目次 次の話




 高校担任を勤める豚山武が、教師生活の中で何よりも楽しみにしているのが、カップルに対する特別指導だ。
 未成年の交際において、実践的な性教育を義務付ける。
 歯止めの利かない少子化をきっかけに、女の子がより子作りに興味を持つような教育を導入すべしと、大胆な意見まで登場しての大議論で、ここ十数年のあいだに教育の価値観は激変している。
 実践を交えた性教育の実施権が導入され、さらには未成年の性交にも所定の指導を行った上で許可証を発行する制度まで確立された。
 つまるところ、セックスに興味があって、エロいことをしてみたい女子を増やしはしたいが、誰にでも股を開く淫乱を育てたいわけではない。ただ恋に積極的になり、きちんとした交際の上で行う『健全なセックス』こそが推奨される。
 エッチなことに興味を持たせつつ、自己判断の能力も磨かせるには、まず大人の手でセックスとは何かを教え込む。男女の営みを理解させ、経験の上で判断力を培うべきとされ、制度の存在はとっくに一般的なものと化していた。
 自動車を運転するには免許がいる。バイクにも、フグの料理にも、危険物の取扱にも免許がいる。
 未成年同士のセックスに許可証が必要なのは、もはやそういった感覚と変わらない。
 考え方は個人しだいだ。
 そんなのは嫌だから18歳になるまで待とうとするか。たとえ指導を受けることになっても、少しでも早く繋がり合いたいか。パートナー同士でしか決められない。
 佐矢野柚葉は後者であった。
「て、手コキをするんですよね?」
「最初はそうだ。で、パイズリやフェラもしてもらう。チンコとの触れ合いに体を慣らさないとな」
「……わかりました」
 高校には性交指導のための小さな棟が建てられており、防音性の高い部屋なので、隣の壁に耳を当てても中の様子は聞き取れない。シャワールーム完備の教育施設で、豚山はベッドから足を下ろして、まるでベンチに腰かけたように座っていた。
 そんな豚山の目の前の、床の上に柚葉はいる。
「意気込みを聞かせてみろ」
「はい。やっぱりその、男性器に触るっていうのは抵抗があります。洋のなら触れるとは思うんですけど、もし、その。あくまで万が一なんですけど、好きな人のものなのに抵抗で触れなかったら、凄く傷つけるんじゃないかって思うんです」
 柚葉にも彼氏がいる。
 安藤洋という寡黙で背の高い男子は、そこそこのルックスと細身のスタイルを兼ね備え、頭も良いので気にかけている様子の女子はいくらかいる。
 もっとも、柚葉という彼女がいるせいか、積極的に仲良くなろうとする子は、豚山の把握している限りでは見かけていない。
「いい意気込みだ。やっぱり、彼氏にはいい思いをさせたいもんな」
「そうですね。それに、未成年でのセックスには許可証がいりますし、きちんと取得して、気兼ねなくしたいです」
「いいだろう。ではさっそく、手で握ることから始めるんだ」
「はい」
 柚葉は緊張に満ちた面持ちで、赤らみながら肉棒を見つめる。太いフォルムに目を奪われ、そーっと、恐る恐る指を近づけつついている。うっかり近づいて襲われやしないかと、警戒すらしている様子で慎重に、柚葉は肉棒というものを確かめていた。
 入学間もない頃の柚葉は、もっと垢抜けない子だった。
 長い黒髪はぼっさりとしているというべきか、ボリュームによって頭が膨らみ、飛び出た枝毛が目立たなくもない。長い前髪が目を隠し、おまけに黒縁眼鏡という地味で暗い印象は、それだけでイジメに遭いそうな気がしたものだ。
 幸い、豚山のクラスにイジメをやる生徒はいなかったが。
 ある日突然、髪をばっさり切り落とし、毛先が肩にかかる程度の長さに変え、ありすぎたボリュームもすっかり調整されていた。オシャレな眼鏡にかけかえた顔立ちは、まるで別人にように見違えていた。
 安藤洋と仲良くしている様子から、彼と付き合っているせいか、はたまた好意を抱いてのアピールか。男の影響に違いないことに気づいて、その頃から楽しみにしていたのだ。
 一体、いつ頃になったら交際申請を出して来るのか。
 期待の書類を受け取ったのは七月半ば。
 豚山は嬉々として柚葉を性教育棟に呼び出して、さっそくのように指導を始めた。
「……硬い」
 何度もつつき、手を引っ込め、恐れを成してさえいた柚葉は、ようやく右手に包み込み、左手では玉袋を触ってくれる。
「硬いだろう」
「はい。熱くて、太くて、こういう感じなんですね」
