媚薬ガス作戦とモモレンジャー




 黒十字軍の次なる目論見は媚薬開発。
 その強力な媚薬ガスにより、たちまち女性を無力化して奴隷とする。これは人身売買や奴隷商品の調教に役立つもので、闇の商売で利益を得ることが目的だ。
 不穏な動きを察知したというイーグルからの連絡で、ゴレンジャーは調査に出るが、もっとも早く媚薬研究所に辿り付くのはモモレンジャーであった。

「モモレンジャー!」

 マントを羽織る桃色の戦士は、戦闘員であるゾルダー達を相手に立ち回り、ほとんど当たり前のように打ちのめす。
 しかし、モモレンジャーにとってそれは突然だった。
「んっ! な、何!?」
 急に股で電流が弾けたような、静電気の爆発でも起こったような衝撃的な快感が、何らの前触れもなくモモレンジャーの秘所を襲っていた。
 戦闘の最中に、敵に囲まれている状態で。
 負けじとゾルダーの打撃を絡め取り、返し技によって一人を投げ、また一人にはキックを決めて倒していき、今はまだいつもの戦闘力を発揮していた。
 それが、だんだんと鈍っていく。
 キレがなくなり、速度は落ちて、モモレンジャーの力は目に見えて落ちていた。
「っ!」
 その驚きは、直撃させた自分の拳が全く効いていなかったためだ。
「ホイ!」
 そして、ゾルダーが行う反撃は、胸へ向かって手を伸ばし、殴るのでも蹴るのでもなく、揉むという行為であった。
「あぁっ!」
 大きく喘いだモモレンジャーは、慌てて何歩も後ずさり、正面の敵から距離を取る。
 本来の調子であれば、次にそんな不覚を取ることはなかっただろう。
 そもそも、ゴレンジャーが掴んだ情報は怪しい開発というだけで、媚薬の証拠にはまだ誰も辿り着いていない。どうしてアソコが気になって、甘い痺れで胸を揉まれて感じたのか。戦闘中にそうなったのか。モモレンジャーは気づいていない。
「ホイッ!」
 背後から抱きつくようにして、身体に腕を巻きつけられたモモレンジャーは、ただの戦闘員の手で動きを封じられてしまっていた。
 しまった――と、思う頃にはもう遅い。
 背中に敵が密着していることを利用して、いつもであれば背負いの投げ技に出ていたが、今のモモレンジャーではその判断も動きも遅れ、そうするより遥かに早く、手という手の数々が殺到して身体のいたるところをまさぐった。
「いやぁ! や、やめなさい!」
 必死になって首を振り、身じろぎによって逃れようとしているが、胸を揉みしだく指の動きが抵抗を封じている。腰のくびれを撫でるいやらしい手つきが、アソコを愛撫している指が、太ももをまさぐる手が、ありとあらゆる手がモモレンジャーを喘がせて、火照るカラダはますます感度を高めていく。
 モモレンジャーの股は濡れていた。
「あっ、あぁっ、あっ、あぁぁ……!」
 まるでお漏らしをしてしまったように、ピンク色のスーツに愛液が染み出ていて、濡れることによる変色が広がっている。触れた指先から銀色の糸が引き、やがては抵抗しようとする動きも弱まって、喘いでいることしかできなくなった。
「うっ、んんっ、やめ……なさい……! これ以上は……!」
 まずかった。
 それ以上されたら何かが来る。
 アソコに何かが集まって、今に爆発しようとしている未知の感覚は、きっと絶頂に違いないと予感して、モモレンジャーは急に力を取り戻したかのように抵抗を激しくする。
 しかし、本当に力が戻ったわけでもない。
 ただ焦りに焦ったおかげで残された力が表に出て、手足をバタつかせることができただけの話であり、もうそれ以上は何もできなかった。
 すぐに快楽で抵抗を塗り潰され、予兆はますます膨らんで、モモレンジャーはもうされるがままでいるしかない。

「――あっ! あぁぁあ! あぁぁぁああああっ!」

 イった。
 モモレンジャーはイった。
 敵にイカされた事実はモモレンジャーの心によく効いて、おまけに視認不可の媚薬ガスは未だ排出されている。媚薬成分が身体に溜まり続けて、休む暇もなく次の絶頂を求めて疼いている肉体は、モモレンジャー自身の意志ではどうにもならない。
(私の体なのに……)
 弄ばれ、またイって、ゾルダーの手であと十回は絶頂させられた。
 もうモモレンジャーに立ち上がる力は残っていない。
 その後、残るゴレンジャーの仲間が彼女の救出に来ることを恐れ、黒十字軍は拘束したモモレンジャーを別の秘密基地へ移送した。

