……下らない。
その言葉を聞いて真っ先に浮かぶのは、世にも仕方のないことを信じる馬鹿な男への、呆れとも絶句とも言えない、信じられない気持ちを絡め合わせて、結果として生まれる「下らない」という言葉であった。
時槻雪乃は一人の教師に呼び出しを受けていた。
雪乃は<騎士>として戦うため、学校を休むことなど厭わない。とっくに捨てた日常に身を浸すより、雪乃は<泡禍>との戦いを望む。遠方の地域から連絡が舞い込み、電車に乗っての遠出が何度あったか。
つまり、出席日数は減り、勉強も遅れている。
雪乃が教師に呼び出される理由など、残念ながらいくらでも思いつくものだった。
「催眠アプリで君を操ろうと思ってね」
ところが、指導室で二人きりになるや否や、教師が言い出したのはそんなことで、急にポケットからスマートフォンを取り出すなり、必死になって操作を始める。まるでタッチ画面を叩くことに命でも賭け、意地でも何かを得ようとしているように、息を荒げてタップしていた。
「これはねぇ! 特殊な電波によって特定の相手に情報を送り込み、その人の脳に色々と植えつけるんだそうだ! た、例えばね? おかしな常識とか、人格の改変とか、そういうことができるらしいんだ!」
「何を言っているんですか?」
雪乃の口から出て来るこの言葉が、雪乃の抱く感情の全てであった。
目の前の男が一体何を言っているのか、雪乃には本気でわからない。他者を都合良く操るというが、そんな不可思議な道具などあるはずがない。<神の悪夢>で怪奇的な現象をいくらでも見てきた雪乃だが、だからといって、超能力でスプーンを曲げ、UFOから宇宙人がやって来て、ネス湖にはネッシーが存在することまで信じるつもりはない。
催眠アプリなどというものも、信じるには値しない。
「ほら! スカートを上げて! パンツ見せなさい!」
この教師が言い出すのは、生徒に対するごくごく『普通』の指示だった。
「…………」
雪乃にも羞恥心はある。
好きで下着を見せたいとは思わないが、教師の指示とあっては断れない。スカートの丈を握り締め、恥ずかしくなどないかのように持ち上げる。平然を装ってショーツを見せるも、頬に熱っぽく赤みが浮かぶことは誤魔化せない。
「へぇ? 黒かぁ」
ショーツを眺めるためにしゃがみ込み、前屈みに顔を近づけてくる教師の、じっくりと生地の質まで確かめようとしてくる視線が突き刺さる。
ゴシックロリータ調のリボンショーツは、かなり見栄えを重視したものだろう。誰かに見せるための下着では断じてないが、こうしてスカートをたくし上げ、教師の視線を浴びていると、いかに男の目を楽しませるものを穿いてきたかを自覚する。
「ところで、君はどうして呼び出されているかわかるかい?」
「それは授業の関係で」
「違うでしょう?」
「――っ!」
その瞬間、雪乃が急に肩をビクっと跳ね上げ、目を見開き、驚いた表情で自分の股を確かめたのは、まず触られたことは大いにある。下から上に、天井に綺麗に突き刺すような指の形でツンとつつかれ、下着越しに性器に触れられ、本当に驚いたのは当然だ。
しかし、それだけではない。
じわじわと愛液が溢れたのだ。
自分がお漏らしをしていないか、急な尿意でオシッコを出していないかと怖くなるほど、アソコのあたりがみるみるうちに熱くなり、下着に湿りが広がっていく。内股にまで濡れた気配は及んでいき、こんなにも急速に濡れてしまった。
「いいかい? 『時槻雪乃はここにおチンチンをもらうためにやって来た』だ」
そうだった。
年頃の少女は肉体を持て余すものであり、自慰行為ではどうにもならないほどの疼きに見舞われることもある。そうなってしまった時、そんな女の子を救えるのは、恋人でもいない限りは教師だけだ。
「今までここに何回も与えてきたね?」
教師の言葉で思い出す。
そういえば、自分は何度も、何度も何度も、本当に幾度となく性欲を抑えきれなくなり、この教師に救ってもらっている。路上でナンパに喰われないよう、おかしな男に絡まれ連れていかれないように、生徒を守る意味合いを込めて、この教師は雪乃の性欲を発散させてきた。
するなら、さっさとすればいい。
どうせ、生徒とヤれて嬉しいだろう。こちらも発散させに来た。こんな状態で<泡禍>が起きて、現場へ駆けつける羽目になっても困る。下らない欲求はすぐに消し去り、いつものように振る舞いたい。
雪乃は腰をモゾつかせていた。
まるでフラフープでも回すようにぐるぐると、あるいは前後左右にくねくねと、教師の指先によってくすぐられている刺激に、雪乃の腰は動き回っている。子宮の奥まで悦びに疼き、肉棒を求めてヒクつきながらヨダレを垂らす。
セックスしたい。
頭の中で、そんなはしたない気持ちが膨らむ。
「欲しいかい?」
ニヤニヤと、教師は尋ねてくる。
いつまでもこのままではいられない。おチンチンが欲しくてたまらない、セックスをもとめてやまないアソコがヒクヒクと興奮して、みっともなく愛液を垂れ流す。自分でも病気としか思えない、こんな状態でいつまでもいられるものか。
「欲しいです。早くくれませんか?」
セックスを求めるにしては、それはにべもなく突き放し、さっさと用を済ませて帰りたいとばかりの態度といえた。
雪乃は実際にそうなのだ。
こんな場所でぐずぐずしないで、早く神狩屋のロッジへ行き、パトロールも行いたい。<泡禍>があれば、どこであろうと現場へ行き、獲物を狩ってやりたいのだ。
そのためにも、この欲求は邪魔だ。
