作品一覧




 痛い。
 体中が痛い。
 眠りの中から意識が目覚め、徐々に覚醒していくにつれ、全身に広がる痛みの箇所を皮膚が一つずつ思い出す。
 腹部にある鈍い感覚は、誰かに拳を入れられてのものだったか。頬にある擦り傷はわからない。手足や腰に感じる痒みの数々と、少しだけある痛みは、ナイフを使われた切り傷だ。どれも浅い傷ばかりで、薄皮だけで済んだものは痒いだけだが、少しでも血の出ている部分には痛みがある。
 あとは頭に鈍痛がある。
 殴られたはずだが、爆発物を使われて、その際の飛来物が当たった覚えもある。
 どれがどの時の痛みであるか、だんだんと体が思い出す。痛みという情報が刺激となって、一つ一つの記憶は蘇ってくるのであった。
「あぁ……そうだわ……」
 一番、肝心な痛みに気づいた。
 ――腕だ。
 両腕にはロープが縛り付けられ、その食い込みが皮膚の負担になっている。しかも天井に吊し上げられ、嫌でも腕は真上に向いているので、姿勢を低めたり、重心を下にやろうとすると、食い込みでますます痛む。
 下手をすると、両手首が壊死するだろう。
 それは真っ平と思い、きちんと両足で立ってみせると、両手にかかっていた負荷が少しは薄れたらしい。
「そりゃ、そうね」
 天井を見上げた彼女はそう呟く。
 戦闘の最中に気を失い、そして殺されることもなく、こうして目を覚ましている。ならば拘束を受けていても、さほど不思議なことはなかった。

「目が覚めたみたいだな――W」

 彼女の前には、一人の男が立っていた。
 いや、一人ではない。
 先頭に立つ男の背後には、その配下である面々がずらりと並び、その誰もが恨みか何かでも抱えたような、暗い視線を送って来る。
 目の前の女を、Wをどうにかしてやりたい。
 薄暗い意思が一人一人からひしひし伝わる。
「あら、いい朝ね? うっかり寝坊しちゃったわ?」
 Wは軽口を叩いた。
 その瞬間、男の平手がWの頬を打ち抜いていた。
「黙れ」
「へえ、黙れ? それが朝のご挨拶? 育ちのほどが知れるわねぇ? 朝は『おはよう』でしょう? お、は、よ、う」
「あと何発ぶたれたい」
「ぶてばいいじゃない。どうせ生かしておくつもりもないんでしょう? できれば楽に逝かせて欲しいけど、期待できそうにはないわねぇ? だって、あんた達みんな、苦しんで死んで欲しいって顔だものねぇ?」
「よく喋るな」
「そうねぇ? あんまりいい朝だったから、私も機嫌がいいみたい」
「ふん」
「ところで、今更なんだけど。あんた達、だぁれぇ?」
 再び、平手打ちが繰り出され、鋭い音でもう一方の頬が赤らんでいた。
「わからないか」
「あたしは傭兵よ? どこで誰の恨みを買ってるか、いちいち覚えてるとでも思ったぁ? 悪いけど、苦しみながら死ぬことはできても、やったことを後悔しながら死ぬっていうのは無理な相談よ?」
「貴様……」
「怒ったぁ? あら、失礼? あんた達みんなの顔、最初からトマトみたいに真っ赤だったわね?」
 どの瞬間、男は冷たい視線のまま、今度はナイフを引き抜いていた。ベルトから吊り下げた革製のケースから、慣れた手つきで柄を握り、一閃させるのにかかった時間は、ものの一瞬なのだった。
 この一瞬で、並みの相手なら首と胴体が離れ離れになっていることだろう。
 しかし、男が狙いを定めたのは、Wの着ているその衣服の方だった。
「……あら」
 余裕を気取り、挑発的な眼差しを浮かべることをやめないWの、叩かれたせいで赤いはずの頬には、その時から別の赤らみが浮かび始めていた。
 下着が露出していたのだ。
 服に切れ目を走らせつつ、しかしブラジャーは傷つけない。衣服という薄い層だけを器用に切り抜き、その下には傷一つつけない技巧は、男の実力を確かに示したものだった。
 それは扇情的な黒だった。
 漆黒のブラジャーには、その中央にリボンを咲かせつつ、銀色に輝く装飾をカップ部分に散りばめている。ハーフカップで谷間を目立たせ、色気を主張しつつもゴシック調のデザインで飾るブラジャーは、Wには戦闘の予定がなかったことを示している。
 もちろん、不測の事態に対応するべく、武器はいくらでも持ち歩いていた。
 だが、確実に誰かと戦う予定はなく、動きやすさを重視した下着など、今は身に着けていないわけだった。
「それで? あたしに恨みがあるのはわかったけど、いつやるのよ。それとも、たった今やりにきたってとこかしら?」
「そうかもな」
「だったら、早いところやっちゃいなさい。でないと、今にあたしの仲間が助けに来ないとも限らないわよ? そんなことになったら、せっかく晴らせたはずの恨みも晴らせないまま、おめおめと逃げ帰る。なんてことになっちゃったりして」
「そんな心配はしていない」
「ふーん? なら、ここってどこかしらね」
「……チッ」
 男は顔を顰め、舌打ちする。
「あらぁ?」
 だが、その舌打ちに対してこそ、人を嘲るような挑発的な表情が浮かんでいた。
 今のが駆け引きだったのだ。
 Wの饒舌に対して、つい答えてしまった言葉の内容は、彼女に確かな情報を与えた。それは決して大きなものではないが、この場所はWの存在を巧妙に隠している。仲間の助けなど来るはずがない、その自信をWは情報として掠め取った。
「だが、それが何の役に立つ?」
「ま、そうよね」
 残念ながら、男のその言葉が真実だ。
 気絶しているあいだに運び込まれて、拘束された状態で目を覚ましているのなら、体中に隠した武器は、まず間違いなく取られている。加えて多勢に無勢の状況では、たとえ何かの手品でロープを解き、突如として男の懐に飛び込み、たった一本のナイフを奪う芸当をこなしたところで、その先に繋がらない。
 あるいはこのリーダーらしき男を人質にする手も考えたが、たかが刃物一本では、そこまで出来る相手ではない。
「お前の運命は変わらない。違いがあるとしたら、死に方くらいだ」
「で、どうすんのよ? 今やるの?」
 Wはわざとらしく、いかにも呆れかえった風に尋ねていた。
「始末はいつでもつけられる。その前に、どうすればお前を後悔させてやれるか。色々と試してみるまでだ」
 この時、Wが真っ先に想像したのは痛みによる拷問だった。
 苦痛のあまり、泣き叫びながら許しを請う。そんな自分自身の未来を想像して、不快そうな顔を浮かべたものの、しかし男の取った行動はそれとは違った。

