囚われのサリア、ひたすら機械に責めらる。
前編後編
アーツ阻害システムの開発に成功し、その運用テストを行った結果、実用は極めて限定的なものとなることが判明した。
阻害システムの基礎原理はアーツユニットの妨害に加え、それを操ろうとする人間の技術にも不具合を生じさせ、不発に押さえ込むものである。一応の成功はしたと言えるが、戦闘現場に持ち込むことはまずできない。
第一の理由として、巨大な設備が必要となる。
壁や天井を丸ごと機械化するような規模を設計した上、定期的なメンテナンスや使用時の消費電力など、現状では運用コストが高い上、阻害空間も室内という限定的な領域にしか発生させることはできない。
山域、密林、海岸沿いなど、戦闘とはどんな地形で発生するかがわからない。
よって、当面は軍事的な売り込みは避け、防犯や監獄設備といった方向に運用方針を運ぶことになるだろう。囚人の能力を封印する意義は言うまでもなく、防犯設備としての可能性、基地に侵入した者へのトラップといった扱いも考えられる。
「なるほど」
彼は書類をテーブルに置き直し、眼鏡をずらして目を揉んだ。
ライン生命所属の彼は、もっぱら技術の売り込みなど、外部への営業を主として働いており、開発に関わる一連の内容に目を通したところである。
アーツ阻害システム自体は素晴らしい。
有用な技術なのだが、運用コストの観点から、まだどこにも売ることはできないだろう。一回の起動ごとに見込まれる出費の見積もり、そもそもの導入にかかる手間などが、せっかくの魅力をいくらでも削ぎ落とす。
経営者の男は残念そうに頭を振り、やれやれといった具合に肩を竦めた。
「ま、そういうわけなんだ」
そして、その経営者の男の前には、テーブルを挟んだ向こう側にもう一人、白衣を纏った技術者の男がいた。
「ご察しの通り、起動時の消費エネルギーを考えると、よほどの化け物を封じるのでもない限り割りに合わない」
彼に書類を見せていたのは、開発グループのリーダーだった。
「まったくだよ。これでは実験を繰り返すにも資金が流出しすぎてしまう。いや、後先考えずにみんながこれをやり始めたら、金があってもエネルギー資源の方が枯渇しそうだ」
彼は冗談めかしてそう言うが、あながち冗談とも言い切れない。
だから極力、節約を意識しながら今後も研究を進めることになるのだが、となると急速な技術発達は望めず、どこにでも売り込み可能になるのは十年先になるかもしれない。
「森を買い占めてなお余る金があっても、生えた木材が有限だからね。この消費エネルギー量の問題は早々に解決したい」
「そうしてくれないことには、技術の発展どころか開発自体を維持できない」
研究速度にすら関わる問題は、現場にとっても深刻なものだろう。小説家が今どき手書きの原稿を進めるよりも、なお時間効率は悪い気がする。
「ああ、そこでなんだが、金に関してはプランがある。協力してくれないか?」
……金か。
森を買い占めても、という例えを出したばかりの張本人が、金の方の問題解決を唱えようとしているのだ。
無論、資金の話は重要だ。
「ま、話くらいは聞かせてもらうよ」
聞かないわけにはいかないだろう。
「男なんて生き物は、だいたいそういうことに金を使う。そんなことは、俺達自身がよく知っているだろう?」
「まあね」
「そして、出演する女性に魅力があればあるほど、それを見たがる男の財布も緩むというもんじゃないか」
聞けば聞くほど、経営者の男は眉を顰めた。
リーダーが言っているのは、要するにアダルト動画を撮影しようという話だ。なるほど、わかりやすい資金調達の方法だが、アダルトコンテンツだから必ず売れる、などという保障はない。
一体、どんなビジョンがあるわけなのか。
「そんじゃそこらの女性とは価値の次元が違うような女性にアテがあり、計画まで用意していると?」
「〝彼女〟だ」
リーダーの言葉を聞いた途端、経営者の男は表情を曇らせる。
「上手くいくとは思えない」
いくらアーツ阻害システムがあっても、あの〝彼女〟が屈する姿をイメージできない。
「いいや、やってみせるさ。俺達には絶対的な設備が付いている。誘き寄せるための手段も用意している。そこに入ったが最後、アーツを使うことができずに無力化され、俺達の思い通りになって終わりさ」
「…………」
経営者の男は沈黙によって答えを渋り、俯きながら考え込む。
確かに、あの女性の痴態を記録して、動画として売り込むことが出来るのなら、高額で買い取るような販売相手は見繕える。
だが、成功しなければ意味はない。
アーツを封じたところで、彼女はその肉体すら屈強で、それだけでは完全な無力化などできない。アーツ阻害システムに重ね、さらにもう一段階の何かを用意しなければ成功はありえない。
「お前の心配はわかる。だが――――」
