春野恵美、二十五歳。
先日、性感マッサージなるサービスを受けました。
友達からの勧めが始まりで、何やかんやと女性向け風俗店を訪れれば、そこにいたのは高校当時に憧れていた友田典明くんだった。元クラスメイトから受けるマッサージで、散々にイカされ続けた私は、とてもいやらしい考えに囚われた。
また、あんな気持ちになってみたい。
天国にまで連れて行って欲しい。
心がすぅーっと、優しくとろけていくような、だけど激しくもある体験が、私の心を捕らえて離さない。
「また来てくれたんだね。春野さん」
高身長でスタイルも整っている。スラっとした印象の友田君は、汗からフルーツの香りでも放出しそうなほど、とても爽やかな顔立ちをしている。耳を溶かさんばかりの甘い声質も、どことない穏やかなオーラも、何もかもが乙女を狂わせる。
まさに女子を喜ばせるために生まれたような存在が、お金を払ってのサービスとはいえ、これから私のためだけに尽くしてくれる。
彼氏ではない。客と店員の関係。
しかし、恋人同士の甘い関係でなければ得られないはずの時間をお金で買った。
風俗にハマる男と変わらないだろうか。
キャバクラ嬢に貢ぐことと似ているだろうか。
本当は良くない。おかしなことにハマっている。
酒とギャンブルにのめりこむのと同じくらい、きっと不健康なことなのだと思う。そう思いながら、あの何度もイカされた体験が忘れられずにいる私がいる。またイキたい。友田君に苛めて欲しい。どこか淫らな気持ちを抱えて私はここに来てしまった。
「あのっ、ほら……ストレス解消にいいかなって……」
私は言い訳めいたことを言っている。
「そうだよね。やっぱり色々と、上司の不満だとか。ありそうだよね」
特に否定することもなく、それどころか同意して、理解してくれる姿勢で友田君は、そのまま私の愚痴を一つ一つ引き出した。
あの上司がうざい。取引先での嫌な出来事。
他には単純にデスクでの肩こりや目の疲れ。
日頃から思っていたことが、まるで魔法のように私の口から引き出されて、ほとんど知らないうちに晴れ晴れとした気持ちにまでなっていた。
――わかっている。気休めだ。
だけど、体に悪いストレスが全て分解されてしまったように思う。
「この前みたいに、色々と……」
何度もイカせてもらったあとは、子供をあやすかのように可愛がり、甘い刺激を全身に与えてもらった。
あれが、いい。
もう一度、あの感じを……。
「うん。あれは嫌だったとか、そういうのは特になかった?」
「ない、かな」
「挿入サービスはどうする?」
「え? ええっと、ちょっと迷ってるといいますか――」
「そっかー。迷ってるかー」
「……だって、ねぇ?」
「だよねー。お客様を不快にさせたら意味がない。ちゃんと春野さんが望んだら、その時にということで」
「うん。そういうことで……」
「じゃあ、少し外すから、着替え終わったら教えてね」
「う、うん」
私はそれから、更衣室で服を脱ぎ、紙ショーツとガウンに着替えた。このガウンは袖を通すタイプではなく、スナップボタンがある以外は単なるタオルというべきか、風呂上りのバスタオル巻きのようになった私の身体は、たった一枚の布を外せばショーツのみだ。
これから、再び私の全身が燃やされる。
友田君のあの指で、じっくりとたっぷりと、丁寧に余すことなく愛撫され、私はどこか天国にでも連れて行かれるのだ。
***
ところで、紙ショーツの色は白。
一番透けやすい色ではないか。
オイルを塗られただけで、色々と見えてしまうことは間違いない。
毛の色とか……。
***
ラテン系の壁紙模様に艶やかなフローリングと、観葉植物で緑を添えた一室にうっとりとするようなアロマが焚かれ、こんな格好でも過ごしやすいように、室温もちょうど良く調整されている。
とても落ち着きやすい室内で、私は施術用のベッドに横たわった。
アイマスクの厚みにより、私の視界は完全に遮断され、どんなに目を見開いていようと暗闇しか見えやしない。
