前編
毎日、毎日、慰み者だ。
潜入調査に入ったはずが、その屋敷の主である変態貴族に囚われて、性処理道具としての日々を送るカゼマルは、今日も勤め人の相手をしていた。
「んごっ、あっ、あぁ! あっ、あぁっ!」
ベッドの上の正常位で、しかし肉棒は肛門に出入りしている。
「あっ、あっおぁっ、んぅあっ!」
抵抗は出来ない。
カゼマルの首には逃亡防止の爆弾首輪が付けられており、屋敷から一定の距離まで離れると爆発する。首輪にはアーツ抑制機能まで付与されており、アーツの使用すら封じられている有様だ。
おまけに筋力抑制剤を投与され、腕力による抵抗も意味を成さない。
カゼマルが持つことを許されるのは、せいぜい私生活に支障のない筋力までで、性交渉の相手を前に暴れたり、まして蹴って殴って張り倒すような真似は決してできない。
「ふごっあっ、あぁ……あぁ……!」
加えてカゼマルと性交をする男は、いつもスタンガンを持っている。下手な動きを見せた途端、その強烈な電流で苦しめようとしてくるので、ただでさえ抵抗の力を奪われているのに、それでは余計に何もできないわけだった。
「おっと、そろそろかな」
男はおもむろに肉棒を引き抜くと、カゼマルの腕を引っ張り強引に引き起こす。
その仁王立ちからそそり立つ棒を見て、相手の要求を悟ったカゼマルは、泣く泣くの思いで亀頭に唇を付けた後、チロチロと舌先で舐め始めた。
肛門に出入りした直後の肉棒である。
衛生的に良くないはずで、抵抗はあるのだが、拒めばスタンガンをお見舞いされることはわかっている。いつも直前に腸内洗浄を施され、中身を綺麗にしているから、きっと清潔なはずだと信じて咥えるしかないのであった。
「はじゅぅ――じゅぅっずっ、ふじゅぅ……」
竿を咥え、カゼマルは頭を前後に動かす。
「ふじゅっ――じゅちゅ――じゅっ、じゅっ、ふじゅぅ――」
フェラチオにも慣れてしまった。
毎日毎日、カゼマルのことを犯す男は、そういう取り決めでもあってのことか、決まって外に出そうとする。体のどこかにかけることもあれば、こうして咥えさせることもあり、誰一人として肛門の中には出さない。
「ずむぅ……ずっ、ずむぅ……」
頭を前後させることにより、唇から竿の部分を見え隠れさせ続けると、男は急にカゼマルの頭を掴んでくる。
「んぐぅ――!」
無理に頭を押さえ込まれて、喉を塞がんばかりに奥まで入ってきたかと思いきや、男はそのまま放出してきた。
「んっ! んっ!」
飲むしかなかった。
喉に直接注がんばかりに射精され、そして飲まない限り、男は手を離してくれるつもりがない。放出が終わっても、なおカゼマルの頭に握力を込めてきているので、諦めて嚥下するしかないのであった。
精液が食道を通り抜け、胃袋へと流れ落ちる。
その嫌悪感に鳥肌を広げていき、カゼマルは不意に身震いしていた。
(でも、たぶんこれで――)
この人の相手は終わったはず。
かと思いきや、その瞬間だ。
「次は俺も頼むぜ?」
「その次は俺な」
「いっそ前後からやっちまうか?」
急にドアが開かれて、新たに三人もの男が現れる。
慰み者としての時間はまだまだ続くと、どこか諦め気味に俯くカゼマルは、そして全員の肉棒を肛門に受け止めて、全員の精液を飲み干すのだった。
*
これがカゼマルの毎日である。
メイドとして屋敷の掃除を任されながら、呼び出しを受ければ性処理道具として振る舞って、精液を飲むことが求められている。
しかも普段はアナルプラグを装着されており、勝手に取り外すことは禁止されているので、許可がなければ排泄行為すらできないのだ。
そして、毎日の腸内洗浄も義務付けられている。
主の意向で肛門を主に犯すしきたりとなっているので、いつも綺麗にしておかなくてはならない。性処理道具として使われるためだけに、毎日のように状態を整えることの無念さといったらない。
窓拭きや廊下掃除など、日々の仕事をこなすにも、与えられたメイド服がまともではない。
胸を丸出しにしてあったり、スカートを極端に短くして、下着が丸見えになっていたりと、およそろくなものがない。
さらにこの日、カゼマルは数日ぶりに貴族の男に呼び出された。
屋敷の主だけあって、その寝室は一際豪奢で広々としており、部屋の中央に鎮座したベッドなど、一体何人が同時に横になれるだろうか。
そんな主の間に招かれ、カゼマルは今日も夜伽をこなす。
「んっちゅっ、ちゅぅ――ちゅくっ、ちゅむぅ――」
対面座位のように密着して、カゼマルは唇を捧げていた。
(いつまでこんなことをしていれば……)
反抗の意思はありながら、まともな抵抗も脱走も、何も実現できる望みがないために、本当は暴れてやりたい心を殺し、堪えんばかりの気持ちで要求に応じている。
メイド服は胸の部分を切り取って、ブラジャーも外した丸出しの仕様である。さらに尻が半分は見える短いスカートで、穿いているショーツは黒のTバックだ。
その紐の部分は、アナルディルドによって盛り上がり、振動で微妙に震えていた。
「んちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ――」
唇を何度も重ね合わせて、尻には両手が回って来る嫌悪感をカゼマルは堪えている。アナルディルドの振動で、招かれる前からアソコを濡らし、肉貝には愛液をまとっている。
そして全裸の男と密着すれば、ワレメには竿がそのまま当たってきて、カゼマルの愛液が今にも肉棒の皮膚に浸透している。逆に肉棒の熱気の方も、カゼマルの性器に直接伝わってきているのであった。
「んじゅぅ――ちゅるぅ――」
貴族の男が舌を出す。
カゼマルはそれに応じて、嫌々ながらに自らも舌を出し、鳥肌を広げながらもお互いの先端を絡め合わせて、深く激しいキスにまで至っていた。
「んじゅるぅ――じゅぅぅ――」
貴族の男の方からも、ついには激しく頬張ってくる。
(気持ち悪い――)
しかし、そうは感じていながらも、やはりアソコに愛液が分泌され続けている状況に、カゼマルは顔を顰めているのであった。
肛門の中で震えるディルドは、もう数時間以上前からカゼマルのことを辱め、肉体のスイッチさえもオンに保たせてきているのだ。
どんなこだわりがあってのことか、ディルドで事前にほぐしておくに飽き足らず、さらに数十分前までのカゼマルは、とある見学を行っていた。
それはメイドというメイドの数々が、ずらりと並んで壁に両手をつき、屋敷の勤め人がみんなして、それをバックから犯している光景だった。
そんなものをわざわざ見せて、どうしたいのかがわからなかった。
いや、もしかしたら、お前はこの中の一員に過ぎないと、見学を通じて思い知らせようとしてきたのか。
揃いも揃って、誰もが肛門に挿入していたあたり、この屋敷はやはりそういうルールになっているらしい。
そんな肛門へのこだわりが深い主によって、カゼマルはベッドシーツに押し倒される。
「あ……!」
まるで抵抗できない。
反射的に体が強張り、力こそ入りかけはしたものの、貴族の男をろくに押し返せそうにもないのであった。背中は柔らかなシーツに沈み、身体の形に合わせてベッド全体がふんわり凹む。
仰向けになることで、尻をシーツに押しつける形となって、ディルドがほんの少しだけ、あと数ミリだけ奥へと刺さり、その刺激にカゼマルは顔を歪めた。
「カゼマルちゃん? 乳首もビンビンみたいだね?」
貴族の男は剥き出しの乳房を頬張って、ちゅぱちゅぱと音を立てながら吸ってくる。
「あっ、んぅ……!」
カゼマルはまたやはり、反射的に両手をやった。貴族の男の肩を掴んで、押し返そうとはするものの、その抵抗がろくに意味を成していない。
「あっあっ、あぁ……あぁ……」
舌に嬲られる乳首から、甘い電流が拡散して、カゼマルは喘ぐ一方だった。こうなることを、まるで待ち望みでもしていたように、柔らかかったはずの乳首はものの数秒で極限まで硬化して、体中に刺激を送りつけ、全身を敏感に仕立てる発散地点と化すのであった。
「んっあっ、あぁ……あぁ……!」
カゼマルは髪を振り乱す。
「んっくぁぁ……!」
もう片方の乳首をしゃぶるため、一旦は顔を離した貴族の男の、唇とのあいだに濃密な糸が引く。太さ数ミリに至る唾液の線が長々と延びた後、それは表皮に寝かされて、皮膚に線を引いてしまった痕跡が残された。
右から左へ移る際、唾液の糸もそのまま移動して、乳房と乳房のあいだをちょうど繋いだ線が出来たのだった。
「あっあぁ……あぁ……!」
カゼマルは喘ぎ続ける。
連日の調教と、媚薬すら飲まされる毎日で、カゼマルの体は最初に捕まった時に比べて、さらに感じやすくなっている。
「い、いい加減に……して……!」
それでも抱く反抗の意思から、カゼマルはそんな言葉を無意識のうちに口走った。
「四つん這いになるんだ」
それに対する答えは、ポーズを変える命令だった。
「…………」
カゼマルは無言のまま、どこか睨まんばかりの顔をして、貴族の男を真っ直ぐに見据えて見つめ返した。
「まだ心が折れていないね?」
そんなカゼマルのことが愛おしいかのように、男はそっと指先で頬を撫で、にやりと唇を歪ませる。
「いつまでこんなことを続けるんですか?」
カゼマルはまだ、望みを抱いているのだ。
もしも定期連絡が途絶えたら、その時点で異常有り、不測の事態に陥ったものを見做すよう、ロドスの仲間と事前に話をつけてある。
そして、こうして捕まり慰み者にされているのだ。
今頃はカゼマルを救出するため、オペレーター達が作戦を立てているはずだ。
まだ脱出のチャンスが少しでも残っている以上、どんなに無力な状態だろうと、心では諦めるわけにはいかない。
「その心がいつまで持つか興味深い。四つん這いになりなさい」
「……ええ、わかりました。いいですよ」
ちっともわかっていない、良くも思っていない、不満を隠しもしない態度によって、カゼマルは姿勢を変える。
貴族の男に向かって、Tバックの尻を突き出した時、ディルド入りの下半身を曝け出し、無防備となったことの心許なさを強く感じて、きゅっと歯を噛み締めるのであった。