恥辱激震! 後編
次の日から、サリアは日常的に呼び出しを受けていた。
来る日も来る日も、毎回のように奉仕をさせられ、ひとしきり咥えたところで素股を要求され、身体のどこかにかけられる。それが終わるたび、サリアは即座に精液を拭き取った上、自室のシャワーで洗い流しているのだが、清潔にした後でさえ、穢された余韻は長らく残る。
目には見えない染みが付き、皮膚の奥まで浸透してしまったかのような、実に嫌な余韻で落ち着かない。
職務に打ち込むことで、どうにか意識を逸らして忘れてはみるのだが、休憩時間や就寝時間など、落ち着いた時間が得られれば、そんな気の緩む瞬間に感覚はぶり返す。余韻は日常的に蘇り、そして日を改めるたびに新しく精液をかけられる。
目には見えない、突き詰めれば心理的な錯覚でしかない染みは、しかし日に日に濃くなったり、数を増やしていく。
そして、今日は手で性器を嬲られていた。
「ほーら、気持ち良くなっていいんだぞぉ?」
肥満男が見上げてくる。
この日、いつものように呼び出され、二人きりになった途端、急にサリアのことを壁際に追い詰めて、ベルトの金具を外してきたのだ。下着の中に手を入れて、陰毛やワレメを執拗なほどになぞる手つきに、最初はおぞましさしか感じてはいなかった。
しかし、壁に寄りかかり、肥満男の愛撫を我慢するうち、その我慢の意味合いは時間の経過と共に移り変わった。嫌悪感を堪えていたはずが、しだいに快感の方を堪えている自分に気づき、サリアは密かに歯を噛み締めていた。
(上手いというのか……こいつは……)
なくてもいいテクニックを、よりにもよって持ち合わせている。
どうせ立場や権力を利用して、無理に抱いた女で磨いた技なのだろうと、心の中では蔑みながら、口では甘い息を吐いてしまう。
「んぅ……んぁぁ……!」
演技でもあった。
いや、正確には演技ではない。
声を聞きたがる面倒な要求に応えるため、声の我慢だけはしていない。喘ぎ声が出そうな時は、あえて堪えず吐き出している。本当は唇をしっかり結び、歯を食い縛って抑え込みたいのが本心でも、それを誤魔化して声を聞かせてやっている。
喘ぎ声は本物かもしれないが、ある意味での演技を帯びているわけだった。
「んぅっ、んぁぁ……! あぁぁ……!」
クリトリスを執拗に責めてくる。
手マンが続くうち、肥満男は指先でクリトリスの突起に気づき、その瞬間に見るからに表情を染め変えていた。明らかに唇をねじ曲げた笑みを浮かべて、次の瞬間には楽しそうにクリトリスへを集中攻撃し始めたのだ。
そのうち、膣に指が入り込む。
フックのように折れ曲がり、穴へと角度を合わせた指は、サリアのショーツを手の甲で押し上げながらピストンする。
「んんぅ……! んぬぁっ、はくぅ……!」
サリアは髪を振り乱した。
そして、その悩ましげな顔を肥満男は下から見上げて鑑賞してきた。背の高いサリアに対して、十センチ以上も低い肥満男は、しかし自分を上回る体格の、いかにも強そうに見える女を自分の手で鳴かせることに悦びを覚えていた。
下腹部で見えない何かがせり上がる。
「ぬぁ……あっ、な、何かが……!」
サリアは驚きに目を丸め、瞳を震わせながら、どこか動揺したように喘いでいた。
