授業によるセックス評価




 いいか? 大人になったら、誰でもそういう経験をすることになる。
 既に教科書の授業や教育ビデオなんかでもやってはいるが、正しい性接触によるコミュニケーションがいかに大事か。将来の性交で失敗しないため、本番に向けての事前の備えということで、体験学習を実施するからな。

 高校の教室では、今後行う授業について、担任が説明や注意事項を述べ上げて、さらにはそれを記したプリントまで配布していた。
 さっそく目を通している鹿野友恵は、どちらかといえば大人しいというべきか、あまり積極的に大きな声ではしゃいだり、前に出て何かを主張することがない。つまり目立たないの一言で済む女の子だが、同じ教室にもっと目立ちたがりで綺麗な子がいることが、友恵の目立たなさに拍車をかけていた。
 黒縁眼鏡などかけていて、パっと見るに、第一印象は確かに地味だ。しかしながら、本当にパっと見ただけで済ませる印象に騙されず、もう少しだけよく見れば、そのルックスはクラスでも上から数えた方が早いレベルに整っていることがよくわかる。
 そして、地味に成績もよい方だ。
 そういう気質というべきか、宿題や部屋の掃除といったやるべきことが、あまり多く残っていると落ち着かない。課題を少しでも減らしておかなければ、実のところ小学生時代の友恵は、夏休みの宿題をほとんどやらずに最終日を迎え、途方もなく苦しんだ経験の持ち主だ。それが良い意味でトラウマになって、友恵の中に宿題をサボるといった概念は無いのだった。
 宿題を少しは減らしておかないと、本当に落ち着かない。漫画を読んだり、ゲームで遊ぶことはおろか、眠ることもできなくなる。宿題どころか、日頃の予習復習でもそうなので、だから必然的に地道にコツコツと積み重ね、悪くない成績を収めていくことになる。
 性交授業だなんて緊張するが、それが保健体育の成績に直結する以上、ダラダラと適当などというわけにはいかない。
 学校には十分な教師の人数がいるため、毎年の新入生の処女は教師達が頂いている。
 十代半ばの女子とは、まだまだ騙されやすい年頃だから、法律上の義務である性教育課程を修了するまで、性の自己決定権はないものとされている。処女のまま誰かとセックスすれば、それが同い年であろうが兄弟だろうが大人だろうが、誰が相手であっても合意を無視して強姦扱いとなるわけだ。
 まだそういう相手がいるわけではないのだが、いずれはできるのかもしれない。できたらいいなと、願望も大いにあるが、どちらにせよ女子にとっては、性教育完了による性の自己決定権獲得は重要なことなのだ。
 教師にとっても職務上の行為であり、放課後や休日を返上してでも、所属している人数分の女子の相手をこなすことになる。基本的には生徒をよく知る担任が、なるべく自分のクラスの生徒を受け持つが、一人ではやりきれないため、他の教師にも応援を願うことになる。
 女子本人の希望によっては、部活の顧問や他によく話をする先生など、氏名した教師と交わることも可能だが、スケジュールの関係からして必ず希望が通るとは限らない。
 友恵は特に希望用紙への記入はしなかったが、担任が相手となった。
 何だかんだで、知らない人よりはいいと思う。
 希望が絶対ではないのもあれば、まるでその人とヤりたいと言い出すふしだらな女にでもなるようで、自分からは切り出しにくい部分があった。そういう理由で希望は出していないのだが、心の底では安心できる先生がいいとは思っていたのだ。
 見知らぬ先生、あまり話したこともない先生は、その時になるまでまで当たりハズレがわからない。
 知っている人は違う。初めからある程度はわかっている。
 担任なら少しは安心。
 二者面談の際、実は微妙に盛り上がったのだ。
「自分から人に話しかけるっていうのが、なんか……」
 その場でそう語った友恵に対して、担任は自分もそうだったと言ったのだ。学生時代は友達も少なく、人間関係に対してはかなり控え目で、ではどうして教師を目指したんですかと、当然友恵の口からはそうこぼれ、ならば質問に答える担任と、それに相槌を加える友恵で、なかなか話が続いたのだ。
 高校に入学してから、まだ二ヶ月ばかりの中で、もっとも信頼度の高い相手が担任だ。
 顔はまあ、イケメンかと問われれば違うけれども、別に悪いということはない。特に失点のない先生で、授業中に行うユーモアある語り方や教え方に、それから面談で色々と話せたことも含めて、やはり一番好きな先生といえた。
 人によって考えは違う。
 今後も顔を合わせることになる相手は真っ平で、いっそ知らない先生がいいとの声もあるなら、やはり友恵としては、仮にも初めて性交する相手になるのだから、嫌な先生だけには絶対に当たりたくない。良い先生だなと、そう思える相手がいいと思っていた。