その時、リーダーの男はより詳細に計画を語って来る。
それを聞けば聞くほどに、不安と曇りに満ちた経営者の男の顔は、徐々に晴れやかなものへと変わっていた。
「乗った。僕は慎重な人間だが、ギャンブルを嫌っているわけじゃない」
「そうこなくっちゃ」
リーダーはテーブルの上へと手を伸ばす。
それを見て、経営者の男も手を伸ばし、握手を交わしていた。
*
目覚めた時、そこは分娩台だった。
「やられたか」
その瞬間から、サリアは既に自分の身に起きたことを理解していた。
ライン生命の起こす不祥事の気配を嗅ぎつけ、事の始末をつけようと考え某国ビルへ赴くと、待っていたように現れた二人の人物を前に、自分の掴んだ情報が釣り餌だったと気づいたのだ。
二人揃って、何かの勝利を確信した様子は、サリアにそれを悟らせる要素として十分だった。
だが気づいた時には、もう罠が起動していた。
ある程度の事態は想定していた。
向かう先に何らかの用意があることも、仕掛けられた罠の種類も、頭の中にはいくつかのパターンを用意していたが、アーツ阻害システムはそのどれにも当てはまらない。まったく想定外の事態に直面して、なおもサリアは冷静な判断力により、戦闘か、撤退かの選択肢を脳裏に浮かべた。
しかし、阻害システムの設備だけではない。
パワードスーツを改良して、自立型ロボットとして動くそれに囲まれた時、硬質化の使えない状況で、サリアは自分がいかに追い込まれてしまったかを嫌でも理解し、さすがに撤退を前提に考え始めていた。
その撤退すら許されず、床から、天井から、人の意識を奪うための煙が噴き出た。
部屋全体が、壁も床も全てが、立ち入った者を確実に、より絶対的の無効化するための高度なトラップルームだったのだ。
たちまちサリアは気を失い、地面に伏してからというもの、目覚めてみればこれである。
全裸の状態で、分娩台だ。
足を乗せるためのアームには、丈夫な革のベルトが巻かれ、サリアの両足は固く固定されている。肉体にはまだ煙の効果が残っており、どうやら筋力すら半減させられ、アーツはなおも使えない。
おまけに両手も、頭の上で手錠に拘束されている。背もたれの上部、頭を乗せるための部分には、手錠の鎖を通せる穴が空いており、サリアは後頭部に両手を組んだかのような、筋トレの腹筋のような腕の形で、両手を使えなくされている。
首には固い金属の感触があり、細い首輪が巻かれていることにも気づいていた。何の首輪かは知らないが、拘束を引き千切るだけの力を取り戻せば、すぐにでも機能を紹介してもらえるのだろう。
そして、それが爆弾だった時には笑えない。
腰のあたりには微妙な角度がつけられており、下腹部は微妙に上向きに、正面から肛門が見えやすいよう調整されている。尻の下、尾てい骨のあたりから伸びた尻尾は、そんな肛門の真下から垂れ下がり、ぷらぷらと揺れているのだった。
無力化されきった状態の上に重ねて、さらに拘束という念の入りようにより、サリアにはもはや一切の抵抗も許されずにいるわけだ。
無防備な全裸のままに、足はM字の状態から形を変えることができない。手で恥部を隠す自由もなく、そこに立てられたカメラによって、サリアの肢体は撮られ放題というわけだ。
分娩台の真正面に、三脚台のカメラが設置されている。
サリアはそれを静かに睨み、それから周囲に視線を走らせる。壁に床、天井の作りを見るに、おそらくプレートの内側は機械化してある。どこのタイルやプレートも、四隅をネジで留めており、取り外すことで中身のメンテナンスを行うことに察しがついた。
最初に受けたアーツ阻害システムといい、建物全体が一つのマシンであり、仮に拘束を破るだけの力が残っていても、サリアの知らない第三、第四のギミックが登場するはずだ。
カメラの向こう側にはモニターが鎮座していた。
映画館ほどではないが、随分と大きなスクリーンは、数人で両手を伸ばしてやっとの画面サイズといったところか。人の背丈よりも高いモニターを背に、三脚台のカメラは立ち、その赤いランプの点滅が目に入る。
その点滅はきっと、カメラが起動中であり、こうしている今にも――いや、目が覚めるよりもずっと前から、映像を撮られ続けていることを意味している。
「これが目的か?」
部屋の中には誰もいない。
だが、しかし返事があることを確信して、どこにというわけでもなく問いかける。マイクに拾ってもらえるだけの声量さえあれば、必ず返事はあるはずだ。
『そういうことだ』
『君には需要がある』
二人分の音声が、天井に仕込まれたスピーカーから降り注ぐ。まるで天井の板に直接喋られているように、まさに真上から届いた声に、サリアは軽く鼻を慣らした。
「ご苦労なことだ」
僅かに赤らみかける頬に意識を注ぎ、サリアは羞恥心を押さえ込む。どうせ見られているとはわかっていたが、こうして声を聞くことで、確信を形にした結果、どこからか視姦されていることの実感が急に湧いて膨らんだのだ。
