思春期少年と時槻風乃
住宅に囲まれた小さな公園へ行き着いて、その隅っこのブランコに少年はぽつんと腰を下ろした。
特にどうしたというわけでもない。
ただ、夜という人の気配の沈み込んだ空気がなんとなく心地が良く、少年は夜中に散歩をするのが好きだった。真っ暗で、街頭の弱々しい明かりだけがじんわりと広がっているこの空間に落ち着きを感じた。
#時槻風乃 #時槻風乃と黒い童話の夜
時槻風乃と赦された陵辱
――許せないなら……いつか私を殺しにくればいいわ。
時槻風乃は言っていた。
――私はいつでも、夜にいるわ。
妹の美月、そして祖母から起きた事件をきっかけに、森野洸平は気づいていた。風乃には妙な優しさがある。彼女は人の醜い所を否定しない。受け入れる。手を差し伸べる。だが、風乃にそんなつもりはなくても、彼女の言葉は人の醜い所を掘り起こす。そういう不思議な魔力を持っているのだ。
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