• タグ別アーカイブ: 性交処置の制度下で ~それでも恋がしたかった~
  • 終幕「暗い未来へ」

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     七月中旬。
     三年生の女子達は着々と妊娠を済ませ、腹に命を宿さなければならない運命はあれども、ミイラ症を恐れる必要がなくなる一点だけは安心している。
     梓川夢音はまだだった。
     もう五回は処置室に入ったのに、未だに完了できないのはどういうことなのだろう。こうしているあいだにも、注射型ワクチンの効力は薄れていき、妙に喉が乾いて水分をやたらに取りたくなる日が増えてきた。
     これは夏のせいだけではない。
     発症の予兆……アプリを使った診断を行うと、精液飲用の必要を告げられる。
     ミイラ症の専用アプリは、個人情報との紐付けが行われ、毎年の検診データを元にした個別診断をしてくれる。発症の予感がして怖い時、日頃の体調について訪ねる項目にチェックを入れると、すぐに結果が出てくるのだ。
     ワクチン体質の精液は、飲用することで短期間の免疫強化が行える。妊娠無しでも、奉仕することで発症は避けられるが……。
    
    『先生、今日もお願いします』
    
     こんなメッセージを自分から送るなど、先生がつけあがることはわかっているのに。
     発症予防の薬が欲しくてたまらない、生死に関わる悩みの末、先生と過ごす時間の増加で俊樹とのデートは減っていた。
    
     ……いつ、終わるんだろう。
    
     夢音は知らない。
     稲田源一は避妊薬で精子を弱らせ、卵子まで到達できる確率を減らしている。気に入った女子は繰り返し抱けるよう、懸命に仕事を潰して時間を作り、セックスに魂をかけている。
     そんなことを源一は女子には漏らさないから、はっきりと確信している生徒など校内には一人もいない。
    
     夏休みはたっぷりと楽しもう。
    
     そんな源一の計画など、夢音や俊樹には知る由もないのだ。
    
    
    


     
     
     


  • 第17話「悪魔のメッセージ」

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     また、妊娠しなかったという。
     夢音の腹が大きくなるなど、進んで見たいものではないが、ミイラ症から命を守り、処置も完了するゴールはそれしかない。少しでも早く終わって欲しいと、夢音のためにも願っていた。
    「……暇だな」
     日曜日だが、今日はデートがない。
     朝のうちにトレーニングは済ませ、昼食後には勉強もこなし、もうやるべきこともない宙ぶらりんな時間こそ、だったらゲームや漫画でも楽しめばいい。
     その気力が湧かず、ぼんやりと天井を眺めて大の字で寝ているのが、今の桃井俊樹であった。
    「夢音……」
     デートがしたい、キスがしたい、抱きしめたい。
     しかし、処置の実施予定を先生によって入れられて、二人で会える時間は潰されてしまった。
    「俺がワクチン体質ならな……」
     そう思いはするが、考えても仕方がない。
     ワクチン体質になれるのは、体質的にアタリの人間が三〇歳を超えてからとされている。中学生の俊樹にはどの道ありえない話だが、どうしても夢想はしてしまう。
    「けっ」
     さしもの俊樹にも、あの先生ばかりは力で屈服させたくなる。
     暴力衝動に駆られたところで、現実が変わってくれるわけでもなく、ただ必要以上の接触を避けることで自分を抑えている。そんなことしかできない無力感には泣きたくなる。
    「もっと何か、できることがあったら……」
     夢音への思いに耽っていた時、携帯端末にメッセージの届く振動通知が聞こえてきた。
    「ま、見ておくか」
     気分ではないが、夢音だったら無視できない。
     端末を手に取って画面を起こすと、アプリに届いた見知らぬアカウントからの連絡に、スパムだろうと読まずに削除しかけるが。
    