『どうかな? AV女優になった気分は』
「どうということもない。ツケは必ず払ってもらうだけの話だ」
『それでこそ、あなただ。そちらは我々を知らないだろうが、こちらはあなたの活躍をよく知っている』
「他にもファンがいるとでも言うわけだ」
『正解』
「正解ついでに言っておく。私を今のうちに解放した方がいい。こういう目に遭えば、私怨を晴らしたくもなるからな」
『それは怖い。だが、今だけは怖くない』
「直接姿を見せず、安全なところにいればそうだろうな」
『君もそうだろう? ある種の恐怖を抱く必要がないと、もう既に状況を理解している』
「お前が需要などと言うからだ」
答え、サリアは鼻を慣らす。
その手の目的ならば、特殊な趣味趣向でもなければ、女体を痛めつけては台無しである。まして流血を起こしてしまえば、せっかくの女を一体どれほど勿体なく感じるか。
拷問されることはないであろう、ある意味の安全はあっても、プライドや尊厳の保障は一切されていない。
こうしている今も、M字開脚というアソコを大いに目立たせた恥ずかしい格好のまま固定され、おそらく恥部を視姦されている。正面にあるあの三脚台のカメラを通してか、それとも他にカメラがあるかは知らないが、いずれかのレンズを通して、二人一緒にサリアの監視をしているわけだ。
『ところで、こうして話しているだけでは退屈だろう
「気遣いは無用だ」
『いいや、遠慮はいらない。楽しいムービーでも見てはどうかな』
その瞬間、これまで沈黙していたモニターには、サリアが思わず目を背けかけてしまうほど、大きく恥辱を煽るものが映し出される。おそらく三脚台のカメラを通しての、下腹部を大きくアップした映像だった。
それが巨大な画面に出ているのだ。
アソコや肛門がくっきりと、実物よりも遥かに大きく拡大され、よもや巨人の局部を見ているようである。どちらの穴も、その通りのサイズが存在したら、人間が中に潜り込めてしまいそうだ。
肉貝の微妙な膨らみは、二つの丘となって合わせ目を形成し、そのワレメよりも上へと進んだところに、髪の色と同じくした陰毛がささやかに生えている。逆にワレメよりも下を見てみれば、放射状の窄まりがばっちりと、皺の一本一本を丁寧に数えてしまえるほど、綺麗に映し出されている。
そして、尻に敷かれて垂れ下がる形となって、ヴィーヴルの尻尾は画面下部に僅かに映り込んでいる。
『いや、実に綺麗だ』
『日頃から、毛の手入れは欠かしていないのかな?』
『肛門も清潔感があっていい』
『確かに、鑑賞に耐えうる景色だよ』
二人の男は、どこかでワイングラスでも揺らし、芸術鑑賞のつもりにでもなっているのか。人の恥部について語ってくる。陰毛について言及したり、肛門がどうと言い出す言葉を聞かされて、それがますますサリアの恥辱を煽っていた。
(ふん、まあいい)
とはいえ、今のところは視姦だけだ。
能力を封じられ、ここまで無力化された上での拘束でありながら、実際に遭っている目といえば、全裸を鑑賞されているだけだ。状況から考えれば、これで済んでいる分には安い。
ただ、いつまでもこのままではないだろう。
やがて本格的な陵辱が始まって、サリアの尊厳は今よりもっと傷つけられる。
果たして、それはいつであろうか。
その未来は数秒先か、あるいはまだ何十分も待つことになるのだろうか。いつかも読めない、しかし確実に来るはずの未来を想像すると、生殺しのような気分にもなってくる。
『サリア。あなたも映画だけでは退屈だろう』
『ムービーにはポップコーンやドリンクが付きものだ』
そんな二つの声をきっかけにしたように、サリアの前にはロボットが現れていた。
厳密には始めからいたのだろう。
視界の外側に鎮座していたものが、今になって可動を開始し、移動によってサリアの真正面へと回り込んで来る。そのロボットのデザインを評するなら、下半身をキャタピラにした人型だった。
上半身は人間の構造を模して、腕を生やし、五本の指まで用意しているが、下半身には脚がない。タイヤ式の移動をするため、箱型の面がべったりと床に接している。
背丈は小さく、椅子の座板部分より、数ミリほど頭が低い。
カメラの前に入り込んでも、恥部の撮影を邪魔しないように、椅子かロボットの高さを調整してあるというわけだ。
「なんだそれは」
サリアは冷たい眼差しを向ける。
なるほど、便利なデザインだ。
下半身の形状がそれならば、それをそのままテーブルに、物を置いておく設計にできてしまう。ボックス形状の下半身は、テーブルの役目も兼ねて、サリアを辱めるためのアイテムを並べていた。
そのうち一つが、バイブだった。
ロボットはそのバイブを掴み、サリアの肛門目掛けて近づける。身動きの取れないサリアには、それを逃れる手立てはなく、すぐさま肛門に先端が触れてくるのを、ただ堪えることしかできないのだ。
