前編 鈴峰彩花の痴漢AV?
その少年にとって――いや、他の誰にとっても、彼女は女神のような存在だった。
栄霊学園の生徒会長を務める女子、鈴峰彩花に憧れの情を抱かない者などいない。尊敬の念、恋心、アイドル視、あらゆる視線が彼女には向けられている。
成績はいつでもトップ、所属する水泳部では全国大会に出場して、教師に対して物怖じしない。目上だろうと毅然とした態度を貫く一方、分け隔て無く接する優しさを兼ね備える。これだけでも出来過ぎた人間と言えるだろう。
その上、街を歩けば誰もが振り向く美人である。
逆にどうしたら、憧れの念を微塵も抱かない、などという真似が出来るだろう。
残念ながら少年は、彩花とはクラスが違う。
だが彼女についての話題はいくらでも聞き及ぶので、自然とその存在へ意識は及び、空気に流されている部分もあるのだろうが何となく惹かれていた。
始めは遠くから見つめる事さえ出来ればいい、ほんの薄らとした気持ちであったが、それが一気に膨れ上がり、どうにか手を触れてみたい欲望に変わったのは、廊下でたまたますれ違った瞬間だった。
黒いセーラー服を内側からたっぷりと膨らませ、ボールでも詰まって見える丸っこさがたまらない。スカートを後ろに押し出し、丈と太ももの間に空間を作ってしまう、そんなお尻のぷりっとした厚みにそそられる。
すれ違い際、抜群のスタイルに目が行った。
たったそれだけの理由だが、少年の中での恋い焦がれる思いは急速に膨らんだ。
それと同時に、無理に決まっていると彼は思った。
大した取り柄もない自分では、付き合うどころかお近づきにもなれないだろう。恋すると同時に、もうその恋を諦めていた少年は、しかしある時、とある噂を吹き込まれた。
「あなた、知ってる?」
道端で謎の女性に、急に声をかけられたのだ。見知らぬ人物が前を塞いで、何事かと驚きながら、不審者なのか宗教勧誘なのか、そわそわと警戒しているところへ、その女性は続けてこう告げた。
「鈴峰彩花のウワサについて」
憧れの女の子の名前を出され、心臓が飛び出る思いがした。この気持ちは胸にしまい込んでいるはずなのに、親でもクラスメイトでもない他人に言い当てられ、心を読まれたのかと本気で思った。
「あの子ね? 痴漢に遭って、しかもその映像がAVとして売られちゃっているの」
突拍子もない事を言いながら、女性は一枚のディスクを突きつける。それを思わず少年は受け取ってしまい、直後に慌てて返そうとした。見知らぬ人から物など受け取れないと思ったわけだが、女性はそれでさっさと背中を向け、少年の前から素早く姿を消してしまった。
返す暇などなかった。
去り際のほくそ笑んだ横顔が妙に印象的で、いつまでも頭に残っている。
あの女性の言う事は本当だろうか。
いや、まさかだろう。
痴漢だけなら非現実的な話ではないのだが、AVとして売られているなど随分盛った話ではないか。
さすがに冗談だろう。
鈴峰彩花の存在を知った大人が、その学校の生徒に声をかけ、何か企んでいるのではないか。このディスクも実はウイルスでも入っていて、下手に再生した瞬間、パソコンが乗っ取られてしまうのではないか。
だが返しそびれた以上、再生せずに捨てるにしても、一度持ち帰っておくしかない。燃えないゴミの日に、そのゴミ袋の中に混ぜてやり、こんな怪しいものはさっさと手放そう。
帰り道ではそう思っていた。
ところが家に着き、部屋に入って、そこで少年はみるみるうちに興味を惹かれた。あれほど疑っていたはずなのに、何故だか急に中身が気になり、確かめたくてたまらなくなっていた。
自分でもわけがわからない。
どうして急に気持ちが変わり、やはり再生してみようと思う自分がいるのか。
