二人は産卵芸をやらされていた。
スクワットに近いポーズのまま、二人は席のみんなに背中を向け、腰をより突き出した。ポーズはほとんど変えないまでも、上半身の角度だけは前に倒して、尻の突き出す具合は高めていた。
どうぞ、お尻をご覧下さい。
とでも言わんばかりに、尻を差し出す気持ちになる。
その上で、二人の肛門には小さな卵が入れられていた。<転移>で物体を送りつけ、内部の直接出現させられたレプリカの卵は、男性の親指よりも少し短く、そして太い、小型のものだ。
お尻に力を込め、二人はそれを排泄しなくてはならない。
「なんなの……どうやって思いついたのよ…………」
サーシャは涙目になっていた。
今にも泣き出しかねない顔にまでなりながら、嫌でも肛門に力を込め、真っ白な卵を体外へ押し出していく。
ずにゅぅぅぅぅ…………。
肛門が広がった。
白い先端が見えた時、その外に出て来ようとする具合に合わせ、皺が円形状に広がっていく。卵が出れば出るほど広がりは具合を増し、やがてツルっと滑る勢いで、足元にぽとりと転がる。
(うわぁ……)
(すっげー趣味だ)
(動物の産卵みたい)
送られてくる心の声は、ドン引きのようなものばかりだった。
(好きでやってるわけじゃないのに……)
と、サーシャは思う。
こちらの事情は全てわかって、嫌でもやらざるを得ないのは、見ているみんなも承知だろうに、そこまで引かなくていいではないかと悲しくなる。無理にやらされている被害者なのだから、引き攣った顔はしないで、こんなことをさせてくる指輪に怒って欲しかった。
(わたしだって……やりたくない……)
ミーシャの頬に、涙の筋が通っていた。
ずにゅぅぅぅぅ…………。
次の卵が顔を出す。
排泄に伴っての、卵と肛門が起こす摩擦によって、二人の尻には快感が生じていた。
「あぁ……」
「やぁ……」
それぞれ喘ぎ、卵が同時に転がった瞬間だ。
「あぁぁ――――」
「んぅぅ――――」
二人は絶頂した。
ビクっと震え、床に向かって潮が噴き、飛沫の滴が股下に広がっていた。
(はっ、え……これ、出すたびにこんな――)
サーシャが戦慄する。
(あといくつ出すの?)
ミーシャも危機感に震えていた。
卵を出すたびに絶頂など、それでは……。
ぽとり、
三つ目が落ちると同時である。
「んぅぅぅぅぅぅぅううう!」
「んぁああああああああ!」
また、イっていた。
(エロ! すげー!)
(何回潮噴くんだよ!)
(あれで感じるって、すげー変態ってことじゃん!)
(変態だ! 変態女だ!)
心外だった。
(なんでよ! 変態は指輪の制作者でしょうが!)
(酷い……!)
非難の思いを浮かべるも、すぐに四つ目の卵が顔を出す。内側から外へ出ようと、先端から徐々に穴を押し広げ、それが尻に快楽電流さえも生み出していた。
「あぁああああああ!」
「やぁああああああ!」
四つ目の卵もまた、絶頂と同時に転がる。
見ようによっては、肛門の中から水圧を噴き出して、その力で外に卵を押し出しているかのようだった。
いつの間に涙が出ていた。
二人はもう、とっくに泣き出していた。
「んぅぅぅぅぅぅぅ――――!」
「んぁああああああ――――!」
それでも卵は外に出る。
指輪の男は二人が泣いたところでやめはせず、ポーズを固定する魔力も解かない。
変態呼ばわりが効いていた。
誰も直接声には出さず、心の中で思っているだけなのだが、それを指輪の魔力で強制的に聞かされる。