    【夢音の様子だ】
    
     それがユーザー名であることに気づき、俊樹は戦慄して中身を開く。
     動画が届いていた。
    「ま、まさか……」
     サムネイルには何も映っていない。単なる漆黒の塊に、それが動画であることを示す三角形のマークが付いている。
     急に心臓が高鳴り、汗が噴き出していた。
     これを……これを再生したら……。
     決して見たくなどないはずなのに、何かに操られるかのように、指は動画を再生しようと動いてしまう。胸を抉り抜く辛い映像で心をやられる予感はハッキリとありながら、震えた指はとうとう動画を流してしまう。
     剥き出しの尻が大きく映った。
    「……ぐっ!」
     画面を丸ごと支配するお尻から、動画の中の女の子が一体どんな体位で男と繋がっているかがわかる。仰向けに寝そべった男へと、女の子が上から重なり、抱きつかんばかりに結合している。
     四つん這いの尻というのが一番近い、さらに言うから土下座した際の腰を上げればこうなりそうな映りの下半身は、その穴に黒ずんだ棒を咥え込んでいた。
     天高くそびえ立っているはずの塔に、膣穴が覆い被さっているのだ。
     結合部と、尻肉と、そして画面中央は肛門が目立っていた。
    「あいつ!」
     怒りに拳が震えた。
     健全な付き合いをする中で、正しくキスまで進んだはずの自分に対し、こんな形で夢音の裸の一部が送られてきた。お互いの合意の元で、きちんと相手に受け入れてもらわなければ拝むことのないものを、きっと夢音の意志は無視して送ってきた。
     これで興奮するべきではない。
     理性がそう叫んでも、思春期の中学生としては、ただアダルト映像がそこにあるというだけで、どうしても目を奪われてしまう。性別による本能と年頃の心が、途方もない好奇心を生み出して、俊樹を釘付けにしてしまう。
     アングルのせいか、とても巨大な尻に見えた。
     しかも、こうもまじまじと肛門を拝まされると、黒ずみの薄い綺麗な色合いの、可愛らしい皺の窄まりであると気づいてしまう。
     駄目だ、見てはいけない。
     正しく関係を進めた上で見るべきものから、引き剥がすように視線を逸らすが、その目は次の瞬間に吸引された。
    『あん!』
     夢音の喘ぎ声だ。
    『あっ、ああん! あっ! あん! あん!』
     夢音が自ら尻を持ち上げ、落下に任せに叩きつけている。その上下によって見え隠れする肉棒は、愛液を纏ってヌラヌラと光沢を放ち、かすかな泡立ちがこびりついている。
    『あん! あん! あん! あん!』
     自分から動いていた。
    「夢音……そんなこと……」
    『ああっ、あぁん! あん! あっ、あっ、ああん!』
     腰が落下するたびに、柔らかな尻肉はプルプルと振動している。肛門はキュっと収縮して、声は驚くほど可愛らしい。
    『あ! あぁっ、あん! ああん!』
     思わずいじめたくなる喘ぎ声。
    「あいつ……なんでこんな……」
     煽るためなのか、何なのか。
     動画の内容は延々とこれだけで、途中でリズムが変わったり、休憩なのか動きが止まることがある以外、特別な展開は何もない。お尻が上下しているだけで、ゆうに一五分はある動画も、気づけば半分を越えていた。
    『ああぁぁ! あん! あぁ……あっ、あぁぁ……!』
     一〇分を越えた。
     ここまで、先生は一度も動いていない。
    「くそっ、こんな奴のために!」
     奉仕させられているのだ。
     自分から動くように言われている夢音に、こんなことはしなくていいと叫びたくてたまらない。
     だが、これは既に起きてしまった出来事なのだ。
    『──あ! あ! あ! あ! あ! あ!』
     一三分を越え、見るからにペースが変わった。
    「夢音、お前……」
     たとえ感じていても、声が出ていても、これまでは思っていた。ただ指示に従っているだけで、快楽も生理的な反応に過ぎないと。
     だが、これは……。
    
     自分から快楽を貪っているようではないか。
    
     ラストスパートの腰振りで、実に激しく上下する尻は、あたかもバスケのドリブルを高速化したようだ。
    
    『あっ! あぁぁぁぁ──!』
    
     そして、深く押しつけながら震えていた。先端が少しでも奥に刺さるように、強く密着させてプルプルと、やがて痙攣が止まると力んだ尻肉が緩んでいく。
     息切れのような夢音の呼吸が聞こえてきた。
    『イったか? ほぼ同時だな』
     精液が出ていた。
     アソコと竿の隙間から、表面を伝って流れ落ちる白濁が画面の下部に収まっていた。
    「同時って……」
     心が刃物で刻まれているように痛い。
    『休憩だ。今日はまだまだいっぱい出してやるからな』
     先生がそんな声をかけたところで動画は途切れ、他にもメッセージの通知が来ていることに気づいた俊樹は、血涙を流す思いで確かめる。
    
     午前中は一緒に風呂に入った。
     その後たっぷり奉仕させた。
     本番は一度しかしてないな。
    
     昼は一緒にメシを喰ったぞ。
     午後一番に挿入させてもらった。
    
     休憩挟みながら何度もやった。
     お前に送ったのは何回目のやっだったかな。
    
     このまま夕方過ぎまで貸してもらう。
     可愛い彼女をありがとな。
     お礼にソーププレイを教えておくから、
     いつかは頼んでみろよ。
    
    「あいつ! あいつは!」
    
     怒りのあまり机を叩く。
     これが教師? こんな奴が?
     ふざけるな! クソ野郎!
    
