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 少年の名前はケンというらしい。
「えーっと、なに? ふーん? こういうのが知りたいんだ。へー?」
 ケンの教科書を開いて見ると、そこには子宮の図解や受精についてが書かれていた。生理や射精、精通など、つまりそういうページなのだが、これらの何について聞きたいのか。
「これさ。テストにもなってて」
「そーだね。ま、こういうんもテストになるね」
「で、姉ちゃんに教われば、頭に入りやすいかなーって」
「ふーん?」
 正直、疑わしい。
 前科があるだけ、これもセクハラの一環ではないだろうか。
「いやいや! そんな目で見ないでよ! マジでテストに出るし!」
「そりゃいいんだけどさ。教科書に書いてあること覚えるだけっぽくない? どうやって暗記した、とかなら教えられるけど。逆にゆーとさ、暗記もんはそーゆーアドバイスしかできないよ」
「そういうんじゃなくてさ。もっと深い理解だよ」
「深い理解ねぇ? で、その心は?」
「ほら、俺ってこの前さ。その、色々と反省がいると思って、女の子に対する理解を深めようと思ってるわけ」
「心がけはいいんでね? 心がけは」
 正直、疑わしくはあるが。
「で、ほら。体のしくみについてとか、そういう部分から入ろうと思ったわけ。色々と書いてはあるけど、書いてないことも多いじゃん?」
「例えば?」
「それはほら、次のページを開いてみてよ」
「はいはい。ま、開いてみるけどさ」
 座布団を敷いた上、隣同士で座っての、一緒に同じ教科書を覗く状況は、もちろん想定していた範囲内だ。異性といっても、その手の対象として見ることのない、遥か年下相手に必要以上の意識はしない。
 ただ教科に関しては、算数の公式がわからない、国語の読解がどうしてそういう答えになるのかがわからない。理科はどうやって覚えたか、歴史はどう覚えたか。そういった内容を想像していたのに、保健体育は予想外だ。
 しかも、セクハラ目的に思えてならない。
 疑問はあるが、とにかく言われたように教科書のページを捲り、そこに書いてあることを読もうとした。

「え……!?」

 その瞬間、クロエは衝撃を受けた。
 それも頭を急にぶたれたような、見えない何かに脳天を撃ち抜かれた物理的な衝撃だ。ページを捲った途端に何かが飛び出す仕掛けかと、本気でそう思いかけたくらいだが、見ればそこには紙切れが挟まっていた。
 魔法陣の書かれた紙だ。
「あ、これは付箋代わりにしてたんだった」
 ケンはそれを咄嗟に回収して、机の引き出しにしまいに立ち上がる。
 すぐに隣に戻ってきて、ケンは座り直すのだが、その短い時間のあいだにクロエの頭はくらくらと揺れていた。
(なに? いまの眩暈?)
 先ほどの紙切れを見たせいだろうか。
 一瞬だったので、どんな魔法陣だったのかはよくわからないが、ページを開いた瞬間にあった感覚は間違いない。
 あれは何だったのか、問い質した方がいいのだろうか。

