近頃、凶暴化したポケモンが人や街を襲っている。
街のすぐ近くにある森の中は、昔から多くのポケモンが生息しているが、人里にやって来てまで暴れたことは、過去一度もなかったそうだ。
あるとしたら、せいぜい旅をするトレーナーが森の中を通っている最中や、ナワバリに踏み込んで刺激してしまった場合くらいの話である。その森に限らず、どんなポケモンの生息地にも言えるようなことしか記録になく、森からの襲撃を恐れて街が警戒態勢に入っているのは、百年以上の歴史の中でも初めてのことだ。
そんな時、街に有名なトレーナーが滞在していたのは、住民にとっては不幸中の幸いだった。
「さて、原因は何かしらね」
今は危険とされている森の中を突き進み、悠然としている一人の美女がそこにいた。
ホウエンチャンピオンのシロナである。
当初は観光のつもりで街を訪れたシロナであったが、アイスを一時間もかけて選ぶ姿が大勢に目撃され、ここぞとばかりに町長やジュンサー達がシロナを頼り、原因究明の依頼を行ったのだ。
それを引き受け、シロナは森を歩いている。
いつ、どこから凶暴化したポケモンに襲われても構わないつもりで、警戒心を切らすことなく、周囲に意識を注いで突き進む。何か決まった原因があり、それを取り除くことで解決できるかもしれない期待に賭け、それらしい何かを探しだそうと、四方八方に注意深く視線を走らせていた。
この森はちょうど街と街を繋ぐ位置にあり、街同士を繋ぐ街道には一本道の舗装が行われている。車両の行き来が可能なように幅を取りつつ、ガードレールの向こうに自然を押し退けた車道は四車線にもなっているが、それだけの交通量を想定したにもかかわらず、今は随分と寂しくなっている。
凶暴化したポケモンは車にさえ襲いかかるため、一般車両は行き来を控え、仕事上どうしても通らざるを得ない者だけが利用している状況だ。
原因はおそらく森のどこかにある。
だからシロナが歩いているのは、どこにスピアーやオニスズメの巣があって、どこからアーボが飛び出してきても不思議のない、木々や茂みの密集した実に不便な道のりだ。
旅のトレーナーや野生ポケモンの行き来によって、自然と踏み固められていき、徐々に形成された道があるおかげで、まだしも通りやすくはなっている。しかし、曲がりくねった上に別れ道がいくつもある迷宮じみた構造で、気をつけなければ簡単に迷ってしまう。
もっとも、ひこうタイプのポケモンがいれば、空にでも出てしまえば森の脱出は容易い。
迷ったまま出られなくなるような心配は特にせず、シロナは森の中を徘徊していた。
風で葉が揺れ、コラッタのような小型の影が駆け抜けるたび、音の方向へと意識はいく。ポケモンに怪我をさせられた住民の話は聞いているので、特にポケモンを見かけた時には警戒をしているが、今のところ襲われる気配はない。
彷徨ううちに、ウソッキーがどこかへと歩いていくのを見かけ、ヘラクレスが巨木の樹液を味わっている姿も目撃するが、いずれもシロナの存在に気づいたからといって襲ってこない。
「全てのポケモンが凶暴化しているわけではなさそうね」
それに一度凶暴化したポケモンも、ずっと凶暴なままではなく、街の破壊に現れた群れはやがて我に返ったように森へ戻っていったと聞く。凶暴化は一時的なものであり、それを招く何かが森の中には隠れている。
「一体、何があるというのかしら」
随分と進んだが、まだ何も発見できない。
しかし、次に茂みの音が聞こえた時、シロナは咄嗟に身構えながら、勢いよく音の方向へと振り向いていた。
そこには中年の男がいた。
木々のあいだから出て来たことで、肩に枝葉をぶつけていた中年は、その背にスリーパーを連れながら、ニタニタと媚びへつらうように笑っている。猫背で腰を低めつつ、醜い顔立ちで笑う汗ばんだ男の気持ち悪さに、シロナは思わず顔を顰めそうになっていた。
「あ、あなたは……知っています……チャンピオンのシロナさん……」
