盗撮狙いの撮影企画シリーズ、ifルート第2弾
前編後編
浅倉透は監禁生活を送り始めた。
外に出る自由はなく、狭い部屋に置かれたベッドと、本棚には地球の漫画や小説が並んでいる。娯楽といったらそのくらいで、テレビモニターがありこそするも、そちらには何も映らない。
ドアの外へ出てみても、廊下を歩いても脱出の道はない。
いくつか並ぶ部屋にはいずれも鍵がかかっておらず、特に対したものはないが出入りも自由だ。だからこそ、透は不思議なことに気づくのだ。
どこにも、本当に出口がない。
例えば一つのドアだけに鍵がかかっていて、他のドアは自由に開けられる状態なら、きっとそのドアこそが出口ではないかと思う。
おかしいのだ。
どのドアも出入り自由で、開かないドアなど一つもない中、階段に繋がる場所もなければ、屋外に繋がる経路もない。人が出入りするための、そもそも通路自体が用意されていないなど、まともではありえない。
だいたい、窓すらどこにもない。
日の差し込んでくることのない屋内で、数日を過ごした透なのだが、ここに来てからあまり眠れた気はしない。
「樋口……」
数日前の記憶が鮮明に残されている。
あのモニターから、円香が四人に犯されている映像を見せつけられ、透は深く絶望した。大事な親友の無惨な姿に胸を痛め、そして次は自分の番かと恐れを抱き、こうしている今にもどんよりとしたものが胸を漂い続けている。
「会いたい…………」
会ってどうするのかはわからない。
輪姦されたであろう円香に向かって、かける言葉など思いつかない。
だが、一人にはしておけない。
透自身、こんなところに一人ではいたくない。
親友の顔を思い、自らの寂しさを思い、心は円香を求めてやまいが、暇つぶしに探した脱出の手がかりも、結局は何もない。
ドアどころか、通気口のようなものすら見当たらない。
「まー……。あれ、映画だけどさ」
あまりにもやることがなく、もはや床に大の字で広がっているしかないのだが、心はざわついたままである。本当は落ち着いてなどいられない気持ちで、それでもなお、取るべき行動の何一つない状況が、透をこんな風にさせていた。
「会いたい……」
ぼーっと呟く透の言葉に、不意に答える声があった。
『へー? 会いたい?』
「そりゃぁ……。え?」
あまりにも唐突な出来事だと、かえって自然と返事をしてしまうものなのか。
透は次の瞬間に勢いよく跳ね起きて、驚愕に染まり変わった眼差しを勢いよくモニターに向けていた。
そこには愛野が映っていた。
テレビ通話の状態なのか、こちらの姿も映っているのか。
画面越しの視線は明らかに透の起き上がる動きを目で追っていた。
『やあ、透ちゃん』
「……なに」
とても穏やかな対応はできない。
自分を攫い、監禁した犯人相手に、身構えずにいることはできっこない。
それに愛野の顔を見ているだけで、脳裏には様々な悪夢が蘇り、次から次へと掠めていく。一番記憶に新しいジャングルジムへの挑戦と、円香の犯される映像は、実に鮮明なものだった。
『会いたいんでしょう? 円香ちゃんに』
「そうだけど」
『会わせてあげようか?』
「…………」
本当は即答したかった。
飛びつくように頷いて、懇願してでも会わせて欲しいところなのだが、どうせ愛野のことである。会いたかったらゲームをクリアしろなどと言い、またしても辱めてくるのではないかと、透はまず真っ先に警戒していた。
『今から、言う通りにしたら会わせてあげるよ』
やっぱり、と透は思う。
ゲームでなくとも、服を脱げだの、性交渉に応じろだの、そんな話しになるのは目に見えていた。
『返事がないようだけど、一応説明だけはしておくよ。まあ乗り気でないなら、無理にやらなくてはいいけどね』
そうして愛野は、無言を貫く円香に向かって、饒舌なまでに条件を語り始める。
その内容は決して直接的なものではなく、ストレートに抱かせろと言ってくることもなかったが、それでも透の中から警戒心は消えていない。
