• タグ別アーカイブ: リナリー・リー
  • リナリー エロマッサージとお仕置き

    
    
    
     アニタは目撃してしまった。
     それはクロス元帥捜索のため、ミランダ・ロットーのイノセンスでボロボロだった船を修復して、日本へ向けて出航した時のことである。
     船がやられたのはAKUMANの大群のせいだった。
     黒い雲の固まりに見えるほどの巨大な群れは、他の何かを標的に、大半が船を無視して通り過ぎていたのは不幸中の幸いだろう。
     一部のAKUMAはエクソシストの存在に気づき、攻撃を仕掛けて来た。その際の船の損傷は激しいもので、ミランダがいなければ出航は不可能だった。
     AKUMA達の本命は咎落ちしたスーマンだった。
     彼のイノセンスを大挙して狙っていたのだ。
     彼の変貌した姿が、その暴走した力が図らずも群れを葬ったが、その際に一度は消息を絶ったアレンが、発見時には左腕を失っていた。アレンに何があったのか――それはティムキャンピーに残された記録が教えてくれた。
     メンバーからアレンを欠き、入れ替わるにミランダを迎えての出航して、それは海の上での出来事だった。
    
    「……いやっ!」
    
     女の悲鳴を聞き、駆けつけようとしたアニタは、半開きだった船室のドアを覗き見る。その光景に思わず身を引っ込め、まじまじと覗き見てしまった。
     AKUMAの群れから、生き残りが紛れ込んでいたのだろう。
     それは触手の悪魔だった。
    「キッシシシシシ」
     イソギンチャクから人間の足を生やしたような、頭部に触手を蠢かせるAKUMAが、リナリーの手足を捕らえてX字の形に拘束していた。
     アニタがまず抱いたのは、このままではリナリーが殺される危機感だ。当然のように仲間を呼ぶなり、タリスマンで守るなり、すぐさま行動を取ろうとしていながら、次の瞬間には魅入ったのだ。
    「あん!」
     苦痛でも何でもない、むしろ快楽に喘いだ声。
     AKUMAは触手を駆使してリナリーを嬲っていた。
     アニタはごくりと、生唾を飲んでしまう。
     身動きの取れないリナリーが、身を捩って抵抗しようとしているが、ぬるりとした触手の先端で、黒衣を介した胸を擦られている。黒いスカートにも触手がいき、きっとショーツに隠れたワレメをなぞっている。
    「んっ、んぁ……あぅっ、んぅ……んっ、んぅぅ…………」
    「お前、装備型だろ? 大人しくイノセンスを差し出したらよォ、殺さずにペットとして飼うだけで許してやるよ」
    「だれ……がっ、んぁっ、あぁ……!」
     リナリーは腰を震わせ、首で仰け反る。
    「勝ち目なんかないっつーの。ほら、パンツを脱がせてやるよ」
     触手AKUMAはX字のポーズに合わせて開いた足を力ずくで閉じさせて、Y字のような形に変えた。
     イソギンチャクの頭部から、さらに二本の触手が伸縮自在に長さを変え、太ももを伝ってスカートの中へ潜り込む。腰の両サイドのゴムを掴み、引き下ろし、黒いショーツが膝へと絡む。
    「あぁぁん!」
     ワレメを直接なぞってか、リナリーはより大きくよがっていた。
     完全に遊ばれていた。
     胴にぐるりと一本巻き付け、宙に持ち上げ、強制的に開脚させ、剥き出しのアソコを拝んでみせた。四つん這いのポーズを取らせ、触手でペチペチと二つの尻たぶを叩いてみせた。
    
     ペチン! ペチン!
    
     触手による鞭打ちで、リナリーは甘んじてお仕置きを受け入れているかのようだ。ただ抵抗できずにいるだけだが、床に両手をついたまま、肩のあいだに頭を落とす姿は、叩かれても仕方のない悪い子の姿に見えた。
     最後には仰向けにされ、リナリーはアソコを集中的になぞり尽くされ、ビクビクと腰を震わせてさえいるのだった。
    
     ――絶頂したのだ。
    
     AKUMAに嬲られ、リナリーの愛液が床に広がっていた。
    「ヒヒッ、ヤらせてもらうぜ」
     二本足で近寄るAKUMAの姿は、まるで狩りで倒した獲物にありつこうとするケダモノで、リナリーはこれから喰われるディナーのようだ。
     しかし、油断があったのだろう。
     絶対的な優位を得て、好きなように遊び続けたAKUMAには、もはや自分が倒されることなど微塵も考えていなかったに違いない。
     最後の最後で、両足を触手で封じていなかった。
     迫るだけ迫ったAKUMAが、そこに逸物でも生やしているのか、リナリーに挿入しようとする動きを見せた時だ。
     AKUMAは消えた。
     霧が風に吹かれて消し飛ぶように、一瞬にして姿が消え、後に残るのはリナリーの黒い靴が発動している光景だった。蹴りを放った直後の、伸びきった足には、消えゆく煙がまとわりついていた。
     最後の瞬間にはAKUMAを倒した。
     だが、もしもリナリーに戦意がなくなっていたら、あるいはAKUMAに油断がなく、きちんと両足を触手で封じていたなら、きっと犯されていた。
    
         †
    
     自分の部屋に戻ったアニタは、リナリーの犯される姿を妄想してしまっていた。
     あのまま触手の数々に翻弄され、為す術もなく陵辱されていたら、彼女は一体どうなってしまっていたか。エクソシストがAKUMAにやられてはまずいだろうに、しかし脳裏に焼き付いているのだ。
     敵に快感を与えられ、屈辱を感じるリナリーの表情の、なんとそそるものだったか。ついに喘いでしまう声、快楽によって悩ましげに変化した顔つき、絶頂――どれもがアニタの心を刺激し、一つの欲望を生み出していた。
     この手で、虐めることができたなら……。
    
    「夜遅くにごめんなさい。あの……」
    
     図らずも機会は訪れた。
     その晩、ドアがノックされ、誰かと思い迎え入れると、そのリナリーが真新しい団服を身につけ、自らアニタの元にやって来たのだ。肩の周りにティムキャンピーを連れながら、期せずして獲物は現れた。
    「髪縛るもの、貸してもらえませんか?」
     美しい黒髪が艶やかに輝いて、背中を覆い隠さんばかりに伸びている。
     アニタは思わず、リナリーの肢体を舐めるように眺め回した。
     銀の装飾を散りばめた黒い衣装に、ベルト付きのショートパンツは脚の形にしっかりとフィットしている。男のトランクスほどしかない丈の長さで、太ももは丸出しに近いほどに露出しており、しかし膝よりも高い位置までロングソックスが及んでいるから、素肌の露出は意外にも面積が狭い。
     シャワーを浴びた後だろうか。
     シャンプーの香りが漂ってきた。
    「母の形見なんだけど、どうかしら?」
     リナリーを椅子に座らせ、快く髪留めをかけてやる際、アニタは尋ねた。
    「えっ、いいんですか。そんな大事なものっ」
     驚く反応は当然のものか。
    「いいよ」
     アニタにとって、この髪留めは自分が十八歳になったら母から譲り受ける約束のものだったが、その前に母はAKUMAに殺されてしまった。付けるに付けられなくなってしまい、ならばリナリーに与えようと思ったのだ。
     そのまま、少しばかりお喋りに興じるが、リナリーは言ってこない。
     いや、言いたくもないだろう。
     自分がAKUMAなんかに弄ばれ、危うく最後までされるところだったなど、人に知らせたいことではない。そのAKUMAも消滅済みで、隠し通すことも簡単だ。
     心なしか、リナリーからは疲弊の気配が感じられた。
     あれだけやられたのだから、精神的にも参っているのだろうか。だから同性のアニタを信用して、少しでも安心しようと話し相手を求めたのか。
     だが、そんなリナリーに対して向いている自分の心に気づいた時、自分もまた悪魔ではないかと、どうしようもなく自覚していた。
    
     ――虐めてみたい。
    
     アニタは口実を見出していた。
    「ねえ、マッサージなんてどう?」
    「え? マッサージですか?」
    「ちょっと心得があるのよ。いいリフレッシュになると思うんだけど、どうかしら」
     ああ、自分は獲物を罠にかけようとしている。
     甘いもので誘き寄せ、たちまち餌食にしようと目論む心の悪魔を押し隠し、アニタはひたすら優しい顔で、リナリーの肩に手を置いた。
    「勉強なさったことがあるんですか?」
    「少しね。ツボの場所を知っていたり、リンパも多少詳しいわ。興味ない?」
    「……そうですね。それじゃあ、少し」
     リナリーは遠慮気味にアニタの誘いに乗ってくる。
    「わかったわ。すぐに準備するからね」
    「はい」
     肩越しに振り向くリナリーは、何の疑いもない顔をしていた。すっかり自分を信頼して、その目論見には気づいていない。まるで純粋無垢で何も知らない乙女を騙す、そんな悪者にでもなったかのようだ。
     考えてもみれば、神の使徒を淫らな罠にかけようとしている。
     それが悪魔でなかったら、一体なんだろう。
    
