• タグ別アーカイブ: キモ男
  • 優良健康生徒 性機能調査の記録

    優良健康生徒審査会の記録』を元にした二次創作。
     以前受けた地方審査で、多田と芹沢は優勝してしまった。
     全国審査へ進むこととなり、再び羞恥の試練が待ち受ける。
     面談形式の調査で早速のように裸にされ、オナニーについての受け答えをする羽目になる中で、ついには感度調査と称して身体を触られ、胸やアソコを好き放題にされてしまう。何かおかしいと思う頃には、もはや後戻りなどできなくなっており・・・。

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  • リーナと初夜権

    第1話「リーナとキアラン」
    第2話「密かなエッチ」
    第3話「処女検査」
    第4話「リーナの決闘」
    第5話「恥辱の初夜権」
    第6話「調教の始まり」
    第7話「失われる純潔」
    第8話「リーナの屈辱」
    第9話「三日目 屈辱の言葉」
    第10話「四日目 刻み込まれるジョードの肌」
    第11話「五日目 お尻ペンペンとおチンポ記憶」
    第12話「リーナのチンポ当てゲーム」
    第13話「六日目① 寸止め」
    第14話「六日目② 憎いが故にペロペロと・・・」
    第15話「六日目③ 賭けの提案
    第16話「チンポには屈しない!」
    第17話「最後の晩に向けて」
    第18話「最終日」
    第19話「堕ちないリーナ」
    第20話「諦めたジョード」
    第21話「キアランとの再会」
    第22話「お風呂で体洗い」
    第23話「おチンポ洗いとフェラチオ」
    第24話「キアランとのセックス」
    第25話「キアランの心」

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  • 催眠少年は瞳佳を犯す

    
    
    
     銀鈴学院高校。
     転入初日の自己紹介を乗り切るも、ちょっとした経緯があって、積極的に柳瞳佳と仲良くしたそうな子のタイプには偏りができていた。つまり『占い』や『霊感』の話が好きな子。
     本当はそういうものとの関わりを減らしたいのだったが、今さら否定してまわるのも不自然だろうし、何より右も左もわからない新天地で、せっかく仲良くしてくれようという人達に文句があろうはずもない。
    
    「ねえ……柳さん。ちょっといい?」
    「うん?」
    
     そして帰りの陣部をしかけていた瞳佳は、そう呼ばれて顔を上げた。
     たしか――木茂くんだっけ、と、瞳佳は今日の記憶からその男子の名前を探り出す。瞳佳に話しかけてきた占いや霊感話好きはクラスの色々な層に満遍なくいたが、男の子にまで積極的に寄って来られたのは、たった今これが初めてだ。
     見た目から大人しそうで、オドオド気味で、フレームの太い黒縁眼鏡が、必要以上に地味っぽさを醸し出す。ダンゴのように丸っこい鼻の形と、吹き出物の多い肌に、それに崩れきった顔立ちは、お世辞にも格好いいとは言えなかった。
    「なに? たしか、木茂くんだったよね」
     実際に名前を声に出してみて、木茂くんという言い方は、イジメのための意地の悪いあだ名に聞こえなくもないことに気がついた。
    「う、うん。あ、あ、あのね。催眠とか、興味あるかなって思って……」
     明らかに喋り慣れていない木茂は、緊張なのか挙動不審に見える震え方で、声の出し方さえもオドオドしている。
     どうしたものか。
     きっと勇気を出して声をかけてくれたのだろうし、友達になりたいと思ってくれるのは、男子であっても嬉しい申し出ではあるが、少しばかり考えてしまう。
     こういっては悪いが、いかにも不器用そうで顔も悪い、たどたどしい木茂の振る舞いを見ていると、この人に必要以上に好かれたら嫌だなと、残念ながら思ってしまう。
     まさかストーカーとまでは言わないが、執拗に声をかけ、瞳佳と仲良くなりたがる。
     その男子が、これ。
     失礼なのはわかっているが、少なくとも第一印象では気になる異性の範疇には入らない。それに女子のたしなみというか心得として、いかにも面倒になりそうな男の子は、どうにか軽く受け流して身を守るのも、トラブルを避けるためには必要だ。
    「催眠は、どうかな。占いとはまた違うし……」
     ここは『占い』や『霊感』とは別物だと言い切って、せめて催眠だけでも、興味がないということにしておこう。
    「こ、これ見て欲しいんだ」
     木茂はそう言って、スマートフォンの画面を見せてきた。
     そして、見てしまった。
    「う……!」
     くらっとした。
     急な眩暈に見舞われたかのように、立ちくらみのように頭が揺らぎ、ぼんやりとした心地にさせられる。眠りに入る直前の、だんだんと意識が閉じていく感覚と共に、ぼやけてやまない視界の景色が、完全に見えたものではなくなった。
     意識が、消えた。
     それはしかし、一瞬のことだった。
    「え? あれ?」
     一瞬で目が覚めて、たった今の感覚に瞳佳は困惑した。
     何だったのだろうか。
     画面を見た途端だったが、何か起こったのだろうか。
    「柳さん。僕と、友達になってくれない?」
    「まあ、いいけど」
     瞳佳は軽く受け答えた。
     転入初日で声をかけてくれた男の子だ。わざわざ勇気を出してまで、ありがたい申し出をしてくれたのだから、それを断るのは『失礼』だし、受け入れるのが『当前』ではないか。断る理由がなかった。
    「アドレスを教えてくれる?」
    「あ、うん、いいよ」
     瞳佳は気軽に頷く。すでにみひろや積極的な何人かとアドレスも交換していたので、今さら拒否感はない。一度バッグにしまっていたスマートフォンを出して、何だか緊張気味にしている木茂とアドレスを教え合う。木茂が自分のスマートフォンをあまり良くない手際で操作しながら、瞳佳に言った。
    「じゃあ、メッセージ一つ送るから驚かないでね」
    「うん」
     瞳佳が快く頷いて、数秒後。
     瞳佳のスマートフォンが通知音を鳴らし、送られてきたメッセージを表示した。
     そこには。
    
    『セックスしよう』
    
    「……」
     見た瞬間、瞳佳は固まった。
     目を疑ったが、どう見てもセックスしようと書いてある。
     え?
     え?
     しばらく目を丸くして、瞳佳はそのメッセージを見ていた。
     どういうことだろうか。
    
     この拒否感のなさはなんだろう?
    
