二人きりになったフミナとセカイ




 思春期の少年少女が、部室にたった二人きり。
 用事があるとかで今日はラルは不在のまま、コウサカ・ユウマも家でやりたいことがあると言って帰っている。
 となると、二人きりだ。
 これは、そんな時だからこそ起こった出来事。

 ――セカイくん。
 ――もしかして、こっち気にしてる?

 大きな胸元へ視線をチラつかせているのに気づき、フミナはセカイの顔を気にかけた。
 隣同士で座っていると、セカイは不意にフミナの体に視線を寄せて、一人で勝手に逸らしている。胸元へ向かってチラチラと、見ては逸らして見ては逸らして――。
 まるで悪いことをして後ろめたい顔をする子供のように、悪びれながら背けている。
 フミナはスポーツブラとスパッツだけの、完全な薄着姿でボディラインをくっきりと浮かせたまま、素直な少年のすぐ隣に座っているのだ。セカイが女の子の体を気にすることなど、年頃の少年としては、単に自然な気持ちに過ぎない。
 そしてフミナも、そういう事に一定の興味を抱いていた。
 弟のように可愛らしくて、素直で良い子なセカイにも、フミナは少し興味がある。
 だから、魔が差したといってもいい。
 普段のフミナなら、いきなり順序を飛ばして、先へ進もうなどとは思わない。きちんとした判断はできたはずだが、この二人きりという状況で、セカイのそんな視線に気づいたのだ。

 ――試してみよっかな。

 本当に不意に、ちょっとした火遊びに興味が沸き、フミナは悪戯な考えを浮かべていた。
「ねえ、セカイ君」
「――なっ、なんですか? 先輩」
 セカイは少しぎょっとしながら、赤髪の顔をフミナに向ける。
「もう一回、バトルしない?」
「え? 今まで散々……。それで休憩って……」
「いいからいいから」
 戸惑うセカイの腕を引っ張り、フミナは言った。

「セカイ君が勝ったら、何でも好きなことさせてあげる」

 そう言って、悪戯に微笑んだ。

     *

 ――BATTLE END

 セカイの勝利。
「約束だもんね。何でも言って?」
 何かしたいことはないのかと、ニコやかに迫っていく。
「な、何でもって……」
 困った顔を浮かべるセカイは、どうしたものかわからないまま、困惑のままに後ずさる。
 きっと、セカイの方からはエッチなことは頼めないのだ。
 頭の中にはそういうお願いがチラついていて、だけどそれを本当に頼んでしまったら、お互いの関係を壊してしまう。先輩もまさかそんなつもりじゃないはずだと、セカイは考えているに違いない。
「さっき、どこ見てた?」
 フミナは思いついたように胸への視線を指摘する。相手を困らせることをわかっていながら、セカイの戸惑う顔がみたいばかりに悪戯心を働かせたのだ。
「え? いえ、別に……」
 セカイは怒られた子供のように、悪びれたような顔でフミナから目を背ける。
「別に、ね。いいんだよ? なんて言っても」
「本当にいいんですか? なんでも」
「うん。なんでも! このチャンスを使わないと、絶対に損だと思うよ?」
 自分でも不思議なほど、フミナは積極的だった。
 異性のことにも興味を持ち、それなりに体を持て余していたフミナは、心の隙を突くかのようなタイミングで、好意的な後輩と二人きりになったのだ。
 魔が差したかのように、フミナは既に、少しくらいのことは試すつもりでいた。
「じゃあ、その……」
 セカイはやはり言いずらそうに、言葉を躊躇う。変わりに視線だけを乳房に向け、ボソボソと聞こえない声を発していた。
「触りたい。とか?」
 体を少し、近づける。
 セカイの胸板へ乳房が迫り、セカイは顔を赤らめた。
 そして。
「えーと、その……。先輩! 本当に何でもよくて、ええと、その――触る、とか。変な事でもいいんでしょうか!」
 セカイは白状するかのように、それらの言葉を吐き出した。
「……いいよ?」
 フミナはこくんと頷いて、セカイの手を優しく握る。
 そして、その手を自分の胸元へ導いた。

 ――モミ。

 フミナ自身も、大きく顔が赤らんだ。
 思ったより、恥ずかしい。
「ほら、こっちも」
 もう片方の乳房へ向け、フミナはセカイの手を運ぶ。
「柔らかいです。先輩」
 セカイは感激しきった声で、やがて夢中になってフミナの胸を揉みしだいた。