(変態すぎる……)
(やべぇだろ……)
無理にこんな目に遭わされているはずの自分達に、こうも心ない言葉が届くのは、ただでさえ惨めで死にたい思いの二人には辛すぎた。実際の言葉に出さないだけで、本当は心の中ではそう思っている事実が伝わってくるのは、胸を刃物で抉らんばかりの痛みであった。
いっそ直接汚い言葉を聞かされるのと、こうして心の声を聞かされるのは、一体どちらがマシなのか、本気でわからなかった。
溢れた涙が両方の頬を伝い、顎先から滴となって床へと落ちる。
それと同じだけのペースで、愛液もポタポタと流れ落ち、次の産卵に合わせて潮となる。
「んああああああああ!」
「あああああああああああ!」
二人が潮を噴くタイミングは、いつも肛門が最大まで膨らんだ瞬間だった。
卵の楕円形状の、最も太いポイントが肛門を押し広げ、直径が最大になる一瞬に脳が痺れて、その次の瞬間にはツルっと滑り出るように床に転がる。その時にこそ二人はイキ、全身をビクビクと震わせていた。
「ああああああ!」
「いやああああ!」
何度もイっていた。
絶頂した分だけ卵が転がり、舞台の表面は愛液だけで水浸しだ。本当は涙によっても濡れているが、繰り返しの絶頂の前では、そんなものは些細であった。
「よかったな。ポイントがみるみるうちに溜まっている」
契約解除が近づいて来た。
その一点だけは嬉しいはずが、しかし素直な喜びの感情が湧くはずもない。涙を流しているというのに、そうそう切り替えが効くわけがない。そもそも、こんな指輪さえ存在しなければ、初めからこんな目には遭っていないのだ。
「安心しろ。次で最後にしてやる」
そんなことを言われても、まるで安心感は湧いて来ない。
安堵する余裕はなく、理不尽に対する思いが膨らむ一方だった。
どうせ、また何か最低なことをやらされる。次の試練についての話をされて、心に浮かぶのはむしろ不安の方だった。
「男子に小便をかけろ」
今ほど二人の表情が凍りついたことはない。
「かけるって……」
「どうして……?」
本気で理解できなかった。
そんな発想をどうしてできるのか、どうやったら思いつくことができるのか。二人にはまるでわからなかったが、悲しいことに意図だけは薄らと感じていた。
どこまでも惨めに扱い、こき下ろすつもりだ。
人前で放尿させるに飽き足らず、人に小便を引っかける真似まで強要させて、さらなるどん底に叩き落とそうというわけなのだ。
「もう……本当に……本当に生きていけなくなるじゃない…………」
だが、二人に抗う術はない。
身体が宙に浮かされた。
肉体を勝手に操作され、浮遊させられ、ポーズを変えたわけではないものの、向きや角度が変わることにより、結果としてM字開脚を披露していた。スクワットのような姿勢の、椅子に座る高さにまで腰を落としていた二人は、それぞれの股で一身に視線を受け止めていた。
*
無造作に選出された男子が前に立つ。
サーシャの前に、ミーシャの前に、数人ずつ並んだ男子の誰もが、引き攣った笑いを浮かべている。好きで尿を浴びたい者などいるはずもなく、嫌で嫌でたまらない露骨な表情が浮かんでいるか、さもなくば逆に笑うしかないような顔をしていた。
これから尿で撃たれる運命にあって、それぞれどんな気持ちでいることか。
(冗談かよ……)
(ネクロン姉妹のおかげで、なんでこんな……)
(くそっ、俺がなんかしたかよ!)
(ああもう! せめてそのマンコとケツの穴は拝んでやる!)