     常識的にはもっと引いたり、品性を疑うものだが、そうした感情が沸きもしない。それに転入初日だというのに、ここまで積極的に誘ってくれるのが、嬉しくすら思えるのだ。
     初対面でセックスなんて、普通は嬉しいだろうか。
     でも、嬉しい。
     何故なのだろう。
     瞳佳は、困惑した曖昧な笑いを浮かべて言った。
    「……まあ……いいけど」
    「あ、ありがとう。もう一通送るから、待っててね」
     そう言って文字打ち操作に入り込む木茂は、次に場所や日程のことを送ってきた。怪しまれないように別々に校舎を出て、さっそく待ち合わせの形で落ち合おうというものだった。
    「……えーっと、また明日ね?」
     またすぐに会うことになるのに、また明日というのもおかしいが、曖昧に手を振って、すると木茂も応じて教室から出て行った。
     転入初日から彼氏ができるのはさすがに目立つ。
     まあ、付き合うわけではないのだが、二人一緒に行動しては怪しいだろう。
     木茂は友達だ。
     ただし、友達は友達でも、これからセックスフレンドになる仲である。
    
         ***
    
     渡り廊下をいくつか通ると、見たことのない教室ばかりが目に入るようになり、やがて明らかに使われていない教室が並んでいる一角までたどり着く。金属製のドアがあると、メールに書かれた案内を見て、その通りのドアを見つけて全身で引っ張って開ける。
     そこは人の気配もない、空気に埃の臭いさえ感じる静かな廊下だった。
     がちゃん、と開いたドアを閉めると、すでに遠くなりつつあった学校の喧騒が、ほとんど聞こえなくなった。そして代わりに、この建物の中に広がっている空気の涼しく冷えて停滞した静寂が、耳の中に入ってきた。
    「……ここなんだね。木茂くん」
     そこに木茂は立っていた。
    「ここの教室を使おうと思って、あんまり人が来ないから」
     誰もいない、静かな静かな教室で、埃を拭き取った綺麗な机が、何台か寄せ集められ、くっつけてある。これがベッドの代わりなのだと、言われるまでもないく理解した瞳佳は、これから自分が木茂とセックスをする事実に緊張してきた。
     しかし、転入生が初日でクラスの男子と性交するのは、何もおかしくない。
     当然、常識、断るのは失礼。
    「もう一度、画面を見てもらえる?」
    「うん。見るだけ?」
    「見るだけでいいよ」
     木茂のスマートフォンに表示されているものの正体は、一瞬のうちにくらりとして、眩暈に襲われたように視界もぼかす瞳佳にはわからない。辛うじて理解できるのは、見たが途端にフラフラして、意識が眠ることだけだ。
    「これから柳さんから羞恥心がなくなります」
    「…………」
     瞳佳は、目が虚ろな人形でしかない。
     木茂の声など届いていないようにしか見えなかった。
    「平気で丸裸になりますが、手の平をパンって叩く合図によって、失われた羞恥心が蘇ります」
    「…………」
    「だけど、隠せません。隠してはいけません」
    「…………」
     瞳佳は始終、何も見てはいなかった。瞳の焦点はどこにもなく、視界にある全てのものが瞳佳の意識外にあった。
     それも、数秒。
     ハッと意識を目覚めさせると、今まで自分が何をしていたのか思い出せない瞳佳は、ちょっとしたパニックのようにキョロキョロとあたりを見回した。
    「あ、あれ? 私、立ったまま寝た? って、そんなわけないか」
    「うん。大丈夫。ちょっと、ぼーっとしていたみたいだけど」
    「そうなんだ」
    「ところで、全裸になってくれる? ああ、靴下は残した方がいいな」
    「全裸か……靴下だけ残っても……」
     何も隠せない衣類など、裸にされてはないに等しい。
     しかし、友達の頼みとあっては服を脱ぐくらい普通のことで、瞳佳は特に躊躇いなく制服を脱ぎ始めた。
     リボンを解き、ボタンを外し、だんだんと肌を晒していく瞳佳は、スカートまで脱ぎ落とすことにより、純白の下着姿となっていた。背中に両手をまわし、ホックを外し、ブラジャーも外したあとは、最後にショーツを下ろして完了だ。
    「気をつけ」
    「はいはい。どうぞ、ごらんあれ」
     裸を見せるくらい何でもないので、言われた通り靴下のみを残した状態で姿勢を正し、食い入るように見つめる木茂の様子でも眺めていた。
     おっぱいに顔を近づけ、胸ばかり見ていたと思ったら、おもむろにしゃがむ木茂は、アソコに生えた毛の部分を凝視する。
     それにしても。
     転校初日の人間関係は、こうして男子の友達までできたわけで、順調といえるだろう。霊感などと、うっかり口走ってしまったときは、やらかしてしまったと焦ったものだが、結果的には話しやすい相手もできた。
     こんな風に裸を見せてあげるのは、親睦の証というべきか、いたるところを夢中になって視姦している木茂の喜んでいる姿を見るに、ひとまずの安心を得られた感じがする。あとは余計なことに巻き込まれないように気をつければ、退学などと不名誉を賜ることはないだろう。
     いきなりだった。
     木茂が両手を打ち鳴らす。
    
     パン!
    
     それが合図のように、瞳佳は今の自分の恥ずかしさを思い出した。何でもなさそうにしていた瞳佳の顔は、急速に赤みを帯びていき、触れれば熱がありそうなほどの羞恥に歪んだ表情が浮かび上がった。
    「え? あれ、私――ハダカ!?」
     馬鹿な、そんな馬鹿な――。
     いや、自分で脱いだのだ。頼まれたから普通に脱いで、気をつけの姿勢も取って、どうして自分が平然と裸体を晒したのか、瞳佳自身にも理解できない。
     反射的にしゃがみ込み、両手で恥部を隠そうとする気持ちが瞳佳にはあった。
     だが、体がそのようには動かなかった。
    「え? あれ、おかしいな……」
     手足が言うことを聞かない。動かない。完全に動けないわけではないが、どうやら隠そうとする意志には反応してくれないらしい。考えてもみれば、自分で脱いでおきながら、それを隠すだなんて、友達に対して『失礼極まりない』行為じゃないか。
     となると、今になって隠すわけにはいかない。
     だが、恥ずかしさは想像以上だ。
     乳房の発育具合も、乳首の色合いも、下の毛やお尻の形も、木茂は女としての部分を全てくまなく視姦している。
    「写真撮らせて?」
    「え? まあ、ちょっとだけだよ」
     瞳佳の許可を確認するなり、すぐにスマートフォンのカメラ機能を呼び起こした木茂は、まず全裸直立が画面にすっかり収まるようにパシャリと押す。カシャ、っというシャッター音声が耳に入ると、ああ撮られたんだと、事実が明確に伝わった。
     ちょっとだけと言ったのだが、木茂は何枚も撮っていた。乳房のアップや性器のズームに、お尻まで、そんなに必要なのかと疑問になるほど、執拗にシャッターを切り落とし、瞳佳の裸体が画像記録として木茂のスマートフォンに蓄積していく。
     撮った写真の処遇はいかなるものか。決まっている。
     一人で、家でじっくり鑑賞するのだ。男の子はオカズを使ってオナニーをする生き物だと、瞳佳も知識的には知っている。瞳佳が寮で勉強したり、寝たり食べたり、私生活を営んでいるあいだにも、自分の裸をネタに木茂が自慰行為に耽るかもしれない未来を思うと、正直なところ何も言葉は出なかった。
     自分がいかに性の対象になっているかと思うと、どうにも肌が疼いてきて、下腹部が引き締まる感覚を瞳佳は感じていた。
    「ねえ、柳さん。そろそろセックスしよう?」
     あー、そうだった。と、瞳佳は思わず苦笑いした。
     実のところ、自分ではわからないが実際にそういう顔をしているのだろう。他人から「人が良さそう」と見られて色々と声をかけられたり、頼みごとをされたりするのは、瞳佳にとって日常茶飯事だ。それで妙なことに巻き込まれるのもよくあることだ。
     そしてそういう頼みに、結局、ほいほい応じるのも。
    「……わかった。いいよ」
     友達とのセックスなど『普通』である。
     なんだかんだで、実際人がいいのが瞳佳という人間だった。
    