私の肌にあるのは、自分の背中がベッドに埋まっている感触と、裸を包んで隠してくれるガウンだけ。
あとは視界がゼロだからこそ、耳や素肌が友田君の気配を探していた。
衣擦れや呼吸を聞き取って、それから足音も聞こえたおかげで、ベッドの横合いから私を見下ろしているんだなと、何となく読み取った。
「始めるよ?」
手が、迫る。
ガウンに触れた友田君の手は、ぱちりぱちりと、ボタンを一つずつ外していき、だんだんと私の露出面積は広がっていく。肌に触れていたタオルの生地が、左右に広がることにより、すぐに乳房が露出した。
ああ、さっそく見られている。
友田君の視点を想像すると、そこには紙ショーツ一枚だけの私がいる。
ジィィィィィ、と。
心なしか、胸に視線が突き刺さっているような気がした。気のせいかもしれないし、本当は別のところを見ていても、今の私はそんな風に意識をしてしまう。だからそう感じるんだと思うのだけど、体のことを言われるともう駄目だ。
「可愛いね。もう乳首が尖ってる」
オッパイを褒められた。
「全身があの時の快感を思い出しているんだね」
言わなくてもいいことを……。
「始めるよ」
と、友田君は施術を始めた。
しかし、すぐに恥ずかしい部分に触れるわけではない。
まずは足から、指の一本ずつにかけてまで、丁寧にオイルを塗り込みながら、指圧マッサージでほぐしていく。両方の足が終わって、やっと足首を揉み始めて、またそれが終わったら、ふくらはぎに移って来る。
もうそんな感じで、部位ごとに丁寧だ。
手の平だって、指を全てじっくりと……。
腕から肩にかけても、腹部や腰に、背中全体まで丁寧に、手の平を滑らせる。
胸もアソコも触ってくれない。
もう絶対に十分か二十分以上は経っていて、何度かうつ伏せになったりして、背中にもオイルが塗りつくされている。
私の皮膚面積は、もう一ミリも余ることさえなく、本当に隅から隅までマッサージを施されてしまったのだ。
ただし。
胸と、お尻と、アソコはまだ一切触られていない。
肝心なところだけを綺麗に避けて、それ以外の私の全身には、じわぁぁぁっと皮膚が発火しているみたく熱くなるような、塗り込まれたオイルの効果が出てきている。
「もうモゾモゾ反応してるね」
恥ずかしいことを指摘してくる。
「さっきから、お尻がモゾモゾって左右に動き始めているよ。体が思い出すだけじゃなくて、もうハッキリと求め始めている証拠だね」
返す言葉は何もない。
エッチしてもらうために私の方からお金を払って、だけど正直に認めてしまうのも恥ずかしいから、私は首を横に振っていた。
違う違う! くすぐったいだけ!
という心の声を、私の全身が放出したと思う。
「触って欲しい?」
意地悪なことを尋ねてきて、友田君はきわどい場所に触ってきた。
「あぁ……」
胸、じゃない。
乳房の生え際、三角形の根元ぐらいの位置を指の腹でサワサワと撫でていて、場所が絶妙すぎるから、オッパイを触られているうちに入るのかわからない。
ぐるりと回りの部分を撫でたり、鎖骨にもマッサージを集中して、胸の周辺をしつこく愛撫しているけど、いつになっても揉んではくれない。
それどころか、今度は内股をスリスリしてきた。
太ももの内側で、アソコに指が当たるかどうかの、物凄い位置をくすぐるようにしてくるけど、いつになったって触られない。
ウズウズする。
胸も、アソコも……。
甘い痺れみたいのが溜まってきて、下腹部にキュっと力が入ってしまう。何かが欲しい感じでアソコの部分が切なくて、乳首だって破裂しようとばかりに硬く突起している。
……生殺しだ。
飢え死に直前の状態で目の前にご馳走を並べられ、それを絶対に食べてはいけないとお預けされているくらいの気持ちを、こんなエッチなことで味わうハメになっている。
「春野さんはどうして欲しいのかな」
「い、言えない……」
オッパイ揉んで、アソコ触って。
そんな言葉が私の喉から出せるわけがないじゃないか。
「どうして欲しい?」
それなのに、意地悪っぽく聞いてくる。
言わなきゃ触ってあげないけど?
