第1話「風チラ狙いのシャッターチャンス」
第2話「追われる春菜、追う男」
最終話「パシャパシャ地獄」
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『優良健康生徒審査会の記録』を元にした二次創作。
以前受けた地方審査で、多田と芹沢は優勝してしまった。
全国審査へ進むこととなり、再び羞恥の試練が待ち受ける。
面談形式の調査で早速のように裸にされ、オナニーについての受け答えをする羽目になる中で、ついには感度調査と称して身体を触られ、胸やアソコを好き放題にされてしまう。何かおかしいと思う頃には、もはや後戻りなどできなくなっており・・・。
某企業のエレベーターに、一人の女が乗っていた。
黒髪の彼女は漆黒のスーツを身に纏い、腰のくびれたラインを如実に示す。スリット入りのタイトスカートは白い太ももを半分ほど露出して、尻はむっちりと膨らんでいる。目を凝らせば、タイトスカートの尻にはV字のような、薄らとしたラインが見える。ショーツのゴムが浮き出たパンティラインだ。
(ここに細菌兵器が隠されているという情報、本当かしら?)
エレベーターは地下に向かっていた。
不思議なことに、ボタンは1Fから屋上にかけてのものしかなく、表向きには地下など存在しない。世間から隠された機密エリアに、彼女は足を踏み入れようとしているのだ。
(不穏な噂は以前からあった。実際に機密エリアの存在が判明したのはここ最近。しかもアンブレラを退社した経歴の持ち主が研究をしているとなれば、怪しむのも当然といったところね)
エレベーターが開いた先には、たった数メートルの一本道を進んですぐ、分厚い電子ロックの扉がある。彼女はまるでメンバーの一員であるように、当然のようにカードキーを通してロックを解き、開いた扉の向こうへ歩む。
真っ白な壁、真っ白な床が長々と続く、やはり一本道を進む彼女の尻は、タイトスカートの内側でフリフリと左右に動く。
(さて、ここからね)
一つの部屋に辿り着き、彼女は初めて足を止めた。
彼女はFBI所属ということになっており、何者かに命を狙われているという博士の護衛を行う。施設への侵入に成功したら、あとは護衛に従事しながら、密かに研究の秘密を暴いて証拠を持ち出せばいい。
ここまでは順調だった。
ただ、この地下研究所は外部からの出入りに対してチェックが厳しい。盗聴器を持ち込むのはまず不可能、紙やペンの持ち込みにも制限がかかっており、メモの切れ端一つを持ち出すことにさえ、詳しく理由を尋ねられる。
ここで受けるボディチェックが一つの試練だ。
彼女にとって、それ自体は問題じゃない。
護衛任務の上で必要な拳銃、弾――必要な武器や道具の申請は行っており、許可を得た物品だけは持ち込める。大人しく指示に従い、きちんとチェックを受けさえすれば、侵入への支障はない。
問題なのは、彼女が女性であり、人としての羞恥心を持ち合わせている点だ。
「エイダ・ウォンだな?」
一人の検査官が、彼女を待ち構えていた。
「ええ、話は聞いているでしょう?」
弱みを見せても仕方がない。
「もちろんだ。アンタこそ、ギャーギャー言わないだろうな?」
「当然よ。さっさとして頂戴」
これから起きることなど、せいぜい蚊に刺される程度のことに過ぎない。そんな余裕の振る舞いを見せながら、彼女はテーブルに所持品を並べ始めた。
†
ボディチェックには二人の男がいた。
テーブルに銃を置き、弾倉を並べていると、検査官に加えてもう一人が部屋に現れ、共に所持品のチェックを開始する。身分証やカードキーまで、一つずつ検めて、まず第一の段階を終了した。
「問題ない。持ち込み可だ」
「了解です」
検査官の言葉に、もう一人の若い男は敬語で応える。
さしずめ、彼は検査の補佐官といったところか。
「次はボディチェックだ。詳しく調べさせてもらうぜ?」
そう言ってエイダに迫る検査官は、ズボンの妙な膨らみを隠しもせず、股間の山をわざわざ目の前で触っていた。ズボン越しとはいえ、男性器に触れた直後の手で、検査官はエイダの身体に手を伸ばす。
「どうぞ? お好きに」
エイダは平静に振る舞う。
まずは頭部のチェックであった。
髪の隙間に何かがないか、頭皮に何か仕込んでいないかのチェックは手探りだ。頭を撫で、髪に手櫛を通していく。まるで診察の場でそうするように、まぶたの裏側まで確かめる。耳の穴をペンライトで照らして覗き、鼻の穴さえ確認した。
「手を挙げろ」
すっと、エイダは両手を上げる。
「どんな気分だ?」
検査官は両手でエイダの頬を包み込み、自分を向かせてニヤついた。明らかに下品な笑みで、舌なめずりまでして唇を光らせる。いやらしさを隠しもしない、高圧的な態度を前に、普通は誰もが顔を顰めることだろう。
「手間がかかって、お仕事が大変そう」
「確かに手間はかけさせてもらう」
検査官の両手は耳へと移り、それぞれの穴に親指を入れて揉みしだく。唇を指で撫で、口を開けるように命じてペンライトで覗き込む。指を突っ込み、歯を一本ずつ触ることまでして、歯茎までなぞって確かめる。
首から下へのチェックに移ると、まずは両手の上がった脇下を触り始める。手の平をべったり貼りつけ、揉むように確かめた。
脇穴から肘にかけてを、それぞれさすった。
両肩に手を置き、スーツ越しの肩肉を揉んで確かめ、二の腕をまんべんなく撫で回す。肘から手首にかけて触っていく。そんなチェックの数々は丁寧に行われ、部位とごとに撫でて揉み、ポンポンと叩くタッチも施され、やっとのことで両腕のチェックは済まされた。
「ブーツと靴下を脱げ」
検査官が命じると、エイダは黙々と黒いブーツのジッパーを下げ、靴下まで脱いだ素足を床につける。それらがテーブルに置かれるなり、検査官の目配せで補佐官は動き、物品検査に取りかかっていた。
まるでブランドを確かめる鑑定のようだが、そうやって靴に何かが仕込まれていないか、衣類のどこかに妙なチップが隠れていないか、探り当てるプロというわけだ。
「まだまだ続きがあるぜ?」
検査官は腰のくびれを両手で掴む。上下にさすり、腰の両サイドから脇下にかけ、手の平を往復させ始めた。
嫌に時間をかけていた。
脇腹に食い込む両手は、揉みしだかんばかりに蠢き、脇に近づくにつれ、明らかに乳房に手の平を届かせている。脇下を確かめるフリをして、手のかかと、ともいうべき部位を横乳に及ばせ、検査官は乳房へのタッチを行っていた。
「FBIにしてはオッパイがでかいな」
ニタニタとした顔を浮かべて、検査官は真正面からじっくりと、スーツの膨らみを視姦していた。
「FBIに胸の大きさが関係あるとは知らなかったわ」
「うっかり乳首を立てないことだな。オッパイに盗聴器が隠れていると勘違いしちまうことになる」
「心配ご無用よ」
「だといいがな」
検査官は挑発的な眼差しを向け、次に腹部を撫で回す。さらにその下へと、タイトスカートの太ももまで触り始めた。
あからさまに味わっている。
どうだ、触ってやっているぞと言わんばかりの、勝ち誇った表情を浮かべて、実にニタニタと太ももを揉む。
「本当に丁寧ね」
エイダは不快感を目に浮かべた。
「そうだろう? ここも確かめないとな」
検査官は何ら遠慮もなしに胸に触れ、鷲掴みに揉みはじめる。丹念に指は蠢き、その表情はますます勝ち誇ったものへと変わっていく。
「何もないのがわかったかしら?」
エイダは静かに目を瞑り、いかにも平静に、弱みなど見せるつもりはなく、平然とした顔を貫き通すつもりでいた。
「そうだなぁ?」
検査官は背後に回り、エイダの背中を調べ始める。肩甲骨に手の平を押しつけて、背骨をなぞり、腰回りもポンポンと叩く。ひとしきり撫で回し、彼は大きな尻に手を置いた。
「……本当に、しっかりとやるのね」
「当然だろ?」
尻のカーブに手の平をまとわりつかせ、ぐるぐるとなぞって形状を確かめる。まずは右のしりたぶばかりを撫で回し、続いて左の尻たぶも、何周もかけて回していく。丹念に撫で尽くした上で、
パンッ、パンッ、
何度か叩き、衣服越しの打音が鳴った。
(くっ、最低ね……)
「何もなさそうだなぁ? ただ、いいケツだってのはよくわかった」
「あらそう、済んだかしら?」
エイダはいかにも飽き飽きとしてみせていた。
小さく鼻を鳴らすや否や、尻たぶに指が食い込み、ぐにっと強く揉まれてしまう。内心では顔を顰め、それを本当の表情に出すことはなく、表面上のエイダはケロッとしていた。
(下らない。可愛く嫌がれば満足なの?)
