うら若き小さな艦長は、時に女の子にしかできない役目を背負うべきだそうで。
だから引き受けました。
広報活動、みたいな仕事を。
*
ホシノ・ルリは更衣室で服を脱ぐ。
下着姿にまでなったはいいが、着替えとして渡されたスポーツブラと、そしてレギンスを身に着けることに、それなりの躊躇いを感じていた。抵抗感のあまりに、背中へ回した手は止まり、ブラジャーのホックを外すはずの指も動いていない。
軍も警察も、平和な時は出番がない。
今のところ争いの気配もなく、書類仕事に勤しむルリの元へと、いつしか舞い込んで来た依頼があった。
インストラクターの手伝いをすることで、その場にいるみんなの注目と好意を集め、軍の好感度を高めるアピール作戦である。艦長であり、少佐であるルリの立場では、その可憐で美しいルックスを平時でなければ活かせないというわけだ。
まず、そこまではいい。
警察が一日署長の企画にタレントや女優を使い、PRを行うことと同じである。その具体的な内容が、平和を訴える広告を作るのでも、交通安全の広報活動でもなく、ジムで運動をしている様子を撮り、それをPR映像として編集に使うらしい。
それが一体どんな映像になり、どんな広報に使われることになるのかは気になるが、とにかくそういう種類の活動なのはいい。
だが、指定された服装が問題だった。
「これはいわゆる……セクハラというものでは……」
と、無意識のうちに独り言さえ口にしていた。
衣装として渡されたスポーツブラとレギンスの、純白の生地の下には、下着は着用しないように言われている。通常のブラジャーの上から着用したり、パンティーの上からレギンスを穿いてしまうと、内側にある下着のラインが浮き出たり、場合によっては刺繍の形さえわかってしまい、かえってその方が恥ずかしいという説明だった。
試しにレギンスを穿いてみる。
確かに、指で後ろを探ったり、目で下腹部を見てみれば、パンティーラインはしっかりと浮き出ていた。指でなぞれば刺繍の凹凸も感触で読み取れて、もしやこちらが浮き出ることも、本当にあるかもしれない。
着替えを渡してきた人物の、下着を理由にした説明は、あながち嘘ではないとわかったが、となるとノーパンのノーブラで、これらを身に着けることになってしまう。
ならば結局は恥ずかしい。
そもそも、ルリは受け取った時点で言ったのだ。
「普通に体操着やジャージでは駄目なんですか?」
そう尋ねた結果としてNOと言われて、こうして更衣室に入っているが、上下どちらも身体にぴったりと沿い合わさって、ボディラインが如実に浮き出る。胸や尻のボリュームがはっきりとわかりかねない衣類には、やはり抵抗感が強いのだった。
しばらくは格闘だった。
これに着替えなくてはいけない抵抗感で、精神的な格闘を続けることで、ルリは数分以上ものあいだ衣類との睨めっこに耽っていた。
やがて、諦めたような思いになって、ルリはブラジャーのホックを外す。
スポーツブラも、レギンスも、上下どちらも素肌に直接身に着けて、通気性のせいか肌がすーすーすることを気にかけながら、更衣室を出て行くのだった。
*
そういえば、このメーカーさん。
この前、通気性のいいスポーツウェアをCMで宣伝していました。
私のスポーツブラとレギンスも、とっても通気性がいいみたいです。
*
ホシノ・ルリは赤らんでいた。
更衣室を出てから少し歩いて、廊下を進んでいる最中、まだ誰と会ったわけでもないうちから、自分の体を気にして羞恥心に囚われていた。
全裸で歩いている気分になるのだ。
風の通りがあまりにも良いせいで、衣類の着用にも関わらず、大気の流れをしっかりと感じ取れてしまう。
もちろん、きちんと露出している部分の方が、衣類に隠れた皮膚よりも敏感に、ちょっとした大気の流動を感じやすい。ゴムの締め付けや素材の感触もあり、本当の露出部位の方が風に対する感度は高い。
しかし、そういう気分になるには十分だった。
より厳密に言い換えれば、実は生地が透けていて、全裸同然になっているのではないかと不安になる。
歩行によって生まれる程度の風ですら、布の内側でわかるのだ。ならばその分、上下どちらの目も粗く、生地も薄くて透けやすいのではないかと不安になり、実に落ち着かない気持ちになる。
頭ではわかっていても、自分自身の身体を何度となく見下ろして、決して何も見えていないことを確かめなければ落ち着かない。乳首の色も、性器のワレメも、きちんと隠れていることをチェックして、初めて不安を払拭できるが、しばらく歩くとまた不安はぶり返し、そして二度目や三度目の確認をしてしまう。
そのうち、とうとう人とすれ違った。
「あ、どうも」
などと、微妙な一言を漏らしつつ、軽い会釈をしながらルリの隣を通り過ぎていく一人の男は、しかし確かにルリのことをじっと見ていた。横切っていく最中の彼の視線は、ギリギリまでルリの肢体を舐め回し、視姦されている心地がしてならなかった。
(もしかして……)
透けていたから見られていたのかと、またしても不安がぶり返す。