有名人のシロナである。
ファンであったり、挑戦を志すトレーナーが勝負を挑んで来ることはしばしばあり、初対面の相手に声をかけられることには慣れている。内心の嫌悪感は表に出さず、ごく涼しい顔で中年に対応していた。
「こんなところで人と会うとは思わなかったわ」
「ええ、その……こう見えて、旅のトレーナーでして……」
「あら、そうなの。今このあたりは危ないのよ。この森でポケモンが凶暴化する事件が起きていて、私はその調査中というわけ」
「なるほど……ここには来たばかりで、その話は初耳ですが、気をつけましょう……ご、ご忠告……ありがとうございます……」
「いいえ、気をつけてね。それじゃあ、私は調査があるから、これで失礼するわ」
そう言ってシロナはこの場を去り、少しでも早く中年から距離を取ろうとしていた。初対面の相手に失礼なのはわかっていても、醜悪な顔立ちもさることながら、何故か震えた声で喋ったり、媚びた目つきで笑ってくる表情は、生理的な拒否感を煽ってならない。
申し訳ないが、早く彼から離れたい。
多少冷たいかもしれなくても、シロナはさっさと背を向けていた。
「あ、あの……」
しかし、呼び止められ、シロナは仕方なく振り向き直す。
「何かしら」
「ここで会ったのも何かの縁です。バトルを……お願い、できませんか……?」
「バトル? 私は忙しいのよ」
「おや、まあ……負けるのが、怖いので……」
「あら」
その挑発にシロナはむっとした。
日頃、煽られて怒ったり、簡単に挑発に乗るような性格はしていないが、とはいえこの中年はあまりにも小汚い。加齢と共に抜け落ちた髪は整っておらず、元は純白だったのだろうシャツはすっかり変色しきっており、ところどころから糸がほつれて、近づけば臭いがしそうですらあった。
格下の分際で――。
そんな気持ちを煽るには、この中年の汚らしさは効果的だった。丸い猫背で腰は低く、媚びるためなら靴でも舐めてきそうな、いやらしくニヤけた顔の、全てが格下らしさを醸し出し、だからこの中年に挑発されれば、どんな人格者でも大なり小なり思ってしまう。
汚いくせに、格下のくせに。
そういった心理を誘発するためのエッセンスが、この男にはこれでもかというほど詰まっていた。
だが、シロナはバトルを振り切ろうとした。
「それでも、相手をしている時間はないの。今は一刻も早く事件を解決したいから」
他の優先すべきことがある。
それが全てであった。
「そうですか。では……もし、あなたが勝ったら、重要な情報を伝えるのは……どうでしょうか……」
「何か知っているの?」
「はい……その、来たばかりではありますが、妙なものを見かけまして……シロナさんのおっしゃる事件の……原因は、もしやそれではと、思うのです……」
「妙なもの?」
「バトルを……して頂けたら……教えましょう……」
その言葉に、シロナはため息をついた。
あくまでチャンピオンと戦ってみたいらしい。
「仕方ないわね。だけど、使用するポケモンは一体までにさせてもらうわ」
「いいでしょう……では、お願いします……」
彼が使用するのは、先ほどから背後に控えているスリーパーなのだろうか。ポケモンをボールに入れることなく、そのまま連れ歩く一点に関してだけは一人の少年を思い出す。
もっとも、それ以外に似通ったものは何一つないのだが。
それに、ポケモンの生息域の中である。
凶暴化の事件になど関係無く、元から気性の荒いタイプのもポケモンも存在する。こうした森の中を歩くにあたって、単に自衛のために出しているだけということもあるだろう。
「こちらのポケモンは、ご覧の通りで……スリーパー……です……」
中年の背後から、スリーパーがのしのしと歩いて来る。
糸に吊り下げた穴あきのコインを高らかに、にやけた顔でシロナを見ながら腰を低める。その足腰の動きがバトルに備えた構えであることは、チャンピオンのシロナには一目でわかった。
それにしても、この男は何なのだろう。
