4:ついにショーツを脱いだ先
森久保は完全に震えていた。
こちらに足を向けた形でベッドに横たわり、尻が縁のギリギリに置かれている。そんな森久保の腰に手を伸ばし、自分はショーツのゴムに指を差し込む。
「うぅ……むーりぃ…………」
真っ赤な顔に羞恥の熱が溜まるあまりに、そのうち本当に火でも出てきやしないかとさえ思えてくるが、こちらも検査だ。
何より、正直に言って見てみたい。
無修正の画像や動画を検索した経験はあるものの、乳房を生で拝んだことさえ初めてだった自分には、生身の性器を目にした経験はもちろんない。生まれて初めて、生のワレメや陰毛を見ることになるのだ。
その好奇心に駆られるだけでなく、この手でショーツを脱がせてやっている感覚に酔い痴れて、自分は森久保の下着を取り上げた。
……温かい。
触れば森久保の体温が残っている。
「うぅぅぅ…………もりくぼの……アソコが……パンツがぁ…………」
森久保はすぐさま両手で顔を覆い隠した。
「で、ではっ、脚を開くように」
自分は厳かに指示を出す。
すると森久保の両足は左右に開き、あまりにも大胆なM字が形成された。卑猥なポーズによって丸目立ちとなる年頃のアソコは、ビラの少しだけはみ出たシミ一つない綺麗な色をして、毛はささやかに薄らと、楕円を成して生えている。
ワレメの下を覗いてみれば、肛門さえも見えてしまう。
アソコどころか、排泄器官まで見てしまった背徳感に、気が咎めるようでいて興奮する。鼻息が荒くなり、せっかく触診から持ち直した理性には少しずつ亀裂が走る。
ここから先の測定は、乳首や乳輪のサイズを測り、ワレメの長さやクリトリスでさえも計測するものだ。
そんな恥部の数々を調べられ、数字を書き取られることになる女の子の気持ちとは、一体どんなものなのだろう。
自分はノギスを手に握り、森久保の裸を見下ろした。
まずは正面から覆い被さり、まるで襲いかかろうとしているような気持ちになりながら、ノギスが乳輪の直径に合わさるように調整して、こちらから見た右側の数字を確かめる。左の乳輪にも合わせてみると、特に誤差なく直径は同一だ。
今度は乳首が挟まるように調整して、右の突起を白銀のあいだに収めてみる。それをそのまま左にかざし、同じ数字で問題ないかを確かめてから、書類の中に乳輪と乳首の大きさを書き込んだ。
「うぅ……あぅぅ……どうして、こんな数字を……」
「わかんないけど、続けるからね」
次は性器のワレメにノギスをかざす。性器から肛門にかけての長さを測る。肛門の直径まで測り、次々と数字を書き込むにつれ、背徳感による興奮は増していく。まるでマニアックなプレイであるが、世界の誰もが決して知ることのなさそうな、こんな数字を把握していくなんて、二度とない機会ではないか。
……そうだ。
自分はふと思いつき、授業用のノートを取り出し、今までの記録を全て書き写す。これから測る数字についても、書類とノートの両方に書き込んで、今日の思い出として持ち帰ろうと心に決めた。
そして、次に自分は肛門に顔を近づけ、皺の本数を数え始める。
「うぅ……いま、もりくぼの……どこを見ているんですか……」
顔の気配は森久保自身にも伝わっているだろうか。
「お尻の穴……」
声に出してみた瞬間、皺がヒクッと窄まった。
「うぅぅぅ……み、見ないでぇ……むーりぃ…………」
目で数えた本数を伝えたら、森久保はどこまで顔を熱くするだろう。
見れば顔を覆い隠す両手の力は強まり、皮膚に食い込まんばかりとなっていた。
「次なんだけどね。できれば、森久保さん自身の手でアソコを開いて欲しいんだ」
「むーりぃ……」
「お、終わらないよ?」
「終わらない……アソコを開いて、中身まで見せるだなんて、無理だけど……終わらない方が、もっと……むーりぃ…………」
この地獄が続くより、終わりが見える方がマシだと思ってくれたらしい。
顔を隠し続けていた両手が下へと移り、ワレメにやって来た指により、桃色の肉ヒダがあらわとなった。
「おぉ……!」
感嘆しながら、まずはそこを視姦する。
血走った目でジロジロと、鼻息を荒くして見てしまうが、見るべきところはアソコだけではない。隠されていた表情が明らかになった時、そこには極限まで歪みきった表情から、ありもしない蒸気が上がっているようにさえ感じられた。
顔の筋力が許す限り、最大限に頬は硬く強張っている。それ以上は硬くなれないにも関わらず、なおもギュゥっと表情筋を絞り上げ、頬をピクピクと震わせている。唇が激しく歪み、顎には皺が浮かんでいる。
まぶたを固く閉ざすあまりに、見ていて内側の眼球が心配になってくる。
ふと全身の肌の色合いを確かめて、それから顔を見てみれば、赤面による変化がいかにはっきりしているかがよくわかる。首を境界線として、顔とその下とで色が分かれて、もはやそこだけが他の皮膚とは別色だった。
「す、凄い……」
ここまで恥ずかしいことなのだ。
森久保の性格ということもあるのだろうが、少なくとも森久保にとっては、これほどまでに大きく羞恥心が膨れ上がって、頭がどうにかなるようなことなのだ。