         †
    
     施術台に清潔なシーツをかけ、準備の済んだ部屋へリナリーを案内する。
     まずはうつ伏せに寝かせると、まずアニタの目がいくのは、短パンが綺麗にフィットしているお尻であった。形がぴったりなのか、それともお尻の方が布地を押し上げ、丸みをありありと浮かべているのか。
     腰のラインも美しい。
     ブーツは脱がせ、ロングソックスに覆われた黒い足も、素晴らしい曲線となっている。
     まずは心臓から遠い位置、右足の指から始めた。
    「どう? 痛かったら言ってね?」
    「はい」
     気持ちよく感じられる程度の、強すぎない指圧を施し、指の一本ずつをこなして足の平へと、かかと、アキレス腱、ふくらはぎ、しだいに上に向かっていく。まだ太ももまでは攻めずに、膝裏までいったところで左足に移って同じように指先から順に揉みほぐした。
    (まだよ。まだ、普通のマッサージのまま……)
     黒い欲望を押し隠し、今度は右手の指から始め、しだいしだいに上へ向かう。肩周りの筋肉に手の平手でも圧を与え、皮膚の表面を震わすようなタッチによっても、安らぎを与えていく。
     まずは全身から力が抜け、くつろいでいる状態に持ち込みたい。
     左手を揉みながら、手首へと移っていき、こちらも肩まで済ませる頃には、四肢はおよそほぐしたことになる。あとは背中に手の平を置き、体重を駆使してまんべんなく圧をかけ、太ももの方もこなしていく。
     いよいよ、お尻を残すのみとなる。
     ショートパンツが丸く膨らみ、形をありありと浮かべるお尻は、見れば見るほどそそられる。ここを責めたらどんな顔をして、どんな声を上げるのか。早く聞きたい欲望を抱き、アニタはお尻の近くに手を伸ばす。
     まずは丸みの下弦に指をやり、ぷにっと膨らんだ部分を指圧で潰す。
    「あれ? そこもですか?」
     お尻の肉に触れた途端、リナリーは素朴な疑問の声を出す。疑っているわけではない、ただ急に触られたものだから尋ねただけの、とても純粋なものだった。
    「ええ、あなたのイノセンスは足技を使うんだから、足の回転に関わる筋肉はやっておかないとね」
    「そういうことですか。じゃあ、お願いします」
     本当に疑いがない。
    (……いけそう)
     ツボの位置を思い起こして、効果のある部分を指圧する。尻肉に指を入れても特に拒んでくる様子はなく、ならばタッチを変えたらどうだろうかと、四指の束を押し込んでみる。くすぐるように刺激してみる。思い切って手の平をまんべんなく押しつける。
     嫌がる素振りは返してこない。
    (ふふっ、それなら)
     アニタはリナリーの尻を揉み始めた。
    「お尻の筋肉は重要だから、少し重点的にほぐすけど、大丈夫?」
    「はい。大丈夫です」
     マッサージと信じ込んでいればこその返答だ。
     いや、確かにマッサージしかしていない。少なくとも、今はまだ筋肉をほぐしたり、ツボを指圧しているだけだ。
     しかし、アニタはリナリーの様子を窺いながら、しだいしだいに手つきを変え、皮膚の表面に振動を与えるかのようなタッチを行う。手の平を振動器具のように震わせ、尻肉に刺激を送り込む。
    「仰向けになってくれる?」
     リナリーの身体が表を向くと、アニタは手足の表側に集中する。
     焦らず、少しずつ、改めて指から中心へ迫っていき、時間をかけて四肢をリラックスさせていく。十分以上もかけた末、やっとのことで太ももに触るが、リナリーは静かにくつろぐのみでだ。
    (次は……胸を……)
     腹を揉み、肩を、肋骨を、しだいしだいに乳房に近づき、アニタは指先でカーブをなぞり始める。下弦のカーブ、生え際のラインに沿って乳房に触れ、少しずつ中央へと進んでいく。外側のカーブも、上弦のカーブもなぞりつつ、指圧とばかりに乳首へ迫る。
     リナリーの様子は変化していた。
     息遣いがかすかに熱く、肩も微妙に、意識しなければ気づかない程度にはモゾモゾと動いている。
     まだ乳首には触らない。
     触れそうな位置まで指を近づけ、攻めると思ったところで、さっと遠のく。指圧だけで乳房を揉みながら、決定的な刺激は避けていた。
    「んぅ……」
    「あら、どうしたの?」
    「い、いえ……」
     尋ねるなり、リナリーは赤らんだ顔を背ける。
    (焦れてきたかしら?)
     アニタは太ももに手を移し、内股の高い位置に手を差し込む。少しでも手を上げれば、アソコという名の天井にぶつけるギリギリのところを揉みほぐした。
    (さあ、だんだんアソコを意識するのよ?)
     内股だけでなく、下腹部の陰毛帯にも指を置く。性器の周りにあるツボを押し、意識だけはさせながら、やはり決定的な場所には指をやらない。
    「んぅ……ん…………」
     リナリーは着実に何かを我慢し始めていた。
    「大丈夫? 痛い?」
    「いえ、そういうわけじゃ……」
    「なら、続けるわよ?」
    「……はい」
     脚の付け根と、アソコの肉貝。
     その境界線をショートパンツの上からなぞり、性器に触れているともいないとも言えない微妙なラインを指先でくすぐった。Vラインへのタッチばかりを続けていき、はっきりと性器に触れそうな気配を出しては指を遠のけ、しばらくするとまた気配を出し、やっぱり本当には触らない。
     ついには脚から手を離し、しかしアニタはこう告げる。
    「ところで、胸を出してもらってもいいかしら?」
    「え? え、胸って――」
     リナリーは驚いたような戸惑った顔をしていた。
    「もちろん筋肉や皮膚の状態を見るためよ? 無理にとは言わないけど、せっかくならケアした方が良いかと思って」
     親切な提案のようにアニタは言う。
    「なんなら、ブラジャーだけ外して、上は着たままでもいいわよ」
    「それなら……」
     どこか遠慮がちなのか、躊躇いがないでもないのか、そんな様子でリナリーは起き上がり、背中を向けて服を脱ぐ。一度は剥き出しにした背中からブラジャーが外れていき、改めて上半身は団服の内側に収まるが、前はひらいたまま、左右に広げてしまえば簡単に乳房が見える。
     最初は腕で隠さんばかりに横たわり、たどたどしく両腕を下にやる。
    「それじゃあ、いくわよ」
     アニタはさっそくのように胸をはだけさせ、途端にリナリーの頬は朱色に染まった。
    (綺麗ね。形も、すごくいい……)
     気をつけなければ欲望が口元あたりに浮かびそうで、アニタは意識して優しい表情を装っていた。まるで乳房など興味がないように、腹を直接マッサージして、ヘソ周りを済ませた次には肩を指でほぐしていた。
     あからさまには触れないように、やっとのことで乳房に近づき、丸みの周囲だけを指圧や手圧で流していく。円形のラインをなぞっていき、くすぐるようなタッチも施す。ほどなくして乳房を下から揉み上げると、リナリーは少しばかり目を広げ、かといって何を言うでもなく受け入れていた。
     アニタが乳房を弄っていると、しだいに乳首が突起していた。
    (そろそろ、いってみようかしら)
     あたかも普通のマッサージしか行っていない面持ちで、当然のような顔をして、アニタは乳首に指をやる。つまんで転がし、押し込んでみた。
    「ひゃっ、あぁっ、あの……」
     声を出しつつ、リナリーは慌てていた。
    「あら、どうしたのかしら?」
     何かおかしいことでもあるのかと言わんばかりに尋ねると、何かを言おうとしていた様子のリナリーは、急速に萎縮していた。
    「いえ、なんでも……そこも、マッサージの一環なんですよね……」
    「もちろんよ?」
     優しく微笑みかけてやりながら、アニタは乳首への刺激を繰り返す。
    「んっ、あっ、あの……あ、アニタさん…………!」
     リナリーは着実によがり始める。
    「どうしたの?」
    「いえっ、その……んぅ…………」
    「大丈夫よ? 胸の神経を刺激しているだけなんだから」
    「そう……ですよね…………んんぅ…………んぅ…………」
     きっと、やめて欲しいようなことを言いかけていたリナリーだが、一転して我慢しなくてはならないように堪え始める。快感を封じ込め、感じまい感じまいとしている我慢の顔で、かなりの辛抱を行っていた。
    (もう、本格的に攻めようかしら)
     アニタは下にも手をやった。
    「――ひゃん!」
     腰が弾み、一瞬浮く。
     ショートパンツ越しだというのに、指を擦りつけただけで良い反応だ。
    「あら? リナリーちゃん? 今の声は?」
    「そ、その……今のは……」
    「親切でマッサージをしてあげているのに、そんな悲鳴みたいな声を上げられたら、私だって驚いちゃうわ?」
    「ごめんなさ……あっ、あんんぅ――――」
     再びアソコに指をやり、上下に擦る刺激を与えると、リナリーは明らかに色気を帯びて、喘いだ声を上げていた。
    「どうして変な声を上げるのかしら?」
    「それは――でもっ、あぁ――!」
     まるでリナリーが悪いかのような言葉をかけると、申し訳なさそうな、悲しそうな表情を浮かべながらも喘いでいる。腰でよがり、脚をくねらせ、どう見ても気持ち良さを我慢しながら、耐えきれずに全身で反応していた。
    「とにかく、こっちの様子も見させてもらうわよ?」
     アニタはショートパンツのベルトに手をかける。
     その瞬間、あたかも身体が石にでも変わったように、動けなくなってしまうリナリーは、顔に薄らと汗を浮かべていた。金具が外れ、ベルトが緩み、チャックも下がり、脱がされるのみとなるショートパンツは、しだいしだいに引き下げられる。
     リナリーの下半身を包むのは、白いショーツと、黒のロングソックスのみとなった。
     白は水気を吸っているのがわかりやすい。アソコから出て来た体液で、卵のような楕円の染みがくっきりと出来上がっていた。
    「どうして濡れているの?」
     アニタはリナリーを責めていた。
    「これは……その…………」
     言い訳をしたい顔が浮かびはするも、リナリーの口から何も言葉が出ることはなく、彼女はただ唇を結んで顔を背ける。とても視線を合わせられない様子で、瞳は壁ばかりに向けられていた。
    「すごく濡れているわよ? べったりね?」
     試しに触ってみれば、アニタの指とクロッチの間に太い銀糸が伸びていた。
     さらに、ヌルヌルとした表面の滑りに合わせ、指腹でぐるぐると楕円状のタッチを施し、付着した愛液をリナリーの眼前に近づける。指と指のあいだに糸が引くのを見せつけた。
    「うぅ……わたし……すみません…………」
    「まあいいわ。続けるから、脚を広げてもらえるかしら?」
     アニタはなおも性器を責めた。
     それも、直接のタッチは避け、二本の指をV字に開く形によって、指先で産毛だけをなぞっている。パンティラインに合わせ、くすぐらんばかりに、ゆっくりとなぞるタッチは、ショーツの生地を巧妙に避けていた。
     たとえショーツに指がいっても、なぞっているのはゴムのラインだ。
     ワレメのすぐそこに、数ミリでも位置を変えれば直接の愛撫となる部分をやり続け、時間が経てば経つほど愛液の染みは面積を広げている。
     アニタは何分もかけてそうしていた。
     ともすれば、十分以上は続けているかもしれない中で、ゆっくりゆっくりと広がる愛液の染みは、じっくりと観察していたアニタ自身にも、その広がりようはわからない。十分前と今現在で、比較写真でも用意したなら、想像以上に広がっているのがわかるはずだが、ゆっくりのあまりに凝視していても変化がわかりにくかった。
     それほどまでに、丹念に時間をかけての愛撫である。
    「んぅ…………んぅ………………んぅ………………」
     リナリーの声は、どこかうなされているようでいて、顔さえ見ていれば快楽のせいで喘いでいるのがよくわかる。アソコが嫌というほど温まり、熱気を帯びた愛液がショーツの大部分に広がっている。うずうずと欲求を溜め込んで、たっぷりと淫気を放っていた。
     そんなアソコを不意打ちのように一瞬なでる。
    「あぁぁ……!」
     リナリーは大きく背中を反らした。
     ビクっと、腹を弾ませ、一瞬のブリッジを成していた。
    「ねえ、リナリーちゃん? 少しなら生理反応としてわかるけど、いくらなんでも感じすぎよ?」
    「で、でも……」
    「でもじゃないわ。あなた今、恋人に触ってもらっているわけじゃないのよ? なのに体がこういう気分になっているのは、あなたがエッチな子だからじゃないかしら?」
    「そんな……私…………」
    「神の使徒が淫らだなんて、今にも罰せられそうね?」
     エクソシストであることを引き合いにした言葉の責め苦に、リナリーはまるで大きな辱めを受けたかのような、屈辱のような恥じらうような、何の言葉も返せない顔つきを浮かべていた。
    「本当にぐっしょりよ? そんなに気持ち良かったの?」
    「それは…………」
    「答えなさい」
    「……はい」
    「はっきり言いなさい? 気持ち良かったの?」
    「気持ち……良かったです…………気持ち良くて、私…………こんなに…………」
     懺悔を強要され、リナリーは涙ながらの告白を行っていた。
    「たっぷりと糸を引くくらい濡れているわ。触るとヌルヌルしているし、とても温まっているようね?」
    「うぅ…………」
     こうして、アニタはアソコの有様をたっぷり語り、言葉の限りを尽くして表現した。ショーツの生地がどこからどこまで濡れているか。水分による吸着で、肉貝の形がくっきりとしていることに、シーツにも染みが付いていることまで言い聞かせ、リナリーの羞恥を煽っていた。
    「ごめんなさい……許して下さい…………」
     言葉の責め苦の果て、リナリーは懇願していた。
     許しを濃う言葉に対し、アニタの答えはこうだった。
    「四つん這いになりなさい?」
     と、命じていた。
    「四つん這いって……そんな…………」
     リナリーは躊躇う様子を見せるものの、逆らうことは許さない目つきをアニタは向けている。従えと言わんばかりの強い眼差しに、リナリーは萎縮して肩を縮めていた。
    「なりなさい?」
     改めて命じると、まるで断る権利などないように、リナリーはたどたどしく起き上がり、身体の向きを変え、アニタに尻を向けていた。
     今のリナリーにとって、無防備な尻を向けるのが、一体どれほど心許ないことか。
     しかも、その時だ。
    「えっ、いや……!」
     ティムキャンピーが飛び、リナリーの眼前で撮影機能を発揮していた。
     痴態を撮られる。
     それが乙女にとってどれほどの辱めか、言うまでもない。
    「お尻をよりほぐしていくわよ」
    「あのっ、アニタさん…………」
    「いい? ちゃんと我慢するのよ?」
     ゴーレムによる撮影を拒みたくて仕方のないリナリーが、助けを請う目でアニタを見ても、当のアニタは気にも留めずにマッサージを続行していた。
     白いショーツの尻に両手を乗せ、丹念に撫で回していた。
    「あっ、んぅ……! んっ、んくっ、あ、アニタ……さ…………」
    「どうしてお尻で感じるのかしら?」
    「ごめんな……さ……どうしても……敏感に…………!」
    「本当にしょうがないわね」
     さも仕方のない子を躾けるように、アニタはショーツをずり下ろす。生尻が剥き出しになるや否や、リナリーはより赤々と染まり上がった。
    「やぁ…………」
    「嫌じゃないの。さあ、続けるわよ? しっかり撮ってもらいましょうね?」
    「そんなぁ……あぁ……あっ、あん…………!」
     生肌へのマッサージで、アニタの両手は尻たぶを撫で回す。産毛をじっくりいたぶって、手圧をかけたタッチも施し、割れ目をぐいっと指で広げる。
    「お尻の穴が見えているわ」
    「いや……! そんな場所……!」
    「ティムキャンピーが映しているみたいね。お尻の穴と、その下のアソコも」
    「やぁぁ……!」
     羞恥に満ちた声色だけで、リナリーの顔がどれほど激しく赤らんだかが想像できる。
    「ここもマッサージするわよ?」
     アニタは右手でアソコを、左手では肛門をそれぞれ触り、二つの穴を同時に責める。汚い場所を触られて、乙女の心はどうなってしまっているか。アソコの穴にもあっさりと指は埋まって、アニタの愛撫が出入りしていた。
    「あぁっ、んっ、んぅ……!」
     肛門をぐにぐにとマッサージされながら、アソコにピストンも受けている。
    「んんぅ……! んあっ、あっ! あ! あぁ!」
     リナリーは腰でよがり、仰け反らんばかりに首を持ち上げ、ツインテールが激しく揺れる。
    