     ***

 当日を迎えた鹿野友恵は、黒縁眼鏡を耳にかけ、休日の電車に乗って登校する。わざわざ時間を割いて下さる担任と待ち合わせ、そのために用意された鍵付きのベッドルームまで招かれると、いよいよ緊張が押し寄せた。
 これから、するんだ。
 心臓が胸の内側を大胆に叩きつけ、表情も強張っている。
 性教育で学んだコンドームによる避妊や、手や口による奉仕に挿入の体位など、改めて頭の中で復習するに、それらをこれから体験するのだという緊張感で満ち溢れる。
「大丈夫? 緊張するね」
「あ、いえ……はい……」
「授業としては、評価の付け方は甘めにすることになっている。みんな初めてだから、厳しい見方はしちゃいけないんだ」
 イケメンではないが、そう悪い顔でもない。それなりに爽やかなマスクの担任は、穏やかな笑みを浮かべている。さりげない手つきで友恵を導き、ベッドに座らせ、まるでベンチに並ぶような形になると、腰に手をまわして抱き寄せる。
「時間もあるから、さっそく始めるけど、できそう?」
「……はい。なんとか、やってみます」
「まずは手を使ってみようか」
 そう言って担任は、ベッドに上がってズボンを脱ぎ出す。ベルトの金具がカチャリとなり、男の脱いでいく衣擦れを背中で聞いて、友恵はいよいよだと気を引き締める。ベッドシーツにズボンが投げ置かれたのであろう音の次には、残る一枚を脱ぐ気配を感じ取り、もう担任の男の部分は露出しているのだと理解した。
 振り向けば、あるに違いない。
 まだ何の経験もない少女にとって、最後に実物を見たのは、お父さんとお風呂に入ることがありえるような、そのくらいの年齢にまで遡ることになる。そんな友恵にとって、男性器の形状や勃起による固さの変化など、どこまでも知識的なものでしかない。
 この授業では一通りのことをやるので、一つずつ順番に体験することとなっていく。まず手始めに体験するべき内容は、やはり手でしてあげるところからだ。
「よし、頼むぞ。鹿野」
 心して振り向くと、下半身は全て脱ぎきり、上にワイシャツ一枚だけの担任が、ベッドシーツを足場に直立不動で、股間のそれを大いに奮い立たせていた。
「あぁ……」
 出てきた声は、感嘆なのか恥じらいなのか、友恵自身にもわからない。太くて立派なものに目を引かれ、オオッ、と関心する気持ちが無いではないが、それよりもやっぱり、何だか見るのも恥ずかしくて、目を背けてしまいたい気持ちの方が勝っていた。
「で、では失礼致します。先生」
 目上に対する礼儀を忘れずに、担任の足元に正座した友恵は、生々しく血管を浮かせた剛直に視線を重ねて、赤らみながら亀頭の先と見つめ合う。躊躇いと緊張で、どこか手も震えるようで触れない。
(緊張……。初めてだし……)
 盛り上げた両手で、触ろうとしている素振りだけで、なかなか握ることができずにいた。
「大丈夫か?」
「は、はいっ、ちゃんとやりますので」
「実際に体験してみてわかるだろう? そういう緊張や抵抗があると、異性のパートナーとのあいだに壁を作る。その壁が二人の関係を妨げる」
「そうですね。好きな人を相手に嫌だとか言ってしまったら、相手も傷つくでしょうし……」
 友恵はこの授業の意味を実感しつつあった。
 ペニスというのは生々しいし、汚いといったイメージもあるだろう。しかし、性接触において女性は男性器を相手にしなくてはならない。恋人との肉体関係、将来の結婚相手といった本番に備え、練習の場を教育上設けておくのは非情に意義のあることだ。
「先生が嫌か?」
「い、いえ……」
「まあ先生はともかくとして、好きな人のものにも触れなかったらまずいからな。その辺りで関係を気まずくするのも、ここで事前に予防できることになる」
 恋人はいないのだが、もしいたらと考えると、いずれできたらと想定しても、やはり学んでおく必要性は感じられた。
「正直、緊張とかしてますけど、とにかくやってみます」
「そうだな。まずは挑戦だ」
「ええと、では今度こそ失礼致します」
 やっとのことで友恵は、えいっ、と、本当に思い切って包み込み、両手の内側へと肉棒を優しく握り込んでいた。試しにやってみるように、右手で前後にしごき始めて、軽い握力だけで手首にスナップをかける友恵は、担任の様子を上目遣いで伺った。
「うん。それでいい」
「気持ちいいですか?」
「そうだな。まあ悪くはないが、今は慣れればいいんだ。技術的な評価をする授業ではないんだからな」
