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 そして、撮影はいよいよ終盤に差し掛かる。
 相変わらず野外徘徊はやらされて、恥部を露出した状態のままに旅館まで歩いていく。すれ違うエキストラの視線は痛く、恥ずかしながらの帰還を終えてもまだ、撮影が残っているから地獄からは解放されない。
 やがて旅館に戻ってからが終盤だった。
 旅館内には小規模なステージがあった。
 数十人も収容できればいい程度の、学校の教室よりは大きい程度の空間に、アイドルが歌って踊ることに使えるステージ台は置かれている。この旅館は著名人をゲストの呼ぶことがあり、ここで学者の講演を行ったり、お笑い芸人やマジシャンを招いたり、スクリーンを下ろして映画の上映会ということもある。
 そうしたイベントをたまに開催するこの場所が、今回はテレビ撮影の現場となって、舞台にはアイドル四人が並んでいる。
 右から渋谷凛、塩見周子、アナスタシア、鷺沢文香。
 格好に変化はなく、やはり三人はセーラー服に袖を通している一方で、文香だけは全裸同然のままだった。首にブレザー用のリボンを巻き、ショーツは穴あきなので性器は丸見えという有様は、しかしセーラー服の三人も同じである。
 乳房の部分を綺麗に刳り抜き、膨らみの狭間に赤いスカーフがかかっている。スカートの折れ目の帯を切り取って、アソコの部分を丸出しにした中身は、ショーツこそ穿いてはいるが穴あきで、つまり性器も丸出しである。
 全員が全員とも、肝心の恥部を隠せていない。
 そんな恥ずかしいこと極まりない格好で、客席には幾人ものファンが集合している。アイドルの裸が見たくて集まったエキストラで席は埋まって、そして控える撮影スタッフのカメラにより、四人の恥じらう姿は撮られている。
 四人はその場にしゃがんでいた。
 体育座りに近い形で腰を下ろして、しかし尻は床には触れさせない。尻は浮かせたままのしゃがみ姿勢で、脚は極力左右に開き、少しでもM字に近づけた状態で、全員が全員とも、それでなくとも丸出しのアソコを見せびらかしていた。
 もちろん、好きで恥辱のポーズを取っているわけではない。
 企画上の意図に沿い、仕方なくそうしているに過ぎない。
 そして、そんなポーズを取った股下には、透明なボウルが置かれている。大きめの器を下にして、アソコも見せびらかしたポーズの意味は果たして何か。

「さあ、アイドルの皆さん! どうぞ始めて下さい!」

 ステージ脇には司会者がいた。
 マイクを握る司会者からの、スタートの合図によって、四人それぞれが意識しながら、しかし本当にはやりたくないと思っている行為が、だんだんと繰り広げられていく。それが本当に始まるまでの、タイミングには個人差がありながら、やがて全員が同じ状況へと陥った。

 ジョォォォォォォォ――――――

 と、それは放尿だった。
 百人に迫る人数の、客席を占めるエキストラを男一色で染め上げているばかりでなく、撮影スタッフや司会者など、撮影関係者も立ち会っている。そんな中で行う放尿は、気が狂いそうなほどに恥ずかしいものだった。
 初めて滴の出て来るタイミングはそれぞれだったが、いずれも最初にチョロっとこぼれ出たものが、透明なボウルの中身を打ち鳴らし、それを皮切りに一気に放出されている。みるみるうちに形成される黄色い水溜まりの表面から、水音がジョロジョロと鳴り響き、それをマイクが拾って拡散しているために、放尿の音声は全体へと鳴り響いていた。

