本文 脅迫性交のその後

 ロドス本艦を歩く時、すれ違う人の視線がたまに痛い。蔑む眼差し、哀れみの目、たまに感じる視線はそういったものだ。
 完全には広まりきっていない。
 だが、既に知っている人間は知っている。

「お? アンタはサリアか」

 一人のオペレーターが正面を立ち塞いだ。
「そうだ。何か用か」
「用ってほどでもねーが、俺はアンタのファンになっちまってな。一度声をかけてみたかったんだ」
 やけにニヤニヤとして、いやらしい顔をしてくる男は、舐め回すような視線を顔から爪先にかけて送ってくる。私はあなたを視姦していますと、実に露骨に伝える態度と眼差しの不快感に、サリアは少しばかり顔を歪めた。
 男はヘラヘラとした態度でサリアの隣を通り抜け、背後へ回り込もうとする。
「なら、用はそれだけか」
 その動きを横目で追い、肩の後ろに立った彼へと問いかける。
「そうそう、これが俺の用事な」
 この時、サリアは少しだけ目を見開き、次の瞬間には憤怒を瞳に宿していた。拳を固めるあまり、手の甲には血管がいくらでも浮き出ていた。
 男は尻を触ってきたのだ。
 がしっと大胆に、大きく広げた指を食い込ませ、好きなように揉みしだいていた。
「これは何の真似だ」
 サリアは男の手首を掴んでいた。
「おおっ、いってててててて――――」
 握り潰さんばかりの握力を込め、男はその痛みを訴える。
「この件は報告させてもらうぞ」
 急に女性の尻を触る。
 きちんとした企業なら、こうした行為には適切な処分を下してもらわなくては困る。
「ま、待て、待てって、どういうことだ? 報告って、聞いていた話と違うじゃねーか」
 男は狼狽えていた。
 まるで手首を掴んで抵抗されるとも、まして報告という話になるとも想像していなかったように、彼は本気で困惑を浮かべている。
 反応がどうもおかしい。
 思わぬ抵抗に対する驚きでも、軽い冗談のつもりが想像以上に怒られた衝撃でもなさそうだ。
「どういうことだ? 詳しく聞かせてもらおう」
「詳しくも何も、夜の相手を募集中とか、金さえあれば誰でもいいとか、アンタがそう言ったんじゃなかったのか?」
 尋ねた結果、むしろ男の方が疑問をぶつけ返してくる始末であった。
「覚えがないな。出所はどこだ」
「出所って――おい、それじゃあ俺は…………」
「お前がからかわれたか、私への嫌がらせか、またはその両方だろうな」
「マジかよ! くそっ、わかった。言うけどよ、又聞きなんだよ。俺に吹き込んだ奴の名前は言うが、大元はそいつじゃないと思うぜ」
「そうか。大元の心当たりは?」
「ねーって。俺に吹き込んだ奴だって、他の誰かから聞いたとか言ってた。一つ確実なことがあるとしたら、アンタの動画を見たことのある人間だ」
「……そうか」
「それで、そういう稼ぎ方に抵抗がなくなったとか、そう聞かされたんだよ。なあ、俺が聞いた話はマジで全部嘘なのか?」
「悪いが体で稼ぐつもりはない。娼婦なら他を当たるんだな」
 サリアは彼の手首を離し、その直後に鳩尾へ拳を埋める。
「んぐっ」
 加減はした。
 本気なら臓器を損傷させられる。
「お前も騙されていたようだからな。先ほどの行為は、これで手打ちにしておこう」
「お、おう……けど、結構いてぇ……」
 男は両手で腹を抱え、トイレに駆け込みたくて仕方のない苦しみ方をして見えてくる。
 そして、サリアは彼から名前を聞き出し、その男の居場所へ向かって突き進む。どこの誰からそんな話を聞いたのか、問い詰めて吐かせるつもりでいた。
 結論から言うと、ろくな答えではなかった。
 相手は正直に白状したのだが、その答えの内容は、特に特定の誰かが流した噂ではなく、サリアの動画が内々で共有されていくうちに、面白がった誰かが適当なことを言い出して、それを小耳に挟むなり、誇張して語った誰かの口から口へと、伝言ゲームのように内容が変化して、いつしか頼めばヤらせてくれる噂にまで至ったようだ。
 ため息しか出ない。
 こうも程度の低い人間とは、どこのどのような組織にも、必ず少数はいるわけなのか。