「よし、森久保さんの情報……」
アソコにノギスを近づけて、膣口の直径を測定する。
数字を確かめるついでに、穴の部分にある白いヒダのようなものを見て、それが処女膜であることを知識的に知っていた自分は、森久保が未経験であるという確かな情報でさえ、こうして入手するのだった。
小陰唇の縦と横の長さを、大陰唇も縦横を、そしてクリトリスの部分に対しても、その都度ノギスを調整して、一つずつ数字を明らかにしていった。
「あとは写真か」
「えぇぇ……むーりぃ……」
「でも、終わらないよ? いいの!?」
自分はどこか必死であった。
撮影のチャンスを逃すまいとする気持ちがあった。
「うぅぅぅ……はやく、済ませてぇ…………」
「アソコ! アソコから撮るから、そのままだよ?」
早速、保健室に置かれていたカメラを手に、ぱっくりと開かれた肉ヒダを写真に収める。撮影と同時に鳴り響くシャッター音は、きっと森久保の心を苛んだ。
肛門を撮る。胸も撮る。
目を瞑ったまま決してこちらを見ようとしない様子から、ならばバレないだろうと思い、自分のスマートフォンまで取り出して撮影を繰り返す。画面の中に生の肉ヒダが収まって、放射状の皺もくっきりと、乳房もばっちりフォルダに格納されていく。
散々にシャッター音声を浴びせ尽くして、恥辱の限りを味わわせたせいか、森久保は極限を超えてしまっていた。
「もりくぼは――もりくぼはもう――生きていけないぃ――いっそ、死んでしまいたいぃ――」
この上、まだ検査が残っていると言ったら、もはや耐えきれないだろうか。
……膣圧検査が残っているのだ。
もっとも、この保健室にはそんな器具はないのだが、マニュアルによれば指で強弱を確かめるだけで十分らしい。
つまり、指を挿入するのだ。
「森久保さん……」
さすがに、いくらなんでも……そんな気持ちは湧くのだが、これだけ写真をパシャパシャと撮っていながら、今更ではないだろうか。
だったら、入れてやる。
もはや自分の理性など、指でつつけば崩れ落ちる程度には、ひび割れにまみれてしまっている。こんなM字開脚の丸裸を前にして、何も手をつけずにいられるほど、所詮は鋼の心など持っていない。
「ご、ごめんね……最後だから……」
それでも、少しは罪悪感があるせいか、言葉では謝りながらも、だからといって指の挿入をやめるわけでもなく、自分は中指を膣口に突き立てる。
「ひっ、ひぃぃぃ……もりくぼは……そこにはあんまり、自分の指だって、入れることはなくて……」
「あんまり? あんまりってことは……」
「やぁぁ……! ち、ちがうぅ……! もりくぼは……今のは、言い間違いで、あんまりじゃなくて、一切入れないぃ……」
必死な言い訳が逆に怪しく、嘘をついていることが見え見えだ。少しくらいは自分の指を入れたことがあるのだと、ほとんど白状したようなものだった。
「とにかく、入れるから」
膣口の中へと指を差し込み、膣肉の熱気に包み込まれた。ヌルっとした感触が指にまとわりついてきて、もしやこれが愛液だろうかと、自分は高揚しきっていた。森久保はこの状況で腹の底では興奮して、甘い蜜を今まで分泌していたのだ。
「うぅぅぅ…………!」
「ぎゅってしてみて?」
「す、するから……だから、早く抜いてぇ…………!」
許しを請わんばかりに力が込められ、指の先から根元にかけて、まんべんなく圧迫感がかかってくる。指を食い潰そうとするような力により、ぐっと密着感が上がっている。試しに指を動かすと、それでいてヌルヌルとよく滑り、指は出入りしやすいのだった。
「あぁっ、あぁ……な、なにを……もりくぼに、そんなこと…………」
「……ごめん」
もう、駄目だ。
我慢できずに指を動かし、左手ではクリトリスの愛撫を始めた。
もちろん、こんなことは初めてだ。
自分の脳裏にある知識は、ただただそこが性感帯であるという点だけで、実際のコツだの力加減だのわかっていない。欲望に飲み込まれ、触らずにはいられなくなっての愛撫だったが、そんな自分の手であれ森久保は感じているらしい。
「あぁ……! あっ、だめっ、ですぅ……むーりぃ……!」
森久保はすぐに喘ぎ始めていた。
「す、凄い……この手で、森久保さんを……!」
感動すらしていた。
AV女優の感じる姿を見た経験はあっても、普通の女の子の乱れるところは始めて見た。いいや、森久保はアイドルなのだが、セックスが仕事なわけでなない処女が感じて喘いでいるのだ。自分にとって、それはとても大きな出来事だった。
自分は膣のぬかるみに合わせて徐々にピストンを活発にして、ペースを上げるにつれてクリトリスを指でくすぐる指遣いも素早くする。素人が物は試しにやってみている手つきだが、痛がる様子もなく森久保は声を上げ、脚をくねくねとよがらせ始めていた。
「あぁ……! あっ、あぁ……あぁぁ……や、やめてぇ…………!」
森久保の訴えなど、もはやこの耳には届かない。
「あっ! あぁぁぁ……!」
急にひときわ大きく喘ぎ、全身をピクピクとさせた様子は、まさか――イったとでもいうのだろうか。
イカせた? 自分が?