 男はスカートを捲ってきた。

 ただでさえ、戦闘のためにところどころが破けてしまい、裂けた部分からショーツの色が見えている状態だったが、手でしっかりと捲り上げることにより、その中身はよりはっきりと、具体的に確認できた。
「へえ? そういうことをするってわけ?」
 余裕を気取るWの頬には、しかしやはり、恥じらいによって浮かんだ赤色が窺えるのだった。

     *

 冷静に周囲を見渡し、敵の人数を確かめる。
 天井はどんな作りか、壁は、床はどういうものか。ここは地下か地上か。一つ一つ判断しようと、口先では挑発的な態度を取りながら、Wはどうにか頭を回転させ続ける。
(はっ、あたしを殺さずにいたこと、後悔させてやろうじゃないの)
 そのつもりで、どこかに反撃のきっかけを見出そうと視線を走らせているのだが、そんなWの顔には明らかな朱色が浮かぶ。
 スカートが捲られているのだ。
 先ほど、ナイフで裂かれた部分から、ブラジャーが丸見えになっている上、黒のショーツもまた視姦されている。
「なるほど、こういう趣向のデザインが好きか」
 ショーツもまたゴシック調で、漆黒の上に銀色の糸を縫い込んだ刺繍が輝いている。両サイドをリボン結びにするタイプは、通常のショーツよりも少しだけ布が少なく、いささか扇情的なものだった。
 それが黒いタイツの内側に穿いてあるわけなのだが、そのタイツにもところどころに穴が空き、素肌の色が覗けて見えていた。
「さあ、そうとも限らないわよ」
 Wはそっけなく答えてみせるが、その瞬間にスカートを破かれた。
 ただでさえ焼け目が入り、爆弾で焦げ付いたり、誰かの刃物に引っ掻かれた跡でいっぱいの、もうまともに外を歩くためには穿けないスカートは、紙でも破くような感覚で、簡単に裂け目を入れることができてしまった。
「みんなにも見てもらえ」
 さらには布を引き千切る。スカートの前側だけが綺麗になくなり、尻の側だけに布のかかった滑稽な形となる。もうショーツの隠れようがなくなると、ずらりと並ぶ面々の視線が一気に集まり、視姦の圧力が強まっていた。
「あーら、目の色変えちゃって。別の意味で身の危険を感じるわぁ?」
 Wは実際、そういう種類の警戒心を抱きつつあった。
 恨みを抱き、暗い眼差しで睨んできていた割りに、下着が見えただけで雰囲気が変わったのだ。目の前の女をいたぶって、殺してやりたい衝動というよりも、思い通りに犯し尽くしたい衝動の方をWはひしひしと感じていた。
(まったく身の毛がよだっちゃうわね。さっさと下らない縄をほどいて、トンズラしたいところだけど、ついでに何人やれるかしらね)
 脱出と、その直前に殺せる人数の計算を始めるWへと、ぱんっ、と、手が乗せられた。後ろに回り込んだ男の、手の平が尻に置かれていた。
 指が食い込み、尻たぶが揉まれ始める。
 Wはその不快感に、頬の内側で密かに歯を噛み締めていた。
「ねえ、一応聞いておくんだけど、あんたがこの縄をほどいてくれたら、もっといいことをしてあげてもいいわよ?」
「ほう?」
「尻なんて触ってるくらいだし、どうせそういう命乞いだってアリなんでしょ?」
「気が向いたらな」
 きっと、この男がリーダーだろう。
 彼を人質に取ることができれば、他の連中を牽制できる可能性は大いにあるが、先ほどの腕を見るに実現は難しい。無理に捕らえようとせず、さっさと始末する方が最善と言える手合いの実力者だ。
「気なら向いてるんでしょう?」
 Wは呆れかえってみせていた。
 女を殺さず、生かして連れ帰る男という時点で、こういうことは予想の範疇である。驚くには値しないが、実際に触られてみれば不快感も良いところだ。群れから集まる視線の数も、鬱陶しいことこの上ない。
 その時だった。
「り、リーダー……!」
 一人の醜男が前に出た。
(ふーん? やっぱりね)
 今まで偉そうにしていた男は、やはり見立て通りの立場である。忠誠心のほどまでは知らないが、慕われている人物なのだろう。
「どうした」
「俺、そいつ……犯したい……」
「なるほど」
「穢して……穢して……穢し尽くしたい……」
「そうだな。まずはお前がこいつを汚してやれ」
 席でも譲るようにして、リーダーは尻を触っていた手をどかし、Wの傍らから数歩引く。入れ替わるように醜男が迫ってくると、そのまま後ろに回り込み、抱きついてくるのであった。
(……ちっ、ウザッ)
 思わず舌打ちしそうになった。
 顔を見ただけでも震えるような醜男が、こうもくっついてきた上に、その呼吸が耳の裏側に当たって来る。しかも背中に抱きつきつつ、胸まで触ってくる手つきには、全身に鳥肌が広がっていた。
 そんな醜男の様子を見て、ならば自分もとばかりに、一人また一人とWに近づき、より至近距離から視姦してくる。手の平に包み込まれ、指に揉まれるブラジャー越しの乳房へと、丸見えとなっているショーツへと、それぞれ視線は集中していた。
「…………」
「……」
「…………」
 誰もが無言で、じーっと、ギラついた視線を送りつけていた。
 その視姦によってWは赤らみの色を濃くしつつ、密着してくる醜男の、背中に伝わる体温や胸を揉んでくる指遣いへの嫌悪感も、より濃密なものにしていった。
「まったく、下らない連中ね」
 何の恨みかは知らないが、集団で襲ってきたからには、家族なり友人なり、親しい誰かがWのせいで死んでいるのではないだろうか。いざ仇討ちのチャンスを手に入れて、その上でやっていることがこれだとしたら、これほど死者の魂が浮かばれないことがあるだろうか。
(馬鹿馬鹿しい。付き合ってらんないわよ)
 本当にさっさと脱出したい。
(それにちょっと、恥ずかしいわね……そろそろ……)
 誰も指摘はしてこないが、見ている連中には薄々気づかれているかもしれない。顔の赤らんでいる様子は、この調子では誤魔化しも効かなくなってくる。
(うわっ、サイテーね。もう本当に無理、耐えきれない)
 Wは露骨に顔を顰めた。
 後ろの醜男はただ胸を揉むばかりか、さらに勃起した股間まで押しつけて、ズボン越しに尻の膨らみをなぞってくるのだ。
(そろそろ離れなさいよ)
 両足は自由であった。
 足が拘束されていないのなら、それくらいは簡単なことだった。