あらかじめ使用ポケモンまで決めおき、その上でのバトルをするなど、どうぞ相性の良いポケモンで有利に戦って下さいと言っているようなものである。自信があるのは結構だが、チャンピオンを相手に余裕の振る舞いを見せるほど、彼に実力があるのだろうか。
(まあいいわ。ここはガブリアスで早めに決着を――)
相性というよりも、よりレベルの高い最強のパートナーで速攻をかける考えで、シロナはボールを出そうとしていた。
しかし、その瞬間だった。
「かなしばり!」
シロナは驚愕した。
「え……!」
その瞬間には、ボールに手を伸ばそうとしたまま、既に身動きが取れなくなっていた。まだポケモンを出していないうちから、急に技を使ってくるなど、バトルという思い込みを裏切る驚きの行為であった。
「何を考えて……!」
手足が動かず、逃げることも身を守ることもできないシロナに向かって、中年はよだれを垂らしながら歩いてくる。その唇の両端を濡らして輝かせ、じゅるりと音を鳴らした際の、実にいやらしい表情に、あまりの嫌悪感に体中に鳥肌が立っていた。
「いやぁ……引っかかって、くれましたね……」
中年の手が伸びる。
シロナは反射的に、無意識のうちにその手から逃げようとするのだが、そんな条件反射の挙動さえ封じられ、ぴくりとも動かない。自由なのは呼吸や口の動きくらいなもので、指先の動きですら鈍かった。
指先が頬に触れてくる。
ぴたりと、柔らかな頬に指が沈んで、シロナは総毛立っていた。接触された部分から、全身に腐食が広がってくるような錯覚さえ味わっていた。
気持ち悪い。
ただただ、その一言である。
「ああ、そうそう……真相を、教えましょう……」
中年が背後に回り込む。
次の瞬間、尻にべったりと手を置かれ、猛烈な不快感にシロナは頬を強張らせた。
「どういう……こと……?」
「ポケモンを凶暴化させていたのはね……僕なんです……」
そんなことを言いながら、中年は尻たぶに指を食い込ませる。撫で回し、揉みしだき、痴漢を楽しむ手つきでまさぐりながらボールを見つけ、シロナのベルトからモンスターボールを奪い始めた。
「や、やめなさい……!」
「あなたが街に来ると、聞いて……作戦を、思いつきまして……。スリーパーの力で、野生ポケモンをですね……暴れさせたら、本当にシロナさんが調査に来て……今こうして、目的を果たしている……わけなんです……」
つまりこの男は、初めからシロナが目当てであり、目的のためなら街の被害や住民の怪我など厭わなかったということだ。
シロナは激怒した。
「ふざけないで!」
声を荒げるのも無理はなかった。
こんな性的な加害も、野生ポケモンをそんな風に利用することも許されない。
「あなたのためにたくさんの被害が出ているのよ! 凶暴化したポケモンだって、街や人を守るためには撃退するしかなかった! こんな目的のために、あなたはそんな争いを生み出したっていうの!?」
尻に触られていることへの怒りは言うまでもないことだ。
しかし、それだけに留まらない。
凶暴化したポケモンと、それに対する防衛で、本来なかったはずの争いが生まれている。襲われた人々だけでなく、大人しかったはずのポケモンも怪我をしているのだ。
「大丈夫ですよ……シロナさん、あなたを味わえば……目的は果たしますから……」
ぞくりと、背筋に寒気が走る。
尻の上から手が離れ、代わりにうなじに指が当たっていた。髪に触れ、持ち上げるための指が入り込み、それが表皮をかすかに擦っていた。
真後ろから迫る気配で、顔の接近がよくわかる。
荒い息遣いがすぐ耳の裏側の、いつ呼気が吹きかかってきてもおかしくない距離感に迫っていた。すーっと吸い上げる呼吸音で、匂いを嗅いでいるのがすぐにわかった。
「いい香りです……シャンプーですか、香りつきの……」
「やめなさい……」
シロナの中で少しずつ膨らんで、大きく育ち始めているのは恐怖であった。怒りや嫌悪ばかりでなく、モンスターボールを取られることで自衛手段を失って、それが恐怖感さえ煽ってくるのだ。