     *

 サリアは以前、陵辱を受けた。
 それが動画として販売され、知らぬ間に出回っていたのだ。いつしかロドスの内部にもそれを知る者が現れて、最初のうちは密かに共有されていたものの、口の軽い人間にまで知れてしまったのがまずかった。
 というのが、他にも何人かの男達から話を聞き出し、サリアが辿り着いた結論である。
(まったく、誰が頼めばヤらせるだ)
 そんな話を吹聴するのも、真に受けるのもどうかしている。このことは早急に報告して、手を打ってもらう必要がありそうだ。
 だが、その肝心の報告をするより早く、次の辱めの時間はやって来た。
 食堂で昼食を取っていた時である。

「よっこらせっと」

 他にいくらでも席が空いているのに、何故か隣に座ってくる一人の男に、サリアは横目で視線をやる。もしやナンパか、さもなくば例の噂を真に受けて、声をかけにでもやって来たのか。
 内心で身構えているうちに、男はポケットから電子端末を取り出して、動画の再生を開始していた。
(声はかけてこない、か)
 用がないなら他のテーブルへ行けばいいのに、どうして隣に座ったのか。それをいちいち問うよりも、早いところ食べ終わり、食器を下げてしまった方がいいだろう。
 咀嚼のペースを少し上げた直後であった。

『んぁああ! あっ、あぁぁ!』

 動画の音が聞こえてきた。
 わざわざ音量を上げ、隣にも聞こえるように流しているその動画に、サリアは大いに引き攣っていた。
『あっ! あっ!』
 それはサリア自身の声だった。
(この男は……!)
 わざわざサリアの隣に座り、本人がいるところで、人の陵辱を受ける動画を視聴している。
「なんのつもりだ?」
 怒気を込め、問わざるを得なかった。
「ん? なになに? オレになんか用?」
 実に軽薄そうな男であった。
「なんのつもりだと聞いている」
「え? どーいうこと? ちょっと質問の意味がわからないな」
 軽薄そうな男はヘラヘラと、画面の中にはばっちりとサリアの姿を映していながら、わざとらしく肩を竦めてみせていた。
「どうやら、あくまで人を侮辱したいようだな」
 サリアは横目に彼を睨んだ。
 その時である。

「なあ、頼めばヤらせてくれるってのは本当なのか?」

 背後から別の男が、また下らない噂を真に受けて、しかもそれを大声で尋ねてくる。
「金なら払うぜ? なあ、いくらなんだ?」
 興奮しきった顔で迫る姿に、隣の方の男は大笑いだった。
「ははははは! いいじゃないか、買われてやれよ! どうせ大事にするような体じゃなくなっちまってんだろ?」
 酷い侮辱であった。
 より一層の怒りをあらわに、サリアの拳に力が籠もる。
「貴様ら……」
 さすがの眼光と覇気を前にして、大笑いがぴたりと止まり、興奮した男も凍りつく。自分達が一体誰を怒らせてしまったのか、ようやく気づく彼らであった。

