こんなものに着替えろというの?
更衣室の中、エイダ・ウォンは眉間に皺を寄せていた。
潜入調査のため、FBIの偽装身分証により博士の護衛任務に就き、予定通りに研究施設に入り込んだエイダなのだが、ここは外部に対する警戒心が妙に強い。護衛という性質上、許可を得た武装は持ち込めるが、衣服は持ち込ませない方針で、必ず向こうが用意したものを着用しろとのことだった。
そこまではいい。
情報の盗み出しも何もかも、内部の構造やセキュリティなど、もろもろを把握してから行うつもりだ。衣類の中に物を仕込んで、それで任務をこなすことが出来ないのは、今はまだ気にしなくても構わない。
問題なのは露出度だ。
「こっちはまだ普通ね。だけど、こっちは……」
タイトスカートが異常に短い。
お尻がはみ出るのではないかと思ったが、着替えてみればギリギリで中身は隠れる。直立不動で過ごすのなら何とかなるが、数センチもずれれば見えてしまう。歩行の際の足の動きでチラチラと見えないものか気になる上、前屈でもすれば丸出しは間違いない。
(とんだセクハラだわ。この実態でも外部に告発しようかしら)
腹が立つあまり、エイダの脳裏にはそんな報復の案が掠めた。
任務は基本的に退屈だ。
護衛対象の博士は研究所に泊まり込みのことが多く、誰かに狙われる様子はほとんどない。任務をこなすポーズのため、自分以外にも何者かが潜り込み、博士の暗殺を狙ってはいないかも警戒するが、特別に動く必要はやって来ない。
外部を行き来するために、同じ車に乗り込んで、背後霊のようにつかず離れず過ごし続けることはあっても、やはり何者の襲撃も起きはしない。
出番がなければ、研究の手伝いが出来るわけでもないエイダには、他にやることはほとんどない。せいぜい、書類の整理を頼まれたり、コーヒーを煎れることがある程度で、あとは立って過ごす日々だった。
だが、何よりの問題は退屈さなどではない。
エイダには二人の監視がついていた。
金髪男、茶髪男、二人組の黒いスーツを着こなす若者は、さながらアクション映画に登場するエージェントだ。外部の人間が余計な行動を取らないようにと警戒され、おかげでスパイらしい行動はできていない。
それどころか、プライバシーの侵食までされるのだ。
「おトイレの時間か?」
「付き合うぜ?」
トイレでさえも、監視の二人組はエイダのことを一人にしない。
「いい気分でしょうね。変態さん」
せめてもの思いで言葉を返してやるものの、二人組はニタニタとしているばかりで、何ら効いた様子はない。
エイダは個室の戸を開き、二人組に振り返る。
(人前でするだなんて……)
短すぎるタイトスカートの中に手を入れて、ショーツを太ももまで下げていく。たったこれだけの、下着がスカートの下まで動いただけの光景が、どうしてそこまで面白いのか、二人組は既に随分と嬉しそうだ。
人に用意されたものを穿くのも、下げたものをジロジロと見られるのも、いずれも不快でたまらない。
(最悪の研究所ね)
丈を捲り、生尻を便座に付けて座るエイダは、好奇心に満ちた視線に耐えながら、額の強張る顔で脚を広げる。アソコが見えるように、太ももに隙間を作るのだ。放尿さえも監視対象としているためだ。
ただ小便を流すだけのことで、怪しい行動を取る余地もないというのに、これにはエイダも赤らんでいた。
綺麗なワレメと、黒い陰毛の茂みは、嫌というほどに二人の視線を受け止めている。嬉しそうな顔つきで、ニヤニヤとした視線を浴びるだけでも、アソコがじりじりと時間をかけて焼かれていく心地がする。
長時間の視姦を受ければ、皮膚が火傷していそうな気さえした。
(どうせ出すのよ。早く済ませた方がマシ……)
しかし、緊張のせいか、尿は奥に引っ込んで、先ほどまでの尿意にも関わらず出てこない。いつまでも出ないのでは、それだけ視姦される時間が延びてしまう。
早く、出すのだ。
早く、早く、早く――どうせ放尿を見せる羽目になるのなら、一秒でも早く地獄から脱出してしまいたい。
出そう出そうと意識するほど、見せたいわけでも何でもないのに、こうも放尿の努力をしている自分は何なのだろうと、恥辱で頭がくらくらする。