という嫌味な意志が、その友田君の台詞には込められていた。
「……まだ触ってない場所」
「どこ?」
「……うっ、うぅぅ……言わないと駄目なの?」
「うん。言わなきゃサッパリさからない」
「嘘つき、意地悪、酷い」
私は精一杯非難した。
だけど、そうしたら友田君は活発なマッサージを繰り返して、きわどいだけで本当には触らない、微妙な部分ばっかり攻めてきた。
「どうしても言えない?」
「言えないって」
「それじゃあ駄目だね」
「そんなぁ……!」
両脇が手に包まれ、脇下の肋骨にある筋肉がほぐされるけど、もうすぐ乳房に触れそうな位置までいくと、まるで関係ない場所に両手とも移ってしまう。
おヘソをクリクリされるのも気持ちいいけど、違う。
そこじゃない。
もっと、下……。
私の気持ちに合わせるように、指がすーっと、私の皮膚でスライドしている。紙ショーツのところへ近づいて、もう少しで触ってもらえると期待した瞬間に、そもそもショーツ部分にさえ指は来ないで遠く離れた。
今度は太もも、腰のくびれ。
確かに会社の上司が触ってきたら、セクハラで訴える場所ではあるけど、そこしか触ってくれないことがこんなにも苦しくて、一種の拷問にさえ思える日が来るなんて、普通に生きていた私には想像さえつかなかった。
「どうしても言えない?」
「だ、だって……!」
「仕方ないから、特別にお尻を可愛がってあげるよ」
「……!」
喜んでいる私がいた。
お尻をなでなで、すりすり、もみもみされると知って、子供みたいに嬉々としている私がこの世界に存在してしまった。
「まずは四つん這いになって」
「……こう?」
「もっとこっちへ、頭と胸も低くしちゃって」
「こんなポーズ取らせるなんて……」
私は頬をベッドシーツに押し付けて、お尻だけを高らかに掲げてしまっていた。
当然、お尻のすぐ後ろが友田君。
お好きにどうぞと差し出しているみたいな気がするけど、本当に恵みが欲しくて求めているのは私の方だ。
がしっ、と。
「ひっ……!」
紙ショーツを両手で掴まれ、私は緊張感に支配された。
……下げられる。
丸出しにされてしまう。
お尻が、お尻が……。
「やっぱり、ボリュームがあっていいよね。春野さんのお尻」
「で、でも大きくて……」
「大きくて、形も良くて、すごい美尻だからね?」
甘く囁く声で讃えて来る。
「そ、そうなの……かなぁ…………」
そうとしかいえない私は、自分のお尻に意識を落とした。
ジロジロとした視線が私のお尻を這っている。
それに、ショーツに潜り込んでいる指も、私の中で存在感を増している。私は金縛りみたく動けなくなっていて、これからお尻を生で見られようとしているのにじっとしている。考えてみればオッパイは初めから出しているから今更じゃないか。
だけど、だけどだけど!
友田君は余計なことを教えてくれる。
「ねえ、春野さん。お尻の割れ目が開く姿勢だから、このまま下げると春野さんのお尻の穴が僕の目の前だよ」
「お? お、お、お尻の……穴って…………!」
「ほーら、見えて来ちゃうよ?」
友田君は物凄く楽しそうにしながら、紙ショーツを本当にゆっくり下ろす。どうしてそこまでスローモーションにする必要があるのかというくらい、恐ろしいくらいの時間をかけて、後ろの部分だけが綺麗にずれるようにとしていたのだ。
まだアソコは隠れたまま、お尻とその穴だけが、ピンポイントに晒される。
――黒ずみが見えてきたよ?
――皺が見えたね。
――はい、これであなたのお尻の穴は丸出しです。
友田君の実況が私を苛めた。
べったりと、尻たぶに置かれた左手の存在感が、私の中で物凄い。手の平の温度とか、指の長さとか、細かいところまでお尻の皮膚が読み取って、頼んでもないのに私の肉体は全力で味わい始めた。
手の感触を、皮膚が活発に吸収した。
だから置物のように貼り付けられたのなんて一瞬だけで、すぐに五指に強弱がついて、微妙にだけどモミモミしてきていることが如実にわかる。
ジィィィィィ――。
と、肛門を視姦される感覚も、皺の部分の皮膚が必要以上に読み取った。
こんな場所をジロジロ観察される日が来るなんて、普通に人生やってて想像できただろうか。
「ねえ、友田君? あのね、恥ずかしさで死人が出るよ?」
「恥ずかしくて死んじゃうって、ウサギさんみたいで可愛いね」
よしよし、と。
子供を可愛がっているのと似たノリで、左手がなでなでと這いずりまわる。
「あぁぁぁ……」
右手も乗って、私のお尻は完璧に好き放題だ。
手の平にオイルを乗せ、ヌルりとした感触をまとった手の温度に撫で回されると、私のお尻はたちまち熱く火照っていく。
「オイル塗りはね。女の子の体がテカテカに光るから、とってもエロいんだよ」
「そういうこと……言われると……」
「あっ、いま春野さんのお尻の穴がキュって反応したね」
「え……!」
「キュって皺が縮んだよ。嬉しかったんだね」
「嬉しくないから! そんな……」
