前の話 目次 次の話




『部員活動ノート』
 唯華はそういったものを作っており、部員一人一人について思ったことや感じたことを書き込んでいる。
 長所だと思う部分、短所だと思う部分。
 何を伸ばすべきか、どんな練習をさせるべきか。
『悪いことをしてしまった罪悪感で、自分がまだこの部活にいてもいいのか、迷うような気持ちを抱えている。それはプレーにも影響を及ぼし、以前よりも調子が悪い。このままでは心配』
 件の万引き女子については、このように書いてある。
 万引きは犯罪、それはその通りだ。盗みを肯定する気はない。
 ただ、唯華から見た感触では、未だに動揺を引きずっている。自分が犯罪に手を染めてしまったショックで、自分で自分を信じられていない。
 もちろん、あの動画の影響も大いにあるだろう。
 ノートには書いていないが、あんなことをさせてきた副顧問が部活内にいるかと思うと、安心した気持ちでいられないのも、心理的な影響の一部のはずだ。

 唯華は今日も部活に出て、その日の練習メニューをこなす。

 あと五回。
 頭の中で残りの回数を数えつつ、部活が終われば副顧問の下へ行き、地獄のおさわりの時間を過ごすのだ。
 必ずユニフォームで来るように、加えて余計な荷物は持ってこないように言ってくるのは、盗撮や盗聴を恐れてのことだろう。ユニフォームには余計なポケットも付いていないから、スマートフォンも持ち込みにくい。
 そして、唯華が自分で指定した場所に誘い出す算段も、まるで立ってはいない。
 結果、副顧問の巣へ足を踏み入れるしかなく、今日も性犯罪者と対峙していた。
「今日はな。ちょっと見て欲しいものがある」
「なんですか?」
「教員の中に様子のおかしい奴がいたんで、色々と伺っていたんだが、そうしたらとんでもないことが判明した」
 副顧問のスマートフォンに、唯華は咄嗟に身構える。
 どうせ、ロクなものではないだろう。
 再生された動画を見ると、やはり良いものなどではない。
「それを本人に見せつけて、厳重な注意でもしたらどうですか?」
 男性教師がそわそわしながら女子更衣室に忍び込む。ドアの向こうへと踏み込む決定的な瞬間が、遠くからだが映っていた。
「それも考えたんだが、彼にも相談に乗ってもらうというのは、どうだろうねぇ?」
「……冗談じゃありませんよ」
 腹の底では、もっと口汚く罵った。
 ――ふざけるな。
 副顧問はつまり、結託しうる人物に声をかけ、参加者を増やそうとしている。唯華の相手が二人に増えるのかもしれなければ、今は手をつけられていない後輩に、再び危険が及ぶのかもしれない。
 何にせよ、良いことなど一つもない。
「私と志波姫はほら、万引きの処遇や今後のことについて話し合っているわけだ。その話し合いに参加者を増やすことで、より多様な意見を取り入れられるだろう?」
「どうせ録音はしていなんだから、もっとはっきり言ったらどうです? 先生、それって私を脅してますよね?」
「わかっているなら話は早いな。彼を加えたら、この先どうなっていくかは僕にもわからん。僕の制御下で楽しんでくれる保証はないし、君からすればどちらにしろ相手が増える。さて、私の暴走を食い止めるには、どうすればいいんだろうねぇ?」
「さあ、先生がどこまでお考えか、私にはわかりませんので」
 唯華は視線を背けた。
 状況は完全に不利、こちらには何の特別な手札もない。
「言っておくけど、証拠も無しに下手に動いたところで黙殺されるよ? 学校っていうのはそんなもんでね。君が誰かに訴えたら、まず私のところに確認がくる。あなたはこのようなことをしましたかと、私は質問を受けることになる。そして、そのような事実はないと答えれば、話はそれで済んでしまう」
