会社のサーバーメンテナンスを任されたり、セキュリティにまつわる仕事をすることがある。そんな時には徹夜になり、夜遅くに帰ることも珍しくはないのだが、そんな時にチヒロはよくコーヒーを飲んでいる。
真夜中、もうとっくにどこの店も閉まっている。
そんな時間でもコーヒーにありつけるのは、暗闇を白い光で照らす自動販売機だ。仕事上がりの缶コーヒーは、チヒロにとって楽しみの一つであった。
もちろん、何も仕事上がりの深夜だけに飲むわけではない。
日中に飲むこともある。
そして、コーヒーに利尿効果があることは、知識的にはわかっていた。だからといって、即効性があるわけでもなく、飲んですぐさま尿意に襲われることはまずなかった。
だが、時間が経ったらどうだろう。
食事や他の飲料によって、身体に水分が溜まったところに、やっとのことで利尿効果が効いていたならどうだろう。
考えられる原因は、それくらいしかないのだった。
「う、嘘! 私……! 私……!」
股から尿が溢れている。
肛門に受けた刺激もあり、何かが外れたかのように決壊して、ワレメの中からそれは容赦なく溢れ出ている。股のあいだから真下へ向かって、黄色い直線となって出て来る尿は、靴と靴のあいだで弾けて滴を散らす。
足の内側に、チヒロ自身の身体に、尿の飛沫は付着していた。
「なんで! そんな!」
自分では尿意などないと思っていた。
そもそも、トイレが頭に浮かぶことすらなく、いざこんな状況になってみるまで、自分がコーヒーを飲んだことさえ忘れていた。
「うそ……うそ……!」
今まさに起きている事実を取り消し、なかったことにしたいかのように、チヒロはとっさにアソコを隠そうとしていた。反射的に両手で覆い、食い止めたい思いを働かせるが、その直前になってチヒロは気づく。
そう、手でアソコを押さえたところで、尿は止まってくれない。
それどころか、放尿中のアソコに手をやるなど、単に手が汚れるだけである。
という当たり前のことに、そうなる直前になって初めて気づき、たった一つの残された希望が潰えたかのような絶望の目で、チヒロは尿が途切れるのを待っていた。
一度出してしまった以上、もう出し切るしかなかった。
……生きた心地がしない。
女児達から向けられる目という目の、驚くほど冷ややかな顔を見ていると、心臓を氷漬けにして冷やされていく思いがした。
「ね、ねえ……」
リーダーが動揺しながら尋ねてくる。
「トイレに行きたかったなら、どうして言わなかったの?」
当たり前の言葉を年下からかけられていた。
まるで大人が子供に行う注意そのもののだ。
どうして言わなかったの?
トイレに行きたかったなら、ちゃんと言わなきゃ駄目じゃない。
言いたいことを言えずにお漏らしをする子供がいたとしたら、それに対する大人の言葉は、そういったものではないだろうか。
それを自分が言われたのだ。
遥かに年上であるチヒロが、女児というべき年齢の少女から、動揺の眼差しを浮かべた顔で言われたのだ。
それはそうだろう。
チヒロの年齢は、社会人の目からするなら子供でも、ちびっ子の視点であれば大人に近しい存在に映るだろう。そんな大きなお姉さんが、小さい子のしでかすような失態を犯し、十人以上もいる中でチョロチョロと垂れ流したのだ。
足のあいだには、やっと尿が途切れた上での水溜まりがあった。
チヒロが足を引っかけた縄跳びは、その水溜まりに浸っていた。
「お仕置き!」
リーダーが大きな声で言い出した。
「お姉さんはあたし達よりずっと年上だもん。トイレに行きたいなら行きたいって、言えなければおかしいよね。なのにあたし達の遊び場を汚したし、縄跳びだって汚れちゃったんだよ?」
みんなに言い聞かせていた。