 ジョォォォォォ――――

 司会者や撮影スタッフのマイクとは別にして、放尿の音を拾うためだけのマイクがある。音を部屋の隅まで広げるための設備がセットされ、だから本当なら後ろの席には聞こえないはずの音量は、きっちりと拡大されて、ともすれば外側にまで届いている。
 その恥ずかしさと言ったらない。
 放尿を見られることが恥ずかしいのは言うまでもなく、尿道口から飛び出る黄色い放水線だけですら、苦悶を苦痛を大胆に膨らませる。羞恥のあまり気が触れて、いっそ頭がどうにかなりそうなほどの思いを味わっている中で、しかも音すら拡散されている状況は、羞恥の上塗りとしか言いようがない。
 しかも、スクリーンで拡大されている。
 映画の放映会も行う以上、映像を映すためのスクリーンの設備もあり、そしてステージにはさりげなく、四人に向けてそれぞれ個別のカメラが三脚台でセットされている。位置を低めにしつつ、ステージ台を見上げる形に置かれたカメラから、スクリーンへと中継される映像は、四人のアソコを同時に映すため、四分割にされていた。

 ジョォォォォ――――

 放尿の音が続く中、四等分の映像の中には、実物以上の大きさに拡大されたアソコが移っている。中継である以上、生放尿による滴の飛び散り方も完全に一致して、四人それぞれの背後に流れている。
 凛の背後には凛の放尿、周子の背後には周子の放尿。
 そんな形で文香とアナスタシアの背後にも、尿道口から尿を噴き出す映像は流れている。

 ジョォォ……ジョッ、ジョロ――ジョロ――――

 途切れるタイミングも、もちろんそれぞれだった。
 個人差はありつつも、膀胱の中身が失われていくにつれ、少しずつその勢いは弱まって、最後には滴が何滴か、ポタポタと垂れることで終わっている。
 ようやく、終わった。
 しかし、そこに地獄から脱せたような安心感があろうはずもなく、見られては生きていけない場面を見られ、撮影までされてしまったことの、絶望すら伴う薄暗い羞恥心で、どこか暗い面持ちで四人の表情は歪んでいる。

『全員! アウト!』

 四人のローターが一斉に起動する。
 そして、今まで放尿こそを映していたカメラは、割れ目の上端、端っこをほんの少しだけ隠した布へと狙いを変える。二重の布に小石でも仕込んだような、小さな膨らみの部分がブルブルと、すぐ下にあるクリトリスに振動を直接送りつけている。
「あっ、んぅぅ……!」
 アナスタシアの声が出る。
「あっあぁ……!」
 周子も喘ぐ。
「んんっ、んぅぅ――」
「んっんっんっ」
 四人共々、呻くような喘ぐような声を吐き出し、今度は快楽を感じるせいでの苦悶を浮かべ、数分後にはやがてビクっと、肩を大きく跳ね上げていた。