 副顧問はついでのように、学校とはいかに事なかれ主義であり、騒ぎが広がることを嫌がるのかを語ってみせた。こうしたことが黙殺され、話が表に出ずに済んできた例を、わざわざ調べたのか、元から知っていたのかまでは知らないが、自信たっぷりに語ってくる。
 挙げ句に、校長とは仲が良い、教育委員会にも知り合いが、バドミントンの関係者とも友好的で――など、自分がいかに安全圏に立っているかを唯華に教え込んでくる。
 その上で、副顧問はこう言った。
「射精したいなぁ」
 聞いた瞬間にゾっとした。
 経験の有無はともかくとして、知識ぐらいは持っていて当然の世の中で、男を射精させる方法の一つや二つは、もちろん唯華も知っている。
 手コキ、フェラチオ、パイズリ。
 そういった知識はあり、あるいは性交まで強要してくるかもしれない。
 いずれにしろ、手で触られるだけで済んでいたところから、男性器の相手をするまで段階が進むことになる。こんな男のペニスと接触するなど冗談じゃない。ズボン越しのものが押しつけられることさえ嫌なのに、直に触れることなど考えられない。
「いざという時、誤魔化しが効かなくなりますよ? 手で触っている分には、フォームやストレッチの指導をしていただけ、って押し通せる気がしますけど、それができなくなってもいいんですか?」
 警察沙汰か、その一歩手前の事態になった場合の話を出してみる。
「悪いけどね。元からハイリスクなことをしているんだ。だいたい、副顧問が事件を起こしていたなんて世間に知れたら、部活全体に影響が出るだろう? 大会に出られなくなるかもな」
 副顧問の存在そのものが、もはや最悪のカードである。
 唯華が彼のことを警察沙汰にして、本格的に訴えようと思ったら、後輩の万引きについてだけでなく、部活動そのものへの影響さえも視野に入れることになる。大会の出場停止、部活そのものの停止、そういった事態を避けたければ、これから起こることの全てを我慢しなくてはいけない気になってくる。
(冗談じゃないって……冗談じゃ……本当に、男性器の相手なんて、いくらなんでも……)
「まずは手でして欲しいなぁ?」
 副顧問は迫って来る。
 唯華は自然と後ずさりをしてしまった。
 自分の不利に動揺して、心臓は早鐘のようになっていたが、それでも唯華の頭は回る。盗撮されていたら嫌だということに考えが及び、苦し紛れの答えを絞り出す。
「……ここで、ですか? こっそり、トイレでも行きませんか? そこでゆっくりしましょうよ」
 我ながら冗談じゃない。
 手コキを受け入れるなど、本当にありえない。
「何故トイレで?」
「ほら、ここだと……。どうせこちらも、何も準備していないし、する暇なんてありませんよ? 証拠の録音とか」
「君はつまり、どこかにカメラが仕掛けてないか疑っているわけだ」
「さあ? そこまでは、どうでしょう」
「場所はここでいい。手でしてもらおう」
(無理に決まってる……そんな……本当にありえない…………)
 しかし、突っぱねるための言葉がもう出ない。
 元からリスクは承知だと言い出した副顧問は、ここで奉仕を突っぱねれば、きっと二人目を参加させてくるだろう。人を増やすことで意見が増え、おさわりだけでは満足できないと言い出すこともありえる。
 相手が増えることで、それがその先、どのような展開に転ぶかはわからない。
 盗撮されている――かもしれない場所で奉仕するのと、参加者が増えるのと、一体どちらがマシなのか。
 悩ましい選択肢を前に、唯華が選ぶ答えはこうだった。