まるで人々に何かを訴え、呼びかける演説であるように、それを幼いながらにこなして仲間達の心に呼びかけている。
チヒロがいかに許せない存在であり、自分達の手でどうにかしてやるべきであるかを説こうとしていた。
「あたし達がお姉ちゃんにお仕置きをしよう!」
そして、リーダーがお仕置きを宣言した時だ。
「お尻ペンペン!」
「そうだね!」
「叩いてあげなきゃ!」
それが使命であるように、女児達の目が燃えていた。
お漏らしをした以上、チヒロの方が子供であり、自分達こそがそれを指導する大人であると、思い知らせようとする熱意がそこにはあった。
*
チヒロが尿を漏らしたその場所には、何枚かの雑巾を投げ集め、一箇所に固めてあった。
水溜まりが出来たとはいえ、家や学校のような、建物の内装にある床とは違い、コンクリートの地面はすぐに水を吸ってしまう。その染み込んだ痕跡を隠すだけ隠しておくように、埃っぽい雑巾は置かれていた。
チヒロはそれを呆然とした目で見ていた。
自分がお漏らしをして、女児がその面倒を見るという状況に、今にも現実感を失いそうだった。これは全て夢であり、頬でもつねればベッドで目を覚ますに違いないと、馬鹿げた現実逃避ですらしたくなっていた。
だが、泣いても笑っても、全て現実なのだ。
「はい。これ」
チヒロが漏らし、そのことでリーダーが仲間への呼びかけをしてからというもの。
とはいえ、お漏らしをした汚い股を綺麗にしないわけにもいかず、リーダーは急いで町へ向かい、ここまで走って戻って来た。息を切らしながら手渡してくるのは、アソコを綺麗にするためのウォッシュペーパーだった。
小さな子供に、お小遣いまで使わせてしまった。
子供の金銭事情はそれぞれだろうが、大金を持つ女児がどれだけいるか。数少ないお小遣いかもしれないお金まで使わせて、チヒロのために面倒をかけさせてしまったのだ。
もう何と言ったらいいか、わからなかった。
とにかく、チヒロはそれを受け取り、涙ながらにアソコを拭いた。
拭き終われば早速チヒロを待っているのは、女児がお姉ちゃんに対して行う指導だ。お漏らしをするような悪い子には、きちんとお仕置きをしようといった空気が広がり、女児達にとってはようやくその時間がやって来ていた。
「じゃあ、四つん這いになって?」
と、リーダーは言ってくる。
「う、うん……」
チヒロは粛々と従った。
まるで人権を失って、自分には女児に逆らう権利がないかのように、震えた心で両手を付き、四つん這いのポーズを晒していた。
その瞬間である。
ぺちん!
すぐさま背後に回った誰かの、小さな手の平に打ちのめされた。
その痛みは、身体的なものだけではない。
お尻に感じるひりひりとした痺れはもちろんあるが、それよりも女児にお尻を叩かれた屈辱感と、それを怒る権利もない自分の立場に打ちのめされた。
人前でお漏らしをした以上、当然の仕打ちに思えるせいで、何一つの文句も言えなかった。
ぺちん! ぺちん! ぺちん!
一人の女児がひとりきり叩いてのことだろう。
「次は私だよ」
「私も、まだ何もよやってない」
「そっかー。あたし、さっき縄跳びやったから」
次にお尻を叩く権利は誰にあるかの話し合いが行われ、それが速やかに済まされた直後には、先ほどとは微妙に大きさの異なる手で叩かれる。
ぺちん! ぺちん!
その痛みに、屈辱に、チヒロはひたすら耐えていた。
「ねえ、私より一回多いよ?」
「えー? 駄目?」
「もー。一回くらいいいじゃん」
次は自分が叩きたいかのように言う女児は、叩く回数でも軽く揉め、かといって喧嘩に発展するわけでもなく、チヒロは代わる代わる叩かれていた。
ぺん! ぺん! ぺん! ぺん!
