前の話




  金髪眼鏡のフローラは、白い背中をベッドに沈め、静かに愛撫を受けていた。
 ペニシア神はあらゆる女体を心得ている。
 フローラの肉体が未経験のものであるなどとうに見抜き、それでも手足をくねくねとよがらせる。指先を肢体に這わせていく指が、乳房に触れて桃色の突起を刺激する時、胴が弓なりに弾み上がった。
「んっ、あ……!」
 今まで知りもしなかった未知の快感に動揺して、震えた瞳の目を大きく見開く。
 神聖な魔力の前では、快楽を感じないことなど不可能だった。
「あっ、ふぅ……! んっ、んぃっ、ぬふぁっ!」
 指で乳首を持ち上げられ、そのたびに激しい刺激が迸る。
 アソコに指が潜り込み、抜き差しまでされてしまうと、いよいよフローラの頭は真っ白に、思考など快楽の荒きに吹き飛ばされる。
(だ、だめっ! こんなに気持ち良すぎたら、頭が使えなくなってしまいます! どうか! どうかお加減を!)
 その時、指の動きは静かなものに、どうにか耐えられる程度の快感にまで落ち着いた。
(よかったです……でも、いつの間に……)
 フローラは脚を大きく広げていた。
 一体、いつから自分はM字開脚などはしたないポーズを取っていたのか。アソコが気持ち良すぎた時の、頭が真っ白だった瞬間からなのかもしれない。
 快感はまったりとしたものだ。
 安心して、落ち着いて浸っていると……。

 おもむろに指が抜かれ、代わりのようにペニスが迫った。

 鉄のように硬く、戦士のように雄々しく、そして熱い。
 その男らしい気配は、近づいてきただけで子宮が存在を感じ取る。むわりと漂う熱気に当てられ、アソコが大いにヒクつくフローラは、いかに自分が挿入を求めているかを痛感した。
(ここまで、はしたないことを切望してしまうだなんて……)
 自分のいやらしさについて思いつつ、フローラは生まれて初めての挿入を待ち侘びる。
(来るのですね……)
 亀頭の先がワレメをなぞり、ヌリヌリとカウパーを塗りつけながら、入口を見つけ出す。先端がたった数ミリ入ったことで、いよいよ貫かれることを覚悟したフローラは、自然と脚を固めていた。

 ずにゅぅぅぅぅぅ――。

 ペニシア神の腰が押し出され、フローラの中に肉棒は埋まり始める。穴が広がる圧迫感に苦悶の表情で耐えながら、根本まで受け入れるなり下腹部の力で締め上げる。
(神聖で優しい魔力……痛みが……ないですね……)
 ほぐれて消えていくように、苦しい感じも失われ、アソコの穴に入ったものの存在に意識を集中しやすくなっていく。
(気持ちいい……ですね……)
 ピストン運動が始まっていた。
 破瓜の血は出ているのかもしれないが、神聖な力が直ちにフローラの肉体を癒してしまっている。一度の挿入だけでアソコは慣らされ、ペニシア神の形状に膣壁が順応している。
「んっ、ん! ん! あっ、あん! あぁん! あっ、あ!」
 喘ぎ声さえ上がっていた。
 ちょうど良く揺すられる腰の動きが、軽い衝撃となって乳房を上下にプルプル揺らし、アソコに刺激を走らせている。頭の内側が弾けたような感覚に、苦悶の顔でフローラはよがっていた。
(んくぅ! す、すごく――立派な出入りが――気持ち良すぎて――これがペニシア神のお力……!)
 悩ましげに髪を振り乱し、迫り来る快感に翻弄される。
(よくっ、覚えないと――せっかくの――!)
 信者ではないのに、神と交わる機会を得たのだ。ペニシア神のご厚意を無駄にはせず、この体験を少しでも強く記憶に刻み、頭の中にしまって持ち帰らなくてはならないのだ。
 ぬっちゃ。
 ぬっちゃ。
 ぬっちゃ。
(凄い音、私のアソコから……)
 いやらしい音を自分が立てているかのように思えて来ると、今頃になってフローラの顔が耳まで染まる。
 肉棒の内側に詰まったものが弾けるように、亀頭が奥にぶつかることで神聖な魔力が拡散している。それがフローラの肢体に循環して、自分の身体が聖別されていることさえわかる。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 どんなに喘ぐことになっても、フローラは学者としての勤めを忘れようとしなかった。
(せっ、聖別っ! 相手が神だからか、決して穢されるといった気持ちはせず、むしろ――あっ! あぁっ、あん! あん! し、神聖になった自分の体をっ、おっ、あ! 誰かにっ、さ、捧げてみたいような――)
 論文。レポート。
 書くべき文章を頭の中に練り上げて、机で紙とペンを手にした際には、すらすらと書き進められるように、脳内の準備を整えていく。
「あん! あん! あっ、そこ! おく! あっ、気持ちいい! いいっ、いい! いいです! ああん!」
 そして、フローラは絶頂した。
「イキます! イキます!」
 高らかな声で宣言して、途端に全身をビクつかせ、同時に引き抜かれた肉棒からも、白濁が雄々しく噴出される。腹の上に熱い水溜まりが出来るばかりか、胸や顎にまで降りかかり、青っぽい香りがツンと辺りを漂った。
(はぁっ、はぁ……すごく……貴重な体験……も、もう一度したい……ペニシア神について、もっともっと……)
 掻き立てられる研究意欲が瞳に宿り、フローラは二度目の挿入を心から望んでいた。
「……え? 四つん這い?」
 そして、神のご意思を感じ取り、フローラは戸惑いながらポーズを変える。体位の知識はあるものの、神でもバック挿入をしたがるものかと、また一つ事実を学ぶ。
 自ら尻を向ける恥ずかしさに、頬を朱色に染めながら、フローラはベッドシーツに両手をつく。
 すぐ真後ろに、ペニシア神の腰の気配が近づいて来た。
 切っ先が膣の入口に狙いを定め――。