    ***
    
     寄せ集めた机によって成された固い板のベッド。
     上履きを脱いだ瞳佳は、やはり靴下だけは履いているまま、机に上がって横たわる。すぐに木茂も上に来て、犬のように息を荒げていた。
    「や、柳さん。これから、せ、セックスするけど、別に嫌じゃないよねぇ?」
    「うん。友達なら普通だし、嫌ってことはないけど、でも初めてだからちょっと……」
    「……へへっ、き、緊張する?」
    「まあ、ちょっと……」
     生まれて初めてエッチをするのに、何の感慨も沸かないはずはない。早鐘のように鳴り続ける自分自身の心臓の音が聞こえて、表情もどこか強張り、そしてこれから行う胸を揉んだり挿入なりといった数々のことに今のうちから赤面した。
    「触るよ」
    「うん」
     瞳佳が頷くと、木茂は真っ先に胸を揉む。
     ムカデが這うような、ウネウネと指の踊った手つきは、乳房の皮膚をまんべんなく絡め取ろうと蠢いている。
    「んっ、んぅぅぅ……」
     すぐに瞳佳は感じていた。
    「はぁ……! はぁっ、柳さん……!」
     木茂は鼻息を荒げた。
     快楽と緊張と、それから恥ずかしさに目を細め、頬を朱色に染めている表情は、男にとっては魅力の塊でしかない。すっかり瞳佳の顔に見惚れた木茂は、より一層と指使いを活発にして責め走る。
     鎖骨を撫で、二の腕を撫で、ヘソをくすぐり、腰のくびれをまさぐりまわす。太ももに手の平を這わせてやり、それこそ全身という全身を撫で回した木茂は、とうとうアソコの割れ目にも愛撫を施していた。
    「んくぅ……! あぁ……ふぁぁ……!」
     ラインに沿って指の腹が上下に動けば、瞬く間に滲み出る愛液が、活性油となって滑りをどんどん良くしていく。瞳佳の様子を見ながらコツを掴んで、しだいに上手に責めていく木茂は、陰核包皮の内側から突起してくるクリトリスの存在に指で気づいた。
     くりくりと、ぬりぬりと、指の腹でクリトリスを苛めた。
    「あぁ……! あっ、あぁぁ……!」
     瞳佳の乱れている姿が、その髪を左右に振り乱している色気の顔が、ますます木茂を興奮させていた。そして瞳佳自身、自分のこの乱れ具合を見ることで、木茂がより鼻息を荒くしていることを何となく理解していた。
     その責めは、さらに続いて数分以上。あるいは十分以上なのかもしれない。喘ぎ乱れる最中に時間など確かめる余裕はないが、長々と続いた愛撫の末に、木茂は言い出した。
    「……い、挿れるよ! 柳さん!」
    「うん。わ、わかった」
     緊張しつつ、瞳佳は静かに股を開いた。
    「ふひっ、へへへぇ……」
     いかにも鼻の下を伸ばして、M字気味となった瞳佳の股へと、木茂は自分の肉棒を押しつけて、切っ先をやや沈めることで膣口に狙いを定める。
     いよいよ処女を失う瞬間がやってきて、瞳佳はさらに緊張で強張った。
     こんなこと、今まで誰ともしたことがない。
     本当にどうして、自分は初めて会ったばかりの男の子に――いや、せっかく友達になってくれたんだから、これくらいは『普通』のことで『何もおかしくない』のだ。
     だから、構わない。
     ここで初めてを体験しよう。
    
     ずにゅぅぅぅぅぅぅ――。
    
     一本筋だったアソコのラインへと、亀頭が沈んでゆくごとに、その太さに合わせて穴幅を広げる膣口は、破瓜の痛みを伴いながら肉棒を飲み込んでいく。
    「うっ、くぅ……」
     体内に異物が侵入してくる違和感に悶える瞳佳は、この感覚に耐えよう耐えようと、一生懸命なまでに深呼吸を繰り返す。そうすれば何かが和らぐ気がして、とにかく大きく息を吸い、吐き出して、少しでも楽になろうとした。
     そんな瞳佳の奥を目掛けて、みるみるうちに一ミリずつ、ゆっくりと肉棒は進行する。袋を絞り込んだかのような膣壁の密閉は、肉槍の先端によって広げられ、ついには竿の半分以上までもが入り込み、そのまま根元までもが瞳佳の内部に収納された。
    「あぁぁ……! あ、は、入って…………!」
     瞳佳の全神経が、意識が、肉棒に向けられた。初めて入ったものの猛烈な存在感は、それだけで意識を引きずり、肉棒以外のことをたった一瞬でも考える余裕がない。入っている、根元まで、初めてで、硬くて太くて、そればかりのことが瞳佳の心と脳を占拠していた。
    「う、動くよ? 動くからね? 柳さん……!」
     木茂が腰を揺さぶると、瞳佳の中で肉棒の存在感はますます膨らみ、もう心の中にも挿入されている心地がした。
    
     にゅる……! にゅる……!
    
     肉棒の太さに対して、窮屈なはずの瞳佳の穴は、愛液のおかげで想像以上にあっさりとピストン運動を通している。
    「……あっ! あぁっ、あくっ、むっん、んぁっ」
     快感か、圧迫感か。それとも処女だからある性交痛か、あるいは木茂が上からかけてくる重心なのか。自分がどうして喘いでいるのかも、瞳佳にはわからなくなってくる。肉棒が出入りしている事実だけで頭が染まり、とうとうそれ以外の全てが、瞳佳の頭から消失した。
    「ああっ、気持ちいいよ? 気持ちいいよ? 柳さんのナカ……!」
     木茂はせっせと腰を振る。
    「あぁぁ……! いっ、うぅぅ……! んぁっ、はうぅぁぁ……!」
     瞳佳はひたすら喘いでよがる。
     あとはもう、射精のときまで延々と腰振り運動が続いていく。木茂が瞳佳を味わいつくすばかりである。下腹部に力の入った膣圧が、ぎゅっと肉棒を掴む快感を木茂は楽しみ、そして瞳佳の全身を使った色気あるよがりを見るために、一心不乱に奥を貫いていた。
     全てが終わる頃には、瞳佳はただ放心しきっていて、真っ白な頭の中には、何一切の思考といえるものなどありはしなかった。
     初体験を通した精神的な驚きと、疲弊しきった感じとで、目が少しばかり虚ろな瞳佳は、事後の写真を撮られていることに気づきもしない。シャッター音声が何となく聞こえたが、生きた人形でしかない瞳佳には、撮られている自覚など持てなかった。
     ただ、またあのスマートフォンの画面を見せられて。
    「気持ちよかったね? 最高だったね?」
    「……うん」
     意識が回復したわけでもなく、虚ろな瞳を維持したまま、そう言われればそう答えた。
    「またしようね?」
    「うん」
    「誘ったら、きちんと応じるんだよ」
    「うん」
    「でも、僕達の関係は内緒だよ? いいね?」
    「うん」
     ただ、うん、と返事をするだけの機械と貸して、そうやって刷り込みを受けてから、さらにまたしばしの時間が経ち、本当にやっとのことで意識の回復が始まった。
     ああ、そっか。
     ここでセックスしたんだっけ。
     瞳佳はごく自然に事実を受け入れ、友達である木茂と別れてから、寮での夜を過ごした翌朝には登校して、何事もないように一日を過ごす。
     まるで、何もなかったように。
     仮に友達から木茂について聞かれても、セックスをしたとは決して言わず、単なる友達で週に何度かメールをしなくもない程度と答えている。瞳佳の中で木茂という男は、実際にそのくらいの存在で、にも関わらず、間違いなくセックスフレンドだった。
     たまにメールが来れば、都合に応じて誘いに乗る。
     それは別に普通のことだし、セックスは気持ちよくて面白い。ちょっと友達と遊んでいるだけのことだから、瞳佳はそれを何とも思わない。
    