「く……」
入ってくる。
肛門とはものを出す場所であり、入れるところではない。異物の挿入は困難なはずだと認識していたが、物の出入りに慣らしたことなど一度もない、バイブを受け入れる用意などないはずの穴に、しかしそれは入り込む。
モニターにも目がいった。
その画面サイズのせいで、今にも人が潜り込めそうに拡大され、巨人の肛門にすら見えるところへ、バイブは徐々に飲み込まれる。押し当たった先端に皺の窄まりが潰れると、押し込む力によってだんだんと、しだいしだいに穴は幅を広げていき、バイブが収まりつつあるのであった。
バイブは入って来た。
こうもあっさり、簡単に入って来た以上、もしや寝ているあいだにほぐされて、いつでも挿入可能な状態はとっくに出来上がっていたというわけか。
バイブが半ば以上は潜り込み、このままピストンでもして、穴を辱めるのかと思っていると、次の瞬間、直腸に感じるものは、サリアの予想と異なるものだった。
何かが注入されている。
男性器は排泄器官だ。
亀頭の先端から尿の放出があるように、バイブの先端にも注入した液体を排泄可能な機能が仕込まれていたらしい。それを直腸に吸収させるということは、何らかの薬品であることをサリアは即座に悟っていた。
液薬注入機能のあるバイブだったのだ。
「何を入れている」
サリアは問う。
『それもアーツ阻害の役割があってね』
『もっとも、腸に吸収させるものだから、拘束後にしか使えない。まあ大がかりな設備と違って、用途もコストもはっきりとしているから、こちらの方が商品としては人気が出るだろうな』
いや、それだけではない。
オイルのような粘性を帯びた薬液は、そのまま活性油の役目を帯びていたのだろう。次の瞬間には、アーム可動によるピストンが開始され、挿入時のように摩擦を負荷と感じない。活性油を挟んでいるおかげで、表皮との擦れ方はヌルっとあっさりしたものとなり、むしろ摩擦に快感さえ覚えるようになっていた。
「……ふん」
なるほど、気持ちいい。
だが、こんな形で得る性的快楽に、真の悦びなどありはしない。
『どうかな? サリア』
『楽しめているかい?』
「悪い冗談はよせ」
楽しいのは、サリアの捕獲に成功し、あまつさえ辱めている男二人だけの話だ。サリアが感じているものといったら、屈辱や歯がゆさだけである。本来の力さえ発揮できれば、こんな拘束など簡単に破れるのに、眠っているあいだに打たれた薬のせいか、今はアーツどころか筋力さえ半減している。
加えて、拘束に使用するベルトや手錠も、かなり丈夫な素材のはずだ。
本当に、どうにもならない。
「くぅ…………」
サリアは奥歯を食い縛り、顔は真正面に向けていながらも、瞳はモニターから逸らしがちとなっていた。自分自身の肛門に、バイブの出入りしている有様がよく見えて、その映像はちっとも面白いものではなかった。
『いい顔だね』
『感じているんだろう?』
煽らんばかりの声が降り注ぐ。
「……黙っていろ」
ロボットによるピストンは、人間がバイブを握って行うものとは動作が違う。関節が複数あったり、異なる方向に曲がるなどして、バイブは床に対して水平気味に、肛門への挿入角度を合わせつつ、伸縮機能によって出入りしている。
アーム自体が伸び縮みするのだ。
蛇が獲物に狙いを定めた際の形に似て、長い首をそのまま差し込んできているように、握られたバイブは出入りしている。その抜き際をするために、手首の部分が伸び縮みする伸縮機能で、ピストンは続いていた。
そのいかにも機械動作的なピストンは、工業機械の稼働によって、生産ラインの中で物を扱うかのようで、人間扱いされない感覚が非常に強い。
にちゅ、にちゅりと、粘っこい水音が鳴っている。
先端から出て来た液体は、直腸に広がる際にバイブの側面にまで付着して、ローションにまぶされたような見栄えとなって、肛門の中から出て来ている。ピストンによって、改めて穴に潜る際、皺の窄まり部分がローションを掻き出して、外に押し出したようになっている。
ローションによって形成されたリングがバイブに嵌まったような見た目は、ピストンに応じてその瞬間だけ、画面に大きく映し出される。
「んっ、くぅ――くぅぅ――――」
快楽が押し寄せる。
出入りが続けば続くほど、その刺激にサリアは甘い痺れを感じていた。
「あっ、くぅぅ…………」
サリアは肩を震わせ、ぐっと堪える。
(こんなことで――)
感じるものか。
二人を喜ばせるための反応など、誰が見せてやるものかと、意地になった感情は膨らんで、サリアは快楽の我慢を意識する。
「ぬっ、くぅ……」
だが、意識して抑えきれるものでもなく、ピストンは容赦もなしに甘い痺れを生み出して、それを肛門や直腸に走らせる。
