和也は今頃、何をしているだろう。
勉強中、だろうか。
白いカーテンに目を向けて、その向こう側にある家のことを思いつつ、あずさは服を脱いでいた。楽しみそうにわくわくしている優の前で、ブラジャーを取り外し、生の乳房を曝け出した時、その手はすぐさま伸びて来た。
(和也、ごめんね……)
心の中で謝るのは、これで何回目になるだろう。
「ママ……」
「だから、その呼び方はちょっと引くってば……」
「駄目かな……ママ……」
「お姉ちゃん、なら嬉しいけどなぁ……」
あずさは困った顔をしながらも、夢中になってくる優に乳房を揉ませ、その嬉しそうに興奮している様子を眺めていた。
ある時、急に頼まれたのだ。
最初はただ勉強を教えているだけだったのが少しずつ、そわそわとする様子が目立ち始めた。何かを言おうとして悩んでいるような、けれど言い出す勇気が出せずにいるような、そんな様子を何度か見ているうちに、やがてあずさの方から尋ねたのだ。
私に何か、頼みたいことでもあるの?
そう確かめたのが、高校入学からしばらく経っての時になる。
その答えはこうだった。
「お願いします! おっぱいを揉ませてください!」
まさか、土下座をしてまでそんなことを頼んでくるとは、夢にも思ってみなかった。
「いや! それは無理だよ!? 何言ってるの!?」
最初こそ、そんな常識的な反応をしたあずさだったが、続け様に言ってくるのだ。
自分はこんな調子の人間で、学校に行けばイジメを受けて、家でも妹から下に見られている。これでは一生彼女なんて出来ないから、あずさにしか頼れない。あずさくらいしか、まともに口を利ける女子はいない。
「彼氏がいるのはわかってる! 和也くんがいるのはわかってるけど、絶対秘密にするし、だからお願いします! お願いします!」
「駄目だよ」
「どうしても!? どうしても駄目なの!?」
「わ、私……帰るよ……?」
「待って! お願い! それじゃあ僕はどうしたら! 怖くて学校だって行けないのに!」
その必死な訴えに、つい胸を打たれてしまった。
あんな目に遭ってしまったせいで、今の優には学校そのものがトラウマになっていて、たとえ行きたい意思があっても足が動かないのだ。あの時のあずさのように、優は学校そのものに対して体が動かなくなってしまうのだ。
その同情は大いにあった。
そして、自分は何もできなかったという引け目もあって、さらには押しに弱い正確も災いして、断り切れずに頷いてしまったのだ。
どうしよう、どうしようと、きっぱりと断ることができずに内心でオロオロしているうちに、畳み掛けるような叫びを聞かされた時、気づけば心が揺らいでいた。
強く押されると、どうもこうなってしまうのだ。
頼み事の種類にもよるが、断るのも悪いような気持ちが湧いてきたり、そんなに強い気持ちで言うなら聞いてあげた方が良いのかと思ってしまったり、かつて和也が積極的に誘いをかけてきた時などは、断ったらショックだろうな、残念がるだろうな、といった気持ちがふつふつと湧いてきた結果として、映画や勉強といった時間を過ごした。
何事も断りにくく感じる気質があって、自分でも困っている。
もっとも、和也のことはそのうち本当に好きになり、告白された瞬間の嬉しさといったらなかったので、そのあたりは別にいいのだが。
「む、胸……だけ……?」
恐る恐る、不安ながらにあずさは尋ねた。
「……うん」
優は頷く。
「……絶対?」
「絶対」
優はきっぱりと答えていた。
あずさとしては、胸に触る以上の何かを求めてきそうなら、それは無理だという理由で丸ごと拒もうと考えていた。