「姉ちゃん。膣分泌液について教えてくれる?」
「あー。あれね? うん、いいけど」

 ……あれ?
 何かがおかしい。
「いや待て、なんつったオイ」
 あまりにも自然と訪ねてくるので、つい普通に答えてしまったが、よくよく考えればどうかしている。
 そう、良いわけがない。
「おっかしーなー。学校にチクられたくなかったら、言うこと聞くんじゃなかったっけ?」
 くらりと、また頭が揺れた。
 それから――。
「…………」
 クロエは唇を引き締めて、一瞬にして険しい表情に立ち替わる。
 そうだった。
 自分はこのケンという少年に脅されて、泣く泣く従うことになった『はず』である。バイト禁止の校則のため、このことを学校に報告されるのは『死んでも』阻止しなくてはならず、そのためにはケンの『言うことを聞くしかない』のだ。
「で、どうしようっての?」
 眉間に皺の寄っている顔でクロエは尋ねる。
「だから膣分泌液だよ。ほら、女の人って、気持ちいい時にアソコから汁が出るんでしょ? それについて勉強させてよ」
「そーだね。性的な快感ってやつ? そういうのがあると、透明な汁が出るけど?」
「実物を見て勉強したいんだけど」
「は? ジョーダン」
「いやいや、チクってもいいの?」
「……ちっ」
 クロエは遠慮無く舌打ちした。
 こんなことに好きで従うわけがない。嫌々に決まっている。だいたい、セクハラ現場を止めに入って、すぐさま逃げ出した相手など、実質的にいって初対面も同然だ。名前を知ったのもつい先ほどの相手に実物を見せるなど、一体何の冗談だろう。
「それとも、恥ずかしくてできない系?」
 そんな簡単なこともできないのかと言わんばかりの、人を煽って見下す表情を向けてくる。その絶妙な腹立たしさに、ますます怒りが込み上げる。
「なにその挑発。ガキだね」
「はいはい、ガキだね。じゃあ乳首はどう? アソコを出すよりは簡単だし、ちっとはマシだと思わない?」
「いや最悪だから。それもありえんし」
「えー? でもさ、あれも嫌これも嫌って、通用する状況じゃないんじゃないの?」
「この生意気なガキは……!」
「うわっ、怒った? でも本当にチクるから! 言うこと聞かなきゃ学校に報告! んで、姉ちゃんは退学処分!」
「チッ、なら乳首なんかどうすんの」
「乳首も快感によって硬くなったり、大きさが変わったりするんでしょ? それを実物で勉強して、将来女の人を傷つけないようにしたいなーって」
「うちはいいのかよ」
「姉ちゃんは例外。だって家庭教師だし、身を粉にして働かないと」
 この少年は本気である。
 本当に言うことを聞かなければ、本当に学校へ報告すると言っている。
(やるしかないんか? マジありえんし。終わってるわ。なんでうち、こんなところで脅迫とか受けてんの?)
 クロエは羽織っていたブレザーを脱いでいき、グリーンのネクタイをほどいていく。これから少年に肌を見せ、乳首まで出さなくてはならないことへの羞恥に顔を染めていきながら、薄黒いワイシャツのボタンも外す。
「おお? いいねぇ、エロいよ姉ちゃん!」
 人の脱いでいる姿を見て、ケンは目を輝かせる。
「うっせーし」
「いいじゃんいいじゃん。わっ、ブラは白か! 見かけによらず清純だね?」
「何が見かけによらずだコラ」
 怒りを感じながらもワイシャツを脱ぎ切って、上半身は下着姿となった時、いよいよ背中に両手を回す。普通よりもやや大きい、リンゴよりも数センチは手前に突き出た乳房は、ホックが外れて締め付けが緩むと同時に、ぷるっとした弾力でカップを押し出す。
 白いカップと乳房のあいだに隙間が生まれた。
「おっ、おお?」
 今に現れる乳房への期待を膨らませ、ケンの目はますます輝く。
「んじゃ、見せっけど。勝手に触ったらぶっ飛ばすから」
 クロエはそう忠告してから肩紐を下ろしていき、やがて中身を曝け出した時、ケンのまじまじとした視線が突き刺さった。前のめりになってまで、食い入るように見て来る視線に、乳首の先から乳房の生え際にかけてまで、全ての細胞がムズムズとしてたまらない。
(めっちゃハズいんだけど……ジロジロ見過ぎ、さっさと満足しろし……)
 夢中になって視姦して、ケンはふと思い出したように言う。
「おっと、そうだそうだ。だから乳首についての勉強だって。気持ちいい時の反応を確かめさせてよ!」
「まさか揉ませろって言うんか?」
 そんなことを言い出したら許さない思いを込めての、怒気を含んだ低い声を放ちはするが、ケンは萎縮してくれない。
「揉ませてよ。姉ちゃん」
「サイッテーだな」
「校則」
「……チッ、揉めばいいじゃん」
 クロエは顔を横に背け、エルフの尖った耳の先だけを向けながら、迫るケンの両手を堪え、震えながら耐え忍ぶ。
 乳房が両手によって包み込まれた。
 指が食い込み、じっくりと堪能せんばかりに動いてくる。ケンは最初の数分かけて、建前も忘れて夢中になって揉みしだき、何を言っても聞こえないほど集中しきっていた。
 やがてまた、思い出したような顔で言う。
「おっと、ただ揉むんじゃ駄目だった。姉ちゃん、どうしたら気持ちいいか教えてよ」