やっと、出た。
チョロロロロロロロ――――
黄色い水のラインが放出され、便器の水面を打ち鳴らす。
「出たなぁ?」
「おいおい、出し方を忘れたんなら、俺が弄ってやろうかと思ったのによォ」
「ははっ、そいつは残念だったな」
「ま、毎回面倒見るのも馬鹿馬鹿しい。赤ちゃんじゃねーんだから」
人の放尿を眺め回して、話題に花を咲かせた挙げ句に、赤ちゃんなどという言葉までもが飛んで来る。
(せいぜい、楽しめば見ればいいじゃない)
そう強がることが、エイダにとって自分を保つことだった。
数秒やそこらでは終わらない。意外に量が溜まっていたせいで、エイダの尿はいつ途切れるとも知れずに水音を立てている。睨み返していたいところだが、放尿しながら睨むなど、滑稽さを思って目を伏せた。
その時だった。
「さて」
金髪はおもむろにビデオカメラを構えていた。
「ちょっと!」
「はいはい、オシッコしながら動く気?」
「……ぐっ」
エイダは歯を食い縛った。
途切れてくれない尿のせいで、便座から身動きが取れない。動きたければ、撒き散らしながら動くしかない。いいように撮られる屈辱に奥歯を噛み締め、震えた拳を膝の上に置きながら、エイダは最後まで尿を放出した。
「何も怪しい様子はなし」
「健康的ないい色ですっと」
尿の色合いまで話題にされ、二人を撃たずにいられる自分が不思議なほどの、たまらない屈辱に飲み込まれた。
†
風呂でさえそうだった。
監視と称して脱衣所にまで入り込み、二人のニヤニヤとした視線が脱衣を眺める。タオルの内側で脱ぐようなことも許してくれず、せめて背中を向けてボタンを外す。スーツを脱ぎ、白いワイシャツの背を晒すと、次の脱衣に取りかかった。
(最悪な上に、ろくな行動も取れないわ)
ワイシャツを脱いでいくと、ブラジャーのみとなった背中に視線の圧が強まった。こうして一枚一枚脱いでいき、だんだんと裸になっていくのは、男にとってさぞかし楽しいショーなのだろう。
(下らない)
心の中では、気丈になって二人を馬鹿にしようとしていたが、どうしようもなく頬は桃色に染まっている。
「ひゅー」
口笛まで吹いてくる。
こんなにも調子づいた奴らの前で丸裸になってやるなんて、たまらなく真っ平な気持ちでありながら、エイダはそれでもタイトスカートの留め金を外す。緩めたものを下げていき、下着姿になったところで、ブラジャーやショーツも脱衣カゴの中に放り込む。
全てを脱ぎ、男二人の前で肌を晒して赤らみを強めると、次の瞬間にはさらなる衣擦れの音が聞こえてくる。シャツを脱ぎ、ベルトを外そうとする金具の気配に、エイダはぎょっとして肩越しに振り向いた。
「……なんのつもり?」
エイダは問う。
二人組が脱いでいたのだ。
「ああ、入浴も監視することになったんだ」
茶髪はヘラヘラと答えてきた。
「まったく、決めたのは俺達じゃないぜ? こんなに警戒するんだったら、最初から護衛なんて付けなければいいのになぁ?」
金髪もニタニタしていた。
「まさか、入ってくるというの?」
エイダはぞっとしていた。
ここ数日、短すぎるタイトスカートを気にしながら、トイレでは放尿を見られ、風呂場ではストリップを鑑賞される毎日が続いていた。しかし、浴室にさえ入ってしまえば、入浴中くらいは一人で落ち着いて過ごせたのだ。
それが今、ゆっくりと静かに風呂を楽しむ時間にさえ、監視の目は及ぼうとしている。
エイダは未だ、何らの情報を盗み出せてもいないのに。
「俺達で洗ってやるよ」
「嬉しいだろ?」
最後の一枚まで脱ぎ捨てて、二人組は大きな肉棒を立てていた。思わず目がいってしまい、次の瞬間には目を背け、エイダはさっさと浴室へ入っていく。
当然のようについてくる男を背に、エイダはキッっと睨み返した。
「いい加減にして欲しいわね」
さすがに反抗的な言葉を発していた。
「おいおい、俺達だって命令されてやってるんだ」
「そういうこと。クレームならもっと上の方に頼むぜ?」