どうせ肝心な目論見は伏せているだけで、後出しでどんな辱めが始まるかもわからない。
だが、少しでも会える可能性があるのなら……。
*
透はコップの水を飲む。
この監禁生活の中で、食事はいつの間にか用意されている。誰が運び込んできた気配もなく、本物の宇宙人が持つテクノロジーで、いちいち転送されてきているのかもしれない。
愛野の言った条件はこうだ。
まず、水分補給の水を用意するから、それを飲んで欲しいとのことである。何か薬でも混ざっているかと、実に恐る恐ると飲んだわけだった。
そしてクローゼットの中に高校時代の制服を用意するから、それに着替えろとも言っていた。
時間になった瞬間開いてみれば、確か今までなかったはずの服がかかっており、ますます気味の悪さを感じていた。
着替えが済んだら、あとは指定のドアを開けば、自動的に行き先へ繋がるようにしてあるというので開いてみれば、そこにあるはずの部屋の景色が消えていた。
ドアの向こうがそのまま公園だった。
ついさっきまで、普通に部屋があるだけだったはずなのに、まったく別の世界が広がっている。しかもそこへ出ていって、試しに振り向いてみたところ、後ろに建物の姿はなく、ただドアだけが立っているのだ。
「どこでも――――」
アニメの秘密道具を思い出す。
こんな普通でない体験が続いたせいか、大した驚きの気持ちは湧いていない。
「地球? なわけ、ないのかな」
見上げれば月、見渡せば滑り台や砂場にジャングルジム。
ここが地球なら、どうにか歩き続けていれば、自分の居場所を突き止めいつかは家に戻れるだろうが、円香を残して帰ることを思ったら、そんな思いつきも掻き消される。
愛野から言われたのは、ここで立って待っていろ、というたったそれだけの指示である。それ以上のことも、それ以下のことも言われていない。
もしも親切に再会させてくれる気があるなら、ここが待ち合わせの現場になっていて、そのうちひょっこり円香が顔を出してくるのだろう。
そうであって欲しかったが、そうはならなかった。
「――え?」
その瞬間、透は唖然としていた。
まず、意味がわからなかった。
急に景色が変わったのだ。
夜の公園に立っていたと思ったら、いつの間にやら透は電車の中にいた。窓を前にして、日中の電車の中で、どこの街かもわからないビル群の、流れ去る景色をただ呆然と眺めていた。
まるで夢でも見ていたようだ。
今の今まで、ドアの外へ出て公園の中心に立つまでの、一連の流れは全て夢で、それが今になってハっと意識が目覚めたように、透はここに立っていた。
しかも目覚めたなど、ものの例えに過ぎない。
意識がぼんやりしていたわけでなく、目も心もばっちりと鮮明なまま、自分のいるポイントが切り替わった。
ワープだの転送だの、そんな技術で人の居場所を急に変えたら、飛ばされた人間は今の透と同じ感覚に陥るだろうか。
そして今のは本当に、そういった未知の高度な技術が使われていても、おかしくはない。
既に信じられない体験をしてきたせいか、こんな状況さえも透はある意味受け入れていた。そして何かの辱めを受けるだろう未来を思うと、そういう意味では受け入れる気持ちなどないのであった。
さらに、その瞬間だった。
「よお」
「待ってたよー?」
聞き覚えのある二人の声に、透は凍りついていた。
気づけば窓の反射で微妙に、人の顔らしきものが背後に窺える。日中の窓では映りが悪く、薄らとした朧気な像にしかならないが、透自身ともう二人、計三人の存在だけはどうにかわかる。
「さーて、チェックチェック」
後ろからスカートが捲られた。
尻に触れていた丈の気配が遠のいて、後ろからショーツを見られていることがわかると、透は少しずつ頬を赤らめる。
だが、なおも動けない。
頬には微熱が溜まる一方で、背筋や手足を支配するのは、凍りつくような感覚だけだった。