 どこか関心している柚葉だが、好きでもない男の一物に触れていることは変わらない。心の中に隠れた抵抗感が、汗の形で浮き上がり、よく見れば表情にも強張っている部分がある。
「手コキをしてみるんだ」
「こうですか?」
 柚葉の右手が上下に動き、豚山のペニスをしごいて慰める。
「そうそう。気持ちいいぞ?」
 嫌がる心がどこかにはあるのだろうが、それ以上に学ぼうとする眼差しで集中して、柚葉は少しでもこういうことに慣れようとしている。
「どれくらい気持ちいいんでしょうか?」
「そうだな。本番はもちろんだが、手ぐらいじゃ、フェラチオやパイズリにも敵わない」
「やっぱり、そうですか」
「だが、触ってもらえれば男は喜ぶ。まず嫌がるってことはない。恋人同士でするのが大前提だからな。他にも色んな触り方を試してみるといい」
「こことか、ですか?」
 右手でのしごきは続けつつ、左手の指で亀頭をさする。鈴口への刺激は肉棒が芯から燃え上がっていくようで、その心地にしだいにカウパーが滲み出た。
「ふぅ、それがカウパーだ」
 そして、柚葉はそれを指に取り、糸を引かせて、不思議そうにまじまじと見つめていた。
「カウパー」
「透明だろう? 興奮すると精液が出るが、まあ射精よりも前の段階に出るやつだな。一応、そこにも精子は含まれている」
「気持ちいい証拠なんですよね」
「そうだ」
「もうちょっと、色々と試してもいいでしょうか」
「もちろん。試してくれたまえ」
 豚山は初々しい手つきに浸り、様々なタッチを試す柚葉のやり方を目で楽しんだ。
 可愛がるように指腹で亀頭を撫で、カウパーの滑りを利用してクリクリと鈴口を苛め抜く。親指と人差し指でリングを作り、カリ首の段差に引っかけるようにして、そこばかりを上下に擦って刺激する。両手で玉袋を包んで温め、優しく揉んでくれもした。
 じっくりと集中して、亀頭を手の平に包みもする。
 豚山は手慰みに頭を撫で、髪を掴んで弄び、耳にも触る。
 淡々とした時間の中で、柚葉は何分もかけて肉棒を弄り続けた。
「あの」
 それから、数分ぶりに口を開いた。
「なんだい」
「男の子って、やっぱりフェラとか、パイズリもさせたがるんですよね?」
「そうだね」
「……試しても、いいでしょうか?」
 どことなく嫌悪感を胸に抑え、何かを堪えてでもやってみようと思う決意の顔がそこにある。
「彼女としては、彼氏に喜んで欲しいです。洋が喜ぶことなら、フェラでもパイズリでもしてあげたいです」
「いい心掛けだ。フェラからやっていこうか」
「はい」
「手で触るのにはもう慣れたかな?」
「一応、慣れたと思います」
「そうしたら、今度は口に入れることに慣れなくてはいけないね」
「どうすればいいですか?」
「まずは口紅を塗るみたいにして、先っぽを口にくっつけるんだ」
「はい。やってみます」
 柚葉は早速のように顔を近づけ、唇を際どく接近させるも、土壇場の抵抗感に押し返されて、首を後ろに引っ込める。
「うぅ……」
 再チャレンジとばかりに改めて近づけて――ちゅっ、と、今度はキスまではいくものの、その途端に反発作用のごとく顔が離れる。
「どうしたんだい。彼氏相手でも、そうやって嫌がるみたいな反応を見せるのかい?」
「そ、そんなことありません!」
「だけど、いくら好きでもチンコを口に入れるんだ。自分ではそう思っていても、いざとなるとそうなるかもしれない。嫌がる素振りを見せてしまったら、彼氏を傷つける。そうだろう?」
「……はい」
「さあ、頑張ろうじゃないか」
「はい」
 ちゅっ、チュ、ちゅぅ――顔を前後に往復してのキスがされ、亀頭と唇のあいだに糸が引く。抵抗感を取り払い、慣れようと慣れようと懸命に行うキスは、やがて強く吸い付くものとなる。
「ちゅぅぅぅぅ――」
 ストローから吸い取りたいかのように、カウパーを口内に迎え入れ、さらに口紅として塗りつける。手で塗るというよりは、顔の方を肉棒に押しつけて、唇の端から端へ首を左右に振っていた。
「キスしたまま顔を見せて?」
「はいっ、んちゅぅ……」
 肉棒と口付けを交わしている顔が、上向きとなって豚山を向き、醜い顔立ちの視線と柚葉の上目遣いが重なり合った。
「唇で亀頭を揉む」
「んっ、んむっ、むっ、むぅっ、んっ、ん、ん」
 言われたままを覚えようと懸命に、柚葉は唇を歯の代わりに、まるで亀頭を咀嚼して食べようとしているように揉み込んだ。
「んむっ、あむっ、むじゅっ、んむぅっ、んっ」
 唇の筋肉を駆使した圧をかけ、亀頭が唾液を帯びていく。心無しか先っぽを舌で突かれる気配を感じるが、励んでいるうちに当ててしまっているらしい。