    「あぁぁ――――――――!」
    
    (一回、イったわね)
     アニタはほくそ笑む。
    「ほら、マッサージで喘いだりして、みっともないわよ! そんなに淫らな姿を撮影されたいのかしら?」
     腹の底では愉快になり、楽しくてたまらない気持ちでウキウキと、しかし口調や顔つきでは悪い子を叱る母親か教師のように振る舞っていた。
    「そんな……ちが……!」
    「だったら、おかしな声を出さない! しっかりしなさい!」
    「はぃ……んっ、んんぅ……んっ、んくっ、んんぅぅぅ………………」
     歯を食い縛って我慢するのが、後頭部を眺めるだけでもアニタには伝わった。必死になって声を抑え、感じまい感じまいとしているが、腰は依然として前後左右に動いている。快感から逃げたいように、あるいは刺激に対する条件反射で、ピクっと右や左に尻がずれたり、奥へ行ったりしているのだ。
    「あっ、うっ、んんんんぅぅぅぅ………………!」
     我慢しきれない声が漏れ、背中も弓なりになっていた。
    (もうすぐね)
     アニタには気配でわかった。
     リナリーがどうなろうとしているのか、快感に追い詰められた果ての反応が迫っていると、その様子から直感していた。
    「あっ! あぁ――も、もう――なにか……やめっ、お願いします……もうやめ…………!」
     だが、アニタはやめなかった。
     むしろ、アソコにピストンさせる指を活発化させ、肛門もグニグニとほぐしていただけのタッチから、愛液を指に絡めて活性油に、挿入さえ行っていた。二つの穴にピストンをやり、ますます激しく乱れるリナリーは、声もよがりも大きくなっていた。
    「だめ! だめ! あぁぁ……!」
    (さあ、もう一度イキなさい!)
     トドメとばかりに、アニタは指で最奥を貫き、肛門にも指を埋め込む。
    
    「あぁぁぁ――――――――――――」
    
     リナリーは腰を痙攣させ、背中も首も大きく反らし、まるで狼が雄叫びを上げるかのように固まっていた。アソコからは潮が吹き、まるでスプレーで濡らしたようにアニタの服やシーツに愛液がかかっていた。
    (悪い子ね! 本当に悪い子!)
     本当に楽しくてたまらない、満面の笑顔を浮かべつつ、アニタは腕を振り上げた。
    
     パン!
    