そんなこれから生きていけなくなるものを見られてしまって、私はこれからどうしたらいいのだろうか。
「チョコレートより薄くて、ベージュよりも濃い色合いだね」
「やだ……言わなくていいって……!」
もう駄目だ。
肛門の色まで言葉で聞かされてしまうだなんて。
すぐに頭が真っ白になった。
いつになく顔面が熱くなっていて、頭の中身が沸騰してしまった。
「こら、動かない」
ぺちっ――と、私は停止した。
お尻……叩かれた……。
振り上げた手の平を、軽く乗せてくる程度の、威力なんてありもしない手つきだったけど、友田君は間違いなくお尻を叩いた。
「……動いたの? 私」
「まあね。だから、ちょっとだけお仕置きだね」
ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ――。
なんて、尻たぶの左右交互に手が乗って、聞こえなくてもいい軽快な音が聞こえてくる。もしやリズムでも取っているんじゃないかと……私のお尻は打楽器じゃないのに……。
でも私は動けなかった。
……なんでだろう。
冷静に考えて、私が悪い要素なんてないはずだけど、何だか自分が悪い子になったような気がしてしまう。
ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ――。
私は静かにお仕置きを受け続けた。
こんなお仕置き、幼稚園の頃にだってされたことなかったのに。
「逃げようとしちゃいけないよ。わかったね?」
「……はい」
何でだ……。
この先生に怒られた悪い子みたいな気分は、一体どこから私の胸に溢れてきた。本当に悪いことなんてしてないのに、理由もなく罪悪感が沸く魔法でも使ったのか。
「もう一度聞くけど、胸とアソコをどうして欲しい?」
ペチペチするのが終わっても、手は両方ともお尻の上に置かれている。
なんだか、このまま答えられなかったら、またお仕置きされそうって気がした。
「観念しなきゃ、駄目?」
私はそう尋ねた。
本当に恐る恐ると――ぺちっ、ぺちっ、と、本当に嫌なくらい良い音を立てられて、とても逆らえなくなってしまった。
「観念しようね。どうして欲しい?」
「…………触って、欲しい」
「気持ちよくなりたいんだね」
「だって、そういう店じゃない……」
「それじゃあ、エッチなことをいっぱいして欲しいって、言葉にして認めてみようか」
「……はい。エッチなこと、して欲しいです」
自分で自分の望みを口にした。
お金を払ってこの店に来ている私に、して欲しいって気持ちがないわけない。
だけど、それをいざ声に出してみると、ぼんやりとしていたものがハッキリと形になって、旨とアソコを友田君のマッサージで苛めて欲しいんだと、より具体的でいやらしい願望が湧き上がっていた。
ただ触られたいっていう漠然とした気持ちがが、いやらしくてねっとりした手つきで触られたいっていうものになっていた。
乳首つまんだり、膣に指を入れられちゃったり――したい。
***
「あ……ふっ、ふぁ……ふっ、あ、あぁ………………」
「春野さん。オイルまみれのオッパイ。物凄くエロい見た目になってるんだよ?」
「うっ、あぁ……やだぁ……あ、ふぁ………………」
「乳首もつまんで欲しいんでしょう?」
「あぁぁ…………!」
仰向けに戻った私は胸をいっぱい苛めてもらっていた。
そう、望み通りに。
まずはオイル濡れにされて、どれだけテカテカでいやらしい乳房の見た目なのかを口頭で伝えられ、たっぷりと揉みしだかれた。
指で乳首を挟んでつまみ、強弱をつけるみたいにして遊んだり、引っ張ったり、乳輪をぐるぐるなぞったり、いっぱいいっぱい苛められた。
オッパイの皮膚が完全に友田君を求めていて、手の平の温かさも、足されたオイルのひんやりも、指の踊り具合も、何もかも吸収して内側に取り込んでいる。目が見えなくても、友田君の指の動きを細かく把握している気がするくらい、私の触覚は友田君の愛撫を受け取ろうと敏感に発達していた。
鷲掴みで包み込んで、むにむに、もみもみ。
産毛だけを撫でるフェザータッチでも、まんべんなくやられてしまって、もう空気に触れているだけで気持ちがいい。
皮膚がオイルのぬかるみをまとっているから、風にだって敏感だ。
少しの大気の動きだって、性感帯の刺激になるから吸収しようと、私の触覚神経は必死すぎるほどアンテナを長く伸ばしていた。
もし、だ。
すっかり上昇してしまった感度が、自然にすーっと引いていくまで放置したら、何時間かかるのか想像がつかなくなってくる。絶対に一時間か二時間はかかるだろうし、一人で置いておかれでもしようものなら、私はオナニーを始めかねない。
はしたないけど、そういうスイッチが入ってしまって……。
手が少しでも離れるだけで、私のオッパイは全力で寂しがった。
寂しいあまりに大気だけで気持ちよくなろうと、少しでも風があったらそれで感じてしまおうとしていて、離れた手の平が戻ってくるとオッパイは大歓喜だ。
嬉しい! 嬉しい!