窓の薄くぼんやりした像は沈んでいき、透がひしひしと感じるものは、尻に集中的に突き刺さる視線である。
しゃがみ込んでまで、まじまじと観察してきているのだ。
「ほーう? パープルか」
「いいねぇ! セクシーな色で!」
頬の桃色がさらに強まる。
透が穿いている薄紫は、やや明るめな色合いで、布は尻の割れ目に入り込んでいる。後ろから突き刺さる二人の視線は、そんな皺の具合を愛でていたり、ゴムからはみ出た尻肉の、ぷにりと微妙に潰れた部分を楽しんだりしているのだ。
視姦される恥ずかしさに、しばし目を伏せる透の背筋に、ふとした拍子に寒気が走った。
ぞくっと、急な悪寒の理由はフラッシュバックだ。
以前もこうして電車の中で、当時は円香も一緒に痴漢され、心をひどく辱められている。嫌な思い出が脳裏を駆け抜け、今度は一体どれほど蹂躙されるのかと、不安ばかりが胸を漂い続けていた。
「さーて、お次はお次は?」
背後で片方が立ち上がる。
動作に伴う微妙な衣擦れの音は、電車の走行音ぐらいしか物音のない、静寂な空間だからよく聞こえる。おかげで後ろの気配がわかり、しかし急に背中に触れられるとはわからなかった。
「……っ!」
指があたって、透はびくりと強張った。
ワイシャツの上から当たった指は、ブラジャーのホックをなぞり、そのままライン沿いを伝ってくるように、背骨の位置から脇下へとスライドする。
二の腕を飛び越えて、手前までやってくるのは左手だった。
「うっ……」
胸が鷲掴みにされていた。
指の食い込みに応じて皺は刻まれ、ブラジャーの内側では乳房が変形を繰り返す。
すると、もう一人の方も立ち上がる。
スカート丈から手が離れ、ショーツが隠れた代わりのように、右後方に立つ男の右手が伸びて、右側の乳房も揉まれるのだった。
左手で左の胸が、右手で右の胸が、それぞれ揉まれる。
そして、しばし味わったかと思いきや、今度はボタンを外しに動く。二人の手はコンビネーションを発揮して、右手は下のへと、左手は上のボタンを狙い、阿吽の呼吸でそれぞれの狙いを決めて、指先で外そうとし始める。
「や……だ…………」
透は抵抗できずにいた。
ひたすら固まり続けるばかりで、言葉による抗いすらできないまま、されるがままにボタンを外される。逆らうには相手が悪すぎると、全身が理解しきったように、指先一つすら抵抗のためには動かない。
ボタンが外れた。
一つ、また一つと外れるたび、ワイシャツの中心には小さな隙間が亀裂のように広がって、ブラジャーの薄紫がミリ単位で覗けて見える。
次の瞬間、電車は不意にトンネルへ突入した。
窓の向こうが暗くなり、黒鏡のように反射しやすくなった時、二人の男はワイシャツだけを掴んで引っ張って、中身をあらわにするのであった。
「や……!」
小さな悲鳴を上げ、ますます顔を赤らめる。
窓に透自身のブラジャーが映るばかりか、今になってようやく背後の顔がはっきりした。
だが、声でもわかってはいた。
相手が津馬と土良井であることは――。
「おう、何日ぶりだ?」
右の胸を揉みしだき、ブラジャーもろとも変形させてくる津馬は、顎髭を蓄えたダンディチックな面構えだ。顔だけを見るのなら、ハードボイルドな役柄の似合いそうな男だが、しかし今は乳房の感触で大いに喜び、いやらしさ満載の、鼻の下を伸ばしきった顔を窓に反射させている。
左側は土良井である。
土良井はヒョロヒョロとした細身の長身で頬も痩せこけ、その不健康そうな顔が口角を釣り上げている。その目で性的に見られると、蛇にでも狙われたような気持ちになる。
「ひ、樋口は…………」
やっと開いた口から出るのは、円香を案じた一言だった。
「ああ? 円香ちゃんねぇ?」
まず津馬がとぼけた風な顔をする。
「わかってるよねぇ? 簡単には会えないよぉ? 僕達の遊びに付き合ってからじゃないとねぇ?」
土良井はにやけきった顔でテンション高く、上擦った声を耳の裏側に吹き込んでくる。息がかかってくるせいで、透はぞくりと肩を持ち上げているのであった。