     *

 ベンチ型のソファに座る副顧問に向かって、唯華は床に膝をつき、震えきった指先を近づけようとしているが、ほんの少しでも触れた途端に手が反射的に引っ込んだ。
 副顧問をこの場所から引き離す手立ては、何一つないわけだった。
 性への好奇心くらいはある。
 こういう状況でさえなければ、男性器への興味も皆無ではなかったが、目の前にあるのは最低な男の一物だ。
 ズボンを脱ぎ、下半身を晒した副顧問のものがそそり立ち、血管を浮かせて雄々しくも長大な姿で圧倒してくる。
 まともに視線さえ向けられず、視界に入れることさえ恥ずかしく、目が反射的に余所へ引っ込む。
「いやぁ、しかし主将に奉仕してもらえるとはなぁ」
 副顧問は感慨に浸りきっていた。
「フレ女のエースがだよ? こうしてチンポの前に座っているなんて、とっても気分の良い話じゃないか」
 彼はしきりに、主将だのエースだの、そういった言葉を口にし始めていた。
「さあ、エースさん? そのラケットを握ってきた手で、今度は目の前のグリップを握り締めるんだ。ラケットワークの良い君なら、ペニスワークだってすぐに上達するんじゃないか?」
 わざわざバドミントンを引き合いにする言葉は、チクチクと胸にさって唯華を苛む。
(やるしか……ないっていうの…………?)
 震えきった手を伸ばし、目を向けることすら出来ない場所へと、感覚だけで指先を近づけていく。顔は真横に背けきり、壁だけを見つめている状態で、ペニスは視界に入っていない。自分の手と肉棒の位置関係も掴めずに、何となくその辺りであろう空間へと、唯華は手をやっていた。
(うぅ…………!)
 指先がぴたりと触れ、その一瞬にして、ぞわぁぁぁ――と、指から手首にかけ、さらには肘にかけてさえ、鳥肌が広がっていく。
「ほら、早く握りなさい」
 手首を掴まれ、とうとう無理に握らされ、唯華は肉棒を上下にしごき始めた。
(無理……き、気持ち悪い……)
 石のように固い肉塊から、脈打つ感触と熱気が伝わる。
 生まれて初めて奉仕する唯華は、いかにもぎこちなくしごいていた。上下するたび、皮のスライドを介した肉棒との摩擦が感じられ、根元に生えた陰毛がその都度当たる。
 唯華は淡々と右手を動かしていた。
 副顧問の顔も、肉棒も見ることはなく、床や壁ばかりに視線をやりながら、こんな男などに快楽を与えている。
「うーん。良い気分だ」
 頭の上から、声がかかってきた。
「……そうですか。それは良かったですね」
「ああ、良いとも。素人の初々しいペニスワークというのは感慨深い」
 その言葉は唯華の心を刺激して、屈辱感を煽ってくる。
 バドミントンになぞらえてくる言葉選びは、それだけ唯華の心を刻むものだった。
「だが、このままでは射精なんて出来そうにないなぁ? 確かに気分はいいが、良いのは気分だけで快感は大したことがなくってね。もっと刺激の強いことをしてくれないと、いつまでも出ないかもしれないなぁ?」
 わざとらしいことを言ってくる。
 それに対して、唯華はしごきのペースを速めた。
「少しは刺激が強まりましたか?」
「少しはな」
 その答えに、ならばもう少しだけペースを上げ、淡々と決まったリズムで手コキを続けていくが、いつになったら射精をするのか、唯華には想像すらつかない。肉棒の直視を避けているため、カウパーが出ているかどうかさえわからなかった。
(本当に……いつまでするの……)
 握り具合も、スピードの加減も、唯華には何もわからない。
 強いて言うなら、柔軟性の良い手首が自然とスナップを利かせ始めて、無意識のうちに動きが変わっていきている。短時間のうちに磨きがかかり、少なくとも見栄えは良くなっていた。
「さすが主将だな。良い手首をしている」
「……っ」
 頭を撫でられ、唯華は睨み上げていた。
「そんな顔をするな。ほら、フェラをやってみろ」
「ふぇ、フェラって……! できません! 手だって、かなり我慢して使ってるんですよ!?」
「ならいつまで時間をかける? 僕はいいんだけどね? ながーく楽しませてもらえるなら、それでも」
「だからって……」
 時間を短縮するためだけに口を使うなど、選択肢としてはありえない。
 どうにか、せめて手だけで済ませたい。
「あーあー。せっかく奉仕までしているのに、明日から参加者が増えるのかな」
「待って下さい!」
 唯華は慌てていきり立つ。
 ここから相手を増やされたら、最低でも手コキの相手まで二人に増えかねない。
「座れ、続けろ」
 そうしなければ話には応じないかのように、床を指して命じてくる。
 まるで召使いとして従わされるかのようで、この上なく気分は最悪だったが、状況の悪化を防ぐためにも唯華は床に膝をつく。
 握り直して、上下のしごきを再開した。
 そうしなければ、話し合いの席にすらついていない扱いなのだ。
「フェラなんて無茶です」
 唯華はすぐさま発言する。
「だったら、他の人に頼むかなぁ? 万引き生徒とかに」
「ちょっと……!」
「反省が足りないんじゃないかと迫れば簡単だろうな。だって、裸で頭を下げる動画だって、押し切ることができたんだ。あの性格が相手なら、フェラくらい頼めそうだ」
 お前が拒むなら、代わりに後輩を犠牲にすると、はっきりした表明に憎らしさが増幅した。
 睨まずにはいられない。
 恨めしい視線を向け、これでもかというほどの呪いを送りつけてやらなければ気が済まない。いいや、いっそのこと本当に警察沙汰にして、この男が後悔の限りを尽くすのでなければ、本当の意味で気が晴れる瞬間など、決して来ることはないだろう。
「私がやります」
「よっぽど後輩が大事らしいね? さすがは主将さんだ」
 褒め称えんばかりに手を伸ばし、よしよしと可愛がるように頭を撫でてくる。
「やめてください」
 唯華はそれを拒んで払い退けていた。
 その代わりのようにして、初めて肉棒をまともに直視しながら、ゆっくりとだんだんと顔を近づけ、震えきった唇を亀頭に接近させていく。どうせこんなことをするのだから、頭を撫でるくらいは拒んでもいいだろうと言わんばかりの気持ちになって、唯華は亀頭に口を付けた。