    『ねえ、瞳佳ちゃん。よくないと思うよ?』
    
     ん? 何が?
     と、そのメールを見るに、瞳佳は本気で首を傾げた。
     確かに不純異性交遊はよろしくないが、木茂は正式なセックスフレンドで、性交しても問題のない相手だ。
     別にいいじゃないか。
     おちんちん、気持ちいいんだから――。
    
          ***
    
     誰の目から見ても、柳瞳佳の様子に変わりはない。
     もちろん、転校してまだ日が浅く、瞳佳の日頃の様子といっても、友達みんなが瞳佳についてそこまで詳しいわけではない。しかし、それにしたって、日常的に授業を受け、休み時間には友達と話をして過ごす様子には、特筆しておかしな様子はないのだった。
     だが、間違いなく瞳佳の日常は歪んでいた。
    
     ねえ、今日空いてる?
     男子トイレでしたいんだけど。
    
     ああ、またか。
     まあ今日は暇だし、付き合ってやろう。
    
     木茂からのメールを見て、瞳佳の心はそんなものだった。
     普通として、受け入れていた。
    
    
    


     
     
     

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  • ペニスを撮影した話 フォト

    
    
    
     オレの名前はソウ。モトラドだ。
     小型車のトランクに積んで持ち運べるように設計された、ちょっと特殊なモトラドだ。もともと車体が小さいが、ハンドルやシートを折り畳むと、さらにコンパクトになる。まあ、速度は出ないけどな。
     オレの乗り主の名はフォト。性別は女。年齢は十七。黒い髪は背中まで長い。
     いろいろあって今いる国にたどり着いたオレ達は、ここで生活を始めた。いろいろあってフォトはお金持ちになったが――、写真好きが高じて、依頼があれば写真を撮る仕事をしている。
     フォトは、そこから付いた通り名だ。彼女に、過去の名前はない。
    
    
     白衣の男がやって来た。中年くらいで、白髪交じりのオールバック。眼鏡をかけた知性的な顔立ちだ。
    「いらしゃいませ、こんにちは! 私はフォト。この写真館の店主です」
     フォトが元気よく挨拶する。
    「ふむ、女の子か。失礼だが男性のカメラマンはいないのかね」
     白衣の男は、何故か困った表情でそう言った。
    「いいえ、私だけですが」
    「噂通りか。だったら女の子に頼むことになってしまうが、実は撮影して欲しいものがある」
     仕方なくフォトを依頼相手に決めた様子だ。
    「はい。なんでもお受けしますよ?」
    「その撮って欲しいものが問題なんだが、医学に使う資料写真が必要になる。人の体のある部分に症状が出て、その状態を記録として保存したいんだ」
     オレには想像がついた。女の子に頼むのは躊躇って、だけどフォトしかいないから、仕方なく依頼を持ち込む。そりゃもうアノ部分しかないだろう。
    「はい。どういった部分でしょう」
     しかし、フォトは直接聞いてしまう。
    「ペニスだ」
    「ぺに……」
     フォトは接客笑顔のまま固まって、完全にフリーズしていた。
    「陰部、男性器。呼び方は色々あるが、まあアソコの写真がいる。だから女の子に頼むのはどうかと思って、男性カメラマンがいればいいと思ったんだが……」
    「分かりました!」
     凍り付いていたはずのフォトは、恐ろしい早さで答えていた。
    「いや、いいのかね。自分で話を持ち込んでいうのもなんだが……」
    「医学としての資料ですよね。症状を記録に残すということは、他の多くのお医者さんが、同じような病気を相手にするのに役に立ちます。多くのお医者さんの役に立てれば、多くの患者さんの役に立つことにもなります。写真であれば任せて下さい!」
     その依頼にどんな意義があるのか。一瞬にして見い出すとは、コイツもプロの職業カメラマンらしくなったというべきか。
    
    
     詳しい話を聞いた。
     この国では初めてみる症状らしく、旅人からの感染か、持ち込んだ食事か何かから、どうにかして入り込んだのではないかと予想されている。まだ患者は一握りだが、もし増えるようなことがあっては一大事らしい。
     症状は精子が増えまくること。
     睾丸の中で、溜まるべきものが異常に溜まり、増えすぎるあまりに破裂する。まるで風船が割れるみたいに、玉の袋が壊れるのは、なかなかグロテスクな末路だ。モトラドのオレには関係ないが、もしオレが人間の男だったら、絶対にゴメンだ。
    「寄生虫ということまでは判明している」
    「寄生虫、ですか?」
    「まず、睾丸に寄生する。そこで物質を分泌して、精子の異常増殖を促す。卵を産んで、増えた精液を幼虫のエサにするといった具合で、実際に破裂してしまった患者から、寄生虫の実物が見つかったことで判明したんだ」
    「それじゃあ、既に被害に遭われた方が……」
     フォトは話を深刻に受け止めていた。
     普通にエグイことだ。ギャグなんかでは済まされない。
    「射精によって追い出せる可能性もあるのだが、寄生虫も馬鹿じゃない。せっかく棲みついた場所から出されないため、寄生した男性を勃起障害にしてしまう」
    「絶対に勃起しなくなるのか?」
     オレから聞いた。フォトの口からは聞きにくいだろう。
    「絶対ではないが非常に勃起しにくい。自分の手で勃たせるのはまず無理だ。女性の手を借りれば可能性が高まることは判明しているが、女医や看護婦だから頼めることだな。医療上の措置だからやってくれるが、女性は数が足りていない」
    「フォトにやらせようとは思うなよ?」
    「ソウ!」
    「いや、いい。言葉が悪かった。妙な捉え方をされても仕方がないが、フォトさんには写真しか頼まない。医者でも看護師でもないからな。それは病院側の仕事だ」
     別にそこまで白衣の男を疑ってはいないが、フォトが妙な善意を起こしてもして、性接触をした患者が、フォトに対してまた妙な勘違いをする。なんてことになっては困るからな。
    「とにかく、撮影は引き受けます。仕事は急ぎでしょうか」
    「日が経ってしまうと、記録に残すべき状態ではなくなってしまう。明日には病院に来てもらえると助かるよ」
    「では明日。時間は――」
     日程を取り決めると、白衣の男は疲れた顔をして、やけに早足で出て行った。
     よっぽど忙しくて、疲労を溜め込んでいるみたいだな。
    