「それでいいから、どうすればいい?」
透は諦めきっていた。
逆らっても無駄であることを散々に思い知り、だから何かの目に遭わされることは、もう受け入れてしまっている。心では拒否感を抱いているが、他に道はないならと、諦めの境地であった。
「にしても、このブラもなかなかだなぁ? ここんところにレースがああって、花びらの入り方にもセクシーさってものを感じるよなぁ?」
津馬が下着の感想を言ってくる。
「だねだね。透ちゃん、色も意外と似合ってるよぉ?」
おぞましく裏返った猫なで声は、やはり耳の裏側に直接かけられ、息遣いがそのまま皮膚に触れてくる。
あまりの気持ち悪さに顔が引き攣り、そんな自分自身の歪んだ表情がやはり映った。
「今からな。その体にたっぷり刺激を与えてやる」
「でね? でね? それで失禁せずにいられたら、円香ちゃんに会わせてあげちゃおっかなーってわけ」
「失禁って……」
透はますます身構える。
ただ尻や胸への痴漢に耐えるだけでなく、もっと激しい何かを堪え抜かなくてはいけないのかと、透はその失禁という言葉から恐れを成しているのであった。
「ああ、ちなみにこいつはサービスでな。せめて様子くらいは見せてやるよ」
津馬が言った途端であった。
窓ガラスに映像が再生された。
それが単なるガラスでなく、正体は液晶パネルだったかのように、しかしテレビモニターや横向きのスマートフォンと同じ縦横の比率でもって、そこに円香は映し出される。
「樋口……!」
シャワーを浴びている最中だった。
浴室を平然と盗撮しているのかと思ったら、薄ら寒くなるものの、こんな形であっても円香の顔を拝めたことに、少しでも喜びは湧いてくる。
いいや、覗き見ていいものではない。
罪悪感を伴っての、それは複雑な喜びとなる。
「セクシーだよなぁ? こういう場面はよぉ」
津馬がニヤニヤ言いながら、あからさまに体を近づけ、右肩の後ろに密着してくる。右手で胸を揉みながら、左手は下へと伸ばし、おもむろに尻を掴んでくるのであった。
「流れ落ちるシャワーのお湯! シャンプーの泡!」
土良井も同じく左肩に身体を触れさせて、右手を尻たぶに食い込ませる。
四つの手が透の身体を堪能していた。
左右の乳房、左右の尻たぶ、どれもが指に揉まれて変形を繰り返し、透はそれにただただ強張り震え続ける。
『は? ちょ、ちょっと……!』
そして映像の中、急に円香が振り向いてきた。
今まで流れていた背中と尻の、体表をシャンプーの泡が伝い流れる最中の、何かにビクっと反応した咄嗟の振り向きで、動画の円香と目が合った。
だがそれは映像の出来事にすぎない。
実際に円香が見ているものは、自分の身に迫る愛野であった。
『やあ、一緒にシャワーを浴びようよ』
『来ないで……欲しいんだけど……』
『いいじゃんいいじゃん。遠慮しないで』
後ずさる円香に向かって、迫る愛野の背中が映る。
愛野はそのまま距離を詰め、抱きつく風に腕を回していったと思いきや、円香の身体をカメラに向けて、後ろから密着する形を取り始めた。
背後からの乳揉みである。
シャワーによる滴が延々と弾け続けて、お湯が表皮を流れ落ちている中での、乳房に絡みつく指の踊りと、それを嫌がる円香の顔が映像の中には展開される。
「樋口…………」
心が冷え込んでいくようだった。
離れ離れになっているあいだにも、円香はああいう目に合い続け、そして今は透自身も辱めを受けつつある。
映像は途中で切り替わった。
突如のようにぷっつりとシャワーが途切れ、別の場面が流れた時、やはり円香は辱めを受けていた。
大の字に磔にされ、四方八方からマジックハンドや筆が伸びての、道具によって恥部を攻められる映像で、円香は髪を振り乱しながら喘ぎ散らし、やがて絶頂のあまりに失神していた。