「おやおや、絶頂しそうなのでは?」
「んっ、んぁっ、ぜっちょう……だと……!?」
「きっとそうだ。なに、遠慮なくイクといい」
肥満男の手は止まるどころか、むしろペースを上げて膣口を責め立てた。ピストンはいかにも激しく、しかし不思議なほどに膣壁への負荷は与えない。乱暴にすれば痛いはずが、肥満男の手マンには確かなテクニックが詰まっていた。
「んんぅ……! んっ、んぅぅぅぅ…………!」
アソコで生まれる電流は、背骨を伝ってせり上がり、脳まで激しく痺れさせる。頭まで快感に染まる感覚の中、そんな様子をニヤニヤと鑑賞している肥満男の表情が目についた。彼がいかに楽しげに、満足そうに人の様子を眺めているかが、サリアには嫌というほどよくわかった。
(くっ、しかし……これで、こいつに取り入ることになるなら……)
ただ甘んじて辱めを受け入れているわけがない。
こんな屈辱に耐えるからには、この男からの優遇を受け、監獄内で少しでも自由な動きが取れるように計らっている。
(い、いいだろう……絶頂とやらを受け入れれば、さぞ満足するんだろう……)
一瞬、歯を食い縛る。
この程度の男などに弄ばれ、イカされることへの屈辱が、僅かな一瞬のあいだだけ、隠しきれずに滲み出る。それはすぐに快楽の波に沈んで、次の瞬間にはもうサリアは喘ぎ散らし、大声と共に唾液まで散らしていた。
「あぁぁ……! あっ、あぁぁぁぁ…………!」
そして、ついに絶頂していた。
ビクっと体が弾み上がって、アソコの中で何かが弾ける。脳が痺れたと思った時には、サリアは潮を噴いていた。
正確には、潮吹きをするはずだった。
しかし、ショーツに手を差し込んでの手マンである。ワレメにフタをせんばかりに、手の平がアソコを覆っていた。そこに弾け出て来る愛液は、噴射の勢いを帯びつつも、そのまま手の平をまんべんなく汚していた。
「おお? イったイった!」
肥満男は大満足の顔をしていた。
大手柄を立ててやった。どうだ、お前をイカせてやったぞ。そう言わんばかりの顔で見上げられ、サリアは恥辱に染まり上がる。こんな奴にいいようにイカされたことへの思いが込み上げ、同時に湧き上がる恥じらいで、サリアは赤らんだ顔を歪めていた。
「見てみろ」
愛液濡れの手を見せつけてくる。
まるで水面に手の平を当て、濡らした直後のように輝く湿った皮膚に、サリアは思わず瞳を逸らした。
「ほほっ、今日はもう少し遊ばせてもらうぞ? さあ、そのままでいろ」
肥満男は目の前にしゃがみこむ。
人のズボンとショーツを掴むなり、おもむろに膝まで下げた。
それで何をするのかと思いきや、次に肥満男が取る行為は、顔を近づけベロベロと、ワレメを激しく舐め回す行為であった。
おぞましさは確かにあった。
舌のざらつく感触が肌を撫で、皮膚に唾液が浸透してくる。それが性器に来るというのは、背中がざわざわと騒いで悪寒に震えかねない話である。
好き合った恋人同士なら受け入れられるのかもしれないが、サリアが目を下ろした先にあるのは、醜い肥満の頭頂部だ。
「んぁっ、あっ、あぁ……!」
しかし、実際に出て来ているのは甘い声だ。
(な、何故っ、こんなに……!)