もしもオッパイに意志があったら、絶対に声まで出して喜んでいる。喜びついでに弾けた快楽の電流で、私の息はますます乱れて、もう平然とした呼吸をしていられない。興奮でハアハアした息以外は私の口から出てこない。
「肩がモゾっと動いてるね」
「だって……っ、はぁ……はぁ……はぁ……!」
「息遣いもかなりエッチだ。すっかり興奮しちゃってるね」
「だって、だってぇ……もぉ…………!」
言葉で指摘されるとたまらない。
「乳首で悦んじゃうのもよくわかるよ」
「ひゃ! あぁぁ……あぁっ、ふぁ、あぁ…………」
証拠を引き出すみたいにして、指先で乳首をクリクリ転がしてきた。
友田君の言うように肩はモゾモゾ動いちゃうし、それにアソコも……。
ああ、まだ一度も触られてない。
急にアソコの切なさを思い出して、触れてくれない寂しさに私は太ももを引き締めた。脚とお尻がモゾモゾと動いてしまった。
「さて、春野さん」
「……はい」
「アソコの部分にはオイルもつかないようにしていました。なので濡れているわけがない。まだ何もしていないのに、随分と濡れているようですね」
「いや、だからそんなことは言わないで…………」
「白くて透けやすいから、触る前からもう毛が見えている状態だよ」
うぅっ――よくもそんな情報を――。
わざわざ指摘してくるから、アソコの皮膚感覚に意識がいって、ああ本当に友田君の言うとおりの状態なんだと思い知る。
「触ってもいないはずの春野さんのアソコが、一体どれだけ濡れているのか。一度マスクを外して確かめてみようか」
そう言って、友田君は私の視界を解放した。
すぐに紙ショーツに手がかけられ、脱がされるんだとわかった私は、動くに動けないかのような気分になって、されるがままに脱がされた。
お尻の穴を視姦された後だから、おかげでアソコくらい今更だ。
いや、恥ずかしいけど。
「はい。これが春野さんのアソコで濡れた紙ショーツです」
証拠品を見せ付けられた。
アソコを覆うための部分が、いわゆるクロッチがびしょ濡れで、穿きものとして使い物にならないほどの状態だ。
「私こんなに……」
「そうだよ。いやらしいね。春野さんって」
「こ、これくらい上手にされたら、別に普通だもの……」
「どうかな? もしかしたら、春野さんほど濡れる子はいないかもしれないよ?」
「……嘘」
何だこの軽い恐怖は。
そうだ、友田君は他のお客さんだって相手にしている。
もしかして、本当に私より濡れる子っていないの?
それじゃあ私は本当にいやらしい子じゃないか。
証拠品に何も言えない私は、またアイマスクをかけられて、視界を犠牲にした分だけ皮膚感覚が発達する。
「さて、それではね。春野さんのいやらしいアソコ。いっぱい気持ちよくするからね」
といいつつ、例によって触れるようで触れてこない。内股から接近して手が引っ込み、ヘソの場所から迫って手が引っ込み、焦らすだけで十分か二十分はかけていそうな戦法がアソコにも行われていた。
早く、触って欲しい。なのに来ない……。
来ない――まだか……。
私は待っている。すごく、すごく待ちわびていて、もう辛抱たまらない。いっそ自分の口でおねだりでもした方が、ラクになるんじゃないかとさえ思えてくる。
それでも、全然来なくて――。
だけど、不意に……。
――来た!