     ***

 目を覚ましたモモレンジャー――ペギー松山は密室に監禁されていた。
 朦朧としていた意識が覚醒して、直後にペギーは戦慄した。自分が取らされている格好に赤面して、目の前にはカメラが設置されていることにも表情を染め上げている。
「……そう。私、捕まったのね」
 気を失う直前までの記憶が蘇り、何度もイカされたことが脳裏を掠めて己を恥じる。
 ペギーはM字開脚の姿勢で固定されていた。
 高い背もたれのイスに背中を預け、尻には固い木製の感触があたっている。下着すらない状態で脚は左右に広がって、その両脚は手錠やロープを駆使して肘掛に固定されている。どう努力しても脚を閉じることはできそうにもない。
 両腕も封じられていた。
 ロープを胴体に巻きつけて、腕を縛られているペギーには、しかも手錠もかかっているので四肢の全てに自由はない。
 もっとも、手は前側にある。
 アソコを手で隠すことだけは自由だ。
「………………」
 だから、隠した。
 隠してすぐに気づくのは、自分のアソコがいかに濡れているかということで、一度でも自分の感度を気にすると、全身のどこもかしこも疼いていたことをペギーは初めて思い出す。体の芯から指先まで、甘い痺れが行き交って、こうして空気が流動して皮膚に擦れるだけでもどことなく気持ちがいい。

『おはよう。ペギー松山くん』

 それは放送音声だった。
「どちら様かしら」
『君に私の正体を言う必要はない。君は自分が実験台にされていることこそを気にするべきだ』
「実験ですって?」
『君の部屋には媚薬ガスが流れている。やがて性欲が抑えきれずに、君はそこでオナニーを始めることになる』
「お、オナ……!? 何をおっしゃるの!」
 急に恥ずかしい単語を使われ、ペギーは顔を赤らめる。
『それが媚薬ガスの力だ。そこに置いてあるカメラは、黒十字軍の開発した媚薬の効果を示す宣伝用ビデオとして、そういうものを欲しがる買い手どもにご覧頂く予定だ』
「……そう。けど残念ね。監視されているとわかっていて、目の前にカメラもあるのに、そんなはしたないことをする女はおりません」
『そこを突き崩すのが媚薬だ。その理性で性欲を抑えきれなくなるから素晴らしいのだ』
「そんなことにはなりません」
『いつまで強がっていられるか。私はここで時間でも計っていてあげよう』
 その言葉を最後にして、放送音声が入ることはなくなった。
 通信を切られたのか。
 それとも、繋がっているが言葉をかけることはやめたのか。
 どちらにせよ、今のペギーは媚薬に耐え、どうにかここから脱出しなければならない。試しに身じろぎしてみるも、そんなことで手錠もロープも外れはしない。やがてペギーは諦めて救援を待つことにしていた。
「…………」
 そうなると時間は長い。
 ペギー一人で、もう何の言葉も発することはなくなった。
「………………」
 そして、時が経つにつれ、媚薬成分はペギーの身体に蓄積している。誰に愛撫を受けているわけでもないのに、ただ座っているだけで気持ちよさが増していき、アソコを隠す手の平にも愛液が広がっていく。
(まずいわ。本当にムラムラして……)
 きっと、この拘束方法はわざとだ。
 両手が手前側に置かれていて、アソコを隠すことだけは自由で、オナニーを始めるのにも支障はない。
 自らの穴に指を入れ、快感を貪ってしまいたいと、少しでも考えてしまったペギーは、敵地でオナニーなど淫乱この上ないと頭を振って、自分の欲望を否定する。いくら媚薬のせいとはいえ、オナニーを撮らせてやるわけにはいかない。
 もしオナニーをしてしまえば、ペギーが恥をかくだけではない。
 媚薬効果を示す宣伝の種にもされてしまい、黒十字軍の利益となる。
 だから、我慢していた。
(我慢しないと耐え切れないだなんて……)
 そんな事実に気がついて――ヌリッ、と。
「……うっ! 嘘ッ!」
 不意に腕が動いてしまって、そんなつもりはなかったのに、少しは指でアソコを撫でてしまったペギーは、そのあまりの気持ちよさに驚愕した。
 かなりの快感だった。
 本当にたまたま、意図せずして表面を一ミリ程度撫でてしまっただけで、まるで天国にでもいるような幸せに呑まれかけ、媚薬の威力がいかに強いものかと実感する。
(まずいわね。これ)
 このままでは座っているだけで狂ってしまう。
 かといって、脱出の糸口は見つからない。
 ただただ、じっと座っているしかない。
(し、したいわ……嫌だわ私……敵地でこんな気持ちになるだなんて……)
 それはペギーにとって拷問だった。
 時間が経てば経っただけ、秒刻みで強まっていく肉体感度は、逆に大胆に性を貪り発散しなければまずいような気がするほど、疼きが溜まりに溜まっていく。愛液が流れてイスにシミを広げれば、どこかお漏らしと区別がつかない有様で、もうシたくて仕方がない。
(オナニー……したい……駄目……したいけど……敵の思い通りよ!)
 そのうち必死に戦っていた。
 自分自身の欲望を相手にして、アソコに乗った両手を決してオナニーのためには使わない。ただカメラから隠すためだけに使うのだと気を張って、我慢に我慢を重ねて苦悶する。耐えることだけに苦心するペギーの顔は、もはや顎の筋力が許す限りの力でもって、全力で歯を食い縛っている有様だ。
 我慢だけでこれだ。
 そうなると――。