ぐったりと動かなくなる円香を最後に、今度は映像そのものがぶっつり途切れ、窓に映るのはトンネルの壁だけとなる。電車の速度によって流れ去っての、素早いスライドだけが窓の景色として残されていた。
浅倉透は両手をつり革に縛られていた。
手錠の鎖をつり革のリングに通し、両腕の微妙に吊り上がった形で拘束されて、透はその場からの身動きを封じられている。
その頃には電車がトンネルを抜け、車内には再び陽射しが差し込んでいた。
「んじゃ、ゲームといこうか」
津馬が真正面から迫って来ると、伸びる両手でボタンに触れ、残りを外し始めていた。胸だけを露出したワイシャツから、全てを取り外そうとしていた。
「………………」
透は赤面しつつある顔で津馬からは目を背け、ただ黙々と耐え忍ぶ。
失禁したら負けというゲームの、それ以上の詳しいルールは聞かされていない。何分耐えたらクリアなのか、負けたらどうなってしまうのか。
詳細があまりわからず、勝敗のイメージが一切掴めない不安もそうだが、透は他にも一杯の水を思い出していた。
部屋を出る前、飲むように指示されたコップの水。
こんな勝負を思いつくなら、もしや利尿剤でも入っていたのではないか、自分はそれを飲んでしまっていないかと、みるみるうちに不安は膨らむ。
「へへっ、上出来だぜ? 透ちゃん」
津馬の手により、ワイシャツのボタンは全て外れた。
「それじゃあ、スカートもちょーっと上げちゃおうね?」
今度は土良井がスカート丈を持ち上げると、内側に折り込み始めた。裏返った丈が腰周りに差し込まれ、周囲には裏地だけを見せる形となったスカートの、長さもだんだんと短くなる。
どちらの下着も丸出しとなり、そしてゲームは始まった。
「ほーら、こいつをプレゼントだ」
津馬がその手に握るのは筆だった。
その柔らかな先っぽを近づけるなり、左手ではブラジャーを掴んで持ち上げる。ずり上がった下から中身は露出して、飛び出た乳首に早速筆は絡みつく。
「お尻ちゃーん? 堪能しちゃうよーん!」
そして後ろからは、尻に顔が押しつけられた。
「や……!」
背中全体に悪寒が走り、透は引き攣るあまりに大きく目を見開ききっていた。
「すー……はー……」
人の尻に鼻先を埋め込んで、土良井はわざとらしい深呼吸を繰り返す。さらには両手が前に回され、クロッチを介して性器の周辺もなぞってくる。
そのおぞましさに、たちまち鳥肌は広がっていた。
「うっ、うぅ――――」
拒否反応が湧き起こる。
背中が総毛立っている。
「ほーれ、乳首が硬いぞ?」
かと思いきや、筆責めにくすぐられた乳首には血流が集まって、どちらも突起しつつある。
さらに、その時だった。
透の目前にホロウィンドウが浮かび上がった。
今度は空中に、まるでタブレットから液晶部分だけを切り取り浮遊させているように、たった数十センチ前に映像が流れ始めて、そこには乳房が大きく映し出されていた。
筆が乳首に絡んでいる。
透が受けている攻めと同じく、映像の中でも筆の先端が乳首を虐め抜いている。それがリアルタイムの映像だとすぐに悟ると、透は咄嗟に目を背け、映像を見ないようにするのであった。
「おい、目を逸らしたら円香ちゃんとの再会は無しにするぜ?」
「そんな……」
「いいか? きちんと見ろ」
「わ、わかった……」
泣く泣くと、躊躇いながら視線を向け直し、すると今度は尻が大きく映し出される。押しつけられていた土良井の顔はすっと離れて、ショーツの尻が画面を占めた。
その次の瞬間だ。
ずるっ、
と、一瞬にして布が剥かれた。
後ろ側だけが綺麗にずり下げられ、透の尻は丸出しにされるのだった。
「あぁ……!」
「へへっ、アソコも見せてもらおうかねー?」
津馬がしゃがむ。
その視線が真っ直ぐに、真正面から性器の位置へ注がれる恥ずかしさを感じていると、すぐに指先は伸びてくる。ゴムの内側に指先を忍ばせて、布を横へとずらすことで、ワレメをあらわにしてくるのだ。
「うぅ………!」
さらに羞恥心が膨れ上がった。