「――あぁぁぁん!」
さっとなぞり上げられた瞬間、私の背中が施術用ベッドから浮き上がっていた。
どすんと、尻が落ちる。
どんなブリッジかというほど、とても高く仰け反ってしまったのだと、このどすんという感覚によって私は悟った。
「早いねぇ? もう一度目の絶頂だよ」
「はぁ……はふっ、ふぁ……うそぉ…………」
駄目だ。
私はいやらしいんだ。
「気持ち良さそうにしてもらえて嬉しいな。もっと楽しませてあげる」
そこからの時間は、天国というべきか地獄というべきか、私にはまるでわからなかった。
ただ指がアソコに置かれるだけで、ビリビリと電気が流され続けているような、激しい勢いの快感が迫ってきた。
「あぁ……! あっ、ああっ、あふっ、ふうぅぅぅっ、んひぁ……!」
自分でも、どれだけ激しい動きでくねりまわって、背中を弾み上げたり、手足が強張ったりしていたのか。そんなことわからなくて、ただ気持ちいいことだけで頭が真っ白で、いつの間にか指が挿入されていたのに気づくことすらできなかった。
指が出入りしているとわかったときには、クチュクチュと音を鳴らして、水音がうるさいくらいにかき混ぜられてしまっていた。
あぁ……! イク! もうイク!
イク――イク――。
なのに、愛撫がぴたりと止まった。
「はい。寸止め」
「ひどい……!」
「イキたかった?」
「そんなこと……聞かないで……」
「じゃあ、もう一回いってみようか」
私は友田君に支配されていた。
指が入っているだけで、もう何も逆らえなくて、友田君の思い通りに高らかに喘いでしまっている。
ひょっとしたら、どんな風に腰がくねって、どんな風にモゾモゾして、ビクンと弾み上がるのかまで、指先一つでコントロールされているんじゃないか。
わからない。
わからないけど、そんな気がしてきていて――。
「い、イク! 友田君――」
「はい。一旦ストップします」
「なんでよぉ…………」
酷い。最低だ。意地悪すぎる。
恨めしい思いしか沸いて来ない!
「再開します」
「あぁぁぁ……!」
もうどうしようもないじゃないか。
イキそうになったら止められて、寸止めばっかりされる私の中では、早く絶頂させて欲しい気持ちがどんどん積もりに積もっている。
こんなの――。
もし、こんな時にあのことを聞かれたら……。
「ところで、性器の挿入サービスはどうします?」
「うぅぅ…………」
酷い。酷い酷い。
私は……言わされるんだ……。
言わされるだなんて……。
でも、言わなかったら一体いつまで?
イキたい。イキたいのに――。
もし何も言わずに時間だけが過ぎてって、一度もイカせてもらえないまま終了時間だなんてことになったら、私はこの自分の火照った体をどうすれば……。
なにこれ、これじゃあ……。
もう観念するしかないじゃないの……。
素直になれない悪い子は、またペチペチお仕置きされてしまうもの。
「………………おねがい……します」
すぐにチャックを下げる音が聞こえた。
「かしこまりました。お客様」
その店員としての態度が、台詞が、私に一つの大きな実感を与えていた。
サービスを注文したのは私の方なんだということを……。
「直ちに準備を致しますので、M字開脚にてお待ちください」
なんて酷い……。
だけど、それでも私は股を開いて、挿れてもらえる瞬間を今か今かと、もうすっかり待ちわびている状態だ。
痴女も同然じゃないか。
こんなの……くぅ……早く挿入を……。
全身で気配を探ろうとする私だけど、いっぱしの武人でもないのに気配だけで人を見つける芸当なんてありっこない。ただきっとコンドームを装着している最中で、私の卑猥なポーズを目の前で見ているはずなのだ。
「では只今より、挿入致します」
友田君が、上がってくる。
この施術用ベッドが重力で軋むのと、私の股のあいだに座って肉槍の狙いを定め始めているのがわかって、私はいよいよ緊張していた。
これから、入ってくるんだ。
ああ、入り口に当たった!
先っぽから、だんだんと……私の入り口を押し開いて、この表面がヌルっとしている感じはローションを塗ってあるのか。それが私の膣内を進んで来て、私の股に友田君の腰がぶつかることで、がっしりと根元まで収まった。
入ってしまった……本番が始まった……。
「あぁっ、あん! あっ、あふっ、んんっ、んあっ、ふぁぁ!」
動いている! 私の中で動いている!
ああ! 来る! すぐに来てしまう!
