共和国が<レギオン>に攻め込まれた時、その戦火の中で起こった悲劇


鮮血の敗北


 共和暦三六八年八月二六日。
 国が戦火に包まれている中、これは眩暈がするどころの話ではない。
「こんなことをしている場合じゃ……」
 レーナは焦る。
 こうしているあいだにも、時間も命も無駄に失われ続けている。レーナが指揮を下すべきエイティシックス達は、無論戦い抜くはずだが、まさかこの土壇場で、こうまで邪魔をされるとは。
「勝てるわけねーんだよ」
 狂った眼差しの同僚から、レーナは銃口を向けられていた。
 つい昨日まで、<レギオン>による攻撃を映画と勘違いしていたような、戦う義務も誇りも忘れた男が、こともあろうにレーナの指揮を妨害してきた。
 基地の廊下を突き進み、戦地へ行かんとしていたレーナの、後頭部へと急に拳銃を突きつけて、こんな邪魔者なんかに行動を阻止されている最中だった。
 立ち止まっている場合ではないというのに。
「戦いの行く末は、あなたが決めることではありません」
 たとえ勝てなくても、行き着くところまで行かなければ、先に行ってしまった彼らに顔向けできない。こんなところで立ち止まり、時間を食っている場合ではない。
「勝てねーよ」
「ただ殺されるのを待って、ぼんやりと立っているわけにはいきません。たとえ力及ばず死ぬとしても、戦い抜きます」
「ならここで死ぬかよ」
 引き金に指がかかる。
 まさか、本当に撃つ気かと、レーナは唇を噛み締めた。身内が足手まといになることくらい、予想がつかないわけではなかったが、ここで弾を浴びる終わりなど。
 こんなところで、死んでも死にきれない。
「わたしの死に場所はここではありません。死ぬとしたら戦場で、彼らと共に」
 鋭い目で、レーナは男を見据える。
「ブタ共かよ」
 彼が返してくるのは、不満と苛立ちだけだった。
「どうせ戦うのは、あなた達のお望み通り、エイティシックスです。それで勝っても負けても、あなたにはどちらでもいいはずです」
 だから邪魔をしないでさっさと行かせろと、そんな意思をレーナは込めるが、男が銃を下げることはなかった。
「出て来い、お前ら」
 それどころか、男が何らかの派閥かグループのリーダー格で、数名の人員を抱えた立場だと、その言葉でレーナは初めて気づいていた。
 肩越しに振り向く。
 そこにはぞろぞろと、数人の男達が集まって、レーナの退路を塞がんばかりにしていら。
「どういうおつもりですか?」
 レーナは非難の目を向ける。
「どうもこうも、ブタ共のおかげで救われても、俺達は困る。国を守ったのは自分達だっつー大義名分に武器が付いてりゃ、あとはどんなことが想像できる?」
「あなた達は……」
 一体、どこまで。
 つまり、勝って欲しくすらないとは。
 エイティシックスが国境内に戦線を張り、<レギオン>と戦っている状況を見て、ここにいる彼らが想像した一つの未来は、立場の逆転といったところか。
 それは実現性のある未来なのか、そんなことは彼らはきっと考えていない。思いつきの未来を拒むためだけに、この男達は下らない邪魔をしてきている。
 昨日の今日で生まれた主義主張に、あろうことか同調する者が集まって、急に出来上がったグループこそ、彼らというわけなのだろう。
「こんな……!」
 レーナは憤りに歯を噛み締め、銃を握ったその男、リーダーを睨んでいた。

