一体、何回イったことだろう。
しかし、ミーシャにその記憶はない。
幾度かの絶頂自体は覚えていても、夢中になりきっていた際の、正確な記憶というものはない。具体的に何回イき、どれほどの時間をかけてオナニーしたかは、まるで見当もつかないわけである。
果ては気を失っていた。
M字開脚のままうなだれて、急にぐったりと動かなくなり、すると二人の少年はぎょっとする。
「え……!」
青ざめる銀髪少年。
「ま、マジか」
金髪少年もさすがに心配するが、すかさず指輪からの<思念通信>が二人に届く。
『問題ない。感度を一気に上昇させた影響で、意識が一時的に閉ざされただけだ。つまり気絶というわけだが、数分以内に目を覚ます。慌てずに待っていろ』
「そう……なんだ……」
「そりゃ、心配ないっていうなら、いいんだけどさ……」
だとしても、やはり二人はどことなく、放心とまではいかないまでも、何か呆然としたような顔をしていた。
人目も忘れて無我夢中でオナニーをする姿は、それもクラスメイトのミーシャがそんな風になる場面は、衝撃が強いものだった。
もちろん、二人にはわかっている。
指輪から影響を受けたのなら、きっとそのせいなのだとうとは、何となく理解はしているが、そうはいっても衝撃は衝撃だった。
「ん…………」
ミーシャの意識が戻ってくる。
徐々に目を覚ましていき、少しのあいだ朦朧とした目で少年を眺めていた。そんなぼんやりとした意識も、だんだんとはっきりとしたものへ戻っていき、やがてミーシャは思い出したように赤面していた。
「やぁ……!」
思い出したのだ。
夢中になりきった際の、全ての記憶とまではいかないが、快感に飲み込まれたこと自体は辛うじてわかっている。
では一体、二人にどんな姿を晒していたか。
どれほど淫らで、ありえない姿を見せてしまっていたか。
「わ、忘れて欲しい……!」
さしものミーシャも、必死の思いを口にせずにはいられなかった。
『忘れるものか。強烈な記憶として、永遠に残ることだろう。あるいは転生して来世まで覚えているかもしれないな』
「それは……いや……!」
『他者の記憶など、我にどうにかできるものではない。我に宿った力は、我を指に嵌めた者に対してしか作用しない』
そう言われて、そういえば感度を上げられたことを思い出す。
気づけば体中、未だ敏感なままだった。
風に皮膚を撫でられるだけでさえ、どことなく気持ちいい。乳首は限界まで突起しきって、破裂せんばかりである。クリトリスも一センチほどに肥大化して、ワレメからはみ出て見えるまでに膨らんでいた。
「んっ、んはぁ……はぁ……はぁ…………」
ミーシャはまだまだ興奮していた。
指輪によって与えられ、無理に上げられた感度のせいだろうが、いずれにせよミーシャは荒っぽく熱い息をしているのだった。
その色っぽさといったらなく、少年二人はその呼吸を聞くだけで、胸をドキドキさせてしまっている。
『ところで、解除ポイントが一定値まで溜まるたび、我からの命令が下るというルールは覚えているな? 拒めばその都度、何らかのペナルティを与えることも』
「……覚えてる」
『次はオシッコをしてもらう』
「え……」
ミーシャは驚き、目を丸める。
「ちょ、ちょっと」
「いくらなんでも……」
少年二人でさえ、心なしか動揺していた。
『嫌でもやってもらう。我の力を持ってすれば、直ちに尿意を与えることなど造作もない。ミーシャ・ネクロン、お前は今すぐにオシッコをしたくなる』
指輪に溜まった魔力が行使され、それがミーシャに肉体に影響を及ぼした。
直ちに尿意が強まり、トイレに行きたくて仕方がなくなる。
「だめっ、オシッコなんて……!」
思わず、逃げそうになった。
頭の片隅にあるのは、今すぐトイレに駆け込もうとする思いであった。何なら大慌てで<転移>を使い、この場から消え去ろうとさえしていた。
だが、その<転移>が使えない。
それどころか、テーブルを降りることも、体を動かすこともできなくなっていた。
『ポーズは固定させてもらった』
身体操作だ。
肉体が操られ、先ほどからのM字開脚から姿勢を変更できなくされているのだ。
「そんな……これじゃあ……」
動けない。
手で恥部を隠すことすらできず、脚が左右に開けきる。あけっぴろげとなったアソコに少年二人の視線は集まり、畳み掛けるようにして尿意は膨らむ。
もちろん、反射的に我慢する。
耐えよう耐えようと必死になって、下腹部にぐっと力を込めるのだが、なおも膨らみ続ける尿意の前では、そんな我慢が破られるのは時間の問題だった。
しかし、口なら動く。
「見ないで欲しい!」
せめて言葉で訴えて、二人には後ろを向いてもらおうとしていた。
ミーシャは本当に慌ててていた。
尿意の前に焦ったせいで、どうしてこんな目に遭っているのか、根本的なことも忘れて放尿を見られたくない気持ちだけが先行していた。
だが、もうその直後だった。
ジョォォォォォォォォォ………………!