いい加減にして欲しい気持ちが膨らむ。
検査官は意地でもエイダから面白い反応を引き出したいのか、一度は離れていったと思いきや、一つの機材を握っていた。
「金属探知機を使う」
検査官は大きな虫眼鏡のような形の器具を用意して、黒いリングの部分をエイダの体中にかざし始めた。
「飽きないわね」
何の反応もするわけがない。
今のところ、テーブルに並べた以上の所持品を本当に持っていない。必要な情報を突き止めたら、証拠品の持ち出しは後から計画するつもりだ。
「おやぁ?」
ところが、金属探知機は反応した。
ブザー音が鳴っていた。
「どういうこと?」
「それはこっちの台詞だろ? オッパイに何を隠してる?」
検査官はニタニタと笑っている――わざとだ。
意図的に鳴らしたのだ。
「何もないわ」
「ま、誤作動ってこともあるが、念のためだ。脱げ」
そう、そのためだ。
きっと好きなようにブザーを鳴らせる仕掛けなのが、悪巧みの顔から伝わってきた。
「呆れたわ。その探知機、後で調べたいわね」
「後でな。まずは脱ぐんだ」
検査官は強気になって、ニッタリと、優位の立場を楽しんでいる。
(まずいわね……)
エイダはスーツのボタンに指をかけ、上着一枚を脱ぎ去ると、上半身に白いブラウスの生地が輝く。脱いだものを受け取るため、補佐官がすぐ近くにまでやって来るので、仕方なく手渡した。
今度はブラウス越しの胸に金属探知機がかざされて――ビィィィィ、と、ブザー音声は鳴り響く。
「それもだ」
(まったく、本当にまずいわ……)
エイダはブラウスを脱ぎ始める。
上から順に、ボタンを一つずつ外していると、検査官はそれをまじまじと眺めた。後ろでも向こうと思ったが、身動きの気配を出した途端に「そのままだ」と言ってくるので、見られながら脱ぐしかない。
「もっとゆっくり脱いでもいい」
ストリップを楽しんでいるのは明らかだ。
「遠慮するわ」
赤いブラジャーが覗けるまで、時間などかからない。エイダはさっさと脱いでみせ、実にあっさりと上半身はブラジャーのみに、ワインレッドの下着を露出する。
単なる赤ではない。
三原色の赤をわずかに暗くしたような、小さなアクセントのかかった色合いで、サテン生地の表面は滑らかな光沢を帯びている。そんなワインレッドをベースに、中央には黒いリボンが咲き、そしてより黒に近い、暗い赤色の刺繍によって薔薇の飾り付けが行われていた。
(きっと裸にされる)
エイダの抱く危機感はそれだった。
今までけろっと、平然としてみせていたエイダでも、武器のない状態で、抵抗するわけにもうかない立場で脱がされるのは辛いところだ。FBIの身分でここにいて、厳しいボディチェックの内容にも合意した扱いで、下手に逆らうわけにもいのだ。
「さて、これ以上鳴らないといいなぁ?」
楽しくてたまらない表情で、検査官は金属探知機をタイトスカートにかざし始める。アソコにぐっと近づいて、脚もひとしきり調べられ、エイダは薄らと汗を浮かべる。
(スカートは脱がずに済めばいいのだけど)
「尻はどうかなぁ? 大丈夫だといいなぁ?」
尻に金属探知機をかざし始めて、エイダの恐れたブザー音声はすぐさま鳴った。
「あ、あら、おかしいわね」
「ボタンとかチャックに反応してる可能性もあるからなぁ? だが、反応があった以上は調べざるを得ないよなぁ? こっちにゃあ、職務上の責任があるからなぁ?」
つまり、脱げということだ。
エイダは仕方なくタイトスカートの留め金を外し、自分が無防備になっていく感覚を味わいながら、下へ下へとやっていく。
ショーツも同じくワインレッドで、黒いフロントリボンを縫い付けつつ、より暗い赤を使った薔薇の刺繍が飾り付けとなっている。刺繍の下にある生地は、やはり滑らかな光沢を帯びていた。
「それで、ここまで脱がせてご満足?」
エイダは気丈に振舞っていた。
「どうした? 顔が赤いぞ?」
そんなエイダを検査官は煽る。
「気のせいね。大したことないわ」
「だったら下着も脱いでみるか?」
「あら、どうして?」
「両手を上げろ」
煽ってみても、どうしても涼しい顔を崩さない。頬が少しばかり染まった程度のエイダに対し、不満なような、関心した様子で、流れを切っても腕を上に上げさせる。
「で? まだなの?」
エイダの目は、早く終われと言わんばかりのものだった。
「まったく、大したもんだなぁ?」
わざとらしく褒めながら、検査官はエイダの胸を揉む。ひとしきり指を動かし、ほくそ笑む検査官に対し、エイダは睨まんばかりの眼差しを返している。
「あなたに揉まれても、盗聴器なら出ないわ」
遠回しに乳首は突起しないと、検査官の手では感じないと言ってのけ、そんなエイダの言葉が彼をむっとさせていた。
「なるほど、少し待ってろ」
検査官は急にエイダに背中を向け、この部屋から去って行く。
一体、何を考えて出て行ったのか。
(どうせロクなことじゃないわね)
何があったところで、最後まで涼しい顔をしていてやろう。
そう考えるエイダの前に、ようやく検査官が戻ってくると、彼は今まで以上に愉快でならない楽しげな表情を浮かべていた。
「それで? なんだっていうの?」
嫌な予感にエイダは眉を顰めていた。
「薬物使用の疑いがある」
「どういうこと?」
「なんでも、麻薬捜査で浮上した情報が俺達の元に来ていてな。東洋人の女には気をつけなくちゃいけないらしい。アジア系は薬物検査必須だそうだ」
本当だろうか。
嘘の口実ではないかとエイダは疑う。
「困った話ね。早く潔白を証明してくれる?」
しかし、嘘を追求できる立場でもなく、エイダはそう言うしかなかった。
「そこに両手を突け」
検査官はテーブルを指す。
言われるままに体重を預け、尻を突き出す。エイダは無防備な尻の向こうに男の気配を感じつつ、検査官からすれば剥き出しの背中がそこにある。ブラジャーがかかった白い素肌に連なって、くびれのカーブを成した腰から、大きな尻へと続いていく。
「採尿だ」
(やっぱり、最低ね)
尻に手が置かれ、エイダは恥辱を顔に浮かべる。
検査官はショーツの生地をよく味わい、滑らかなサテンが覆う尻を揉む。さらに生地をずらしてやり、生肌を剥き出しに、まるでTバックのように丸出し同然にしてしまう。大きな尻の谷間で紐のように細く絡まり、捻れたサテン生地の光沢は、美尻の良い飾りつけとなっていた。
「いい肌だ。茹で卵が綺麗に剥けた時のようにツルツルに光ってやがる」
「そ、それはどうも……」
さしものエイダも、頬の染まりは桃色程度では済まなくなり、しだいにはっきりとした赤へと近づいていく。
「なあ、お前もそう思うだろう?」
検査官は補佐官に話を振っていた。
「もちろん」
「この美人から採尿するんだ。もっと見えやすいところに来たらどうだ?」
「本当ですか? では遠慮なく」
嬉しそうな若い声が近づくことで、エイダにとって尻の背後の気配が二つに増える。丸出しと変わらない尻に意識がいき、痛いほどの視線を感じた。