そして、確認して安心して、けれども布の内側でも風を感じやすいことに変わりはなく、実に落ち着かない。透けてはいないとわかっていても、通気性のあまりに全裸で歩いた場合の感覚に限りなく近いはずだった。
いつまでも歩いていれば、また誰かとすれ違い、その視線を気にすることになる。
だったら、むしろさっさと仕事を済ませにかかろうと、足を速めてみるものの、着くべき場所が近づくにつれ、歩行のペースは徐々に落ちていくのであった。
これから、この格好で人前に出る。
しかも、カメラも入っている。
透けてはいないかもしれないが、皮膚感覚としては通気性がかえって気になって仕方がない。それに身体のラインもしっかりと浮き出ており、乳房や尻の成すカーブに関しては、はっきりとわかってしまう。
それで複数人の男の視線を浴びて、カメラにさえ撮られるなど、やはり恥ずかしくて仕方がないのだ。
(一応、普通の格好なのに……)
海やプールで水着姿になるのは普通なように、ジムという場で運動に適した格好をすることは、何もおかしいことではない。スポーツブラにレギンスという組み合わせは、ルリとしては恥ずかしく思っているが、かといって非常識なわけでもない。
気にしすぎだと、ルリは自分に言い聞かせる。
そうしなければ、ランニングマシンやロデオマシンなど、トレーニング器具の並んだ場に出ていくことはできなかった。そこに集まる男という男の数々の視線になど、この身を曝け出せるはずなどないのだった。
*
じぃぃぃぃ…………。
誰も彼もが視線を送り、ニヤニヤと口角を釣り上げる。視姦することに遠慮がなく、ルリの容姿と格好を見て楽しみ、頭の中に焼き付けようとしてくる眼差しが殺到して、頬が桃色に染まっていった。
これから、ここで各種の運動やトレーニングを行って、その様子をカメラで撮影することになるのだが、あまりにも集まる注目に身が縮む。両手で肝心な部分を隠し、小さく肩を丸めたい衝動に駆られるものの、仕事として来ているルリは、意を決して背筋を伸ばす。
「はじめまして、皆さん。ナデシコ艦長、ホシノ・ルリです」
挨拶を始めた時、インストラクターの男が隣に立つなり、すぐさま皆に向けた説明を開始する。
「はーい。今日はね、以前から伝えていましたように、ルリルリと一緒にトレーニング風景を撮っていきたいと思います。トレーニング器具を使ったり、ストレッチなんかをやったりして、その映像を広報活動に使うわけだね」
インストラクターが目配せのような視線を送ると、その先には大型のカメラを担いだカメラマンが立っていた。他にもハンドカメラを持つ男が二人ほど控えている。三台ものカメラを向けられて、視線の数々まで浴びる状況に、ルリはさらに赤らみを増していく。
「というわけで、皆さん。よろしくお願いします」
頬を染めていながらも、ルリはどうにか普段通りに振る舞っていた。
無感情というわけではないが、どこか淡々とした声色と表情の、それでも頬だけは染まった様子から、何かを堪えているのが周囲にはひしひしと伝わっていた。
(可愛い)
(可愛いなぁ……)
ルックスへの注目は言うまでもなく、ルリの本当は恥ずかしがっている様子に誰もが気づき、そんな我慢を帯びた強張り気味な表情に、男達はそろって興奮している。彼らの穿いている短パンは、レギンスに比べて遥かにゆとりがあり、多少膨らんだところでわかりにくいが、それなりにそそり立てば、さすがにルリにもわかってしまう。
(もしかして、私の格好は……やっぱり……)
視姦の圧が強い上、男という男の数々の、多くの短パンが大なり小なり膨らんで、勃起の気配を見せているのだ。自分がいかに性的な魅力を発揮して、男を興奮させているかを自覚して、ルリはますます恥じらっていた。
「さて、ね。では早速なんだけど、ランニングマシンの撮影からやっていこうね?」
そう言われ、ルリはマシンの前に立たされる。
「わかりました。走ればいいんですね」
「そ。走ればいいの」
「では早速」
ランニングマシンのスイッチを入れ、緩やかな速度で走り始める。
マラソンのフォーム通りに、ゆったりと腕を振り、足を回転させている光景がずらりと並び、何人もいる男達の中心に、ぽつりと一人だけ少女が混ざる形となっていた。
一人のカメラマンはその光景を順々に映していく。
肩に大型を担いだ男の、端から端へ歩いていく足取りで、だんだんと迫ってくる形によって、ルリが大きく撮られることとなる。
カメラは正面からだけではない。
ハンドカメラを持つ二人組も、後ろから撮ろうと姿勢を低め、そのレンズを尻に向けていた。
ルリはそれらカメラが気になって気になって、実に落ち着かない面持ちだった。何を焦るわけでもないが、まるで焦燥でもしているような、そわそわとした面持ちで手足を動かしていた。
そして、この時のルリはまだ気づいていない。
単にやたらな注目を浴びるのが気になって、こんな格好なので恥ずかしいというだけで、カメラが本当に撮っているものは何かがわかっていない。仮にも露出が多く、ボディラインが出ているので、周囲からの視線も全て、そのせいとばかり思っている。
しかし、レンズが向いているのは、主に胸と尻だった。
(いいよいいよ? ぷるぷる動いてるねぇ?)