見ないで欲しいと、切実な眼差しで訴えたすぐ後に、間髪入れずに黄金のアーチは解き放たれ、少年二人からしても目を逸らす暇などなかった。
目を逸らす逸らさないなどより先に、まずオシッコは飛び出ていた。
そして、そのさらに次の瞬間にある二人の反射的な行動は、それぞれ左右に飛び退くことだった。
「うおっ!」
「あぶねっ!」
オナニーを見るために、二人とも目の前に立っていたのだ。
そんな時に黄金のアーチが伸びてきたなら、制服にかかりかねない。二人はそれを反射的に回避して、どうにか尿を浴びずに済む。そのことに二人揃してホッと胸を撫で下ろすが、対してミーシャの顔は歪みきっていた。
頬が強張り、唇は波打つようにぐにゃりと変形して、しかも首から上は一片も余すことなく綺麗に赤くなっている。
いくらミーシャ自身の意思ではなく、指輪の力のせいとはいえ、人にオシッコをかけそうになったのだ。
そのショックといったらない。
人に尿を引っかけかけたこともそうだが、少年二人の危機感に満ちた表情を見るのも、その後の安心した顔を見るのも辛かった。
だが、何よりも今は……。
ジョォォォォォォォォォ………………!
放尿が止まらない。
せめて今からでも食い止めて、停止させたいとは思ってみても、どんなに力んでみても止まらないのだ。
「いや……見ないで……見ないで……」
もう泣きたくなっていた。
見られている恥ずかしさもさることながら、教室の床をオシッコで汚してしまっている事実にも震えてくる。
ジョォォォォォォォォォ………………!
与えられた尿意に慈悲はなかった。
長々としたアーチの先で、床に注がれ続ける尿は、ビチャビチャと周囲に飛沫を広げ続ける。飛散した水滴の汚れが放射状に、水溜まりも円を広げ、それを二人のクラスメイトがまじまじと眺めている。
目を逸らしてなどくれない。
衝撃で固まったかのように、ずっとずっと、二人はミーシャの放尿を眺めていた。
*
汚れた床は魔法で綺麗にするものの、放尿を見せびらかせてしまった事実は消えない。
もうこの世からいなくなりたい。
尿の痕跡を消したところで、放尿をまじまじと見られたトラウマは消えてくれない。二人の脳裏にミーシャの放尿は深く刻まれ、忘れられない記憶として残ったことだろう。それを思うと恥ずかしくて恥ずかしくて、もう最悪でたまらない。
『さて、次の命令をくれてやろう』
「や……!」
ミーシャは騒然とした。
あれだけの恥辱を味わえば、次のラインを越えるだけのポイントは、きっと溜まっていたのだろう。段階ごとに命令をしてくるルールにより、また次の何かを指輪は強要してくるのだ。
『次からは、少しでも逆らったり、嫌がる素振りを見せるたび、軽度のペナルティを与えてやろう』
不安は一気に膨らんだ。
ちょっとした素振りだけもペナルティの対象というのは、それだけ不安を大きく煽るものだった。
『しかし、その前にそろそろ服を与えてやる』
「え……」
急に意外なことを言ってきて、ようやく服を着ることのできる期待感をミーシャは思わず抱いていた。どういう風の吹き回しか、あるいは何かを企んでいるのか。そういった疑いを持つよりも、まずは衣服が恋しい気持ちの方が先に立ち、反射的な期待を胸にしていた。
指輪には衣装を用意する力まであるらしい。
『ミーシャ・ネクロン。我が指にある限り、お前自身の選ぶ衣服は着ることができない。ただし、我の力で呼び寄せたものならば、指輪を嵌めたままでも着ることは可能なのだ』
そう言って指輪が出現させ、ミーシャに着せた衣装とは、決してろくなものではなかった。
裸同然の卑猥な衣装だったのだ。
服が現れ、しかし一体何を着せてもらえたのか。
それが一瞬わからないほど、極めて露出度の高い衣服であった。
いや、服と呼ぶにも微妙である。
ミーシャに与えられたのは紐状の下着だ。
紐と紐を繋ぎ合わせたものでしかない、完璧なまでにT状のショーツは、それが尻に食い込むどころか、アソコのワレメにもフィットしている。
さらにブラジャーの方でさえ、乳房を隠す三角形の面積は、本当に申し訳程度のものである。乳首がギリギリで隠れていないこともない、際どくてならないブラジャーは、しかも見れば透けているので、何ら着けている意味がないのだ。
裸と違いがないどころか、ある意味では裸よりも恥ずかしい。
そんな衣装を着せられて、頭が沸騰しそうであった。
「うわ……」
「すげぇ……」
二人の反応もミーシャに追い打ちをかけていた。