     *

「いやぁ、全員絶頂しましたねぇ?」

 司会者がマイクを片手に語っていた。
 舞台上のアイドル達は、まだ放尿時の姿勢を維持したまま、しゃがみ込んだその下には、尿を溜め込んだボウルを置いている。しかし、まずそれより、司会者は先に絶頂の方に触れ、そのイキっぷりについて話を振る。
「アナスタシアさん。私ね? 特に貴女のイキ方がいいなって思ったんですよぉ!」
 舞台上に上がっているわけではない、床を行き来している司会者は、だからしゃがんだアイドルに向かって、その顔の高さへマイクを差し出す。舞台の高さは、そう高いものではなく、しゃがみ姿勢の頭の位置が、成人男性の身長を少し超えるくらいであった。
「そ、そうなんですか? 私、そんなこと……言われても…………」
 アナスタシアは本気で困っている。
「いやいや、一番いい顔をしていましたって」
「そうでしょうか――」
「ええもう、本当に色っぽくてね? 肌の赤らんだ色艶がもう美しいといったらなく、ああそれにオシッコの香りも微妙に個人差がありますねぇ?」
 絶頂の様子という、褒められても困るものについて褒めた上、次に司会者が触れるのはボウルに溜まった黄色い水だ。
「確かアレでしたね? 水分不足の方が成分っていうの? 濃縮されて、色が濃いんでしたっけね? 水分をいっぱい取ってる方が、薄められて? 色も薄くなるんでしたっけ?」
 などと言った上、司会者はこれみよがしに、わざとらしく視線を走らせる。大胆に体の動きまで駆使した上で、オーバーな動作を交えて見比べる。
 アイドル達のオシッコは、どれも色が濃すぎることはない。
 一人一人がレモンの黄色と同じくらいか、それより薄い色合いなのだ。
「一番色が薄いのは? お、渋谷凛さん!」
 もっとも透明に近い凛の元へと、客席から見た右側へと司会者は移っていき、そして凛へとマイクを向ける。
「えっと、そうですか。薄いですか」
 返答に困った困惑交じりの言葉を返す。
「ええ、透明に近い感じで、水分をいっぱい摂ってあるんでしょうねぇ?」
「まあ、ミネラルウォーターとか……」
「お! ミネラルウォーター! なるほど、このオシッコにはペットボトルの飲料水が混ざっているわけなんでしょうか?」
 司会者は舞台上へ手を伸ばし、おもむろにボウルを取ると、わざわざ顔を近づける。それも凛に見せつけんばかりにして、嗅いでやっていることを本人に伝える形で、恥じらいを与えるためだけに臭気を確かめる。
「うん! オシッコの臭いだ! オシッコ臭い!」
 尿なのだから、尿の臭いがするのは当たり前だ。
 それはある意味、赤リンゴを指して「赤い、赤い」とわざわざ言い出すような、無意味な宣言ではあるものの、しかし出したてのオシッコである。出した本人の目の前で、これみよがしに嗅いでのことである。
 凛は思わず頬を強張らせ、その強張るあまりのピクピクとした震えを見せつつ、次の瞬間には顔を背ける。
『渋谷凛! アウト!』
 そしてローターが振動して、凛は喘ぎ声を出し始める。
「あっ、んぅぅ――――」
 その色っぽい声を拾うため、司会者はまたわざとらしくマイクを向け、しばらくは客席に音を広げた上で、隣に控える塩見周子の方へと移る。
「周子さん! レモン色だ! レモンと同じ綺麗な黄色!」
 今度は周子のボウルを取り、またしても顔を近づける。ブタの鳴き声すら真似する勢いで、嗅いでいることを激しくアピールしながら見せつけて、その上さらに、すーっと、吸引の音をマイクに拾わせる真似まで始めていた。
 そうまでして活発に鼻を慣らした結果である。
『塩見周子! アウト!』
 周子のローターも起動した。
「んぅんっ、んぅぅ…………!」
 その喘ぎ声をマイクで広う。
 数秒ほど向け続けて、それからまた隣へ移る。
「アナスタシアさん!」
「は、はい――私のも、嗅いでしまうのでしょうか……?」
 いかにも不安そうな言葉が返って来る。
「そうですねぇぇ? どうしましょうねぇぇ?」
 司会者はやはり、アナスタシアのボウルにも手を伸ばす。
 今までと同じことを繰り返せば、アナスタシアには自分の尿が嗅がれることはわかっているので、ある意味で我慢の準備は出来ている。それがどれだけ苦痛であったり、激しい羞恥心を伴うものでも、事前にネタがわかった状態で堪えれば、アウト判定をかわせる可能性は十分にあるわけだった。
 しかし、司会者はそうしない。
 自分で嗅ぐというよりも、急に客席の方を見渡し、何かを見つけたようにそこを指す。
「君! 君君! そこのボクちゃん!」
 なんと、客席の中から子供を呼び出していた。
 子役である。
 番組が仕掛けた出演者の一人であり、監督やスタッフなどがアイディアを出し合った結果として、採用された辱めの手段の一つこそが、十歳児の役者の登場である。
 あどけない顔立ちの、ニヤニヤと楽しそうにした男児が、司会者の元へと駆けつける。
「どうかな? どうかな?」
 なんと、司会者はその十歳児にこそ臭いを嗅がせた。
「くっせ! クラスのデブが出した小便みたい!」
「――なっ!」
 本人にとっては衝撃だった。
 真相を言うのなら、これもやはり仕込みであり、大喜びで臭い臭いと言うように、事前に指示を受けてのものである。だから実際の臭気に関係無く、この十歳児はそういう台詞を言うことにはなっていたのだが、子供が故の残酷な純粋さというべきか、幼いノリというべきかがそこにはあった。
 人のオシッコをからかって、臭い臭いと言ってやることが、まるで遊園地のアトラクションであるように、十歳児の中では楽しいことと化していた。その上がりに上がったテンションの上での「くっせ!」である。
 人をからかうことが楽しい際の、強い語気である。
『アナスタシア! アウト!』
 こうして、アナスタシアのローターも起動する。
「んっ、んぅぅ――んぅぅ…………!」
 そうすることがお決まりなのか、喘ぎ始めると同時にマイクを向け、司会者は必ず数秒は声を拾う。喘ぎ声を客席の全体へと届けた上で、またその隣の鷺沢文香の前へ移っていくのだ。
「鷺沢文香さん」
「は、はい……」
「あなたのオシッコは? レモンよりすこーしだけ? まあ? 少しだけ、濃い感じなんでしょうかねぇ? 他の三人方と比べれば、ちょーっと水分不足なんでしょうかねぇ?」
「その……そうですか……気をつけます…………」
 自分のオシッコを手に取られ、観察されている状況と言ったらなく、この時点でも文香は十分にそわそわしている。ボウルを司会者が取ることまでは、もうわかりきったことなので、アウト判定が出るほどの反応を表にこそ出さないが、内心での恥じらいや屈辱感はまた別の話であった。
 そして、どうにかしてオシッコのコメントを利用して、文香からもアウト判定を引き出すつもりでいるのだろう。
 周子の尿を激しく嗅いで、アナスタシアへの辱めには子供を使い、では文香に対しては、一体どんなネタを用意しているのか。
 文香はそのつもりで身構えていた。
 オシッコを介したネタが来るつもりで、心の準備を整えていた。