甘ったるい、可愛い乙女のような声を吐くなど、いかにも自分らしくもない。こうも似合わない声を出しながら、愛液を滴らせてしまっているなど、これほどの屈辱はない。込み上げる悔しさで、今にも歯を強く食い縛り、激しい歯軋りの音を立てそうだった。
だが、そんな心境にあるというだけで、実際には口を閉ざしていることすらできない。
「はぁっ、あっ、んぅ……! んぁっ、あぁ……!」
喘ぎ声が出てしまう。
やがて、まもなく先ほどまでの感覚が膨れ上がった。見えない何かが膨らんで、いつしか弾けそうになる感覚に、もう二度目の絶頂が迫っていると自覚した時、その数秒後には仰け反ることになるのだった。
「あぁあぁぁあああ……………………!」
大きく声を上げながら、サリアは後頭部を壁に押しつけていた。
寄りかかった姿勢のサリアは、頭で身体を押し出して、仰け反ることで壁と背中のあいだに隙間を広げていた。
そして、もちろん潮吹きにならない潮を出す。
プシャっと、スプレーのように弾けたはずの愛液は、しかし肥満男が性器を頬張っている状態でのものだった。
「イったねぇ?」
肥満男が顔を離す。
その際には長々と、唇とワレメのあいだに銀色の糸が引いていた。最初は真っ直ぐ伸びたそれは、距離が開くにつれてたるんでいき、下向きのアーチとなってぷちりと千切れ消失する。
「気持ち良かったんだなぁ?」
勝ち誇った笑みの口周りは、粘液をまとって輝いていた。
それは決して、彼自身の唾液だけではない。
むしろ、サリアの愛液を中心にして、肥満男の口周りは汚れているはずだった。
「……ふん」
サリアはその顔から目を逸らす。
大きくみっともない声を上げてしまい、そしてイキ散らした証拠が相手の顔中にべったりと貼りついているとあっては、あまり直視などしたくはなかった。
「じゃあ、もう一回イってみようか」
「な……!」
驚愕も束の間。
「あぁぁあ……!」
サリアは再び、喘ぎ声を上げ続けた。
「あっ、くぁぁ……! あっ、あうっ、んっ、んぁぁ……!」
本当に気持ち良すぎた。
今度は舌先でクリトリスをつついたり、集中的にねろねろと舐め回す。しゃぶり突き、吸うような方法も使って刺激して、肉芽ばかりを狙ってきた。
「あっ、あぁぁ……!」
腰が左右に動いてしまう。
強すぎる刺激から、身体が反射的に逃げようとしてしまう。それほどの快感を無意識に求めてしまい、逃げたいはずが逆に差し出し、もっと舐めてくれと言わんばかりにしてしまう。それをまた引っ込めたり、左右に動かし、逃げて差し出し、逃げて差し出し、そんなことばかりを繰り返した。
腰を反射的に引っ込める時、しかし壁に背中を預けているサリアは、身体をくの字に折るというより、壁に尻を押しつけていた。
またやがて、込み上がる。
「んぁぁぁぁぁ…………!」
次に絶頂する瞬間も、アソコには大きな口が被さっていた。
サリアが潮を散らすとしたら、その口内のはずだった。
「あっ、くぅ……ふぁ…………」
しかも、まだ続く。
イったばかりのアソコに対して、休む暇もなく愛撫を継続して、ねろねろと、ペロペロと、丹念に舐めてくる。じゅるじゅると汚い音を立て、激しく吸い上げる真似もしてくる。舌先で力強く突こうともしてくるクンニの技に、サリアは延々と翻弄され続けた。
もはや愛液が枯れ、もう潮を噴くのは無理というところまで追い詰められ、さしものサリアも疲弊しきったところで、ようやく解放されるのだった。
*
その日は弄り合っていた。
ズボンを脱いだ肥満男に対し、少ししか下げていないサリアの下腹部は、ショーツに至っては穿いたまま、先日のように手が内側に差し込まれる。
着衣のままが、やはりこの男の趣味らしい。