「ぐほっ!」

 その瞬間、醜男が真後ろで悲鳴を上げる。
 弾けたように咄嗟にWの体を離れていき、肩越しに振り向いて確かめれば、股間を両手で押さえてしゃがみ込んでいた。
 簡単な話だ。
 ただ、蹴っただけである。
「そういえば、そうだったな」
 リーダーがWの自由な足を見ながらそう呟く。
 そこには忌々しいものでも見るような目があった。
「ごめんなさーい? あんまり気持ち悪いものだから、つい足が出ちゃったみたい」
「そのようだな。次は気をつけろ――とは言わん。足も拘束させてもらう」
「はいはい。好きに縛ればいいじゃない。それで、やることといったら下着をジロジロと見るくらいのことなんでしょう? 揃いも揃って腰の抜けた変態みたいね」
 Wの挑発など無視したように、リーダーは何も答えることなくロープを用意し、それを手下の一人に手渡した。






 WはI字バランスをやらされていた。
 単純に両足を縛り、蹴りや歩きの自由を奪うものかと思ってみれば、実際に彼らが行った拘束は、片足だけを縛り上げ、それを天井から吊しての、強制的なI字バランスというわけだった。
「いい格好になったな」
 リーダーの言葉に恥辱が膨らむ。
「そうみたいね」
 余裕を気取るWだが、その頬は先ほどに比べてより赤く、誤魔化しの効かない羞恥心が滲み出ている。
 今度はより近くに人が集まり、群れで間近から視姦されていた。
 I字バランスによって真っ直ぐと、天井へ向こうとするように持ち上がった足の周囲に、未だショーツとタイツ越しとはいえ目立ったアソコは、その全員の視線を一点に掻き集める。
「恥じらいが顔に出ているぞ」
 とうとうリーダーが指摘してきた。
「あらそう」
「そんな顔をしてもらえるなら、生かしておいた価値もあったというものだ」
「くっだらないわねぇ」
「タイツを破いてやれ」
 リーダーが命じた時、それまで群がっていた男達の手が幾本も伸びていき、脚にアソコに触れ始める。指が当たって来る不快感に顔を顰めて、耐え忍んでいるWのタイツは、食い荒らされでもしているようにビリビリと、そこかしこが引き裂けていく。
 それまでタイツの布を帯びていたアソコや尻は、はっきりとショーツを曝け出し、その周囲の肌の色まで見せている。
「……台無しじゃない」
 Wの顔には、より明確な羞恥心が滲み出ていた。
「やってやれ」
 そんなWの言葉を無視して、リーダーはさらに命じた。
 その瞬間に三人が立ち上がると、彼らは思い思いに手を伸ばし、Wの肉体を愛撫してきた。一人はブラジャー越しの乳房を揉み、もう一人はアソコを指先でなぞりつつ、残る一人は尻を撫で、三つの恥部が同時にそれぞれ責められ始めた。
「あーあー……気持ち悪いったらありゃしないわぁ……」
 Wは恥辱を感じていた。
 ショーツ越しにワレメをなぞられ、こんな形で受ける刺激だというのに、肉体は反応を示してしまっている。尻は勝手気ままに撫で回され、乳房を包んで来る両手も、好き勝手に指を食い込ませてくれている。
 その乳揉みの男は、最初は前から両手をやって、指に強弱をつけて来ていた。
 下半身からの刺激を感じている一方で、乳房への愛撫によっても肉体は反応して、Wは不本意にも快楽を感じ始める。それはまだまだ薄らとしたもので、やれ喘いだりよがったりとは程遠いものだったが、不本意な反応極まりない。
 しばらくすると、乳揉みの男は後ろに回り、先ほどの醜男がそうしたように、背中に抱きつきながら揉んできた。背中に身体が密着してきて、耳の裏側の近くに唇が迫るというおぞましさをWは再び感じていた。
「本当にウザったいわね。こんな馬鹿げた痴漢であたしがピーピー泣くってわけ? なかなか面白い冗談じゃない?」
「泣こうが泣くまいが、今はどちらでもいい。やれ」
 リーダーが顎で命じる。
 すると背後からの乳揉みの手は、おもむろにブラジャーを掴み上げ、急にずらしてしまっていた。不意打ちのように突如として、ずり上げられてしまったブラジャーから、今まで隠されていた生の乳房は、ぷるっと露出されていた。
 本当に、ぷるっと揺れていた。
 ブラジャーをずらした際の、乳房の角度も一瞬だけ同時に持ち上がり、そしてブラジャーをずらしきっての、フックでも外れたような振動で、乳首が男達の前に顔を出す。白い肌に生やされた桃色は、一瞬にして全員の視線を掻き集めた。