    
    


     
     
     


  • 第16話「終わらない処置」

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     今日の二者面談には梓川夢音も呼ばれていた。
     一度の性交では妊娠しなかったせいで、二回目の処置が決定している夢音にとって、個室で先生と二人きりになるというのは、何とも言い難い不安がある。
     最初はまともな話をして、勉強や友達についての受け答えを軽く済ませるだけの様子だったが、先生は急に話を切り替え処置についての話題に触れ、あまつさえ性的な命令さえもしてきたのだ。
     断れなかった。
    「先生はな。もっと汚くて、きつい男を知っている。ホームレスとか、デブの引きこもりとか、その手の処置員も存在して、然るべき連絡をすれば、俺なんか比べものにならない、どぎついをの用意できるんだ」
     それはそういう脅迫だった。
     パソコンを駆使して、怪物のような容姿のオジサンやホームレスをこれでもかというほど紹介してきた。
    「どうかな? 俺一人で済むのと、色んな男とセックスするのと、どっちがいい?」
     もし、二回目でも三回目でも妊娠しなかったら、それだけ経験人数を増やされてしまうことになる。
     駄目だ、それはできない。
     先生だけで済ませるのが、せめてもの操の立て方だ。
    「わかり……ました…………」
     そんな風に従わされ、夢音が嫌々ながらに行うことになったのはフェラチオだ。
    
    「はむぅ…………」
    
     机の下に入り、チャックの中からつまみ出した棒を咥えて奉仕する。
    「れろぉ……ちゅっぷ、ちゅぅ…………」
     こうするのは二回目だ。
     最初は処置による射精後、感謝の気持ちを示せと教養され、精液と愛液のたっぷりとまぶされた肉棒への奉仕を余儀なくされた。その際に、先っぽをペロペロとやることや玉袋への奉仕を教えられ、不本意にもフェラチオのテクニックを仕込まれている。
    「んじゅっ、ずぅ……はずぅぅ…………」
     奥まで飲むたび、チャックからはみ出る陰毛の毛先が鼻をくすぐる。
     そして、先生は机の上で書類のチェックなどを始め、時折ボールペンで紙を引っ掻く音が、机という名の天井から聞こえてくるようになっていた。
    「梓川。この後、二回目の処置を受けてもらうが、その前にもう一人だけ面談がある。ま、せいぜいバレないように続けてくれ」
    「そ、そんな……こういうことなら、処置の時間にだって……」
    「止まるな、続けろ」
    「ううっ、はい……はむぅ…………」
     確かに、向こうからは机の下の様子など見えないだろうが、だからといって人に奉仕をさせながら、ペニスを出した状態で生徒の面談を行うなど、教師としての常識は一体どうなっているのか。
     やがて、ドアがノックされ、一人の生徒がやって来る。
    
    「よお、桃井」
    「……どうも」
    
     夢音はぴくりとなって硬直した。
    「続けろ」
     小さな低い声での命令がなかったら、きっと固まったままでいただろう。
    「じゅっ、じゅ……ぷっ、ちゅむぅ…………れろっ、れろっ…………」
     フェラチオは続けながらも、瞳では戦々恐々としていた。
    
     ……そんな、俊樹くん。
    
     俊樹のいる空間で、こんなことをするなんて。
     夢音の存在に気づくことのない俊樹と、素知らぬ顔の先生とで、まるで机の下の出来事などないかのように面談が始まると、夢音の心はより強く締め上げられる。
    「んっちゅ……ちゅぅ……」
     ……俊樹くん。
     本当に奉仕をするべき相手がそこにいるのに、夢音の口内に入っているのは、何も尊敬できない男の一物だ。
     俊樹の声を聞き、存在を感じながら行うフェラチオは、先生と二人きりでするよりも、ずっと罪悪感を煽られる。
    「んじゅっ、ずっ、じゅぅ……」
     しかも、先生はただ面談を行っただけではない。
    パソコンで夢音の映像を見せつけて、俊樹のことを煽り始めたのだ。驚きで心臓が飛び出そうなほどの、凄味ある怒鳴り声が聞こえた時、人を煽って弄ぶ先生よりも、むしろ夢音の方が冷や汗を噴き出してしまっていた。
     最後には乱暴にドアを叩きつける形で出ていったが、そうしなければ堪えきれずに暴力に走りかねなかったほどの想いが、夢音の全身に伝わっていた。
     ……俊樹くん。
     自分を想い、自分のために怒ってくれた。
     その熱い気持ちはじんと広がり、それだけにに奉仕している自分自身の有様にはより悲しくなってくる。
     精液まで飲まされた。
    「ほーら、貴重なワクチンだぞ? 経口摂取でも、数日くらいは免疫効果が出る。出したてを飲まなきゃ効果がないなんて、どうやって発見したんだろうなあ? 歴史上の研究者どもは」
     舌に広がる青臭い味を飲み干すように命じられ、嚥下させられた夢音は、次は処置室でとばかりに連れていかれて、そこでもまた奉仕をさせられた。
    
