜こうとしていたが、なおも尿意は強まり続けた。
「ほーら、観念しちゃいましょうよ!」
「皇女殿下ー!」
「往生際が悪くありませんか!」
嬉しそうに、楽しそうに野次を飛ばしてくる連中に、ふつふつと怒りが込み上がる。
ぺん!
ウェインに叩かれた。
「ほら、早く足を上げろ」
これでロウェルミナは悟る。
言うことを聞かなければ、聞くまで叩き続けるつもりだ。
(ああもう! 絶対……絶対……許しませんからね…………)
この恨みは忘れないつもりで、とうとうロウェルミナは柱に向かって片足を上げていた。
より一層、惨めさが膨らんだ。
犬として扱われ、犬と同じ放尿のポーズまで取らされる。その無念といったらなく、ポーズを変えたことでの尻の動きにも、案の定注目が集まっていた。
床の上で拳を固く握り締め、力が入る余りに震えている。
周囲の様子など見ていられず、何もかもから目を閉ざしていたいとばかりに、ロウェルミナは全力でまぶたを下ろす。顔中の筋肉に極限まで力がこもり、その表情は滑稽なほどに強張っていた。
(もう……いっそ楽になるしか……)
長く苦しむくらいなら、一思いに放尿した方がまだマシだ。
そんな考えさえ浮かんできて、下腹部から力が抜ける。
ちょろっ、
少しだけ噴る。
それをきっかけに、ロウェルミナの放尿は始まった。
ジョロォォォォォォォォォォォォォ――――――。
黄色いアーチが描かれて、それが柱を濡らし始める。
「おおお!」
「皇女殿下の尊い放尿だ!」
「血が尊いならオシッコも尊いねえ!」
一気に歓声が広まって、体中に集まる視姦の圧さえ強まった。
(いやぁぁぁぁぁ!)
心が悲鳴を上げ、肩が、背中が強張った。
ジョロォォォォォォォォォォ――――。
放尿のアーチはビチャビチャと、石造りの柱に当たって水滴を弾いている。吸水されきることはなく、しだいに柱の表面を伝って床に流れ落ちていき、そこから水溜まりが広がるようになっていく。
「香りも漂ってるぜ?」
(はっ!? いやぁぁ! 嗅がないで!)
臭気が広がり、自分を囲む観客にまで届いている事実は、ショックであると同時になおも羞恥を膨らませる。
「本当だ! 臭う臭う!」
「尊い香りですなぁ!」
(お願い! 嗅がないでぇ! なにも言わないでぇ!)
もはや絶叫ものだった。
ただでさえ沸騰していた頭は、さらに蒸発を加速して、勢いよく蒸気を噴き出しているといっても過言ではない。
赤面だけで劇場が暖まる勢いだ。
ジョロォォォォォォォォ――――。
少し勢いは弱まるが、まだ止まる気配はない。
(すっげぇもん見てるわ! 一生の思い出だろ!)
すぐ近くに立っているのをいいことに、ウェインは思う存分に視姦していた。
後ろからアソコを覗き見て、ポーズのために少し開けたアソコから、黄色いアーチが噴き出る景色にニヤニヤしている。
(おっ? もうすぐか?)
そろそろ勢いは緩んでいき、溜まっていた尿が減るにつれ、アーチが短く萎んでいく。縮まるにつれ、着弾位置がロウェルミナ自身に近づき、最後には真下に何滴かの水滴をポタポタと垂らしたところで放尿は途切れていた。
いいや、さらに鋭く観察すれば、最後の最後でワレメの表面に水滴の玉が浮かび上がり、垂れそうで垂れないまま、アソコにくっついているかと思いきや、脚へ伝って流れていき、太ももに尿の筋が通っていく。
後に残るのは蒸気であった。
熱々の尿に濡らされた柱から、少しのあいだ蒸気が上がり、周囲には尿の香りが広がっていた。
(あっ、あぁ……死にたい……消えていなくなりたいです…………)
ロウェルミナの思いは切実だった。
こんな姿を大勢に見られ、もう二度と生きていけない。このまま人生をやめてしまいたい思いに強く駆られて、涙目を浮かべていた。
「ひゅー!」
「よかったよかった!」
「さすがはロウェルミナ皇女!」
「きちんとトイレが使えましたなぁ!」
「さすがさすが!」
追い打ちのような言葉を散々に投げかけられる。
こんな風に放尿をさせられて、それをトレイがきちんと出来て素晴らしいように言われるなど、この世にこれほどの屈辱があるのだろうか。
悔しくて悔しくて、頭がどうにかなりそうだった。
「ではこのまま舞台に戻り、次の演目へ移って行こうと思う!」
ウェインの高らかな宣言は、ロウェルミナに絶望感を与えていた。
(まだ続くの…………?)