(断らなきゃ……断らなきゃ……)
彼氏がいる身で、付き合ってもいない相手に揉ませるなど、普通ならありえない。
だから断るべきだと言い聞かせ、拒否の意思を示そうとはしてみるが、いざ優の眼差しを見てみると、真剣なような深刻なような、ここで拒まれたらもう後がないかのような切実な顔をしてくるのだ。
そんな顔を見てしまっては、もう断ることができなかった。
「……わかった」
そう答え、あずさは胸を触らせることに決めたのだ。
というより、頑として拒むためのエネルギーが失われいた。頼み事を押し退けたり、きっぱりと拒むためにはパワーが必要で、そのためのエネルギーは相手の押しが強かったり、何か断りにくいと感じるものがあると、簡単に減衰してしまう。
「ええっと、脱ぐ……よね……」
この時、あずさは制服のまま来ていたので、真っ白なセーラー服を爆乳によって膨らませていた。巨乳を不便だと思うのは、乳房が布を持ち上げているせいで、腹のところに隙間が作り、激しく揺れればヘソがチラつくことも十分あり得る。
あずさのセーラー服は前開き型だ。
まずは赤いスカーフの結びをほどき、引っ張ることで首から抜き取る。あとは手前のファスナーを下ろしていくことで、前がはだける仕組みである。
そのファスナーをつまみ、下ろそうとしたところで、多大な抵抗感が吹き荒れる。目の前でジロジロと見てくる優の視線が恥ずかしくて、しかし一度期待をされてしまうと、それを裏切ることが申し訳なくなってくる。
自分の性格を呪いたい。
こんな頼みは聞くものでなく、何かやんわりとした注意で流すべきだと、頭の中では思っているのだが、そのための上手い言葉が出て来ない。
「あずさの……おっぱい……」
もう後には引けなかった。
自分のいかに押しに弱いことかを痛感しながら、つまんだファスナーを下ろしていく。その瞬間から、優の目は血走って、前のめりになってまで覗き込もうとしてきていた。前開き式の隙間から、下着や素肌を見よう見ようと、食らいつかんばかりに鼻息まで荒っぽく鳴らしていた。
猛獣にでも、狙われている気分である。
飢えた獣がそこにいながら、あずさは左右に服をはだけて、今日のピンク色を露出する。襲われることがわかっているのに、それでもエサを見せびらかさなくてはいけない気分とでも言うべきか。
桃色の生地に薔薇のプリントを散りばめたブラジャーを見せた時、優の興奮はより一層のものとなっていた。
(恥ずかしい……)
既に和也とは初体験を済ませている。
それどころか、奉仕した経験さえあって、恥部を見せることにはいくらか慣れているものの、当たり前だが彼氏以外に見せたことは一度もない。初めて見せる相手に対して、まるで今までの慣れがリセットされてしまったように、新しく羞恥心が湧き直していた。
顔は赤らみ、唇の形は波打つように歪んでいく。
セーラー服の袖から腕を引き出し、軽く畳んで隣へ置くと、次の背中へ両手を回す。指先でホックを見つけ、それをパチリと外した時、またさらに少しだけ、優は前のめりになってきていた。
(和也も、こんな感じだったっけ……)
生まれて初めて異性の前で裸になったのは去年の冬だが、ブラジャーを外す瞬間に対する食い入るような視線は、和也も似たようなものだった。
決定的に違うのは、愛している異性か、そうでないかであった。
「ちょっとだけ、だからね……」
肩紐を一本ずつ下ろしていき、そしてあずさはブラジャーを取り去った。
「おお……!」
瑞々しい果実を曝け出した時、感激に満ちた眼差しが大きく広がっていた。
(よ、喜んでる……!?)