心の声は相変わらず聞かされて、そのせいで二人には直接届く。
巻き込まれたことに対する感情は、態度や表情から伝わるだけでも辛いのに、こうもはっきりと聞かされるのだ。
そして、とはいえ裸は視姦され続ける。
二人はさながら仰向けに近い角度で、しっかりと脚を広げた上で股を向け、アソコと肛門はどちらも丸見えになっている。おまけに首の角度も操作され、手は頭の後ろで組まされているために、羞恥と屈辱のあまりに浮かぶ壮絶な表情さえ、顔さえ隠すことができない。
立ち並ぶ男子達には、全てを視姦されていた。
顔も、胸も、アソコも、肛門も、全てをまとめて凝視され、脳に焼き込まれていた。
(すっげー表情。こうなると、もはや面白い顔だな)
(乳首すっご)
(ってか、クリトリス大きいな……)
乳首は突起しきっていた。
メロンのように瑞々しい膨らみから、桃色に輝く鮮やかな乳首は数ミリほど大きく育ち、すっかり硬くなっている。
アソコは魔法で開かれていた。
見えない力にワレメを開かれ、中身を露出しているアソコからは、まだ男性器の入ったことがない未使用の膣口が覗けて見える。星形のようなギザギザを帯びつつも、綺麗な円形に沿った丸い穴は、挿入経験さえあれば裂傷でもっと大きく広がるだろう。
それだけ、くっきりと開かれた性器から、尿道口やクリトリスも露出している。
突起した肉芽は、一センチか二センチか、そのあたりの大きさにまで達する勢いで、もはや何かの豆をそのまま生やしたようですらある。
そして、放射上の皺の窄まりも丸見えだ。
先ほどまで産卵をしていたせいか、同じく魔法の力で広げられ、割れ目からくっきりと見えるようにされた肛門は、皺さえ微妙に開いている。窄まった皺は完全には閉じてはおらず、ミリ単位の穴を空け、細い棒なら通せそうになっていた。
それら全てを二人は視姦されている。
乳房か、アソコか、どこを集中的に凝視するのか。それとも全身を視界のフレームに収めるのか。視線の動きはその都度その都度移り変わって一定しないが、体中を舐め尽くさんばかりに視線が這い回っていることには変わりない。
加えて、遠くの席や、この場にはいない者にさえ、映像魔法によって見られている。
感じる視線の数といったら、本当に無数であった。
「では尿意を感じてもらおうか」
指輪の男の魔力が働く。
「や……」
「あぁ…………」
悲痛な色が二人に浮かぶ。
早速、アソコに尿意が膨らみ、外に液体が出ていこうとする感覚は、秒刻みでみるみるうちに強まっていく。どうせ抵抗などできず、最後には放出してしまうことがわかっていても、二人は反射的に我慢していた。
心理的な抵抗感という理由一つで、二人は股にぐっと力を込め、放尿を抑えようとしていた。
「無駄なことだ」
指輪の男は淡々とそう告げる。
その言葉の通りとなり、やがては尿道口の表面に、ぷっくりとした丸い滴が滲み出ていた。まるでそこだけに汗が噴き出て、玉の形を成したかのように浮き出た滴をきっかけに、次の瞬間には直線が飛び出た。
ジョォオォオォォォオ…………!
直線だった。
「やっ、やだ! やだやだ!」
「なんで? どうして!?」
二人は狼狽しきっていた。
放尿を見られるのも、それを他人に引っかけることになるのも、ただでさえ地獄のようなものだと思っていた。
それが予想を超える威力で噴き出ているのだ。
先ほどの放尿では、もっと緩やかなアーチであったのが、強い水圧によって放射された水鉄砲は、真っ直ぐに前へ飛び出て正面の男子を撃ち抜く。サーシャの直線と、ミーシャの直線が、それぞれ制服を貫いて、みるみるうちに濡らしていった。
(うっ、うわああああああ!)
(制服が! ってか臭いも!)
悲鳴が届いて来た。
激痛にでも耐えているように、予想以上に引き攣った顔を浮かべる男子から、絶叫とさえ言える心の声が届いてくる。その嫌がる気持ちの強さといったらなく、露骨な嫌悪感が伝われば伝わるほど、二人の心は傷ついていた。
当然、言えるわけがない。
そんなに嫌がらないで欲しい、できれば喜んで欲しい――など、まともな神経をしていれば、決して口が裂けても言えはしない。嫌がる反応こそが当然のものであり、どれだけ心の声に傷つけられ、死にたい思いになっていようと、二人は決して男子を非難できなかった。
もう本当に耐えきれない。
本当の本当に耐えきれず、ついに二人して大泣きした。
もはや、幼児の大泣きだった。こんな歳になってまで、ここまで大きな声で涙を流し、激しく泣きじゃくるのは、極めて珍しいことのはずだった。
すると、男子も気まずくなる。
(お、俺だって……泣きたいけど……!)
(くそっ、せめて早く小便やめろよ!)