「お人形なんかより、俺達と遊ぼうぜ?
 なあ、〝鮮血の女王〟さんよ」

 こうしている今にも、エイティシックス達は抗っている。
 戦い抜くために。
 それなのに、自分はこんなところで。
 慰み者になど、なっている暇は……。

     *

 リーダーの男が告げる。
「押さえておけ」
 その瞬間、後ろに集まっていた男達の、群れが一斉に迫って来た。両側から腕を掴まれ、肩にはがっしりと強い握力が食い込んで、レーナはその場に身動きを封じられていた。
 下手な身動きは取れなかった。
 大した護身術も身につけていないのに、十人近い男のグループ相手では、どうにもならないと判断しているレーナだが、このまま彼らに捕まっているわけには決していかない。
 戦わなければ。
 こうしている今にも、誰かが死に続けている。
 指揮によって戦局を左右させ、少しでも状況を好転させなければ、この国にも、エイティシックス達にも、そしてレーナにも未来はない。
 今この瞬間、ここで浪費している一秒ずつは、死に向かって進む一歩ずつと同じである。
「十八だったか」
 リーダーが迫って来る。
 女のレーナよりも遥かに体格が良く、背丈もある男の顔を見上げて、その眼差しを見た瞬間、ぞくりと背筋に寒気を感じた。
 獲物を見る目であった。
 一体、この状況で何を考えているのか、ほとほと頭を痛めているレーナであったが、もはや呑気に呆れている場合でもない。ここまで来ると、単なる足止めとは思えない。
 脳裏に浮かび上がっていた危機感は、朧気なものから具体的なものへと変わっていた。
 猛獣が餌を前にしてヨダレを垂らし、今にも食らいつかんとしているような、実に原始的な欲望を剥き出しにした表情に、全身が警戒信号を放っていた。
「……早く、避難したらどうですか。わたしなんて置いて」
「いいんだよ。最後の晩餐ってやつだ」
 リーダーの手が伸びる。
 反射的に後ずさり、その手から逃げようと体は動くが、腕を両側で掴んでいる男二人の、腕力がそれをさせなかった。動こうとした瞬間に背中に手の平を当てられて、身体を押し返され、そこに壁でもあるように、一歩たりとも後退はできなかった。
 顎に指を当てられて、レーナの顔はくいっと持ち上げられる。
「上手そうな唇しやがって」
 リーダーが見ているのは、レーナの顔だった。
 それから髪に、軍服にも視線を走らせ、リーダーは品定めを行っていた。自分がこれから食すディナーは、一体どこが美味しくて、どんな味がするのかを、最初に観察しているようだ。
 一房だけ赤く染めた銀繻子の艶の長い髪に、好きなく着込んだ糊のきいた黒染めの軍服。
 それらに視線を走らせた後、リーダーが次の瞬間にしでかす行為に、レーナはひどく目を丸めた。