いつしか、愛液の気配が出て来ていた。
『おや』
『そろそろ濡れてきたのでは?』
そんな指摘が入る頃には、ワレメにはささやかな湿り気が広がっていた。膣壁の狭間に生まれた愛液は、じわっと外に染み出ようと、表皮の侵食を始めたのだ。少しずつ、少しずつ、水分を皮膚に広げるように、時間をかけて濡れたアソコは、熱気と共に蒸れた愛液の気配を醸し出していた。
『クリトリスも突起している頃だろうね』
『それは面白い。なるほど、是非とも確認しておきたいところだよ』
二人の声がそう語ると、何か操作が行われてのことなのか、ロボットはおもむろにバイブを引き抜く。急に異物を手放した肛門は、ほんの一秒かそのくらい、ぽっかりと口を開いたまま、小さな円の奥へと続く闇を晒して、徐々にその皺を閉ざしていった。
そして、ロボットによる攻めの内容が変わったのだ。
両手あるうちの片方で、人間の手を模したうちの左手で、金属製の指を使ってワレメを開いてきた。ピースサインでも作る形で、肉ヒダをくっぱり開き、それまでワレメが閉じ込めていた桃色が外気に晒され、モニターにも映し出される。
巨大なモニターである。
ならば、性器が開帳されてしまえば、そこには肉の壁でもあるように、少しは見えないこともない。
「……ちっ」
余計に羞恥心を煽られる。
抑えようと意識はするが、頬の色合いは一体今頃、どの程度にまで変わっているか。
『綺麗なものだね』
『見ていて香りが届くかのような、美しい性器じゃなか』
『まったくだよ。桃色のフルーツの皮を眺める気分かな』
『ああ、それだ。綺麗な果実は、匂いなどなくとも甘い香りを嗅いだ気分になる。サリア、あなたのアソコはそれなんだ』
『蜜を纏って、キラキラと輝いているのもいい』
二人して、早速のように性器を品評してくるのだ。
体の一部について語る言葉を聞かされ、サリアはそれらの声に苛まれ、恥辱の熱で脳の温度を上げている。怒りなのか、恥ずかしさか、両方か。一体、どんな風に自分の感情を煽られているというのか、自分でもわからなくなってきそうだ。
『それだけの濡れようだ。やはり感じているのでは?』
『隠しようがないぞ』
「だったらどうした」
『そう強がらずに、もっと素直な気持ちで快楽を受け入れては?』
『状況が状況なのだし、いっそ楽しむことがオススメだよ』
「身勝手なことを言うものだ」
『合理性の一種さ』
『いっそ楽しむ気になれば、あなたにとって案外いい時間になるかもしれない』
「ありえないことを言うな」
寒気のする理屈である。
人を監禁して陵辱してくる強姦魔が、その口で「どうせ逃げられないから楽しんだ方がお得だ」と、心を切り捨てた合理性について語り始める。それは実に、吐き気がするほど都合の良い主張である。
そんな口車に、一体誰が乗るものかと、サリアはカメラに向かって視線を細め、睨まんばかりの眼差しをより鋭くしているのだった。
『今よりもっと気持ち良くなってみようか』
『そうすれば、その目も案外変わるんじゃないか?』
その時である。
今度は別の方向から、多関節のアームが駆動音と共に伸びて来て、サリアの乳房に筆先を迫らせて来た。
「――椅子か」
この分娩台のどこか、台座の部分に格納されていたものが、座板よりも低い位置から飛び出して、関節を折り曲げながら伸びて来たのだ。C字のような弧が両側から、しかし曲線ではなくカクカクとした直線の組み合わせで、円を成さんばかりの先端をサリアの乳房へ近づけている。
その二つのアームが持つ先端部は筆だった。
何かに浸した直後のように、先っぽからぽたぽたと、何かを垂らす二本の筆は、次の瞬間には乳首を集中的に責め始めていた。
「ぬぅぅ――!」
胸にも甘い痺れが走る。
水気を吸って、トゲのように先端を固めた筆先は、しかし筆である以上は柔らかい。その毛並みでもって乳首を刺激して、乳輪にも絵の具を塗り尽くさんばかりにするアーム可動で、サリアの皮膚には徐々にオイルが浸透する。
「はぁ……あっ、んぅ……」
塗られれば塗られるだけ、浸透すればするだけ、表皮での筆の滑りは良くなっていく。
「んっ、くぅ――うっ、んぅぅ…………!」
サリアはすぐにでも肩を反応させていた。
乳首から走る刺激のあまり、体が嫌でも動いてしまい、肩が背もたれから浮き上がる。そのモゾモゾとした両肩の動きを抑えきれずに、どう我慢の意思を持とうとしても、サリアは身悶えをしてしまっていた。
『いい反応をしてくれる』
『そのまま絶頂なんてしてみては?』
「黙れ……」
サリアがカメラを睨み返した。
そうすれば、必然的にカメラの向こう、モニターに映る自分自身の乳房の様子でさえも視界に飛び込み、目を背けたくなる思いに駆られる。睨み返していたいのか、目を背けていたいのか、反発と吸着、相反するものがそこに生じていた。