ドン引きしたかのような、微妙に引き攣った表情からは、顔に文字を書いたがごとく気持ちが見える。この衣装は指輪が用意したものであり、ミーシャが好きで着ているものではない。それを頭ではわかっているので、馬鹿にしたり、蔑むわけにはいかないと思っているのだ。
とはいえ、二人にしてみれば、どうやらこの衣装は品がなく、見ていて顔の引き攣るような最低のものらしい。
そんな反応をしてくるから、それでなくとも惨めな格好が余計に惨めになり、まともに前さえ向けなくなる。
自然と、ミーシャは下を向く。
しかも、この衣装のいやらしさは、紐状の作りだけではない。紐ショーツの腰の部分、ぐるりと一周回る箇所の紐には、両側からアクセサリーがぶら下がっている。宝石から鎖を垂らしたようなデザインの、小指より小さく鎖も細いそのアクセサリーは、銀の輝きでミーシャの裸体を飾っている。
T字を成す前後の交点にも、豆よりも小さな宝石が光っている。
ならばブラジャーの方にも装飾品は輝いて、乳房の布にはリングがかかっていた。まるで乳首に指輪を嵌めたようにして、両方の胸にかかった銀色のリングは、布のその部分だけを立体構造にしていた。
三角形の布の一箇所だけを乳首に合わせ、立体的な形で固く突起した形状にフィットさせ、そのいわば布乳首の部分にリングはあった。
刺繍糸よりも少々太い程度のリングは、ささやかな光で乳首を目立たせ、いやらしく飾り立てていた。
『これから外に出る』
その言葉を聞いた途端、ミーシャの脳裏によぎったのは、大勢の一般人の中に放り込まれて、野次馬の輪の中心で周囲の視線を浴び続ける地獄であった。
「嫌……!」
それを反射的に拒む言葉が口を突いて出てしまう。
『躊躇ったな? それは抵抗の意思と見做す』
「な、なんで……」
『ペナルティとして、そうだな。絶頂でもしてもらおうか』
その瞬間である。
「んぅぅぅぅぅ……!」
身体の内側から、急に猛烈な電気が走る。
その激しい痺れにミーシャは全身を丸め込み、そしてアソコからはスプレーの噴射にも似た放射状の潮が噴いていた。
ワレメに食い込む紐に引っかかりつつ、噴き出た潮はミーシャ自身の内股を汚し、床にもいくらかの水滴が残る。
イキ終わるなりぐったりと、ミーシャは脱力して座り込んでいた。
『さあ、立つんだ。さもなくば、次はまた別のペナルティを考えるぞ?』
「そんな……」
『立て』
「でも……」
立とうとはする。
だが、腰が抜けてしまってか、体に力が入らず上手く立てない。
『よし、ペナルティだな』
「待って! 私は……逆らう気は……! んぅ……!」
ミーシャは突如、アソコに異物感を覚えていた。
何かを穴に挿入して、それが膣口を広げている感覚に他ならないが、しかし外から入れられた感じはしなかった。膣内に直接現れて、膣壁を直接拡張されていたのだ。
『ディルドというものだ。魔力によって振動したり、ピストン運動もこなす魔法道具。我の制作者が生み出したエロアイテムの一つだな』
膣内には棒状の器具が入っていた。
石のように固く感じられる一方で、人の皮膚と触れ合った感触にも似ている。この感覚から連想されるのは、勃起した肉棒なのだった。
事実、それはペニスを模した形状である。
反りのあるカーブ、亀頭の形や竿に浮き出た血管など、男性器をこれでもかというほど再現して、感触まで似せてあるものが、ミーシャの膣には入っているのだ。
そんなディルドが膣口の外に数センチほどはみ出て、紐ショーツを内側から押し上げている。
『今度こそ立て』
「た、立つから……」
足腰に力が戻り、どうにか立てるようになる。
壁に手を突きながらも、再び立ち上がったミーシャだが、すると即座に思い出すのは、指輪の言った外に出るという言葉だ。
『さて、外といっても色々とある。我のオススメは雑踏に溢れた都市の中心だが?』
「…………」
ミーシャは引き攣った顔で唇を閉ざす。
無理だ、嫌だといった言葉を、たとえ反射的にでも口にしたなら、それを理由にペナルティを与えられかねない。
『そういえば、我はアクセサリーショップの商品だった。咄嗟のことだったので、お前は代金を払い損ねていたのではないか』
「そう……だけど……」
嫌な予感しかしない。
まさか、ひょっとして……。
『では未払いのペナルティも兼ね、店主にもお前の裸を見せてやるとしよう』
指輪がそう決定するなり、すぐに<転移>が発動していた。
それを使ったのは、ミーシャでもなければ二人の少年のどちらでもない。
――指輪だ。
この指輪の内側には、<転移>を臨機応変に発動する術式さえもが組み込まれているようだった。
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