     *

 もっとも、それでも理性を保ったサリアは、衝動的な暴力を振るわなかった。然るべき報告を行い、彼らはセクハラに関する処分を受ける流れとなった。
 しかし、その後もチラチラとした視線をたまに感じる。人を遠巻きに見てヒソヒソと噂をして、いやらしい顔を向けられる。
 何も言えなかった。
 お尻を触る。隣で動画を見る。ヤらせろと迫る。明確な行為であれば報告にも上げやすいが、サリアを取り巻く環境は、あくまでも視線や表情なのだ。
 例えば食堂での食事中、人のことをチラチラと盗み見ながら、何やら仲間内で動画を視聴している。サリアに対する目つきのいやらしさからして、それが例の流出動画であることも、動画の中のサリアと、今ここに座るサリアを見比べ楽しんでいることも明らかに思えるが、実際に電子端末を確認しない限りは証拠がない。
 すれ違う瞬間、妙に鼻の下を伸ばす男がいる。ただサリアの顔を見ただけで興奮して、次の瞬間にはトイレに駆け込んでいるのだが、このレベルでは報告できるほどの実態を伴わない。
 セクハラは全てが安全圏からのものだった。
 対処のしようがない。
 単に女を見て興奮して、おかしな妄想を膨らませているだけならば、男とはそういう生き物だ。頭の中までどうこうすることはできない。
 他人の目つきが気になるだけで処分を求めることが可能とあっては、残念ながらそちらの方に問題がある。おかげでサリアは何も糾弾出来ずに溜め込んで、蓄積させるばかりである。
 こんなこともあった。
「最近、大変だなぁ? どーも、おかしな連中がな」
 気遣うように声をかけてきた男がいた。遠回しに動画の存在に触れ、人に恥辱を思い出させようとしてくるのだ。
「ったく、いくらああいうもんが流出してるからって、なぁ?」
 そう言って肩を竦める。
 もしや本当に悪意がなく、本人なりに気遣ったつもりなのかもしれないが、サリアにとってはいちいち嫌な思い出を刺激され、不愉快でたまらなかった。
 極めつけは企業との取引だ。
 元ライン生命の肩書きを持ち、現在はロドスに所属する人間として、取引の場に顔を出した時、取引先の男がニヤニヤと、いやらしい言葉をかけてきたのだ。
「しかし、動画を見せて頂きましたよ?」
 と、わざわざ宣言してきた。
「随分と大変な目に遭われたようで、今なお変わらずお仕事をなさる姿は尊敬に値します」
 ねっとりとした声音で、あからさまに鼻の下を伸ばして、いやらしい意図を存分に含んだアピールの上での言葉である。この時は取引の成立を優先するため、怒りをあらわにすることは出来ず、どうにか言葉を選んでやり過ごすことしかできなかった。

     *

 サリアは辟易していた。
 チラチラとした視線、取引先での出来事、気遣いの形で与えられる嫌な刺激、それら積み重ねは心労となっていた。そこに純粋な仕事量による疲れもあり、休暇の時には少しでもケアをしたい気にもなってくる。
 ある時、サリアは某移動都市の酒場に足を運んだ。
 勤めを終えた夜、翌日の休みをいいことに、たまには遅くまで呑んでストレスを紛らわそうと、何かに誘われでもしたように、フラっと入り込んでいったのだ。
 サリアは知らなかった。
 その移動都市は治安が良く、裏を返せば不穏な話が表に出にくい。それにその酒場はいかにも高級で、客層の良さそうなことも手伝って、入ってはいけない店であるなど気づく余地もないのだった。
 カウンター席に腰を落ち着け、カクテルを注文する。
 そこまではいい。
 誰に目を付けられることもなければ、ただ酒を飲んで帰るだけの話であったが、サリアがグラスを口元に運んだ時、ニヤニヤとしたチンピラが二つほど隣に座り、獲物を狙う横目で様子を窺い始めていた。
 何故、入ってはいけない店なのか。
 そのチンピラが密かにハンドサインを出し、注文した酒よりも遥かに高い金額を支払うと、マスターは薬の用意を始めていた。そして次にサリアがカクテルを頼んだ時、その薬を混入させたのだ。
 それが、この店だ。
 一部の常連客と取引して、客としてやって来た女性をこのように売り飛ばす。
 マスターが使ったのは、媚薬と思考力低下の薬である。
 肉体が性的に興奮して、かつ判断能力が低下して、しかも酔っている女がどうなるか。
 チンピラはサリアが酔い潰れる直前までじっくり待った。まだまだ飲み続ける様子とみて、薬が回るまで、酔いも回るまで、確実に獲物を確実に獲れる瞬間のために待ち続け、そしてすっかり酔ったところへ声をかけていた。
「なあ、アンタ。この後、オレとホテルに行かないか?」
「なんだ……お前は…………」
「随分と酔ってるぜ? 途中で倒れちまうんじゃないか? オレが親切に部屋まで送ってやろうってんだ」
 あからさまな誘いである。
 見知らぬ人間から、こうも露骨な言葉をかけられて、乗る女など普通はいない。だが媚薬で興奮して、脳にも薬が回っている今のサリアに理性的な判断はなかった。
「そうか。それはありがたい……」
 いかにも簡単に、サリアは連れ込まれることとなる。