片方の尻たぶが叩かれて、もう片方の尻たぶも叩かれる。
数回おきに人の入れ替わる気配がして、ぺちん、ぺちんと、尻が赤らむまで叩かれ続け、その屈辱をひたすら噛み締め続けていた時だ。
「よいしょっと」
誰かが、チヒロの背中に乗っていた。
「え……?」
「お馬さんごっこー!」
人の四つん這いを見ているうちに、その背中に乗ってみたくなった子がいたらしい。小さな子供とその親なら、お馬さんごっこはよくある一幕だろうが、全裸のお姉さんが服を着た年下に座られる状況など、果たして世界にどれだけあるか。
お漏らしをして、そのお仕置きを受けているうちに背中に乗られ、乗り物として扱われる状況など、自分以外に例があるのかも疑わしい、信じられないこと極まりない話だ。
(もう嫌……なんで、なんでこんなことに……)
「ほら! 進んで!」
「わ、わかったから……」
チヒロは歩かされた。
女児を楽しませる乗り物になりきって、心を殺した引き攣った笑顔で歩いていた。
もう笑うしかないかのような、涙ながらの笑顔であった。
「はは……ははは…………」
壊れた笑顔でチヒロは進む。
背中に女児の体重を感じながらの、四足歩行になりきっての進行は、乗っていて随分楽しいものらしい。
「えっへへへ! もっと進んでー!」
チヒロの扱いが玩具に近づいていた。
人格ある人間というよりも、ただの遊び道具の一種のように、女児達の目には映り始めていた。
「ねえ、私も乗りたい」
「私もー」
お馬さんごっこは一人や二人だけに留まらず、何人も何人も、繰り返しの交代で体重が入れ替わる。別の女児が乗るたびに、チヒロは目的地に向かって進み、そこでお客様を降ろすと別の客を背中に乗せる。
バスか電車のようになっていた。
チヒロ号の停車駅――ということになっているポイントので、次の順番待ちの女児が待ち構え、到着すれば背中の客が入れ替わる。そんな風に次の駅へ次の駅へとやっていく最中、尻を叩かれることも珍しくはない。
「進め進めー!」
そんな風に言いながら、背中の女児は後ろ側に手を回し、ペチペチと叩いて来る。きっと乗馬の騎手になりきって、鞭で馬を操る気持ちで叩いているに違いなかった。
リーダーのことも背中に乗せ、広々とした廃工場の中をぐるりと一周してしまった。
これだけやれば、全員を一回ずつ以上は乗せたはずだった。
*
そして、今度は別の遊びが始まっていた。
「あぁっ、んぅぅぅ……!」
チヒロは四肢を封じられていた。
X字状に手足を広げて仰向けに、四肢のそれぞれに女児が跨がる。それら小さな体重によって腕も足も封印され、身動きが取れないところに、リーダーが電気マッサージ器を当ててくるのだ。
「んあっ、あぁ……!」
胴体の横に座って、そこから股に押し当てていた。
「あぁぁ……!」
その刺激にチヒロは声を上げていた。
「ほら、これがエッチな快感だよ? アソコを刺激すると、性的快感っていうものがあって、物凄く感じてる女の人って、こうやって喘ぎ声を出すの」
みんなに教え聞かせながら、その手でチヒロを責めている。
「んぅぅぅっ! んあぁっ、あぁぁ……!」
「ほら、エッチな声でしょ?」
まるで教材だった。
チヒロを見世物として展示して、お手本を見せんばかりに刺激する。性的快感に翻弄されるチヒロの様子を披露させ、それをみんなに見学させながら、快楽を感じた女はこうなるのだと語って見せつけていた。
「へー?」
「気持ちいいってこと?」
「なんか透明な汁が出てるよ?」
「汗じゃないよね。なに?」
周りに集まっている女児達は、電気マッサージ器の当たった股を覗き込み、溢れ出る愛液について疑問にする。
「膣分泌液っていうの。エッチな快感があると、アソコからこういうお汁が出てね? ねとねとしてて、糸を引いたりするの」
「そーなんだ」
「オシッコじゃないの?」
幼いながらの疑問として、尿との違いを気にしている。
「オシッコではないの。人って、ここからオシッコ以外のものも出るの」
