エロ同人「催眠性指導」の二次創作。
もしも加瀬正文が正指導員に選ばれたら?
催眠性指導 筆下ろしのプロローグ
暗示、一。
僕、田中はじめは政府に任命された本校の性指導員である。
暗示、二。
カップルはキスや性行為に及ぶ前に性指導員による指導を受けなくてはいけない。
指導を受けずに行為に及ぶ事は人として恥ずべき行為であり、これを犯した場合、刑法で厳しく罰せられる事になる。
暗示、三。
性指導員の言う事は全て正しい。
*
加瀬正文は緊張に震えた指先で、肩の上がった体中の硬い有様で、いかにも躊躇いがちにインターフォンを押していた。
とても大きな屋敷である。
見る人が見れば、身分違いの大金持ちの元を訪れて、小市民が縮こまっている様子に映るだろう。それは遠からずだが、決して正確とは言えない。
正文の緊張は、家が大きいことよりも、ここに来なければならなかった理由にある。
今日、ここで筆下ろしを受けるのだ。
それも性指導の一貫らしい。
性指導員による指導は、基本的に女子を対象として行うものだが、今回は例外的に女性が指導員に任命され、その指導を男子が受ける形となっている。つまり童貞を卒業する機会が巡ってきたわけであり、本番行為を前にした緊張に当てられて、心臓をばくばくさせながら、震えた指でインターフォンを押したのが、正文の置かれた状況というわけだった。
(相手ってやっぱり、そうだよな……たぶん……)
正文はごくりと生唾を飲む。
(いや、でも筆下ろしといっても――)
ふと正文は思う。
筆下ろしとは聞いているが、性指導を男子が受けたという話は、今まで一度も聞いたことがない。自分がたまたま例外に選ばれたのか、あるいは見学方式なのだろう。性指導員が披露する正しい初体験を見て覚え、それをいつかの未来で正文が実践する。
思ってもみれば、そちらの可能性の方が高そうな気もしてきた。
だとしたら、性交未経験の彼氏に対する指導、という名目で届いた連絡を、てっきり筆下ろしと思い込むのは、もしや早計だったのか。
(ただ、それだと前にも見てるけど、二回目ってことなのかな)
インターフォンの音を響かせ、家の者が出て来るまでの緊張に、手で胸を掴んで鼓動を押さえ込む。
こうも緊張しているが、ここに来るのが初めてというわけではない。以前にも一度訪れたことがあり、性指導の見学自体は既に一度行っている。
正文には恋人がいた。
宮島桜という名の剣道部部長、凛とした眼差しに憧れて、黄色い声を上げる女子も少なくない。そんな桜を恋人にしていることで、彼氏として鼻の高い正文なのだが、最初に交際をスタートしてから三ヶ月、彼は未だに桜とはキスもしていない。
その頃は性指導を受けていなかったのだ。
カップルはキスや性行為に及ぶ前に性指導員による指導を受けなくてはならず、その規則を気にして健全なデートしかしていない三ヶ月を過ごしたのち、ようやく性指導を受けると決めて、性指導員の田中はじめが言い渡してきた内容は『妊娠体験指導』であった。
将来は結婚も見据えた付き合いである二人は、調査用のチェックシートに『将来子供が欲しい』と記載していたこともあり、妊娠・出産を体験するための性交活動の実施が始まった。
ビデオカメラを持たされて、その手で桜とはじめの性交を撮影したのが、最初にここを訪れての出来事だった。
そして、二度目である今回も、おそらく似たようなことを実施する。
また桜の裸を拝んだり、はじめとのまぐわいを前にして、ビデオカメラを握ることになるのだろうかと、正文は考えていた。
あの複雑な光景――指導とはいえ、田中はじめが桜を抱き、挿入まで行う場面を間近で見学することの、恋人の濡れ場を見る興奮に混じった少し胸の痛む感覚を、再び味わうのだろうかと予想していた。
ところが、そこに桜の姿はなかった。
母親の椿が玄関から現れて、その案内によって家まで上がるが、桜はおろか性指導員であるはじめの姿すら見当たらない。一体、どうしたわけかと思っているうち、座敷の中で椿は礼儀正しく両膝を折り畳み、正文もそれに釣られて正座をする。
そして、彼女の口から今日の詳しい指導内容が語られた。
「加瀬正文さん。今日はあなたが性指導を受けて頂きます」
静謐な眼差しは、真っ直ぐに正文へと向けられている。
「お、俺ですか!?」
今にも慌てふためきそうな、赤らみを帯びた顔。
「そうです。あなたです」
椿はきっぱりと、しかし物静かに告げてくる。
「えっと、いやでも――俺、あの……つ、椿、さん――俺はえっと、桜の彼氏なわけで――」
正文から見て、椿は十分に有りだった。
実年齢よりも明らかに若々しく見える綺麗な肌と、桜の母親だけあって、好みに近い顔立ちといい、だから椿が裸になれば、確かに自分は勃起する。皺だらけの老婆ではないのだから、性の対象になり得るはずだと、それはもう肉体のあらゆるポイントから感じていた。
セーターを大きく押し上げている乳房は、まるで内側にボールでも仕込んだように大きく、それに中へ案内してもらう際に見た尻も、白いデニムを内側から膨らませ、魅惑的な巨尻が左右に振りたくられていた。
その椿とのセックスを想像して、思わず興奮する正文だが、彼の頭の中にはれっきとした恋人の顔がある。
それがよりにもよって、その母親と?