     大きな打音が部屋に響き、尻が薄らと桃色に染まっていた。
    「なんてはしたないの! 今のは恥ずかしい部分に隠れたツボを刺激して、リンパの流れも血行も良くする秘伝の方法よ? れっきとした施術だったのに、どうしてあなたは淫らな体液を漏らすのかしら?」
     リナリーが悪い前提の言葉を投げかけ、アニタはさらに腕を振り上げる。
    
     パン! パン!
    
     右を、左を、それぞれの尻たぶを叩いていた。
    「すみま……せ………………」
    「今の潮が吹くみたいなお漏らし、ティムキャンピーに撮られていたわよ? また変な記録を残されたくなかったら、次はこうならないように」
    「……はい」
     すっかり反省しきって、もうしませんとばかりに萎れるリナリーに、アニタは二つの穴への刺激を再開する。
     改めて、それぞれの穴に指を挿入していた。
    「あぁぁ……!」
     アソコを攻め、肛門にもピストンを行うアニタの愛撫に、リナリーは最初こそ我慢を重ね、声も抑えていた。
    「んっ! んあ! ああ!」
     しかし、抑え込んでいた喘ぎ声が少しずつ漏れてきて、はっきりと響き始めるまで、もはや数分とかかっていない。
    
    「あぁぁ――――――――!」
    
     三度目の腰の痙攣だった。
    「またイったの?」
     すぐさま、アニタは腕を振り上げる。
    
     パン! パン! パン! パン!
    
     よく音が鳴るように、手の平の形を意識しての平手打ちで、しっかりとした打音が天井を貫く勢いで鳴り渡る。お尻に感じる衝撃に加え、これだけいい音が鳴っていれば、叩かれている実感がより強くリナリーを襲うだろう。
    「いい? こうして叩かれるところも、映像に残るのよ?」
    「け、消して……お願いします……」
    「次こそ我慢しなさい?」
     そんな条件を提示しながら、アニタはまたもピストンを行った。
     ものの数分だった。
    
    「あぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――!」
    
     同じような仰け反りと、絶叫と、痙攣が、またしても繰り返された。
     しかも、今度はそれだけではない。
    
     じょ、じょろぉぉぉぉぉ………………。
    
     アソコに刺激を受け続け、ついに決壊したのだろう。今の今まで膀胱の中に溜まっていたものは、無残にも垂れ流され、細い黄金の糸となって、四つん這いの股のあいだに流れ落ちていくのだった。
    「本当に最低ね」
    「う……ぐっ、私……すみませ………………」
    「今のオシッコも、きちんと撮られているのよ?」
    「そんな…………」
    「反省しなさい?」
     アニタの心には完全にスイッチが入っていた。
    
     ペン! ペン! ペン!
     ペン! ペン! ペン!
    
     左右の尻たぶを交互に叩き、しだいしだいに赤みを帯びさせ、しばらく叩けばまた二つの穴に指を挿入してしまう。リナリーに我慢しきれるのは最初のうちで、数分もすればあえなく潮が吹き、愛液が飛散する。
    
     ペン! ペン! ペン! ペン!
     ペン! ペン! ペン! ペン!
    
     リナリーへのお仕置きは執拗に行われた。
    「さあ、撮られているわよ? お尻ペンペンされてるみっともない姿がね!」
     嬉々として恥ずかしい姿が記録に残ることを声に出し、リナリーの気持ちを煽った上で、さらに平手打ちを繰り返す。
    
     ペン! ペン! ペン! ペン!
     ペン! ペン! ペン! ペン!
    
     リナリーは叩かれるばかりであった。
     オシッコまで漏らした自分に反論の権利などないように、罰は受けなくてはならないように、必死になって耐え忍ぶ。
    「ごめん……なさ………………」
    「もっと反省しなさい!」
     容赦なく、繰り返された。
    
     ペン! ペン! ペン! ペン!
     ペン! ペン! ペン! ペン!
    
     興奮しきったアニタにより、何度でもイクのを我慢させられ、リナリーはそのたびに数分で喘ぎ散らして、最後には絶頂する。イケばお仕置きされるとわかっていながら、リナリーは快楽に耐えきることができなかった。
    
     ペン! ペン! ペン! ペン!
     ペン! ペン! ペン! ペン!
    
     延々と続いた。
     アニタが満足しきるまで、お仕置きは終わらなかった。
    
         †
    
     最後にリナリーは見せられていた。
    「どう? これがあなたの今までの姿よ?」
     ティムキャンピーが真上を向き、牙の並んだ口を大きく開けると、記録されていた映像がその口内から吐き出される。空中に画面を浮かべたように流れるそれは、リナリーが四つん這いでお尻を丸出しに、肛門までありありと見えている内容だった。
     二つの穴に指を入れられ、イカされて、しまいにはオシッコを漏らす自分自身の姿にリナリーは目を背ける。
    「きちんと見なさい?」
     と、アニタに強要され、リナリーはまぶたを震わせながら自分を見た。
     散々にお尻を叩かれ、白かった尻たぶがしだいに赤くなっていく有様まで、アニタがやっとやめてくれる瞬間までを長々と視聴させられ、リナリーの中には大きな屈辱が植えつけられた。
    「いい? あなたは悪い子よ? マッサージで感じてお仕置きされたしょうがない子」
     アニタは耳元に囁く。
    「これからも、お仕置きが必要ね。いずれまた、私と二人きりになってもらうわよ?」
     苛烈なイジメをまたやると、遠回しの宣言にリナリーは深く俯く。
     二人のあいだには、決定的な関係が生まれていた。
     小便を流す姿を見られ、イカされ、お尻も叩かれている。それを行った相手に対して、何一つ逆らえない心理がリナリーの心の深くにまで根を張っていた。
     リナリーは奴隷になった。
     そうなれと、はっきりと言われたわけでこそないものの、そんな上下関係が今ここに生まれているのだった。
     
    
    
    


     
     
     

    +1

  • リナリーへの性教育~絶頂のお仕置きスパンキング~

    
    
     
     
     暗闇の中で眠りに意識を沈めていると、たまに思い出すことがある。
    
     ぺんっ!
    
     と、打音の記憶。
     リナリー・リーは自分が何歳の頃から教団にいたのかを覚えていない。わかっているのは、両親をAKUMAに殺され孤児となり、イノセンスの適合者であったがために教団へ連れて行かれたことである。
     兄とは離れ離れに、自由に外にも出してもらえない。
     最初は教団が牢獄のように感じられ、脱走を企てたことさえあった。
    
     ぺちん! ぺちん!
    
     記憶の中には打撃の音が残っている。
     脱走がバレて捕まり、お仕置きを受けた屈辱は、決して消えはしない。
     あの時、リナリーは四つん這いにされていた。
     大の大人に囲まれて、精神的にも抵抗できず、されるがままにスカートを捲られて、丸出しとなったショーツの尻にペチッ、ペチッ、と、二度と脱走など考えないように、思い知らせるための平手打ちが行われた。
     がっしりと掴まれ、揉まれもした。
     欲望のままに撫で回され、手の平によって味わい尽くされた。
     何人もに囲まれて、衆人環視の中で仕打ちを受けたトラウマは、リナリーの心に大きな傷を与えていた。
     それでも、いや、だからこそ――。
     なおも脱走を企て、またしても捕まりお尻を叩かれ、三回目に囚われた時は全身を撫で回された。ペナルティを与えることに躍起になり、女の子なら性的な悪戯をしようと考えた大人により、胸やアソコを弄られた。
     やがて、ついにリナリーは拘束された。
     小さかったリナリーにとって、それはどれほど恐ろしかったか。自分を教団に連れ去った上、監禁までする大人達への恐怖は計り知れなかった。
    
    「気が触れてしまったか」
    「縛りつけておかないと、何をするかわからない」
    「絶対、死なせるな。外にも出すなよ」
    「大事なエクソシストなんだ」
    
     一度は精神が壊れかけていた。
     もし兄が現れなければ、今頃はどうなっていたか。
     兄のコムイあってこそ、やがて黒の教団を家と思うようになり、ここにいる仲間を家族と呼べるようになったのだ。
    