「始めるぞ」
検査官がしゃがむと、肌に感じる気配はより強まる。アソコのあたりに、大切な部分の布に指が来るなりエイダは強張り、身体中が警戒心を高めていく。
布がずらされた。
(まったく、こうなるなんて……)
まるでレーザーに焼かれるような視線の熱を感じるエイダは、テーブルに置いた両手を拳に変えて握り締め、顔の赤らみを懸命に堪えていた。
「ちゃんと見えるか?」
「ええ、問題なく」
脚のあいだに何かが添えられ、肌にぶつかる紙製品の感触は紙コップだ。しかも検査官は放尿を二人で楽しむため、自分の身体が邪魔にならないように、ポジションの調整までしているのだ。
「さあ、出すんだ」
(……冗談じゃないわ)
誰が好きで放尿などするものか。
しかし、そうせざるを得ない立場に歯を噛み締め、エイダは恥部に意識をやる。出そう出そうとは思ってみても、最後に水分を摂ったのはいつだったか。緊張で引っ込んでしまうせいもあり、なかなか出ない。
(どうしてこんな恥を……)
二人もの男に見守られ、放尿のために踏ん張るなど、こうも格好悪く情けない話があるだろうか。アソコを視姦されるだけでさえ、心が恥辱に締め上げられ、脳がどうにかなりそうだ。
「どうした。FBIは小便の出し方も知らないか」
「……っ! 急には出ないだけよ!」
こんな形で煽られて、エイダは声を荒げた。
「出ないなら出やすくするしかないなぁ?」
その瞬間だ。
「っ!」
性器に指が伸びてきて、エイダは目を見開いた。
検査官はワレメを撫でて、クリトリスへの刺激を始めたのだ。肉芽は少しずつ突起していき、性感をくすぐられたエイダは、しだいに尻を悶えさせ、感じた素振りを見え隠れさせていく。
検査官の指には愛液がまとわりつくようになっていた。それが滑りを良くすることで、エイダが受ける刺激は強まり、快感を隠せなくなっていく。
「気持ちいいのか? FBI」
「べっ、別に……」
「あ、耳が赤くなってますよ?」
「ほーう?」
気丈な振る舞いを許さないかのように、補佐官が嬉しそうに指摘して、検査官はお得な情報を知って満足そうな顔をしていた。
「気持ちいいんでしょうねぇ?」
「だろうなぁ?」
(本当に……! この人達は……!)
一体どれほど喜んだり、勝ち誇ったりしているのか、それを思うだけでも苛まれ、やり場のないも気持ちが心の中で暴れていた。
「尿道はこのあたりか? ここを刺激してやんないとなあ?」
ワレメに潜む尿道口を探り当て、そんなところまで指先で揉み始める。
「あっ、くぅ……」
声が漏れかけていた。
エイダには決壊が近づいていた。引っ込んでいたはずの尿意が徐々に膀胱に膨らんでいた。
「お? 糸が引いたぞ?」
検査官は指とアソコのあいだに糸を引かせる。
「引いてますねー」
補佐官もまじまじとそれを眺めた。
「くぅ……んぅ…………」
感じているとも、屈辱を堪えているとも知れない、呻きか喘ぎかもわからない声が漏れていた。
「出る時は、ちゃんと言うんだぞ?」
ぺちんっ、と、そんなことを言いながら検査官は尻を叩いた。
冗談ではない。
自分の口から放尿を宣言して、しっかりと見てもらうなど、もはや重い軽罰だ。
「……出るわ」
しかし、エイダはそう告げる。
その瞬間だ。
――チョロッ、
少しだけ飛び出た黄金液が、何滴かコップの底に落ちたのをきっかけに、数秒後には放尿が始まった。最初はコップの底が水に叩かれ、溜まれば溜まるほど、水面を叩く音へと変わっていく。
(……くぅっ、こんな……見られながらなんて……人生で始めてよ!)
脳が沸騰せんばかりの激しい恥辱で、とうとう耳まで真っ赤に染まる。首から上が綺麗に赤面しきったことで、エイダは顔さえワインレッドと化していた。
放尿が途切れる頃には、紙コップには十分な量が溜まっていた。
「拭いてやるよ」
この上、検査官はウェットティッシュを用意して、その手でエイダのアソコを拭く。排泄の世話を他人にされる屈辱で、エイダの顔はますます歪み、拳は固く強張っていた。
「たっぷり出たな。気持ち良かったか?」
「……そうでもないわ」
「嘘をつけ、こんなに出たんだ。マンコだって、エロ汁で糸を引いていたじゃないか。感じまくっていたんだろ?」
こんな言葉を聞かされながら、ウェットティッシュがワレメの部分に押し込まれ、前後に動き続けてくる。
(こいつら……! 本当に、本当に……!)
「最後だ。下着も全部脱げ」
まるでトドメを刺されるかのようだった。
「…………最低」
小さな声で吐き捨てつつ、エイダは二人の男を振り向く。
優越感に浸った満足そうな男に対し、エイダは真っ赤な顔を下に向け、固く歯を食い縛り、顎を力ませ震わせていた。
背中のホックを外し、ブラジャーを脱ぐと、補佐官がそれを取り上げる。
ショーツの方は検査官が取り上げた。
「なるほどなぁ?」
持ち主の目の前で、ショーツの生地を裏返す。検査官は手の平の上でクロッチをすりすりと可愛がり、宝物でも愛でるように摩擦した上、顔に近づけわざとらしく匂いを嗅ぐ。
「衣類も検査する。別室へ持っていけ」
「はい」
ひとしきり楽しんだ挙げ句、検査官は補佐官にショーツを任せる。補佐官は他の衣服も全て畳んで一つにまとめ、この部屋の外へと持ち出していった。
ブーツや靴下すらなく、完全な丸裸で、エイダはそこに立っていた。
「お? もう少し早く突起していれば、盗聴器を疑ったのになぁ?」
検査官は乳首に手を伸ばし、指先で悪戯する。
「やめて頂戴。まだ終わらないの?」
エイダはその手を払い退けた。
「なに、次で最後だ。足を肩幅ほどに開き、自分で自分の足首を掴め」
それは尻を高らかにして、恥部を曝け出すための、前屈に近いポーズである。身体を二つに折り畳み、床に頭を近づければ、下半身に強い視線を感じるのは当然だった。
検査官がしゃがむなり、アソコと肛門のすぐ近くにまで顔の気配は迫る。至近距離からジロジロとした視線を感じることで、肌を炙られているような、火傷しそうな熱を味わい、さらには指で性器を開かれる。
「小便したばかりにしては綺麗じゃねーか」
検査官はまじまじと肉ヒダを眺め、指まで挿入して膣内の調査を始めた。
「んぅ…………くぅ………………」
「なんだ? 感じてるのか?」
膣内に物を隠していないか、そのための挿入だったが、根元まで埋め込み何も出て来ないとわかるなり、悪戯目当てのピストンが行われる。
「あっ、んぅ……そんなこと…………」
「ははっ、気持ちいいくせに」
指は引き抜かれていくが、本当の最後が残っている。
検査官はガラス棒を用意していた。
「ほら、もうちょっとだ。頑張れよ?」
尻たぶに片方の手を置き撫でながら、検査官はジェル付きのガラス棒を突き立て挿入していく。肛門の中身さえ調べられ、エイダの抱える感情は言い知れない。
(くっ、こんな……! こんなの……!)