部屋にパソコンがあるからか。
なまじ親に見つからず、こっそりと再生できる環境があるせいかもしれない。
衝動が腹の底から湧いてくる。
頭の中にはウイルスの可能性がチラつくのに、ひょっとしたら本当に鈴峰彩花のいやらしい姿を拝めるかもしれない、馬鹿馬鹿しい期待感がどうしても理性を上回り、もはや自分を抑えられない。
結局、少年はパソコンを起動して、ディスクを挿入するのであった。
そして、衝撃を受けた。
確かに期待こそしたが、まさか本当に――――。
*
映像は駅構内から始まった。
鈴峰彩花の改札口を通過して、階段からホームへ下りて電車を待ち始めるまでの姿が正面から、まるでカメラマンが後ろ歩きでもしていたように映し出されて、しかし次の瞬間には後ろ姿へ切り替わる。
どうやら、カメラマンは彩花の真後ろに立っていた。
腰まで続く長い髪を舐め回すようにして、上から下へだんだんと角度を変える。スカートを内側から、くいっと持ち上げた尻へ至ると、そのボリュームからなる傾斜へと、真っ直ぐだった髪の毛先が乗っていた。
電車が到着して、彩花は開いたドアの向こうへ進む。
カメラはその後ろから続いていき、窓際でつり革を掴む彼女から数歩離れて背中を映し続けていた。
その時、一人の男が背後に立つ。
彼は肩越しに振り向いて、視聴者に向かってにやりと笑うが、きっとカメラマンへの目配せなのだ。
いよいよ痴漢が始まるのかと、少年はパソコンの前で身構える。そして男が彼女へ向き直ると、まず彼が行うのはスカート捲りだ。
あまりにも大胆に、怖い物など知らないようにスカートの丈を掴んで持ち上げる。白いショーツに包まれたお尻が現れて、それに彩花は何の反応も示していない。
まさか、気づかないものなのか。
しかし男が手を触れて、がっしりと尻たぶを掴んだ時には、さすがにぴくりと頭が反応していた。
「ほ、本当に……」
本当に彩花が痴漢を受けるAVなのだ。
だとしたら、この映像は一体どこまで彼女を辱め、どれほど視聴者の興奮を煽るのか。
男の右手がお尻を揉む。
最初は左側の尻たぶを包み込み、しばし揉んだら隣へと、どちらの膨らみにも指の強弱を食い込ませる。さらに続けて撫で回し、中指を割れ目にフィットさせた形で、上下に撫で始めていた。
そんなお尻を楽しむ手つきへカメラは迫り、揉みしだかれる光景が画面を占めた。冷静に考えたら、これを撮るためのカメラマンは、その場に膝でもついて堂々とレンズを接近させているはずで、乗客の中でも随分目立つはずなのだが、一般人は見て見ぬフリをしたのだろうか。
『柔らかいお尻だね』
男の声が入っていた。
瞬間、アングルが一気に変わり、しゃがんだ位置から背中を見上げた映像となっていた。
『すっごくプリっとしていて最高の尻だ』
後ろから耳へ顔を近づけ、彼はそんな言葉を彩花へと囁いている。触られた上にこんな風に声までかけられ、彼女は一体どんな気持ちで耐えている事だろう。
カメラの角度がお尻へ戻る。
白いショーツと、それを撫で回す右手だけを真っ直ぐ捉えた画面になると、指遣いが肛門を狙ったものに変化する、明らかに指を突き立て、穴に潜り込ませようとしているのだ。
だが、目上に対しても気丈に振る舞うと言われる彩花だ。
ここまでされて、さすがに黙っていないのか、そこで肩越しに振り向いていた。咎めるような眼差しに、本格的に痴漢を許さないつもりなのだと視聴者として直感するが、その直後にもう一人の男は現れた。
『はーい、失礼』
騒ぎになるその前に、茶髪の彼は彩花とドアの間へ滑り込み、なんとセーラー服を持ち上げた。
信じられないほど大胆だった。
「うそっ、そんな事まで……」
見ていて少年は呆然とした。