『おめでとう。ペギー松山くん。一時間も耐えた君には素晴らしい愛撫を与えてあげよう』

 そうなってしまうと、一人のゾルダーがドアを開け、ペギーに愛撫を施すためにやって来るなど恐怖でしかない。
「い、嫌よ! 必要ないわ! 来ないで頂戴!」
 より必死だった。
「来ないでったら!」
 欲望に負けないため、今の状態で触られたらどうなってしまうかという怖さのため、慌てふためいた顔で声を荒げるペギーだが、ゾルダーが待ってくれるはずもない。
 ポン、と。
 肩に手を置かれた。
「あぁぁ……! あっ、そんな……!」
 それだけで声が出て、その事実にペギー自身が驚いた。
 まさか、肩に触られたぐらいでこれなんて、じゃあ胸を揉まれたらどうなるか。アソコを愛撫されたらどんなに狂わされてしまうのか。
「あぁぁっ、あっ、やめっ、あっ、あぁぁ……!」
 胸を揉まれ、ペギーは絶叫に近い喘ぎを上げた。
 もはや狂った金切り声だ。
 まるで後ろから肩を揉んでやるような背後の位置から、両手を乳房に伸ばしているゾルダーは、両方を鷲掴みに指に強弱をつけている。
「だめっ! あっ、て、手が……! 手がぁ……!」
 ペギーの手は動いていた。
 あれだけ我慢していたはずのオナニーなのに、こうも簡単に限界を超えさせられ、目の前のカメラに記録が残るとわかっていながら、自ら媚薬の商品価値を高めてしまっていることも知りながら、だというのにペギーの手は止まらない。
 膣口に埋まったペギーの指が、大胆に出入りして水音を掻き鳴らす。
 イクまで時間はかからなかった。
 噴水じみて潮を吹き、巻き上がった滴の数々が床を汚して、その時点でゾルダーは胸を揉むのをやめていたが、ペギーのオナニーは続いていた。
 一度堕ちたら抜け出せない。
 何度も何度も、ペギーはオナニーでイキ続け、この狂った肉人形は疲れ果てるか失神するまで止まりはしない。
 やがて意識が薄れるまで、ペギーの指は延々と動き続けた。

     ***

『どうだ。これが君の姿だ』
「び、媚薬のせいだわ!」
『そうだ。君は立派にその力を証明してくれた。ありがとうペギー松山くん』

 ペギーは自分自身の映像を見せられていた。
 ついに我慢の限界を超え、オナニーせずにはいられなくなった途端に、憑き物にでも憑かれたように一心不乱に指で穴を貪った。淫ら極まりない姿を目の前で放映され、目を瞑ったり逸らした途端にゾルダーが鞭打ちを仕掛けて来る。
 イスに拘束されているペギーは、だから最後まで自分の恥の記録を鑑賞した――させられた。
『どうだね。ご感想は』
「あんなに品のないことになるなんて、あなた達が作ったのは悪魔の薬です」
『ご感想どうも。ではご協力頂いたペギー松山君には、黒十字軍からのささやかなプレゼントを贈らせてもらおう』
「結構よ」
『遠慮をするものではない。皆の者、やれい!』
「ホイ!」
 ゾルダー達はこぞってペギーに群がって、一人の女を大人数で押さえ込む。イスに縛り付けるための拘束をわざわざ解くのは、ペギーの身体をベッドまで運ぶためであり、このまま自分がどうされるかの予感にペギーは戦慄した。
「いや! いやよ! やめなさい!」
 必死になって暴れるも、すぐに手足を押さえつけられ、ペギーはベッドの上にX字状にされて動けない。
 愛撫の手が殺到して、ペギーはみるみるうちに悶絶した。
 胸を揉む手が、アソコを貪る指が気持ちよすぎて、膨れ上がる快感をどうにもできない。
「ホイッ!」
「ホイッ!」
 一人のゾルダーが一物を取り出して、それに伴い脇の仲間がペギーの脚を開かせて、より一層の危機感にかられるが、媚薬のまわった体はペギーの思う通りに動かない。抵抗むなしく入り口に亀頭がぶつかり、もうそれまでだった。
 ズン!
 と、あまりにも呆気なく挿入された。
「あぁぁっ! あっ、あん! ああん!」
 ゾルダーが腰を振り、ペギーは髪を振り乱す。
 あとはもう変わる変わるだ。
 一人目のゾルダーが膣穴を貫いて、射精感と同時に引き抜くと、ペギーの裸体に白濁を放出する。他のゾルダーと交代して次の挿入が始まって、また数分は腰を振り、白濁をかけると三人目だ。
「あぁあぁああ! あっ! あぁぁ! ああ!」
 ペギーにはものを考える余裕などありはしない。
 ただ、喘ぐだけだ。
 喘ぐ穴として何本もの肉棒を受け入れて、絶頂で潮を吹き、その身におびただしい量の精液を浴び続ける。
 最後はまるで廃人のような有様だった。
 目は虚ろで、髪の奥まで精液が染み込んで、中出しまでされた膣から白いものがドロリとこぼれ落ちている。

「……こいつは酷いぜ」
「許せんたい!」

 その後、救出されたペギー松山の復帰には、長い時間を要したという。