もしもテレビ規制がゆるゆるで、高校生の裸が放送されてもおかしくない、そんな日本があったらどうだろう。
そこでは様々な試行錯誤でエロバラエティ作り上げられ、毎週どこかの局でお色気ネタが放送される。男にとっては面白い、出演する女にとっては恥ずかしい、そんな企画の数々が飛び交う日本の中で、また新たに一つの企画が産み落とされる。
『出演者リスト』
浅倉透 樋口円香
福丸小糸 市川雛菜
『撮影現場』
プール、更衣室など
この企画の中では、お色気要素の強さについて、当人達に真実は伝えられていない。
いわゆるドッキリ要素を含めたものだ。
しかし、出演者による抗議など、ある一定のトラブルの観点から、お色気番組であること自体は明かしている。そのお色気の程度というのを、さも水着や下着での露出しかないように伝えている。
それでいて、企画書の中には裸を出さない約束など書いていない。
四名の出演者は『多少』のお色気に応じたつもりで、裸を晒す覚悟などしてはいないのに、実態としては乳房や性器の露出を伴う撮影が行われる。
そんなつもりはなかったのに、思いがけない形で裸になるアイドルを撮ることで、その恥じらった様子を全国に流してやろうというわけだ。
*
四人のアイドルが着替えをしていた。
自分達の運命をまだ知らない、平和な水着撮影と思い込んでいるアイドル達は、何の疑問もなく服を脱ぎ、それぞれ衣装を身に着けていく。
四人は今回の企画をCM撮影、及び取材と聞いている。
宣伝映像の中、無邪気に水遊びを行うアイドル達の絵を撮る他、売店のジュースやアイスクリームでグルメレポートのようなことも行う。
もっとも、今はまだ夏ではない。
本格的なプールシーズンに備え、少し早い時期のうちから撮っておき、前もって準備しておこうというわけだ。
しかし、それにしても――。
衣装は微妙に際どいもので、ブラジャーからは北半球と南半球、上下が少しずつはみ出ている。ショーツも布が微妙に、本当に微妙になのだが少ない気がする。
前側の三角形が通常よりも一センチか二センチか、間違いなく少しは小さい。
後ろ側に至っては、フルバックに比べて明らかに一回り小さいので、お尻の露出度が普通よりも少し上がるのは確実だ。
だが、少しなのだ。
微妙に、なのだ。
本当に過激かといったら微妙なもので、しかし恥ずかしいことには変わりない。嫌ではあるが、ほどよく文句を言いにくい、絶妙なラインだから困るのだ。
アイドル達はそれぞれ少し、不満なような気恥ずかしそうな、あまり快く受け入れてはいない顔をしていた。
「あ……。ちょっと、出てるかも」
まず浅倉透が自らの胸を見下ろして、水着からはみ出た上乳と下乳の、少しぷにりと潰れた感じを気にかける。
普通の水着は首に紐をかけるのだが、四人が着用するのは背中のみに結びつけ、巻きつけるタイプである。布の形が三角形をしておらず、四角形なので上下がはみ出る。
はみ出るといっても過剰ではなく、少しばかりのものではあるが、普通に安心感のある布面積に比べれば、いささか心許ないわけだった。
ショーツの方を穿いてみても、前側が少しだけ……少しだけなのだがえげつない。三角形を微妙に細くしてあっての、いかにも肉貝の形にフィットして、ワレメを浮き出させようとしてくる感じが気恥ずかしい。
後ろ側の布面積も、やはり三角形を少し細めに、かといってTバックにはならない程度に、お尻をはみ出してしまっている。普通のフルバックよりも恥ずかしいのは間違いないのに、過激かと言われると微妙なもので、衣装に文句を言いにくい。
その時、透の隣。
「まあ、いいんじゃない。この程度で済むなら安いもんだし」
樋口円香も着替えを済ませており、冷め切った顔で自分の胸を見下ろしながら、尻に食い込むゴムを気にした。
「安い、かな」
「他のもっとアレな企画に比べれば、こんなの楽だろうし」
円香の感情や冷ややかだ。
下らないお色気番組で喜ぶ男など、しょうもない人間ばかりではないかと、内心では薄ら見下している。
「あー。だね」
透の脳裏に浮かぶのは、昨今のエロバラエティにおける胸やアソコのオンパレードだ。テレビ規制が緩くなり、思春期半ばの全裸すら流れるようになった今、できればやりたくない仕事の数々が駆け巡っていくのであった。
「私もちょっと、気になるなぁ……」
福丸小糸も気恥ずかしげに自分の水着を少し引っ張り、その薄らとした乳房を覗いている。
「雛菜もなんか、これはなぁ……」
市川雛菜も似たようにして、身に着けたものを軽く引っ張り、乳房のはみ出具合を気にしている。
四人にとって、ここはまだ更衣室だからいい。
同性同士、身内同士の視線しかないうちは、そう本格的に気にすることはないのだが、これから仕事が始まるのだ。この格好で写真や映像撮影を行って、微妙にはみ出たお尻が大勢のファンの元まで届けられる。
一人一人が微妙に俯いたり、何かを誤魔化すような笑いを浮かべて、どことなく仕方がなさそうに、着替え終わったからそろそろ行こうか……とでもいった具合に、揃って更衣室を出て行った。
この四人には、正確な企画内容は伝わっていない。
水着撮影という表面的な情報しか与えられていないのだが、昨今の事情が脳裏にあるせいか、もしかしたら無意識のうちに予感して、本人達でも気づかないうちに、これから起きそうなことについて不安になっていたのかもしれない。
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