     皆が皆、あんなお仕置きをしてきたわけではないから……。
    
         †
    
     奇怪ある場所にイノセンスはある。
     そこに在るだけで影響を及ぼし、適合者が持てば対AKUMA武器となる。対抗手段だ。それをAKUMAに奪われたり、破壊されれば、戦力を失うことと同じである。
     千年伯爵やAKUMA達の勢力に対抗するには、一つでも多くのイノセンスを集め、エクソシストを増やし、戦力を高める必要がある。
     そのため、教団は怪奇現象や奇妙な噂など、可能性のある場所を虱潰しに調べ、確率の高い場所にはエクソシストを送り込む。
     リナリー・リーは任務に訪れていた。
     その町には怪奇現象の噂があり、既に原因とみられるイノセンスを探索部隊が発見済み。それを狙うレベル2のAKUMAが徘徊しており、脱出は困難であるとのこと。
     AKUMAから探索部隊の仲間を守りつつ、イノセンスを持ち帰る。
     これが任務の内容であり、リナリーはAKUMA達と遭遇していた。
    
     さわっ、
    
     お尻に手の平が当たる感触。
     ぞっとしながらリナリーは素早く勢いよく振り向いて、回し蹴りをお見舞いする。黒い靴の威力はAKUMAを破壊し、粉塵に変えて消し去るも、リナリーはまだまだ何体ものAKUMAに囲まれていた。
     エクソシストは常に黒い団服を着る。
     よく目立ち、十字架のマークまで掲げ、自分はエクソシストであるとアピールして回るようなものである。
     バレるために着ているのだ。
     人間に化けたAKUMAを炙り出すため、自分に近づく者を全て疑うことができるため、その例の通りにリナリーも団服で町を訪れ、釣られたAKUMAがこぞって姿を現したのだ。
     リナリーを取り囲むAKUMA達は、どれもがモデル人形によく似ていた。
     絵描きに使う木製の、球体関節の模型達は、実際のモデル人形と違って目玉を生やし、手足の指がそれぞれ五本、しっかりと形になっている。
     奇怪な動きだ。
     およそ人間的ではない、おかしな方向に関節が曲がる。肘が、膝が、逆方向に折れ曲がり、踊りのように上半身を振り回す。フラついているのか、奇妙なダンスをしているのかもわからない、不可思議な動きでリナリーに迫り、抱きつこうとする。
     口からトゲを吐き出しながら、ウイルスを打ち込もうとしてくる。
     レベル2のAKUMA達だが、リナリーは決して捕まらない。
     黒い靴で地面を蹴り、ふわりと宙に浮き上がれば、それは優雅な舞いとなる。軽やかな羽が風に乗るかのように滞空し、急に勢いよく降下する。落下と共に放つかかと落としで一体を破壊した。
     その瞬間、正面から抱きつこうとしてくるものを、今度は下顎を打ち上げるキックで宙へと蹴り飛ばし、背後からの抱擁を逃れるために跳躍――その回避が、そのまま蹴り上げたAKUMAへの追撃だ。
     上昇していくAKUMAへリナリーは追いつき、空中で横並びとなるなり再びキックを放ち破壊する。
     これで残るは三体。
     次に着地した途端――。
    
     さわっ、
    
     お尻に手の平が当たる感触。
    「ひゃ!」
     リナリーは悲鳴を上げ、背面にキックを放つ――AKUMAだった。
     残り、二体。
    
     どういう……こと……?
    
     不快感を噛み締め、リナリーは同時に疑問も抱く。
     お尻に触るチャンスがあったなら、そこでリナリーを殺せたはず。元は人間であるのなら、AKUMAにも女の子の身体に触れたい気持ちがあるのだろうか。
     リナリーを殺すことより、お尻へのタッチを優先するAKUMAだった。うっかり隙を見せても、そこで死ぬとは限らず、だからレベル2であろうとも、残る二体を倒すのに苦労はなかった。
    
     近頃はそんなAKUMAが多い。
    
     リナリーを殺すなり、深手を負わせるチャンスがあっても、お尻を触ったり、胸や腰に手を伸ばす。不快でならないが、反撃を喰らってでもそうしてくるAKUMAは、普通よりも倒しやすいのだった。
    
     だが、AKUMAだけではない。
     教団内にも、リナリーをいやらしい目で見る者は多かった。
    
         †
    
     近頃、視線が気になることが多い。
     教団本部でコーヒーを煎れ、書類仕事の男達に配っていると、テーブルに置いてやる際に胸を見てくる。ふと背後の視線が気になって、不意に後ろを見てみれば、お尻を見ていた男が慌てて顔を逸らして机に向かう。
    「だいぶ女の子として成長してきたねぇ?」
     などと。
     胸やお尻の具合についてほのめかす中年男など、リナリーが困ったり嫌がる素振りを見せても、構わず視姦してくるのだ。
     リナリーはそうした視線に敏感になり、ムズムズと感じるようになっていた。
     まるで小さな虫が皮膚を這っていたかのような、かゆいようなくすぐったいような感覚がよくあるのだ。
     そのせいなのか、リナリー自身にはわからない。
     ただ最近、寝付けないことが増えていた。
    
         †
    
     リナリー・リーは一般的な教育は受けていない。
     教団内の大人が教師代わりに、常識的な学力はあるのだが、性や身体について知識は薄い。同じ女性がいたから、生理だけは学んでいるが、受精の方法や男性の射精について、踏み込んだ内容の性教育は受けていない。
     その晩、自分がムラムラしていることを、リナリーは理解していなかった。
    「はぁ……はぁ……い、いったい……」
     ベッドの中でモゾモゾと、リナリーは太ももを擦り合わせ、体中の火照る切ない感覚に身悶えしていた。
    「なんなの……この感覚……」
     下腹部が熱い。
     乳房も芯から疼き、衣服の内側で乳首が突起してきている。
     寝付けない。
     ベッドに入って小一時間、まるで眠りに落ちることができない。精一杯の思いで睡眠の世界に落ちようとしてみても、沈んだ意識を疼きによって汲み上げられる。
    「もう、しょっちゅうこれ。ぜったい、おかしい」
     今日だけの話ではない。
     週に何度も、こうして眠れない時がある。
    
     不眠症? ストレス?
     それとも、他に何かの病気?
    
         †
    
    「なるほど、眠れないわけね」
    
     その日、医務室に顔を出したリナリーは、身体についての相談なので、その方が安心と思って女の先生をお願いすると、二人の看護婦が迎えてくれた。
     恥ずかしながら、リナリーは伝えた。
     胸やアソコが疼き、眠れない日々が続く。不眠症の一種だろうか、病気だろうかと心配している旨を告げる。
     四十過ぎの中年看護婦、二十代前半の新人であろう若手看護婦。
     この二人が、リナリーの診察をしてくれる。
    「思春期特有のものかもしれないわねぇ?」
     中年看護婦は穏やかに、子供が微笑ましいかのような顔を浮かべた。
    「大丈夫よ? きっと心配ないから」
     若手看護婦はリナリーを安心させようとしてくれる。
     同性で、かつ親身になってくれる気配もあり、おかげでリナリーは胸だのアソコだのといったことまで、恥ずかしくはあっても口にすることができたのだ。
    「ま、何らかの症状かどうかは確かめないとね。ところで、その団服は分厚いから聴診がしにくいの。前をはだけてもらえるかしら?」
     中年看護婦は穏やかに指示を出す。
     リナリーは従った。
     団服の前を開き、内側の黒いブラジャーを曝け出す。
    
     ――ごくっ、
    
     と、晒した途端、二人が生唾を飲んで見えたのは気のせいか。
     美味しそうなものに鼻息を荒げたような気がした。
    
     気のせい、よね。
     なにを不安がってるんだろう、私。
    
     聴診器が乳房の下あたりに触れ、中年は耳に意識を集中する。次の音を聴こうと胸の中央に当て、やはり静かに聞き取った。
    「他にも色々と見ていくわ」
     中年は次々と診察を行った。
     ペンライトで口内を照らし、喉を診る。下まぶたを開き、血色を確かめる。首まわりのリンパに触れ、腹も何カ所かを指で押し、痛みや違和感がないかを聞いてくる。
    「ここまでは何もないわ。ブラをずらしてもらえない?」
    「ブラですか?」
     一瞬迷う。
     しかし、同性相手であること、体調管理はきちんとしておきたいこと、不調のまま戦うのは危険であろうこと、様々な思いが絡み合い、リナリーは乳房の露出を了承する。同性で良かったと思いつつ、リナリーはブラジャーをずらして持ち上げた。
     やはり、少しは恥ずかしい。
    
     ん? やっぱり、気のせい?
    
     表には出さないが、リナリーは内心で首を傾げる。
     またしても、生唾を飲んだかのような、かすかな気配が感じられた。男ならともかく、同性が乳房を見たところで、興奮するはずもないというのに。
    「さて、皮膚の感じと胸郭の形状を診ておくのだけど」
     中年が少しだけ前のめりに、見るからに胸に視線を送ってくるのは、気恥ずかしいものがある。
    「触診するわね」
     手が伸びてくる。
     何の変哲もない、調べようとする手つきだ。何を探してか、指を丁寧に押し込んで、指先で反応を探ってくる。人の手が乳房に触れてくるのは気になるものの、真面目な顔つきで、機械の点検か何かのように触診をこなしていた。
     そのうち、乳首に触れられる。
    「ひゃっ!」
     電流が弾けたような、驚くような刺激にリナリーは肩を弾ませていた。
    
     何?
     今の、何?
    