嘘だ――こんなに早く――。
でも、ずっと寸止めされていたから――。
「――――あぁぁぁ! あっ! あああああああああ!」
「……イったね」
はぁ……やばい……。
今ので完全に疲れた。
でも何だ。このスッキリとした疲れは……。
全身全霊で戦って、悔いのない試合をやり遂げたスポーツ選手の気持ちにでも例えればいいのだろうか。
わからないけど、物凄い満足感があって――。
***
以後、私はリピーターとなってしまった。
指名するのは友田典明君。
元クラスメイトにお金を払って、私の方からセックスを頼んでいる状況なんて、当時では全く考えつきもしなかったけど、いけない店にハマってしまったことがこの私の現状だ。
必ずアイマスクで視界を一切遮断して、暗闇しか見えない中で、うっとりと目の細くなるようなアロマの香りが漂ってくる。
手足の指を一本ずつ丁寧にほぐすことから始まって、腕や脚だけで随分と時間をかける。
耳の穴とか、脇の中とか、手足の指や膝の裏まで、細かいパーツまで丁寧に触るから、私の肌面積のうち友田君の手が触れていない部分はもう一ミリも存在しない。お尻の穴までグリグリされて恥ずかしかった。
百二十分コースで入ったはずが、感覚としては二時間以上経ってようやく胸を揉んでもらっているくらい、丁寧に丁寧に、それはもう丁寧に愛撫する。
やっと挿入タイムになって時間を聞くと、今回はまだ三十分しか経っていないとか。
ってことは、あと九十分も残っている?
またしてもM字開脚の姿勢で待たされ、コンドームを着けたり準備している友田君に、たぶんきっちり鑑賞されてしまっている。
友田君がマッサージベッドに上がって来ると、すぐに私の入り口に肉兜が埋まり始めた。
「いっぱいイクと水分不足になってくるから、まずはまったりした快楽で楽しもうか」
「うん。お願い」
必要に応じて快感レベルを調整するという謎のテクニックは、控え目にいってもセックスマスターの称号を送らざるを得ない。
友田君。
クラスメイトだったあなたが、そんな男になっているとは――。
「肌が前より綺麗になったね?」
「そうかな。変わらないと思うけど」
「いいや、変わったよ。キメが細かくて、よく磨いた表面の滑らかさっていう感じ。肩や腰の凝りも取れたでしょ?」
「……うん」
「れっきとしたマッサージだからね」
思い返せば、ぐいっと指圧するような揉み方も多かったような少ないような。
最近は肩も腰も疲れない。
「あっふぅぅ……」
ずにゅぅぅぅぅぅ、と。
私の穴は友田君によって埋められて、根元までぴったりと、膣に収納されてしまった。
「いっぱい感じてね。春野さん」
ゆっさり、ゆっさり、優しさを重視したピストンに私は喘ぐ。
両手の指はマッサージのために這い回り、ところどころを指圧して、胸を揉んだり乳首を弄んだりもしてくれる。
腰はゆさゆさ、マッサージも継続中。
物凄くいい。
うっとりと、まったりとしていられる快感だ。
ああ、癒される。
どう例えるべきかな。
湯船に溜めたお湯が気持ちよすぎて、いつまでも極楽気分でくつろいでいたいような、まったりムードというのだろうか。
手の平が私のお腹を這いまわり、二の腕のリンパを流したりして、オッパイが寂しくなった頃には揉みしだきに戻ってくる。
「うん。リラックスしているみたいだね」
ほっぺたも撫でられた。
こうして、私が幸せに浸っていればいるほど、友田君も満足そうにしているから、これが奉仕なんだと実感する。お客様に尽くして下さる店員殿。私が奉仕を受ける側。収められている肉棒はそのために私を抉り、ここぞというところで刺激を強める。
偉大なるアイマスクの力によって、長さも太さも、反り具合だって頭に浮かんで、形状がアソコでわかる。
「なんかね。温泉じゃないのに、極楽極楽って言いたくなっちゃう感じが」
「こういうまったりとした過ごし方にも興味あったでしょ」
「うん。凄く」
「僕としてもね。クラスメイトだった子にサービスできて、とっても燃えてるんだ」
「そうなの?」
「店に来たのは知っている女の子でした。って、いいシチュエーションだと思うんだ」
「まあ、そうかも」
挿入状態でのトークでくつろぎながら、ちょくちょく乳首を攻めてもらう。
友田君は彼氏じゃない。
それっぽい時間を購入できるサービス業と、重々承知していながら、私は友田君とイチャイチャすることを楽しんだ。
胸板に触ってみたいといったら、友田君も脱いで全裸になってくれて、撫で回したら筋肉の硬さで厚みがついているのがよくわかった。二の腕も逞しいし、腹筋のところをくすぐっても、立派な体つきなのが手でわかった。