 ぞわぁぁぁぁぁぁ…………!

 触れた先からみるみるうちに鳥肌が広がって、瞬く間に全身まで及ぶ勢いだった。
(うっ、無理……!)
 心の底からそう感じて、すぐさま唇を離したが、もはやこうしなければ後輩は守れない。たとえ警察に頼るとしても、まともに動いてもらうまでのあいだには、どうしてもタイムラグが発生して、そのあいだに……という計算も働いていた。
(こんなこと……うっ、無理なのに…………)
 一瞬しか触れていないが、おぞましいものと接触を果たした余韻は、唇にも全身にも残っている。
「どうした? 主将さん」
「やりますから、静かにしていてもらえませんか」
 唯華は唇を近づけ直す。
  亀頭とのキスの瞬間、改めて鳥肌は広がった。まずは嫌悪感に慣れるため、吐き気を堪えてペロペロと鈴口を舐め上げる。こんな男に奉仕をする屈辱感もさることながら、直前にシャワーなど浴びていない、不衛生な状態であろうことも気にかかる。ウェットティッシュでも何でもいいから、そんな申し訳程度の救いだけでも求めたくて仕方がなかった。
「明日から除菌ペーパーを用意してくれますか? そうすれば快く引き受けますので」
 逆に言うなら、そうしなければ噛み切ると、心の中では宣言する。
「ま、いいけどね。今日はこのまま続けてもらうよ?」
 見上げれば、やらなければ許さないかのような圧を目で放ってくる。
「ええ、今日は我慢します」
 我慢という言葉を殊更に強調しながら、唯華は唇を当て直す。

 ちゅっ、チュッ、ちゅっ、ちゅむ――

 慣れるためにキスをして、軽い接触を繰り返すが、しかし慣れるはずがない。
 こんなことをさせられて、心がどうにかならずにいられるのは、これまで何度も出場してきた大会で、プレッシャーと向き合ってきた経験のおかげだろう。優勝、準優勝、そういったものがかかった緊張感を過去にいくつも飲み込んできた。
 だから、メンタルは崩れない。
(やればいいんでしょう? やれば)
 気を保ちながら、唯華は肉棒を咥え始めた。

 ぞわぁぁぁぁぁぁ…………!