確かに痴漢AVには本番シーンが存在するが、あれは女優が演じるフィクションだ。だがこれは本当に犯罪を行う映像のはずであり、なのにここまで堂々と猥褻行為を働くなど、いっそ彼ら二人は頭がおかしいのではないか。
茶髪の男はブラジャーの上から乳房を掴み、がっしりと胸を揉みしだいていた。その様子を撮るため動いたカメラは、揉み潰される横乳を捉え、すると彩花は驚愕で目を見開き、みるみるうちに慌てた表情へ移り変わった。
映像として映る痴漢は二人でも、彩花の周りにいる男は、カメラマンも含めて三人なのだ。
胸を揉む茶髪の男は、指を好きに踊らせているばかりか、片膝を前に出し、股の間に太ももを差し込む真似までしていた。足をアソコに接触させ、微妙に左右に動かす事で、もしや愛撫しているのだろう。
そして後ろの黒髪の男はお尻を揉む。
茶髪と黒髪、二人の男に挟まれて、胸もお尻も同時にやられる状況に、彩花の横顔は震えて強張っている。
次の瞬間、黒髪の男はブラジャーのホックに指を絡めた。胸が出るだけセーラー服が上がっていれば、当然背中も露出している。長い髪を左右に掻き分け、現れたホックをぱちりと外し、これで乳房を露出させる準備が整った。
彩花は声を出そうとしたのだろう。
だがその瞬間、なんと三人目の男が、彩花にとっては四人目となる銀髪の男が現れて、その口を手で塞いでいた。彩花を挟んだ向こう側から、不敵に笑って懐からナイフを取り出し、凶器の存在で脅していた。
『騒ぐなよ? かわい子ちゃん』
銀髪の男は言う。
彩花は瞳を潤ませ、こくこくと頷いていた。
『いい子だ』
銀髪の男は懐にナイフをしまい、しかし代わりのようにハサミを取り出す。痴漢に囲まれた状況で、刃物すら向けられる恐怖で彩花は完全に強張って、恐慌しきった表情で震えていた。
『チョキチョキするぜ? 動いたらお肌が傷つく。嫌なら大人しくしている事だ』
そう言って銀髪が行うのは、ハサミで制服を切り裂く行為であった。よく見ればそのハサミは、家庭科の授業でかつて使った覚えがある。あれは裁縫用のハサミではないか。
ならば衣服を着るのは容易いのか、刃が繊維を切り裂く音がしばし聞こえた。最初のうちは、カメラが映しているのとは反対側が切られていたが、やがて銀髪の男は回り込み、もう一方の袖や脇下まで切り裂き、果てはスカートまで切断する。
下着姿になった彩花の足元に、切れ込みの通った無惨な制服が捨てられていた。
「こんな……す、鈴峰さん…………」
公共の場で服を失い、彼女はどんな気持ちなのだろう。
どれほど心許ないだろう。
散々、痴漢に興奮しておきながら、少年は何故だか今頃になって彩花が心配になっていた。もっとも、これをどう感じてみた所で、全ては既に起こり終えた出来事なのだ。
黒髪が後ろ手に手首を掴む。
男の腕力で腕を背後に引かれては、腰の後ろで手錠がかかったようなものだろう。そんな風に腕を封じて、黒髪の男はドアの方へと寄りかかる。
身動きの取れない獲物を好きにするため、茶髪と銀髪がニヤニヤと両側から、勝手気ままに手を伸ばし、ショーツやブラジャーに触れるのだ。
『ほら、見てごらん? 君の下着姿が撮られてるよ?』
視聴者から見た右側から、銀髪は彩花の耳に顔を近づけ、息を吹きかけながら囁いて、その指はカメラマンの存在を指していた。
『君の名前、鈴峰彩花っていうんでしょ? 彩花ちゃん、君の可愛いところ、いっぱい記録しておこうね?』
茶髪も反対側から、同じく耳に顔を近づける。
両側から男の顔が耳に迫って、彩花はひどく強張っていた。カメラの存在を意識させられ羞恥心を煽られてか、急に赤らみも強くなり、恥ずかしそうに震えていた。
『や、やめて……ください……もう許して…………』