(お尻も可愛いよ?)
と、二つの部位ばかりを撮られている。
ルリの薄らとした乳房は、実に控え目な膨らみでしかないのだが、柔らかな膨らみはぷるぷると揺れていた。走るという動作によっての、足から伝わる身体への衝撃で、乳房は振動を帯び続けていた。
ぷるっ、ぷるっ、と。
ルリは知らず知らずのうちに乳揺れを披露して、その一方で後ろからの視線は尻に集中しきっていた。
お尻もぷるぷると揺れている。
同じく足からの衝撃で、柔らかな膨らみが振動を帯びることにより、ぷるっぷるっと、絶えず揺れ動いている。そんな尻肉の可動を観察するのは、なかなかに面白いものなのだ。
走行動作によって、足が前後に動き続ける。
片足が前に出て、もう片方の脚は後ろに出る。その延々と繰り返される動作によって、脚の可動に合わせて尻肉も前後している。振動を帯びながら、前後にも動く尻肉の可動を観察すれば、尻フェチチックな光景を楽しめるというわけだった。
そして、楽しむべき展開はさらにある。
――汗だ。
このトレーニングルームは温度設定をやや高めにしてあるため、運動を開始すれば必ず体は汗ばんでくる。
透けやすいものを身に着けていたら、一体どんなことになってしまうか。
その答えはもはや時間の問題だ。
しかし、ルリはその目論見に気づくことなく、ただ淡々と走り続ける。
カメラマンの視線も、インストラクターがニヤニヤと見てくるのも、全てはあくまで格好のせいだけだと思い込んでいるのであった。
*
肌が汗ばみ、その不快感がルリを襲う。
だが、その不快感は決して汗で蒸しっぽくなった首回りや、体温が上がったせいで部屋を熱く感じるせいだけではない。
ランニングマシンの撮影を済ませてから、ルリは様々なトレーニング器具を使わされ、その都度視線やカメラを向けられていた。
サイクリングマシンを使わされ、その最中のカメラマンは何故か背後に張りついて、明らかに尻を集中的に撮影していた。ショルダープレスのマシンや脚の筋肉を鍛えるマシンを使わされ、その際も尻や胸が集中的に撮られていた。
そして、さらにバーベルである。
それらマシンや器具の設定や重量は、全てルリの体力でも問題のないように配慮してあり、バーベルに重りはほとんど付いていない。五キロにも満たない重量を肩に担いでのバーベルスクワットをするのだが、その撮影がルリにとっては問題だった。
肩に大型カメラを担いだ男と、ハンドカメラを持つ一人が、それぞれ正面とサイドに立つ。
それはいい。
当たり前のポジションからの撮影には何も言うまいが、残る一人のカメラマンはやはり後ろに回り込み、明らかに尻を狙っているのだ。
「セクハラです」
「そんなことないよー? ルリルリ」
「お尻を撮っています」
「背中だよ背中。ただの後ろ姿」
「本当ですか? 疑わしいです。あとで映像を確認させて下さい」
「うんうん、確認させる。だから今はこっち向こうね」
ルリが嫌がる様子を見せても、こうして続行される撮影は、ついには男達が見学を決め込んで、周囲を囲み始めている。数メートルは遠巻きにしながらも、ぐるりと包囲してくる中心に、ルリは立たされているのだった。
しかも、一人一人の視線はどんどん露骨になっている。
「変態ばっか……」
そう小さく呟かざるを得ないほど、ニヤニヤと頬の緩んだ表情は並んでいる。鼻息の荒い呼吸が今にも聞こえてくるかのようで、体中を視姦され尽くす不快感と、そして恥ずかしさでならないのだ。
しかも、汗で透けている。
本人はまだ気づいていない。
ただ通気性の良さや露出度に、視姦でしかない目つきが気になるだけで、自分の尻や乳首が見え始めていることについてまで、何も知らない様子で淡々と、ルリはスクワットを続けているのだった。
余談だが、後ろ側で撮っている一人の男は、こっそりと気づかれないようにポーズを変え、仰向けで見上げるアングルから尻を撮り、顔に向かって上下してくる光景を楽しんでいた。
*
最後にルリが使用するのは、レッグストレッチャーだった。