「は? どうしたらって言われても、ンなモンしんねーし」
「自分で揉んだことないの?」
「んなもん、ちょっとしか……」
「ちょっとはあるんだ!」
 ポロリと出て来た秘密に歓喜して、勝ち誇った笑みを浮かべるケンに、クロエは頬の内側で歯軋りする。
「はいはいはいはい。だったら、もちっと力抜こうな。食い込みすぎたら痛いし、全っ然気持ち良くねーから」
「なるほどー」
「ちょい優しく揉めな」
「了解了解」
 ケンは楽しそうに力を緩め、表面を撫でるかのような、力を加えすぎない揉み方に切り替える。手の平全体を使って肌の表面を撫で回し、軽い力だけで指を押し込むタッチは、不本意ながら先ほどよりはずっといい。
 だが、気分は最悪だ。
 いくら揉み方がマシになっても、好きで胸を出しているわけではない。脅迫されて、ほとんと強制的に同意をさせられての行為など、一体誰が喜ぶだろうか。
 クロエは始終不快感を顔に浮かべて、耐え忍ぶばかりの時間を過ごしていた。
(ああ最悪、マジで辛いわ。好きでもない奴の手って、こんな感じなわけ)
 心にどれだけ不快感が湧いていても、肉体には生理的な反応が滲み出て、乳房の中には甘い痺れが走り始める。
(は? なんで感じなきゃいけねーんだし)
 密かに歯を食い縛り、屈辱を堪えていると、しだいに乳首が硬くなりだす。ケンもやがてはそれに気づいて、勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
「へえ? 姉ちゃん、感じたんだ」
「うっせーし」
「で、どうなの? 俺の触り方って」
「そうだね。別に痛くないし、いいんでねーの?」
 そうとしか言いようがない。
 乳首が突起したことは隠しようがなく、どこか負けたような気にさせられて、悔しい気持ちが湧いてくる。
 こんなガキに気持ち良くさせられたのかと、そんな思いでいっぱいだった。
「じゃあ、オッパイの触り方は勉強したし、次はアソコだね?」
「マジでぶっ飛ばすぞ、オイ」
 半ば本気で言っているのだが、当のケンはヘラヘラしている。
「校則ぅー」
「ちっ……」
「ってことで、パンツとも脱いじゃってよ」
「この野郎、マジにチョーシ乗りやがって……」
「いいのかなー? バラしちゃってさ」
「クソガキ……」
 クロエはケンを睨みながらも、スカートの中身を下ろし始める。
(だいたい、なんでうちは――いや、バラされたら『絶対』にまずいから。こうしてでもバラされないようにせんと……)
 制服姿だったはずのクロエは、スカートのみの姿に、そのスカートの中には何も無く、そして上半身は裸である。ここまで肌を晒したことで、ただでさえ真っ赤な顔はますます熱を高めていた。
(やばい……ハズい……ハズすぎる……)
 恥ずかしさで全身が震えてくる。
(しかも嫁入り前だっつーのに、こんなこと……)
 恥辱感が胸に大きく膨らんで、内側から肉が破られそうな思いがする。
 真っ赤な顔から熱気が広がり、手を近づければ周りが温かくなって感じられそうなほどまでに、クロエは恥じらいに顔中を歪め切っていた。
「……で、どうすんの」
「さっき言ったじゃん? 膣分泌液はどうすれば出て来るのか。あとほら、女の人のアソコってデリケートだって聞いたことあるから、乱暴にしちゃ駄目そうじゃん? 将来、パートナーを傷つけないためにもさ、きっちり俺を指導してよ」
「どんな勉強だっつの」
「早く早くぅ」
「あーもう、やるしかないんか……」
 もはや実践的な性教育だ。
 クロエはそのためにテーブルで仰向けに、脚をM字に開くという屈辱のポーズを強いられながら、アソコを見せびらかす羽目になっていた。
(んの、ガキ……マジに憎らしいわ……年下ぶん殴りたいと思ったの初めてだわ……)
 小憎たらしい思いが視線から滲み出て、自然と睨まんばかりの眼差しになってはいるが、まるで自分に害が及ぶことなどないと知っているように、ケンはヘラヘラと笑っている。
 ケンは嬉しそうにクロエのことを鑑賞していた。
 立って腕を組みながら、まじまじと裸を見下ろし、鼻の下を伸ばした顔で胸とアソコに視線を行き来させてくる。視姦される恥ずかしさに顔中を歪めていると、やがてケンはアソコの目の前にしゃがみ込む。
「うっひょー。尻の穴も見えちゃってるよ」
「ちょっ、まっ……!」
「てことは俺、姉ちゃんの恥ずかしい部分、もう全部見ちゃってる?」
「が、ガキぃ……!」
 憤りはますます膨らみ、今すぐにでもこの衝動をぶつけたくなってくる。いっそ、それができたらどんなに良いかと思うほど、怒りと屈辱で頭がどうにかなりそうだった。
「じゃあ教えてもらうよ? アソコ触るけど、いいよね?」
「どうせ触ンだろ。校則とか言って」
「そうだね。じゃあ俺、触るけどさ。実はこういうの初めてなんだよね? エロ本のおかげで免疫あってよかったなー。でなきゃ冷静でいられないよ」
 ケンの指が迫って来る。
 今にもその指がワレメに置かれ、触られてしまいそうな危機感に、クロエの顔には何かの形相さえ浮かんでいた。怒りとも恥じらいとも知れない、どちらでもあるような感情を滲ませての激しい顔で、一ミリずつ近づいてくる指にぐっと歯を食い縛る。