細々とした声で彩花は言う。
『許して欲しいの?』
銀髪がニヤつきながら乳房を掴み、許しを乞われた直後にわざとらしく揉みしだく。その指遣いで五指の一本一本が繊維の表面を這い回り、ブラジャーの内側に刺激を送り込んでいた。
『はい……もうやめてください…………』
彼女はもっと気丈だと聞いていた。
それがただの噂だったと言うのは、この状況では酷な話なのだろう。公共の場で下着姿、カメラマンも含めて男四人、この状況で強く出られる女性などいるのだろうか。
『でも君、素質あるよ?』
茶髪がそんな事を囁きながら、もう一方の空いた乳房を鷲掴みに、軽やかなマッサージのように揉みしだく。
『素質って――』
『エッチの素質。君、感じてるでしょ』
茶髪の男が指摘するなり、彩花はぴくりと小さく反応していた。秘密を知られてしまったような、緊張感を帯びた焦り気味の表情は、まさか本当に感じているというのだろうか。
『乳首、ここでしょ?』
銀髪の男が囁きながら、今度は一本の指だけで山頂をくすぐっていた。一点だけを狙った指先による愛撫によって、いかにも何か我慢をした風に、ぐっと堪えるべくして顎を硬くしているのだった。
今までからして、じっと耐え忍んでいたのだろうが、今の彩花はもっとそれ以上に堪えている。いや、あるいは別の何かを堪え始めた表情と言うべきなのか。
『あーあ、乳首が硬くなっちゃった』
茶髪の指も一点だけをくすぐり始め、彩花はその刺激に肩を小さく動かし反応している。
『んっ、んっ……やっ、やめて…………!』
二人してブラジャー越しに、乳首だけを狙って愛撫している。指先で引っ掻くように、くすぐるように、延々と一点狙いの刺激をしていると、彩花の反応はしだいに大きなものへと変化していく。
『やっ、やだっ、あぁ……い、いやです……あっ……!』
最初はもっと小さく動き、本当に微かにしか肩がモゾモゾとしていなかったが、それが徐々にはっきりと、もう少し大きな挙動になり始める。体が落ち着きなくそわそわとした風に、蠢きを増しているのだ。
『さーて、彩花ちゃん。こっちの様子も見てあげようか』
久々に黒髪の男の声がするなり、背後から両手が現れた。今までの彼は手首を掴み、後ろ手に封じていたが、ここでそれを離したのだろう。
腰の両側から手前へと回り込み、前へと出て来た両手がアソコを撫でる。ショーツの上から割れ目をなぞった愛撫で、彩花の身悶えはより大きなものとなっていた。
『あっんっ! あっ……! やっ、そんな……!』
秘部には灰色が浮かんでいた。
既に濡れる直前にあったのか、黒髪の指が少しアソコで蠢いたら、もう楕円形のグレーが現れていた。みるみるうちにぐっしょりと、糸すら引くまで濡れたショーツへと、彼らはからかいの言葉をかけ始めた。
『彩花ちゃん? 随分ヌルヌルだね?』
彼女の頭の後ろから、少しだけ見える黒髪の表情は、とてもニッコリとしたものだった。
『あーあ、くっきりしてるよ?』
『本当にわかりやすく色が出来たね?』
銀髪と茶髪も言葉を囁き、それら指摘がただの愛撫以上に彩花のことを辱める。顔中に苦悶が浮かび、羞恥にまみれた赤い顔へと、彼らはさらに追い打ちをかけた。
銀髪が再びハサミを出したのだ。
彼はその場で膝を突き、腰の横から刃を通すと、しょきりと切られた布が床へと落ちる。
『あっ……!』
一瞬、大きな声が出そうになった。
だが黒髪の手が上へと移り、瞬時に口を塞ぐので、叫び声が上がる事はない。
これでアソコが剥き出しだ。
銀髪は落ちたショーツを拾い上げ、まるで彩花に見せつけるかのように、ポケットからジップロックを取り出した。その中にショーツを入れて、愛液の染みたそれを持ち帰る気が満々である事実を、言葉なく動作によって本人に伝えたのだ。