たまに強めに攻められて、思い通りに喘がされる私は、ほとんど子供をあやすみたいにして弄ばれた。
ああ、私をコントロールするのは簡単なんだな。
っていうのが、あやされてしまうと実感して、私の中を出入りしているモノに対して、もはや畏敬の念まで沸いて来る。
プロのものだから、っていうことか。
友田君が腰使いを変更するだけで、私はたちまちイカされるというわけだ。
そう思うと、それだけでなんだか。
――キュ、
と、アソコに力が入ってしまう。
「あれ? どうしたの?」
やばい。
何かがバレた。
「ん? いや、何でもないけど?」
「当ててあげようか? 僕の気分一つで焦らしたりイカされたり、寸止めまで自由なんだってことを思ったでしょ」
エスパーすぎて敵わない。
もうあれだ。
兎にも角にもさすがはプロだ。
「……あのっ、あやして下さい」
「かしこまりました。お客様」
私自身がそう望んだんだと、実感させにかかってくる受け答えだ。
友田君のピストンがペースを変えて、優しかった肉棒が急に性格を変えたみたいに、意地悪をして楽しむように動き始めた。
「あぁっ、あ、ふぁ……! んぁぁ……! あ、ふ、ふぁ……!」
私が背中を浮かせたり、髪を振り乱すのもわかっていて、そうなるように貫いている。よがるあいだにオッパイが掴まれて、揉みしだいた上で乳首も指で苛められ、友田君の気持ち一つでピストンが停止する。
「はぁ……はぁ…………」
動きが止まれば、少しは喘ぎも落ち着くけど。
肉棒自体は入ったままで、友田君が好きなようにピストンを再開すれば、私はそのたびに乱される。
だけど、友田君はゆっくりと弓なりに腰を引いていた。
ね、狙ってる。
たぶんこれ、弓矢で狙い済ましている感じだ。
「あぁん!」
突かれると、全身が弾み上がった。
「可愛いねぇ?」
玩具遊びの扱いで翻弄するのも、友田君にとっては簡単なんだと、この一言の囁きによって教えられたような気がする。
そのあとのピストンは、もう少し優しい性格を帯びていた。
何だか、撫でれば喜ぶ子供でも扱うみたいで、小さく身をよじったり、細い喘ぎを吐き出す私を眺めて楽しんでいる。アイマスクの向こうにある友田君の表情は、きっと孫と遊んで楽しいおじいちゃん的なものなんだと、そういうのが空気感でわかってくるから、私はこのまま望み通りあやされていることにした。
「本当に可愛いねぇ? 春野さんって」
「ほら、ここがいいんでしょ?」
「よーしよしよし、いい子だね」
「オッパイもモミモミしてあげましょうねぇ?」
「ほーら、乳首を気持ちよくしちゃいますよぉ?」
本当に小さな子供と遊ぶみたいな言葉の数々が振ってきて、いっそのこと私も親に甘える幼児みたいに喘いでいた。
ひとしきりあやしてもらって、それが終わるとあやされていた最中の私の反応を言葉攻めのネタにしてきたり、意地悪されて喜ぶ私に追い討ちをかけるみたく、じゃあもう一回あやしてあげるよなんて言い出して、時間たっぷりに遊ばれた。
あとは何度かイカせてもらって、潮を吹いたことまで意地悪に指摘され、それでも優しく水分補給のドリンクを用意してくれた。
最後はもう一度だけ、イチャつきトークで楽しみやすい、まったりとしたピストンにしてもらって、時間終了の迫ったフィニッシュとしてイカされた。
そうなると私も体力を使ってしまって、心のストレスはすっきりしても、体はすぐに動かないから、友田君の手で着替えをさせられた。
人の手でパンツを穿かせてもらうだなんて、幼稚園ぶりの体験をこの歳でするなんて、改めて恥じらう私の顔が可愛いからってキスされた。
友田君のことだから、私がキスを嫌がらないのも、とっくにわかっていたんだろう。
サービス力の高さに私の心は溶かされて、恋にドキドキした気分にさせられた。
「また来たいな」
なんて、お店としての策略通りなんだとわかっている。
でも、きっと友田君はサービスに生きがいを感じていて、人を喜ばせるために働いているのだと思うから、私はこのままリピーターでいたいと考えていた。
そういえば、私がそもそも性感マッサージ店を訪れたのは、友達に頼まれて偵察して欲しいからとのことだった。
いいお店だったとは教えるけと、友田君のことは黙っていよう。
だって、店には他の男の人だっているんだし。
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