アソコへの筆責めが開始され、ワレメを上下になぞる毛先のくすぐったさと、快感で膝をしきりにモゾモゾさせる。
「ひっ!」
さらには首もやられていた。
「いい声だねぇ? 今のは!」
土良井である。
後ろからも筆が使われ、土良井はうなじを攻めてきたのだ。
「うっ、んぅ――んっ、んっ、あっ、あぁ…………!」
うなじをやられて、ゾクゾクとしてならない感覚に、アソコをやられて快楽の走る感じが合わさって、透は全身で身悶えする。手錠からぶら下がる両手がよがり、太ももは微妙な開閉を繰り返した。
「うっあ、あぁ……あぁ……」
さらにモニターの中身は切り替わり、剥き出しのアソコが大きく拡大されている。布を横にずらしただけの、まだショーツに隠れた部分こそ残しつつ、露出しているワレメには、筆の先端が上下に動いているのであった。
「やっ、あっ、んぅ――――」
その感覚にか弱い悲鳴のような声を出したり、堪えんばかりの息を吐き出したり、全身いたるところをモゾモゾとさせながら、透は声を吐き出している。
「んっ!」
耳だった。
うなじをくすぐり続けた筆は、今度は耳の裏側をやり始め、やはりぞくりとした感覚に両肩が跳ね上がる。
「んっ、やっ、あぁ――――」
「もっと嫌がってもいいんだよ?」
その時、土良井が言ってくる。
「んっんっ――」
「ほら、やめてとか、嫌だとか、もっと言ってごらんよぉ! その方が張り合いがあるし、いい映像になると思うんだよねぇ?」
そんな土良井の言葉を聞くに、まるでアダルト映像に出演させられ、その女優として扱われている感覚を覚えていた。それも契約を交わした仕事ではなく、奴隷として差し出された上での出演であるような、扱いに対する屈辱感が大いに膨らむ。
「言うことを聞いた方がいいぜ? でないと、俺らの機嫌を損ねたら、どうあっても再会は取り消しかもな?」
そう津馬に脅される。
「やめて…………」
その言葉に背中を押され、透は弱々しい言葉を吐き出した。
「や、やめて……下さい…………」
もちろん、やめてもらえるわけがない。
「おやぁ? なーにをやめて欲しいのかな?」
土良井は正面に回って来て、前からも耳をくすぐる。筆の先端が耳穴やその周囲をなぞり、くすぐったさに肩の辺りが跳ね上がった。
「やめて……そ、それ……筆が、くすぐったい……」
「おっと? なら、こっちはどうかな?」
土良井の筆が乳首に移る。
「んっ、んぅ――!」
すると二重の刺激になった。
アソコが気持ちいい状況で、乳首にもまた性的な刺激が加わることで、体が急速に火照り始める。太ももを引き締めて、反射的に下腹部を収縮させると、ついには愛液が滴り始め、それが筆の毛先を濡らすのだった。
ホロウィンドウにも映っている。
目を逸らすことの許されない映像には、愛液の様子が拡大され、元は乾いていた筆が愛液を掬い取り、水分の吸収で鋭く尖って見えてくるまでの様子を、透ははっきりと観察してしまっていた。
そして、それだけ尖った筆が次に狙うのは――。
「んぅぅぅぅぅ――――!」
ビクっと腰が後ろへ引っ込んだ。
透が今まさにやられたのは、クリトリスなのだった。
「んっ、あっ、や……だ…………!」
左手の指でワレメを開き、少しでも隙間の出来たところへ先端を差し込んでの、豆のような突起を狙い済まして、津馬は集中的な刺激を行ってくる。
「んっあっ、あぁ――あぁぁ…………!」
「クリちゃんが気持ちいいねぇ? ほらほら、僕は乳首をやってあげるからね?」
そして土良井は乳首をくすぐり、透は上下からくる刺激に翻弄され続ける。
乳首はどちらも、すっかり敏感だった。
筆先になぞり上げられ、その刺激は全身に何かが駆け巡るほどのものをもたらす。ならばクリトリスから走る感覚はそれ以上で、今にも快楽で神経が焼き付きそうだ。
「あっ、あぁぁ――――!」
喘ぎ続けているうちに、津馬の筆がおもむろに引っ込んだ。