エイダは全力で目をつむっていた。筋力の許す限り極限の力でまぶたは閉ざされ、頬は面白いほどに強張っている。顎が震えるまで歯を強く食い縛り、自ら足首を掴む握力も、爪が食い込まんばかりであった。
「終わりだ。良かったなぁ?」
尻をペチペチと叩きつつ、検査官はガラス棒を引き抜く。
ちょうど、補佐官が衣類を抱えて戻って来た。
(まったく……やっと解放されるわ……)
恥辱感を引きずりながら、テーブルに置かれた着替えに手を伸ばす。すぐにショーツを穿こうと思ってみると、妙な具合に顔を顰めた。
「これは……」
エイダは引き攣っていた。
青臭い香りのする妙な液体が染み込んで、ショーツの裏地がまんべんなく湿っていた。べったりと貼りついた液体は、もう水分を吸収しきれなくなった布地の上に乗り、ぷるっとした白濁として揺れていた。
精液だった。
衣服を調べると言いながら、人の下着をこんな風に使ったのだ。
「穿け」
検査官の声に、エイダは彼を睨み返した。
「……言い趣味。一生忘れないわ」
「いいから穿くんだな。よく温まってるぞ」
検査官はもちろん、こんなものを持って来た補佐官も、エイダにニヤニヤとした視線を送っている。白濁に濡れたショーツを穿く瞬間を、今か今かと楽しみに待っている。
本気でわからない。
排泄物に手を突っ込むのと、これを穿くのと、一体どちらがマシなことか、エイダには本当にわからない。
「…………」
無言のエイダは、静かに二人を睨む。
ニタニタとした視線に見守られ、不快感に身震いしながら、エイダはショーツに足を通した。不潔なものを身につける拒否感で、肌中に鳥肌が立ち、こんなものを穿こうとしている指さえ震えた。
にちゅり――
と、穿いた途端に、ワレメの肌に白濁が広がって――
ぞわぁぁぁぁ――
毛穴という毛穴が広がった。
全身、全ての体毛が逆立っていた。
ショーツと肌の隙間で潰れ、白濁はアソコの表面に広がって、ねっとりとした嫌な温度が皮膚に伝わる。何人分ともしれない量は、ワレメの隙間から膣に入りそうな予感さえして、背筋に寒気も走っていた。
「穿いたな? 着替えが済んだら通っていいぞ?」
「次回もボディチェックを行いますので、そのつもりで」
二人の男が浮かべる表情は、楽しくてたまらなかった、とても満足しきったもので、逆にエイダは屈辱と不快感を抱えながら、さっさと着替えてこの先へと進んでいく。ショーツの中身がいつまでもいつまでも気になって、いっそ脱いでしまいたかった。
こんな状態で、エイダは博士の護衛という表向きの任務に就く。
研究所の秘密を探るのは、半ば仕返しのような気持ちで取り組むこととなるのだった。
暗闇の中で眠りに意識を沈めていると、たまに思い出すことがある。
ぺんっ!
と、打音の記憶。
リナリー・リーは自分が何歳の頃から教団にいたのかを覚えていない。わかっているのは、両親をAKUMAに殺され孤児となり、イノセンスの適合者であったがために教団へ連れて行かれたことである。
兄とは離れ離れに、自由に外にも出してもらえない。
最初は教団が牢獄のように感じられ、脱走を企てたことさえあった。
ぺちん! ぺちん!
記憶の中には打撃の音が残っている。
脱走がバレて捕まり、お仕置きを受けた屈辱は、決して消えはしない。
あの時、リナリーは四つん這いにされていた。
大の大人に囲まれて、精神的にも抵抗できず、されるがままにスカートを捲られて、丸出しとなったショーツの尻にペチッ、ペチッ、と、二度と脱走など考えないように、思い知らせるための平手打ちが行われた。
がっしりと掴まれ、揉まれもした。
欲望のままに撫で回され、手の平によって味わい尽くされた。
何人もに囲まれて、衆人環視の中で仕打ちを受けたトラウマは、リナリーの心に大きな傷を与えていた。
それでも、いや、だからこそ――。
なおも脱走を企て、またしても捕まりお尻を叩かれ、三回目に囚われた時は全身を撫で回された。ペナルティを与えることに躍起になり、女の子なら性的な悪戯をしようと考えた大人により、胸やアソコを弄られた。
やがて、ついにリナリーは拘束された。
小さかったリナリーにとって、それはどれほど恐ろしかったか。自分を教団に連れ去った上、監禁までする大人達への恐怖は計り知れなかった。
「気が触れてしまったか」
「縛りつけておかないと、何をするかわからない」
「絶対、死なせるな。外にも出すなよ」
「大事なエクソシストなんだ」
一度は精神が壊れかけていた。
もし兄が現れなければ、今頃はどうなっていたか。
兄のコムイあってこそ、やがて黒の教団を家と思うようになり、ここにいる仲間を家族と呼べるようになったのだ。
皆が皆、あんなお仕置きをしてきたわけではないから……。
†
奇怪ある場所にイノセンスはある。
そこに在るだけで影響を及ぼし、適合者が持てば対AKUMA武器となる。対抗手段だ。それをAKUMAに奪われたり、破壊されれば、戦力を失うことと同じである。
千年伯爵やAKUMA達の勢力に対抗するには、一つでも多くのイノセンスを集め、エクソシストを増やし、戦力を高める必要がある。
そのため、教団は怪奇現象や奇妙な噂など、可能性のある場所を虱潰しに調べ、確率の高い場所にはエクソシストを送り込む。
リナリー・リーは任務に訪れていた。
その町には怪奇現象の噂があり、既に原因とみられるイノセンスを探索部隊が発見済み。それを狙うレベル2のAKUMAが徘徊しており、脱出は困難であるとのこと。
AKUMAから探索部隊の仲間を守りつつ、イノセンスを持ち帰る。
これが任務の内容であり、リナリーはAKUMA達と遭遇していた。
さわっ、
お尻に手の平が当たる感触。
ぞっとしながらリナリーは素早く勢いよく振り向いて、回し蹴りをお見舞いする。黒い靴の威力はAKUMAを破壊し、粉塵に変えて消し去るも、リナリーはまだまだ何体ものAKUMAに囲まれていた。
エクソシストは常に黒い団服を着る。
よく目立ち、十字架のマークまで掲げ、自分はエクソシストであるとアピールして回るようなものである。
バレるために着ているのだ。
人間に化けたAKUMAを炙り出すため、自分に近づく者を全て疑うことができるため、その例の通りにリナリーも団服で町を訪れ、釣られたAKUMAがこぞって姿を現したのだ。
リナリーを取り囲むAKUMA達は、どれもがモデル人形によく似ていた。
絵描きに使う木製の、球体関節の模型達は、実際のモデル人形と違って目玉を生やし、手足の指がそれぞれ五本、しっかりと形になっている。
奇怪な動きだ。
およそ人間的ではない、おかしな方向に関節が曲がる。肘が、膝が、逆方向に折れ曲がり、踊りのように上半身を振り回す。フラついているのか、奇妙なダンスをしているのかもわからない、不可思議な動きでリナリーに迫り、抱きつこうとする。
口からトゲを吐き出しながら、ウイルスを打ち込もうとしてくる。
レベル2のAKUMA達だが、リナリーは決して捕まらない。
黒い靴で地面を蹴り、ふわりと宙に浮き上がれば、それは優雅な舞いとなる。軽やかな羽が風に乗るかのように滞空し、急に勢いよく降下する。落下と共に放つかかと落としで一体を破壊した。
その瞬間、正面から抱きつこうとしてくるものを、今度は下顎を打ち上げるキックで宙へと蹴り飛ばし、背後からの抱擁を逃れるために跳躍――その回避が、そのまま蹴り上げたAKUMAへの追撃だ。
上昇していくAKUMAへリナリーは追いつき、空中で横並びとなるなり再びキックを放ち破壊する。
これで残るは三体。
次に着地した途端――。
さわっ、
お尻に手の平が当たる感触。
「ひゃ!」
リナリーは悲鳴を上げ、背面にキックを放つ――AKUMAだった。
残り、二体。
どういう……こと……?