悪びれもせず、それどころかエイダの身体に手を伸ばし、シャワーノズルを回して石鹸まで泡立てる。まさか、本当に人の身体を洗う気かと、ますます赤くなるエイダは、ひたすら歯を食い縛り、屈辱感の中で背中にシャワーを浴びせられていた。
座らされ、素手で身体が洗われる。
泡立つ白い固まりが、素肌の表面で滑りを良くして、男の両手がするすると背中を撫でる。きめ細かな泡が広がっていき、肩甲骨から腰の下までまんべんなく包まれる。さらには腰のくびれから脇下にかけても上下にされ、エイダは目尻を震わせていた。
人に体を洗ってもらうなど、気恥ずかしいというべきか、何なのか。触られたくもない男の手でされていて、恥辱を煽られているのは間違いない。
「はーい」
茶髪男は後ろから抱きついて、エイダの身体を引き寄せる。茶髪の胸を背もたれにする形にさせられて、前には金髪男が回り込む。
「おっぱいも洗おうね?」
金髪男は乳房に泡を塗りたくり、まんべんなく洗い始めた。
「うっ、くぅ…………んっ…………っ、んぁ…………うっ…………」
胸を弄られているうちに、乳首はしだいに突起していく。滑りの良さを駆使した表皮への刺激にも肉体を高められ、まだ一度も触れられていない秘所には、もう愛液の気配が滲み出てしまっている。
やがて、手はアソコにやって来た。
「あぅぅ……!」
「どうした? 気持ちいいのか?」
「うるさ――あっ、くぅぁ……!」
ワレメをなぞるばかりか、すぐに指まで挿入され、エイダは乱されてしまっていた。金髪男は面白おかしく遊ぶ顔をして、だから玩具にされる感覚に惨めになる。
床に押し倒され、つま先の指の隙間にかけてまで、細かく丁寧に洗われた。足の裏までやられるくすぐったさと、クリトリスまで丁寧に愛撫してくる刺激に悶え、最後には四つん這いで尻の穴にまで泡を塗られた。
「くぅぅぅ…………!」
たまらない屈辱だった。
望みもしないのに、二人がかりで身体を洗われるだけでさえ、女として耐えがたいものがある。乳房にもアソコにも手が及び、ついでのように喘がされ、挙げ句に恥ずかしい部分のシワを丁寧に指でなぞられる。
「なんか犬を洗ってやってるみたいだな」
「ははは! 確かにそうだ!」
頭がくつくつと沸騰して、どうにかなりそうな体験だった。
明日も、明後日も、ずっとこんな生活が続くのだろうかと思っただけでも、眩暈がしてくるのだった。
†
唯一、就寝時だけは一人になれる。
しかし、朝を迎え、任務の時間が近づくにつれ、いつも通りの監視の二人が顔を出し、エイダにつきっきりになってくる。トイレや風呂についてくることさえなかったら、まるでエイダの方が男に護衛されている状況だ。
任務に就く前、着替えは必ず手渡される。
「今日の着替えだ」
「よろしく頼むぜ?」
上等なスーツはいいのだが、タイトスカートの方はいつも短い。お尻がギリギリで収まる長さでは、ちょっとした姿勢の変化でずれただけでも、いつどこで中身が見えているかがわからない。
しかも、問題はショーツだった。
「……こんなものを穿かせるなんて」
ショーツは精液に濡れ、青臭い香りが漂っていた。エイダが毎日穿いているのはこれなのだ。人が選んだ下着を着用するだけでも、何となく気持ち悪い気分がするというのに、精液濡れを穿かせるなどいい趣味にもほどがある。
見るからに顔を顰め、引き攣りながら、エイダはそんなショーツを穿いて着替えを済ませる。
そして、業務の時間だ。
「ふーむ、道筋が見えてきたはずなんだがなぁ」
テーブルにフラスコやビーカーの数々を並べ、試験管を持ち上げ中身を揺らし、液体を覗き込んでいるのは、初老の白髪の博士である。この博士こそが護衛対象であり、何者かに命を狙われているらしいのだが、そういった襲撃や暗殺の気配は未だにない。
博士が日常的に飲むコーヒーは、いつもエイダが煎れている。
置かれていた豆は早いうちに確かめたが、毒物の痕跡はなかった――といっても、監視二人を背にしながらのチェックで、あまり完璧にはこなせていない。見落としがあってもおかしくないのが正直なところだが、毒殺の様子はなさそうだ。
エイダのように身分を成りすまし、博士に近づく侵入者がいないかの警戒もしているが、そういった様子もない。エイダについている二人組も、古参の職員であるらしく、身元のはっきりしている人物らしい。
