体育倉庫で授業をサボっている俺は、秋元優奈を膝のあいだに乗せていた。背中から抱きしめる形で胸を揉み、優奈は俺の手つきを仏頂面で受け入れる。尻に当たっている俺の勃起が気になるようで、何度か腰の辺りをよじっていたが、やがては深いため息と共に諦め黙々と乳をもまれ続けた。
「サボりでこんな事してるってバレたら、どうなるかな?」
「さあ、退学か停学? どっちにしろいい事はないね」
「だけど、やめる気ないでしょ」
「まあな」
ワイシャツの内側にある乳房から、指先で頂点を探るようにして乳首の位置を調査する。衣服だけでなく、ブラジャーによる防壁もあるので発見には手間取るが、見つけた俺は乳首を摘んで集中的に捏ねくり回す。カップ越しの硬く突起した乳首の状態が、指にはっきりつ伝わってきた。
「あっ、ちょっと……」
優奈は赤らむ。
「お前こそ、抵抗する気もないくせに」
俺は耳元へ向けて囁いた。
「アンタが欲しそうにしてたから、させてやってるだけだし」
と、強気に返してきた。
俺と優奈は頬をくっつけ合っている。背中から抱きつく俺が肩へアゴを乗せる形で、優奈も俺へ頬ずりを返してくる。唇を硬く結びつけ、乳首の刺激に耐える表情をしているのが俺にはわかった。
「だいたい、もう何分ぐらい揉んでるの」
授業をサボってここに来てから、俺はすぐに膝に優奈を座らせて、ずっと胸を揉んで過ごしている。
「二十分ぐらい?」
「揉みすぎ……」
優奈は呆れてため息をついていた。
俺と優奈はそれなりに不真面目だ。中学の頃から同じ学校だったが、一緒のクラスになったのは中三からで、当時は口を利いた事もない。高校一年になって、初めて俺達は言葉を交わして恋仲にまで発展している。
優奈はぶっきらぼうで冷淡だ。強気に見える目つきに加え、みんなと笑ったりはしゃぐことのない性格だから、おそらくは冷たい子に見られがちだ。教室にいる時は普段から頬が強張っていたり、不機嫌そうな表情なので、およそ声をかけにくい。「何か用?」「用がないなら話しかけないで」と、人をそんな風にあしらう優奈が正直俺には想像できる。
「連太郎。どんだけ胸が好きなの?」
不機嫌に聞こえる喋り方だが、乳首の刺激で頬が赤い。大きく息を乱して肩を上下させていいて、感じているのが丸わかりだ。
「優奈は揉まれるの好きじゃないの?」
「……別に?」
「じゃあ、嫌い?」
「そういうわけじゃ……」
優奈は黙り込んで下を向く。
俺はボタンへ手をかけ、上から一つずつ外し始める。優奈は抵抗するでもなく、顔を下へ落としたまま、だんだん前を開けられていく自分の胸元を無気力そうに見つめていた。
「下着、黒か」
俺はブラジャーの柄をチェックする。
「悪い?」
「そんな事は一言も言っていない」
「ふぅん? 本当はどんなのが良かったの」
「どんなのってわけでもないけど、色んなのが見てみたいね。青とかピンクとか」
「ふーん」
黒の刺繍入りに包まれた乳房を両手に覆い込み、指を丹念に躍らせる。弾力で指が押し返されるのを楽しみながら、首筋へ鼻腔を近づけ、黒髪から漂うシャンプーの香りを味わう。さわやかな匂いが俺の胸を晴れやかに照らしていき、そして胸の柔らかさが俺を興奮させる。
我慢ならなくなった俺はワイシャツの内側で背中を探り、俺の行動を察した優奈は身体を前に倒す。俺がブラジャーのホックを外すのを無言で受け入れ、下着を取り払った生乳を俺は丁寧に揉みしだいた。
俺達がこんな関係になったのは、つい二ヶ月ほど前のことだ。
高校生になって早速サボりを覚えた俺は、五月早々から授業を抜け出すのに絶好のスポットを探していた。教師に見つかる場所では落ち着かないし、屋上への出入りはできない。人目につかず、落ち着く場所を探した結果、発見したのがこの体育倉庫だ。