     ――パイズリをやらされた。
    
     ベッドで仰向けとなり、膝だけを立てて腰を浮かせた先生に胸を近づけ、雄々しい肉棒を挟んで奉仕する。
    「せっかくデカいんだから、よーく覚えておけよ?」
     どうして、こんなことを言われながら奉仕しなければいけないのか。
    「優秀な性処理能力を身につけるんだ」
     人を道具呼ばわりする言葉をかけられながら、尊厳を踏みにじられる屈辱の中で乳を使い、上下にしごく。谷間に亀頭を見え隠れさせ続け、先生は気持ちいいかもしれないが、ハンドカメラまで向けられて、夢音には最悪の時間である。
     こんな人に気持ち良くなってもらっても、夢音は何も嬉しくない。
     早く満足して欲しい一心で、夢音は淡々と乳圧をかけて上下に動かす。続けていると亀頭から先走りの透明な汁が現れ、それが皮膚に付着するのが嫌だった、
     ……俊樹くんだったら。
     恋人に頼まれてのことであれば、ここまで嫌な気持ちはしないだろう。目一杯に快楽を感じてもらい、射精に至ってもらえたら、達成感すらあるかもしれない。
    「覚えがいいじゃないか。ええ? 調教のしがいがあるってもんだ」
     ……人の女を使ってやってるみたいな、最低な喜び方してるんだ。
     俊樹のことまで踏みにじり、勝者の悦に浸って高笑いでもするのかと思ったら、奉仕がますます嫌になる。自分は性処理道具ではない、本当はやりたくないんだと、力一杯に叫びたい気持ちがふつふつと沸いて来る。
    「四つん這いになれ」
     いよいよ、本番らしい。
     これから挿入してもらうため、自分からポーズを変えて尻を向け、両手を突いてベッドシーツを握り締める。夢音にも、俊樹にも、それどころか他のどの女子生徒にも、誰にも敬意を払う気のない男に股を差し出すかのようで、惨めな敗北者の気持ちが膨らんでいく。
     最初は尻を撫で回し、アソコを指で弄る愛撫からだった。
    「ほら、尻の穴が丸見えだぞ」
     などと、両手の親指で尻肉の割れ目を開かれ、中身を覗かれる羞恥に赤らみ、脳の内側に火でも灯されたような熱が生まれる。
     しかし、恥ずかしさも一回目の時ほどではなくなっていた。
     ……慣れちゃうんだ。
     恥じらっている姿を見る方が楽しいという、そんな男の心理を何となく知っている。それで妄想をしたこともある。下着が見えたり、裸になることを恥ずかしがると、そんな夢音のことを意地悪に虐めてきて、悪魔となって辱めてくる俊樹というネタで何度オナニーしたことか。
     だが、それも実現できなくなる。
     慣れてしまうのだから、新鮮な羞恥心さえ、自分の選んだ相手に差し出す自己決定ができないのだ。
     ……ごめんね。
     悪くもないのに、ここにはいない俊樹に対しての、決して届くことのない心の中での謝罪をせずにはいられない。
     何よりも恨めしい。
     そもそもの元凶であるミイラ症も、妊娠などという方法も、制度も何もかも、呪いでもかけたくなる。
    「んっ、んぁ……あっ、あぅぅ…………」
     こんな男で、感じなくてはいけないなんて。
     先生のリズムによって尻に腰をぶつけられ、夢音の身体は前後に揺れる。無心になってシーツを握り、白い布の繊維を観察して過ごそうとしてみるが、出入りで生じる刺激に声が出てしまっていて、唇を閉じても荒い鼻息が漏れてしまう。
     肉体の興奮が先生に伝わっていく。
     感じればいい気になって勝ち誇るとわかっているのに、与えたくないものが勝手に先生の元へ渡っていく。
    「あっ、んぅ……んっ、んぁっ、んっ、んっ、んっんっぅぅ…………」
     膣壁に擦れる竿の太さが電気を走らせ、甘い刺激に下腹部がピクピクと震えている。
    「んんぅ……! んっ、んうっ、んぅぅ……! んぅっ、んっ!」
     ピストンがしだいに早まっていた。
     ペースが上がれば刺激も強まり、ますますの快感に声の我慢も辛くなる。感じたくない、気持ち良くなどなりたくないと、夢音はしきりに首を振り、こんな快楽は振り払いたい思いをいっぱいにしていたが、感度は磨かれる一方だった。
    「ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん!」
     もう、唇を閉じていても、はっきりとした喘ぎ声が上がっていた。
     真っ直ぐに突いていた両手はいつの間に肘をつき、四つん這いの姿勢も背中の角度が下へと傾く。
    「ん! ん! ん! んぅ! んぅぅぅ! ん! んっ、んぅ!」
     感じれば感じるほど、ついには頭が枕に埋まり、尻だけが高らかな形で夢音はピストンに打ちのめされる。
     こうなると、思考は快感の嵐に攫われ、夢音はただひたすら頭を真っ白にして喘いでいるばかりとなる。時間はどれほど経ったか、もうどれくらい挿入は続いているのか、何もわかりようもなく、先生の言葉すら届かない。
    