「いい体です……きっと、スタイルも整っていて……」
中年は視姦を始めた。
髪から指が離れていき、次に感じるのは熱くねっとりとした視線である。背後から見られている分には、どれだけ尻に視線を注がれても、それはあるいはシロナの思い込みかもしれなかった。
しかし、真正面に回った中年の、ニヤニヤとした目が脚や胸を這い回れば、自分の体がいかに視姦されているのか、自覚せざるを得なかった。
「ではそろそろ……こちらも……」
中年の手が、胸へと伸びる。
乳房を揉まれる危機にあっても、シロナの腕は動かない。ボールを選び、指で絡め取るはずだった形のまま、ポーズを変えることすらできないのだ。
「あぁ……揉んじゃった……シロナさんの、おっぱい……」
「やっ、嫌よ! やめなさい! こんなの許されないわ!」
「柔らかいなぁ……もっちりした感触だぁ……」
「聞いているの!? 最低よ! こんなこと!」
「シロナさぁん……だんだん、裸に……してあげます、からね……?」
上着のボタンに指がかかって、黒い上着が脱がされる。その下に着ていた長袖の、同じく黒いシャツを持ち上げられ、ブラジャーを剥き出しにされた時、シロナの顔は羞恥に染まり始めていた。
「下着も、黒……ですねぇ……?」
黒いブラジャーを視姦され、恥ずかしさと屈辱でシロナは苦悶を浮かべ始めた。
「こんなことをしたって、生涯誰にも相手なんてされないわ……」
精一杯に吐き出した言葉さえ、決して抵抗のできない恐怖から、どこか震えたものになり始めていた。
「ブラも取ってあげようね?」
中年は抱きついた。
「うぅ……!」
ホックに両手を回すため、肌を密着させてくる中年に、シロナはこれまで以上に引き攣っていた。恐ろしく顔を顰めて、もはや目を固く閉ざして震えていることしか出来ずに堪えていると、背中でぱちりとホックは外れる。
緩んだカップをずらし上げ、とうとう乳房を露出させられてしまった時、シロナの頬に浮かんだ朱色はより一層のこと色を濃くした。
胸が直接揉まれることで、不快感はますます膨らむ。
どんなに耐えきれないと思っても、かなしばりは決して解けない。我慢以外の道など与えられずに、だからシロナはぎゅっと瞑ったまぶたを力ませて、より固く震わせていた。
「いっぱい……感じて、いいんだよ……?」
「感じるわけ……」
「オジサン、興奮してきちゃったよぉ? ほら、わかるぅ……?」
中年は乳房を揉みながら、さらに腰まで動かしていた。股間をなすりつけようと、手前に突き出しすりすりと、シロナの脚や股のあたりに押しつけていた。
「うっ、いやぁ……!」
「アソコの方も、触っちゃおう……ねぇ……?」
中年はパンツスーツに手を移す。
シロナの穿いた黒色の、留め具の部分をぱちりと外し、その下のチャックを下げていく。黒いショーツがあらわとなって、中年はその生地の表面を触り始めた。
アソコにさえも指が来て、不快感は膨らむ一方だった。
最初のうちはショーツの上から、やがて内側に手を潜らせ、ワレメを直接触り始める。指が生み出す摩擦に、シロナの表情はさらに固さを増していた。頬の筋肉に力は籠もり、痙攣じみて震えるまでに至っていた。
「可愛い……反応、だねぇ……?」
そんなシロナの顔を見て、中年は満足そうに唇を吊り上げる。
「ねえ、処女でしょぉ?」
まさしく、気色悪い声だった。
人の性経験について急に踏み込み、しかもアソコを触りながらの断定だ。見抜いてやったと言わんばかりの、自信に満ちた表情も気持ち悪いが、なまじ真実を突かれているのが気色悪さを増幅して、体中に鳥肌が広がっていく。
頭のてっぺんから爪先にかけ、皮膚が余すことなく泡立っていた。
しかし、シロナ自身に自覚がなく、体感的には嫌悪や気持ち悪さしか感じていなくとも、肉体的な反応は確かにある。乳首はしだいに突起していき、クリトリスも固くなり、ワレメの表面には愛液がかすかに染み出している。