(触られる……!)
 ぴたりと、指が置かれた。
 生まれて初めて、この場所に異性の手が触れていた。
(初めて、だったのに……!)
 初めて胸を出したり、初めて裸になったり、初体験の数々がケン一人のために奪われていく悔しさでたまらない。
「えーっと、上下に擦ればいいはずなんだけど、どうなの? 姉ちゃん」
 ケンによる愛撫が始まる。
「しんねーし!」
「えー? そう言われたって、教えてくれなきゃ勉強になんないよー」
「くっ、うぅ……べ、別に、そんないきなし気持ちいいわけないから! だいたい、こんな状況でムードもないし、あんただって恋人でも何でもないし」
「でもさでもさ。生理的な反応? くらい、あってもいいんじゃない? ねえ、どうなのか教えてよぉ」
 ケンは調子に乗ってペースを早め、ますます活発にワレメを擦る。その軽やかなタッチの愛撫は、指を押し込む力が強すぎず、逆に弱すぎることもない。摩擦が皮膚に負担を与えすぎない、ほどよい加減を先ほどの乳揉みで学んだらしい。
「えっと、なんつーか? 胸揉んだ時の教訓、活かせてんじゃないの?」
 屈辱で頭がどうにかなりそうなのに、こんな風に教えている場合だろうか。
「とりあえず痛くはないんだね? この感じで」
「とりあえずな」
「しばらく、このまま続けてみよっかなー」
 玩具を面白がるような顔をして、ケンはアソコを撫で続けた。指先で軽やかに、ほんの少しだけ押し込む力を加えての摩擦行為は、ワレメのラインを上下にさするだけでなく、肉貝の部分もくまなく撫で回し、もう涙がにじみ出そうだ。
(なんでうち……こんな……アソコを好きにさせることなんかに……)
 悔しくてたまらない気持ちは、いくらでも溢れて止まらない。
(くっそ! ぜってータダじゃおかん! マジで覚えとけガキ!)
「ん? なんかだんだん、粘っこい気配がしてきたような」
「は? そんなこと……」
「そんなことあるって! もうちょっと続けてみたら、出て来るんじゃない?」
 ケンは嬉々とした表情で指のペースを上げていく。
 そのせいか、アソコに走る甘い痺れも活発に、たった今まで自分の快感に無自覚だったクロエは、さすがに本当に気持ち良さを感じ始める。
(ま、マジか! なんで、こんなガキに! 最っ悪なんだけど!)
「ヌルヌルしてきたぁ!」
 ワレメから、いよいよ透明な液体が染み出していた。
 それがケンの指に付着して、その付着が塗り伸ばされることにより、出て来た愛液はワレメの周囲に広がっていく。愛液を活性油に、ヌルヌルと指の滑りは良くなって、それがますます快感を高めるせいで、染み出す量は増えていた。
(くっ、そ……!)
 もう本当に誤魔化しきれない。
 気のせい、それは違うと言い出すにも無理のある量に至って、肉貝に愛液がまんべんなく塗り伸ばされてしまうのも、もはや時間の問題だった。
「いっぱい出たぁ! すっげーや! 俺、初めてでコレだよ? 凄くない? 凄くない?」
「っせーし!」
「姉ちゃん、家庭教師なんだからさー。なんか教師らしいこと言ってよ! ほら、これが膣分泌液ってやつであってるの? もし間違ってたら、この場で正しい知識を教えてくれなきゃ困るじゃんかー」
 そんなこと言いながら、ケンは腕を突き伸ばして、眼前に突きつける指から糸を引かせてくる。つまみとった愛液を指のあいだで引き延ばし、太い透明な糸を見せつけてくるケンに、クロエの睨まんばかりの視線はさらに鋭くなっていく。
「目ぇこわっ!」
「ったり前だろオイ! いつまで続ける気だ!」
「校則」
「そう言えば済むと思って……!」
「でも言うこと聞く以外ないっしょ?」
 ケンは校則の一言でクロエの怒りを封殺する。
 憤るあまり、もはや我慢ならずに手を出かねない心境に対して、校則のたった二文字が絶大な力を持っていた。
 もはや、何をそこまでして校則を恐れているのか、クロエ自身にもわからない。
 学校に報告されるのと、今この状況と、一体どちらがマシなのか。本当はどうするべきだったのかの判断が不思議とできず、ひたすら丸め込まれていた。
「さ、姉ちゃん。この透明な汁の正体を教えてよ」
「膣……分泌液、ってやつ……」
「へえ? 膣分泌液? 女の人が気持ち良くなって、エッチな快感に浸った時とかに出て来るあの膣分泌液であってるわけ?」
 勝ち誇った表情で、どうだお前を感じさせてやったぞと、そう言わんばかりの顔で、わざとらしく質問を重ねてくる。
「そうだっつってんだろが、オイ。何回聞くんだ。一回で覚えろし」
「そう言われても、暗記って繰り返しが必要じゃん?」
「おまっ、ゼッテー最初から覚えてたろ! 今更暗記いらんくらい、きっちり記憶に刻み込んであんだろ!」
「まあまあ、これは女の人を傷つけないため、正体のパートナーと上手くやるための予習なんだから。性教育ってやつ? 俺だって、一番に惚れた子のことは大事にしたいし?」
「ウソくさ」
「嘘じゃないって。あ、そうだ! こっちって感じるの?」
 それは突如であった。
 急に思いついたようにして、ケンは肛門の方に触ってきた。