博士を狙う人物さえ捕らえれば、護衛という表向きの立場をそのまま利用して、何か良い情報を入手できるかもしれない。と、目論見こそ抱くものの、それを実行できるチャンスは気配すら訪れない。
博士の研究資料も、あからさまに手にして読もうとすれば、二人組が阻止してくる。
だから遠目にチラりと覗けた範囲でしか、エイダの頭には研究内容が入って来ない。直接尋ねたところで、はっきりと教えて貰えることもない。
「あー君、コーヒーを頼むよ」
博士としても、エイダはすっかりコーヒー係らしい。
(とても私の仕事とは思えないわ)
不満になりながら、表向きの役を演じてコーヒーを煎れに行く。豆を挽き、粉を入れ、コーヒーメーカーのスイッチを入れているおり――。
*
職員はニヤニヤとしながらエイダに迫り、本人が知らず知らずのうちに突き出す尻を間近に視姦する。あまりにも短いタイトスカートは、尻の高さにまでしゃがんで眺めれば、中身を覗き込むのは簡単だ。
尻たぶを下から覗き上げ、白いショーツを確認した。
(お? マジで濡れてやがる!)
いいものを見たとばかりに男は喜ぶ。
豆を挽いている最中の、後ろに気づくことのないエイダを覗き、この職員はさっそくのようにカメラをポケットから取り出した。スカートの中身を写し、素晴らしい宝物を手に入れた気持ちでそそくさと去って行く。
(みんなが言ってた通り、本当に痴女みたいだな!)
そんな勘違いが流行っていた。
多くの職員は、エイダが精液濡れのショーツを穿かされていることを知らない。タイトスカートも、自分で選んで穿いているわけではないが、それをわかっているのは二人組の男や博士に加え、あとは上層の人間くらいだ。
短いスカートでいつも下着を濡らしている。
あらぬ誤解が広まっていた。
また、とある職員などは、エイダの元にわざわざ近づき、堂々と尻を触ってタイトスカートを持ち上げる。
「なにをするの!」
「すまんすまん。手が当たっちまったか」
悪びれもせず、彼はヘラヘラと笑っているだけだった。
†
そして、今夜の入浴時間だ。
「頼んでないわ! やめて頂戴!」
エイダは声を荒げていた。
「まあまあ」
「遠慮しないの」
二人組はエイダを床に押し倒し、仰向けの上にシャワーをかけ、泡立てた手の平で全身をまさぐっていた。最初は茶髪が両手を押さえて金髪が洗う。やがて役目を交代すると、金髪はエイダを抱き起こした。
「ほら、俺の胸板がスポンジ代わりだ」
背中に胸を押しつけて、エイダは金髪の身体を背もたれ代わりにした形となってしまう。すると尻には極太の形が如実に伝わり、しかも同等のサイズを前からも押し当てられている。
「よーく洗わないとな」
楽しげな茶髪の方は、正常位でもせんばかりにエイダの脚を開かせて、ワレメに肉棒を密着させている。そのまま両手で腰を洗い、ヘソの周りに泡を伸ばして、いよいよ乳房を楽しみ始めた。
「うぅっ、やめて……」
前後から二本のものが押し当てられ、熱気がありありと伝わるのだ。肌中で鳥肌を立てるエイダだが、ぬりぬりと上下に擦られ、アソコは甘い蜜を出してしまう。乳首も嫌というほど突起して、男を喜ばせる反応ばかりしてしまう。
(拒みたいのに、こんな反応をしなくてはいけないなんて……)
自分自身の肉体さえ、恨めしくなってくる。
「せっかくだ。セックスでもするか?」
「お? いいねぇ!」
二人組が良いことを思いついたように言い出した途端である。
「や、やめなさい! そればかりはさせない!」
さしものエイダも怒鳴っていた。
「おーこわっ」
「なら、代わりに奉仕してもらおっかな」
怖いと言いつつニヤニヤと、ヘラヘラと、悪びれる様子などあろうはずもなく、勘弁して欲しければやれとばかりに茶髪は立ち上がる。エイダの口元にペニスを突きつけ、金髪も後ろから背中を押し、二人がかりで強要していた。
「……冗談じゃないわ」
「俺は別に、無理矢理ヤってやってもいいんだけど?」
茶髪は涼しい顔でそう言った。
(……本当に、一体なんなの?)