     と、リナリー自身が困惑していた。
    「どうしたの?」
    「いえ、すみません」
    「痛かったかしら?」
    「痛みではなくて、なにか変な刺激が……」
    「変な刺激? もう少し触るから、我慢してもらえる?」
    「は、はい」
     また、おかしな刺激が来るかと思うと、抵抗がないでもない。
     いいや、今のが病気のせいなら、それこそ診てもらう必要がある。
     指が、乳首に触れた。
    「――――ん!」
     左右の手で、親指と人差し指で、二つの乳首を同時につまむ。指圧の強弱をつけ、押し込んだりなぞったり、様々にタッチを変える。
    「んっ、んぅ……」
    「刺激についてだけど、痛みとか、痒みとか、そういった感じではなさそう?」
    「んぅ……そ、そうだと思います……」
    「なら、気持ちいい?」
    「ええ、それが近いような」
     リナリーは何の疑問もなく、ただの問診の一部として答えていた。
     
     ――ニッ、
     
     と、中年が笑った気がした。
     背後に控える若手看護婦も、興奮気味に紅潮していた。
     空気が変わった。
     どんな空気に、と言うべきかはわからない。ただ、仕事をこなすものから、何か別のものへと変化して、肌にまとわりつく空気の質がねっとりとしたものになっていた。
    「思春期における二次性徴はわかるかしら」
    「胸が膨らんだり、とかですよね」
    「そ。その影響で変化が訪れて、それで肌が敏感になっているのかも」
     中年は再び乳房に手を伸ばし、今度は鷲掴みに揉み始めた。
    「え? んっ、んぅ……んっ、んぅ…………」
     明らかに異なる触り方で、言ってみるなら男がオッパイを揉みたがる手つきが頭を掠める。
    「これはエッチな快感よ?」
    「え、エッチって……」
    「リナリーちゃん。性の知識はどれくらいある?」
    「あまりたくさんは……」
    「子供の作り方は?」
    「受精とか、精子とかは聞いたことがありますけど」
    「この歳でそのレベルはまずいわね。いい、今から私が教えるから覚えなさい。セックスも含めて覚えてもらうわ
     かくして、中年は語り始める。
     ペニスの挿入によって子作りを行うこと、コンドームの存在、男の射精や女の膣分泌液について、フェラチオ、パイズリ、手コキのような知識さえも中年は語った。真顔で真剣に、あたかも必要な一般常識のようにして、講義のように知識の数々を並べていた。
     刺激の強い内容だ。
     無知に近かったリナリーには、聞くだけで赤らむ話ばかりだったが、赤裸々な情報を頭に入れ、自分なりに異性との関わりについてを思う。男にはそういった欲望があり、女の子にも性欲はある。
     だからこそ、自分の身体は大切に、性交渉の相手は慎重に選ぶべき、と。
     ただエッチな話をしたのでなく、様々な性癖やフェラにパイズリの存在まで挙げつつも、男はそういう生き物だから気をつけよう。いつかそうなっても構わないパートナーを見つけよう。
     といった風に締め括る。
    「ところで、あなたは知る必要があるわ。エッチな快感を得ることで、自分が一体どうなってしまうのか。いやらしいAKUMAの報告も聞いているし、把握しておくのは絶対に必要なことよ?」
    「は、はい……」
    「そこに横になってもらえるかしら?」
     中年は診察台を指す。
     リナリーは靴を脱ぎ、仰向けになってみるなり、すかさず若手看護婦が団服を左右に開く。頭の上で、頭頂部に腹が当たってくる位置で、若手はブラジャーまで持ち上げ、改めて乳房を露出させた。
    
     ……うっ。
     また、胸を見られて……。
    
     決して、気にならないわけではない。
     ただ、診察の中で胸を出す分には、それも同性相手であるうちは、とても冷静に我慢していられた。
    「あなた。任せるわ」
    「はい、私がやりましょうね。よろしくね? リナリーちゃん」
     気の良さそうな、穏やかな微笑みで、若手看護婦がリナリーの横につく。両手を伸ばすなり胸を掴み、揉み始め、すぐに快楽が満ち溢れた。
    「んぅ……あ……」
    「羨ましいわ! 張りがあって可愛くて、いいオッパイ!」
     愛おしそうに目を細め、若手は揉みしだく。
    「あっ、んんぅ…………」
    「気持ちいい感じがする?」
    「はい……」
    「それが性的快感。エッチな気持ち良さ。一応、病気の可能性は完全には捨てていなくて、触診も兼ねてやっているの」
     若手はさらに乳首をつまみ始め、くりくりと転がし遊ぶ。指で押し込み、乳輪をなぞり、様々に刺激を与えていた。
    「んぅっ、くぁっ、あぁ……! あぁっ、んっ、んぅ……!」
     その間、リナリーは悶えていた。
     触診という言葉を聞かされ、それを信じて、リナリーは乳揉みを受け入れて、モゾついているのだった。
    「とてもエッチな反応ね! リナリーちゃん! 男の子が見たら大興奮よ!」
     若手は興奮する。
    「そ、そんな……!」
     リナリーは瞬く間に赤面した。
     そういう反応なのだと、面と向かって言われた衝撃。まさに男が悦ぶ様子を見せていた事実。全てがリナリーの顔を赤らめていた。
    「いい? ただエッチなことをしてるんじゃないの。先ほども言ったように、病気の可能性を視野に入れたまま、触診を兼ね、あなたには弱点を把握してもらうわ。この先、どんなAKUMAが現れるかわからないもの。エクソシストのあなたには、性的でいやらしい攻撃に対するためにも、自分の肉体をきちんと理解する義務があるの」
     そんな理論を中年は展開した。
     AKUMAと戦うためと言われれば、リナリーには重く響く。エクソシストにしか倒せない上、リナリーには兄に救われた時の恩がある。兄が来てくれればこそ、今こうして真っ直ぐに生きている。
     だから、兄のために戦う思いがリナリーにはある。
    「わかって……います……」
     リナリーは半ば腹を括っていた。
    「アソコもやるわ。上は直していいから、スカートを上げなさい」
    「……はい」
    
         †
    
     リナリーはスカートを巻き上げて、脱いだも同然の露出を行っていた。
     黒いゴシック調のショーツに、飾り付けの白い刺繍と赤いリボンが施され、エクソシストの団服にマッチした相応のオシャレとなっている。
    
     やっぱり、少し……。
    
     下着が見えることへの抵抗は皆無ではない。
     男の視線を想像すると、とても耐えきれそうにはない気もするが、同性相手に気がどうにかなるわけではない。
     静かに、我慢していられる。
     だが、恥ずかしいのだった。
    「じゃあ、脚は開いてね? M字みたいにね」
    「開くんですか?」
    「そうそう! M字M字! ね? 診やすいためだから!」
     若手に押され、リナリーは渋々両足を持ち上げる。ポーズを変えればアソコが目立つことを考えると、先ほど吸収したセックスの知識が頭を掠める。男性器の挿入がやりやすそうな、いやらしいポーズに思えて赤らんだ。
     M字開脚の形を取るなり、若手は脚を押し倒さんばかりに、体重をかけんばかりに両手で押さえてくる。
    「いくわよ?」
     中年は下半身の向こうで屈み、真正面からリナリーのアソコを覗く。ショーツ越しとはいえ、大切な部分にまじまじと視線を送られ、赤面の熱がさらに上がった。
    「ひゃ!」
     指先が触れ、甘い刺激が弾けて声が出た。
    「あら? 大丈夫?」
    「へ、平気…………」
    「続けるわね?」
     中年は構わず続行し、ショーツ越しのワレメをなぞる。
    「あっ! んぅ……んっ、んぅ……!」
    「どんな感じ? 気持ちいい?」
    「はっ、はぃぃ……! んっ、んぅぅ……!」
    「なら覚えてね? もしもエッチなAKUMAがいたら、アソコをやられると、今くらいの刺激がある。いいえ? 特別な能力があったりしたら、もっとおかしくなるかも。嫌でしょう? だから、今のうちに勉強するの」
    「んぅぅぅ……くっ、くはぁ……!」
     黒いショーツの表面が、みるみるうちにぬめりを帯びる。しだいに糸を引く気配が現れ、濡れた染みも浮き上がる。黒い布だが、水分の吸収で濡れた部分だけがより色を濃くしていた。
    「じゃあ次は中身を診るわよ?」
    「中身って……」
    「もちろんアソコの中身よ?」
     ショーツを横へとずらされ、リナリーは自分の性器が外気に露出したことを感じる。大気に触れ、視線にも触れ、ムズムズとした切なさが込み上げる。下腹部の奥が熱っぽく引き締まる。
    「あら? 綺麗なワレメね。中身はどうかしら」
     リナリーは羞恥した。
     性器の感想を言われてしまい、そのまま指で左右に広げられては、赤面はより加速的に広がっていく。
    「はっ、恥ずかし…………」
     そんな声には、だから許して欲しい気持ちが滲んでいた。
    「とても綺麗な桃色ね? エッチな汁で宝石みたいに輝いているの。見ていて興奮しない男はいないでしょうね」
    「いやぁ……!」
     両手でアソコを隠し、がっちりと守りたい衝動にかられた。両手はモジモジと下へ近づき、隠したがっている気持ちだけが現れていた。
    「はーい。入るわよ?」
     中年の指先がアソコに触れる。
     
     だ、だめっ、やっぱり――
     恥ず……かし……
     
     唇の周りが力み、目尻や眉間にも力が入る。耳に熱がじわじわ迫り、赤面の広がりを自覚する。自分の今の表情を思うに、せめて顔だけでも隠したくなってくる。
    「あ、ダメダメ!」
    「え……」
     リナリーの腕は押さえ込まれた。
     太ももを押さえていた若手が、慌てて位置を移して来て、まるで押し倒すかのような具合にリナリーの手首を掴み、診察台に押しつける。真正面から若手の顔が迫る形となり、これで表情は隠せなくなってしまった。
     
     やだっ、これじゃあ……!
     