それは駄目だろうと、正文の心の中に警告のベルが鳴る。
「私は性指導員の田中はじめさんの指名によって、一時的な指導役を任されています。いずれ娘を抱くことになる正文くんには、きちんとした女性の扱いを覚えて頂くため、事前の体験講習を受けてもらうということです」
「そ、そうか……体験講習か……」
ならば仕方がないのかと、まるで自分に言い聞かせるように彼は思う。この美しい女性とヤれる、それがラッキー、そんな気持ちが皆無ではないにせよ、それでもやはり、頭の片隅には桜の顔がチラついていた。
「娘は今、別のところで指導を受けている最中です」
「そうですか。い、今――」
正文の脳裏に、間近で見学をした際の光景が蘇る。
あれと同じことがまた、どこかの場所で今まさに起こっていて、その一方で自分は桜の母親から指導を受ける流れとなっている。
(い、いいのか?)
薄らと疑問に思う。
だが、浮かび上がったその疑念は、すぐさま煙のように消えていく。
(いや、いいに決まってるか。性指導員の言うことは全て正しいんだし)
田中はじめの指示だというなら、これから正文に行われる性指導も、間接的には彼からの指導である。
だったら、問題はない。
安心して指導を受けていいのだろうと、すっかり疑問の拭い去られた心の中に、その事実はすんなりと入り込む。
「私としても、この指導は是非とも行いたいと考えていました」
生真面目な顔で椿は言う。
「そう、なんですか?」
同様気味の正文に対し、この母親はずっと冷静に話している。
「娘の彼氏さんですから、どういった方なのかは、できるだけ深く理解しておきたいものです」
「ふ、深く……理解を……」
どくんと心臓が弾み、正文は緊張ながらに生唾を飲む。ただでさえ意味深に聞こえる言葉が美人の口から、しかも性指導なのだから、実際に正文が想像する通りの意味合いを兼ねているのだ。
そのせいか、頭の中にはあらぬ想像が浮かび上がる。
(こ、この人と……桜のお母さんと……!)