     ドクゥゥウ! ドクッ、ビュルン!
    
     熱いものが内側に解き放たれ、肉棒が引き抜かれる。
     まるで全力疾走でもした息切れのように、息を荒々しくして果てる夢音は、ポーズを変える気力すらなく、お尻を掲げたみっともない姿勢のままぐったりと意識を沈め込む。疲れの中に深く浸って、今はただ休みたいばかりであった。
     お尻を撫で回されても、反応する元気もなく、されるがままとなっていた。
    「今度こそ妊娠してるといいなぁ?」
     子宮を満タンにしたものが、膣口に溢れてワレメに滲み、雫となってシーツの上にぽたりと垂れる。
     ……お願い、これで済んで。
     願いはただ、それだけだった。
    「休憩したらまたヤるぞ? 何回も注いだ方が確実だからな」
    「そんな……」
     この地獄がまだ続く。
     夢音は目尻に涙の筋を流していた。
    
    
    


     
     
     


  • 第15話「二者面談の悪夢」

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     数日後に二者面談があった。
     生徒と教師が一対一で話しをすることにより、普段は言えない悩みや不安を打ち明け、理解を深めてもらう。
     そんな意義があるらしい時間を迎え、桃井俊樹はため息をつく。
     一体、どんな気持ちで先生と接すればいいのか。
     稲田先生のいる仕事用の個室を訪れると、ちょうど書類作業をしていた先生はその手を止めた。
    「よお、桃井」
    「……どうも」
     話したいことなどない。
     あれから、夢音は明らかに沈んでいた。
     無理な作り笑いを浮かべ、どうにかいつも通りに過ごそうとしている姿が痛々しい。夢音があんな風になるほどに、好き合っていない男との性交に心を削られたのだ。
     しかも、噂通りの人間なら、先生は自分の立場を楽しんでいる。
    「桃井くん。君はアメリカにいたそうだね」
     椅子につくと、机を挟む形で話が始まる。
    「ええ、まあ」
    「父親の仕事については聞いているが、君自身も色々と周りの子に指導をして、君なりに仕事を手伝ったとか」
    「そうですね」
    「人にものを教えてどうだった?」
    「どうということも」
     俊樹はその都度淡々と即答して、何も詳しいことを話そうとはしなかった。
     こいつには心を許していない。
     あの時、先生は確かに夢音に何かを無理強いしようとしていた。俊樹が目撃したのは腕を引っ張り始めた場面からで、その前までの会話を聞いてはいないが、夢音が後から教えてくれた。
     クラスの女子全員と毎年ヤるのがコイツの娯楽。
     という噂が真実でも、決して驚くことはない。
    「お前、俺のこと嫌いか?」
    「好きでも嫌いでもありませんが」
     心を開くつもりなどない意思表示のため、無表情に徹して全てに事務的に淡々と、必要以上の答えを返さない。はい、いいえ、で答える質問なら、来るなりスパっと切り捨てて、そうでない問いにも、まともには取り合わない。
     アメリカでどんなところが大変だったか。何か驚いた経験はあるか。
     より具体的にエピソードを聞き出そうとしてきても、その全てを受け流した。
    「まあいい。お前がその調子ってことは、特に問題なくやってるってことなんだろうな。成績は良いし、クラスでも楽しくやってる様子だからな」
     目論見通り、先生は俊樹と話すことは諦め、このあたりで切り上げようとする気配を見せる。
    「じゃあ、これで」
     と、すぐさま俊樹は姿を消そうとした。
    「まあ待て、お前の彼女の話をしよう」
     だが、夢音のことを持ち出されては、椅子に座り直すしかないのだった。
    「何の話が?」
    「ああ、お前は俺のことを良く思っていないみたいだし。だったら、逆に俺がお前に色々と打ち明けてみようと思ってな」
     先生は急にノートパソコンを開き、マウスクリックで何かを再生する。その画面がくるりと、一八〇度角度を変えると、俊樹は椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がった。
    「夢音!」
     それは処置の映像だった。