その中でサリアが選ぶのは、カメラのレンズだけに意識を集中して、他の何も見ないようにと、一点への集中で周りの景色がぼやけて見えるだけの、鋭い眼差しを送り続けることだった。
じぃ――と、サリアはレンズを睨む。
そうすることで、屈さぬ自分を示しつつ、快楽などに折れないように己を保つ。
『気に入ってくれているようだ』
『ではこういうのはどうかな?』
乳首には筆責めが続く中、ロボットの手の平から、突如としてシャッターが開き始めた。そこに格納されていた触手がにょきりと伸び出て、サリアの性器を狙って鎌首をもたげたのだ。
(ちっ、挿入か)
こうも機械的に、彼らはサリアを陵辱するつもりらしい。
シャワーホースより太いかどうかの、シリコンに覆われたフォルムの機械触手は、その内側にこそ金属製の多関節を隠しているのだろう。関節の数のあまりに、針金のように自由自在に変形し、その身を押し込む相応の力もある。
その二本の触手のうちの一本が、サリアの膣口に狙いを定め、処女膜の中へ押し入ろうと性器に頭をぶつけてくる。
「くぅぅ――!」
膣口はあっさりと拡張された。
他ならぬサリア自身の愛液が活性油として働いて、そして抵抗の余地もないせいで、阻まれることなく入り込む機械触手は、そのまま奥へ奥へと突き進み、情け容赦なく処女を破って貫いていた。
「あぁ……くぅぅ……!」
サリアの頑強な精神は、たかが処女の喪失では壊れない。
だが、確かな屈辱を胸にした。ふざけた真似をしてくれたロボットや触手への、本来の力さえ発揮できれば、是非とも破壊してやりたい衝動がサリアの筋骨を震わせていた。
『おめでとう』
『処女膜は見えていたが、これで君も経験者だ』
それら声に続けて聞こえてくるのは、わざとらしく喝采して、人の処女喪失を祝ってくる拍手の音だった。
「くっ、貴様ら……!」
サリアの眼差しはますます鋭く、その視線は大きな威圧感さえ宿しているが、檻の中の猛獣を怖がる者はいない。無力化しきったサリアに対し、しかも二人の男は安全圏で、よしんば急に力を取り戻しても、さしずめ避難経路は用意している。
どうせ用意周到なのだろう。
この分娩台の拘束を引き千切り、いざ復讐へと向かう瞬間があったところで、あの二人とは直面できない事実が、憎しみとなって膨らんでいく。黒い感情を腹に抱え、恨めしさを存分に宿した瞳でカメラを見ると、アソコへのピストンは始まり刺激が走る。
「あっ、くっ! くっ、くあっ、あっあん! あぁん!」
どうしても声が出た。
抑えきれない喘ぎ声を、それでも噛み殺そうとは努力しながら、乳首からもアソコからも走る電流で、どうしても堪えきれない。
「ん! くっ、あん! あん! あん! あぁん!」
機械触手による快楽は大きなものだ。
関節駆動を包む素材は、女性への刺激によほど適したものなのか。膣壁とのあいだに生み出す摩擦は、激しい電流を生み出して、それを全身に行き渡らせる。背骨を伝って、脳まで届かんばかりの快楽で、サリアは声を殺しきれずに、どうしても喘いでしまっていた。
『おやおや』
『そのまま快楽に堕ちる姿でも拝めれば最高なんだがね』
「んぅぅぅ! くっ、くぅ! あっ、あん!」
気持ちいいあまり、サリアにはもう二人の言葉を聞く余裕がない。
一心不乱に髪を振り乱し、快楽で弾んだ脚は、ベルトを内側から引き千切ろうと、アームをガタガタと揺らしている。だが、そんな筋力が発揮されることはなく、分娩台が揺れる以上のことは決して起きない。
「あぁ! あん! あぁぁん!」
喘いでいるうち、急に二本の筆責めアームが引っ込んだ。
しかし、乳房への責めが終わったわけではなく、一度は遠のいたアームがそのまま近づき直した時、そこには吸盤が搭載されていた。
パーツを取り替えたのだ。
刺激の種類が入れ替わり、今度は半球ドームのような、カプセル状の吸盤が乳首を吸い上げ、チュウチュウとやり始める。単に吸引力のあるものが付いたというより、唇で吸いつかれ、分泌物でも吸おうとしてくるような感じに近い。
母乳など出ないというのに、飲もうとしてくる感覚に襲われて、乳房にもやはり電流は走り続けた。
「あぅぅ――んぅ――――んっ、あぁぁ…………!」
そして、その時である。
サリアの胸から、出ないはずの白っぽいものが出て、それが吸盤に吸い上げられた。
吸盤を伝って吸収され、アームの内側にあるチューブを伝ってタンクの中へと、それは取り込まれていったのだ。
『サリアミルク、なんてね』
『きっと需要が出る』
一体、どこの誰に売るつもりか。
二人はサリアを商品と見做し、本格的にどこかへ売り出す計画を立てているらしい。こうしている今にも続く撮影の、アダルト動画は言うまでもなく、母乳でさえも商品にしようなど、一体どこからそんな発想が出て来たのか。
いや、そもそも一体、どうしてサリアから母乳が出るのか。
(何かの……く、薬か……!)