「せーりとか?」
「そうだよ? 大きくなって、いつか生理の年頃になったら、血が出て来るようになっちゃうんだけど、その時は生理用品ってやつを買うの」
「そっかー」
「面倒だね」
リーダーが女の子というものについて語って聞かせ、その解説を聞いている他の女児達は、興味津々に頷いている。
「おっぱいって感じるの?」
質問まで行われていた。
「感じるよ? 揉んでみたら?」
「うん!」
そして、チヒロの体だというのに、チヒロ本人の意思は確認されず、許可を出すのはリーダーだった。
「おおっ」
「もちもちー!」
おっぱいを揉むことで、女児は喜んでいた。
面白い感触に指を沈めて、無邪気に楽しんでいた。
「それ、やってみたい!」
一人の女児が電気マッサージを指して、興味津々に目を輝かせる。
「いいよ?」
それをあっさり、リーダーは手渡した。
その受け取った女児は、大喜びで同じようにアソコに当てる。スイッチによって無機質な音を鳴らしながら、丸みある先端を振動させるその器具で、ワレメの奥までその震えを伝えていく。
「んぅぅ……!」
「おおっ!」
チヒロが喘ぐ一方で、女児は感嘆の声を上げていた。
「んあっ! あぁ……!」
「この辺で声変わった!」
人の反応を楽しんでいた。
面白い声が聞こえるスイッチを見つけたように、女児は電気マッサージ器の押しつける位置を変え、そしてチヒロは喘ぎ声のトーンを上げる。今の女児が責めているポイントは、ワレメの奥に隠れたクリトリスが敏感に芽を生やし、突起している状態だった。
クリトリスなど知りもしない。性的快感の存在さえも、リーダーの解説で今ここで知ったばかりの女児がチヒロの肉体を弄び、反応を確かめながら遊んでいる。
「あぁぁ……! あっ、んぅぅっ、んぁぁ……!」
「すごいすごーい! いっぱい声が出て来るね!」
「あっ、あっ、あっ、あっ、あぁぁ……!」
「そっかー! こんなに気持ちいいって凄いね! お姉ちゃんってすごくエッチなんだ!」
「あっ、いやぁっ、あぁ……!」
そうやって、電気マッサージ器に喘いで髪まで振り乱し、激しくよがるチヒロの姿を見ているうちに、みんなが好奇心に駆られていた。
「私もそれやってみたい!」
「私も私も!」
「順番だよー!」
そうすれば声を上げ、ビクビクと反応するのが面白くて、玩具で遊ぶかのようにチヒロのアソコをいじめ抜く。次に電気マッサージ器を受け取る女児は、いかにも楽しみそうに当ててみて、ビクっと腰の跳ね上がる反応に満足そうな顔をする。
「この辺りかな?」
またその次の女児も、物は試しのようにクリトリスの位置を狙う。やはりこの子も、同じくクリトリスの知識を持ち合わせているわけではない。傍から見ているうちに、特定の位置に当たった際の反応が他よりも良さそうに思えたのだ。
自分の順番が回って来たら、是非ともそこを試してみようと楽しみにしていた。
「んぁぁ……! あっ、あぁぁ!」
期待通りに面白い声を上げるので、どんどん愉快になってきていた。
「へー?」
「気持ちいいってすごいね!」
「おっぱいに当てたらどうなるの?」
「試してみようよ!」
アソコで反応が大きいなら、乳房はどうだろうと思いつき、次の順場の女児は乳首に電気マッサージ器を触れさせる。
「んっ! んっ! んっ!」
チヒロは髪を振り乱す。
「わあ! おっぱいでも感じてる!」
「そっか! 胸でもいいんだ!」
「これは発見だね!」
女児達はその発見に大喜びだった。
チヒロはただの玩具と化していた。
お仕置きが始まる前までは、まだしも人として見られていたのに、一度こうした遊びが始まると、女児達はどんどん夢中になっていた。走ってまでウォッシュペーパーを買ってきてくれたリーダーさえ、チヒロを遊び道具と見做し始めていた。
「あぁぁ……!」
声が出て来る反応が面白くて面白くて、愉快でたまらずやめられない。