 唇を重ねてきた。

 猛獣が食らいついてくるような激しいキスに、レーナの唇はたちまち餌食にされていた。一心不乱に頬張って、活発に蠢く舌が唾液を塗り尽くそうとしてくる、剥き出しの欲望をその身に受け、レーナは全身に鳥肌を広げていく。
 唇が、初めてのキスが。
 こんな形で奪われたことにショックを受け、瞳は動揺に震えていた。
 今すぐにでもリーダーを突き飛ばし、この場を駆け去りたい、拒絶の衝動が一気に膨らむ。腕を押さえられさえしていなければ、体はそう動いているはずだった。
 だが身動きの取れないレーナは、その代わりのように唇に力を込め、必死になって相手を拒む。上下どちらも口内に丸め込み、唇同士での接触だけでも避けようと抗って、レーナは激しく顔を歪めた。
 まぶたを固く閉ざすあまりに、周囲の筋肉を強張らせ、目尻には皺を刻んでいる。眉間にも皺が寄り、自然と逃げようとしてしまう身体の、小さな身じろぎが繰り返される。
 だがリーダーはレーナを逃がさない。
 右へ左へ、横向きに顔を逃がそうとするのに対し、両手で頬を包んで押さえ込み、あくまで自分の方を向かせながら、無理にでも頬張り続けた。
「はじゅぅ――じゅっ、じゅりゅぅ――――」
 汚いヨダレの音が立つほどに味わって、やっとのことでリーダーは顔を離した。
「……こんなっ! こんなことが目的ですか!?」
 声が震える。
 肉食獣に囲まれてしまった獲物に過ぎない、喰われるだけの立場に置かれ、恐怖に身震いしながらも、レーナは気丈な眼差しでリーダーを見つめ返した。
『先に行きます。少佐』
 同調が静かに切れる直前の、あの時の声が耳には今でも残っている。
 こんなところで、こんなところで――。
 こんな、ふざけた形で……。
「アンタの果実、最後の晩餐にはうってつけだなぁ?」
 リーダーが乳房に手を伸ばす。
「あ……!」
 待って欲しい、やめて欲しい。
 どんなに願ったところで、その手は胸に食らいつき、そして軍服のシャツを左右に引っ張る。ボタンがあっさり千切れて弾け飛び、黒いブラジャーがあらわとなった。
「うぅ……!」
 頬が染まる。
「おう? 女王様はお上品なブラをお持ちのようだなぁ?」
 品定めの目で、感心したように言ってくるその言葉は、レーナの恥じらいを大きく膨張させている。
「でけぇでけぇ、こんだけのものがありゃ、どんなオスブタもイチコロなんだろうなぁ?」
 下品なことを言いながら、リーダーは乳房を揉みしだく。
「やめてください」
 レーナは必死に恐怖を抑え、懸命に声を絞り出す。
「やめるわけねーだろ?」
 と言って、リーダーは手を引くどころか、むしろブラジャーすら引き千切ろうと、カップの布を掴んで持ち上げて、左右に引っ張り始めるのだ。
 そしてぶちりと音が鳴り、レーナの乳房はぷるっと弾け出ているのだった。
「やっ……!」
 ますます赤らみ、レーナは小さく悲鳴を上げる。
「やっ、だってよ? 可愛い声で鳴きやがる」
 リーダーは乳房を揉む。
「やっ、いや……!」
 その食い込んで来る指の痛みと、さらに膨らむ恐怖に引き攣り、レーナは今にも大きな悲鳴を上げそうになっていた。
 誰か、誰か……!
 レーナの脳裏を駆け抜けるのは、写真に小さく写った顔と、声でしか知らないシン達の存在だった。こんなところにいるはずのない、ずっと遠くにいるはずの彼らのことが、真っ先に浮かび上がっていた。
 助けなど来るはずはない。
 その現実を思った時、レーナの胸中に広がるのは、このまま犯されるしか道がないことへの絶望だ。
「ほ、本当に! こんなことをしている場合じゃ――んっ!」
 声を荒げた途端にまた唇を奪われる。
 しかも、今度は口を開いていたところへ、狙い済ましたように舌をねじ込んできた。歯を食い縛って防ぐ暇もなく、口内に入り込んできたものに対して、レーナはうなじの皮膚を泡立てる。
 顔が反射的に逃げようとしていた。
 条件反射で全身が後ろへ引っ込もうとしているも、相変わらず腕は押さえられたまま、背中に置かれた手によっても、身体の後退は許されない。
 口内が蹂躙されている。
 唾液をたっぷりとまとった舌で、歯の裏側を舐め取られる。お互いの歯と歯がぶつかって、手では胸を揉んでくる。食い込む指の感触と、口内に侵入してくる唾液への拒否感に、レーナは全身に鳥肌を広げていた。
 嫌っ、嫌ぁ――――。
 目を大きく見開いて、動揺に瞳の震えた表情は、まさしくそんな悲鳴を上げていた。
 そして唇は離れ、舌と舌とのあいだに唾液の糸が伸びていく。