不快感を噛み締め、リナリーは同時に疑問も抱く。
お尻に触るチャンスがあったなら、そこでリナリーを殺せたはず。元は人間であるのなら、AKUMAにも女の子の身体に触れたい気持ちがあるのだろうか。
リナリーを殺すことより、お尻へのタッチを優先するAKUMAだった。うっかり隙を見せても、そこで死ぬとは限らず、だからレベル2であろうとも、残る二体を倒すのに苦労はなかった。
近頃はそんなAKUMAが多い。
リナリーを殺すなり、深手を負わせるチャンスがあっても、お尻を触ったり、胸や腰に手を伸ばす。不快でならないが、反撃を喰らってでもそうしてくるAKUMAは、普通よりも倒しやすいのだった。
だが、AKUMAだけではない。
教団内にも、リナリーをいやらしい目で見る者は多かった。
†
近頃、視線が気になることが多い。
教団本部でコーヒーを煎れ、書類仕事の男達に配っていると、テーブルに置いてやる際に胸を見てくる。ふと背後の視線が気になって、不意に後ろを見てみれば、お尻を見ていた男が慌てて顔を逸らして机に向かう。
「だいぶ女の子として成長してきたねぇ?」
などと。
胸やお尻の具合についてほのめかす中年男など、リナリーが困ったり嫌がる素振りを見せても、構わず視姦してくるのだ。
リナリーはそうした視線に敏感になり、ムズムズと感じるようになっていた。
まるで小さな虫が皮膚を這っていたかのような、かゆいようなくすぐったいような感覚がよくあるのだ。
そのせいなのか、リナリー自身にはわからない。
ただ最近、寝付けないことが増えていた。
†
リナリー・リーは一般的な教育は受けていない。
教団内の大人が教師代わりに、常識的な学力はあるのだが、性や身体について知識は薄い。同じ女性がいたから、生理だけは学んでいるが、受精の方法や男性の射精について、踏み込んだ内容の性教育は受けていない。
その晩、自分がムラムラしていることを、リナリーは理解していなかった。
「はぁ……はぁ……い、いったい……」
ベッドの中でモゾモゾと、リナリーは太ももを擦り合わせ、体中の火照る切ない感覚に身悶えしていた。
「なんなの……この感覚……」
下腹部が熱い。
乳房も芯から疼き、衣服の内側で乳首が突起してきている。
寝付けない。
ベッドに入って小一時間、まるで眠りに落ちることができない。精一杯の思いで睡眠の世界に落ちようとしてみても、沈んだ意識を疼きによって汲み上げられる。
「もう、しょっちゅうこれ。ぜったい、おかしい」
今日だけの話ではない。
週に何度も、こうして眠れない時がある。
不眠症? ストレス?
それとも、他に何かの病気?
†
「なるほど、眠れないわけね」
その日、医務室に顔を出したリナリーは、身体についての相談なので、その方が安心と思って女の先生をお願いすると、二人の看護婦が迎えてくれた。
恥ずかしながら、リナリーは伝えた。
胸やアソコが疼き、眠れない日々が続く。不眠症の一種だろうか、病気だろうかと心配している旨を告げる。
四十過ぎの中年看護婦、二十代前半の新人であろう若手看護婦。
この二人が、リナリーの診察をしてくれる。
「思春期特有のものかもしれないわねぇ?」
中年看護婦は穏やかに、子供が微笑ましいかのような顔を浮かべた。
「大丈夫よ? きっと心配ないから」
若手看護婦はリナリーを安心させようとしてくれる。
同性で、かつ親身になってくれる気配もあり、おかげでリナリーは胸だのアソコだのといったことまで、恥ずかしくはあっても口にすることができたのだ。
「ま、何らかの症状かどうかは確かめないとね。ところで、その団服は分厚いから聴診がしにくいの。前をはだけてもらえるかしら?」
中年看護婦は穏やかに指示を出す。
リナリーは従った。
団服の前を開き、内側の黒いブラジャーを曝け出す。
――ごくっ、
と、晒した途端、二人が生唾を飲んで見えたのは気のせいか。
美味しそうなものに鼻息を荒げたような気がした。
気のせい、よね。
なにを不安がってるんだろう、私。
聴診器が乳房の下あたりに触れ、中年は耳に意識を集中する。次の音を聴こうと胸の中央に当て、やはり静かに聞き取った。
「他にも色々と見ていくわ」
中年は次々と診察を行った。
ペンライトで口内を照らし、喉を診る。下まぶたを開き、血色を確かめる。首まわりのリンパに触れ、腹も何カ所かを指で押し、痛みや違和感がないかを聞いてくる。
「ここまでは何もないわ。ブラをずらしてもらえない?」
「ブラですか?」
一瞬迷う。
しかし、同性相手であること、体調管理はきちんとしておきたいこと、不調のまま戦うのは危険であろうこと、様々な思いが絡み合い、リナリーは乳房の露出を了承する。同性で良かったと思いつつ、リナリーはブラジャーをずらして持ち上げた。
やはり、少しは恥ずかしい。
ん? やっぱり、気のせい?
表には出さないが、リナリーは内心で首を傾げる。
またしても、生唾を飲んだかのような、かすかな気配が感じられた。男ならともかく、同性が乳房を見たところで、興奮するはずもないというのに。
「さて、皮膚の感じと胸郭の形状を診ておくのだけど」
中年が少しだけ前のめりに、見るからに胸に視線を送ってくるのは、気恥ずかしいものがある。
「触診するわね」
手が伸びてくる。
何の変哲もない、調べようとする手つきだ。何を探してか、指を丁寧に押し込んで、指先で反応を探ってくる。人の手が乳房に触れてくるのは気になるものの、真面目な顔つきで、機械の点検か何かのように触診をこなしていた。
そのうち、乳首に触れられる。
「ひゃっ!」
電流が弾けたような、驚くような刺激にリナリーは肩を弾ませていた。
何?
今の、何?