     しかし、行っているのは本番ではない。
    『んっ、んずぅ…………」
    『そうそう。最初は不慣れでもいい。まずはやってみることが大事だからな』
    『んじゅっ、ずぅ……ずぅぅ…………』
     唾液を口の中で慣らしたような水音を立てながら、夢音が背中を前後させている映像は、明らかにフェラチオの様子である。
    「こ、これは!?」
     俊樹は初めて無表情の仮面を解き、視線を画面に釘付けにした。
    『ずずぅ……ずぅ…………』
     後ろ姿を映したものだ。
     先生がベッドの縁から両足を下ろし、椅子に座ったような姿勢で膝を左右に開き、その手前に尻をぺたりとさせた夢音が、股に向かって頭を動かし続けている。その動きに伴って、すべらかな背中も共に前後しているのだ。
     ネット上で見つかるAVの断片や、投稿サイトに上がる成人向けのイラストでなら、こうした光景に何度勃起したことかわからない。
    「夢音……!」
     今の俊樹は戦慄していた。
     夢音の裸を、背中とお尻だけとはいえ、こんな形で初めて見た。実にスベスベとした肌質の綺麗な背筋は、このアングルでは見えずとも、間違いなく咥えるべきものを咥えている。
    「気持ちいいぞ? ん? 違うな。はは、気持ち良かったぞ?」
    「こんなことさせたのか!」
    「おっと、暴力を振るえばお前が不利になるだけだ。制度関連の法律では、勃起や射精には女の子の協力が必要であり、性行為にまつわる指示を違法とはしない、という意味の条文が書かれている。当然、知ってるよなぁ?」
    「お前……」
    「教師をお前呼ばわりか?」
    「なら、先生。法律はそうだとしても、妊娠さえさせれば処置は完了するはずです。どうしてこんな真似をさせたんですか?」
     今にも目の前の男に飛びかかり、首の一つもへし折ってしまいそうな衝動を抑え、怒りを押し隠した震え声で問いかけた。
    「はは、いい顔になったな」
    「答えて下さい」
    「これはな、お礼をさせてるんだ」
    「お礼って、何の」
    「俺が精液を与えてやったんだぞ? 命の救済じゃないか。人助けのため、心苦しい気持ちを抑えて処女を奪った男に対し、敬意を払い、お礼の気持ちを示すようにと教えたまでのことだ」
    「ふざけてる! こんな!」
    「教えてやる。こいつに挿入した時の感じをな」
     誇らしく、自慢げな、嬉々とした表情が腹の底から憎らしい。
     一体、どういう神経をしていたら、付き合っている彼氏に女の子の様子を伝えようと思えるのかがわからない。
    「螺旋っていうのか? スリットっていうのか? こう、リングが何十個も重なったところに棒を押し込むと、ザラザラって来るのが想像できるか? 梓川夢音のマンコは、そういう感じの名器なんだ」
     そこには勝ち誇った邪悪な微笑みがあった。
     お前の女を知ってやったぞ。
     とでも言いたげな、最低な笑顔であった。
    「何が名器だ! 生徒のことをそんな風に品評してんのかよ!」
     ……殴ってやりたい。
     本気で暴力を振るってやらなければ気が済まない衝動を、俊樹は生まれて初めて抱いていた。
    「善意でもある」
    「善意だ?」
    「お前の彼女なんだから、全てが済んだら次はお前が使うだろ?」
    「……使う?」
    「性処理道具として優秀な働きをするように、教育してやっている」
    「使うだの道具だの、人を何だと思ってる?」
    「お前だって、こういうことをさせたいだろ? フェラもパイズリも教えておくから、ゆくゆくは楽しむといい」
    「本気で言ってんのかよ! 教師のくせに!」
    「ああ、それと一回では妊娠しなかった。だから、今日は二回目の時間を取ってある。今日はデートできないなぁ?」
    「黙れ! 話は終わりだ!」
     俊樹は力強く机を叩く。
     これ以上は聞くまいと背中を向け、乱暴にドアを叩き閉ざして、さっさと早足で去っていく。
     唇から血が出るほどの力で、気づけばきつく噛み締めていた俊樹は、怒りの次は夢音への気持ちが大きく大きく膨らんでいた。
     夢音、あんな奴に抱かれるなんて……。
     あの場で先生を殴れたら、一体どんなに良かっただろう。
    
    
    


     
     