 少しばかり後ろ向きに、遠まわしに上手ではないと言われているのではと考えるが、優しく頭を撫でられた友恵は奉仕に励む。これが膣内に入るのかと、フェラチオでは咥えるのかと、触りながら思いを巡らせ、ペニスというものに手を慣らした。
「触るのは慣れてきた気がします」
 全体的にこっちり硬い竿の部分と、どちらかといえばプニっとしている亀頭の感触に指を絡ませ、ぎこちなかっただけの手つきをわずかに活発化させていく。
「フェラチオに移ってみるか?」
「んー……」
「無理そうか?」
「でも、やらないと終わりませんし、やってみます」
 唇を近づけた友恵は、先端をぺろりと舐め上げ、亀頭の味を舌に捉えて確かめる。何か美味しい味がするわけはないのだが、無理があるほど味覚を刺激するものはない。あるとするなら、あくまでも食べ物を入れる部分に排泄器官を迎えることの心理的抵抗だけだ。
 そして、この抵抗感を取り払うのも、この場における課題の一つということだろう。
 だから友恵は、ペロッ、と。
 さらに確かめるようにもう一度、またもう一度だけペロっと舐めて、心の中では力相撲のように抵抗感を押し返す。押し切っていくうちにペロペロと、拙いもののしっかりと、友恵は肉棒を舐め続けていた。
「できてるできてる。それでいいんだ」
「気持ちいいですか?」
「ああ、次はいけるところまで咥えてみようか」
「はい――はむぅぅ…………」
 大きく口を開いて飲み込むと、剛直が口内空間を塞ぎかけ、口呼吸がほとんどできない状態になってしまう。無理に閉じようものなら、間違いなく肉棒を噛むことになる。歯を立ててはならないことくらい、保健授業の教科書など読まなくとも、およそ想像のつくことだった。
 鼻呼吸で息をしながら、友恵は頭を前後に動かす。
「ふじゅぅ……ちゅむぅぅ……ちゅじゅぅぅ……」
 口内を意識して、亀頭が喉の入り口にぶつかるところまで試してみる。飲み込みすぎて、危うく吐き気を催す予感がして、もう少し手前までに留めて奉仕に努め、息継ぎ休憩については何度も挟んだ。
 休憩といっても、たった数秒もすれば直ちに咥えなおしているが、気づけばやらなければ落ち着かないあの感じがしてきていた。
 宿題をサボったままゲームをしても、集中して楽しめない。課題が残っているのに、問題集の残りページが多いのに、出かけたり眠ったり、落ち着いた気分で休めない。遊べない。ここではひとまず快楽を与えるのが課題であり、担任が許しを出してくれないと、無事に終わった気がしない。
「パイズリいこうか」
「あ、はい」
 次の項目指示が出て、やっと安心して口を離すと、友恵は自然とブレザーのボタンを外す。そういえば男の前で脱ぐなんて、裸を見せるだなんて初めてで恥ずかしいと、ワイシャツのボタンを外す途中になって思い出し、今更になって真っ赤になるが、ここまできて改めて恥じらうのもおかしいので、努めて平静に上半身は下着のみとなっていき、そのブラジャーも外して乳房を出した。
 巨乳ではないが、棒状のものを挟むのには十分な半球ドーム。
「しますね? 先生」
 やはり断りを入れ、それから乳房を肉棒まで運んでいき、谷間の中へ抱き込んだ。
「だいぶペニス慣れしてきたな」
 上下にしごいてみていると、担任がそう言った。
「……そうでしょうか?」
「うん。なかなか十分。やっぱり、こうして経験を通すのが一番だし、コツなんていうのもやってみないと身に付かない。それに胸はモチモチだな」
「モチモチ、ですかねぇ」
 乳房の皮膚が、肉棒の熱気を吸い取っている。上に下にとしていると、自分自身の谷間に亀頭が見え隠れを繰り返す。
「いい胸だよ。こりゃ幸せもんだ」
「あ、ありがとうございます」
 褒められると照れくさかった。
 これで三つ目の課題をこなしていることになるのだが、もう少しだけこの『勉強』を頑張ってみたくて、友恵は亀頭を咥えてみた。
「お? パイフェラか」
「チュゥッ、ちゅりゅぅぅぅぅ――」
 ストローから吸い上げるような気持ちで吸い付いたり、あるいはペロペロと懸命に舐め続ける奉仕をして、唇の筋肉を使ったマッサージまで試してみる。その一方で乳房でも、ただ挟んで肉棒の角度を固定するだけでは芸がない気がしてきて、乳圧に強弱をつける刺激もやってみていた。
「いいじゃないか。初めてにしてはなかなか」
 担任は頭を撫でてくる。
「……んっ、そうですか?」