壁際に押しやられ、寄りかかって愛撫を受けるサリアは、その手を逸物に触れさせる。しごいてやっている一方で、肥満男の指も穴へと入って前後していた。
「んぅっ、くふぅ……」
気持ち良かった。
連日、こうした日々が続いていき、身体がイクことを覚えたせいか、妙に感度が上がっている。愛撫が始まってから、実際に濡れ始めるまでの感覚も、明らかに短くなっていた。初めて肥満男と擦り合った日は、濡れるにはもっと時間がかかっていた。
それが今はどうだろう。
「くはっ、あっ、あふぁ…………」
随分と息が乱れている。
「ヒクついてるぞぉ?」
肥満男は根元まで指を収めて、勝ち誇った笑みで見上げてくる。
「……そうか。それは良かったじゃないか」
「ああ、よかったよかった。君に感じてもらえて、俺はとっても嬉しいよ」
「それは何よりだ」
彼が言っているように、実際にサリアの膣壁はヒクヒクと蠢いている。脈打つような、あるいは力の強弱でもつけてしまっているような反応を繰り返し、それが肥満男の指にも伝わっているのだ。
サリアの握る肉棒は、腰の動きと共にその先端を押しつけて、太ももに先走りの透明汁を擦り込んでくる。
「なあ、挿入に興味はないか?」
おもむろに、肥満男は尋ねてきた。
その瞬間、頭が噴火しそうだった。
「言ったはずだ。最後まではしない」
声が荒っぽくなっていた。
さすがの怒りを隠しきれていないことだろう。
「おやおや、いいのかぁ?」
もっとも、サリアの様子を気にもせず、肥満男は押しを強くする姿勢だ。
「本番無しでも、十分に楽しませているはずだが?」
サリアには最後の一線を譲るつもりがない。
元々、こんな男に肌を許すことさえ怖気が走るくらいである。移動監獄という実態さえなければ、誰が相手などするものかと、心の中では何度繰り返したことか。ご機嫌取りの問題さえなければ、口にすら出していたかもしれない。
だいたい、最初の約束を忘れていることも腹が立つ。
本番無しという条件は、それこそはじめに付けたはずのものだった。
「でも、もっと気持ち良くなってみたいんじゃないか?」
「興味ないな」
「こんなにヒクついているのにかぁ?」
「十分すぎるほどイカせてもらっている。挿入の必要など感じないな」
それは半ば本心だった。
肥満男の手にかかれば、いとも簡単に登り詰め、体中が震えた次の瞬間、サリアは潮を噴いてしまっている。
得られる快楽は十分すぎるものだった。
「なら、先っぽだけっていうのはどうかな」
「しつこいぞ。他の奉仕でいいだろう」
「いやいや、先だけ! 本当に亀頭だけでいいから!」
急に本番交渉をしてきたと思ったら、妙な食い下がりようである。あれほど楽しんでいるくせに、まだ欲が尽きないのかと、ほとほと呆れそうだ。
(こうもしつこいと、断れば逆恨みさせるか?)
サリアはそんな計算を働かせる。
今の今まで本番交渉はしてこなかったが、挿入の欲は初めからあったのだろう。先っぽだけを受け入れれば、最初はそれで済んだとしても、その後も要求を繰り返して来そうである。ここまで入れたのだから、どうせ先っぽは入れたのだからと、執拗に本番を求められる未来が見えた気がした。
しかし、ここは了承した。
「ゴムは着けろ。それから、お前は動くな。私が上になり、私が動く」
この条件なら、約束の破りようはないだろう。
それにもうじき、全ての決着はつくはずだ。
カフカ達が脱獄の計画を立て、実行に向けて着々と準備を進めている今なら、ここで成すべきことはじきに終わる。用さえ済めば、もうこの男の顔など二度と見なくて済むだろう。
「ったく、しょうがないな。ま、それでいい。対面座位で頼むぞ?」
あたかも我が儘を仕方なく聞き入れてやっているような、気に食わない態度でサリアの条件を飲み込んでいた。