犬歩きのまま舞台へ移動させられて、ロウェルミナは再び立たされる。
◆◇◆
ロウェルミナはポーズを取らされていた。
「おおお!」
「いいぞいいぞ!」
腰をくの字に折り曲げて、客席に尻を向けている。
フリフリと振りたくり、男を尻で誘惑するかのような真似をさせられて、ロウェルミナは屈辱を噛み締める。
犬耳と尻尾は取り外していた。
純粋な全裸に戻り、客席からの要求に応じてポーズを取り続けるのが、今のロウェルミナに課せられた演目の内容である。
「ブリッヂだー! ブリッヂを頼むー!」
「ふむ、ブリッヂか。よし、頼むぞロウェルミナ」
(いつまで続くんですか……)
早く解放して欲しいのに、その解放の瞬間がいつになるかも見えてこない。
ロウェルミナは仰向けとなり、アソコを客席側に向けながら、背中をアーチのように反り上げ持ち上げた。
「おおっ!」
「アソコがばっちり見えるぜ!」
性器が見えると言う声が聞こえ、顔が火で炙られたように熱くなる。
(いやぁ…………)
ロウェルミナは視線の殺到を性器に感じていた。
「あのアソコからさっきは……」
「そうそう」
「近くで嗅いだりしたらさ、まだ小便の匂いが残ってるんじゃないか?」
そんな声さえ聞こえてきて、ロウェルミナは激しく苛まれる。
(もう忘れて下さいよ! あんな……あんなの……!)
思い出しただけでも心と体が震えてくる。
おまけにウェインの視姦もあった。
ブリッヂによって視界が反転して、逆さまに見えるウェインが目の前から、ロウェルミナの乳房を見下ろしている。
(おー)
ウェインは乳房を楽しんでいた。
アーチによって顔の方へと垂れ下がり、若干の変形を帯びた乳房を存分に眺め回して、ウェインはニヤニヤと鼻息を荒くしている。
次に取らされるポーズはY字バランスだった。
足首を掴み、持ち上げて、片足立ちでバランスを取らされる。Y字といえる角度にまで脚が上がっていることで、然るべき角度から覗き込めばアソコが目立つ。
(いつまでこんなこと……)
ウェインがしゃがみ込み、ニヤニヤと覗いてくる。
さらにI字バランスまで要求され、脚の角度をより上げる努力を強いられた。
(くぅぅ……私っ、そんな柔軟性……)
それでも、ロウェルミナはどうにかY字以上の角度にまで脚を高めて、横合いから覗くアソコは完全に剥き出した。
「おおっ、ワレメが少しばかり開けて見える」
(な……!)
「うむ、ちょっぴりの隙間からビラが見えそうな感じだな」
(なっ、な……!)
アソコがどんな風に見え、どんな状態になっているかを詳しく実況され、ロウェルミナは激しく表情を歪めていた。
「オッパイがプルプル揺れてエロいなー!」
「もっと揺らして下さいよー!」
観衆が乳房の揺れについて囃し立て、おかげでロウェルミナは気づいてしまう。
バランスがフラついて、体が左右に揺れるたび、乳房でさえも揺らしている。それが観客の目を喜ばせ、会場を盛り上げ続けていた。
(いや……もういやです…………)
少しでも揺れを抑えるため、ロウェルミナはバランス維持の努力をする。
「つん」
「ひゃぁ!」
しかし、ウェインが急にアソコを突いてきて、その驚きと甘い刺激に悲鳴を上げる。バランスは崩れかけ、身体が倒れそうになるのとは逆方向へ、反射的に力をかけてしまう。そのバランス維持が乳揺れの披露に繋がって、やはり客席を盛り上げるのだった。
「おおおお!」
「いいぞいいぞ!」
「もっと揺らしてくれよ!」
アソコも胸も視姦され、まるで逃げ場がないかのようだ。
「よし、リクエストに応えて前屈みになってやれ」
ウェインの指示は、両手を膝の上に置き、上半身を前のめりにして、乳房を左右に揺らし続けるものだった。
ロウェルミナの胸は姿勢に合わせて垂れ下がる。
「いいねぇ!」
「素晴らしい!」
身体を左右に揺さぶると、客席はやはり湧きたっていた。
(うっほ! 後ろから見ると面白いなー!)