 じぃぃぃ…………
 じぃぃ……
 じぃ………………

 視線の数々が表皮を這って、むず痒い。
「綺麗じゃないか」
 リーダーもわざわざ乳房に言及してくる。
「はいはい、どうも」
 呆れてみせているWだが、誰が見ても頬の赤らみは増しており、もはや誤魔化しようのない羞恥心が表情に表れていた。
「恥ずかしそうな顔になってきたな」
「うっさいわね」
「恥ずかしいです。許して下さい。と言えたら、今日は勘弁してやろう」
「そーねー。許して欲しいわー」
 あからさまな棒読みに対してのリーダーの反応は、表情を微塵も変えることのない、ただの無言であった。
 沈黙自体が、きっとリーダーの答えであった。
「ひとまず好きに触っていろ」
 そして、その言葉を引き金にして、背後の男は思う存分に乳房に触れて、Wへの刺激を与え始める。
(……ったく、あたしは感じる気なんてないっていうのに)
 まず、ぷるぷると揺らされていた。
 ずらりと並ぶ面々の、一人でも多くの目を悦ばせようとでもしているのか。下乳を掬い上げ、下から振動を与えて揺らし始める。そんな乳揺れを起こすことにより、Wの乳房を見世物に、仲間内の目を悦ばせていた。

 ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、

 指先で弾まされ、揺れ動く乳房に対しての、視姦の圧力は強まる一方だ。
 そして、その最中にもアソコへの刺激は続いており、ショーツ越しのワレメは延々となぞられ続けている。尻には手の平が這い回り、たまに指を食い込ませ、揉むようにしてきながら、好き勝手に感触を味わってくる。
「いい乳揺れだ」
 と、リーダーが口にする。
「エロいぜ?」
「そんな乳でよく傭兵なんてやってるな」
「娼婦の方がいいんじゃねーか?」
「そのおっぱいの使い方、試しに練習してみるか?」
 言葉による辱めまで行われ、Wはますます顔を顰めていく。屈辱を感じながらも赤らみを広めていき、頬はもう完全に、ピンクと言わずはっきりとした赤へと染まり変わっているのであった。
 さらに次の瞬間に、尻を触り続けていた手が急にショーツの紐をつまんだ。
「ちょっと……!」
 Wの顔に焦りが浮かぶ。
 待って欲しいと言わんばかりの表情に、しかし誰が待つはずもなく、リボン結びの紐は引っ張られる。どちらの結びもほどかれて、はらりとショーツが落ちることで、今度はアソコまでもが剥き出しに、下半身にも視姦の圧力は強まっていた。
「ちっ……!」
 全ての恥部が曝け出された。
 それら全てに視線は集中して、視界に並ぶ限り誰しもの表情も、いやらしいものへと変貌していく。嬉しそうにニヤニヤと、Wの恥じらう姿を楽しんで、鼻息まで荒くしているのだ。

 ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、

 その上、乳揺れは継続しているというおまけ付きだ。
 それまでアソコを愛撫し続けてきた男は、そのまま至近距離からワレメを睨み、今度は直接の刺激を開始する。肉貝の皮膚に指が触れ、撫でられる屈辱にWはぶるっと身を震わせ、生尻に手が置かれることにより、さらにもう一度震えていた。
(本当に最悪ね……揃いも揃って下半身に脳の付いた奴ばっかじゃない……)
 性器にまで視線が来ていることで、顔の赤らみはさらに広まり、耳にまで及ぼうとする勢いだ。
「どうした? だんだんいい顔になってきたじゃないか」
 リーダーは人を嘲る顔となっていた。
 それまで、口数の少ない寡黙で冷血な男にしか見えなかったのが、しかしWの恥じらいが出れば出るほど、口元をにやつかせ、煽らんばかりの小馬鹿にした眼差しに変貌していた。
「うっさいわねぇ!」
「おっぱいを揺らされながら怒っても、滑稽なだけだぞ?」
「あらそう。恨みを晴らしたい割りにはこんなことばかりのあんた達も、なかなか滑稽じゃないかしらぁ?」
 Wの態度は変わらない。
 だが、その声は確実に震えを帯びていた。怒りを抑えきれないかのような、本当なら気の済むまで暴れてやりたいような憤りを瞳に宿していながらも、その周りに広がる赤色からは、羞恥心ばかりが周囲にはひしひしと伝わっていた。
「くっ……!」
 アソコに指が入ってくる。
 その不快感にWは歯を噛み締めていた。
 こんな形だろうと反応している肉体は、嫌でも愛液の分泌を開始している。見た目にわかるほどには濡れていないが、膣壁の狭間に隠れた水分は増えていき、例え表面に滲み出てはいなくても、指さえ入れれば具合がわかる程度には、Wは濡れてしまっていた。
「こいつ、エロ汁を出してますよ?」
 と、挿入した指でピストンを始めながらも、その男は大きな声で報告する。
「へえ? 濡れてんのかよ」
「俺達にヤってもらうための準備か?」
「いい心がけだな」
「ま、せいぜい俺達の溜飲を下げてくれよ」
 せせ笑う表情が広がっていく。
「あんた達……!」
 Wがどれだけ睨み付け、鋭い視線に殺気を宿しても、それはもう濡れた女の目でしかない。アソコに愛液があるくせに。おっぱいを後ろから揺らされて、こうしている今にも乳揺れを見せびらかしているくせに。そんな女が殺気など見せびらかしても、面白おかしいものにしか見えないと言わんばかりの、小馬鹿にして嘲る目つきが一人一人に浮かんでいた。
(絶対……後悔させてやるわ……)
 Wは一人一人の顔を記憶に刻む。
 この両腕の縄と、I字バランスを無理にでもやらせてきている右足のロープを何とかして、体の自由を手に入れた後、ここにいる連中をどう始末していくかの算段をつけ始める。ただやられているだけではない、計画を立てようとする思考という、頭の中でのWの行為は、しかし他に衝動の発散をできないためでもあった。
 この怒りを自由自在に発散できれば、一人残らず生かしておかない。
 それが出来ない今、頭に浮かべるイメージの中だけでも、連中を始末してやらなければ気が済まない。せめてもの妄想で気持ちを抑え、自分で自分を慰めていなければ、溢れんばかりの怒りと恥ずかしさをどうにもできない。
「んっ、くぅ……」
 息に乱れを感じ始めた。
 散々に乳房を揺らされ続けて、胸には甘い痺れが走り始めていた。やがてタッチが変化して、今度は乳輪や乳首を集中的に愛撫してくる手つきに変わると、突起した乳首の敏感さが、これでもかというほど痺れを放つ。
「んっ、ふぁ……はぁ…………」
 それはまだ、周囲にそうとわかるほどの、はっきりとした乱れではない。
 だが、このまま息が荒っぽく、かつ熱っぽくなり続ければ、快感で乱れた淫らな息遣いに調子付き、彼らはますますつけ上がることになるだろう。
「どうした? 急に静かになって」
 リーダーが煽らんばかりにわざとらしく尋ねてくる。
「なによ。あんた達のくだらなさに、呆れてものも言えないだけよ」
「我慢で口を閉ざしている。の、間違いじゃないか?」
 と、そうリーダーが尋ねた途端だ。
「へえ、気持ちいいってよ?」
「確かに、濡れてるっつってたもんな」
「そうかそうか。エッチな声を我慢したくて、唇をきゅーって結んでたのか」
「アソコもきゅーってしてんじゃないか?」
 男という男の数々が、次から次へと言葉によって責め立てて、Wのことを辱める。
「ああもう……ウザイったらありゃしないわね……」
 Wはますます表情を強張らせ、ぐっと歯を噛み締めていた。
 リーダーが放った言葉は、あるいは単なる煽りであり、Wの息遣いを敏感に聞き取っていたとは限らない。かといって、なまじ感じてはいるWにとって、呼吸の乱れを自覚してきた矢先によく効く言葉であった。
「んっ、くぅ……」
 胸が感じる。
 指先の動きが変わり、今度は左右の乳首をどちらも上下に弾き続けてきた。人差し指をピンと長く伸ばすことにより、延々と乳首を動かし、上下運動をやらせ続ける行為によって、乳腺組織がその神経に快楽信号を解き放つ。その電流はピリピリとした甘さを帯びて、乳房の中に充満していく。
 乳房を視姦してくる眼差しは、そんなWの乳首をじっと見ていた。
 美味しそうな果実の匂いに誘われ、ヨダレを垂らさずにはいられない表情が、いくらでも向いて来ていた。
「リーダー。糸が出るようになってきましたよ?」
 その時、アソコにピストンをしていた男は、おもむろに指を引き抜きながら、糸が引くかどうかをわざわざ確かめ、その報告を行っていた。
「ほう? 体は欲しがってるみたいだな」
「男らしい都合のいい解釈ねぇ? アンタのそれも、醜いババアの手でも反応くらいはするんじゃないの?」
 生理的な反応にすぎないことを遠回しに言おうとする。
「望み通り犯してやろうか?」
 しかし、そんなものは意に介さず、リーダーは少しでもWを辱めるための言葉を選ぶ。Wに屈辱を感じさせたり、恥じらいを感じさせたり、あるいは怒らせるための言葉をその都度捻り出そうとしているのだ。