と、リナリー自身が困惑していた。
「どうしたの?」
「いえ、すみません」
「痛かったかしら?」
「痛みではなくて、なにか変な刺激が……」
「変な刺激? もう少し触るから、我慢してもらえる?」
「は、はい」
また、おかしな刺激が来るかと思うと、抵抗がないでもない。
いいや、今のが病気のせいなら、それこそ診てもらう必要がある。
指が、乳首に触れた。
「――――ん!」
左右の手で、親指と人差し指で、二つの乳首を同時につまむ。指圧の強弱をつけ、押し込んだりなぞったり、様々にタッチを変える。
「んっ、んぅ……」
「刺激についてだけど、痛みとか、痒みとか、そういった感じではなさそう?」
「んぅ……そ、そうだと思います……」
「なら、気持ちいい?」
「ええ、それが近いような」
リナリーは何の疑問もなく、ただの問診の一部として答えていた。
――ニッ、
と、中年が笑った気がした。
背後に控える若手看護婦も、興奮気味に紅潮していた。
空気が変わった。
どんな空気に、と言うべきかはわからない。ただ、仕事をこなすものから、何か別のものへと変化して、肌にまとわりつく空気の質がねっとりとしたものになっていた。
「思春期における二次性徴はわかるかしら」
「胸が膨らんだり、とかですよね」
「そ。その影響で変化が訪れて、それで肌が敏感になっているのかも」
中年は再び乳房に手を伸ばし、今度は鷲掴みに揉み始めた。
「え? んっ、んぅ……んっ、んぅ…………」
明らかに異なる触り方で、言ってみるなら男がオッパイを揉みたがる手つきが頭を掠める。
「これはエッチな快感よ?」
「え、エッチって……」
「リナリーちゃん。性の知識はどれくらいある?」
「あまりたくさんは……」
「子供の作り方は?」
「受精とか、精子とかは聞いたことがありますけど」
「この歳でそのレベルはまずいわね。いい、今から私が教えるから覚えなさい。セックスも含めて覚えてもらうわ
かくして、中年は語り始める。
ペニスの挿入によって子作りを行うこと、コンドームの存在、男の射精や女の膣分泌液について、フェラチオ、パイズリ、手コキのような知識さえも中年は語った。真顔で真剣に、あたかも必要な一般常識のようにして、講義のように知識の数々を並べていた。
刺激の強い内容だ。
無知に近かったリナリーには、聞くだけで赤らむ話ばかりだったが、赤裸々な情報を頭に入れ、自分なりに異性との関わりについてを思う。男にはそういった欲望があり、女の子にも性欲はある。
だからこそ、自分の身体は大切に、性交渉の相手は慎重に選ぶべき、と。
ただエッチな話をしたのでなく、様々な性癖やフェラにパイズリの存在まで挙げつつも、男はそういう生き物だから気をつけよう。いつかそうなっても構わないパートナーを見つけよう。
といった風に締め括る。
「ところで、あなたは知る必要があるわ。エッチな快感を得ることで、自分が一体どうなってしまうのか。いやらしいAKUMAの報告も聞いているし、把握しておくのは絶対に必要なことよ?」
「は、はい……」
「そこに横になってもらえるかしら?」
中年は診察台を指す。
リナリーは靴を脱ぎ、仰向けになってみるなり、すかさず若手看護婦が団服を左右に開く。頭の上で、頭頂部に腹が当たってくる位置で、若手はブラジャーまで持ち上げ、改めて乳房を露出させた。
……うっ。
また、胸を見られて……。
決して、気にならないわけではない。
ただ、診察の中で胸を出す分には、それも同性相手であるうちは、とても冷静に我慢していられた。
「あなた。任せるわ」
「はい、私がやりましょうね。よろしくね? リナリーちゃん」
気の良さそうな、穏やかな微笑みで、若手看護婦がリナリーの横につく。両手を伸ばすなり胸を掴み、揉み始め、すぐに快楽が満ち溢れた。
「んぅ……あ……」
「羨ましいわ! 張りがあって可愛くて、いいオッパイ!」
愛おしそうに目を細め、若手は揉みしだく。
「あっ、んんぅ…………」
「気持ちいい感じがする?」
「はい……」
「それが性的快感。エッチな気持ち良さ。一応、病気の可能性は完全には捨てていなくて、触診も兼ねてやっているの」
若手はさらに乳首をつまみ始め、くりくりと転がし遊ぶ。指で押し込み、乳輪をなぞり、様々に刺激を与えていた。
「んぅっ、くぁっ、あぁ……! あぁっ、んっ、んぅ……!」
その間、リナリーは悶えていた。
触診という言葉を聞かされ、それを信じて、リナリーは乳揉みを受け入れて、モゾついているのだった。
「とてもエッチな反応ね! リナリーちゃん! 男の子が見たら大興奮よ!」
若手は興奮する。
「そ、そんな……!」
リナリーは瞬く間に赤面した。
そういう反応なのだと、面と向かって言われた衝撃。まさに男が悦ぶ様子を見せていた事実。全てがリナリーの顔を赤らめていた。
「いい? ただエッチなことをしてるんじゃないの。先ほども言ったように、病気の可能性を視野に入れたまま、触診を兼ね、あなたには弱点を把握してもらうわ。この先、どんなAKUMAが現れるかわからないもの。エクソシストのあなたには、性的でいやらしい攻撃に対するためにも、自分の肉体をきちんと理解する義務があるの」
そんな理論を中年は展開した。
AKUMAと戦うためと言われれば、リナリーには重く響く。エクソシストにしか倒せない上、リナリーには兄に救われた時の恩がある。兄が来てくれればこそ、今こうして真っ直ぐに生きている。
だから、兄のために戦う思いがリナリーにはある。
「わかって……います……」
リナリーは半ば腹を括っていた。
「アソコもやるわ。上は直していいから、スカートを上げなさい」
「……はい」
†
リナリーはスカートを巻き上げて、脱いだも同然の露出を行っていた。
黒いゴシック調のショーツに、飾り付けの白い刺繍と赤いリボンが施され、エクソシストの団服にマッチした相応のオシャレとなっている。
やっぱり、少し……。
下着が見えることへの抵抗は皆無ではない。
男の視線を想像すると、とても耐えきれそうにはない気もするが、同性相手に気がどうにかなるわけではない。
静かに、我慢していられる。
だが、恥ずかしいのだった。
「じゃあ、脚は開いてね? M字みたいにね」
「開くんですか?」
「そうそう! M字M字! ね? 診やすいためだから!」
若手に押され、リナリーは渋々両足を持ち上げる。ポーズを変えればアソコが目立つことを考えると、先ほど吸収したセックスの知識が頭を掠める。男性器の挿入がやりやすそうな、いやらしいポーズに思えて赤らんだ。
M字開脚の形を取るなり、若手は脚を押し倒さんばかりに、体重をかけんばかりに両手で押さえてくる。
「いくわよ?」
中年は下半身の向こうで屈み、真正面からリナリーのアソコを覗く。ショーツ越しとはいえ、大切な部分にまじまじと視線を送られ、赤面の熱がさらに上がった。
「ひゃ!」
指先が触れ、甘い刺激が弾けて声が出た。
「あら? 大丈夫?」
「へ、平気…………」
「続けるわね?」
中年は構わず続行し、ショーツ越しのワレメをなぞる。
「あっ! んぅ……んっ、んぅ……!」
「どんな感じ? 気持ちいい?」
「はっ、はぃぃ……! んっ、んぅぅ……!」
「なら覚えてね? もしもエッチなAKUMAがいたら、アソコをやられると、今くらいの刺激がある。いいえ? 特別な能力があったりしたら、もっとおかしくなるかも。嫌でしょう? だから、今のうちに勉強するの」
「んぅぅぅ……くっ、くはぁ……!」
黒いショーツの表面が、みるみるうちにぬめりを帯びる。しだいに糸を引く気配が現れ、濡れた染みも浮き上がる。黒い布だが、水分の吸収で濡れた部分だけがより色を濃くしていた。
「じゃあ次は中身を診るわよ?」
「中身って……」
「もちろんアソコの中身よ?」
ショーツを横へとずらされ、リナリーは自分の性器が外気に露出したことを感じる。大気に触れ、視線にも触れ、ムズムズとした切なさが込み上げる。下腹部の奥が熱っぽく引き締まる。
「あら? 綺麗なワレメね。中身はどうかしら」
リナリーは羞恥した。
性器の感想を言われてしまい、そのまま指で左右に広げられては、赤面はより加速的に広がっていく。
「はっ、恥ずかし…………」
そんな声には、だから許して欲しい気持ちが滲んでいた。
「とても綺麗な桃色ね? エッチな汁で宝石みたいに輝いているの。見ていて興奮しない男はいないでしょうね」
「いやぁ……!」
両手でアソコを隠し、がっちりと守りたい衝動にかられた。両手はモジモジと下へ近づき、隠したがっている気持ちだけが現れていた。
「はーい。入るわよ?」
中年の指先がアソコに触れる。
だ、だめっ、やっぱり――
恥ず……かし……
唇の周りが力み、目尻や眉間にも力が入る。耳に熱がじわじわ迫り、赤面の広がりを自覚する。自分の今の表情を思うに、せめて顔だけでも隠したくなってくる。
「あ、ダメダメ!」
「え……」
リナリーの腕は押さえ込まれた。
太ももを押さえていた若手が、慌てて位置を移して来て、まるで押し倒すかのような具合にリナリーの手首を掴み、診察台に押しつける。真正面から若手の顔が迫る形となり、これで表情は隠せなくなってしまった。
やだっ、これじゃあ……!
