正弘はスマートフォンを操作して、やはり自分が何を打ったか声に出す。
「雪乃はそのまま少しだけ足を開いてオナニーを始める」
足が勝手に、肩幅程度に開いていた。
両手がアソコへ、右手の指は穴の中へ入り込み、左の指はクリトリスを愛撫する。自分にこんなことをさせるなど、相手を許さない気持ちで行うオナニーなど、こうした強要の機会でもなければありえないものだろう。
雪乃は感じていた。
ちゅくっ、ちゅくっ、
濡れたアソコは音を立て、性感でしかない電流に腰が震える。指の出し入れを活発化して、愛液を掻き出し続ける雪乃は、クリトリスの刺激に関しても、自ら浸るというよりは、強制的に浸らされている。
「……っ、はっ……っあ、はぁっ、ん、ふぁっ……はぁっ、はふっ」
元から怒りで正常な息遣いをしていない、荒っぽい吐息でいた雪乃は、そこに色気も含んで喘ぎに近い乱れ息を吐き出していた。
脱がせるだけに飽き足らず、正弘自身も脱ぎ始める。
見たくもない正弘の裸は、脂肪で皮膚がたるんでいる。腹や胸にまでイボがあり、脂っこい肌の光は、体表に粘液をまとうカエルの特徴によく似ている。トランクスまで脱ぎ去ると、太長に勃起した一物が目について、余計に見ていられずに雪乃は横に顔を背けた。
「おチンチンをきちんと見る、と」
スマートフォンに書き込まれ、視線でさえも雪乃自身の思い通りにならなくなる。
男性器をまともに見るなど初めてだった。
こんな形で、オナニーまでして肉棒を視界に収めているなど、自分の行動が変態すぎておぞましい。
さらに正弘はブラジャーを拾い、どうするのかと思えば、なんと自分の胸に装着を始めていた。
「な……! なにをしているの……!?」
信じられなかった。
男がブラジャーを着けるという行為が、自分の下着がこんな男の肌に触れていることも、何もかも認め難い。
「おっと、おパンツおパンツ」
忘れてはいけないように、正弘はショーツも拾い、そちらは頭に被るのだ。
完全な変態だ。
全裸で、女の下着を身に付けて、ショーツまで頭に被せた存在が、ある意味ではずっと怪物に思えてならない。しかも、オナニーに手は止まらず、変態の姿を見ながらアソコを慰めている自分は何なのかと、雪乃の心は蝕まれた。
「あ……ぐっ、んぁぁ……!」
連日の調教によって、すっかり感じやすくなっている雪乃の肉体だ。オナニーで絶頂に近づくことなど、そう難しいことではない。順調に上り詰め、アソコに集まる何かが今に弾ける予感に満ち溢れた。
――イク!
その瞬間にビクっと腰は痙攣して、脚の筋肉も震えるほどに強張った。
イった雪乃は敗者のように膝をつき、勝ち誇った正弘がそれを見下ろす。ニヤニヤしながらスマートフォンを操作して、次の肉体操作について書き込んでいた。
「カメラに見えるように、こちら向きでフェラチオする」
自分の顔が、口が、突き出されたペニスを咥えるため、みるみるうちに近づいていくことに、やはり雪乃は抵抗できない。
†
自分は化け物だ。
家族を失い、その殺戮を行った風乃のことも、より憎い<泡禍>と戦うために必要として縋っている。普通を捨て、憎悪や恐怖に身を浸し、そこまでしても通用するかわからない。だからこそ雪乃は、化け物と戦う化け物であろうと努めてきたのだ。
下らない学校の生徒など、その気になればいつでも殺せる。
本気でそう思っていた。事実なのだから。
――い、嫌よ!
殺す! 殺す殺す!