 ぺちん!

 それは尻を叩いてくる音だった。
(チッ、こいつ……)
 Wは内心舌打ちする。

 ぺちん! ぺちん! ぺちん! ぺちん!

 尻にご執心な男の方は、せいぜい撫で回しているくらいしかないかと思えば、急に思いついたように叩いて来た。その打音を耳で聞き、ちょっとした痛みを尻肌に感じていると、Wの中にはさらに恥辱は蓄積していく。
「よし、そろそろ二人、前に出ろ。お前は一旦下がれ」
 リーダーが指示を出す。
 それに応じて乳揉みの男は引き下がり、しかし入れ替わりで現れた二人の男は、真正面から乳房を味わい始めてきた。
「ちょっと……! 気持ち悪いわねぇ!」
 赤ん坊のようにしゃぶってきたのだ。
 二人がかりで、左右の乳房を同時に咥え、ちゅばちゅばと吸いつく音を鳴らしてくる。舌で乳首を吸い取って、母乳でも吸いたいかのような吸引の力をかけてくる。
 おぞましかった。
 こんな男の唾液が肌に触れ、皮膚に浸透するかと思ったら、気持ち悪さで全身を搔きむしりたくなってくる。爪で皮膚を剥がしてでも、染み込んだものを体から取り出したい衝動さえ湧き出していた。
 より最悪なことに、二人とも醜男なのだ。
 Wが最初に蹴った醜男のルックスよりも、より一層のこと醜悪な顔立ちの、いっそ戦闘で顔を負傷して、そのせいで醜く変貌したのかと思うほどの顔立ちで、中年ほどの男が乳首をしゃぶって味わってくる。
「ねえ、おっぱい美味しいよぉ?」
「ママぁ……!」
 Wは戦慄しきっていた。
「……………………っ!」
 全身に冷気が駆け巡り、ぶるっと背中が震えた上に、体中に余すところなく鳥肌は広がっていた。
(どんだけキモいのよ! こいつらは!)
 あまりにも激しく引き攣った表情だった。
 改めてリーダーの顔を見てみれば、その満足そうな表情でよくわかる。Wに不快感を与えるべくして、より正しい人選で、そういう指揮を執っているのだ。
(やってくれんじゃないの……)
 二人の醜男は言うまでもなく、リーダーに対する怒りや憎しみは、より大きなものに育っていた。ここまで辱めてくれたからには、それ相応の死に方をしてもらわなければ気が済まない。報復にかける思いはより大きく、より黒いものへと変化していた。
「いい顔だ」
 そんなWの様子に気づき、リーダーは言う。
「それでも、お前はやり返せない。そのロープがほどけない。ほどけたとしても、殺せる人数があまりにも少ないことがわかっている」
「……っ!」
 Wは別の意味でも戦慄した。
 心を読まれたとまでは言わないが、見透かされた気分であった。
「そうだろう? 未だに計算を続けているのは、瞳を見ればよくわかる。だが、手立てがないからお前はみすみす乳房をしゃぶられ、そいつらの赤ん坊ごっこに震え上がっているんだ」
「はいはい。まったく、わかりきったことをよく自慢げにならべるわね? そうねぇ、足し算ができたら偉いものねぇ?」
「声にも艶が出て来たじゃないか。さっきよりも色気があるぞ」
「はぁ?」
「微妙な震えを帯びている。怒りと、恥ずかしさが、いい具合に宿されている」
「なにぃ? ソムリエ気取り?」
「そろそろ、お前らもヤりたくなってきただろう?」
 Wの言葉など意に介さず、リーダーはもっぱら手下達の方に目を向ける。
「待ってましたぜ?」
「へへっ、このためについて来たんだ」
「たっぷり後悔させてやるぜ」
「ヒィヒィ言わせてやらぁ」
 まさに待っていたとばかりにぞろぞろと、手下は一気にWを囲む。初めから逃げ場などなかったが、Wの周囲には明確な輪が出来上がり、よりはっきりとした形で逃げ場を失う。
 その時、今までWにまとわりつき、アソコや尻を好きにしてきた男は離れていった。
 二人の醜男も口を離して、舌と乳首のあいだに長い長い唾液の糸を引きながら、周囲の輪へ加わっていく。
(……もう覚悟するしかなさそうね)
 傭兵として生きてきて、こうなることは何度も考えたことがある。女の身なら、どこかで生け捕りにされる機会があれば、こういう展開もあるはずだとは思っていたが、想像を現実にしたいなどとは一度たりとも思わなかった。
 だが、来ないで欲しい現実は、今こうしてやって来たのだ。
「……キモいわねぇ」
 Wは小さく呟いた。
 後ろから抱きつかれ、またしても胸を揉まれたかと思いきや、尻に股間を押しつけられたのだ。
「さっきは痛かったな」
 また、あの醜男らしい。
 後ろからで、顔は見えないものの、Wが最初に蹴ったその醜男の声だ。それが再び背中に密着して、胴体を押しつけてくる上に、股間を尻に擦り当てている。腰使いによって尻の形をなぞりつつ、耳の裏側に唇まで触れさせてくる。
 髪に隠れたWの耳には、ふつふつと鳥肌が広がっていた。
「やるなら、さっさとしちゃいなさいよ。面倒ね」
 Wは全身で身構えていた。
 逃げられず、避けられない運命なら、覚悟を決めて迎える以外、嫌でも他に道はない。
「もちろん、やってやる。みんなで一人一人挿入して、いっぱい中にくれてやる」
 耳に息が吹きかかる。
 その熱気にぶるっと体を震わせた時、その醜男は乳首を指でつまんでいた。背後から回してきているその両手で、思う存分に乳輪をなぞり回し、乳肌の感触を五指で確かめ、興奮の息遣い揉みしだく。
 先ほどまでの、二人の唾液が残っていることなど気にも留めずに、その醜男はハァハァと鼻息を鳴らしていた。
 男達はズボンを脱ぎ始める。
 醜男に揉まれる乳房へと、ギラついた視線を送りつつ、視姦に夢中でいるせいか、手元も見ないでベルトを外す。そこかしこから金具の擦り合わさる金属音が、そしてチャックの降ろされるスライド音が聞こえてきた。
 一人、また一人と脱ぎ去って、トランクスまで捨て去り下半身をあらわにする。
 見たくもない勃起の数々が目に入り、Wはさらに顔中を強張らせた。
(ほんっとに、サイテーな展開ね)
 恥辱の滲み出た頬を固くして、Wはぐっと身構える。