    
     撮影相手となる患者は、五十歳くらいだろうか。
     ルックスはお世辞にも良いとはいえない。髪は脂っこくて硬そうで、しかも円形ハゲで顔立ちも悪い。別に普通の表情をしているだけだろうに、いやらしい視線をして見える。肌にも脂汗が滲んでいて、腹はぶよぶよで太っていて、女が生理的拒否反応を示しそうな全ての要素を詰め込んでいた。
     そんな患者がズボンを脱いで、下半身を曝け出し、診察用のベッドに横たわっていた。
    「…………」
     フォトは、カメラを両手に抱えてじーっと見ていた。
     色んな感情があることだろう。
     被写体に選ばれて、自分のペニスを撮らせるために脱いだのに、カメラマンに嫌な顔をされては相手が傷つく。だけど乙女としては肉棒なんて直視できない。しかし、きちんと正面から見なければ、撮影の仕事にならない。
     エスパーってわけでもないが、フォトの浮かべる視線には、そんな感情がありありと出ているわけだ。
     瞳がきょろきょろと、色んなところに泳ぎそうでいて、実際には泳いでいない。泳ぎそうに見えるだけで、ペニスをきちんと直視している。
     まずは非勃起状態を取るので、さっさと照準を合わせてシャッターを押す。裏側や玉の部分も撮るというので、女医の手で角度を変えてもらったり、患者に脚を開いてもらい、少しばかり時間をかけたが、ひとしきり必要な写真は揃っただろう。
     あとは勃起状態の撮影だ。
    「では勃たせますねー」
     女医は患者に呼びかけ、ペニスを握ってしごき始めた。
     十分美人だ。胸も大きい。こんな女にシてもらえて、嬉しくない男がいるものか。いないはずだと思うのだが、何分経っても、十分以上が経過しても、未だに勃起しないのは、白衣の男の言葉通りだ。
    「もう彼女では勃ちませんか」
     白衣の男が問いかける。
    「ああ、勃たんね」
    「では別の看護婦を……」
    「いいや、その子でどうだ?」
     どこかせせ笑っているような、全てを嘲っているような、実に性格の悪い笑みを浮かべて、患者はフォトに目を向けた。
     途端、白衣の男は厳しい表情になる。
    「彼女はカメラマンです。医療上の措置には協力させないつもりです」
     きっぱりと断った。当然だ。そうでなくては困る。
    「だがねぇ? 他の看護婦も、女医も、もうオレは興奮せんよ。飽きたんだよ」
     患者は大げさなまでに肩を竦める。
    「だが、しかし……」
    「アンタが自分で言ったんだぞ? 勃起障害を踏み倒して、勃起に持ち込める可能性は、興奮率と関係がある。アンタ自身の研究成果だ。だったら、それなりの女を用意するのが、病院の責任ってもんじゃあねえのか!」
    「カメラマンには要求するなと、事前にお話したはずだ! 勝手な主張は許されない!」
    「けど時間がないんだろ?」
    「……」
     白衣の男は黙った。
    「時間がないというのは」
     フォトが尋ねると、
    「お嬢ちゃん。オレのチンポは――、いや、タマタマは、もうすぐ破裂するんだよ」
     老獪な笑みを浮かべてそう答えた。
    「そうなんですか?」
     フォトは、白衣の男や女医に目を向けて確かめた。
    「ああ、その通りだ」
     白衣の男が認めると、
    「最初はオレ以外にも患者がいた! 症状には個人差があるからな! オレよりも若い男が、恋人にしてもらって、なんとか症状を抑えていたが、射精で寄生虫が抜ける可能性は限られている! そいつは助からなかった! やがて同じ女では抜けなくなって、だけど恋人以外の女は拒み続けた末に死んだ! 出血か? ショック死だったのかな! ひひひ!」
     完全に目がイっていた。
     狂人がおかしなことを口走って聞こえるが、一応事実なんだろうな。
    「会社員をやっていた男が死んだ! オレより後から患者になったくせに、進行が早くて破裂しちまった! 政治家も弁護士も死んだ! 今度はオレもそうなる! あんな死に方はしたくない! だがロクに治療法も見つかっていない! アンタらにできることは、そうやって写真なんかで記録を取って、研究資料を積み上げることだけだ! 協力してやろうってだけで、オレってすごく良心的だな! 治せるようになるのは何年後だ? オレが死んだあとか! はははははははは! そいつは傑作だ! 傑作じゃねえか! もし死ななかったらどうする? 確かに歳かもしれねえが、こんなジジイになってから女にでも生まれ変わるか?」
     睾丸破裂の運命が決まっていたら、狂っちまうのも当然か。
     白衣の男は静かに頭を抱えていた。
    「……申し訳ない。フォトさん。お金は約束通り払う。今回は帰ってくれ」
     そりゃそうだ。気のおかしくなった患者の相手は、カメラマンの仕事ではない。これはもう帰るべきだ。
    「帰りません」
     オレは絶句したね。ここで帰らないっていうのは、そういうことだぞ?
    「まだ引き受けた仕事が終わってません。私にはやるべきことが残っています!」
    「そうそう。お嬢ちゃんの手でオレのチンポを……」
    「これからも、患者は出るかもしれないんですよね? 治療法もわからなくて、どういう結末になるかだけがわかっていて、そんな怖い病気にかかっていたら、誰だって! そんな人達を少しでも多く救えたら、いつか治療法か見つかったら! だけど私はお医者さんではありません! 写真しかないんです!」
     ああ、もう駄目だ。こうなったらフォトが帰ることはない。
    「し、しかし……」
     白衣の男は困るばかりか。
    「他の女医さんも、看護婦さんも、みんなもう一度はしたんですか?」
    「ああ、そうだ」
    「だったら、こうしましょう。私の手で何も出来なければ、確かに撮影できるものがないので帰らせて頂きます。ですが、もし私が彼を勃起させたら、撮影は続行できます」
    「しかし、病院としては……」
    「私はやります! やるべきだと思っています!」
     フォトは瞳に、強い意志を宿していた。
    