何故だろう。
思っていたほどの不快感がない。
彼氏がいながら、惚れているわけではない相手に乳房を出す以上、その抵抗感はもっと苛烈なものになると思っていた。激しい拒否感に見舞われて、いつまでも耐えられないはずだと思っていたのに、それが危惧したほどではなかったのだ。
(優だから、なのかな)
きっと、そうだ。
可愛い弟のように思う優に対して、悪い感情は特にない。好いてはいるが恋愛対象ではない立ち位置は、嫌いな相手や何の好意もない相手に見せるより、ずっとマシというわけだ。
そういえば、弟を持つクラスメイトの友達には、平然と下着姿で歩き回っていると豪語する子が何人かいた。自分に本物の弟がいたとして、同じ振る舞いをする自信があずさ自身にはないのだが、異性として意識する可能性のない相手の視線は、それだけ気にならないものなのだろう。
家族も同然の枠組みにいる優の視線は、それと似たようなものだ。
自分では自信がないと思っていても、平気でいられる感覚が本当は少しはあるのかもしれない。
「初めて見た……」
血走った獣の眼のようでいて、芸術を前に感激に震えたようでもある。
「そ、そう? でも、ネットとか……」
「それは、なんていうか……その、実物はやっぱり違うし……」
「そうだよね。うん、そりゃそっか」
あずさはぎこちなく笑ってみせる。
いくら思ったほどの嫌悪感がないとしても、やはり恥ずかしさは感じてしまう。弟の視線に過ぎないので、過剰なまでに真っ赤とはいかないまでも、頬に微熱が宿っている感覚は確かにあった。
(でも、和也の時よりは――)
初めて和也に見せた時は、恥ずかしさで頭が爆発寸前だった。
しかも、和也も和也で実物を拝むのは初めてで、緊張と興奮で余裕がなく、お互いにいっぱいいっぱいといった具合でぎこちなく、無理のある顔や動きで平静を振る舞い合った。手足の動き全てがあの時はお互いにカクカクとしたロボットだった。
「さ、触るね……?」
恐る恐るといった具合に言ってくる。
(そうだった……)
見せるだけでなく、触らせるのだ。
既に和也の指は何度も伸びて来たことがあり、しまいには肉棒を挟んだ経験まで持ち合わせている。親のいない隙を狙って行うのが大半なので、なかなか頻繁にはできないが、多少なりともセックスを覚えた体である。
性感帯は未経験の頃よりも発達しており、風呂で体を洗う時にも微妙ながらに反応する。
ならば優の指が当たっても、きっと反応するはずだった。
「や、柔らかい……! なのに、もっちり……!」
そーっと近づけてくる慎重さは、まるで噛みつく動物を撫でようと、おっかなびっくりに手を伸ばしてくる風であったが、いざ指先が到達して、そのまま指を絡めてきた時、そんな直前までの緊張を全て忘れていた。
(触らせ……ちゃった……)
あずさの中には罪悪感が吹き荒れる。
「すごい……すごい……!」
対して優は、瞬く間に顔を生気で満たしていた。
どことなく濁った瞳で、普段から人の顔色を窺って見える眼差しから、そんな暗さが掻き消されて、さも希望に満ち溢れたように変化していた。
「優っ、もうちょっと……優しく……」
左右の乳房に、それぞれ五指が蠢いている。
「ごめん。痛かったり、するんだよね……」
夢中なあまりに食い込んできていた指は、途端に力を弱めていき、その揉み方はほどよいものとなっていく。
「大丈夫。その感じなら、痛くないよ」
「うん」
優は頷き、そのまま指を蠢かせる。
指に強弱をつけ続け、延々と同じことを繰り返してくる時間の中で、気まずい静寂が張り詰めていた。気まずくなっているのはあずさだけで、優の方は触ることに夢中だろうが、思い沈黙の中で過ごすのは、何か辛いものを感じてしまう。
「ど、どうかな」
無理にでも沈黙を破ろうと、口を突いて出て来た言葉は、わざわざ自分から感想を尋ねてしまうものだった。
「あずさって、大きいよね」
「そうだね。人より大きいかも」
「手で掴みきれない。なんか、ボールみたい」
「ボールかぁ……」
「うん。それに……皮膚もスベスベしてて、すっごく……」
優は急にタッチを変え、乳首を重点的に責め始める。つまんでは軽く引っ張り、指先で転がすようにしてくる愛撫に痺れが走り、あずさは身体をもぞもぞさせていた。
「あっ、それ……んっ……」
感じてしまう。
弱い乳首をあまりやられていると、このままでは体にスイッチが入ってしまう。優を相手に興奮するわけにはいかず、それにいくら弟のように思っている相手でも、やはり恋愛関係ではない以上、少なからず嫌悪感はあるのだった。
このあたりで終わってもらおう。
「ねえ、そろそろ……」
切り上げて欲しいと言いかけた時、それを遮るようなタイミングで、優は急に抱きついてきた。
「ママ……!」
「え……!?」
あずさはあらゆる意味でぎょっとした。
胸の中に顔を埋め、抱きつきながら押し倒されて、あずさは床に背中を落としていた。その急に押し倒された驚きに、そしてママなどと呼ばれたことへの引き攣った表情で、引き気味に驚いていた。
「ママ、ママぁ……」
「ちょっと? あの、優?」
「あずさしか甘えられないんだ……ママぁ……」
「ま、待って? ママはやめて? ママは引くよ? せめてお姉ちゃんにしない?」
返す言葉は本当にそれでいいのかと、自分でも思いつつ、しかし慌てふためきながら上擦っているあずさには、とても冷静な言葉など選べなかった。
「やだよ。ママがいい」
「そう言われましても……」
「ママぁ……!」
「やっ、ちょっと……!」
顔を埋めているばかりか、今度は乳首に吸いついてきた。赤ん坊が乳でも飲もうとするように、急に唇に包み込み、ちゅぱっ、ちゅぱっ、と、音を鳴らして吸い上げる。和也にも吸わせたことはあるものの、さすがに優の唾液が付くのは許容範囲を超えそうだった。
というより、今まで許容範囲を超えていなかった方がおかしいのだと、あずさは自分でも思っているのだ。
(おかしい……!)