素人の自分が、そんなことを?
偉業を達した気持ちになった自分は、ますます高揚してしまう。
ひたすら森久保をよがらせることだけに取り憑かれ、さらにピストンのペースを上げた挙げ句に、こうなったら挿入してやろうとする邪念でさえも膨らんだ。
……挿入してやる。
そこに森久保を気遣う気持ちは残っていない。
完全に夢中になり、無理矢理犯してはいけない倫理観など、目先の欲望によって都合良く停止していた。
自分はここで指を抜く。
「あぁ……やっと…………」
それをてっきり、森久保は検査の終了と思ったらしい。
しかし、自分はベルトの金具を外し始めて、素早くチャックを下ろして逸物を取り出している。
「……え」
森久保も、その気配に気づいたらしい。
「えっ、やめ……! も、もりくぼはまだ、初めて――――」
訴えてくるその声は、挿入によって途切れていた。
自分は気づけばねじ込んでいた。
いざ入れてしまってから、初めて目が覚めたかのように、ハっと気づいて自分のしでかしていることを悟るが、こうなっては本当に後戻りなどできはしない。
自分はこのまま腰を動かす。
「あぁ……! やめてっ、抜いてぇ……! もりくぼは――もりくぼは――」
大きな声を塞ぐため、自分は上から覆い被さり、右手で口を塞いで腰を振る。一心不乱に腰を打ちつけることにより、必死になって快楽を味わった。
肉棒が天国に包まれている。
ぎゅうぎゅうと押し潰すかのような膣圧の内側で、愛液が活性油になることで、肉棒はそれでもスムーズに動いてくれる。締め付けによる窮屈さで、もっと摩擦に引っかかり、出し入れがしづらくてもよさそうなのに、驚くほどつるっと抜けそうになり、突き込めばにゅるっと入り込む。
自分はその滑りの良さを利用して、存分にピストンを行った。
「んっ、んぅ……! んりっ、んりぃ…………んっ、んりぃ…………」
右手の内側で口が動いて、必死に何かを言おうとしてくるが、そんなものが自分に届くことはない。完全に目は血走り、股間で快楽を味わうことしか頭にない。
「んりぃ……んっ、ん! ん! ん! ん! ん!」
森久保も感じているのか、それとも痛みや苦しさで喘いでいるのか。
そんなこともわからずに、ただ自分の欲望を満たすことだけに熱中して、周りなど見えない状況に陥っていた。
やがて、射精感が限界のラインを越えて、自分は森久保の中に解き放つ。
ぐっとねじ込んだまま、奥まで注がんばかりに射精して、やっとのことで激しかった興奮が少しは収まり、急に冷静になって自分のしでかした罪に気づいた。
まずい、これは……。
もし訴えられてしまったら……!
「森久保さん! 写真撮ったからね? あ、アイドルなのに、まずいよね!? 誰にも! 誰にも言っちゃダメだから!」
今度は保身に必死になり、我が身可愛さの脅しを行う。
それに森久保はコクコクと頷いていた。
「言えません……こんなこと……もりくぼは誰にも言えません…………」
急に罪悪感が蘇り、自分のしたことを思って青ざめる。
口先だけで謝っても、とても許されることではないと思うと、一言「ごめん」と言うことすらできなくなり、顔面蒼白のまましばらくは固まっていた。
固まったまま、一体どれほど経っただろう。
「…………検査、終わったね」
「………………はい」
やっとのことで絞り出した声に対して、森久保の小さな返事が返ってくる。
そうだ、検査が終わったのだ。
ここでは何も起きていない。森久保も何も言わない。本人が誰にも言えないと言ったのだから、きっと外には発覚しない。自分が犯罪者になることもないはずだ。
必死の必死で、自分の心に言い聞かせる。
それから、お互いにこのことに触れることのないままに、この保健室からは解散する流れとなっていく。森久保が制服に着替え直しているのを背に、自分も書類やマニュアルを手に取って、スクールバックを肩にかけ、ここから出て行く準備を済ませていた。
「じゃあ、先に行くから。今日はお疲れ様」
などと、さも普通の身体測定や検査を済ませ、問題なく帰っていくに過ぎないようなポーズを取って、保健室を出て行くのだった。
それから、実際に何も起きることはない。
急に警察が来ることも、よからぬ話で先生に呼び出されることもなく、ふと森久保乃々の情報を気にしてみれば、その後も彼女はアイドルの仕事を続けている。
そう、何も起きていない。
何もなかったものとして森久保は振るまい、そして……。
自分の手元には、スマートフォンの中には思い出が残されたのだ。