電気マッサージ器の順番を回していき、交代ごとに思い思いの部位を責め、胸もアソコも痺れを溜め込む。
そのうちに、再び決壊していた。
「あー! またお漏らし!」
人の悪事を発見して、それを大声で指摘するかのように、一人がチヒロの股を指していた。小さな子供のノリにある、「いけないんだー。先生に言っちゃおー」といった具合のニュアンスで、その指摘は行われていた。
チヒロの股から、再び水溜まりが広がっていた。
チョロチョロと流れる尿は、先ほどの失禁もあってか量は少なく、しかし仰向けの姿勢で漏らしたために、尻と地面の隙間にも染み込んでいた。
「あっははははは」
「また漏らした!」
「私達だって漏らさないのに」
「いくつまでお漏らししてた?」
「さあ、もう覚えてないよ」
「だよねー」
この女児達にとって、お漏らしとはそれほどおかしいことだった。
とっくの昔におねしょなど卒業して、もうトイレ以外の場所ですることはなくなったのに、そんな自分達よりも遥かに年上のチヒロが漏らすのだ。最初は驚いていたものの、二回目のせいか慣れていた。
二回もお漏らしをした幼児――それが女児達にとっての、チヒロの位置付けと化した。
みんなの中で、チヒロとはどのように扱っても構わない存在となり、年下の自分達にお漏らしの世話までさせる仕方のない子となっていた。体は自分達よりも大人なのに、心は赤ちゃんに近いということにされてしまっていた。
「あたし達で拭いてあげよ」
「うん!」
先ほどのウォッシュペーパーがあるおかげで、すぐに綺麗にしてはもらえる。
しかし、それもチヒロが自分で拭くのではなく、女児達に世話をしてもらう形であった。オムツの必要な赤ちゃん、というわけではないが、心では赤ん坊の世話をしてみる気持ちになりきっていた。
チヒロにとって、それはどれだけ惨めな状況か。
「ほら、立って立って」
「拭いてあげるんだから」
立たされて、汚れた尻の周りやアソコを拭かれる。下半身の前後に二人の女児がそれぞれしゃがみ、ウォッシュペーパー越しに指に肌中を撫でられる。こんな世話をしてもらう屈辱感もさることながら、人のアソコを触られたり、お尻を触られるというのも初めてで、慣れない感覚に苛まれた。
そして、何を思ってのことだろう。
「ていっ」
後ろの女児は、急にカンチョーをしてきた。
「ひゃん!」
チヒロは悲鳴を上げた。
大きく背中を反らすと同時に、両手を後ろに回して尻を隠していた。
「あっははは! おもしろーい!」
「だめだよー。またお漏らししちゃうよ?」
「でもさ。変な声だったね!」
みんなでニヤニヤしていた。
たった一人でもチヒロを可哀想と思い、同情してくる女児がいるかといったらそうでもない。チヒロを囲む全ての顔に笑みが浮かんで、新しい遊び方を発見したように、それを試してみたいかのように迫っていた。
一斉に群がってきた。
「やっ、やぁ……ちょっと……あぁ……!」
手という手の数々に飲み込まれ、チヒロは体中を触られていた。胸もアソコも、頭や手足も、どこもかしこも女児の手が張っている。それを傍から見たのなら、群れで生活する種類の動物がみんなで一つのエサを食べる光景そっくりのはずだった。
「んんんぅ!」
乳首をやられ、その刺激で喘いでしまう。アソコに指が入ってくる。いつの間に足を持ち上げられ、M字開脚をさせられた上、足の裏側がくすぐられる。肛門にも指が入ってくる。その全ての行為は悪戯として行われていた。
そこに性的な加害という意識はない。
子供の無邪気さが故に、本人達は悪戯ごっこを楽しむ気持ちでやっていた。
*
リーダーの足元にチヒロが倒れている。
みんなで遊んでいるうちに、急に意識がなくなり動かなくなったことには驚いたが、どうやら気を失っただけらしいと、きちんと呼吸をしている様子で見てわかった。
チヒロは絶頂したのだ。
みんなで玩具として扱って、雑に撫で回す行為がかえってチヒロを興奮させ、その果てにあったのが潮吹きだった。