その恥ずかしさで、彩花はますます赤らんだ。
ショーツを奪い取っていながら、ブラジャーが無事で済むはずがない。今度はそれすら脱がすため、黒髪が後ろから肩紐を下ろした時、そういえば既にホックは外れている事を少年は思い出していた。
茶髪がブラジャーを掴んで奪い取る。
電車の中で乳房すら剥き出しに、全裸になってしまった羞恥と動揺で、いかにも慌てふためくような表情で、彩花は真っ赤に染まり上がっているのだった。
そんな彩花の乳房へと、銀髪と茶髪の顔が同時に吸いつく。
『やっ……!』
彩花が感じた声を上げた直後だ。
ちゅっ、ちゅぱ――ちゅぱ――――。
吸引力をかける唇の音が聞こえてきた。
唇で何かを包み、一瞬で離した際に鳴る音が延々と繰り返され、それが乳首を責めているに違いなかった。画面の中にある乳房は、銀髪と茶髪の後頭部に隠れて見えないものの、その代わり彩花の感じた表情がよく映り、快感で乱れた艶めかしい呼吸も聞こえていた。
『あっ、あぁ――やっ、やめて――――』
喘ぐ彩花へ追い打ちのようにして、そこで黒髪の男が正面に回り込む。その場に膝を突くなり顔を近づけ、アソコにさえも顔が埋まった。
三つの頭が同時に性感帯へ押し当てられ、彩花はより活発に髪を振り乱しているのであった。
『あっ、やだっあぁ――あっ、あぁ――――――』
そこでカメラが迫る。
急に真横へ行ったと思いきや、それを察した茶髪の男が体の位置を調整する。体で乳房を隠さないように気を遣い、その上で乳首をしゃぶっていた。
豊満な胸が真横から拡大され、山頂が唇に包まれる。ちゅぱちゅぱと、しゃぶる際に音が立ち、そして突き出された舌で舐められる。唾液の塗りたくられる光景が画質良く、毛穴すら観察できる鮮明さで展開され、少年はすっかり魅入っていた。
一度は心配になった気持ちなど、とうに忘れていた。
茶髪の男は舌や唇だけでなく、前歯を突き出し掠めさせ、固い部分まで駆使した刺激を与える。
『ひゃん! あっ、あぁん!』
彩花の声が大きくなった。
それに合わせたようにして、銀髪の男がより大きな吸引の音を鳴らしていた。茶髪の顔がたまたまどいた一瞬で、向こう側にある乳房の様子が見えた時、銀髪は唇を固く窄めて乳房を引っ張っていた。
『いい反応だね? 彩花ちゃん』
黒髪の男の声がする。
『ひゃっ、あっ、あぁ――あっ、いや――――』
『その首を振っちゃう反応、もしかして快感が強い方に傾いているのかな? 可愛いもんだね』
一度そんな言葉が出て来ると、少年は彩花の首の動きを意識していた。
『あぁ……!』
真横からの撮影なので、手前を向くと表情がはっきり見えるが、正反対へ向いた時には後頭部しか映らない。
『ひゃっ――――』
やや大きな喘ぎ声が上がった時、彩花の顔が向こう側だった。そしてこの時、そのタイミングで、銀髪が大きな吸引の音を鳴らして、しかも茶髪は一瞬だが唇を離していた。
確かにより気持ちいい方へ首が向くとわかった時、少年は興奮の度合いを上げた。人の素晴らしい秘密を知ったかのようで、かなりの得をした気分になっていた。
じゅるっ! じゅるるるぅ!
そして今度は下を向く。
『あぁぁん!』
汁を勢いよく吸い上げる音が聞こえた時、それと同時に彩花の顔はビクっと下向きに代わっていた。
『あぁ! あぅぅ! んっいやぁ――――』
下向きのまま顔は蠢き、そして次の瞬間だ。
『あぁぁぁ――!』
逆に上を向いていた。
大きく仰け反り、そしてぐったりとしたように膝を突く。そんな彩花の膝立ちへと、銀髪が咄嗟に唇を被せた。顎に指を絡めて上を向かせて、食らいつくような激しいキスは、きっと口内で舌を突き出す深いものだった。