     


  • 第14話「悲しい痛み」

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     そこにあるのは肉体の痛みではない。
     オナニーをやらされて、屈辱的なお願いを強要され、どこまで人を辱めればいいのかもわからない、最低の先生を相手にして、ただじっと挿入を受け入れなくてはいけない運命を呪いたかった。
     ワレメに塗りつけるかのように、切っ先が上下に動く。
     ベッドシーツに頭を沈め、見上げてみれば、大きな栄光でも掴んだような満足感に満ち溢れた表情がそこにはあった。
    
     ……馬鹿みたい。
    
     心の中で見下すと、少しは感情を保てる気がした。
     しかし、切っ先がワレメを押し開き、そして膣口への進行が始まると、俊樹と付き合った記憶が走馬灯のように駆け巡る。小学五年の時の、初めて助けてもらった時の思い出、デートをするようになった思い出。
     アメリカに行く前の別れと、再会の感動。
     転校初日から今日にかけての、ありとあらゆる思い出の数々が濁流のように押し寄せる。
    「俊樹くん…………」
     無意識に、小さな声で、彼氏の名を口にしていた。
    
    「俊樹じゃないぞ? 先生だぞ?」
    
     そして、邪悪な笑顔が夢音を見下ろしていた。
    
     ずにゅぅうぅぅぅぅぅぅ――――――――。
    
     ついに肉棒が収まったのだ。
     自分自身の指で慣らしてあり、普通よりも広がっていた初体験の穴には、恐れていたほどの痛みはない。
     それは肉体の痛みがないだけだ。
     たとえ誰を好きになり、どんな恋をしても、処女は処置員に捧げる悲劇的な運命が実現して、胸の痛みこそが強かった。
    「ははっ、プレミア女子一〇〇人目だ」
     そんなことを嬉しそうに言ってくるような人間と、アソコで繋がってしまっている。
     ……ひどい。
     人助けなどと言って、この男は制度を利用して楽しんでいる。
     だから、苦しい。
     肉穴の幅より少しは大きいものが入ってるせいで、押し広げられている感覚がアソコにある。腹の内側を空かしたら、ヘソの近くに届いていそうな長さを収められ、そのまま腰が股に触れてくる感触がおぞましい。
     ……こんな時代じゃなかったら。
     心の中には激しい嘆きがあった。
     二人一緒にミイラ症の存在しない時代に生まれていれば、初めてこの感覚を味わうのは、きちんと俊樹との性交だったに違いない。自分の意思で心を許し、迎え入れたペニスであれば、どんなに幸せだっただろう。
     こともあろうに、先生は三脚台のカメラだけでは飽き足らず、しきりにハンドカメラを向けてくる。
    「うーん。これはいい。使い心地も。マンコもプレミアだな」
    「使い心地って……」
     最低だった。
     人を物と見做した発言ができるだなんて、それを心の中だけに留めることさえせず、繋がった本人に聞かせるなんて、一体どこまで酷い先生だというのか。
     悪辣な人格が剥き出しになればなるほど、自分の中に収まるペニスへの不快感は増幅する。こんな男と繋がるために、どうして夢音自身がオナニーを見せびらかし、自ら準備をしなくてはいけなかったのか。お願いの台詞まで強要され、屈辱を強いられなければいけなかったのか。
     ……なんなの!?
     心は叫ぶ。
     ……私っ、悪いことしたの!? 前世で何かしたの!?
     嘆きのあまり、涙の筋まで流れ出し、その雫は髪の中へと消えていく。
     制度を承知で恋愛に燃えたのも、自分なりの考え方を持っていたのも、そこまでは夢音自身の問題だ。お互いに傷つくことはわかっていて、それでも熱々に過ごしてみたい気持ちを優先させた。
     だが、その相手がこんなに酷い先生だというのは、何か罰でも当たったのか。
     制度さえなければ、生涯決して結合することのなかった人格の持ち主が、こうして腹に収まっているのだ。
     先生は一度ハンドカメラを置き、両手で夢音の全身を撫で回す。
     ……気持ち悪い。
     まるで体中に虫が這うのを我慢する思いで、肩や腰を撫で、胸まで揉んでくる先生の手の平に耐え忍ぶ。
    「お前の友達だがな。桜野よりも、お前の方がでかいぞ?」
     人と比べるような品評まで始めていた。
    「マンコの感触も、桜野の場合は締め付けが強すぎて、一回目の時はこっちが痛いくらいだったが、二度目はさすがに楽しめたな。ところが梓川、お前の中はいきなり気持ちいい。名器ってやつだ」
     ついにはペニスが動き始める。