 次の瞬間、レーナは押し倒された。

 急に腕を引っ張られ、肩を地面に押しつけるようにして、群がる男の手という手の数々に、レーナは無理にでも押し倒され、手足を押さえ込まれていた。
「いや! やめて! やめて下さい!」
 絶叫じみた声が上がった。
 しかし、誰一人として、その悲痛の声を聞いたからと、手を止めようとはしていない。
 腕で暴れる。
 だが床から浮いた両腕は、直後に手首を掴まれて、強引に押しつけられる。その際の、手の甲が床にぶつかる衝撃に、痛みを感じてもおかしくはないはずだったが、パニックじみた状況に置かれたレーナは、そんな痛みを自覚しない。
「はなして下さい! ここに、こんなところにいる場合じゃ!」
 傍から見れば、まるでゾンビ映画のワンシーンだ。
 人肉を喰らう化け物がよってたかって、たった一人の人間に食らいつき、血肉を貪ろうとする光景に酷似して、軍服が引っ張られる。
 途中までしか脱げていなかったシャツの、残るボタンの全てが弾け飛ぶ。腕章がしわくちゃに、スカートの留め具は乱暴に外されて、ずるずると下へ下へと引っ張られる。
 ガーターベルトの留め具も乱暴に引っ張られ、そのクリップ部分に挟まれていた繊維が傷む。ショーツにも幾本の腕が伸び、引き千切ろうとしてくるせいか、獲物を乱暴に奪い合う光景にすら見えてしまう。
 そんな欲望の中心にレーナは置かれ、ひたすら恐怖やパニックに陥っていた。
「いや! わたしは――わたしには――――!」
 使命がある。
 今すぐ、行かなければ。
 それを無意識のうちに、悲鳴として声に上げ、そのあまりに喉が痛みさえしていた。

     *

 恥部への刺激が始まるまで、そう時間はかからなかった。
 握力を込めて握り締め、手形を残さんばかりにしてくる誰かの手に、どちらの乳房も揉み絞られる。その変形で拳から飛び出た乳首へと、また他の誰かの指は置かれて、先端への愛撫も行われる。
 ショーツはとっくに脱がされて、膣口には指の出入りが始まっている。クリトリスを指先で揉み潰し、乱暴に愛撫してくる誰かの指が活発に動いている。
「いやっ、はなして! はなしてください!」
 レーナは無我夢中で叫んでいた。
 通じるわけがない、そんなことで離してもらえるなら、始めからこんなことは起きていない。
 だがパニックを起こしたレーナには、無駄だと諦める判断も何もなく、ひたすら何かに駆られたように叫び続ける。
「そんなに怖いか? 女王陛下が聞いて呆れるぜ」
 男の誰かはそのように言い出すが、レーナの中にある衝動と、叫び続ける裏にあるのが、一体どんな意思であるかを彼らの誰一人としてわかっていない。
 パニックの中でも、無意識のうちに気にかけて、ここで無駄な時間を過ごしている場合ではないと、焦り続ける心理が奥底には隠れている。
 もっとも、恐怖に駆られた故の叫びにしか、普通は見えるはずがない。
「いやっ、やめて! みんな――みんなが……!」
「助けが来るとでも思ってるのかねぇ?」
 群がる男達の手は代わる代わるに恥部を味わう。先ほどまで乳房を握り、指を食い込ませていた無骨な手は、また別の誰かのものに変わっている。膣に出入りしていた指も、別の誰かのものに変わっている。
「んっ、やっ、くぅ――――」
 レーナはいつしか、歯を食い縛っていた。
 ただ乱暴なだけのようでいて、彼らには技巧があった。幸か不幸か、こんな形で犯そうとしていながら、女を悦ばせるためのテクニックを、少しは発揮しているのだ。
 膣に激しく出入りして、活発に犯している指も、爪で膣壁を引っ掻いてしまうことがない。クリトリスを揉み潰す指先も、絶妙な具合で、ギリギリで痛みは与えていない。
 そんな愛撫が続けば続くほど、いつしか濡れてくるのは言うまでもない。
「あっ、んぅっ、いやぁ…………!」
「おうおう、濡れてる濡れてる」
 膣口への出入りによって、その指はしだいに愛液を帯びている。交代で別の指に入れ変わると、その乾いた指もたちまち愛液に濡らされていく。
「んっくぅ――――――」
 歯を食い縛ったり、唇を結ぶことが増えている。
 声が出そうなのだ。
 乳首を転がされる刺激に、クリトリスをやられる刺激に、こんな形だというのに甘い電流が駆け抜けて、手足がビクっと反応する。
「んっ、んぅ……んぅ……んぅ………………!」
 噛み殺していなければ、もっと大きな声が出ているであろう刺激を、レーナは感じ始めていた。
 その時である。