本来なら授業で使われ、用具を出し入れするために生徒や教師が出入りする。しかし、俺のいる体育倉庫は旧校舎の今では使われていない方だ。できれば旧校舎自体に出入りできれば良いのだが、残念ながら鍵がかかって進入できず、ところが体育倉庫の鍵は劣化して壊れていたので入り込めた。
さっそくマットにでも寝転がってサボりを満喫しようと思ったら、どこからともなく「アンタもサボり?」と女の子の声が聞こえ、ギョッとした俺は一体誰がどこにいるのかキョロキョロと見回した。
すると、跳び箱の蓋を持ち上げ、中から顔を出す秋元優奈がいたというわけだ。
何でも、俺が入って来た時、てっきり見回りでも来たのかと隠れたらしい。ところが教師でも用務員でもなく、現れたのはクラスメイトの姿で、とりあえず安心だろうと顔を出したという事だ。
元々、俺も優奈も一人になろうとしてここへ来た。
けれど、俺達は何の気兼ねもなく一緒にいる。
お互いに同族の匂いを感じ取っていたからだ。
優奈は基本的に物静かなタイプで、教室にいる時は始終機嫌悪そうな顔で座っている。なんとなく避けられてか、あるいは優奈自身が消極的なせいか。女子同士でワイワイやっているところを見たことがない。
俺も同じで、基本的に一人でいる楽さに流れる。寂しさという感情があるにはあるが、だからといって、友達を増やしたい気持ちは起きない。読書趣味に没頭したり、物思いに耽るなどして、一人趣味でも楽しくやっていけるからだ。
孤独は浸って楽しむものだが、人との繋がりを求める欲求は消えるはしない。ただ抑え込んだり流してしまえたり、薄くなっていくというだけで、人という生き物自体に他人を求める本能がシステムされている。
一人でいたい。
孤独が好きでいるくせに、それと相反する他人を求めたがる矛盾。
人からすれば面倒でたまらんであろう性格を俺はしている。無駄なことは表に出さないようにしているので、本当に面倒がられてはいないはずだが、もし楽しそうな友達グループにチラチラ送り、そのくせいざ誘われたら断る真似などすれば、俺は即座にそういう奴なんだと認定されてしまうだろう。
そういう恐れがあるので、極力表に出さないのが俺だ。
そんな俺だからこそ、秋元優奈という存在に電流が走った。
優奈と目が合った瞬間、彼女はこんな俺の性格に対してとてつもなくちょうどいい相手だと直感した。優奈も同じ。俺こそ自分の横に置いても気にならない、ちょうどよさげな人だと瞬時に理解し、その出会いを気にサボり仲間となったのだ。
『ここ、かなりいいよ?』
『やっぱりか。悪いな、邪魔しちまって』
『別にいいよ? どうせ体育が嫌なんでしょ』
『まあな』
『最初は埃だらけだったけど、勝手に綺麗にさせてもらった』
『俺もいて平気か?』
『いいんじゃないかな。一人くらいなら』
初めて交わした会話はこんなところだ。
あとは即座に話題がつきて、お互い自然と無言になり、何を喋るでもなくぼーっとした時間を過ごし続けて終わりだった。ただ、お互いに嫌いな授業を教え合い、どの授業なら一緒にサボれるかに予測をつけ、次の日もその次の日も同じ体育倉庫で共に過ごした。
やがて俺は勇気を出してメールアドレスを教えてもらい、メールでどの授業をいつサボるかの相談をするようになっていく。だんだんと一緒にサボるのが当たり前になり、そうして一ヶ月が経過する頃、優奈は俺に告白してきた。
『ねえ』
『なんだ?』
『好き……なんだけど』
割りとあっさり、しかも前触れもなく唐突に好意を打ち明けられた。自分がモテるなどとは思わない俺は、趣味の話で自分が好きなものでも語る気かと、一瞬はそう考えたが、それにしては『好き』という言葉に躊躇いと恥じらいが多分に含まれすぎていた。