「きゃあ!」

 あまりの刺激に悲鳴が上がった。
「なに今の萌えキャラみたいな声」
 さしものケンも、ぎょっとした顔で目を丸め、しばしのあいだ固まっていた。
「う、うるせーから……」
「へえ? お尻の穴でも感じるんだ」
 その指摘に、顔から炎でも巻き上がるかのような、激しい羞恥心が湧き起こる。自慰経験ぐらいはあるクロエだが、肛門で感じることなど自分でもわかっておらず、クロエ自身ですら驚いているくらいだ。
 自分でも知らなかったものを、こんな形で暴かれてしまった無念があった。
「それは……その、なんていうか……」
「そっかー。ここも性感帯ってやつになるんだね」
 ケンは人の反応を面白がって、もう一度見てみたいかのように触ってくる。指先で穴をなぞられ、皺をくすぐられる瞬間、稲妻の勢いで快楽がせり上がり、激しい刺激に背中が弾み上がっていた。
「ひあああ! あっ、あぁっ、だめっ、やめろ……!」
 愛液がますます滲み出ていた。
 もはや濡らした布から絞り出している勢いで、ワレメから肉貝にかけてじわじわと水気は広がっていた。
「すっげー! すっげー!」
 ケンはもはや感激していた。
 クロエの面白い反応を見て、人はこんな風になるのかと、関心すら抱いているようだった。
 その時である。

 ピチャ!

 と、愛液の潮が噴き上がった。
 クロエは生まれて初めて、しかもこんな形で絶頂をしてしまっていた。



 
 
 

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