     脳裏を掠める記憶があった。
     脱走のあまり拘束され、ベッドで身動きを取れなくされた恐怖を思い出すなり――きゅっ、と、どうしてか下腹部が反応する。
    「ほーら」
     アソコに指は入ってくる。
    「んんっ、んぁ…………!」
     侵入してくる異物が根元まで収まる感覚に、苦しいような気持ちいいような、どちらともつかない声が漏れていた。
     若手と目が合った。
     もう表情を見せることも恥ずかしく、リナリーは顔を背け、片耳だけを若手に向けていた。
    「リナリーちゃん。かわいい」
     若手からウキウキとした声が届いてきた。
    「アソコの中も温かいわ。健康そのものかしら?」
     膣内に指が収まり、リナリーの粘膜がそれをじっくり温めている。中年の皮膚には、膣液がじわじわと浸透しているはずだ。
    「リナリーちゃん? 指がわかるでしょう? これがペニスだったらもっと太くて、個人差はあるけど初体験は基本的に痛いわね。オナニーをすることで、少しは慣らしておくことができるから、覚えておくのよ?」
    「はい……」
    「それから、女の子の最大の弱点は、基本的にここよ? 人によって性感帯はそれぞれで、中にはお尻の穴が弱い子もいるけど、性器が基本。こうして穴に指が入ったり、他にはクリトリスっていうのを触られると、より感じるのよ」
     中年はもう片方の手を使い、肉豆の突起を爪で優しく、丁寧なタッチで虐めた。
    「ひゃぁあ!」
     リナリーの腰は大胆に弾んだ。
    「あら、びっくしりした? エロAKUMAが出たら、今のをされないように気をつけないといけないって学べたわね?」
     勉強ができてよかったかのように、中年は言っていた。
    「じゃあ、動くわよ? セックスみたいなピストンをするから、将来パートナーができた時の予習として、しっかり覚えなさい?」
    「あぁぁぁ……!」
     指の出し入れが始まり、ぐりぐりとほじられる。最初はゆっくりとピストンしつつ、愛液の滑りを利用して、少しずつスムーズに軽やかに、大胆な愛撫が行われ、それにつれてリナリーの喘ぎ声は大きくなる。
    「いい? これを男のペニスでするのがセックス。こういうことをするの。それが無理な相手とは交際しない。してもいいと思える相手をきちんと探す。そういう気持ちを養う意味もあるんだからね?」
     クリトリスへの刺激まで追加され、穴と肉豆が同時に責められた。
    「あっ、あぁ――んっ、んぅ――!」
     くちゅり、くちゅり、と、指の出入りによって音が鳴り、刺激が走る。快楽電流の流れた筋肉が反応し、ビクビクと太ももが弾もうとしてしまう。押さえ込んでくる若手の両手を、かすかに小刻みに押し返し続けていた。
    「あぁっ、んぅ! も、もう――」
     それだけではない、リナリーは焦っていた。
     下腹部に何かが集まるような、未知の予兆が高まっている。初めての体験で、リナリー自身にはこの感覚の正体がわからない。ただ、アソコがうずうずと切実になっていくのは、オシッコが出そうな時に似ているのだった。
    「おっ、おねが――しまっ、んぅ――んぅ――んぁ――あぁ――」
    「あらあら、どうしたの?」
     中年は意地悪に笑っている。
    「どうしたんでしょうねぇ?」
     若手も悪魔的な笑みを浮かべていた。
    「もっ、もう――なにか――あっ、あっ、んんんん――でそ――出そう――トイレに――」
     悲痛な叫びを上げるリナリーだが、それを聞き入れる様子が誰にもない。
     それどころか、指先のピストンはますます活発になっていき、とうとうリナリーにその瞬間はやってきた。快楽の波がどこまでも高まり、アソコの中で何かが弾けた。
     
     プシャァァ――――
     
     潮が上がった。
     アソコの正面に顔をやっていた中年には、それが大胆に噴きかかることになってしまう。
     一瞬、真っ白になった。
     みるみるうちにリナリーの表情は染まり上がって、焦燥に満ち溢れた。
     それは愛液だ。
     しかし、体液の種類がどうであれ、まるで人にオシッコをかけてしまったような、取り返しのつかない失態を犯した衝撃に、信じられない思いでいっぱいになっていた。
    「す、すみませ――――」
     絶望さえ感じた震えた声で謝りかけ、
     
    「いけない子ねぇ?」
     
     邪悪に笑う中年の顔がそこにはあった。
    「これはお仕置きね」
     若手も微笑みで唇を釣り上げ、楽しげでさえある表情を浮かべていた。
     人間の悪魔に囲まれている。
     それがリナリーの置かれた状況だった。
    
         †
     
     リナリーは四つん這いになっていた。
     お仕置きを言い渡され、今のリナリーの立場では、とても拒むことなどできはしない。主導権は完全に握られて、命じられたままのポーズを取っていた。
    「こうしてみても、しっかりアソコが濡れてるわね!」
    「言わないで……」
     ポーズだけではない。
     リナリーのスカートはしっかりと捲り上げられ、黒いショーツは丸出しだ。お尻をみんなで眺めるため、二人がリナリーの背後に並び立ち、ニヤニヤと視姦している。
     
     ――うずっ、
     
     と、下腹部が引き締まった。
    「まず、先ほどのは絶頂というものよ。イク、ってて言い方もする。性的快感の最高潮。それを経験したの」
     中年はおもむろに手を乗せて、意味もなく尻を味わう。
    「…………」
     リナリーは何も言わなかった。
     言えるはずがなかった。
    「お尻がうずうずして見えるわよ? まるでお仕置きを待ちわびてるみたい」
     若手が嬉しそうに言った。
    「どうぞ? あなた
     中年は獲物を譲らんばかりに、若手にお尻を明け渡す。
    「本当ですか? じゃあ遠慮なく!」
     順番の譲り渡しさえ行われ、若手がリナリーの後ろにつく。お尻のすぐ近くに人の立つ気配がわかり、リナリーはこれから受ける仕打ちに皮膚を興奮させていた。
     
     どうして、こんな気分が……。
     
     まるで自分の中に沸く心の正体がわからないかのように、自分自身に対して戸惑う。かつて脱走のお仕置きを受けたのは、嫌な思い出に他ならない。皮膚の疼きが自分で理解できずにいた。
     ただ、本人が自覚していないだけで、リナリーにはとある『素質』があった。
     かつて、お尻を叩かれている経験。怖くて痛いはずなのに、何故か気持ち良くもあった記憶。嫌な記憶として、普段は心の奥に封印していても、それはリナリーの性癖を作り出す一部となっているのだ。
     
     ぺん!
     
     叩かれた。
     若手による平手打ちで、ショーツ尻はプルっと揺れた。
    「うぅ……」
     情けない。
    
     ぺん! ぺん!
    
     本当なら受け入れるはずのない仕打ちに、リナリーは涙を飲んで堪え忍ぶ。
     
     ぺん! ぺん! ぺん!
     
    「えへへっ、叩くたびにお尻がプルってするのがかわいい!」
    「うぅ……そんな……」
     自分では目視できないお尻の様子を語られて、リナリーますます恥辱に濡れる。
     
     ぺん! ぺん! ぺん!
     
     きゅっ、きゅっ、きゅっ、と、一発ごとにアソコの奥が引き締まり、膣の中身が熱くなる。じわっ、と体液が滲み出て、クロッチには湿り気が浮かんでいた。
    「あら? 感じてますね?」
     と、若手。
    「これはイケナイ子ねぇ? 悪い子ねぇ?」
     中年が前に出て、ポジションを入れ替わるなり、早速のように叩き始める。
     
     ――ペン!
     
     若手よりも、強くやられた。
    「んぅ――んぁ――」
     あたかも感じたかのような喘ぎが漏れる。
    
     ペチッ! ベチ! ぺチィ!
     
