女を犯す?陵辱のペニスンガ

   




 月明かりの差す夜の下で、女の悲鳴があった。

「――イヤァァァァァ!」

 その声を聞くや否や、明智リサはその場を駆け出す。
 リサは秘密捜査官だ。首には青いスカーフを巻き、ノースリーブのジャケットの下から赤いワイシャツの袖を通している。ホットパンツを大きな尻で膨らませ、紅いブーツを履いた足で路面を駆ける。
「やめなさい!」
 妖怪に向かってリサは叫んだ。
「何だ貴様は!」
 ちょうど会社帰りの女性を押し倒し、いかにも乱暴を働こうとしていた直前で、その手を止めた妖怪はリサを向く。
「――っ!」
 その妖怪の姿にリサはゾッとしていた。
 ――ペニスだった。
 頬が丸く膨らんでいるのは、食べ物を詰め込んだリスと例えれば可愛らしく聞こえるが、びろりと弛んだ皮の中に玉が入っている造型は、男性の睾丸としか思えない。髪の一本も生えない赤いような桃色のようなツルリとした頭部は、亀頭と思わしき反りの効いたカーブを成している。
 そして、その股には人間の男のついているのと全く同じ、生殖器が硬くそそり立っていた。
「わ、私は明智リサ! 警視庁第九課のくノ一よ!」
「俺はペニスンガだ」
「ペニスンガ?」
 今まで襲おうとしていた女性からは興味を失くし、ペニスンガは一度押し倒した女性に対して、結局は何もしないまま標的をリサへと変える。その隙に女性は立ち上がり、慌てふためきながら逃げていった。
「俺はお前のような活きの良い女の方が好きだ」
 と言って、
「かかれい! 妖鬼ども!」
 ペニスンガが声を張る。
 その瞬間だ。
 まるで映画のフィルムを切ったように、誰もいなかったはずのペニスンガの背後には、五人の黒い妖鬼が並んでいた。人型をして、それぞれが赤い剣を携えた妖鬼達は、一斉に地面を蹴り上げ、次々にリサへと襲いかかる。
「えい!」
 リサのキックが、一人の妖鬼の腹に直撃した。
 倒れた一人の後ろから、残る四人の妖鬼が剣を振り、リサを斬り倒そうと仕掛けていく。リサはサイドへ飛び退くことで上から振り下ろす攻撃を逃れ、横からのスイングはしゃがんでかわす。
「――ヤァ!」
 突きをかわしつつ、カウンターのパンチを顔面へと埋め、二人目を倒した。
 さらに残りの剣も難なく逃れ、回し蹴りで頭部を蹴り抜き三人目。うなじにチョップを決めて四人目、最後は上段蹴りで顎を蹴り上げて、五人いた妖鬼をあっという間に全滅させた。
 だが――。
「トウ!」
 ペニスンガの拳が、次の瞬間にはリサの腹へと埋まっていた。
「うっ、あぁ――」
 呻くような低い悲鳴と共に倒れていき、気絶したリサはペニスンガの肩に担がれ、どこかへと運ばれていく。