『……ぞ、ぞーうさんっ、ぞーうさんっ』

 しかし、それが聞こえた瞬間に、文香からはかえって引き攣った笑いが浮かんでいた。
 恥辱の限界を迎え、逆に笑うしかなくなったような壊れた笑みを浮かべての、それでも赤く染まった顔は、ちょうど文香自身のかつて浮かべたことのある表情だった。
 背後に映像が流れていた。
 文香の場合、こうしたエロ番組への出演は二回目であり、以前の出演番組では、人としての尊厳をかなぐり捨て、惨めになり果てるための芸を披露させられている。
 その時の映像が、今ココで流れている。
『ぞーうさん』
『ぞーうさん』
『おーはなが』
『な、ながい……のね……』
 ペニスを揺らす遊びをやらされたのだ。
 もちろん、文香の股にそんなものは生えておらず、ありもしないものを揺らそうと、あくまでフリをしたに過ぎないが、ペニスを揺らしているつもりになりきって、ゾウさんゾウさんと歌を歌う。
 最低最悪極まりない。
 いかにも品のない下ネタを披露させられ、その時の屈辱的な映像が今、自分の後ろに流れているかと思ったら、もう壊れた笑みを浮かべずにはいられなかった。
「は、はは……ははは…………」
 心の壊れたような反応で、しかし顔は存分に赤らめている。頭が沸騰しているとしか思えない、熱さえ感じさせる赤面ぶりを見せてしまえば、ローターは起動するに決まっていた。
『鷺沢文香! アウトー!』
 全員がアウトになった。
 四人のアイドル、みんなのローターが起動して、凛から順に一人ずつ絶頂する。

「んぅぅぅぅ――――!」
「んぁぁ――――!」

 凛がビクっと震えた時、その隣の塩見周子は、ワンテンポ遅れて首を上向きに仰け反っていた。

「あぁっ、んぅぅぅ…………!」

 アナスタシアが肩を上下に震わせていた。

「やっ、あぁぁぁ…………!」

 鷺沢文香がやはりビクっと肩を跳ね上げて、甘く甲高い声を吐き散らす。

 四人全員がイったところで、このオシッコ品評会にような時間は終わる。
 これでいよいよ、撮影である。
 ここまで恥ずかしい目に遭わされて、やっとのことで四人は解放されるのだが――。



 
 
 

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