弄り合いを中断して、椅子に座り始める肥満男は、これで満足かと言わんばかりにコンドームの包装を破いて装着する。ゴムをまとった剛直を確認して、サリアもそんな肥満男の上に跨がり、望み通りの対面座位で亀頭だけを受け入れた。
「んぅ……くぅぅ…………」
当たり前だが、指よりもずっと太い。
先端を受け入れただけでさえ、今まで以上に穴を大きく広げられ、亀頭だけの出入りをさせても快楽は膨らんでいた。
「んっ、んくっ、くっ、んぅ……ぬぅ……」
サリア自身が行う上下運動は、しっかりとはめ込んでいないため、すぐに穴からずれてしまう。落とした腰を持ち上げると、先端まで出かかった肉棒は、そのまま左右に動いてしまうので、ピストンを繰り返すには手で押さえている必要があった。
股のあいだに手を伸ばし、ずれないようにしながら上下運動を行っていた。
「んっ、んぁ……あぁ……あぁぁ…………」
不快感は確かにある。
醜い肥満男と、たとえ先端だけであっても繋がるなど虫唾が走る。さっさと済ませたい心境の一方で、快楽も確かに膨らみ、出入りによって起きる摩擦はほどよい痺れを生み出していた。
「あぁ……あっ、ぬぅっ、あぅ…………」
「はははっ、俺のチンポに浸っているな?」
「ゆ、指の方が……はあっ、はぁっ、あっ、いい……が……?」
「無理しなくても、もう最後まで楽しんじまいな」
その時だった。
太ももに、手が置かれた。
そして、サリアはたったそれに警戒心を抱くべきだった。太ももに触られるだけなら今更だと、まず先に思ったのはそんなことで、次の瞬間に起きる出来事を咄嗟には予想できていなかった。
快感でいくらか思考が鈍っていたせいもあるだろう。
「な……!」
サリアは驚愕していた。
亀頭だけを出入りさせてのピストンで、持ち上げた身体を次は沈める。たった数センチだけを飲み込むための小さな動きだが、身体を下降させる際、太ももに乗った肥満男の両手も同時に動いた。
下へと、力がかかった。
サリアの不意を突き、腰を上に突き出そうとする動きも交え、肥満男は突如としてサリアの膣内に肉棒を埋めていた。
「何を! よ、よくも!」
まず怒りが込み上がった。
先っぽだけという約束をあまりにも早速破り、何ら悪びれた顔もしていない。望み通りのものをくれてやったと言わんばかりの腹立たしい表情で、肥満男はニヤニヤとサリアの顔を見上げている。
「気持ちいいだろう?」
「ふざけるな! こんな真似を!」
「ほれ、君はせいぜい感じてればいい!」
「んぅぅ……!」
クリトリスを触られた。
少しの愛撫で背中が反って、サリアは天井を見上げていた。
「ほーら、好きなだけ動け!」
(くっ、こいつは……!)
サリアは屈辱を噛み締めながら、悔しげに目を瞑り、しかし上下に動き始める。今すぐにでも武力を行使して、この男を後悔させる道も思い浮かべはしたものの、結局のところサリアが選んだのはこれだった。
「あっ、あん! あぁん!」
遺憾ではあるが、入ってしまった以上、今回ばかりはこのまま性行為を続けてやろう。
もっとも、二度目はない。
頭の片隅では二度と挿入させない決意を固めつつ、今だけは上下に動く。目的の達成につれ、この男に見切りをつける算段は、喘ぎ声の中に覆い隠した。
「あぁん! あん! あん! あん! あぁん!」
ひとたび上下運動に集中すれば、頭は簡単に快楽に染まっていった。
「君も女だなぁ? ええ?」
肥満男は立ち上がった。
サリアの膝下に腕を通して、その身体を抱えて持ち上げながら椅子を立つ。男は立っている一方で、女の身体は宙に起き、落ちないためにしがみつく。駅弁と呼ばれる体位に移り変わって、肥満男が激しいピストンを行っていた。
「ぬぁああ! あっ、あぁぁぁぁ!」
サリアを襲うのは、これまでとは比べものにならない快感だった。