脳裏を掠める記憶があった。
脱走のあまり拘束され、ベッドで身動きを取れなくされた恐怖を思い出すなり――きゅっ、と、どうしてか下腹部が反応する。
「ほーら」
アソコに指は入ってくる。
「んんっ、んぁ…………!」
侵入してくる異物が根元まで収まる感覚に、苦しいような気持ちいいような、どちらともつかない声が漏れていた。
若手と目が合った。
もう表情を見せることも恥ずかしく、リナリーは顔を背け、片耳だけを若手に向けていた。
「リナリーちゃん。かわいい」
若手からウキウキとした声が届いてきた。
「アソコの中も温かいわ。健康そのものかしら?」
膣内に指が収まり、リナリーの粘膜がそれをじっくり温めている。中年の皮膚には、膣液がじわじわと浸透しているはずだ。
「リナリーちゃん? 指がわかるでしょう? これがペニスだったらもっと太くて、個人差はあるけど初体験は基本的に痛いわね。オナニーをすることで、少しは慣らしておくことができるから、覚えておくのよ?」
「はい……」
「それから、女の子の最大の弱点は、基本的にここよ? 人によって性感帯はそれぞれで、中にはお尻の穴が弱い子もいるけど、性器が基本。こうして穴に指が入ったり、他にはクリトリスっていうのを触られると、より感じるのよ」
中年はもう片方の手を使い、肉豆の突起を爪で優しく、丁寧なタッチで虐めた。
「ひゃぁあ!」
リナリーの腰は大胆に弾んだ。
「あら、びっくしりした? エロAKUMAが出たら、今のをされないように気をつけないといけないって学べたわね?」
勉強ができてよかったかのように、中年は言っていた。
「じゃあ、動くわよ? セックスみたいなピストンをするから、将来パートナーができた時の予習として、しっかり覚えなさい?」
「あぁぁぁ……!」
指の出し入れが始まり、ぐりぐりとほじられる。最初はゆっくりとピストンしつつ、愛液の滑りを利用して、少しずつスムーズに軽やかに、大胆な愛撫が行われ、それにつれてリナリーの喘ぎ声は大きくなる。
「いい? これを男のペニスでするのがセックス。こういうことをするの。それが無理な相手とは交際しない。してもいいと思える相手をきちんと探す。そういう気持ちを養う意味もあるんだからね?」
クリトリスへの刺激まで追加され、穴と肉豆が同時に責められた。
「あっ、あぁ――んっ、んぅ――!」
くちゅり、くちゅり、と、指の出入りによって音が鳴り、刺激が走る。快楽電流の流れた筋肉が反応し、ビクビクと太ももが弾もうとしてしまう。押さえ込んでくる若手の両手を、かすかに小刻みに押し返し続けていた。
「あぁっ、んぅ! も、もう――」
それだけではない、リナリーは焦っていた。
下腹部に何かが集まるような、未知の予兆が高まっている。初めての体験で、リナリー自身にはこの感覚の正体がわからない。ただ、アソコがうずうずと切実になっていくのは、オシッコが出そうな時に似ているのだった。
「おっ、おねが――しまっ、んぅ――んぅ――んぁ――あぁ――」
「あらあら、どうしたの?」
中年は意地悪に笑っている。
「どうしたんでしょうねぇ?」
若手も悪魔的な笑みを浮かべていた。
「もっ、もう――なにか――あっ、あっ、んんんん――でそ――出そう――トイレに――」
悲痛な叫びを上げるリナリーだが、それを聞き入れる様子が誰にもない。
それどころか、指先のピストンはますます活発になっていき、とうとうリナリーにその瞬間はやってきた。快楽の波がどこまでも高まり、アソコの中で何かが弾けた。
プシャァァ――――
潮が上がった。
アソコの正面に顔をやっていた中年には、それが大胆に噴きかかることになってしまう。
一瞬、真っ白になった。
みるみるうちにリナリーの表情は染まり上がって、焦燥に満ち溢れた。
それは愛液だ。
しかし、体液の種類がどうであれ、まるで人にオシッコをかけてしまったような、取り返しのつかない失態を犯した衝撃に、信じられない思いでいっぱいになっていた。
「す、すみませ――――」
絶望さえ感じた震えた声で謝りかけ、
「いけない子ねぇ?」
邪悪に笑う中年の顔がそこにはあった。
「これはお仕置きね」
若手も微笑みで唇を釣り上げ、楽しげでさえある表情を浮かべていた。
人間の悪魔に囲まれている。
それがリナリーの置かれた状況だった。
†
リナリーは四つん這いになっていた。
お仕置きを言い渡され、今のリナリーの立場では、とても拒むことなどできはしない。主導権は完全に握られて、命じられたままのポーズを取っていた。
「こうしてみても、しっかりアソコが濡れてるわね!」
「言わないで……」
ポーズだけではない。
リナリーのスカートはしっかりと捲り上げられ、黒いショーツは丸出しだ。お尻をみんなで眺めるため、二人がリナリーの背後に並び立ち、ニヤニヤと視姦している。
――うずっ、
と、下腹部が引き締まった。
「まず、先ほどのは絶頂というものよ。イク、ってて言い方もする。性的快感の最高潮。それを経験したの」
中年はおもむろに手を乗せて、意味もなく尻を味わう。
「…………」
リナリーは何も言わなかった。
言えるはずがなかった。
「お尻がうずうずして見えるわよ? まるでお仕置きを待ちわびてるみたい」
若手が嬉しそうに言った。
「どうぞ? あなた
中年は獲物を譲らんばかりに、若手にお尻を明け渡す。
「本当ですか? じゃあ遠慮なく!」
順番の譲り渡しさえ行われ、若手がリナリーの後ろにつく。お尻のすぐ近くに人の立つ気配がわかり、リナリーはこれから受ける仕打ちに皮膚を興奮させていた。
どうして、こんな気分が……。
まるで自分の中に沸く心の正体がわからないかのように、自分自身に対して戸惑う。かつて脱走のお仕置きを受けたのは、嫌な思い出に他ならない。皮膚の疼きが自分で理解できずにいた。
ただ、本人が自覚していないだけで、リナリーにはとある『素質』があった。
かつて、お尻を叩かれている経験。怖くて痛いはずなのに、何故か気持ち良くもあった記憶。嫌な記憶として、普段は心の奥に封印していても、それはリナリーの性癖を作り出す一部となっているのだ。
ぺん!
叩かれた。
若手による平手打ちで、ショーツ尻はプルっと揺れた。
「うぅ……」
情けない。
ぺん! ぺん!
本当なら受け入れるはずのない仕打ちに、リナリーは涙を飲んで堪え忍ぶ。
ぺん! ぺん! ぺん!
「えへへっ、叩くたびにお尻がプルってするのがかわいい!」
「うぅ……そんな……」
自分では目視できないお尻の様子を語られて、リナリーますます恥辱に濡れる。
ぺん! ぺん! ぺん!
きゅっ、きゅっ、きゅっ、と、一発ごとにアソコの奥が引き締まり、膣の中身が熱くなる。じわっ、と体液が滲み出て、クロッチには湿り気が浮かんでいた。
「あら? 感じてますね?」
と、若手。
「これはイケナイ子ねぇ? 悪い子ねぇ?」
中年が前に出て、ポジションを入れ替わるなり、早速のように叩き始める。
――ペン!
若手よりも、強くやられた。
「んぅ――んぁ――」
あたかも感じたかのような喘ぎが漏れる。
ペチッ! ベチ! ぺチィ!