「へへっ」
中年はその事実に興奮した。
鼻息を荒げ、興奮の勢いで唇まで貪り始める。激しく頬張り、舌まで押し込もうとしてくるキスへの戦慄に、シロナは眉間の皺を深くしながら、まぶたの力で自らの眼球を押し潰そうとする勢いで、極限までの力を込め始めていた。
中年の醜悪な顔が離れた時、互いの唇のあいだには、長い唾液の糸が引いていた。
「えっちな汁が出て来ているよ?」
指先に感じるぬかるみが濃くなって、中年はそれを嬉しそうに指摘する。
「ないわ……そんなこと……」
「いいや? 出ているよ?」
中年は愛液を見せつけようと、一度ショーツの中から手を出して、シロナの顔に近づける。目を瞑ったシロナにそんなものは見えないが、しかし中年はそのねっとりとした指先で頬に触れ、線でも延ばすように塗りつけていた。
「うっ、うぅ…………!」
無理にでも愛液の分泌を自覚させられ、シロナに浮かぶ苦悶はより大きなものとなる。目尻には涙の気配が現れ、肩や足腰の様子さえ見ていれば、必死になって動こうとしていることがよくわかる。
動けないとわかっていながら、それでも動こうと努力していた。
凄まじい拒否感で、心がそのような条件反射を起こしているのだ。
しかし、たとえかなしばりが弱ったところで、かけ直せば良い話だ。時間と共に効力が目減りしたところで、結局のところシロナに抵抗のチャンスはなかった。
中年による愛撫は続く。
好きなように唇を貪って、シロナの口周りを唾液で汚す。乳首を弄ることで甘い痺れを与えた上、性器をなぞって愛液を掻き取っていく。そのうちに股間の興奮が高まって、もう挿入せずにはいられずに、中年は自らの服を脱ぎ始めていた。
シロナの恐怖など言うまでもない。
このままでは最後までされてしまうことは明白で、それでいて何の抵抗の手段もない。助かりたい一心で、とうとう大声を出そうとしていたものの、必要以上の声量さえも封じられていた。
そもそも、ポケモンの凶暴化に合わせて注意喚起が行われており、ここを通りかかる人間は極めて少ない。野生ポケモンのゲットをしたいトレーナーすら、話を聞けばこの森を避けるので、たまたま通りかかった誰かに助けてもらえる可能性など皆無に近い。
服は脱がされる一方だった。
乱暴な手つきによって、衣服が皮膚に擦れて痛いほどの扱いで、無理にでも脱がされていた。
いよいよ全裸にされてしまっての、さらに赤らんだシロナの顔には、羞恥以上の恐怖と嫌悪が滲み出ていた。
「やめて……お願い…………」
もはや懇願の声さえ絞り出していた。
「大丈夫。オジサンがしっかり、面倒を見てあげるからね?」
中年は肩越しにスリーパーを見やり、そして命じる。
「スリーパー、ポーズを変えやすいように力を調整するんだ」
関節が石のように固くなり、そのままでは中年の側からさえも動かすことのできないシロナの手足は、その調整によってポーズの変更が可能になった。シロナ自身は手足を微妙に震わす程度にしか動けないが、中年の側からは簡単に操作ができた。
中年はシロナを押し倒す。
両脚を持ち上げることにより、M字開脚となったシロナのポーズは、そうしてそのままの形に固まった。
「やめて……お願い……! い、今なら……誰にも言わないわ……!」
下手に出てでも挿入だけは回避しようと、シロナは必死な声まで吐き出したが、中年はお構いなしに肉棒を突き立てる。
「あぁぁ…………!」
その瞬間、シロナの股に走ったのは痛みであった。
初めて異性を受け入れる膣口は、中年の持つ太さによって無理にでも拡張され、膜の損傷する痛みが足腰にまで走っていた。中年はそんな痛みに構うことなく腰を振り、鼻息を激しく荒げてピストンを開始していた。
「あっ、あぐぅ……うっ、うぁ……!」
愛液が出ていても、快楽以上に痛みがあった。
「スリーパー! 動画を撮るんだ!」