「先っぽをペロペロしてごらん?」
「はい」
 柚葉は舌先で鈴口をくすぐり始めた。
 小刻みに上下している舌が、絶えず唾液を先に塗りつけ、滲み出るカウパーをその都度拾って糸を引かせる。
「まわりの部分も満遍なく、全体に唾液が行き渡るくらい、色んなところを舐めまくるんだ」
「はい」
 顔の上に肉棒を乗せてしまうようにして、根本から先端にかけ、ねろぉぉぉ――と、舐め上げる。手で肉棒の角度を変え、陰毛の中まで唇を突っ込んでは、竿の側面に舌を塗りつけ、先端にかけて唾液を広げる。
 とても頑張っていた。
 よほど彼氏を喜ばせたいのか、本番に備えての練習は熱心だ。
 そう、これは本人にとって、愛する彼との本番を迎えるための、教育という名の練習に過ぎない。スポーツの練習試合より、大会での勝利の方が重みがあるのと話は同じだ。
 しかし、負けても大会の進出に影響がないからと、果たして練習を適当にやるであろうか。
 柚葉は一生懸命になって舐めることに励んでいる。
「れろっ、れじゅっ、じゅむぅ――ずっ、れろぉぉ……」
 ハーモニカでも吹くように、右の側面を咥えた状態で、首を左右に動かし刺激する。左の側面も同じく唇の力で咥え、モミモミと圧を加えて舌で唾液を塗り広げる。
 豚山の肉棒は、柚葉の唾液によってヌラヌラと輝いていた。
「れろぉぉぉ……べろぉぉぉぉ……」
 なおも舐め上げることが繰り返され、一度唾液が染みた皮膚へと、さらにねっとりとした層が塗り込まれ、部屋の明かりを反射して輝く光沢を肉棒全体が纏っていた。
「パイズリをしてもらう。上は全部脱いじゃおう」
「はい」
 ブレザーのボタンを外し、一枚ずつ脱ぎ去っていく柚葉には、明らかに裸への躊躇いが浮かんでいた。ふとすれば手が止まり、ワイシャツのボタンを外すにも時間をかけ、どれだけの抵抗感を抱いているのか、ひしひしと伝わった。
 柚葉の乳房はメロンサイズだ。
 制服の上からでも、どれだけ丸く形の良い、ボリュームに溢れた胸であろうかと期待はしていた。ブラジャーが外されて、プルンと解放された柚葉のオッパイは、豚山の大きな期待に応えるだけの、サイズもあれば美乳でもある極上のものだった。
 そんな乳房の中に肉棒を迎えていき、谷間の内側に挟む柚葉は、どうすればいいのだろうといった具合に、やや困惑の表情を浮かべていた。
「こう、でしょうか」
 とりあえず自分の胸を使い、手で圧をかけ、上下にしごく。
「そうそう。それでいい。そうやって胸だけを手で動かしたり、上半身ごと上下したりしながら刺激するんだ」
 張りの良い乳房の感触は、弾性の強いゴムに似ている。もっちりとした触感に肉棒は包み込まれ、乳圧によって圧迫され、とろけるような快感がカウパーを分泌していく。
 肉棒が纏っていた唾液のコーティングが、しごきによって谷間の肌にも浸透して、さらにカウパーも付着していく。
「いい気持ちだ。彼氏も必ず喜ぶぞ?」
「本当ですか?」
 柚葉の表情が明るく輝く。
「本当だとも。だから色々と試してごらん?」
「はい!」
 モチベーションを高めた柚葉は、全身で上下に弾み、身体ごと動いて肉棒をしごいてきた。
 さらにカウパーが溢れ出し、乳肌へ絡んでいく。
 突起した乳首が腹に擦れ、上半身の弾みが止まると、今度は乳圧の強弱をかけてくる。両手で自分自身の胸を捏ね、そのついでに肉棒まで揉まれていた。
「あむっ」
 自分の谷間に顔を埋め、亀頭を咥えた柚葉は、パイフェラにまで励んで舌を奮い、胸を駆使して刺激してくる。
「射精するよ。いいね?」
「は、はい!」
 乳房の中から、噴水のような白濁が噴き上がり、柚葉の顎を打ちのめしては、谷間に流れて溜まっていく。
「それが精液だ」
「これが……」
「知識にはあっただろうが、実物は初めてだろう?」
「はい。匂いとか、感触とか、特徴的ですね」
「これで随分と男を学べただろう」
「そうですね。奉仕とか、精液とか、知識でしかわかりませんでしたけど、やってみると色々と参考になった気がします。洋にしてあげるのが楽しみです」
 これは『教育』である。
 性行為を体験させ、彼氏との本番に備えさせる。予習や練習試合的な意味合いの強い、体験学習において、女子の心が本命から剥がれることはない。
 本命のことが好きなままの女体。
 それこそが、豚山猛が求める至上の色事であった。



 
 
 

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