開脚用の運動器具で、椅子からアームを生やした作りは分娩台を連想しないこともない。ルリはそんな椅子の部分に腰を下ろして、アームパーツの上に両足を乗せていた。足首を置くために、U字の形状となった部分へそれぞれパーツのようにはめ込んで、開脚運動を開始するのであったが、この時になってからだ。
今までも視線は露骨であったが、ルリの抱く不快感は、視姦や尻を狙った撮影など、そういったものに対するものが中心だった。
しかし、それがとうとう言葉に出て来た。
「うーん。セクシーだね? ルリルリは」
インストラクターがあからさまに胸や股間に目をやって、その感想を言い始めた。
「控え目ながらに膨らむ胸。下着無しで直履きの、アソコにぴったりと貼り付いたレギンス。どちらもエッチでたまらないよ」
これまでとは比べものにならないほどの、大きな恥辱に駆られたルリは、それでなくとも染まっていた頬をより赤らめ、周囲の男達に対する批難がましい視線を浮かべ始める。
「今のは本当にセクハラです。訴えます」
「うんうん。そういう話は後にして、今はストレッチに集中しようね?」
そう言ってインストラクターが周囲に目配せをした途端、周りにいた男の一部が動き出し、急にルリへ手を伸ばす。足首に固定用のベルトをかけ、後ろからは腕を掴まれ、一瞬にして四肢が封じられてしまっていた。
背もたれの向こう側へと手首を引っ張られ、その上で手錠がかかった瞬間の衝撃といったらない。
「な、何をするんですか? やめて下さい」
さすがのルリの声色にも、焦りが見えていた。
後ろ手の拘束と足のベルトで、身動きが封じられてしまったのだ。
それも、足を左右に大きく開き、アソコを目立たせた形の上である。
「大丈夫大丈夫」
「何が大丈夫なのかわかりません」
「ところでルリルリ? いいものを見せてあげるよ」
インストラクターがそう口にした瞬間、それを待っていたようにして、一人の男が彼に鏡を手渡した。それをルリに向け始め、それに何の意味があるというのか、ルリは一瞬ばかり困惑していた。
だが、鏡の角度によってそれが映って、今になって初めて真実に気づいたルリは、もはや耳まで染め変える勢いで、より大きな恥じらいの感情に囚われていた。
鏡に映るスポーツブラの、白い生地が透けていた。
汗を吸い、透明に近づく布の下から肌色が伺い知れる上、乳首の色はくっきりと浮かび上がっているのだった。
「そんな……いつから……!」
「ランニングマシンで汗かいたでしょ? あのあたりからだよ?」
インストラクターがニヤニヤと言った途端、周りの男達も口々に言い始める。
「乳首がピンク色で可愛いね?」
「お尻もね、透けてたよ?」
「アソコもほら、汗で肌にくっついてるから、ワレメの形がよーくわかるんだ」
当然、予想のつく話であった。
乳首がはっきりと見えるのなら、アソコの部分が透けていても、きっとおかしいことはない。初めから透けやすいものを渡されて、だから下着は駄目だと言っていたのだと、ようやく気づいたルリの赤面は、首から上をまんべんなく別色に染め変えていた。
頭が沸騰する勢いで、ルリは激しく恥じらっていた。
「な……な……!」
カメラが向けられていた。
インストラクターも、他の男達も、映像として収めやすいように配慮して、それぞれにポジションを譲っていることで、大型カメラが真正面から向けられている。その隣に控えるように、一人のハンドカメラ持ちは姿勢を低め、片膝を突いている。
そして、残る一人は隣に近づき、横から顔を撮っていた。
それは表情を少しでも近くから記録して、恥じらった様子を楽しむためのものだった。
「エッチだなぁ?」
「ルリルリぃ、スクワットもエロかったよ?」
「透けたお尻がどんなだったかわかる?」
「肌色が見えていてね? お尻の溝がずーっと見えてたよ?」
一人一人の言葉が羞恥を煽り、ただでさえ加熱しているルリの頭に、なおも熱を追加してきている。いつしか脳が蒸発して、頭の中身が消え去る勢いで、蒸気さえ上がりかねない羞恥にルリは囚われているのだった。
「僕達、勃起しちゃったよ」
「勃起ってわかる? わかる歳だよね」