     打音が響き、リナリーは惨めでならない。
     こんな扱いには耐えきれないかのように胸を沈め、診察台に額を押しつけ、固く震える拳でシーツを強く掴んでいた。
    「なにを感じているの? お尻を叩かれて気持ちいいの?」
     右の尻たぶも、左の尻たぶも、中央の割れ目の上も、それぞれの場所で打音が鳴らされ、振動によってプルプルと、尻肉はその都度小さく震える。
    「っと、やりたい?」
     若手に尋ねる中年の声。
    「はい!」
     若手が元気に答えると、中年はポジションを譲り、お尻のそばで人の入れ替わる気配が伝わる。
     
     ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ、
     
     軽やかで音も小さい、針時計の秒針が鳴り続けるようなリズムで叩かれる。力が控え目な分、叩くペースは早まり、それだけ振動数も増えてプルプルする。
    「んぅ……! んっ、んんんん……!」
    「これで気持ちよくなるなんて、何のためのお仕置きかな?」
     言葉による責め苦に苛まれ、かえって下腹部が反応する。まるで数秒やそこらで汗が滲んで濡れてくるように、リナリーのショーツは湿ってきた。
    「どうして叩かれているのかわかってる?」
     ペチッ、ペチ、ペチン、ペチッ、ペチン、
    「それはっ、私のせいで、皆さんを汚して……」
    「どんな風に?」
     ペチン、ペチン、ペチン、ペチッ、ペチッ、
    「そのっ、アソコから……」
    「アソコから?」
    「い、イって……噴き出して……」
     罪状を声に出して言わされる。
     そのあいだにも、ペチペチと鳴り続けるお尻の音と衝撃に反応して、膣の奥が熱っぽく疼いる。
     やがて、感覚が膨らんだ。
     潮吹きの前にあった予感。オシッコが出そうな感じに近いものが、リナリーのアソコには迫っていた。
    「あっ、あの! 本当にすみません! だから――――」
    「だから?」
     ペチッ、ペチン、ペチン、ペチン、ペチン、
     リナリーは一瞬にして言葉に詰まる。
     また絶頂しそうだと伝えたら、悪い子を叱る口実を自分で与えるようで、言い出せなくなっていた。
     ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ、
     手の平が止まってくれることはなく、とうとう限界が来てしまい――
     
    「――――――んくぅ!」
     
     背中がビクッと震え、アソコは激しく濡れた。衣類の内側にスプレーを吹きかけたかのように、一瞬で染まる勢いでショーツは濡れ、太ももを伝って流れ落ちた。
     
    「またイったの?」
     
     それは怒られている最中にも関わらず、同じ悪さを繰り返したことへの糾弾だった。
     
    「ごめんなさい! 本当に、本当に――」
     
     ――――ベチン!
     
     これまで以上の強さで打ちのめされ、その一撃によって、リナリーはまたしても腰をビクつかせた。
    
         †
    
    「まったく、お仕置きが終わらないわねぇ?」
    「でもしょうがない! だって、お尻を叩かれて喜ぶ変態さんだし!」
    
     中年と若手の二人で叩いていた。
     中年が右の尻たぶを、若手が左の尻たぶをそれぞれ叩き、肌に打音を立てている。
     
     ペン! ペン! ペン!
     
     それが交互に行われ、リナリーのアソコには次の限界が迫ってくる。
    「――あっ、あああぁぁあ!」
     ショーツを被せたワレメでも飛沫が散り、シーツには何滴かの染みができあがる。
    「あらあらあらあら」
    「またイキましたね! お仕置き追加!」
     さらにお尻叩きは繰り返される。
     
     ペン! ペン! ペン!
     ペン! ペン! ペン!
     
     右が、左が、交互にプルプルと揺れ続け、なおもアソコは高まっている。絶頂しても、また次の絶頂に向けて改めて高まり直し、リナリーは幾度となくイキ続けた。
     
     ペン! ペン! ペン!
     ペン! ペン! ペン!
     
     絶頂を迎えるたびに腰が震え、太ももまでビクビクとするリナリーは、ショーツを限界まで濡らしていた。布地の表面がヌルヌルによってコーティングされ、これ以上水分が追加されても、もう見た目にはわかりようがなくなっていた。
    「本当にしょうがないわね?」
     いかにも呆れてみせる中年は、どこか満足そうでもある。
    「あーあー。あんまりイクから、リナリーちゃんのお尻が真っ赤だね?」
     若手はお尻に手を乗せて、さも子供の頭を撫でて慰めるように撫でていた。
    「一体どれだけお仕置きすばいいのか、わかりもしない。こんな子がエクソシストだなんて」
     深々とため息をついてみせていた。
    「そんな……私……」
     エクソシストであることさえ否定され、リナリーは打ちのめされる。
    「かわいそう。お尻をなでなでしてあげるから、うつ伏せになってね?」
     若手の指示に従わされ、四つん這いの身体を下げていく。べったりとうつ伏せになるなり、若手の手でショーツを下げられ、リナリーのお尻は丸出しとなった。
     よく赤らみ、腫れっぽくヒリヒリとしていそうなお尻の山がそびえ立つ。
    「可愛いお尻ちゃん」
     若手は嬉々として手を触れる。
     指先でさーっと、産毛に触れるか触れないかのタッチによって、皮膚の表面だけをくすぐる。
    「うっ、くぅ……! んぅ……!」
     敏感になった皮膚には、そんな刺激さえ強く感じられ、さわさわと指先だけで撫でられているお尻は震えていた。腰がモゾつくことで、お尻の山が左右にくねくねと、時には腰が浮かんで上下にくねり、見るからに快楽の反応を示していた。
     ただお尻に触りたいだけだった。
    「えへへっ、いい触り心地だぁ!」
     両手を深々と尻たぶに埋め、楽しむ揉む。
     リナリーは今更になって理解していた。
     ここにいる二人とも、同性愛の気質があって、だからリナリーを弄ぶ。今の今まで真面目に診察を受けていたのが馬鹿らしく、悲しくなり、かといって人に愛液を振りまいている身分では、もうどうしようもないのだった。
    
         †
    
     最後のお仕置きはオナニーだった。
    「あなたは欲求解消を覚えなくちゃいけないわ。最初からオナニーを知っていれば、体の疼きは自分で沈められたわけでしょう? こんなことにもならなかったかもね」
     ……その通りだ。
     オナニーなど、聞いた時にはいやらしく思えたが、お尻を散々叩かれイカされて、こんな運命を辿るよりもどんなに良かったか。
    「さあ、やってみせなさい?」
    「…………はい」
     リナリーは大事な部分を露出していた。
     趣味なのか、何なのか、全裸になれとは言われないが、服をはだけ、下着もずらすように命じられ、リナリーは改めて団服を左右に開いていた。黒いブラジャーをずらし上げ、乳房を露出し、しっかりと巻き上げたスカートからはショーツも下にやっている。
     黒いショーツはアソコから何センチか、太ももの半ばよりは上のあたりに絡んでいた。
     そんな胸とアソコの見える形で仰向けに、激しく赤らみ、羞恥に表情を歪めきり、頭が沸騰しそうな思いで手を動かす。左手を自らの乳房に、右手はアソコに、二人の見ている前でオナニーを開始した。
    「あぁ……くっ、んぅ……んっ、んぅ…………」
     気持ち良かった。
     自分の指を出入りさせ、胸も思い通りの具合で揉む。乳首を刺激し、クリトリスへのタッチも行いつつ、膣穴にピストンを行って、リナリーは全身をモゾモゾさせていた。淫らな吐息で熱っぽく、太ももは切なげに、体中で気持ち良さの信号を放っていた。
    「くちゅくちゅ聞こえるよ?」
     若手が水音に触れてくる。
    「いい姿だわ。エクソシストのこんな姿を見られるなんて、まさに眼福よ」
     中年も満足そうに目を細め、リナリーのオナニー姿をうっとりと鑑賞していた。
    「あっ、ん! んぅ! んっ、んんん! んぁっ、あぁ!」
     リナリーの手はしだいに活発化していた。
    
     なんで……!
     こんなっ、見られながら!
    
     クチュクチュと、水音は激しくなる。
     指先で愛液を掻き出さんばかりのオナニーで、お尻の下でシーツが濡れ、左手も大胆に乳首を貪る。
    
     ま、また……!
     私イっちゃう!
     見られながら、オナニーやらされながら!
    
     肉体が高まり、絶頂は時間の問題と化していた。
     さらに活発化して、水音は高く鳴り――
    
    「――あぁぁぁぁぁん!」
    
     リナリーは背中を弓なりに、またしても潮を吹いていた。
     それは二人の服にもかかり、絶頂からぐったりと沈んだリナリーは、薄らとした意識の中で理解する。
    
     また、やっちゃった……。
     お仕置き、終わらない……………………。
    
     まだまだ、叩かれるに違いない。
     その予感に肉体が興奮していることを、リナリーは薄々自覚し始めていた。
    
         †
    
     ペン! ペン!
    
     夜の医務室では、時折そんな音が響いている。
     リナリーが訪れた時に限って、色っぽい喘ぎと共に打撃の音が聞こえるため、知る人ぞ知る噂となる。
    
     リナリー・リーは看護婦と関係を持ち、いつもお尻を叩いてもらっていると……。
    
    
    
    
    
    


     
     
     

    0