「ひゃん!」

 挿入され、鳴き声を上げる。
 自分の中に再び神々しいものが潜り込み、脈打ちと共に神聖なる魔力を放っている。

 ぱん! ぱん! ぱん! ぱん! ぱん! ぱん!
 ぱん! ぱん! ぱん! ぱん! ぱん! ぱん!

 獣のような体勢で犯されるに、むっちりとした尻に腰がぶつかって来ることで、良い打音がリズミカルに鳴り響く。
 ペニシア神の目に映る自分自身の姿を想像すると、いかに必死にシーツを掴み、喘ぐ背中の光景があるのか、ありありと浮かんでしまう。
 しかし、こうして交わっているうちに理解は深まる。
 概念界ともいうべき、非物質の階層に住まう存在は、人間が発散する感情や思考によって構築されている。原理的には自分達こそが生み出すものとはいえ、自分達より遥かに高みの、到底敵わぬ存在を想像してきた人間は、知らず知らずのうちに高位の者を生み出し続けた。
 多くの女を抱く神という想像が、あらゆる人間の中には潜んでいる故、ペニシア神はいつしか生まれた。
 そのようなキャラクターとして設定されているがため、ペニシア神は女を抱いていなければ存在できない。
 身を捧げるということは、生きる上での大切な食料を献上して差し上げているようなものか。
「うっ! あっ、あ! あん! あん! あうっ、あう! ふっ、あ! あふっ、んん! ん! ん! ん! んぁっ、はっ、あ! あん! あん! あん!」
 ベッドシーツを眺めるだけのフローラの視界が、逞しいピストンによって揺らされている。
 どれほど喘いだかわからない。
「ああ! あ! あん! あん! あひっ、ん! ん! んん! んぁああ! あん! あん! あふっ、んん! ん! ん! ん! んぁっ、はっ、あ! あん! あひっ、ん! ん! んん!」
 時間も忘れて犯され続け、気づけば次の射精が迫っていた。
 肉棒が抜かれた途端、この身に精液を浴びなくてはなるまいと、条件反射で姿勢を固め、フローラは白濁を待ち構える。
 熱いものが尻に付着し、背中にも撒き散らされ、これでフローラは全身に神の精液を浴びたことになる。
(き、貴重な……体験……できれば試験管に採取して、持ち帰って……それに、この部屋に刻まれた象形文字や儀式の小道具なんかも……)
 これくらいでは飽きることなく、ペニシア神はなおフローラを抱き、犯されるフローラとしては神聖なる体験として受け止めた。学術的体験を記憶しようと、一つ一つの出来事を必ずや文章に変えて書き止めようと、脳での努力を続けていた。




 
 
 

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