直接言葉に出しての非難は最初からしていない。
しかし、ますます何も言うわけにはいかない心境が顔に表れ、嫌悪しきった引き攣った表情には、泣いた女の子を前にした気まずさが大いに表れていた。
二人の身体がスライドする。
指輪の男に操られ、浮遊魔法で動かされる身体が、左右スライドの形で位置を変え、別の男子にも放尿が直撃する。
このためだけに並ばされた男子達の、全員が順番に直撃を受けていた。
全員、びしょ濡れだった。
直撃を受ける箇所、着弾地点から水気はみるみる広がって、服の内側に達した尿が素肌の表面を直接流れ落ちていく。それがズボンの内側にまで達していき、果ては靴下まで濡らされての、男子達の悲壮に満ちた表情といったらない。
だが、二人は大泣きしていた。
大きな声で泣き喚き、もはやそんな男子達の表情に気づく余裕すらなかった。
泣くことに忙しく、もうこれ以上は誰の心の声も入って来ないのは、果たして良いことなのか悪いことか。大勢の前で大泣きして、それを見守られてしまう状況も、それはそれで歓迎できるものではないはずだった。
「ふむ、ポイントは溜まったな」
指輪の男が淡々と言う。
「ようやく契約解除だ。喜ぶがいい。もっとも、今までの記録は全て持ち帰り、私の制作者はそれを映像魔法で再生する。一連の出来事全てが遙かな未来でネタとなり、消費される運命にあるのだ」
酷な未来を語った時、指輪の男はパチンと指を鳴らしていた。
その背に時空の渦が開くと、彼はその向こうへと消えていく。
時空の渦が消えた時、まるで何もなかったように、指輪の男の姿はどこにも消え、二人の指からも指輪はなくなっていた。
言葉通りになるのなら、制作者が転生によって再誕する未来に向け、遙かな時間の先へと移動したことになる。
後に残るのは悲惨な状況だった。
浮遊魔法とポーズの固定が溶けた二人は、そのまま床に蹲り、まだ泣き止むことなく大声を上げている。それを前に困り果て、自分でも泣きたい思いに駆られた尿濡れの男子達は、静かに一歩ずつ後ろへ下がり、ネクロン姉妹を遠巻きにしていく。
さしものファンユニオンも、エレオノールも、微妙な顔をしていた。
頭ではわかっているのだ。
<羞恥の指輪>こそが諸悪の根源であり、二人を責める理由は何もない。サーシャとミーシャは全面的な被害者だと、理屈では理解しきっているものの、産卵や尿を引っかける場面を見たことで、気持ちは複雑になっていた。
さらについでに言うのなら、美術部の部室では、指輪の男が消えてなお、映像魔法が生み出す絵は残留している。部員達が作品を描き上げて、ネクロン姉妹の裸を残すまで、その筆は止まることがない。
指輪の男が消えた以上、もう命令に逆らっても、ポイント加算といったペナルティがネクロン姉妹にかかることはない。
しかし、指輪の男はそれを『伝え忘れて』おいてあるため、もう描かなくていいことを知らず、美術部は懸命に筆を走らせ続ける。
やがて、エレオノールを中心に、やっとのことで二人にタオルが用意され、さらに替えの服まで与えられることになる。
だが、翌日にネクロン姉妹が学校を休んだのは、誰の想像にも難くないことだった。
次の日も、そのまた次の日も、ネクロン姉妹は現れない。
一連の出来事には誰も触れない。クラスの中では決して口にしてはならない禁断の話題と化し、しかし二人が学校に来なくなった原因として、誰もがそれを気にする結果、数日以上にわたって気まずい空気は流れ続けていた。
どれだけ心配でも、学校に来いとは言いにくい。
全てを忘れ、いつものように今まで通り登校しようなど、無責任に言い出せる者もなく、気まずい日々が続いていく。
その果てに、とうとうアノスの帰還日が知らされるが、それもまた気まずさに拍車をかけた。
伝えるべきか?
というのは、当然問題になる。
しかし、せっかく過ぎ去ったトラウマを掘り返していいものか。その問題に頭を悩ませるのがエレオノールやファンユニオンだった。他の生徒達に関しては、魔王配下が辱めを受けたことにより、怒りでとばっちりを受けないかという恐怖も抱えており、結果として『言いにくい』と考える生徒が過半数を超えていた。
結局、この話はどうなるのか。
ネクロン姉妹は立ち直り、登校を再開する日は来るのか。
それはまだ、誰にもわかりはしないのだった。
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