     *

 ホテルの一室、ベッドの上。
「あっ! あん! あぁん! あん! あん!」
 サリアは激しく喘いでいた。
 部屋に着くなり押し倒され、サリアは呆気なく服を脱がされ犯されていた。
 普段の彼女ならありえない。
 だが今だけは、体の方が犯されることを求めていた。
「ははっ! 締まりがいいねぇ!」
 チンピラは腰を振り、そのグラインドで大胆に抉り抜く。正常位によるピストンは、ベッドの骨組みを大いに軋ませ、ぎしぎしと音を鳴らしていた。
「あっ、あぁ! あっ、あぁ!」
 脱ぎ散らかした衣服がベッドの横に落ちている。
「んぁ! あっ、あぁ!」
 そしてサリアは髪を激しく振り乱し、よがるままにシーツを鷲掴みにしていた。
「あぁ! あん! あぁん!」
 嬌声と共に乳房が揺れ、股はシーツに円を広げている。肉棒が愛液をかき混ぜて、しだいに泡立てていくことで、コンドームの表面には白く濁った汚れが付着していた。
「あっ、んぅぅぅ――――――!」
 その時、サリアはビクっと胴を跳ね上げる。アーチのように反り上がった背中を震わせて、痙攣でもしたようになりながら、目は大きく見開いていた。
 そして、どすん、と。
 急に背中を落として脱力して、目には恍惚を浮かべている。呼吸には酒の香りと、快楽に溶かされてしまった熱っぽさが宿されていた。
「へへっ、オレもイったぜ?」
 チンピラが肉棒を引き抜くと、ゴムには白濁が溜まっていた。その片結びしたものを適当に放り投げると、すぐにでも次のゴムを装着して、サリアのワレメに改めて突き立てる。
「んぅぅ!」
「たっぷり楽しませてもらうぜ?」
「ん! ん! んあっ、あん! あぁん!」
 サリアは乱れきっていた。
 媚薬のために本来以上の電流が駆け抜けて、背骨が痺れるほどの気持ち良さに喘いでいる。乳首は破裂しそうなほどに固く突起し、クリトリスも敏感になり果てている。
「んぁん!」
 面白半分に、チンピラは乳首を刺激した。
「あっ、あん!」
 激しい電流が肩や腕に駆け巡り、そのためにビクっと胴や腕が弾け上がった。シーツを握る拳により大きな力が籠もっていた。
「んぁあ!」
 クリトリスの方を弄れば、M字に開いた二本の足が真っ直ぐに、宙を蹴り抜いていた。
 今のサリアに理性はない。
 この二度目の正常位で、二つ目のコンドームを消費した時、次に男は仰向けに寝そべった。肉棒を天にそそり立て、それで何を求めているか、言葉がなくともサリアは受け取っていた。
 あるいはサリア自身が求めたのかもしれない。
 媚薬に振り回されている今の彼女は、それが欲しくてたまらないように身を起こし、そして跨がり、腰を落として一心不乱に激しく上下運動を開始する。
 サリアが背中をどかした後には、汗で薄らとした灰色が出来上がっていた。
「あぁ! あん! あぁん!」
 サリアは大胆によがっている。
「んぁ! あん! ああん! あっあん!」
 恍惚としたような、悩ましげな表情で目を瞑り、快楽を求めて上下する。尻を弾ませる運動は、乳房でさえもぷるぷると弾ませて、脳すら貫く快楽電流が絶えず流れ続けている。
「あっ! あぁ――あぁぁ――――」
 そして、サリアは絶頂した。
 イク瞬間にビクっと仰け反り、結合部からはいくらかの潮を噴き、その滴がチンピラの腹を少しばかり汚していた。

