人体に補助電脳が搭載されたSFの世界観を舞台にして、少女探偵であるアリシア・アークライトが活躍する物語だが、この「電脳探偵アリシアと墨絵の悪夢」ではとある調査に趣いた先でボディチェックを受けるシーンがある。
そのシーンは「chapter2:調査依頼──ハンドアウト・オブ・ザ・ラン」にて――――
「ふっ、ふふふふ、ふざけんじゃないわよ! 触らせるわけないでしょ!?」
この先に進みたければ身体検査を受けろ、というような事を言われたために、強気な主人公・アリシアは怒りで声を荒げるのだが、
「おいおい、たかが身体検査だぜ? 変な意味に勘違いするなよ。これはせーとーな権利って奴だぜ? そうだろ? たまーに始末人が紛れ込むこともあってな。胸に武器を仕込んでくる……ってヤツもいるから、確かめておかねえとなって」
「ま、別に断ってくれてもいいんだぜ。回れ右でご退場だ。そうしたいならご自由に。……言っとくが、ここは芸術解放特区アート・コミューンなんだ。いつどんな形で、あの人を人とも思わねえ企業家どもの手先が入ってくるかわからねえ。自衛のためには、これぐらいやらなきゃダメなんだよ」
「あんたのそれ*1が演技じゃないって誰が証明できるんだ? おれもこの仕事を命じられたからには、中の人間の安全について保障する義務を負ってるんだ。おれが手を抜いて人が死んだとき、誰が責任をとれるんだ? なあ? 薄汚れた企業社会を抜けておれたちの考えに賛同してくれた大切な芸術家仲間を守らなきゃいけない。そこをギャーギャー言われて手を抜くと思うか?」
(*1 体を触られるのを嫌がる素振りのこと)
男はこうした言い分でアリシアを言いくるめ、
そして……
「っ……お、おかしな動きをしたら叩きのめすわよ」
最終的にアリシアも、その薄桃色の唇を噛みしめて俯くしかない。
そうなれば、あとの流れは決まっていた。
「さて……じゃあ、腕を頭の後ろで組んで背筋を伸ばしな。……身体を丸めて隙間に武器を隠そう、とか思うんじゃないぜ? ちゃんと背筋を伸ばして、顎を上げるんだ」
このボディチェックは背後から乳房に触って揉みしだくもので、デケェ乳だな、といった言葉をかけながら指をたっぷり踊らせ味わっている。よって体を調べ恥じらわせるよりも痴漢行為としての趣きが強く、検査羞恥としての良さが出ているわけではない。
ただ、羞恥要素はあった。
「いつもは胸でシてるのか? ん? どうなんだ?」
「な、なにを──ひゃうっ♡」
「とぼけるなよ。こんなヤらしい身体をしといて、オナニー知らねえってのは無理があるぞ? なあ? 自分一人でするときだ。こんだけデカいから、触ったりするのか? え?」
「っ、誰が……! そんなことアンタなんかに……!」
「ん……いやほら、移植されてねえのにこんな反応をするってのはおかしいぜ。なら、ほかに合理的な理由付けが必要だろ? 普段からこれでお楽しみってんなら無理もねえって話だが……それともやっぱり仕込んでるのかね? 直接見て確かめなきゃダメか?」
この作品は脳内インプラント型情報処理端末:補助電脳の搭載を義務付ける設定のある電脳チックなSF世界であり、ボディチェックを行う男は「どうしてこんなに敏感なんだ?」と、感じまくるアリシアのことをわざとらしく疑っている。何か移植しているから敏感なんじゃないか? 改造しているんじゃないか? もしそうなら、このオッパイには何が搭載されているかわかったものじゃないな、というわけである。
「ほら、一日に何度やってるんだ? え?」
「いっ、一日になんて──せいぜい、週に……」
「週に? へっ、やっぱりヤってやがったのか? ええ? 何回だ?」
「っ──」
身体検査と称して胸ばかりを散々触られ、乳首が突起するようにまで導かれ、屈辱を味わう果てに、しまいにはオナニーの事実を口走ってしまう。
主人公アリシアは週N回のオナニーを行っていることが判明したのだ。
せっかくのボディチェックだが検査羞恥としての趣きは薄く、とはいえ悔しくて恥ずかしい思いはしているわけだ。挿絵に乳首が描かれている作品なので、試し読みで面白そうだと思ったら買ってみても良いだろう。

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