その指示に、スリーパーはそこに放られたリュックを漁り始めた。中年が適当に投げ捨てて、雑に放置していたリュックの中には、このために用意していたビデオカメラが入っており、スリーパーはそれを問題なく操作していた。
にやけた表情さえ見ていれば、スリーパーもまた楽しんでいることがよくわかる。
人間の女が辱めを受ける姿を見て、スリーパーも一定の興奮を覚えているのだ。
動画撮影が始まることで、まさに決定的な証拠が撮られることになる。あのチャンピオンのシロナが押し倒され、そこらの中年ごときに犯されている映像を見てしまえば、これがバトルで敗北した結果であると吹聴しても、きっと信じる者が現れる。
シロナは高みから落とされていた。
森の中などで押し倒され、そのせいで裸体に土汚れが広がる中、股には破瓜の血と愛液が混じり合う。その二種の液体がピストンによってかき混ぜられ、さらに膣壁との摩擦が生み出す痛みでシロナは悲鳴に近い苦しそうな声ばかりを上げている。
そういった映像がビデオカメラに収まるのだ。
「あぐっ、あっ、くあぁぁ……!」
シロナは髪を振り乱す。
かなしばりの効果が緩み、微妙な身動きだけは取れるようになったところで、かといって抵抗などできていない。既に入ってしまっている肉棒に喘がされ、痛みと嫌悪感から苦悶の声を吐き出すばかりだ。
「あっ、いやぁ……いやぁぁ……!]
「いっぱい、いっぱい……出してあげるからね……?」
その言葉にシロナは絶望さえ浮かべていた。
「それだけは! それだけは……!」
「遠慮しないでね……はぁっ、はぁ……!」
興奮しきった中年に、シロナの懇願など届かない。
ドクッ、ビュルン!
何らの遠慮や躊躇いもなく、中年は膣内に放出していた。
シロナの子宮に種を届かせ、遺伝子を植えつけることの興奮に酔い痴れながら、狂気的ですらある眼差しで、中年は全ての精を注ぎ込む。最後の一滴まで搾り出し、その射精が終わってなお、中年はピストンを続けていた。
ぐちゅり、ぐちゅりと、水音が響き渡るようになっていき、血と愛液の混合物には、さらに精液まで混ざり合わさり、それがピストンによって泡立ちつつあった。
やがて、二度目の絶頂を迎え、二回目の精液を流し込む。
たった二回では満足せず、出した直後にはピストンを再開して、またしばらくすると注ぎ込むことの繰り返しで、シロナは延々と犯され続けた。
*
そして、シロナは虚ろな目で空を見ていた。
ぼーっとしきった彼女の顔に心はなく、魂の宿らない人形も同然に、葉の生い茂る隙間から見える青空に、特に意味もなくじーっと、無意識に視線を注いでいた。放心しきった今のシロナに、どんな情動や思考もなく、それはまさしく本当に無意識なのだった。
シロナは全身を汚されていた。
土汚れの付着に加え、途中からは身体にかけ始られて、いたるところに精液まで付着している。股からは三種の混ざった混合液が流れ出し、衣服は放り投げられたまま散乱していた。
ついでのように下着だけは持ち去られ、散乱した衣服の中にショーツとブラジャーはどこにもない。
犯されて、動画を撮られ、下着も撮られたシロナには、しかも書き置きのメッセージまで残されていた。
『ポケモンを返して欲しかったら、オジサンの泊まっている部屋まで来てね』
中年の泊まるホテルの名前に部屋番号、連絡先の書かれたメッセージカードには、下手なことをすれば動画を流出させる旨の一文もある。それを目にしたシロナはきっと、絶望の上塗りによって心がどん底に陥るが、今はまだメッセージカードの存在には気づかない。
傷心しきったまま、数時間以上は仰向けに倒れていた。
夕方になってようやく起き上がり、死んだ虚ろな目で着替えるが、ただでさえ傷ついたシロナの心は、そしてメッセージカードの内容によってより深く抉られることとなる。
その後、果たしてシロナはホテルに行くのか。
それはまた、別の話だ。
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