「ああ、言い忘れていた。ブタを何匹か人質にしてある」

 それは魔法の――いや、呪いの言葉だった。
「え…………」
 ぴたりと、レーナは止まった。
 パニックを一瞬で解除して、髪を振り乱す挙動も止まり、静止してしまう呪力がそこにはあった。なおも続く愛撫が、群がる腕という腕の数々だけが、しばしのあいだ活発だった。
「今から声を我慢するのは禁止だ。せっかく喘ぎ声が出ているみたいだもんな」
 それがリーダーの声であると、レーナはそんなことに遅れて気づき、人質という事実に総毛立つ。
 一体、誰が?
 はったりなのか、それとも――。
 だいたい、この状況でありながら、<レギオン>を食い止める兵士を人質に、正規軍人はまともに戦ってすらいない。共和国の大半に、期待はしていなかったとはいえ。
 そこまで――。
 目の前の脅威を食い止めている、その最中の背中を見て、そこから人質を取ろうなど、そこまで……。
 ここにいる彼らは、本当に一体どこまで……!
「あなたたちは……あっ、あぁあ……!」
 レーナの口から出て来るのは、喘ぎ声だった。
「んっ、あっ、どこまで――どこまで――――――」
 急に湧いて膨らんで、パニックや恐怖を上回る感情を、しかしレーナは声に出せない。
「んっ! きぃ……くっ、んぅあっ、あぁ……!」
 クリトリスへの刺激に阻まれ、憎しみの言葉を吐き出すどころではない。
「あっ、あ! あっ、くっぐぅ――!」
 膣に出入りする指は、いつの間に二本に増えて、その刺激がやはり甘い痺れとなって足腰を行き交っている。
「ぐっ、んぐ! んっ、あっ、いや……やっ、だ……!」
 乳首からの電流さえも、レーナを喘がせる一因だった。
 惨めだった。
 こんな男達に遊ばれて、淫らな反応を示し、声まで出してしまっている自分が情けない。悦ばせてしまっていることが、本当に無念でならない。
「んぅふぁ! あっ、あぁ……!」
 だが、声は止まらなかった。
 人質という魔法の言葉に、出て来る声は、もう噛み殺すことが出来ない。唇をきゅっと結んでおくことさえ恐れ、顎の力を抜いているはずのレーナは、しかし喘いでしまえばこそ、しきりに口周りや頬の筋肉を使い、その部位を強張らせていた。
「さぁて、そろそろ」
 その時、カチャカチャと金属の音がして、さらに次の瞬間に聞こえる衣擦れに、レーナは顔中を強張らせた。絶望でも目の当たりにしたように、それに視線を向けていた。
 リーダーがズボンを脱いだのだ。
 中身を晒し、すると周りの男達は、然るべき場所を空け、みんなで手足を押さえ始める。足首に、膝に、太ももに、男達の握力は食い込んで、レーナの脚はM字に開かされていた。
「や……やだ……いや……です………………」
「ん? 聞こえねーなぁ」
 リーダーの肉棒が迫って来る。
 亀頭がワレメに触れた時、犯される恐怖にビクっとして、その反応が気に入りでもしたように、リーダーは嬉しそうに唇を歪ませていた。
「や、やっ、や………………」
 リーダーの挿入が始まる。
 避けようもなく、どうしようもなく、亀頭がワレメを切り開き、膣口に先端を埋没させる。
「いっ、い――――」
 先っぽが沈み始めるにつれ、膣口は徐々に広がった。
 挿入が進めば進むだけ、亀頭を飲み込む具合に合わせ、入口はリング状に幅を広げる。
「いっ、あぁぁ………………!」
 穴を拡張される苦しみと、みちみちと裂けるような痛みに喘ぎ、レーナはひどく目を見開く。その目尻から涙を流し、絶望と懇願の入り交じる瞳を、無意識にリーダーへ向けていた。
 肉棒はさらに進行して、膣内に収まっていく。
 その信じられない事態に対するショックと、もうこれ以上はやめて欲しい、せめて今すぐ抜いて欲しい願望が、その瞳には浮かんでいた。