打音が響き、リナリーは惨めでならない。
こんな扱いには耐えきれないかのように胸を沈め、診察台に額を押しつけ、固く震える拳でシーツを強く掴んでいた。
「なにを感じているの? お尻を叩かれて気持ちいいの?」
右の尻たぶも、左の尻たぶも、中央の割れ目の上も、それぞれの場所で打音が鳴らされ、振動によってプルプルと、尻肉はその都度小さく震える。
「っと、やりたい?」
若手に尋ねる中年の声。
「はい!」
若手が元気に答えると、中年はポジションを譲り、お尻のそばで人の入れ替わる気配が伝わる。
ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ、
軽やかで音も小さい、針時計の秒針が鳴り続けるようなリズムで叩かれる。力が控え目な分、叩くペースは早まり、それだけ振動数も増えてプルプルする。
「んぅ……! んっ、んんんん……!」
「これで気持ちよくなるなんて、何のためのお仕置きかな?」
言葉による責め苦に苛まれ、かえって下腹部が反応する。まるで数秒やそこらで汗が滲んで濡れてくるように、リナリーのショーツは湿ってきた。
「どうして叩かれているのかわかってる?」
ペチッ、ペチ、ペチン、ペチッ、ペチン、
「それはっ、私のせいで、皆さんを汚して……」
「どんな風に?」
ペチン、ペチン、ペチン、ペチッ、ペチッ、
「そのっ、アソコから……」
「アソコから?」
「い、イって……噴き出して……」
罪状を声に出して言わされる。
そのあいだにも、ペチペチと鳴り続けるお尻の音と衝撃に反応して、膣の奥が熱っぽく疼いる。
やがて、感覚が膨らんだ。
潮吹きの前にあった予感。オシッコが出そうな感じに近いものが、リナリーのアソコには迫っていた。
「あっ、あの! 本当にすみません! だから――――」
「だから?」
ペチッ、ペチン、ペチン、ペチン、ペチン、
リナリーは一瞬にして言葉に詰まる。
また絶頂しそうだと伝えたら、悪い子を叱る口実を自分で与えるようで、言い出せなくなっていた。
ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ、
手の平が止まってくれることはなく、とうとう限界が来てしまい――
「――――――んくぅ!」
背中がビクッと震え、アソコは激しく濡れた。衣類の内側にスプレーを吹きかけたかのように、一瞬で染まる勢いでショーツは濡れ、太ももを伝って流れ落ちた。
「またイったの?」
それは怒られている最中にも関わらず、同じ悪さを繰り返したことへの糾弾だった。
「ごめんなさい! 本当に、本当に――」
――――ベチン!
これまで以上の強さで打ちのめされ、その一撃によって、リナリーはまたしても腰をビクつかせた。
†
「まったく、お仕置きが終わらないわねぇ?」
「でもしょうがない! だって、お尻を叩かれて喜ぶ変態さんだし!」
中年と若手の二人で叩いていた。
中年が右の尻たぶを、若手が左の尻たぶをそれぞれ叩き、肌に打音を立てている。
ペン! ペン! ペン!
それが交互に行われ、リナリーのアソコには次の限界が迫ってくる。
「――あっ、あああぁぁあ!」
ショーツを被せたワレメでも飛沫が散り、シーツには何滴かの染みができあがる。
「あらあらあらあら」
「またイキましたね! お仕置き追加!」
さらにお尻叩きは繰り返される。
ペン! ペン! ペン!
ペン! ペン! ペン!
右が、左が、交互にプルプルと揺れ続け、なおもアソコは高まっている。絶頂しても、また次の絶頂に向けて改めて高まり直し、リナリーは幾度となくイキ続けた。
ペン! ペン! ペン!
ペン! ペン! ペン!
絶頂を迎えるたびに腰が震え、太ももまでビクビクとするリナリーは、ショーツを限界まで濡らしていた。布地の表面がヌルヌルによってコーティングされ、これ以上水分が追加されても、もう見た目にはわかりようがなくなっていた。
「本当にしょうがないわね?」
いかにも呆れてみせる中年は、どこか満足そうでもある。
「あーあー。あんまりイクから、リナリーちゃんのお尻が真っ赤だね?」
若手はお尻に手を乗せて、さも子供の頭を撫でて慰めるように撫でていた。
「一体どれだけお仕置きすばいいのか、わかりもしない。こんな子がエクソシストだなんて」
深々とため息をついてみせていた。
「そんな……私……」
エクソシストであることさえ否定され、リナリーは打ちのめされる。
「かわいそう。お尻をなでなでしてあげるから、うつ伏せになってね?」
若手の指示に従わされ、四つん這いの身体を下げていく。べったりとうつ伏せになるなり、若手の手でショーツを下げられ、リナリーのお尻は丸出しとなった。
よく赤らみ、腫れっぽくヒリヒリとしていそうなお尻の山がそびえ立つ。
「可愛いお尻ちゃん」
若手は嬉々として手を触れる。
指先でさーっと、産毛に触れるか触れないかのタッチによって、皮膚の表面だけをくすぐる。
「うっ、くぅ……! んぅ……!」
敏感になった皮膚には、そんな刺激さえ強く感じられ、さわさわと指先だけで撫でられているお尻は震えていた。腰がモゾつくことで、お尻の山が左右にくねくねと、時には腰が浮かんで上下にくねり、見るからに快楽の反応を示していた。
ただお尻に触りたいだけだった。
「えへへっ、いい触り心地だぁ!」
両手を深々と尻たぶに埋め、楽しむ揉む。
リナリーは今更になって理解していた。
ここにいる二人とも、同性愛の気質があって、だからリナリーを弄ぶ。今の今まで真面目に診察を受けていたのが馬鹿らしく、悲しくなり、かといって人に愛液を振りまいている身分では、もうどうしようもないのだった。
†
最後のお仕置きはオナニーだった。
「あなたは欲求解消を覚えなくちゃいけないわ。最初からオナニーを知っていれば、体の疼きは自分で沈められたわけでしょう? こんなことにもならなかったかもね」
……その通りだ。
オナニーなど、聞いた時にはいやらしく思えたが、お尻を散々叩かれイカされて、こんな運命を辿るよりもどんなに良かったか。
「さあ、やってみせなさい?」
「…………はい」
リナリーは大事な部分を露出していた。
趣味なのか、何なのか、全裸になれとは言われないが、服をはだけ、下着もずらすように命じられ、リナリーは改めて団服を左右に開いていた。黒いブラジャーをずらし上げ、乳房を露出し、しっかりと巻き上げたスカートからはショーツも下にやっている。
黒いショーツはアソコから何センチか、太ももの半ばよりは上のあたりに絡んでいた。
そんな胸とアソコの見える形で仰向けに、激しく赤らみ、羞恥に表情を歪めきり、頭が沸騰しそうな思いで手を動かす。左手を自らの乳房に、右手はアソコに、二人の見ている前でオナニーを開始した。
「あぁ……くっ、んぅ……んっ、んぅ…………」
気持ち良かった。
自分の指を出入りさせ、胸も思い通りの具合で揉む。乳首を刺激し、クリトリスへのタッチも行いつつ、膣穴にピストンを行って、リナリーは全身をモゾモゾさせていた。淫らな吐息で熱っぽく、太ももは切なげに、体中で気持ち良さの信号を放っていた。
「くちゅくちゅ聞こえるよ?」
若手が水音に触れてくる。
「いい姿だわ。エクソシストのこんな姿を見られるなんて、まさに眼福よ」
中年も満足そうに目を細め、リナリーのオナニー姿をうっとりと鑑賞していた。
「あっ、ん! んぅ! んっ、んんん! んぁっ、あぁ!」
リナリーの手はしだいに活発化していた。
なんで……!
こんなっ、見られながら!
クチュクチュと、水音は激しくなる。
指先で愛液を掻き出さんばかりのオナニーで、お尻の下でシーツが濡れ、左手も大胆に乳首を貪る。
ま、また……!
私イっちゃう!
見られながら、オナニーやらされながら!
肉体が高まり、絶頂は時間の問題と化していた。
さらに活発化して、水音は高く鳴り――
「――あぁぁぁぁぁん!」
リナリーは背中を弓なりに、またしても潮を吹いていた。
それは二人の服にもかかり、絶頂からぐったりと沈んだリナリーは、薄らとした意識の中で理解する。
また、やっちゃった……。
お仕置き、終わらない……………………。
まだまだ、叩かれるに違いない。
その予感に肉体が興奮していることを、リナリーは薄々自覚し始めていた。
†
ペン! ペン!
夜の医務室では、時折そんな音が響いている。
リナリーが訪れた時に限って、色っぽい喘ぎと共に打撃の音が聞こえるため、知る人ぞ知る噂となる。
リナリー・リーは看護婦と関係を持ち、いつもお尻を叩いてもらっていると……。