だがそれは愛撫の終わりを決して意味せず、入れ替わるようにマリモモップが登場する。
「そーれ」
刺激の方法が変わっただけだった。
股のあいだにマリモモップを抜き差しして、そのくすぐる感じでアソコを嬲る。マリモモップの表面には、たちまち愛液が絡みつき、その滑りの良さも刺激の一端を担う形となった。
「あっ、あぁぁ――――」
快楽は膨らむ一方だ。
「あっ、あぁ――あっ、やぁ…………!」
「うっひー! 声が可愛いねぇ? その嫌だ嫌だみたいな首の振り方も最高だよぉ!」
感じて髪を振り乱し、声も荒っぽくする円香を見て、それを具体的に指摘しながら土良井はテンションを上げている。
「まったくだなぁ? こいつも、もうこんなにびしょ濡れだ」
津馬も津馬で、自分の使うマリモモップが水分の吸収で縮んでいるところを見ながら、満足そうににやけている。
「うっ、うぅぅ――」
その時、透は内股に込める力を強めた。
「お? 出ちまうのか?」
「お漏らしかな? お漏らしかな?」
その通りだった。
急に尿意が強まって、今にもオシッコの出そうな危機感に晒されたのだ。
やはりあの水には、利尿剤でも入っていたのか。
太ももを力強く引き締めて、透は腰を震わせながら耐え忍ぶ。
「よーし、あと十秒耐えろ」
思いついたように津馬が言う。
「お、いいねぇ? 頑張ってねー?」
それに土良井が乗り気になると、津馬によるカウントは始まった。
「十、九、八、七――」
「お股のぷるぷる震えた感じが可愛いよー? 必死に耐えている顔だねぇ?」
「六、五、四、三――――」
「歯を食い縛ってるのかなー? そうやって我慢してるのかな?」
「二、一――――」
十秒などあっという間であった。
しかし急速に強まる尿意で、そのたった十秒に耐えきれるか、透は不安でならなかった。今にも中身を噴き出して、床を汚してしまいそうな危機感で、深刻な思いを胸に本当に必死で堪えていた。
果たして、その我慢の甲斐はあったのか。
「――ゼロ」
そう聞こえた時――。
透の居場所が変化していた。
またパっと、いつの間に電車内にいた時と同じくして、透の見ている景色は変わっていた。さらには手錠もどこかに消え、両手が自由になった上での、この場所はどこかの室内のようだった。
「樋口!」
そして、透は円香の姿を見た。
大の字で磔にする拘束具の、全裸で身動きを封じられた円香の両隣には、愛野と火亜のそれぞれ二人の姿があった。
「あ、浅倉!?」
驚きに目を丸める円香を見て、透はついつい、一瞬ばかり気を緩める。
本当に一瞬だが、透は忘れてしまっていた。
たった今まで、自分が一体何を我慢していたはずなのか。
その危うい気の緩みによって、透は急に大きく目を見開き、自分の内股に流れる温かな水気に気づくのだった。
「あっ、あぁ…………」
失禁してしまった。
それどころか、先ほどまでの刺激のせいか、ビクビクと体の痙攣する感じが急に来て、絶頂さえしながら透は尿をその場に垂れ流していた。
最悪だった。
親友の前で、まさかこんな姿を晒すだなんて――。
「浅倉…………」
いかにも気まずそうな、消え入りそうな声を聞き、その次の瞬間に聞こえる水音で、しかし透は軽く目を丸めていた。
チョロロロロロロ――。
もしや円香も、放尿の我慢をさせられていたのか。
大の字に開いた股からは、真っ直ぐに真下へ向かって、黄色いものが流れ落ちているのであった。
*
そして、二人は並べられていた。
「はーい! 撮るよーん!」
などと声をかけ、男達は四人揃ってカメラを構える。撮影大会を開始して、パシャパシャとシャッター音声を鳴らし続けている前で、透と円香は全裸で拘束されていた。
どちらも大の字の磔で、身動きを封じられながら、どこも隠すことの出来ないままに、ただ一方的に体を撮られ続けているのであった。
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