男相手だろうと、そう簡単に負けるつもりのないエイダだが、金髪に密着されている状態で、それも密室で二人相手だ。筋力で勝てるわけではないのに、ここで無理に抵抗しても、もはや犯されるだけなのだろう。
セックスと奉仕を天秤にかけ、エイダは震える唇を亀頭に付けた。
「はむぅぅぅぅぅ…………」
見るからに顔を顰めて、眉間に皺まで寄せながら、エイダは肉棒を口に迎える。存分に熱気を纏った石の硬さに頭を動かし、前後運動と共に舌を蠢かせる。
「はぶっ、じゅるぅ……じゅっ、じゅずっ、ずずぅ…………」
「上手いじゃないか。案外、経験豊富なんだろ?」
(勝手な想像ね)
仁王立ちの茶髪に膝をつき、奉仕しなくてはならない無念さに目を瞑り、尻には巨根が押し当たる。
「じゅるるぅ――ずむっ、じゅぶ――すじゅぅぅぅ――――――」
少しでも早く解放されようと、恥辱に過ぎ去って欲しい思いあってこそ励んでいると、金髪も金髪で、肉棒を使ってスリスリと尻たぶを撫でていた。
(早く……せめて、早く出しなさい…………)
そんな思いで睨み上げ、エイダは嫌々にも励んでいた。
「はじゅっ――すじゅぅ――じゅっ、ずっ、りゅちゅぅ――――」
やがては茶髪の手がエイダの頭を掴み、逃がさないように握力を込めてくる。口内で肉棒は跳ね上がり、青臭い精が放出された。
「んっ、んぅ…………!」
口を塞がれたままの放出に、屈辱の味と香りに瞳を震わせる。肉棒が引いていくなり、すぐさま吐き出していた。
「あーあー」
茶髪はあからさまに残念がる。
「飲んで欲しかったのにな」
金髪も後ろから、耳元に囁いてきた。
「誰が……」
「……ま、いいや。次は俺のも頼むぜ」
「…………」
エイダの意思など関係無く、茶髪と金髪はポジションを入れ替え始める。楽しみでならない顔の金髪が肉棒を突き出して、茶髪の方はエイダの背中に密着していた。
†
夜、エイダは寝室を抜け出した。
(もう真っ平! こんな生活!)
これではいつ犯されるかもわからない。
真夜中の、誰一人の気配もしない、寝静まった中を散策し、エイダは今までの記憶を頼りに書類を探る。
だが、見つかるものは、必ずしも研究に関係のあるものばかりでなかった。
【生活日誌】
エイダ・ウォンとかいう美人が博士の護衛についた。
何度か狙われてきた博士だが、そのおかげか今は何も起きちゃいない。
何者か知らないが、敵さんはよほどビビっているのか?
エイダはいつも短いタイトスカートを穿いている。あんな長さじゃ、ちょっと前屈みになっただけでも、三角形の白い先端が見えようってもんだ。いつしか、そいつを覗いてやるのが俺達の楽しみとなった。
ところで、下着が濡れていることが多いらしい。
何故だ?