     ゆったりとした出入りによって、ニタニタと夢音のことを味わって、うっとりとしたものを目に浮かべる。
    「お? 動くとますますわかる。亀頭に擦れてくるヒダの感じがいいんだ」
     ぎし、ぎし、ぎし、ぎし。
     ピストン運動のペースが変わるにつれ、ベッドの骨組みまで揺らされて、軋んだ音が聞こえてくる。
     ……お願い、せめて一回きりにして欲しい。
     受精すれば、女の子は免疫を獲得できる。
     できなかった場合、中出しした精液から得られる免疫は一時的なもので、数週間以内に効果はなくなる。
    「こんなことってあるか? 記念すべき一〇〇人目だぞ? それがここまで名器だなんて、こんな出来過ぎた偶然があるか? 神様は俺の味方か?」
     ……ああ、そっか。
     と、神様と聞いた瞬間に夢音は思う。
     運命の神様など、もちろん物の例えとしか思っていないが、もしも存在したら、神様は夢音の気持ちなど考えていない。夢音よりも、目の前にいるゲスな先生を優遇している。そうとでも思わなければ、自分がこんな目に遭う理由を説明できない。
    「ほら、お前も感じていいんだぞ?」
     ……やだ、感じたくない!
     たとえ気持ち良かったとしても、こんな先生なんかに、感じている声や顔など与えたくない。気の小さい夢音にできるのは、せめて快楽を抑え込み、感じまいとすることで、先生が楽しむ要素を少しでも小さくしたかった。
    「……んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ」
     だが、ペースが速まっていくにつれ、夢音のぴったりと閉ざされた唇から、何かを堪えた声が漏れ始める。
     ……エッチな顔とか、声とか、あげるのは俊樹くんだから!
     先生なんかに、先生なんかに。
     そんな気持ちを胸にして耐え忍ぶ。地獄が過ぎ去るのを待つために、天井や壁の模様を眺め、それで時間を潰してやろうと必死であった。膣内で動く肉棒から意識を逸らしたくてたまらなかった。
     喘ぎ声や表情は、俊樹だけのものにしたい。
     それなのに……。
    「あっ、あぁぁ……あっ、んんぅ…………! んあっ、あぁぁ…………!」
     だんだん、声を抑えられなくなってくる。
     慌てた夢音は、両手で必死に口元を押さえ始めるが、それを見た先生はニヤっと喜んでいた。
    「もうそこまでしないと声が出るか? お前、エロいぞ?」
    「んぅ…………んっ、んぅ………………」
     両手の下で、ぴったりと閉じているはずの唇からは、手の平に向かって呻き声を吐いてしまっている。
     夢音は首を横に振りたくった。
     自分がエッチな子になるのは、俊樹のことを考えたり、俊樹の性欲を肌で感じた時だけだ。心を許した相手からの、いつかは繋がっても構わない恋人から向けられた気持ちにこそ、夢音は答えてやりたいのだ。
     ……エッチじゃない、エッチじゃないもん!
    「他の子は一回目は感じないことの方が多い。それがこの様子だ。プレミアマンコな上に、本人も感度が高いとあれば、もう完全にこれはプレミアボディだな」
     先生の揺さぶりは激しくなる。
     嵐のようなピストンの中で、それでも声を抑え続けた夢音だったが、いつしか両手とも力ずくで横へどかされ、唇の力だけで喘ぎを封じるようになっていた。
    「あ! あん! あぁっ、やだ! やだやだ! ああん!」
     それさえ、いつかはできなくなり、気づけば心の中まで嵐の激しさに巻き込まれ、途中からは自分の喘ぎ声など自覚すらできずにいた。
     その激しさが不意に落ち着き、全身から力が抜けて、まともな思考が帰ってくるのは、膣内に射精されたことに気づいてからだ。
    「ほら、赤ちゃんの素だぞ?」
     気持ち悪いことを言いながら、先生は夢音の内側で肉棒を脈打たせ、子宮に向けて放出してくる。精の熱気を内側に感じた夢音は、これで子供が生まれるのだろうかと、そんな感傷に浸っていた。
     ……生まれるんだ。
     こんな人との子供が、国家施設が引き取るとはいえ。
     夢音自身には責任も愛情も持つことができない、これから命へと変化していくものが、子宮の中に出来上がっている。
     肉棒が引き抜かれると、ワレメと切っ先のあいだには、長い白濁の糸が引いていた。
     何十分ものあいだ棒が収まっていた内側から、急に抜き取られて得られるのは、やっとこの男との時間が終わったという、安心ともいえない安心だった。
    「さて、次はお礼をしてもらおうか」
    「まだ……するんですか……」
     もう嫌だ。
     もう、先生となんて……。