私の心臓は、生まれつきとても血管が細い。
だから、急激な運動をしたり、極度に緊張したりすると、胸がとても苦しくなった。
いろいろな病院に入退院を繰り返し、恥ずかしい思いをたくさんしてきた。
例えば、聴診器を当ててもらう時――。
「はい、脱いでねー」
上半身を脱ぐように医者に言われて、私は目の前にいる医者の視線を気にしながら、着ていたシャツをたくし上げた。
……見ないで欲しい。
心の中ではそう思っていたけれど、それを口にする度胸なんて私にはない。せっかく診察してくれるのに、わざとらしく後ろを向いたり、脱衣場所を用意しろ、なんて事はとても言えずに、医者の視線を我慢しながら脱いでいくのだ。
確かに、どうせ胸は見られてしまう。
だけど、少しくらい配慮が欲しい。
なのに医者のオジサンはぼんやりと私の脱ぐところを眺めていて、私としては視線が気になって脱ぎにくい。
私はたどたどしくシャツを持ち上げ、服の中から首を出し、両腕を順々に抜いて、まずは一枚脱ぎ去る。そうして、上は下着姿になった。
すると、看護婦の人が私の服を預かって、カゴの中へと畳んでしまう。
なんだか、心細い。
服を取られるということが、まるで自分を守る存在を失うことのように思えて、心細くて不安になる。
それに、恥ずかしい。
たった一枚脱いだだけでも、肌の半分以上が露出されるし、今日のブラジャーの柄も確実にチェックされてしまう。もちろん地味なものを選んできたし、医者がそんな目で私なんかを見ないとは信じているけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
脱ぐという作業を見られるのも、なんだか気まずい気がするのだ。
でも、脱がなくては検査はできない。
私は背中のホックを外し、肩紐を下ろして、ますます心細い思いになりながら、看護婦にブラジャーを預けた。
上半身、裸になった。
やるのはただの診察だし、医者だって女の子の体くらい見慣れているのだと思う。何も恥ずかしがることはないと、わかってはいるのだけど、どうしても顔が赤く染まってしまった。
診察は昔から受けてきた。
だから、別に慣れてはいる。
だけど、年を取るにつれ、だんだんと男の人に胸を見られるのは嫌だと感じるようになったのだ。
私の中で何かが芽生えて、小さい頃にはなかった恥じらいが少しずつ成長して、今では赤面しやすくなった。この時間が一秒でも早く終わればいいと思うようになっていた。
「はーい。じっとしててね?」
医者は私の胸に聴診器をぴったり当て、心臓の音に神経を集中する。人のおっぱいなんて見ていなくて、耳に意識を集めて音を聞き分けることばかりに夢中になった様子だ。
けれど、指は私の胸に触れかけている。
ちょこん、と。
聴診器を握った指が、私のおっぱいの端っこに乗っている。
それがもう気になって気になって、指がどくように、体を動かしたくなってくる。
もちろん、本当に動くわけにはいかない。
医者が診察をやりにくくなる。
だから、私は我慢するけど、胸の上で聴診器がぺたぺたと移動するたび、また別の場所に指の先端が触れてくる。おっぱいを離れたと思ったら、もう片方の胸に触れたり、乳房にべったり乗せられて、もっと乳首に近い位置までやって来た。
もう、ドキドキした。
聴診器のひやりとした感触が、私の胸の上を何度も動いて、指が色んなところに当たってくる。
それが嫌で、我慢して、でもドキドキもした。
超音波検査でも、裸になった。
心臓に超音波を当てる方法の検査で、私はベッドで仰向けになる。
もちろん、上半身は裸でだ。
音波の通りを良くするという理由で、技師がジェルを塗ってくるのだけれど、そんな名目で私は胸を揉まれてしまった。
ひんやりとしたゼリーを手に取って、技師はその塊を私の胸元へと乗せて、塗るように潰して伸ばし始める。すぐに乳房を手に包まれ、揉み始めて、私は本当にびっくりした。
だって、ただ塗るだけだと思っていたのに。
揉むだなんて……。
だけど、強気になる度胸なんてない私は、ただただ時間が過ぎ去るのだけを待ち続けた。
モミモミモミモミ……
ジェルを塗るだけの淡々とした顔をしながら、手先ではきちんと胸を揉みしだく。
乳首を指で摘んだり、乳輪の上を指先でグルグルと何周もし続けたり、また乳房を揉んできたり……。
技師はなかなか、私のおっぱいから離れなかった。
こういう体験ばかり、私はしてきた。
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