あずさは焦る。
「ママ……ママ……」
そんな風に呟きながら、しきりに吸いついてくる優の姿に、何故だか母性をくすぐられる。可愛い子供に甘えられ、それが悪い気もしない感覚に、あずさは我ながら焦燥していた。
(やばい、これ……私って、こういうの受け入れちゃうってことなの……!?)
前々から、人の世話を焼く自覚はあった。
大好きな和也、幼馴染みの優、それぞれ部屋の掃除はきちんとしているのか、勉強はやっているのか。私生活がしっかりしているか否かが気になって、つい口出しをしたくなったり、勝手に人の部屋に掃除機をかけたくなる。
そんな世話焼き気質が少しでもあるというのも、押しに弱い一因なのか。
ともかく、そんなあずさの中には、甘えられれば甘えられるほど嬉しい性癖があったのだ。優のせいでそれが目覚めそうになっていた。
(どうしよう……今度、和也にも甘えてもらおう……)
などと、悠長なことを考えて。
(じゃなくて! 触るだけって約束だったんだから、こればっかりは拒否しないと!)
いくら断るのが苦手でも、度を超えた頼み事まで聞くわけにはいかない。
相手が優だったから、乳房を揉ませるまでには越えてしまったが、いくら優でもこれ以上のラインは越えさせない。いくらなんでも、ちゅぱちゅぱと吸って唾液を付着させても構わないのは和也だけだ。
「ゆ、優? 聞いて?」
きっぱりと断ろうと、あずはは大きな声を出し、一文字ずつをはっきりと口にして、何とか止まってもらおうと考えていた。
だが、もう遅かった。
もう何を言っても止まってくれることがなくなるまで、優には暴走のスイッチが入ってしまっていた。生の乳房を前にして、最初に触り始めた時までは、まだ理性を残していたが、もはや自分で自分を止められない段階に優はいた。
優はズボンを脱ぎ始めていた。
「待って!? 駄目駄目! それは駄目!」
「は、挟みたい! パイズリだけでいいから!」
「だけじゃなくて! 揉ませるだけって約束だったでしょ!?」
「お願い! お願いママ!」
「ママじゃなくて――」
「もう止まれないよ! 僕が一番じゃなくていいから! 和也くんが一番でもいいから!」
「やぁ――!」
とうとう優はズボンを脱ぎきり、トランクスまで脱ぎ捨てて、あずさの胴体に馬乗りとなっていた。体重が身体に乗っかって、そのずっしりとした感覚を胴に感じた直後には、もう乳房のあいだに肉棒が置かれていた。
(大きい……!)