ウェインは真後ろに視線をやり、尻をじっくりと観察していた。
ロウェルミナの捻るような運動に合わせて、お尻も左右にフリフリと動いている。見れば膝ごと前後に動いていて、だから尻たぶも交互に前へ出て、後ろへ引っ込む。
(いつになったら……本当にいつになったら終わるんですか……)
当然、ロウェルミナも後ろからの視線を感じていた。
お尻がどんな風に見えているのか、ロウェルミナ自身にはわからない。ただ、ウェインから見て面白いことになっているのは確かだろう。前からも、後ろからも、自分の体がいいように楽しまれ、もう本当に消えたくなってきた。
透明にでもなってしまえば、誰にも視姦されずに済む。
そんなことを本気で考え始める。
「がに股になるんだ」
次にウェインが指示してくるのは、空気椅子の姿勢となって、脚を大きく左右に開くことだった。アソコを大胆に見せびらかし、恥部に視線を集めるポーズには、顔から火が出るような思いがする。
格好が情けない。
腰を低め、股を開帳した状態など、ちっとも格好いいものではない。
「毛も金色ですなー!」
「おっ? オシッコで少し濡れてません?」
「おい! 本当か!?」
(なっ、そんなはずは……!)
ロウェルミナ自身も気づいていないことが、客席から言い出される。あんな位置から陰毛の状態がわかるとは思えない。きっと口から出任せだと、そう思いたいのは山々でも、一度言われてしまうと気になって仕方がなくなる。
確かめたくて、確かめたくて、仕方がない。
ロウェルミナは恐る恐る下の方へ視線をやるが、いまいち確かめ切れなかった。
「おやおや、皇女殿下も気になっているようだ」
「かんわいー!」
それどころか、冷やかしのネタにされ、かえって恥ずかしさを増すだけだった。
◆◇◆
フィッシュ・ブランデルが放尿していた。
(なんで……こんな目に……あぁぁっ、死にたいわ! 今すぐ死にたい!)
休憩時間を挟むため、ロウェルミナと交代で出て来たフィッシュだが、もちろん休憩中に利尿剤入りの飲み物を飲んでいる。ロウェルミナが使った後の柱へ脚を上げさせ、再び放尿を強いているのだった。
犬の尻尾を生やし、耳まで付けたフィッシュの顔には、まるで拷問でも受けているような激しい苦悶が浮かんでいる。
耳まで赤く染まりきり、顔から蒸気が浮かんで見えるほどの羞恥の熱が放出され、そしてアソコからは黄金のアーチが飛び出ている。
ジョロロロロロォォォォォォォ――――。
犬が小便をする際のポーズそのままに、高らかに片足を上げさせられての、衆人環視に囲まれながらの放尿だ。
「おおぉっ、やってるやってる!」
「そこは皇女殿下も使った尊いトイレなんですよー」
「ロウェルミナ皇女の香り、今でも記憶に残ってるなー」
(皇女殿下もこんな目に……うぅぅぅ…………)
主君さえもが放尿をさせられた事実を知り、フィッシュの腹には途方もないものが膨れ上がった。煮えくりかえるというべきか、やりきれないというべきか。ロウェルミナに恥をかかせたことへの怒りと、自分自身がこんな目に遭っている屈辱で、胸中にはいくつもの感情が激しく吹き荒れていた。
「補佐官の匂いも漂ってるぜ?」
(くっ、うぅ……うっ、くぅぅぅぅ…………!)
歯を食い縛るあまり、顎が強張り震えている。床に置かれた拳は爪が食い込むほどに握り込まれて、見れば脚さえ尋常でなく力んでいる。
「皇女殿下とどっちの匂いが強かった?」
「さあ? どっちだろうなあ?」
臭気の強さまで語る言葉が聞こえて来る。
(いや……聞きたくない……聞きたくないわ…………)
嫌だ嫌だとばかりに頭を振り、フィッシュはひたすらに苦悶する。
ジョロロロロロォォォォォォォ――――。
やがて、その放出を終えた後、やはり舞台上で様々なポーズを取らされる。
Y字バランスを、I字バランスを、ブリッヂを、がに股を、あらゆるポーズによって辱められ、散々の苦悶の末に退場する。
まだ演目が全て終わったわけではない。
フィッシュと入れ替わり、またしてもロウェルミナが舞台に立つのだ。
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