第2話 声の我慢大会

 かくして始まったゲームの中で、三人のアイドル達はそれぞれ声を我慢している。脇や腹へのくすぐりを中心に、触れるか触れないかといった具合で皮膚の表面をなぞる指の踊りで、真乃も智代子も羽那も、揃って何かを感じたような、それを堪えた表情を浮かべていた。
 だが、あまり声を出さない。
 くすぐったいという理由では、絵に描いたような大笑いを誰もせず、それに下着を没収されたくない思いで、一人一人が我慢強くなっている。
 たまに声が出たところで、70というアウト基準には程遠い、もっと小さな数字ばかりだ。
 だが、数字のカウントが残り17分となった時、黒タイツの男達は急に手つきを変えていた。
「ほわっ……!」
 真乃が驚く。
「えっ……!」
 智代子も声を上げてしまう。
「きゃっ」
 と、羽那も悲鳴。
 それらの声は、やはり小声程度に抑えられたものだったが、全員がそれ相応に驚いていた。我慢の意思がなければもっと声が出ていたに違いない、大きく目を見開いた表情だった。
 胸を揉まれ始めたのだ。
 ブラジャーの上から鷲掴みに、三人揃って一斉に乳房を揉みしだかれて、カップが指遣いに合わせて変形を披露していた。
 三分毎なのだ。
 最初は難易度の低いステージで、時間が経過するにつれ、徐々に行為が解禁されていく。三分経過によって胸やお尻へのタッチが解放され、黒タイツの男達は自由に胸を揉めるようになったのだ。
 そして、背後の彼らの目的は、自分の担当するアイドルに大きな声を出させる事だ。いずれ喘ぎ声が出るようにと、なるべく乳首を突起させようと意識している。
 だから彼らの揉みしだく指遣いは、五指のうちの一本が妙に山頂を意識して、そこばかりを上下に擦り抜いていた。
 しかし、黒タイツの中でも羽那を担当する男は、右手だけを下に移して、ぺたりとお尻に手の平を張り付けた。左手では揉みながら、右手ではお尻を撫で回し、下着越しの触り心地を思う存分に味わっていた。
[14:06] [14:05] [14:04]  次の三分経過が迫る時、三人のアイドル達は心なしか呼吸を乱し、何となくハァハァと、荒っぽいものを吐き出していた。
「んんぅ……ふはぁ……はぁ…………」
 本当に小さな音ではあるが、普通の呼吸音よりは大きなものが、三人全員の口から出て来ていた。
 感じているのだ。
 ソフトタッチで乳房を揉まれて、乳首も重点的にやられる彼女達は、ブラジャーの内側で既に限界まで突起させ、その部分でとても感じやすくなっている。
 だが果たして、彼女達の息が熱っぽく、そして荒っぽい理由は愛撫だけなのか。
 薄らと、彼女達の周りには白い霧が漂っていた。目を凝らさなければ見えない程度の、本当に薄らとした煙は、智代子が初めてそこに立たされた時から今の今まで、ずっと流れ続けているものなのだ。
 時間は残り14分となり、直後に黒タイツの男達は、それぞれのポケットから桃色の器具を取り出した。
 ピンクローターである。
 リモコン式のそれにスイッチを入れ、静音式の音なく震えるそれを乳首の位置に押しつける。静音であるが故、ローター自体の音をマイクが拾う事はない。
「あっんっ……!」
 真乃の声は高かった。とても可愛らしい嬌声だったが辛うじて抑えられ、[69db]という表示で、ブラジャーの没収を本当に危ういところで逃れていた。
 そんな真乃の隣で、智代子が声を一層のこと我慢していた。
「んっ、んぅぅ……! んぅぅ……んぅ……!」
 その抑えに抑えたような声はしかし大きく、60を超える数字で延々と表示が揺らぎ、69というギリギリに何度となく達している。その危うさに気づいた智代子は、ぐっと歯を食い縛る事で、しだいしだいに数字を小さくしていった。
「んぅぅ……んっ、んぅぅぅ…………」
 羽那はというと、ものの始めから小さな音量を意識して、強いていうなら呼吸が目立つという程度の、本当にささやかな声しか出していない。
 そうやって小さな声が出ている中で、三人それぞれのブラジャーにはローターが埋まっている。指で押しつける形によって、頂点にちょっとしたクレーターを作っている。その一点へと振動は絶え間なく送り込まれて、乳腺を通じた刺激が乳房全体へと拡散している。
「ふはぁ……! はっ、はぁ……! はぁ……!」
 残り12分を切った時、羽那の赤らみが広がっていた。
「ひゃっ、んぅ……んっ、ふはぁ……はぁ……!」
「はあっ、はぁっ、はぁ……はぁ……!」
 真乃も、智代子も、頬がより熱っぽい赤さとなって、呼吸の乱れも明らかに増している。40未満にまで抑えられていたはずの声は50を超えて、目安でいうならごく普通の会話ほどの音量に至っていた。
 皆、アソコを気にしている。
 微妙に太股を持ち上げて、アソコを引き締めようとするような、それとも隠したがっているような、そんなモジモジとした仕草が全員に見受けられる。
 残り11分となる。
 解禁されるのは、アソコへの愛撫であった。