 吊り上がった右足に力を加え、足首にかかる負荷を介して、ロープの具合を確かめようと試みる。無駄な足掻きだとはわかっていても、何かをせずにはいられずに、Wはギリギリまでロープを気にしていた。
 だが、一人の男がWに迫ると、無言で肉棒を挿入してきた。
 I字バランスに対しての、普通とは位置の異なる穴に狙いを定めようと、その男は腰を低めるようにして、斜めに突き込んでいた。角度を低めて下から上へと、Wの穴に対して照準を合わせての挿入だった。
「チッ……!」
 Wはあからさまに舌打ちする。
 とうとう名前も知らない男の一物が収まって、ピストンさえもが始まる状況に、Wはこれ以上なく屈辱を感じていた。歯軋りの音を鳴らして、呪わしい眼差しで周囲の全てを睨み尽くしていた。
「やってくれたわねぇ?」
 その低まった声には、これでもかというほどの殺気が宿されていた。
「どうだ?」
 それほどの殺意と呪いの凶眼があろうとも、そんなものは何でもないように余裕の顔で、リーダーは男に具合を尋ねる。
「ええ、凄いですよ! もう入れた瞬間から濡れまくりなのがわかって、すっげぇ気持ちいいです! 所詮はこのためにある体っすねぇ!」
「だそうだ。そんな顔をしても、お前の穴は俺達の性処理道具だ」
 尊厳を削り取り、プライドを刺激して、怒りを煽るような言葉をリーダーはわざとらしく選んでいる。
「本当に……言ってくれるわねぇ……んっ、んぁぁ…………くっ、ふっ…………」
「いい声も聞こえて来た」
「うっさいのよ! ペラペラ喋ってないで、黙ってさっさと済ませなさいよ!」
「みんな聞いたか? こいつは今、とても不思議なことを言ったぞ。俺達の中で、一体誰が一番お喋りで無駄口が多かったか。ご本人様は忘れているらしい」
「あんた……!」
 Wの顔に怒りの形相が浮かんでも、リーダーはもちろんのこと、その周りにいる全ての男が、滑稽なものに対するニヤついた眼差ししか向けはしない。
 所詮彼らにとって、おっぱいを揉まれているくせに浮かべた顔だ。挿入されて、ピストンされているくせに見せてくる怒りなのだ。
「あっ、くぅ……んっ、んっ、んぅう……!」
 Wの息は明らかに乱れていた。
 横合いから腰を打ちつけ、膣を貫く一撃のたびに、全身が軽く衝撃を帯びている。ピストンのリズムに合わせ、Wの頭は軽く弾んで、その一方で未だ乳房は揉まれ続ける。五指を惜しみなく食い込ませ、指圧によって押し潰していることで、指のあいだから乳肉がはみ出てきていた。
「気持ちよさそうじゃないか。W」
 リーダーは鼻で笑う。
「ふんっ、大したことないわよ――んっ、んぁ……あっ、あぁ…………」
 ピストンのペースは上がっていた。
 腰を振ってくる男の、興奮で荒っぽくなった息遣いは、ペースが上がれば上がる分だけ明らかに激しさを増している。鼻から吹き出る呼吸音は、後ろの醜男などよりよほどボリュームを上げていき、耳障りなことこの上なかった。
「おい、中に出していいぞ?」
 リーダーが唐突な許可を出す。
「な……!」
 Wはその言葉に驚愕していた。
「何を驚いている?」
「中はやめなさい!」
「妊娠なんてしていられるほど、まだ長生きするつもりでいるのか?」
「黙りなさい! いいわ、娼婦にでも何でもなってあげようじゃない! だから、せめて外に出すくらいはしなさいよ!」
「聞く必要はない。いいな?」
 リーダーはあくまで膣内射精を命じている。
「ちょっと! くっ、こいつ……!」
 ピストンのペースはさらに早まる。
「あっ、くっ、くぅ……! くっ、くぅぅぅ…………!」
 今の今まで、無駄だとわかった足掻きは見せず、ほとんど大人しくしていたWだが、膣内射精という危機を感じてからは、それだけは避けようと身悶えを始めていた。どうにか身体を揺らしたり、つま先立ちで身体の位置を少しでも高めたり、あるいは腰を前後左右に動かそうとしてみることで、あらゆる抵抗を試していた。
 射精の直前だけでもいい。
 一瞬でもいいから、この忌まわしい肉棒が出てくれれば、それで膣内射精だけでも避けられれば、妊娠の可能性は最小限に抑えられる。ゴムなど使おうともしない連中相手に、それを避けきる手立てなど他にはなかった。
「んっ、んぁ! あぁっ、あぁぁ……!」
 しかし、Wの喘ぎ声はトーンを上げる。
 抵抗しようとしている肉体から、それでも快楽を示す声がいくらでも上がっていた。ピストンをすればするほど、Wの身悶えは抵抗というよりも、快感に反応しての、よがるようなものへと変わっていた。
「あっ、あん! あぁん!」
 もはや周囲から見る分には、無駄に足掻いてみせているのか、快感に反応しているだけなのか、その区別もつかなくなってきている。
「あっ、あぁ! やめっ、やめなさ……いぃ…………!」
 Wは髪を振り乱していた。
 吊り上がった右足の、足首にまで快楽電流は行き渡り、甘い痺れが弾けるたびに反り上がる。二つの拳もくねくねと、やけに手首が活発に動き回って、そして首も振り回されて、前髪は乱れていく。
「リーダーの命令なんでな。あの世で俺の子を生んでくれ」
「き、キモイ――ことを――あっ、あぁぁ……!」
 喘ぐWの膣内へと、その男はついに射精を果たしていた。
 射精感の高まった肉棒を根元まで押し込んで、そのまま腰を震わせながら、脈打つ肉棒の先から解き放つ。白濁が勢いよく弾け出ることで、それはWの子宮にまで届かんばかりだ。
 引き抜けば、肉棒の出て行く摩擦に引きずられ、掻き出されたような形でこぼれる愛液と、それに混ざった白濁が、亀頭とのあいだに糸を引く。濁りきった滴が片足立ちの内股を伝って流れ、汚らしい筋を伸ばしているのであった。
「よくも……! やってくれたわねぇ……!」
 Wは今すぐにでも飛びかかり、男の喉を掻き切ろうとする勢いだった。
 だが、それはただの勢いに過ぎない。
 身動きのできないWが、いくら怒りの勢いばかり見せつけても、それでロープがほどけるわけでも何でもない。
「次は俺だよ」
 背中に密着してくる醜男は、耳の裏側にキスをしながら、ねっとりとした声で告げていた。