背徳感が膨れ上がった。
性指導員による指示なのなら、何ら問題ないとはわかっていても、やはり恋人の母親ではないか。自分には桜という子がありながら、他の女性としようとしている、そういう状況ではあるではないか。
いくら問題ないとはわかっていても、頭の中にはいくらでも桜の顔がチラついて、本当に良いのだろうかと、何度でも自問の言葉が浮かんでくる。
「まだ躊躇いがあるようですね。やはり、私では歳がいきすぎているでしょうか」
「い、いえ! 決してそういうわけでは! ただ――――」
「だとしたら、やはり桜のことを思っていらっしゃるのですね」
「え、ええ、まあ……」
実際に口にするより先に言い当てられ、正文はただ弱々しい返事だけを返していた。
頭ではわかっているのだ。
桜は性指導を受けている最中だし、自分が椿とするのも性指導だ。指導を目的としたセックスなのであり、不倫的な話ではないのだと、それはわかっていてもなお、頭の中にはチラつく顔というものがある。
「田中さんが仰るには、童貞の筆下ろし指導を今後導入していく可能性があるため、そのテストケースが必要だそうです。その臨時指導員に私が指名されたわけですが、なので私にとっても、初めて筆下ろしを行う相手は誰が良いかと、色々と悩んだものです」
椿はさらにもう少しだけ、話を詳しく語ってきた。
「それで、俺を?」
「はい。娘のため、その恋人に面倒をみたいと考えました」
「なるほど……」
考えはよくわかった。
母親として娘を気にかけているわけだから、その男がどんなものであるか見極めようと考えるのも、親としては当然の心理なのかもしれない。それに正文としても、いつか桜とする際には、きちんと気持ち良くしてやりたい、などと思っていたりする。
上手くできるに越したことはない。
そして、その練習機会が目の前に――いや、練習などと言っていいのだろうか。
「正文くんも、是非私を練習台と思って下さい」
しかし、それを本人が口にする。
「そんな、練習台だなんて」
とは言いつつ、徐々に期待が膨らみ始めていた。
性指導員が考えた指導方針なのだから、それが間違っているわけがない。田中はじめが椿を指名し、そしてその椿がまた正文を指名した流れに、一体何の問題があるというのか。それに指導上のセックスは、愛し合うためのセックスではないのだから、練習台という考え方にも道義的な問題はない。
肯定してしまっても、これは構わないのだ。
そう思った瞬間に、椿とのセックスをより現実として受け止めることができてしまって、股間に血流は集まり始める。
目の前に座る椿の唇が、そういう体験が出来るのだと思った途端から、妙に艶っぽく見えてきていた。目にフィルターがかかったように、色気がいくらでも増して見え、セーターを膨らませる乳房でさえ、鼻孔に甘い香りを流し込んでくるようだ。
「ご了承頂けますか?」
それは最後の確認だ。
もしかしたら、ここで首を横に振ったら、椿は誰か他の童貞の筆下ろしをするのだろう。そうだ、考えてもみれば、臨時とはいっても、筆下ろし指導が正式に導入されれば、この人も正式な性指導員になるかもしれない。
そうなれば、どちらにしても椿と学生でのセックスはするわけで、ならばその一番乗りが自分になっても――。
よ、よし。
などと心を決め、正文は真っ直ぐに椿を見据えた。
「わかりました。ご指導、よろしくお願いします」
正文は軽く頭を下げる。
「ではこちらこそ、よろしくお願い致します」
椿もまた小さく頭を下げ、これでお互いに話はついたこととなる。
(俺が童貞じゃなくなる?)
どこか夢のような、複雑でもあるような――初めては椿がよかったような、しかし母親から指名を受けるのは、やはり光栄でもある気がして、良いことなのか悪いことなのか、どう受け止めるべきかが本当はまとまらない。
ただ、椿の肉体を見ることで、興奮してしまっている気持ちだけが疑いようのない真実だった。
「実施は週末の夜となっています。それまで、正文くんには精子を無為に消費しないよう、自慰行為は控えておくようにお願いします」
「わかりました」
「それでは、今日は以上になります」
話は終わり、屋敷を背にする。
そして、帰ってからのこと。
正文は部屋で一人、悶々とした思いを抱えながらも、言いつけ通りに自慰行為を控えていた。手元には自主練用の映像があり、昨日までの正文は毎日のように再生していた。桜がはじめに奉仕を行い、さらに四つん這いで後ろから貫かれる際の映像は、いつ見ても興奮を煽るもので、これほど自主練の捗るものはなかった。
桜がはじめと絡んだ光景は、もう何度も再生し直しているので、いつでも鮮明に思い浮かべることができてしまう。あるいは動画としての再生などしなくても、思い出すだけで十分かもしれないほど、脳裏には色濃く焼き付いていた。
「でも、オナ禁しないとな」
背もたれに背中を沈め、正文は天井を見上げていた。
食事、勉強、入浴、日常のやるべきことは全て済ませて、他にやることのないぼーっとした時間帯、いつもなら股間に手が伸びる。実際、今でも伸ばしかけこそしているが、この勃起した股間を今は本当に握るわけにはいかないのだ。
どうにか別のことを考えて気を紛らわせ、性欲を頭や体から振り払う。
修行僧のような一日を何度か過ごし、やがて当日。
椿を思って勃起しながらインターフォンを押すのであった。
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