「あぁぁぁぁ――――――!」
と、急に一際大きな喘ぎ声を上げ、かと思いきやぐったりと動かなくなっていた。その際に上がった愛液の噴射にみんなで驚き、そしてそのまま失神したことにも驚いて、女児達みんなでオロオロしているのというのが、今の状況というわけだった。
いくら遊び道具と見做して、人権のない玩具として扱っても、今まで動いていたものが急に動かなくなるというには、さしもの女児達も驚いていた。
「大丈夫。寝てるだけだよ?」
気絶、失神。
小さな子供としては、難しい言葉を知っているリーダーは、その賢さが故にあえて言葉を簡単にしていた。
「そうなの?」
「ねえ、今のなに?」
「プシャってなったよね」
「一瞬だけ噴水みたいになった!」
「ねえねえ、なんだったの?」
寝ているだけで、いずれ目を覚ますはずだとわかったからには、たった今までの動揺も忘れて好奇心を優先する。生まれて初めて見たあれは何だったのか。この中で一番物知りであるリーダーへと、その質問が集まっていた。
「教えてあげる。あれはね、絶頂っていうの」
「絶頂?」
「そう。イク、とか。オーガズム、とかね。他の言い方もあるんだよ?」
「名前が多いんだねぇ?」
「じゃあ、絶頂すると寝ちゃうの?」
「うーん。絶頂のせいっていうより、コレはとっても疲れちゃったみたいだから、それで起きていられなくなっちゃったんじゃないかな」
「そっかー」
「寝ちゃったんだー」
女児達は玩具のスイッチが切れたことを残念そうにしていたが、この廃工場の外から差し込む陽の光は、しだいに赤焼けに近づいている。
もうじき、夜になってしまう。
そろそろ帰る時間になり、まだ遊び足りない気がするとはいえ、それでも解散の空気が徐々に形成されていく。
「さて、そろそろ片付けようか」
リーダーがそう言うと、玩具の片付けが始まった。
「じゃあ、コレはどこにしまっておく?」
「そうねー。あのロッカーでいいんじゃない?」
この廃工場は、閉まる直前に大半の物が撤去され、残されている物はあまりなかったが、何故だか数台ほど横に寝かせて倒されているロッカーは、女児達のおもちゃ箱として使われていた。
そのロッカーを開ければ、縄跳びやトランプなど、この場所で遊ぶために集めたものが詰まっている。
「空いてるロッカーを使おう」
「うん!」
「じゃあ、みんなで運ぶよ!」
空きロッカーのドアを開け、女児達みんなで力を合わせて玩具をしまう。人一人分の重さを持つ玩具は、女児の一人や二人だけの力では、とてもでないが運べない。一人でも多くの力を使い、一生懸命やる必要があった。
まずは四人で手足を掴み、他の女児も胴体や尻に手をやって、下から持ち上げようと力を込める。どうにかみんなで運び出し、苦労しながらロッカーの中にしまうと、そのおもちゃ箱のフタを閉じ、これで解散となるのだった。
各務チヒロは物扱いと化していた。
チヒロはもちろん、時間が経てば目を覚まし、鍵がかかっているわけでもないロッカーから出てくるだろう。そして家に帰ろうとするだろうが、次の日にチヒロがいなくなっていた際の女児達の反応は、きっと「逃げられた」というものになる。
きちんとしまっておいたペットが逃げてしまった。
そんな認識になるのだろうが、しかしそもそもの話である。
チヒロは荷物を返してもらっていない。
取られた財布や銃などは、一体どこに隠されているのか。
脱いだ服まで、チヒロの知らないうちにどこかにやられてしまっている。それら何の場所もわからないのに、一体どうやって家まで帰るのか。結局、写真は消してもらっていないのに、女児達のことはどうするのか。目覚めた後のチヒロを待つのは、そういった数々の問題だ。
だが、今はまだ眠っていた。
フタを閉ざしたおもちゃ箱の内側で、まるで棺桶に眠るかのように、チヒロは眠り続けていた。
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