雪乃は必死に憎んでいた。
まるでそれだけが唯一の方法で、憎むことでしか目の前の運命から逃れられないように、かつてないほどの焦りに駆られ、切実なまでの憎悪を向ける。
肉棒を口に咥えるなど真っ平だ。
「いやー。どうしてこんなアプリがあるのか知らないけど、便利だよねー。これで雪乃たんは僕のものなんだ」
要するに本人も、この力は偶然手にしているわけだ。
蒼衣ですら嫌いなのに。
日常にどっぷりと浸かった上で、安穏な日常に居場所を感じられない雪乃に対し、<泡禍>を消し去る<断章>を有した張本人が、雪乃を普通の世界に戻そうなどとしてきている。そんな男でさえ嫌いだ。
それが正弘の場合、人を操るなどというそんな方法で、きっと力を手にするまでは何ら特技のない男に違いないのに、ここまで雪乃に辱めを与えている。しかも変態で、人の下着まで装着して、それに凌辱されるなど泣くしかない。
「あなた本当に殺すわよ! 私にこんなことを! こんなふざけた真似を!」
どれほど憎悪に燃えた眼差しで睨んでも、雪乃の両手は無力なまでに根本を包み、肉棒の角度を支えている。他でもない雪乃自身が、これを口に入れやすいようにである。
「殺す! ころっ、あぁ――あむぅ…………!」
咥えるために開く口から、もう台詞らしい台詞を吐くことはできなくなり、リング状に大きく開いた唇へと、亀頭の先が迫っている。いくら雪乃の方から近づいても、そんな意思を持たない雪乃には、絶望が接近して来るようにしか感じられなかった。
こんな跪いた姿で、仁王立ちで勝ち誇った顔の変態へと、奉仕のような真似をするなど。
ぴと。
と、舌の上に亀頭が触れる。
ぞわぁぁぁ――。
舌の根から顎にかけ、首から背筋にかけてまで、急速に寒気が走って鳥肌が立った。
「――――っ!」
絶句した。
憎んでも憎んでも、このおぞましい物体が入り込み、口内が肉竿の太さに占拠されてしまった事実に、何の言葉もありはせず、世界の全てが信じられずに真っ白だった。
「ん…………じゅずぅ………………」
雪乃の頭が後退するのは、もちろん口を離すためではない。必要なだけ下がってすぐ、また雪乃の頭は前進して、咥えるだけ咥え込むなり後ろへ引く。肉棒に刺激を与え、気持ちよくしてやるために、前後運動が始まっているのだった。
こ、こんなもの……!
本気で噛み切ろうとした。
しかし、雪乃の顎はそんな風に動いてくれず、肉体的にはいやらしく舐め回す。
「いいねぇ? 雪乃たんの初奉仕。きっとよく映っているよ」
それが記録にまで残されている。
せめて活発な動きだけでもやめようと、奉仕の勢いを緩めようとも思うのだが、まるで昔からペニスが大好きだったように舐めてしまう。じっくりと味わうように、舌先を亀頭の先端まで走らせて、鈴口をベロベロと夢中で舐める。
「あむっ、むぅっ、ん、んむっ、じゅぅ……ず、ちゅるぅ…………」
唇で亀頭を揉み、奥まで飲んでの前後運動。
その大胆な奉仕だけを見るのなら、何度も経験を積んだ女の技としか見えはしない。アダルトビデオに登場するフェラチオと比べても遜色なかった。
未だに殺すと叫ぶ眼差しだけが、このフェラチオは決して本人の意思ではなく、強制的にやらされているのだと物語っていた。
「はーい。頑張った雪乃たんにはご褒美のミルクをあげましょうねぇ?」
明らかに馬鹿にした口調で、正弘はスマートフォンを操作した。
雪乃は奥まで咥えたまま、何かを待つように動かなくなる。
――ドクン。
射精だ。
保健の授業でしか知らない、雪乃にとっては知識上のものでしかない、男の生理現象が、この口の中で起こっている。
――ドク! びゅる! びゅるるん! どくぅぅ! どびゅっ、ビュル!