 Wは呼吸を荒っぽく乱して火照った顔で、頬には色気を醸し出し、しかし恨めしいものを睨む目つきを周囲の男に撒き散らす。
「あっ、んぅ……くっ、くあぁ…………!」
 I字バランスに対する挿入は、腰を横から押しつけられて、肉棒をアソコの角度に合わせて行われる。腰の向きを調整して、上向きの角度へピストンしている醜男の、興奮しきった息遣いは耳障りなものだった。
 天井に向け、高く持ち上がった右足の、醜男は太ももに抱きついてくる。脚に両手を回して自身の身体に密着させつつ、醜男はせっせと腰を振り、快楽を楽しんでいた。
「……あぁっ、あっ、ふぁっ、あっ、んぅ……うっ、くぅぅ……長いわねぇ……どうせ全員するんでしょぉ? 時間が……足りないんじゃない……?」
「心配するな。朝まで犯し尽くしてやる」
「身が持たないじゃない――んぁっ、あぁぁ……!」
 一体、この地獄はいつになったら終わるのか。
 男の数など、そもそも数えたくもない。一周したら終わってくれるのか、二周目や三周目が始まりはしないものか。そんな不安についても、今は頭から振り払い、なるべく考えないようにしていた。
「んっ、んぁっ、あぁぁぁ……!」
 ピストンによって、身体が揺すられる。
 その衝撃によっても、Wの乳房は揺れていた。

 ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、

 と、斜めの角度で突かれていること、I字バランスのポーズを取らされ、上半身の角度もY字気味に多少傾いていること。その関係で純粋な上下の乳揺れとはならず、斜め気味に揺れ動いていた。

 ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、

 そんな乳揺れの光景は、順番待ちの男の目を楽しませる。
「あっ、んぅぅ……! んあっ、あぁ……あっ、あぁぁ……!」
 Wは髪を振り乱し、快楽に頭が染まりそうになりながらも、未だ心の半分以上を怒りや恨めしさが占めている。挿入してきた男は言うまでもなく、乳揺れを視姦してくる一人一人のことも吹き飛ばし、思い知らせてやりたくてたまらない。
「あん! あぁん! あん! あん!」
 だが、そんな感情でありながら、Wのしていることは喘ぐことなのだ。
 犯されることの怒りで、この場にいる全員をどうにかしてやらなければ気が済まない、ただ衝動だけが胸に湧き、そして頭に浮かぶ報復の方法は、いずれも実現できないものだ。
「くっ、くぅ……! くあっ、あぁぁ……!」
 悔しくてたまらなかった。
 ロープが解ければ、武器があれば、きっと対抗しうる相手のはずなのに、手も足も出せない歯がゆさに泣けてくる。
「んんんっ、んぁぁ…………!」
 そして、その時だった。
 醜男もまた、急に腰を押しつけたままピストンを停止して、差し込んだ肉棒を脈打たせる。ドクドクと放出される精液で、Wの膣内はあっという間に満たされていた。それどころか、入りきらない精液が、肉棒と膣壁の触れ合う隙間に入り込み、ワレメの外へ滲み出ようとする勢いだった。
「あぁ気持ち良かった。すっごく良かったよ? ありがとう」
 醜男は満面の笑みを浮かべていた。
「うざいわねぇ……」
 そのわざとらしいお礼の言葉に怒りを煽られ、咄嗟に睨み付けていたものの、醜男もまたWの目つきや声色など意に介さない。
「さて、次は誰だ?」
 リーダーは品定めのように部下達の顔を眺めて、これと決めた男に向かって顎でくいっと指示を出す。
 そうやって、次の男が挿入してきた。
 一回目でも、二回目でも、いずれも膣内に射精され、その精液の残りがあるのだが、気にする様子もなく生挿入をしてくるのだ。
「あっ、あぁぁ……!」
 Wは延々、喘ぎ続けた。
 この三人目の相手になる男も、やはり今までと同じく上向きに、腰の角度を工夫しながらピストンする。そんな肉棒の出入りに甘い痺れが弾け回って、Wは髪を振り乱し、手足をよがらせてしまっていた。
 そして、こうしてWを犯す面々は、それが義務であるかのように、必ずといっていいほど膣内に射精する。三人目の男がひとしきり腰を振り、数分をかけて射精感に達すると、解き放った上で引き抜いて、亀頭とアソコのあいだに濁った白い糸を引く。
 精液に汚れたアソコへと、四人目の綺麗な肉棒が入り込む。
「んんっ、んあっ、あん! あん!」
 Wがしばらく喘いだ末に、やはり膣内を精液で汚された。
 五人目も、六人目も、五分前後のピストンで射精に至り、必ずといっていいほど根元まで押し込んだ状態で、わざわざ腰を密着させて放出する。
 Wのアソコ周りには、とっくに白い汚れが溜まっていた。
 愛液と精液が時間をかけてかき混ぜられ、膣壁との摩擦で擦り抜かれたものが、肉棒によって引きずられ、外へ掻き出されてきた結果の、泡立った固まりが溜まっていた。泡立ちがそのまま乾燥で固形に近づき、まるでパン生地の破片を砂粒程度のサイズにして、水で溶かしかけてあるような、固形といっても水気を吸った汚れが広がっていた。
 十人目の挿入に至る頃には、もうとっくにアソコの穴がガバついて、どんな太さにさえも慣れてしまっていた。
 何十回、何百回、ひょっとしたらそれ以上の摩擦を受けて、その分だけ痺れと快感が蓄積している。
(サイッテー……イっちゃったじゃない……こんなふざけた連中なんかで……)
 実のところ、何度か絶頂していた。
 それを指摘して煽ってくる気配がないので、気づかれていないのなら、わざわざ教えてやる理由もなく黙っているが、Wの胸中にある屈辱の項目には、イカされたという理由も加わった。
「お前はまだだったな。いいぞ?」
 リーダーの指示で、また一人の男が挿入してくる。
「んぅぅぅ……!」
 これが一体、何人目か。
 初めから数える気などなかったが、それにしても入れられた回数がとっくにわからず、きっと二十回は超えているはずだった。
 そして、また膣内に射精して、Wの子宮におぞましい精子が増える。
 十人、二十人という数が中出しをしているので、Wの膣内はもはや白濁まみれとなって、後ろの順番になればなるほど、他人の精液が付着してくるはずなのに、誰も彼もがお構いなしにWを犯す。
「そろそろ俺も相手をしてやるか」
 リーダーがズボンを脱いだ。
 今まで部下にWを犯させ、それを眺めてばかりいたリーダーが、ついに自らも肉棒を曝け出し、Wの身体に組み付いてきた。
 肉貝や鼠径部の、アソコの周囲にある皮膚には、愛液と精液がいくらでも浸透している。表皮に広がった体液が乾燥しつつ、その上から新しく体液が広がって、さらに皮膚細胞の中に染み込んでの、臭気さえこびりつきそうな状態が今のWの性器である。
 ワレメを覗き見てみれば、筋のラインに合わせて濁った汁が見えている。
 しかし、リーダーもまた気にせず挿入して、激しく腰を振りたくるのだった。

「んぅっ、んぅぅぅぅぅ――――――!」

 Wの絶頂は、それから数分後のことだった。
「イったな」
 淡々と告げてくるリーダーの、トドメのような射精が下腹部の中に広がる。
「だったら何よ……これで、全員済んだってわけ……?」
 体中に疲労感が溜まっている。
 I字バランスのポーズを維持させられ、長時間そのままでいることでの、関節の疲れも気になっていた。いい加減に解放されたくてたまらずに、これで終わりであって欲しい願望がWの中では切実だった。

「そうなだ。だから二周目に入る」

 Wは心の底で絶望していた。
(冗談じゃないわよ……)
 この世の終わりに直面でもしたような、薄暗い心境に陥りながら、しかしWはそれを表に出さなかった。これだけ犯され、心が雲の上に行くほど舞い上がった連中の、まだ調子付く顔など見たくはない。あえて弱みを見せることを嫌って表情は取り繕うが、Wの中には確かな絶望感があるのであった。

 輪姦は続く。

 いつまでも、いつまでも、あるいは三周目にさえ突入するのかもしれない。
 そして、満足したらWの命を奪うのか。
 それとも、向こう数日は楽しむため、はたまた拷問で腹いせをしてから殺すため、今すぐにはやらずにおくのか。
 いや、仲間がこの場所を突き止めて、助けが間に合うことになるのか。
 先の運命もわからずに、Wは延々と犯され続ける。

(覚えてなさい……あんた達…………)

 ただ一つ、確実に言えるのは、脱出や逆転のチャンスがあれば、Wは決してそれを逃さないということだけだった。



 
 
 

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