    
         *
    
    
     患者はフォトと二人きりを要求した。
     フォト自身がそれを飲み、口うるさい医師も、女医も、モトラドのソウとかいうやつも押しのけて、患者と二人だけになっていた。
    「偉いねぇぇぇ? お嬢ちゃん」
     患者は起き上がり、フォトの胸を揉む。両手でがっしり掴んで、服の上からじっくりと、揉み心地をよく確かめてやる。
    「……」
     こんなオジサンに揉まれたら嫌なはずだが、フォトは少し驚くだけで、すぐに先ほどの、強い決意の篭った目つきに戻り、何も言わずに患者のことを見つめ返している。
    「勃起しますか?」
    「おん?」
    「私の胸を触れば勃起しますか?」
     カメラマンとして来ているんだ。よっぽど仕事を無下にできない性格なんだろうな。
    「そりゃ、お嬢ちゃんの努力しだいだ。お嬢ちゃんほど可愛ければ必ず勃起する。もし勃起しなければ、お前さんの努力が足りないってことだ」
    「わかりました。手で握って、上下にすればいいんですか?」
    「ひひっ、初めてか?」
    「はい」
    「歳はいくつだい」
    「十七歳です」
     これは凄い話だ。五十歳のオレが十七歳にしてもらう。もし患者が結婚して、子供でも作っていれば、そのくらいの娘がいてもおかしくなかった。
    「十七歳か。十七歳とは、生きてみるもんだなぁ? さっそく握ってくれ」
     患者は仰向けに寝そべった。
     すると、いつも女医や看護婦が『医療措置』を施すときみたく、患者の目をきちんと見て、相手の様子を伺いながら、右手に患者の一物を収めていく。初めて触るフォトの手つきは、まじ一瞬だけ引っ込んで、真っ赤な顔でそーっと、恐る恐るといった具合に指を巻きつけ、握り込むから、その可愛らしさだけで興奮した。
     本当なら、胸を揉んだだけで勃起していないと話はおかしい。
     寄生虫のせいだ。寄生虫がいなければ、とっくに限界まで勃起している。
    「これで、いいのでしょうか」
     フォトの手が上下に動き始めた。
    「おおっ、いいよいいよ?」
     萎れていた患者の一物は、徐々に大きく育っていく。しかし、半勃ちよりも柔らかい、勃起というよりは硬くなり始めの段階で、それ以上は育たない。
     黙々と五分ほど続けても、それ以上の硬さにはならなかった。
    「お嬢ちゃん。ちゃんとやる気出してるか」
     患者は説教じみた厳しい顔つきになる。
    「やっています」
    「だがな。努力が足りていないんだ。だからこの程度しか勃たないんだ。ここまで勃ったんだから、必ずちゃんと勃起するはずなんだがなぁ?」
    「他にどうすれば……」
     エッチの知識が少ないフォトは、本当にどうすればいいのかわからない。
    「口だ。口を使え」
    「舐めたり、咥えたりすればいいんですか?」
    「そうだ。やってみなさい」
     患者は起き上がり、ベッドの横から両足を下ろして、背筋を伸ばして座る姿勢になる。フォトはその股ぐらで、姿勢を低めて、肉棒に顔を近づけた。
    「……」
     フォトは躊躇った。
     口という場所は、食べ物を食べるための場所であって、男が用を足すためにある汚い部分を咥えるのは、手で触るよりもずっとずっと抵抗がある。
    「やっぱり、醜いオジサンは嫌かい?」
    「そんなことは……」
    「そうなんだろう? こんな顔だし、ハゲだもんねぇ? 汚いし、勝手だもんねぇ?」
    「そんなことはありません!」
     フォトは思い切って口をつけ、先っぽの部分から、ペロペロと舐め始めた。
    「おお……!」
     患者は感激する。
    「――ちゅっ」
     フォトは亀頭に唇を押し付け、そのまま手コキを行った。軽やかに上下にしごき、先端から少しずつ口に含んで、亀頭の約半分を唇の内側に収めたフォトは、ペロリペロリと舌を使って刺激を与えた。
     さらにもう少しだけ、患者の肉棒は膨らんでいく。
     しかし、それ以上は何分かけても硬くならない。
    「じゅむぅ……じゅるっ、ちゅっ、んむぅぅ……」
     きちんと奥まで飲み込んで、頭を前後させるようにしてみても、それ以上大きくならない。時間をかけるにつれて慣れてきて、テクニックが身につきつつあっても、ある段階まで育った肉棒は、決してそれ以上にはならなかった。
    「何でもやります。他に方法はありませんか?」
     今度はフォトの方から尋ねていた。
    「いいのかね。お嬢さん」
    「今回の撮影は、とても大事なことだと思っています。何としてもやり遂げたいんです!」
     フォトの眼差しは真剣そのものだ。
    「ようし、心意気はよくわかった。ならばオジサンが次なる奥義を伝授しちゃおう」
     そう言って、患者がフォトに教えたのはパイズリだった。
     乳房に挟んで刺激する方法があるのだと、そう教わったフォトは服を脱ぎ、ブラジャーを外して上半身裸になり、肉棒を抱き込んだ。
     一生懸命、乳房を使ってペニスをしごく。
     左右からグニっと、プレスをかけて、上下に動かし、乳肌の中でムクムクと育ってくるのを感じ取る。途中でパイフェラまで学んだフォトは、自分の谷間に口を近づけ、舐めながら胸を使うことまで行った。
     しかし、途中まで大きくなると、またそれ以上成長しなくなる。
    「お嬢ちゃん。こうなったら、セックスしかないねぇ?」
    「はい。セックスとは?」
    「男と女が、赤ちゃんを作るときにやる行為だよ」
    「あ、赤ちゃん……!?」
     フォトはみるみる赤らんだ。
    「だけど、望まないのに子供が出来たら大変だろう? 避妊の方法があるから、セックスっていうのは妊娠を防止しながらやるんだよ。ああ、もちろん子供を生みたいときは別だけどね」
    「……は、はい。それで、どうやるのでしょう」
    「おちんちんをお嬢さんのアソコの穴に挿入するんだ」
    「それって……」
     口で咥えるよりも、胸に挟むよりも抵抗があって、やはりフォトは躊躇った。
    「やっぱり、嫌かね? 心意気は嘘だったのかねぇ? お嬢ちゃんはその程度かい」
    「いいえ! やります!」
    「ひひひひっ、それじゃあオジサンとセックスだ。丸裸になってごらん?」
    「わかりました」
     フォトはズボンもショーツも脱いで、診察用ベッドの上に仰向けに横たわる。コンドームが装着できる程度には勃っているので、患者はコンドームを付けた。
    「いきなり挿れたら痛いからね。まずはこうやって、濡れらしてやるんだ」
     患者はフォトのアソコに触って、ねっとりとした愛撫を行う。
    「んっ、くぅ……!」
    「気持ちいいかい?」
    「は、はい……少しだけ……」
    「うんうん。もう少し濡らしたら、挿れるからね?」
     しばらく、患者はフォトの秘所に刺激を与えた。割れ目をなぞり、肉貝を揉むようにしていると、だんだん愛液が出て、指の滑りが良くなって、ますます活発な愛撫になる。突起した肉芽を見つけて、患者はそこを集中的に刺激して、フォトはだんだん喘いでいた。
    「っあ! あぁ……!」
     フォトの乱れる姿に興奮するので、肉棒の育ち具合は維持されている。
    「よーし、よしよし。それじゃあ挿れるからね? 脚を開いてね?」
    「ひゃっ、はいぃぃ……!」
     フォトは仰向けのままM字開脚を行う。
    「さあ、入るよ? オジサン、お嬢さんの初マンコ頂いちゃうよぉぉ?」
     患者はフォトに挿入した。
    「あうぅ……! んっ、んぐっ、あぁぁ……!」
     初めての感覚に、フォトは大きな声を上げていた。
    「どうだい? お嬢ちゃん。これがセックスだ」
     患者が腰を動かし始める。
    「あっ、あぁ……! お、大きく……!」
     自分の膣内を出入りして、奥を貫いてくる感覚が、内側で膨らんでいくのをフォトは感じた。
    「そうだねぇ? お嬢ちゃんとエッチができたからだ」
    「あうっ、んんん! さ、撮影を……!」
    「撮影? オジサンとのセックスが優先に決まっている」
     患者はフォトの胸を鷲掴みにして、揉みながら腰を振り、小刻みに打ちつけることでフォトの身体を揺らし続ける。
    「あぁっ! うっ、うぁぁ……! あぁ……! と、撮ったら……! 続き――してもっ、構いませんから――写真を――写真を――」
     喘ぎながらも、フォトは仕事を忘れない。
    「またお嬢さんが勃たせてくれればいいだけだろう? ほら、もっと締め付けて!」
    「駄目です! ちゃんと写真を撮らせて下さい!」
    「君ねぇ……!」
     黙らせてやろうとばかりに、患者は肉棒を使いこなし、指先で乳首まで刺激する。喘ぎ声しか出させないため、大いに感じさせようとするのだが、
    「写真をぉ……! とっ、おぁ……! らせて――――」
     フォトは決して、仕事を放棄したがらない。
    「しょうがない。撮ったら、ちゃんと続きをするんだぞ」
     いつのまにか、セックスの続きは『ちゃんと』やらなければいけないものと化し、根負けした患者は一旦肉棒を引き抜く。
    「はぁ……はぁ……」
     息を荒くして、フォトはカメラを手に取った。
     患者には一度寝てもらい、レンズ越しにペニスを見て、立派にそそり勃つものにシャッターを押し、また別の角度からもピントを合わせ、シャッターを落としていく。
     撮影は滞りなく進んだ。
     お互いに全裸なこと、撮影対象がペニスであることを除けば、フォトの表情は情熱をもって仕事に取り組む職業マンのものでしかない。
     ただ、途中で尻を揉まれていた。
     亀頭のアップや裏面からのアングルなど、複数のショットが必要なため、上から見下ろすようなアングルでも一枚撮りたい。被写体の場所を考えると、患者の腹部にカメラを置き、寝そべるような姿勢で撮るのがやりやすい。
     つまり、仰向けになった患者の顔に、フォトは自分の体を乗せることになる。その時に患者は手を伸ばし、尻を撫で、揉み込んだのだ。
    「…………」
     シャッターを切るまで、フォトは絶対にレンズから目を離さなかった。集中力の限りを尽くして、撮影だけに専念していた。
    