     ***

 目を覚ますと、明智リサはベッド上に囚われていた。手足が上下に縛られて、X字状の拘束で身をよじる程度にしか動けない。
「ここはどこなの?」
 リサは周囲を見渡す。
 どこか、屋敷の中のようだった。
 元々は警視庁所属のくの一として、リサは捜査を行っていた。女性が連続で行方不明となり帰って来ない事件の裏には、きっと妖怪が潜んでいると睨んでいて、情報を掴んだら超神達に知らせるつもりでいた。
 しかし、この有様だ。
「目が覚めたらしいな」
 ペニスンガがドアを開いて部屋に現われ、リサのベッドへ向かってくる。
「い、嫌! 来ないで!」
 リサは喚く。
「そうはいかない。俺は女と交わることにより、みるみるエネルギーを蓄えるのだからな」
 ペニスンガはリサの腹に跨って、ジャケットと赤ワイシャツの上から胸に両手を乗せる。まずはシャツの感触を確かめるように、触れるか触れないかの手つきで、生地の表面を手の平全体でなぞっていく。しだいに活発に撫で回し、よく指を躍らせて揉み始めた。
「やめなさい!」
 抵抗しようと身をよじるが、縛られた両腕が上がらない。
「無駄だ。俺のテクニックでお前はよがることになる」
「だ、誰がそんなこと――ひゃぅ!」
 衣服越しの乳首をつままれて、リサは驚いたように目を丸める。
「どうだ。どんどん気持ち良くしてやる」
 ペニスンガは赤いシャツのボタンを開け、そこから出来た隙間を左右に広げることで、桃色のブラジャーを付けた上半身をあらわにする。
「あなたは女の敵よ!」
 リサはペニスンガを睨み返す。
「はははっ、せいぜい喚くがいい」
 ペニスンガは気にも留めずに腰のくびれを撫で回し、指先でくすぐるようにして、フェザータッチで柔肌を愛撫する。そのくすぐったさに身をよじり、リサは何度も腰をくねらせながら、恥辱に顔を染め上げた。
 ブラジャーをずり上げると、生の乳房があらわになる。
「やめなさい! やめなさい!」
「やめるものか」
 左右の乳房に五指を埋め、指に強弱をつけてじっくり揉み込む。柔らかい乳房はあっさりと指を飲み込み、指遣いに合わせてパン生地のように変形する。その揉み方には、女を悦ばせるために培った確かな技巧があり、突起する乳首がペニスンガの手の平の中央にぶつかり始めていた。
 数百年の寿命を持つペニスンガが、それほどの時間の中で磨いたテクニックだ。
 そこに愛情があるかも、リサの心がペニスンガを拒んでいるのも、そんなことは関係ない。
 不快感、気持ち悪さで背筋には悪寒が走り、乳房全体にかけてもまんべんなく鳥肌が立っていたが、乳首も同時に立ち上がっていた。
「くっ、このぉ!」
 胸を守ろうと両腕を動かしても、手首にロープが食い込む痛みがあるだけだ。
「ふひひひひっ」
 手首足首の窮屈さに比べると、乳房を揉む手は驚くほど優しいが、その瞳は油を注いだようにギラついている。
 ベロリ、と。
 ペニスンガは乳首を舐めた。
「嫌ぁぁ!」
 唾液のぬかるみを帯びた舌のザラつきが、恐ろしいほどに気持ち悪くて悲鳴を上げ、リサは逃げたいあまりに首をくねらせ髪を振る。ペニスンガは丹念に舐め込んで、唾液濡れとなった乳首はヌラヌラと輝きを放っていた。
「ようし、こっちもだ」
 ペニスンガはもう片方の乳首にもしゃぶりつき、口内に含んで舌先で苛め抜く。両方の乳首に唾液を帯びさせ、滑りのよくなったところを指先で刺激して、クリクリと転がすようにあやして遊び始めた。
「嫌っ、嫌ぁ!」
「ふふふっ、好きなだけ嫌がっていればいい。こうしてエロスを楽しむことが、俺の妖怪エネルギーを活性化させ、寿命を延ばしていくことになる。お前はそのエネルギー補給源として、この俺に永遠に弄ばれるのだ」
 ペニスンガは危機としてショートパンツのベルトに手をかけ、金具を外してチャックを下げる。V字に割れたチャックの隙間に覗くショーツを見て、さらにニヤけたペニスンガは、その中に手を差し込んで、ショーツ越しの愛撫を始めた。
「嫌よ! そんなところまで!」
「諦めろ明智リサ。はははっ!」
 ペニスンガは人差し指の腹で割れ目をなぞり、その上下の動きにリサの内股にはさーっと鳥肌が広がっていく。
「嫌ァァァァ!」
「ハハッ! 次は直接触ってやる!」
 ショーツの中に手が入る。肉ヒダのウブな合わせ目をなぞっていくように、ペニスンガは指先から刺激を与える。肉壁の狭間には甘蜜がごく薄っすらと、汗のように浮かび始めて、リサの下半身は甘い痺れに支配されつつあった。
「気持ち悪い! 気持ち悪いのに……!」
「どうだ。嫌でも感じるのだ」
「そんな! 嫌よ! そんなの!」
「無駄だ! 挿入してやる!」
 ペニスンガはショーツを左右に引き裂いて、己の股から盛り上がる剛直を押し付ける。ぬるりと亀頭が入り込み、リサは衝撃に目を見開いていた。頭が真っ白になり、次の瞬間には処女を破られた痛みが内股に迸る。
「あああああぁぁぁぁ!」
「はは! 泣け! 喚け!」
 ペニスンガは腰を振り、リサは髪を振り乱す。
「――あぁっ! あぁぁぁぁぁん!」
 否が応でも、痛みは快楽へ変わっていき、初体験にも関わらずリサは喘ぐ。ペニスンガの持つ力は、女を強制的に感じさせていた。

「――あっ! あぁぁ! ああああ!」

 絶頂。
 果てたリサは、荒く大きな息で胸を上下させる以外は動けない。自分の膣内に抜き差しされるものの感触を無抵抗に感じ取っているしかなく、やがて肉棒が脈打って、膣内に精液を放っても、中出しに抗うことはできなかった。