何度も何度も、肉棒は雪乃の口内で弾み上がった。
舌の上に、頬の内側に、喉の奥にも精液の青臭い味と香りは広がって、それを飲み干すという命令を書かれている雪乃は、自分がごくりと喉を鳴らしたことにより、そう操作されたことを悟っていた。
決して自分の意思で飲むわけがない。
だが、こうして飲んでいる。
変態の体から出てきた汁が、自分の体内に取り込まれるなど、いっそ自ら腹を切り開いて取り出したいほどに拒否感に襲われるが、それだけ嫌でも行動的には飲み続けるのが、催眠アプリによる操作というものだった。
舌先と亀頭のあいだに、精液と唾液の混ざったものが、つーっと白濁の糸を引く。
「はぶっ」
なおも雪乃はしゃぶりつき、肉棒に刺激を与えた。
「ずずぅ……じゅぅ……じゅむっ、つりゅっ、はぷっ、ちゅぅぅ…………」
太いものが口を塞いだ圧迫感で息苦しい。そうしようとする意思がなくとも、肉棒の方が大きいために、雪乃の舌はべったりと竿に貼り付く。小刻みに頭を振れば、舌全体で摩擦も与えることになる。
正弘はさぞかし気持ちがいいに違いなかった。
便利な力を手に入れて、いいように辱め、雪乃のことを我が物として扱うなど。
――ドクゥゥゥ! どくっ、ドクン!
二度目の射精で、雪乃の口内は白濁に満たされた。
唇の両端から、唾液と混じり合ったものが顎へと垂れ、舌には青臭い味が染みている。やはり正弘は精液を飲ませるための操作をして、だから吐き出そうと思う雪乃は、思い通りの行動が取れずに飲んでしまう。
雪乃の唾液がよく染みて、先走りの汁や精液によっても汚れた肉棒は、フェラチオで泡立った白い汚れをまぶしながらも、粘液を纏った光沢でヌラヌラと輝いていた。
「ねえねえ、私はおチンポ奴隷ですって宣言したら許してあげるよ?」
何が許すだ。何が宣言だ。
そんなふざけた台詞を自分が言うなどありえない。言わせたければ、その催眠アプリで操作でもすればいい。正真正銘の意味で自分から奴隷宣言をするなんて――ふざけている。
「ポチっとな」
タッチ画面に触れる動作と共に、雪乃は三回目のフェラチオを開始した。
白い汚れをよく舐め取り、鈴口をチロチロとくすぐって、キスの雨を降らせて可愛がる。
――殺す。
汚いものを詰め込まれ、飲まされもしている雪乃は、その怒りと憎悪に油を注がれ続けているのと同じであった。こんなにも惨めな思いをさせるなど、屈辱を与えるなど、世界もろともどうにかしてやりたいほど呪わしい。
底知れぬ回数を誇る正弘は、いつまでたっても萎えなかった。
四回も五回も飲ませ、まさしく嫌というほど味わい尽くした雪乃の舌には、トラウマのように味が深く染みついている。十年後に思い出しても、この日に飲んだ味を鮮明に思い出してしまえそうだ。
「顔にかけてあげるよ」
別の遊びを思いついたようにして、正弘は顔射まで行った。
浴びせられるとわかっていながら、雪乃は自ら顔を差し出し、せめて目だけは瞑って熱い白濁を受け止める。ゼラチン質に近い粘液はべったりとこびりつき、雪乃の顔は二度も三度にも渡る顔射で、まんべんなく白濁によって飾り付けられていた。
指で塗り伸ばす仕打ちまで受け、そう見えない部分にも、精液は肌の奥まで浸透している。乾いた水分が表面に張り付いて、そんな風に額と頬と顎の周りはパックされ、その上に視覚的にわかりやすい、白いゼリーを散らかしたようなものが付着している。
『これだけ思いのままに遊び尽くして、この期に及んで次は何を始めるつもりなのかしら?』
風乃の声が、雪乃の耳元に触れていた。
『きっと乙女の秘密を抉り、深い痛みを与えてくるわ』
――痛み。
その言葉が、雪乃の耳を貫いた。
『その時こそ殺しましょう?』
これだけの凌辱を見ながら、くすくすと笑っている。
しかし、痛みによって抉られさえするのなら、雪乃はこの汚い変態男をどうにかできるのかもしれなかった。
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