    
     そして、患者は続きを要求した。フォトは応じた。
     精液増加による睾丸破裂は、患者を射精に導いてやれる誰かでなければ延命できない。同じ女性で射精を繰り返すと、やがて出なくなる。フォトは患者の新しい相手となった。
    「……」
     フォトは四つん這い。両手でシーツを少し握り、お尻は患者の方へ向け、これから挿入される直前にいる。
    「よーし、今日も挿れちゃうぞ?」
     患者はウキウキとしながら、ずっぷりとペニスを挿し込んだ。
    「……ん! んっ、んぅっ、んあん!」
     尻に腰をぶつけるようにして、ゆさゆさとピストン運動を行うと、フォトの身体も衝撃で前後に揺れる。柔らかく丸いお尻は、ぶるかるたびにプルンプルンと、瑞々しく振動していた。
    「お嬢ちゃん。本当は嫌なんだろう? こんな汚いオジサンと」
     醜いルックスの患者は、円形ハゲの頭頂部がつるりと輝き、その周囲に残っている髪は脂質でゴワゴワしている。顔立ちも完全に崩れていて、普通の表情をしていても、いやらしいことを考える目つきに見える。しかも歯は黄ばんでいて、口臭があって、ぶよぶよに太った腹の脂肪もだらしない。
     女の子がムリだと感じる要素が、たっぷり詰め込まれた男である。
    「いいえ……」
     しかし、フォトはそう言った。
    「おや、どうしてだい」
    「お医者さんが教えて下さったお話は真実です。誰かが射精させないと、あなたの睾丸は、だからこれは、人を救うことです」
     きっぱりと答えると、
    「うっひひひひ! えひ! いひひひひひ!」
     患者は醜く笑った。
    「……んぁ――あぁ……! あふぁっ、あっ、――んくぁ――ひあっ、ひっ、はぁん!」
     腰振りが激しくなって、フォトはより喘いだ。
    「こんな病気にかかれてラッキーだよ! おかげでオジサン、こんなに若くて可愛い子とヤれるんだ! 面白ォ! 最高ォ!」
    「あぁぁ……! ひっ、ふぅぅぁ――はぁぁ……! あぁっ、んひぁ……!」
     じきに射精のときになり、コンドーム越しに広がる熱い白濁をフォトは感じた。もしかしたら、寄生虫が運良く精液と一緒に出ている可能性があるので、使用したゴムや精液は必ず病院に提出する。
     看護師を呼んで持っていかせて、後始末が済むと、まだ勃たせる元気を残した患者は、今度は対面座位を要求した。フォトは応じた。
     あぐらをかいた患者と、正面から抱き締め合うような形で、アソコの穴にはぴったりと肉棒を収めたフォトは、下腹部に力を入れて締め付けたり、上下に動いて、患者に快楽を与えてあげていた。
     そして、患者はお尻に手をまわし、揉んだり撫でたり、好きなように楽しんでいた。
    「お嬢ちゃん。オジサンが嫌いになったでしょう」
    「……どうして、ですか?」
    「オジサンはね。もう、お嬢ちゃんとセックスがしたいだけなんだよ?」
    「不幸だったんですね」
    「え?」
    「だから、きっと神様が、プレゼントをくれたんです。病気は一時のもの。きっと治ります。きっと、きっと――」
    「…………」
     患者は何も言わなくなった。
     ただ気まずそうに、それでもセックスだけは楽しんだ。
    
    
         *
    
    
     
     オレの名前はソウ。モトラドだ。
     オレの乗り主の名はフォト。性別は女。年齢は十七。黒い髪は背中まで長い。
     例の寄生虫を除去する方法や、病気が出てきた原因が突き止められ、新聞でそのニュースを読んだフォトは、まるで我が幸せのように舞い上がっていたが、病院から帰ると暗くて悲しそうな顔をしていた。
    「あのおじいさん。亡くなったって……」
    「ああ、残念だな」
     オレにはそれしか言えなかった。
     フォトから聞いた死亡時刻と、新聞にある治療法の発表時期を見比べると、ちょうどあのジジイが死んだ翌日に、約一名の完治に成功している。そのタイミングなら、クソジジイを救うことも出来たはずだが、さては病院の連中……。
     あの白衣の男、あのジジイを嫌っている様子だったし、決してありえない話じゃない。
     しかし、あの勝手な爺さんが死んだところで、オレはちっとも悲しくない。
    「あと、一日早ければ……」
     だからオレは、余計に何も言えなかった。
     ただ、一言だけ言わせてもらおう。
    「フォト。お前は女神だよ」
    「ソウ。何言ってるの?」
    「いいや、やっぱり忘れてくれ」
     それ以外、あとは何も言わなかった。
    