 モミモミモミモミモミモミモミモミ、

 まるでゲームに熱中する子供のように、セカイは熱心に指を動かし揉みまわす。
「えへへっ、すごいことしちゃってるね。私達」
 フミナは恥じらいがちに微笑んだ。
「俺、初めて触りました。先輩の胸って、すっごく柔らかくて気持ち良くて、最高です!」
「本当?」
「本当です!」
 セカイはとても素直に喜んでいて、こうなるとフミナも嬉しくなる。
「じゃあ、私もセカイ君に触っていい?」
「え? どこですか?」
「口では言えない場所、かな」
 フミナはセカイの頬に触れ、手を首筋へスライドさせ、そのまま体を伝って下ろしていく。
 やがて、フミナの手は男の大切な場所に接近して、セカイは顔を強張らせた。
「先輩? そこって……」
「駄目?」
「いえ、駄目っていうか……」
 セカイは再び困った顔で、素直に頷けずに目を背ける。
「私も初めてだし、わかんないけど。たぶん、確か気持ちいいことのはずだよ? 試したくない?」
「そういうわけじゃ……。けど、いいんですか? 先輩にそんなことさせちゃって」
「もう、揉んでるじゃない」
 その一言が、セカイの言葉を封殺した。
「……うっ」
 セカイは何も言えなくなり、黙ってフミナに体を許す。
 フミナはたどたどしい手つきでベルトを外し、チャックを下げてセカイの肉棒をつまみ出す。
「……嘘、こんなに硬いんだ」
 思わず関心してしまいながら、フミナはセカイのペニスを握った。
「せ、先輩……」
 セカイは興奮したように息を上げ、今一度フミナの胸を揉み始める。
「こうでいいのかな。セカイ君、気持ちいい?」
 試すように手を上下させ、肉棒に刺激を与えて、フミナは尋ねた。
「はい! 気持ちいいです!」
「良かった。じゃあ、このまま続けるね?」
「はい! お願いします!」
 セカイは声を張り上げる。
 あとはもう、この触り合いがしばらく続いた。
 フミナは床に膝をつき、初めて間近で見るペニスに興味津々といった顔になりながら、右手を優しく上下する。力の入り過ぎない、やや緩めの握り方で、フミナの手とペニスの肌が摩擦している。
 セカイは下へ向かって腕を伸ばす形で、フミナの乳房を両手に包み込んでいた。股間からの刺激に興奮しながら、指を活発にして深く揉み込む。
 やがて、セカイの手の平の中央には、硬い突起物が当たってきた。
 乳首が尖ったのだ。
 興味を抱いたセカイは息を呑み、恐る恐る指を移動して、乳首を摘む。
「――――んっ」
 フミナは驚いた顔で唇を丸め込み、怒るでも騒ぐでもなく、ただ赤面の色を濃くしていた。

 ――私、乳首立ってたんだ……。
 ――セカイ君、乳首ばっかり。
 ――恥ずかしいっっっ!

 乳房に甘い痺れを感じて、フミナは自覚した。
 自分自身も、だいぶ興奮してきている。
 肩で息をするのはセカイだけでなく、フミナもいつしか熱い吐息を漏らし始めて、息遣いが淫らになった。

 ――こうなったら、私だって!

 フミナはさらに大胆なことを思いつき、セカイの亀頭へ顔を近づけ舌を伸ばした。

 ペロリ。

 亀頭の先端を舌先で舐め上げた。
「せ、先輩!?」
「どうかな。気持ちいい?」
 フミナはさらに舌を動かし、先端ばかりを拙く、チロチロと刺激する。
「……うっ、くぅっ」
「気持ちいいんだね」
「…………はい」
 セカイの観念したような頷きを見て、フミナは大いに満足した。
 男の子だけにあるこの部分が、妙に愛おしく感じたのだ。
 ついこの前までは汚い場所とばかり思っていた。例えばミヤガ・ダイキに言い寄られていた時など、あんな先輩と結ばれた挙句に、あいつのこんな部分と触れ合うなど、想像を絶するほどのおぞましい行為に思えたのだ。
 それなのに、別の男の子というだけでだ。
 実直で表裏のない、年下の可愛い少年というだけで、抵抗感がほとんど沸かない。
「――じゅぷっ、じゅるるっ、じゅっ、じゅっ」
 いつしかフミナは夢中になってペニスを愛で、口全体を使って刺激を与えていた。
「先輩……先輩……!」
 セカイは喘ぐかのように背を丸める。
「じゅぷぅっ、じゅじゅっ、じゅぅぅぅ――」
 舌を振るって舐め回し、頭を前後に動かして――。
「先輩っ、俺もう……」
 やがて、セカイは精を放った。

 ビュルッ――ドクン!

 フミナの口内に白濁が広まって、フミナはごくりと喉を鳴らした。
「せ、先輩! すみません!」
「いいのよ。セカイ君」
 慌てて謝るセカイに対し、フミナはにっこりと微笑んだ。