自分の中から、性欲そのものを切除できない以上、少しでも手早く発散して、すっきりする以外に手段はない。
「それじゃあ『しっかりとおねだりして先生を興奮させないとね?』」
それが教師の、スマートフォンの催眠アプリとやらに登録された文面を唱えたものとは、雪乃は知りもしていない。
しかし、やることは決まっていた。
雪乃は何か、思いつく限りの方法で教師のことを興奮させながら、おねだりのための台詞を口にしなくてはならない。それもはしたなく、いやらしく、普段の雪乃なら断じてありえないような行動や台詞でなくてはならない。
「せ、先生の……お、おチンチンが欲しいです……! だから、どんなご奉仕でも致しますから、私に先生のおチンチンを恵んで下さい!」
もはや時槻雪乃としての話どころか、人間の、一人の女としてありえない、自分の尊厳を捨ててもいるような台詞であった。
「ほらほら、だったら自分はこれだけ先生のおチンチンを求めてますって、精一杯の努力で示してみせないと!」
あおり立てる教師の言葉と顔立ちに、雪乃は明らかに苛立った。
人として恥ずかしい台詞を吐いてまで、おチンチンなどという汚らしい単語まで使って求めたのに、すぐにはくれようとしない態度に歯を噛み締め、ならばこれで満足かと言わんばかりに服を脱ぐ。
セーラー服のスカーフが投げ捨てられ、スカートがその場に落ちる。ブラジャーさえも脱ぎ捨てて、恥を忍んで丸裸となった雪乃は、バン、と大きな音を立て、テーブルに両手をついて腰を突き出す。
自分がいかに淫らで恥知らずな女を演じているか。
嫌な自覚をしながらも、雪乃は腰を左右に動かし、今度は真っ白な尻を振りたくる。そうやってオスを誘うため、淫乱なメスを演じて誘惑しようと努力する。みっともない自分の有様に耐えながら、教師にはそんな自分の尻や背中を見せつけた。
フリフリと尻を動かし、ひとしきりそうした後で、今度は手をアソコに持って行く。自らのアソコを指で開いてみせながら、桃色の肉ヒダを見せつけながら言うのだった。
「ここが、限界です、だから、早く下さい!」
「なにを?」
「お、おチンチン……」
「そうか。そんなに先生のおチンチンが欲しいか」
やっとのことで、教師のベルトを外す音が聞こえる。肉棒を取り出そうとする気配が、尻のすぐ真後ろにある。いよいよ挿入してもらえることを期待しながら、雪乃はじっと大人しく、教師の肉棒を待ち侘びていた。
「………………」
来た。
腰が迫り、雪乃の柔らかい尻たぶには、熱い肉棒が乗せられた。血管の浮き出た驚くほど硬い逸物は、尻の肌をじっくりと温める。すぐに入れるわけでもなく、教師は腰を押し付けながら、すりすりと肉棒を使って撫でている。
早く……早く入れろ……。
おかしな怒りに震えてしまう雪乃のアソコに、やっとのことで切っ先が触れたと思えば、教師は焦らさんばかりに上下に擦る。まるでペン先でインクでも塗り付けるようにして、カウパー擦り込んでばかりいる。
「早く…………」
雪乃はつい、求めてしまう。
「どうした?」
「早く……下さい……」
「なら、もっといやらしく言おうか」
「……っ!」
何度言わせれば、はしたなく、みっともなく、尊厳も何も投げ打つような卑猥な台詞をあと何回言わせれば気が済むのだ。そんなに雪乃の方からセックスを求め、おチンチンが欲しくてたまらないような言葉を聞くのが好きか。
「我慢できないのよ! 早く頂戴! 私の淫らでいやらしいおマンコに先生のおチンチンを入れなさい!」
でないと……。
それはごくごく小さな声で、教師の耳には届かない。
しかし、雪乃は確かにこう呟く。
「でないと……殺すわよ…………」
呟いた次の瞬間、あれほどに恋い焦がれた肉棒がずっぷりと、雪乃の穴の切なさを埋めるべくして入ってきた。肉棒の太さに合わせて穴幅が広がって、下腹部には反射的に力が入る。この待ちに待った肉棒を、少しでもしっかりと味わおうと、雪乃は膣壁の力で締め付けているのだった。
来た……! やっと、やっとこの余計な性欲を発散できる!
「あぁ! あっ、あん!」
ピストンが始まり、雪乃は背筋を反らしてよく喘いだ。
「あぁん! あっ、あふっ、んんん! んぁ、あっ、あうっ、ふぁあ!」
教師は大胆に腰を振り、雪乃の尻に打ち付ける。見え隠れする肉棒は、膣の中からたっぷりと愛液をまとった姿で、陰毛にまで粘液が付着していた。
「あぁっ、あぁぁ……! あっ、あぁ……!」
ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、と、教師が打ち付ける腰により、雪乃の肉厚で豊満な尻肉がよく弾み、小刻みに波打つように振動している。
やがて、雪乃の中で高まる何かがあった。
頭の中で見えない風船が膨らんでいる。ピストンによってみるみるうちに空気が送られ、喘いでいるうちに破裂寸前にまでなっていき、ついにはその瞬間が訪れた。
雪乃は知っていた。
これが、絶頂の前触れなのだ。
「――――――――――――――っ!」
声にもならない、本当は絶叫するために大きく口を開いたはずが、あまりにも大きく快感が弾けて、絞り出す声すらない。無音の叫びと共に、雪乃はこれまで以上に仰け反って、弓なりに痙攣してからぐったりと、糸が切れたようにテーブルに伸びていた。
気持ちよかった余韻の中で、テーブルに上半身を投げ出している雪乃は、もう少しだけ続くピストンと、その次に行われる射精を静かに受け止めていた。
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