あんなスカートを穿くくらいだから、友人どもは冗談めかして「痴女だからじゃねーか?」なんて言っていたが、案外冗談でもないかもしれない。
俺は気づいてしまった。
そう、本当に濡れているのだ。
間違いない、エイダは痴女だ。
仲間内で盗撮大会が始まった。
誰が何枚、どれほどエロい写真を撮れるか。
下らない大会だが、この鬱屈とした研究の日々を癒やすにはちょうどいい。
俺も早速カメラを買って参加したが、鬱陶しい監視の二人組がいてやりにくい。あいつらの機嫌を取るか、ちょいとでも離れるチャンスを狙うか。
撮れた撮れた。
いいもんが撮れた。
今日の優勝は俺に間違いない。
知りたくもなかった。
研究員の面々がニヤニヤと、しきりにいやらしい視線を送ってくるのは、あんなスカートだから仕方がないとは思っていた。
しかし、仲間内でエイダのことを痴女呼ばわりして、盗撮まで……。
一体、どれだけの写真を撮られているのか。それを肴に盛り上がり、楽しまれてしまったのか。想像もしたくないものが、それでも頭に膨らんで、エイダは身震いしてしまった。
その時だった。
「おやぁ?」
「何してるんだ?」
戦慄に振り向くと、そこには二人組の男が並んでいた。
†
ウイルスの証拠を掴みたかった。
こんな生活から早く抜け出したいと思い、焦っての行動は、それこそスパイを炙り出す作戦だったのだろうかと、エイダは今更ながらに勘ぐっていた。
エイダは寝室に戻されていた。
「さてさて帰りましょうねぇ?」
「いけませんよ? 夜歩きは」
などと二人に肩を掴まれ、歩かされ、部屋に押し戻されただけなら良かった。
「では怪しいところがないかを検査するので」
「全部、脱いでもらおうか」
二人組は楽しそうな笑顔を浮かべていた。
エイダをスパイと気づいているのか、ただ女性に対する最低な実態があるだけなのか、わからなくなってくる。
「……脱いだわ」
ベッドを背に、二人組と対峙して、エイダは一糸纏わぬ姿で対峙した。
疑われているのか、いないのか、それさえわからないままに、スパイとしての任務を真っ当するためにも、ボディチェックと称した痴漢行為に耐えるしかない。
「お胸をチェックだ」
茶髪は胸を揉み始める。
「俺はこっちだ」
金髪は後ろに回り、電車の痴漢のように尻を触って撫で回す。
エイダはただただ顔を背けていた。
「お? 乳首が立ってきたねぇ?」
胸の愛撫はすぐにエスカレートしていき、突起した乳首を指先で攻め始める。上下に弾き、左右に転がし、乳輪をなぞり回す刺激に乳房は敏感になっていく。
「はぁ……くぅ……」
甘い声が漏れ始めるに、金髪はベルトを外し始める。後ろから抱きつくなり、尻に押しあてながらアソコの方に手を伸ばし、ワレメに指を絡めてなぞり出す。
「あぁぁ……あっ、うっ、あぁぁ……」
胸とアソコを同時にやられ、上下に走る快楽の痺れに翻弄される。本当に電流でも流れるように、太ももをガクガクと小刻みに震わせて、より一層の愛液を垂れ流す。
指に絡んだねっとりとしたコーティングで、金髪の指は輝いていた。
「そんじゃあ、本格的にやってやるか」
金髪の言葉がきっかけに、二人組はエイダをベッドに押し倒す。
「や! やめなさい! 怪しいところはないとわかったはずよ!」
いくらなんでも、犯される危機にばかりは抵抗するが、男の力で始めから押さえ込まれた状態だ。あまりにも不利な立場で、手足は呆気なく封じられ、そのままバンザイの形を取らされた。
茶髪の尻が乗ってきて、体重によってエイダの両手は封印される。
座ってみせる方法での拘束だから、茶髪は両腕とも自由である。自由を活かしてエイダの脚を引っ張り上げ、まるで上からフックで吊り上げているように、強制的なM字開脚をさせていた。
「よして! 本当に! これ以上はタダじゃおかない!」
慌てふためいていた。
仮にも普段のエイダを知る二人組は、クールな彼女からは想像も出来なかった声は表情を見るなり、かえって興奮を高めていた。
「はい、お先にどうぞ」
「へへへっ、悪いな」
金髪は肉棒を当て、そのまま腰を押し進めた。
「――あぁぁぁ!」
エイダの中に、肉棒が収まった。
「おおっ! いいじゃん! FBIのナカ!」
(そんなっ、FBIって信じたまま? 完全にとうかしてる!)