サリアはすぐさまそう悟り、ライン生命は一体何を開発したのかと、憤りの顔で歯を食い縛ってみるのだが、噛み殺す時間はそう続かず、やはりまた喘ぎ声は出て来てしまう。
「あぁぁ! あっ、あん! あぁん!」
膣に出入りする機械触手は、もはや膣口に詰まった愛液を掻き出していた。出入りに伴う動きが汁気を外に引っ張り出し、それは尻の溝を伝って下へと流れる。肛門の皺も通過して、さらにその下へと流れる結果、椅子の下へと垂れ下がった尻尾の表面へと、愛液の光沢は広がり始めているのだった。
「あっ、くぅ! んっ、んぅぅ!」
ピストンも、吸盤から吸い上げられるのも、どちらも大きな刺激となってサリアを襲う。
「んぅぅ! んっ、あ! あん! あぁん! あぁん!」
しかも、その時だった。
「んんぅぅぅぅ!」
サリアは急にビクビクと、脚を震わせ絶頂していた。跳ね上がらんばかりの脚は、巻きついたベルトを内側から引き千切ろうと、しかし千切る力などとても出せずに、アームをガタガタと揺らすに留まりながら、執拗に震えていた。
潮が噴き、舞い上がった滴はサリア自身の身体へと降りかかる。付着した滴の数々で、まるで体表が汗ばんだような光景が、腹周りや太ももに出来上がっていた。
Gスポットをやられたのだ。
クリトリスのポイントに合わせた膣壁の箇所を集中的に擦られて、ただでさえ大きな刺激がより激しいものとなった時、サリアはその快楽に耐えきれずに達していた。
さぞかし見物だったのだろう。
『はははは!』
『なかなかのイキっぷりだよ!』
『せっかくだ。あなた自身で確認してみては?』
『それはいい。今の映像を見せてあげよう』
人の絶頂を見るなり大喜びの声を上げ、歓喜の滲み出た声音で二人が言うと、映像は別のものへと切り替わる。ただ中継しているだけではない、録画機能も起動しているカメラの動画は、時間おきに随時保存でもされているのか。
サリアの全身が画面に映った。
今の今まで、局部だけを大きく映していたのが、頭から爪先にかけ、今度は全身を映していることで、本当は顔まで撮っていたのが初めてわかる。モニターに中継する映像は、部位を拡大表示するように、調整されたものに過ぎなかった。
そして、画面の中のサリアが絶頂する。
『んんぅぅぅぅ!』
動画の中から、つい先ほど上げたばかりの、だから記憶にも新しい自分自身の声が聞こえてくる。その際の自分がどんな風に体を震わせ、どんな顔をしながら潮を噴いていたかが、サリアへと具体的に伝えられていた。
かなり、歯を食い縛っていた。
どうにか声を噛み殺しても、それだけ大きな喘ぎ声を出してしまったその上で、両足ばかりか胴体まで痙攣気味に震わせている。首でも仰け反ることで、頭が身体を押し上げてのアーチによって、画面上の首や肩が手前へと浮き上がる。
一連の絶頂ぶりを見せられて、辱めに対する念ばかりが胸中を色濃く漂う。
しかも、これを見ているあいだにも、サリアはまた絶頂へ近づいていた。
「あっ、くぅぅ――――くぁぁぁああ――――!」
またしても、堪えきれずに潮を噴く。
霧状というよりは、滴の固まりを飛び散らせる霧吹きの光景と同じであった。
快楽の余韻は強く走って、イったばかりの脳には激しい電流が残留する。脳神経を内側から温めて、痺れさせるほどの刺激は頭ばかりか全身にも余韻となって、指先にすら残されていた。
『あっ、くぅぅ――――くぁぁぁああ――――』
その直後、モニターからは今の絶頂とまったく同じ声が聞こえ、画面内でのサリアはやはり体中を震わせていた。滴の上がる様子すらばっちりと映り込み、イキたての火照った顔が肩を上下に動かす様子が流れている。
そして、映像から自分自身の様子を拝むサリアは、ちょうど同じく肩を動かし、やたらに息を大きく吸い上げて、呼吸を深くしている最中だった。
絶頂の余韻を沈め、少しでも体を落ち着けようとしているのだ。
しかし、こうしている今も触手や吸盤は止まってくれず、ピストンや吸引は延々と続いているのだ。次の絶頂に近づいて、また頭が真っ白になるまでに、そう時間はかからなかった。
「あっ、あぁぁぁぁぁぁ――――!」
またも、サリアはイク。
絶頂時は頭が痺れ、何の思考もできないようでいて、頭の片隅には薄らと予感があった。
『あっ、あぁぁぁぁぁぁ――――!』
それは予感の通りであった。
カメラには繰り返し、絶頂がリピートされる。
「んっ! んぐぅぅ! んぐぅぅぅぅぅ――――!」
『んっ! んぐぅぅ! んぐぅぅぅぅぅ――――!』
「あっ、あぁぁ――――!」
『あっ、あぁぁ――――!』
何度も何度も、サリアは自分自身の絶頂を繰り返し見せつけられる。
見たくなければ、目でも瞑っているしかないが、耳は塞げず音は聞こえる。ならば絶頂自体を堪え抜き、どうにかイク姿など晒せずに済ませたかったが、それができたら苦労はしない。