「きっちり孕ませてやる」

 その言葉にぞくりとして、レーナは涙を増やしていた。仰向けの顔に滲んだそれは、頬骨に沿って髪の中へと伝い流れて、雫が何粒でも消え続けていた。
「楽しみにしろよ。俺とお前の子供をよ」
 リーダーが動き始める。
「あっ、がぁ……!」
 容赦のないピストンだった。
「あっ、んっ! んっぐっ、んぐっ、あっぐっ!」
 初めての体に対する気遣いなどありはせず、自分さえ気持ち良ければ良い動きで、リーダーは大胆なストロークを披露している。
「んぁっ、あっ、ぐっ!」
 破瓜の血にさえ構いもせず、肉棒を出入りさせるにつれて、二つの汁が入り交じる。見え隠れする竿の表面で、赤がしだいに薄められていた。
「おっと、いい実があるじゃねーか」
 リーダーは両手を伸ばし、乳房を掴む。
 執拗に指を動かし、揉みしだきながらの激しいピストンで身体を揺るがした。
「んぐ! んっぐ! あっくっ、んぐ! あっあくぁ!」
「出るぜ出るぜ?」
 と、それは挿入から数分。
「いや――いやっ、外に――外に…………!」
 レーナはその言葉を聞くなり、無意識のうちに叫んでいたが、それも虚しく膣内には、生温かい感触が広がっていく。
「おっと、悪いな。次は気をつけるぜ?」
 ちっとも悪びれもしない顔で、リーダーはピストンを再開していた。
「んっぐぅ――んぐぅ――――――」
 激しく貫き、両手では乳房を味わい続ける。
 そして四肢には手という手が食い込み、何人もいる男がレーナのことを拘束している。
「んぐぁ――あっが……!」
 やがてまた、リーダーは射精した。
 その一瞬だけ根元まで押し込んで、最奥に届かせんばかりに肉棒を脈打たせる。ビュク、ビュク、と、跳ね上がろうとするたびに、レーナの膣内には熱っぽいぬかるみが広がっていた。
 そしてまた、リーダーはピストンを再開する。
「ふっぐぅ――んぐぅ――――!」
 再開直後まではゆったりと、しかし即座に活発さを取り戻し、その太さによって膣壁を抉り抜く。
「んっあっ、あぁ……!」
 もはや肉棒が掻き回しているのは、リーダー自身の出した精液だった。膣壁との摩擦が汁を擦って、愛液や血液とも混ざり合っていくうちに、やがて泡立ったものが竿の表面には付着する。
 数分もすれば、またリーダーは射精していた。
「ま、また――そんな…………!」
 レーナが抱く絶望は、薄ら寒い不安は、この犯されている状況だけではない。精液を何度も出され、きっと子宮まで届いている状況にこそ、レーナは青ざめていた。

 これでは、このままでは本当に――――。

 恐れを抱くレーナへと、またしても精液が出された時、ほくそ笑んだリーダーの口から出る言葉はこうだった。

「で、あと何人いると思う?」

 まだ、終わらない。
 この地獄はまた、ほんの入口だったのだ――。




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