「きゃっ……!」

 三人の黒タイツの中でも、真っ先に動いた腕こそがアイドルに大きな嬌声を上げさせた。
 智代子であった。
 しまった! と、既に声量を出してしまった後で、慌てて歯を食い縛っている彼女だが、もうアウト判定は出ているのだ。背中のホックが外されて、ハサミで肩紐が切断され、智代子はブラジャーを没収された。
 乳房がぷるっと剥き出しになり、智代子は赤面しながら咄嗟に腕を内側に引き寄せる。だがバンザイのポーズのために、その反射的な行動に胸を隠す意味はなく、ただ肘が中央へ寄っただけだった。
 その直後に、真乃や羽那のアソコにもローターは当てられる。
「んっ……!」
「んんっ!」
 智代子のブラジャー没収を見た手前、不意打ちには気をつけようと身構えて、おかげでアウトにこそならないが、二人が最初の一瞬に出す声は、少しだけうるさいものだった。
 そのあともう少しで70という基準を超える二人から、なんとか大きな声を引き出そうと、黒タイツの男達はショーツの中にローターを入れ始めた。
「ほわっ、な、中に……!」
 真乃が驚く。
「直接って……ちょっと…………」
 羽那が大いに不安がる。
 ショーツの内側に格納され、楕円の膨らみが小刻みに震える時、ますます強い刺激を受けた二人は、咄嗟に太股を引き締め膝と膝で押し合って、なんとか我慢しようと必死になり始めていた。
 だが、アソコはみるみるうちに濡れていく。
 膨らんだ部分には、愛液による変色が徐々に広がり、その濡れ具合が進むにつれて挙動が大きくなっている。腰を左右に捻ったり、太股を擦り合わせる動作が大きくなって、真乃と羽那はいかにもオシッコを我慢して見えた。
 あと数秒もすれば世界が終わるかのような、ギリギリの状況を堪えて見えるほどまで、我慢が生み出す動作は大きく大胆に、そして二人は絶頂した。
「きゃっあっ!」
「んんぅあっ!」
 同時であった。
 真乃と羽那はまったく同じタイミングで仰け反って、大きな声も出してしまった。絶頂で頭が真っ白に、しかしショーツの中でローターが震え続けている中で、二人もまたホックを外され肩紐をハサミで切られ、乳房を露出するのであった。
 そして、この二人が最初にローターを中へ入れられ、だんだんと乱れて絶頂するまでの間にも、もちろん智代子は愛撫を受けている。乳房が剥き出しになった分、彼女はより恥ずかしい思いをしながら、主に乳首を刺激されていた。
 片方の乳首にローターを近づけて、触れるか触れないかの位置感覚を保ったり、かと思えば急に強く押し込んだり、そんな加減の変化を繰り返す。もう一方の乳首は指で責め立て、もっぱら胸で感じながらの声を出していた。
「んぅぅ……あっ、あぁ……! あっ、あぁ……!」
 と、智代子の喘ぐ声は、どうにか抑えられたものだった。少しだけうるさいほどの声量から、小声で喋る程度の声量まで、我慢のムラによって揺らぎが生まれ、秒刻みで変動を続ける数字の幅が広かった。
 だが、二人が絶頂した直後だ。
 真乃と羽那のブラジャーが取り去られ、それぞれの乳房が解き放たれたその瞬間、智代子のショーツにもローターが入れられた。
「えっ、やだ……!」
 急にゴムを引っ張って、その中へ投入されるローターに、智代子は慌てふためくような顔をしていた。
 そして――。
「くぅぅぅん……!」
 より強い刺激を受けた途端、羽那や真乃がそうしたように、智代子もぎゅっと太股を引き締める。必死になってオシッコを我慢して見えなくもない、動作の大きな膝と太股の擦り合わせをしている中で、乳房が鷲掴みにされていた。
 ショーツの中でローターが暴れての、胸が背後から揉まれる光景が三人分立ち並び、それぞれがアウトに近い際どい声を上げていた。
「あっ……!」
 と、真乃の口からギリギリの声が出て、しかしその数値は69なのでショーツの没収は免れる。それからぐっと歯を食い縛り、唇の内側へと声を封じて、小声にも満たない呼吸音しか出さないように堪えるものの、ふとした拍子に顎が緩んで、またギリギリの声が出てしまっている。
 それぞれ声を出さないように気をつけている三人だが、彼女達が気にしているものは他にもある。
 ――カメラだ。
 エロ番組の収録である以上、自分達のこの姿は必ず放送されてしまう。それはもちろん気にしているが、まだ迎えてもいない放映日の事よりも、今まさに周囲を蠢くアームカメラが気になっていた。
 間接をいくつも折り曲げて、絶えず高さや角度を調整し続けている何台ものアームカメラに囲まれている。それらレンズに体を狙われるのは、まるで獲物の立場で蛇にでも囲まれたような不安を煽られる。
 すぐ胸の近くにカメラが来て、羽那がそれを気にして耳まで染めた。
 ローターの入ったアソコにカメラが来て、真乃や智代子も太股を持ち上げて、膨らみの部分だけでも一瞬は隠していた。