「ほら、俺達の股間」
「みんな心の中ではルリルリとセックスしたがってるんだね」
男達の短パンは、揃ってテント張りとなっていた。
亀頭が布を押し上げての、あまりにも綺麗な三角タワーを誰もが生やし、ルリに対する自分の興奮をアピールしている。
ルリは懇願した。
「やめて……ください……お願いします…………」
恥じらいにまみれ、歪み切った表情で、ルリは一生懸命な気持ちになって訴えかける。その裏には、身動きの取れない状況で勃起した男に囲まれての、強姦、輪姦といったことへの恐怖もあるが、今は何よりも恥ずかしさでいっぱいだった。
「あれ? ルリルリ」
「アソコ、どうなってるの?」
その時、数人の男が首を傾げていた。
それから、インストラクターは何かを思いついたようにして、カメラマンの撮影を邪魔してでも真正面にやって来るなり、再び鏡を突きつける。
「ほーら、見えるかな?」
アソコの様子がルリ自身にも見えるようにと、角度の調整された鏡に映るのは、有色透明の白から皮膚が透け、もはや全裸との違いがなくなってしまった真実だった。汗で皮膚と密着して、ワレメに沿い合わさったレギンスの、いやらしい部分であった。
しかも、濡れていた。
濡れるというなら、もちろん汗でまんべんなく濡れているのだが、アソコの部分に関しては、もっと別の水分すら分泌され、周囲とは色合いが異なっていた。濡れれば濡れるだけ透明に近づく素材は、アソコの部分を切り取ったようにして、よりはっきりと中身を曝け出していた。
愛液が出ている証拠であった。
その濡れ染みの楕円が広がるように、ルリのアソコの透明領域は形成され、もはや繊維そのものが透明なもので出来ている勢いで、性器がはっきりと見えているのだ。
「いやぁぁ……!」
ルリらしからぬ悲鳴が上がる。
「みんなのおチンチンを想像して、興奮しちゃったのかな?」
インストラクターはそんな言葉を投げかけながら、ルリのアソコへ手を伸ばす。
性器を触り始めていた。
「やめてください! 痴漢です! 変態です! 犯罪です!」
「気持ちいいんでしょ?」
「やめてください!」
ルリは繰り返し繰り返し、同じ訴えを行っていた。
もはや無意識に同じ言葉を繰り返す機械のように、延々とやめてくださいといい続け、インストラクターはまるで聞き入れる気配を見せない。
クリトリスが弄り抜かれた。
最初はワレメを上下になぞり、ぬかるみの滑りに合わせて愛撫をしていたが、インストラクターは途中で何かに気づいたように、思いついたようにクリトリスのポイントを集中的にくすぐり抜き、指先や爪を駆使して突起を責めた。
「あっ、あぁ……!」
ルリの肉体は反応していた。
「いや……いやです…………!」
それはどちらに対しての言葉でもあった。
アソコを触られることに対しても、こんな形で感じてしまう自分自身に対しても、拒否感や嫌悪が膨れ上がる。それが動揺じみた顔に表れ、しかしルリの敏感なクリトリスは、何の容赦もなく快楽電流を生み出していた。
「あぁっ、あぁぁ――!」
愛撫にカメラが向けられる。
ハンドカメラを持つ二人とも、いつしかインストラクターの手つきを撮るために、愛撫を横から覗き見る形で両サイドに陣取って、大型カメラの男は感じた表情を集中的に撮り始める。
「あぁぁ――――」
明らかに喘ぎ声のトーンが上がる。
髪を振り乱してよがる動きも、徐々に活発になっていく。
「あぁぁぁぁぁ――――――――!」
ビクっと弾けたような反応を示すのは、それから数分後のことだった。
ルリは絶頂していた。
こんなにも恥ずかしい思いをさせられ、屈辱的な扱いを受けたその上で、しかもイカされたという事実に打ちのめされ、ルリは呆然とした表情を浮かべているのだった。
*
それは最初から計画的なものだったのではないかと、今になって私は思います。
立派な犯罪です。痴漢です。変態行為です。
絶対に許しません。
あんなの、絶対に……。
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