活発な腰振りで、サリアの膣は素早いリズムで貫かれる。肥満男の打ちつける勢いで、サリアの尻はしきりに弾み、股と腰とのあいだに隙間が生まれる。しかし、その数センチばかりの隙間は、広がった瞬間に直ちに閉じ続けた。
例えるなら、腰を使ったドリブルだ。
バスケットボールのドリブルはボールを上下させ続けるが、駅弁体位におけるドリブルは、お互いの股のあいだに隙間を生み出し、直ちに閉じ合わせたかと思いきや、次の正面衝突が連続のバウンドへ繋がっている。
「あぁっ、あっ! あん! あっ、やっ、あうっ、くあぁぁ!」
サリアは無我夢中で肥満男にしがみついていた。
快楽に翻弄され、嫌悪も何もかも忘れたまま、激しい電流に喘ぎ散らした。肉棒による激しい突きの繰り出しのたび、脳が破裂でもせんばかりの勢いに襲われて、もはや今ほどセックスに夢中になっている瞬間はないほどだった。
「あっ! あぁ! あっ、あん! あうっ、んんんん!」
絡み合っている最中に、サリアの肉体は途中で一度痙攣を帯びていた。
そう、イったのだ。
ちょうど隙間の開くタイミングで、サリアの膣から噴き出た潮は、すぐ真正面にある肥満男の腰へと降りかかる。愛液がその陰毛を汚し、次に密着する瞬間、肥満男を濡らした愛液はサリアの方へと付着する。
開閉が繰り返されるたび、隙間を覗き見たのなら、何度も何度も、執拗なまでにネバネバと、糸が引き続けているはずだった。とっくに濡れきった陰毛同士の毛先のあいだ、皮膚と皮膚とのあいだに伸びる愛液の糸は、やがて白く泡立っていた。
そして、肥満男は射精する。
ドクゥゥゥ! ドクッ、ドクン!
ゴム越しとはいえ、急に内側に出されたことで、サリアは今になってようやく正気を取り戻す。
「お前……! 中に……!」
「なーにが中だ。ゴム越しじゃないか」
「それはそうだが……!」
「ほーら、まだまだ続けるぞ?」
肥満男はテーブルの上にサリアを下ろす。
寝かされるや否や、肉棒が引き抜かれ、その一瞬の摩擦が生み出す刺激がちょうどサリアをイカせていた。
「ぬぁぁっ」
ビクっと腰が弾み上がって、今度こそ宙に潮は舞い上がった。
何滴も何滴もの滴が十センチ以上は高く舞い、それが下降して降り注ぐのは、サリア自身の脚や下腹部の周辺だ。
ぐったりと、テーブルからサリアの両足は垂れ下がる。
イキ疲れたせいか、もはや怒る気力もなく、このまま休んでいたい欲求からテーブルに身体を預けていると、しかしその傍らで肥満男は次のコンドームの用意をしていた。
(ああ、まだ続くのか……)
もう一回戦どころではない。
この日のサリアは、日がな一日抱かれ続けた。
飽き飽きするほどに感じさせられ、やっとのことで帰る頃には、股に肉棒の余韻が色濃く残ったまま、がに股気味で歩くほどだった。
…………
……
その、数日後。
サリアの足元に、ジェッセルトンが倒れている。
彼のアーツが生み出した黒い刃は、しかしサリアの放つ斬撃によって切断され、その切っ先を床に突き刺していた。
そして――。
アンソニーが脱獄を遂行するその瞬間にも、サリアの股には余韻があった。
執拗なまでに味わわされ、アソコが形を覚え込んでしまった肉棒の、まるで今まさにハメ込まれている最中であるような感覚に、サリアは本当は見舞われている。
そんな様子は微塵も見せず、カフカにもロビンにも、何一つとして気取られることはなかったが、サリアの脳には完全に刻み込まれていた。
あの形が、あの快楽が――。
あまりにも深々と焼き付けられ、夢にまで出て来た肉棒のおかげで、朝起きた瞬間のショーツまで濡れていた。
きっと、時間さえあれば、それほどの快楽とて忘れることが出来るだろう。
それがどれほど先の未来になるか。
それはさすがに、想像すらつかないのだった。