エピローグ

 戦艦の中、艦長として席に着く。
 モニターやクルーの様子から目を離さず、仕事に集中していたルリだが、休憩を挟むおり、ふと気を緩めた瞬間に、チラチラとした視線に気づいていた。
 タナカとヤマダである。
 二人は以前からルリへの視線が多いのだが、今日の目つきはどことなくいやらしく、かなりの下心を感じるので、言ってしまえば不愉快だった。
 どうして、ああも下品な目をしていたのか。
 普段は何も不快ではないのに、急に今までとは違った眼差しを送られた気がするので、ルリはいささか困惑していた。
 それとも、気のせいだろうか。
 考え過ぎだろうか。
 それから、食堂や休憩室など艦内を行き来するため、何度か席を離れたおり、ルリはトイレの外に出かかって、ふと足を引っ込めていた。

「なあ、俺も買ったんだよ。『羞恥の妖精美少女』」
「ついに買ったか同士」
「ああ、買ったさ」
「抜きまくろうぜ!」

 女子トイレの近くを通りかかった二人組の、そんな会話が聞こえて来たのだ。
「……っ!」
 ルリは全身をざわつかせた。
(羞恥の妖精美少女って――――)
 二人のあの眼差しは気のせいではない。
 その買ったというタイトルは、まさしくルリが出演したエロビデオのものなのだ。
 あれをクルーに見られたのだ。
 そういった可能性は、当然あるに決まっていた。
 確かに、ちっとも想定しなかったわけではない。本当は不安に思っていたり、頭ではやめておくべきだと考えながら、写真を握ったスカウトマンの押しの強さに流されて、結局は出演してした結果がこれである。
 とんでもない事態ではないだろうか。
 なのに……。
(どうして…………)
 興奮などしている場合だろうか。
 ちょうど、今日の勤めは終了して、あとは自室で眠るのみなのをいいことに、ルリは早足でベッドへ駆け込んだ。手早く服を脱ぎ散らかし、仰向けになって始めることはオナニーだった。
 手が活発に動いていた。
 ワレメを少しなぞっただけで、もう汁気が滴り溢れ、気づけば膣内に挿入していた。指を活発にピストンさせることにより、ルリは快楽を貪っていた。

 ――同時刻。

 タナカが、ヤマダが、それぞれの部屋で、また『羞恥の妖精美少女』を再生している。
 ヤマダが特に気に入っているのは、水着が透けていることに気づかない、きょとんとした顔のルリである。白い競泳水着から肌の色がくっきりと、乳首やアソコも丸見えで、全裸と変わりがない状況にありながら、それを何も疑問に思っていない。
 気づいていないのだから、恥じらいなどなく平然としている。まるでその瞬間だけは、透ける水着を着ているのは当然であるような、常識が変わって見える場面がたまらない。
 指摘され、気づいた瞬間に恥じらう姿も本当に堪らない。
 ヤマダはそのお気に入りの場面を見ながら射精して、その頃にはタナカも自分の好きなシーンでティッシュを消費する。

「んぅ! あっ、あぁぁぁぁ――!」

 そして、ルリが潮を噴く。
 ビクっと一瞬だけ背中を跳ね上げて、直後にぐったりと疲弊感に浸っていた。
 二人の射精とルリの絶頂、全てが時を同じくするも、しかしこの三人とも、奇跡を知る由などないのだった。