     *

 ロドスにはまた、新しい噂が流れることになる。
 何故なら、目撃者がいたのだ。

「なあ、サリアのやつ」
「聞いたぜ? どこぞのチンピラとホテルに入ったって――」

 密かに広まり、共有されていく噂によって、サリアに向けられるいやらしい眼差しは増えていく。視姦される頻度も、ただすれ違うだけで興奮される頻度も、そして知る由のないところでオナニーのネタにされる回数も増えていく。

「サリアで抜くのは基本だろ」

 そんなことまで言い出す男がいる。
 それはサリア本人の知るところにもなるのだが、しかし決して直接言われることはない。あくまで噂が伝わったのみ、明確なセクハラをして来ないので、どう報告することも出来ずに、視姦でしかない視線を毎日のように浴びて辟易して、また心労をためたサリアは次の休日に酒を求めることになる。

「なあ、今度はお前が誘ってみろよ」

 どこぞのチンピラに抱けたのなら、自分にもサリアを抱けるかもしれない。
 そんな思いに動かされ、サリアの入った店に突入する一人のオペレーターにより、久々にセクハラが行われる。ホテルに誘う言葉だけではなく、隣に座って手を触れて、指を尻に及ばせる真似まで働いて、そして酔ったサリアがそれを振り払うことはなかった。
 酔い潰れた彼女の中に、それらにまつわるまともな記憶は残っていない。
 酔っていた記憶しかなく、この時のサリアはいつの間に、気がつけばベッドで目を覚ましていた。

「私は……もしや…………」

 窓から差し込む陽の光に、サリアは一つの予感に駆られた。
 もしやまた、酔ったところを狙われて、みすみす抱かれてしまったのではないかと……。

     *

 チンピラに抱かれた翌朝の、朝陽で目覚めたサリアは、驚愕に顔を染め上げていた。
「なっ……! こ、これは……!」
 驚きで飛び起きていた。
 酒場で酔っていたところで記憶が途切れ、何一つ覚えていない。気がつけば部屋にいたこともそうだが、しかも今まで全裸で寝ていたのだ。
 見れば回りには、使用済みのコンドームが散乱している。
 アソコの中にも、散々に掻き回された余韻がある。
 自分が今の今まで、一体何をされていたのかは明らかだ。
 さらに気づいてみれば、どこかのホテルとはわかっても、部屋の内装に覚えがない。自分が泊まっているのとは、まったく別のホテルで目覚めたわけだ。
 まったく記憶がない。
 男も姿を消しているので、どこの誰に抱かれてしまったのか、まるで見当がつかなかった。
「なんて迂闊なんだ……」
 自身の失態に、サリアは頭を抱えていた。
 そして、サリアはその迂闊を繰り返す。

     *

 ――とある動画にて。

 やっほー!
 オレさ、成功しちゃったんだよね。
 どうやら、あの酒場がポイントらしくて、マスターに頼んで薬を使ってもらったんだ。
 んで、この通りよ。
 あのサリアが咥えてるぜ?
 オレのチンポを美味しそうによ。
 なあ、美味しいか?
「ふちゅっ、ずぅ……じゅっ、じゅぅ…………」
 ははっ、夢中で咥えてやらぁ!
 んじゃ、オレの濃いもんを飲ませたら、ずっこんばっこんとヤラせてもらうぜ。
 へへっ、楽しみだなぁ?

 それはサリアがフェラチオをする動画であった。

 咥えさせた男は、その手にデジタルカメラを握り、自身の股にレンズを向けていた。肉棒を口に含めて前後する顔を記録に収めることが楽しいあまり、男はすっかり饒舌になり、ペラペラと喋り尽くしていた。
 その後は性交に至ったことは言うまでもない。
 正常位、騎乗位、バック挿入、あらゆる体位で挿入して、その全てを撮影している。
 そして、男は仲間内にそれを打ったのだ。
 サリアに対するいやらしい眼差しは、それによってますます濃く、どこか人を嘲ったようなものへとエスカレートしていくこととなる。

 ――サリアで抜くのは基本だろ!