自分よりも背の低い優である。
ならば、そのペニスも可愛らしげで、どちらかといえば小さめに違いないと先入観を抱いていた。それがこうまで太く勇ましいものだとは、その意外さに目を丸め、あずさは自身の谷間に見える亀頭を凝視していしまっていた。
「ママ……ママのおっぱい……」
優が両手で乳房を掴む。
その手で胸を中央に寄せていき、肉棒を乳圧で締め付けながら、前後に腰を動かし始めていた。
(うっ、使われちゃってる……)
熱気を帯びた石の硬さが乳肌に触れている。
谷間に潜り、ピストンで皮膚へ摩擦を与えてくる感覚は、まるで性処理道具として使用されているような、道具として扱われることでの、マゾヒズムでさえも刺激され、もはやわけがわからない。
母性を煽られ、使われる状況にも心のどこかでは興奮して、こんな状況になっているのに断る力が失われていた。
きっぱりと意見を述べ、相手を押し切るためのエネルギーなどなくなって、あとはされるがままとなっていた。
「あぁ……気持ちいい……」
優が満足そうに目を細め、うっとりとしながら動いてくる。
そんな腰の動きに合わせて、閉じ合わさった乳房の隙間では、ピストンに応じた摩擦が繰り返される。
胴で腰が前後する。
上に乗られていることでの、若干の苦しさと共に、谷間には亀頭が見え隠れを繰り返す。ピストンに応じて谷間に消えると、乳房の寄り合わさったラインが形成され、そしてその内側からにゅっと生え出てくることの繰り返しだ。
「気持ちいい……気持ちいいよ……ママ……」
「だから、ママはちょっと……」
最初は引いたが、何度もそう呼ばれているうちに、急速に抵抗感がなくなっていく。何を受け入れてしまっているのか、それではとんだ変態だとは思いながらも母性をくすぐられ、頼られながら甘えられることの快感に胸がきゅっと引き締まる。
「すっごく気持ちいい……」
(本当に気持ちよさそうな顔して……優ってば……)
見れば随分と安らいでいる。
「ママ……」
(ああ、そっか。本当に、他に優しくしてくれる人が……)
何もあずさをママにしなくとも、本来の母親も親身になってくれていると思うのだが、妹の方には優への苦手意識がある。父親は厳しめらしく、和也は頻繁に来るわけではない。そもそも、幼馴染みではあっても、優と和也の友達関係は薄らとしたものだったので、べったりと頼る相手としては見做しにくい部分があるのだろう。
同い年で頼れる相手は、優にはあずさしかいない。
(……優の面倒、私が見た方がいいんだよね)
仮にも無理に肉棒を宛がわれ、不本意にパイズリをやらされている。それをそんな風に思うなど、優しすぎるのも問題だと、あずさ自身としても思っている。ここは注意をするべき、説教をするべきといった考えは反芻するが、そうすることで優を壊すことが恐ろしい。
(だって、私は平気だし……)
本当の意味では平気じゃない。
何も感じず、平然と、あっけからんとしているわけではない。
だが、自分はどうやら、今こうして仕打ちを受けてみて、どうも耐えきれてしまうと感じていた。我慢ができる自分に対して、トラウマを抱えた優の方は簡単に壊れかねない。
(そうだね。私が面倒を見よう。もう一人のお母さんになって、支えてあげよう)
あずさはそんなことさえ考え始める。
もちろん、和也には悪い。
罪悪感はあるのだが、わざわざ言わなければわからないだろう。こんな展開、想像できるはずがなく、そして優と付き合うつもりはない。ただ面倒を見るだけで、好きなのは和也の方ということは変わらない。
自分の中で整理をつけて、これからのことを決めかけた時だった。
「ね、ねえ……どこに出せばいい……!?」
急に優は慌て始めた。
「あっ、待って! ティッシュは?」
「あそこ! あ、でももう――」
優が指す方向を見て、あずさは軽く引き攣っていた。
きっと、今にも出そうな状況で、ベッドに置かれたティッシュまで、もう間に合いそうにないのだろう。床でしているせいで、手の届かない距離にそれはあるのだ。
「もうっ、ちゃんと考えなさいよ」
まもなく優は限界を迎える。
仕方がないので、乳房の中央に亀頭を埋め、隙間の中で出してもらう。素肌に温かな精液の感触が広がると、閉じ合わさった谷間のラインからも滲み出ていた。
青臭い香りが鼻孔に流れ込んで来る。
既に和也との経験があるおかげで、精液は実物で見たことがある。体にかかってきたこと自体には驚かず、きちんと制服を脱いでいてよかったことや、ティッシュの位置ぐらい気をつけて欲しいことの方に頭がいく。
身体から汚れを拭き取った後、あずさはもっぱらその注意をしていた。
もっと他にするべき説教があるはずだと、本当に自分でも思いつつ、そういう注意ばかりが口を突いて出て来ていた。
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