「あぁぁっ、あぁぁぁ――――――――!」
『あぁぁっ、あぁぁぁ――――――――!』
また、あえなくイっていた。
声を噛み殺すことすらできずに、甘い絶叫を轟かせ、胴体をやたら前後に振り動かしてしまっていた。痙攣めいた胴の動きは、何かをピストンしようとするものに似ていた。
『そろそろお疲れではないかな?』
『少しは刺激を緩めてあげましょう』
などと言い、Gスポットから触手は外れ、やっとのことで乳首に張りつく吸盤も離れていく。解放された乳首には、搾乳や筆責めの際のオイルが残り、濡らされた痕跡をまとって乳輪の周囲にかけてまで、熱っぽい湿り気を残していた。
ピストンのペースが緩み、刺激の勢いは落とされるが、なおも触手の出入り自体は続いている。
「んっ、くぅ――んぅぅ…………」
だからサリアは、やはり声を噛み殺し続けている。
甘い電流も、決して完全には途切れていない。
『さて、また趣向を変えてみようかな』
『こういうものに興味はおありかな?』
また次の瞬間に、映像が切り替わる。
それはサリアの膣内だった。
胃カメラや腸内カメラのように、触手の先端にカメラを取り付け、人の膣内を撮ったものだとサリアは直ちに理解していた。膣内の様子が大きく映っていることで、モニターが全体的に桃色に締められて、そこにあるのはまさに肉の壁である。
大きな大きなスクリーンに、膣壁の様子が実物よりも遥かに拡大されている。触手はなおもピストンを続けているので、それに伴う前後によって、狭間を切り開く様子が絶えず繰り返されている。押し入ることで、閉じ合わさっていたものが開かれて、遠のくことで開いたものが閉じ直す。
「んぅ……んっ、んぅぅ…………んぅぅ…………!」
映像として動いていること、液晶画面としての質感がわかること。
二つの要素が、あくまで動画再生であることを示して入るが、肉ヒダが人の背丈よりも大きく映し出された光景は、その見栄えはやはり肉壁そのものだ。
『どうかな? 自分のアソコの中は』
『健康チェックでもしてみるかね」
「……ふん」
こんなものを見せつけて、一体どうしようというのか。
何が面白いわけなのか、理解に苦しんでいたその時、左右からのアームが再び迫り、筆責めが再開される。
「んっ! んぅぬぁぁ!」
オイル濡れの尖った筆先に撫で抜かれ、乳首への刺激が迸る。
その瞬間にサリアは活発に肩を動かしモゾモゾと、堪えきれない快楽への反応を、抑えようにも見せびらかしてしまっていた。
「あっ、あっぐぅぅ――――――――!」
サリアはまた、急に絶頂させられた。
その瞬間である。
『あっ、あっぐぅぅ――――――――!』
たった今の瞬間が、動画の中でリプレイされた。
それも、今度は膣内の様子だけを映して、膣壁がどんなに鳴動していたかを、サリア自身に伝えてくる。映る肉ヒダがビクビクと、小刻みに蠢くことで、それが微妙にカメラの視点を揺らした上、滲み出る愛液の付着がレンズを覆い隠さんばかりであった。
直後、ピストンが激しくなる。
「ん! んっ、んぅ! んぅ! んっ、あぁっ、あん! あん! あん! あん!」
サリアは激しく髪を振り乱した。
急に再開された嵐に翻弄され、四肢を活発にくねり動かしていた。
「あぁぁぁ―――あぁぁぁぁぁ――――――!」
この時、サリアは潮を噴く。
それがリプレイされた時だった。
『あぁぁぁ―――あぁぁぁぁぁ――――――!』
潮が激突してきた。
噴水の射出口にカメラを押し当て、飛沫が直接ぶつかって来る光景を撮ったかのようにして、吹き荒れる潮が撮られていた。その上で、触手と膣壁の狭間から、それでも出て来た多量の愛液は、噴き出さんばかりに触手を伝った。
滴が垂れ進むようにして、アソコからロボットの関節へと、滴は素早く突き進み、その胴体フレームへと付着していた。
『どうだい? サリア』
『あなたはタフだからね。まだまだ、たっぷり嬲ってあげよう』
一体、いつまで続けるつもりか。
終わりの見えない陵辱に、サリアはなおも視線を鋭く、カメラを睨み返していたが、快楽に翻弄されるたび、それどころでなく髪を激しく振り乱す。イった瞬間をリプレイされ、悔しさに歯を噛み締める。
しかし、サリアは何度でも、何度でもカメラを睨み返していた。
その心は折れはしない。
だが、折れないだけだ。
何時間経とうと、力が戻って来る気配はなく、サリアは延々とされるがまま、勝ち逃げのように動画撮影のデータを持ち去って、二人の男が行方を眩ますという未来は、ほとんど確定したようなものなのだった。
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