 ただでさえ鳥肌が立ち、爪先ですら細胞が騒いでいるのに、嫌悪感のあまりに毛穴さえもが広がっている。細胞単位で起きる拒否反応で、顔中の皮膚がざわめいていた。
(きつすぎる……苦行もいいところ……)
 苦行のあまり、いいメンタルトレーニングとでも思うのが、心を保つ一番の方法のようにさえ思えてくる。
「じゅむぅ…………じゅぅ…………ずぅ…………ずぅぅ…………」
 人生初のフェラチオで、ぎこちない動きを取り始める。
 まるで汚物を口に詰め込むような、生理的な拒否反応で吐き気がする。メンタルが弱ければ、心因性の生体反応で本当に嘔吐するかもしれない。
 だが、良くも悪しくも唯華は強かった。
「ずっ、ずずぅ……ずぅぅ……じゅずずぅ……ぢゅぅ……」
 吐き気は引っ込み、続けることができてしまう。
 もちろん、心境は穏やかなものではない。
 顔を上下させることにより、口内を占領してくる質量は、否が応でも舌や頬の内側に密着する。ともすれば、喉さえ塞がることだろう。
(従属させられている感覚……駄目、この感覚に飲まれたら、チャンスがあっても逆らえなくなる……)
 唯華は心を懸命に保っているが、従属感とでも言うべきものは、確かに湧きつつあるのだった。
 床などに座らされ、王様気分でふんぞり返る男に奉仕する。このいかにも尽くしているかのような、従者として従っている形のせいで、こうした上下関係が心に植えつけられそうだ。
(冗談じゃないから)
 それを唯華は拒む。
 心に生えた芽を摘み取る精神的な作業を決して欠かすことはなかった。
「ずずぅ……じゅずぅ……ずぅ……ずぅ……ずぅぅ……じゅっ、ぢゅぅぅ…………」
 早くやめたい。
 どうして自分は、こんなことをしているのだろう。
 練習が過酷な時に、一度や二度は思ったことだ。激しい疲弊感に飲み込まれ、自分はどうしてここまでしてバドミントンをやるのだろうと、辛さのあまりに考えてしまった経験は、きっと誰しもにあることだ。
 それに似た何かが、このフェラチオによって湧いている。
 そして、副顧問のことなど、バドミントンと違って特別に好きではない。続けたい気持ちなど欠片もないのを、後輩や部活のためにも続けざるを得ないのだ。
「ずっ、じゅるっ、ずずぅぅ……ぢゅぅぅぅ…………」
 唯華にはわからない。
 副顧問は性交の経験があるのか否か。あったとして、それは恋人なのか風俗なのか。両方の経験があるのか、片方の経験しかないのか。そういったことは何もわからず、つまり副顧問から見た今の唯華は、どの程度の技巧で奉仕しているわけなのか、さっぱり想像がつかなかった。
 少なくとも、初めてやっていることだ。
 さぞかしぎこちなく見えることだけは想像がついていた。
「よし、飲んでもらおうか」
(の、飲むって……!)
 その言葉に戦慄すると同時に、いつの間に相手の射精感をそこまで高めていたのかと、衝撃もまた受けていた。
 口内に出されてしまう。
 しかし、逃げるか否かを迷う暇さえ与えられず、飲ませる宣言が聞こえた時には、もう口内に青臭い味が広がり始めていた。
 先端から噴き出るものが、ピュッピュッと、口内に噴きかかり、舌の根の周りには嫌な水たまりが形成される。
 間髪入れず、両手で頭が掴まれていた。
(に、逃がさないつもり!?)
 飲まなければ許さないかのような握力で、頭皮に指が食い込んで来る。
 力尽くで抑え込まれた唯華には、喉を鳴らして嚥下する以外の道がなく、涙ながらに飲み始めた。
 コク、コク、と。
 喉の内側に受け入れて、食道を流れ落ちていく感覚に身震いする。汚液によって身体が汚染され、これから腹の内側から腐敗が広がるかのような、嫌な想像さえよぎり、自らの腹を抉って綺麗に取り出したい気持ちが大いに膨らんでいた。
「飲んだら、あとは舌を使って掃除しろ。ああ、チュゥチュゥ吸い取ったりもするんだぞ? それが終わったら帰っていいからな」
 そして、最後にはお掃除フェラまでやらされて、唯華は寮へ帰って行った。



 
 
 

コメント一覧

    コメント投稿

    CAPTCHA