聞こえなかったフリでもして『なんか言ったか?』とでも返せば、何事もなかったかのようにその場を凌ぐことは簡単だったが、それはそれでチャンスを逃す。優奈が俺を好き。ライクならともかく、ラブでなどありえない。今のは自分の妄想だという可能性をなんだかんだで捨て切れなかったが、だからこそ俺は確かめた。
『好きって、言ったのか?』
万が一という事もあるし、俺が行うのはたかが確認だ。もし向こうが勇気を振り絞っていたのなら、それを聞こえなかったで済ませるのは失礼だと考えた。
『……まあ、ね』
『それってつまり、俺はイエスかノーの返事をするべきなのか?』
『逆に聞くけど、アンタ本当に後者でいいの?』
『……よくないな』
好きという言葉の意味合いを確かめた結果、俺は言外に脅迫されてしまった。
つまるところ、俺だって既に優奈のことが好きだった。だから一緒に過ごせるようにタイミングを計ったり、アドレスを聞きもした。ただ、優奈の俺に対する感情はせいぜいライクで、まさか本気で惚れられるなど都合がいいと、どこかそういう考え方をしていたわけだ。
だが、優奈は俺の好意など見抜いていたのだろう。
アドレスまで聞いていては、さすがに気持ちがバレないわけがなかったか。
返事をするべきかと尋ねた俺に向かって、後者でいいのかとやけに強気で返してくる優奈の目つき。お前、ここで頷かなかったら私とは付き合えないんだぞ。それどころか、今の関係すら無くなるんだぞ。と、そういう脅迫をされた気分になった。
まあ、ここまで来れば首を縦に振らない理由はない。
『是非ともお付き合い願いたいです』
俺は真剣に頷いた。
といったわけで、俺達は一応彼氏彼女の関係にある。発展すれば性的なことに至るのは当然といえば当然で、具体的には胸を揉めるまではいっている。キスもしている。初めはごくさりげなかったスキンシップが日増しに激しくなり、最初は肩や手に触れるだけだったのが、だんだん背中や腰、うなじを狙うようになっていき、優奈も俺のそれら場所へ手を伸ばす。
『あのさ、触りたい場所があるんだけど』
ある日、俺は頼んだ。
『どうせ胸でしょ?』
『……駄目か?』
『駄目ではない』
当人の許可を得て、晴れて乳揉みの権利を得ていた。
そういうわけで揉んでいる生乳だが、乳房の感触というのはどれくらい個人差があるものなのだろう。優奈の胸はゴムボールのようで、やや硬めに張っている。指を押し込むと弾力に押し返され、突起した乳首が俺の手の平に当たっていた。
「もう三十分は揉んでる」
「ご馳走様です」
「ひぁ……」
乳首を指に挟んでやると、小動物の鳴くような可愛い声を上げる。俺が満足げにしたのが気に入らないようで、優奈はやや不機嫌な面持ちになった。
「あのさ、いい加減に私がアンタを食べたいんだけど」
「どのへんを?」
「とりあえず、そっち向かせろ」
「はいよ」
俺が胸から手を離すと、優奈は一旦立ち上がり、俺を向いて跨り直す。正面から抱き合う形で密着して、俺のズボンの勃起には優奈の大事な部分が接触してきた。乳房も同時に俺の胸板でぺったり潰れ、この感触を逃がすまいと俺は腕を回して強く身体を締め付ける。
「……んっ」
優奈はそして、俺の唇を貪った。食いつくように口を食み、俺の口内を舌でかき回さんとしてくるので、俺も舌を伸ばして絡め合う。生温かく、ねっとりと唾液を含んだ優奈の舌の味が俺の舌へ伝わって、優奈もまた俺の舌を味わっている。
優奈は表情がとろけていき、甘く目を細めて満足げになっていく。
「アンタは私のもの」
「お前もな」
「次は昼休みだけど、どうする?」
「当然、一緒にここでメシを食おう」
「だね」
俺達はこのままここに居座り、昼休みが終わってからようやく教室へ戻っていった。
コメント投稿