 褒められると、きちんと評価を得られている安心感と、嬉しくなってもっとしてあげたくなる奉仕の気持ちが沸いて来る。
「そうだな。鹿野とはもっと楽しみたいが、こうなるとあまり授業に楽しもうって気持ちを持ち込んではいけないのが惜しまれるな」
「そっか。教育の一環、ですもんね」
「そうそう。時間もあるから、このあたりで挿入の準備をしていこう」
「はい」
 友恵はスカートを脱ぎ、恥ずかしいけれどショーツも脱ぐ。丸裸で寝そべると、担任はすぐに全身を愛撫して、肌中をまんべんなくまさぐった。
「んっ、んぁ……あぁ……」
 心地よかった。
 担任の指は、すぐに恥部に触れるのではなく、腕や足といった位置から撫で回し、巧妙に産毛だけを刺激している触れ具合でくすぐるのだ。そのくすぐったいような気持ちいいような感じが全身を包んでくると、やっと胸を揉みしだかれ、乳首が弾ける快感に友恵は喘ぐ。
「あぁ……! んぁぁ……!」
 アソコが引き締まり、蜜の気配が出てくるまで、さして時間はかからなかった。担任の指先にはそれだけの技量があり、秘所の愛撫となる頃には、当たり前のように愛液で滑りがすっかり良くなっていた。
 性教育の一部として、自慰行為を試す宿題も過去に出ている。指の挿入経験を持つ穴は、処女ではあるが慣らされており、これだけ濡れれば男を受け入れる準備は万端だ。
「挿れるぞ。鹿野」
「は、はい……!」
 すぐに友恵は脚を開いた。わざわざ時間を割いて下さった先生に挿入して頂くため、失礼のないM字開脚で迎え入れる姿勢を示し、お手数ながら処女を破ってもらいましょう――というところまでが今日の授業だ。
 真面目に授業を受ける子であるほど、どんなに恥ずかしくても素直にポーズを取っていた。
「ひっ、あぁ……!」
 亀頭がぷにりと当たった途端、全身が強張った。怖いのか、純粋に緊張してか、それは友恵自身にもわからない。とにかく肩に力が入って表情も硬くなり、どことなく力んだ状態で肉棒が埋め込まれる。
「あぁ……くぅぅ……!」
 生まれて初めて根元まで入り込み、その圧迫感に友恵は苦しげな声を放った。
「大丈夫か?」
「は、はいぃぃ…………」
「動くからな」
「はい…………んぅぅ………………!」
 ピストンによる出入りが始まると、友恵の持つ全ての意識が肉棒に集中した。身体の穴にものが入って動いているなど、本人にとっては肉棒の存在感はかなりのものだ。仮に無視して何もされていないフリを装うにも、膣壁がこれでもかというほど形状を感じ取り、結合部を意識せずにいることなど事実上不可能だった。
「あっ、はっ、はぁっ、んあぁっ……!」
 視界に映る担任の裸体も、顔も、もうおぼろげな背景でしかない。肉棒の反り具合と太さやカーブといったことばかりに頭を占められ、心の穴にも出入りしているも同然だ。
 凄い時間を過ごしたとしか言い様がなかった。
 ずっと頭が真っ白になっていて、気がついたら十分以上は挿入が続いていたらしく、コンドーム越しの射精を終えた肉棒が抜かれていた。
「はぁ……はぁ…………」
 半ば呆然としたように寝そべり、しばらくは起きることも考えることもできずにいて、ようやくになって服を来て、この性交体験授業を終了していた。

     ***


 その後、鹿野友恵が提出した感想文。


 初めての性交を通して、とても大切な勉強ができたと実感しています。
 男性器の実物を目で見たり、触ったりするということには、自分で思っていた以上に抵抗があって、きっと授業という理由がなければ触ることはできなかったと思います。口に咥えるということも、胸に挟むのもハードルが高くて、無理だったのかもしれません。
 しかし、だからこそ事前に体験できて、これは将来の役に立つことだと実感しました。
 彼氏ができて、頼まれても、今までの私であればできなかったかもしれません。そして、正しい性接触をこなせないことが、男女関係の不和を招きます。性教育の中で心の中にある壁を取り去り、体を男性器に慣らすことは、非情に意義のあることです。
 今の私に恋愛経験はありませんが、もし恋人ができて、そういうことまで関係が発展したなら、今日の体験を活かしたいと思っています。

     ***

 担任が友恵に渡した評価表。

『評定A』

 内約――。
 
 よく学ぼうとする意欲が十分に見受けられ、奉仕による快感からも、授業への積極性を感じ取ることができました。この経験をよく活かし、今後の将来に役立てていきましょう。