金髪は大胆なストロークを開始した。
「あん! あ! あぁ! あっ! あ! あん! あぁん! あん! あっ! あっ!」
こうなってしまえば、もう抵抗するも何もない。
金髪は茶髪が抱えていた脚を受け取り、足首を掴んで一層のこと深く貫く。
「あっ! あぁん! あぁん! あっ! あ!」
操縦桿でも握ったように、好きなようにエイダを喘がせ、ピストンの衝撃に乳房は上下に震えている。貫くたびにせり上がる電流に、背中もリズミカルに跳ね上がる。
「いいなぁ! 最高最高!」
「あぁぁ! あぁん! あん! あん!」
満面の笑みの金髪に対し、エイダは恥辱ながらに喘ぎ込む。
そして――
――ドクゥゥゥ! ビュル! ビュル!
エイダの身体は白濁に汚れた。
腹にはコップの中身を少しこぼしたほどの水溜まりが、胸やその周りには指先ほどのプルっとした雫が散る。屈辱でならない、無念でならない顔で、エイダはぎゅっと目を瞑り、頭の中では激しく後悔していた。
(軽率な行動だったの!? 冗談じゃない、いずれこうなったわ!)
だから早めに動き出し、任務を切り上げにかかろうとしたのではないか。運命に対する必死な言い訳など、何の意味もあるはずがない。
「ほら、お前もやるだろ?」
「もちろん」
金髪はまるで我が物を明け渡すようにどいてやり、入れ替わりに茶髪が肉棒を突き立てる。
「くあぁ……!」
エイダの身体はブリッジのように跳ね、さらなる快感の波に溺れていく。
「あっ! あん! あん! あぁん!」
茶髪のピストンによっても胸は揺れ、髪さえ激しく揺さぶられる。よがる両手はシーツを握り、もはや相方による押さえ込みの必要はなくなっていた。
「あぅぅぅっ! あん! あぁん!」
「ほーんっと、気持ち良すぎて笑えてくるわ」
「んんぅ! んあ! あん! あぁん! あっ、あん!」
エイダをよがらせる楽しさに腰を元気に振りたくる。エイダの身体はもう何度もビクっと震えて弾んでいる。いつしか、だらしないヨダレまで流れていることに、果たして本人は気づいているのか。
「あぁああ! あっ! あぁぁん!」
「さて、そろそろ」
茶髪はピストンのペースを上げ、勢いのままに放出した。
――ドクゥゥ! ドピュッ! ドックゥ!
エイダの腹部はさらに汚れ、乳房の上や周辺の付着も増えていた。体中が精液にまみれ、見れば肩や二の腕にまで及んでいた。
二人組はそれぞれ一回ずつ射精したが、そればかりに留まらず、今度はエイダを四つん這いにさせ、前後から攻めさえした。金髪は口の中へと、茶髪は後ろから尻を打ち、二本同時の責め苦にさえ喘ぎ続けた。
†
もう限界だった。
それから、毎晩のように犯され、研究職員からの盗撮も続いている。女の味方をする者など一人もいない、痴漢やセクハラの実態に満ちた研究所で、ひたすら任務に忠実な人間を演じ続けることに心労が重なった。
そんなある日、護衛任務が終了した。
突然だったが、博士を狙う一派が捕まったとのことだった。
ウイルスについては――。
『内部より告発があった。もう任務の必要はない。至急戻って来い』
エイダは衝撃を受けていた。
告発があったのはいい、ウイルスの情報が判明したのもいい。
しかし、では一体、自分は今まで何のために……。
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