    
    

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  • ヴィヴィアンと汚いオッサン

    
    
    
    「さて、ヴィヴィアン殿」
    金髪剣士の名を呼ぶのは一人の魔女。
     少年の弟子を従え、三角帽子を被った彼女の名はホルボーンという。
     村の辺境にあるガーディアンストーンが血によって穢れたことをホルボーンは、古戦場遺跡にあるダーククリスタルを手に入れれば、その穢れを払うことができると語った。
     ガーディアンストーンは村に魔物が侵入することを防ぐ守りの石。
     力が失われている限り、村は平和でなくなってしまう。
     これを引き受けたヴィヴィアンが、見事にダーククリスタルを持ち帰り、ホルボーンへと手渡したまでは良かったのだ。
     しかし、油断していたのかもしれない。
     あるいはホルボーンも、ヴィヴィアンの技を始めから警戒して、利用する算段を立てていたのだろう。ヴィヴィアンがホルボーンを味方と思い込み、事態が解決して一安心の、ホっと気を緩む一瞬を逃すつもりなどなかったのか。
     いずれにせよ、ヴィヴィアンはホルボーンに呪縛をかけられた。
    「まさに魔術師を殺めるために編み出されたような技」
     その瞬間、ヴィヴィアンは動けなくなっていた。
     光のリングをいくつも並べ、あたかも人を閉じ込めるほど大きなバネをかけてしまったように、その内側にあるヴィヴィアンの肉体は身じろぎ一つ許されない。
    「素性を隠さなくても結構。お前の正体はわかっている」
     そして、ホルボーンは言うのだ。
    
    「ルーンワーデンよ」
    
    「……くっ」
     ヴィヴィアンは歯噛みするしかない。
    「お前には今まで、いったい何人の魔術師が殺され、あるいは何人の魔術師がお前を殺すのに失敗してきたことか。そんなことは私にはどうでもいいのだ」
     ホルボーンの別に誰かの恨みや無念を晴らそうというわけではない、ただただヴィヴィアンの手で何人が死んだことかと、気まぐれに口にしてみているだけの、それ以上でもそれ以下でもない口ぶりから、決して今まで殺された魔術師が理由ではないとわかった。
     だが、ホルボーンはさらなる魔術をかけてきた。
    
    「あぁっ! くっ!」
    
     ヴィヴィアンの悲鳴。
     それは呪縛だった。
    「……ふん」
     もう拘束している必要がなくなってか、束縛の光はすぅっと消え去り、やっと動けるようになったヴィヴィアンの身体は、真っ先に膝をついていた。
     呪いをかけたのだ。
     もしもホルボーンに逆らおうとすれば、一瞬にしてヴィヴィアンの命を奪う。断るという選択肢を初めから剥奪して、いかなる要求も飲み込ませ、従わせるにはこれ以上向いている術はないはずだった。
     当然のように取引を持ちかけられた。
     探して欲しいものがある。それを持ち帰れば呪いを解き、今後一切ヴィヴィアンには関わらない。元の生活に戻れることを約束する。報酬さえ出すという。
     その上で問われれば、受け入れるしかない。
    「どうだ? 取引するか」
     圧倒的に優位な立場から降りかかるホルボーンの言葉。
    「私に選択肢はなさそうだな。お前の言う通りにしよう」
     そんな答えを出すしかなかった。
     そうに決まっていた。
     生殺与奪を握られてはどうにもならない。おまけにアカデミーから懸賞金がかけられていること、生死は問わないことまで持ち出されては、ただでさえ弱い立場でえ、余計に反抗できなくなる。
    「さすがは傭兵。ものわかりがいい」
     ホルボーンの表情はおぞましかった。
     一言、邪悪。
     己の計略通りにことが運んで、優位な立場で言うことを聞かせ、それが嬉しくてたまらない。これ以上ないほどに黒い笑みが、ホルボーンの頬を歪めていた。
    「だが、その前に。少々教育しておきたいな。何、悪いようにはしない。自分の立場は十分にわかっているだろうが、より一層のことわかってもらうため、少しばかり仕事をしてもらう」
    「何をさせるつもりだ?」
    「男の相手だ」
    「……なッ!?」
     ヴィヴィアンは驚愕と共に顔を上げ、その黒く歪んだ笑顔を見た。優位に立って人を従わせることに、味を占めでもしたわけか。どういうわけか。ますます頬は吊り上がり、邪悪極まりなくなっていた。
    「もちろん、相手となる男にお前の素性は言わん。秘密は守る。だが、呪縛で言うことを聞かせていること、教育しておきたいことだけは伝えることになるだろうな」
    「…………」
     ヴィヴィアン自身にはどうにもならない、変えようのない運命が、ホルボーンの手で決められていく。
     冗談ではなかった。
     男の相手が仕事など、娼婦の真似事など真っ平だ。
     たった今にでも、ヴィヴィアンは辱めを受けた気持ちに顔を歪めて、ぎゅっと拳を握り締める。
    「心配するな。一回きりだ」
    「……ああ、そうしてくれ」
     一回。
     それがせめてもの救いか。
    「結構上手いそうだ。せいぜい楽しむといい」
    「…………」
     楽しめるものか。
     ヴィヴィアンは内心で歯噛みして、目の前の魔女を斬り伏せてしまえればと思いを抱くが、出来ないものは出来ないのだ。
     言う通りにするしかない。
     マシな男であることを、願っておくしかなかった。
    
         †
    
     ベッドの部屋で、相手を待ち――。
     
     客となる男は醜かった。
    「なッ!?」
     ゾっとして驚くほど醜悪な、浅黒い肌の肥満の男は、正直に言って魔物の亜人種と見間違える風貌である。
     骨格の作りを疑うほどの垂れ目はいやらしく、ヴィヴィアンの肉体をいかにもそういう気持ちで眺めている。乳房や下腹部に視線を寄越されているだけで、ねっとりとした気色の悪い液体でも塗りつけられている心地がする。
     鼻が異常に反り返り、ブタでしかない。
     唇が分厚く、脂っこい光沢で汚く見える。
     吹き出物でいっぱいの肌は、まんべんなく凹凸にまみれている。
    「はぁっ、はあっ、び、美人だね? 綺麗だね? ヴィヴィアンたんっていうんだっけ? 可愛いね?」
     気持ちの悪さは見た目だけでは済みそうにない。
     明らかに興奮しきった犬のような呼吸に、下劣な妄想がありありと窺える目つきに態度。ここまで気色悪い男を見て、生理的に拒否反応を起こさずにいられる女が、果たしてこの世にいるのだろうか。
    
     ――これの相手をするだと?
    
     運命が忌まわしかった。
    「そ、それにしても、え、え、エッチな格好だよねぇ?」
    「…………」
    「む、むむむ胸はほぼ下着だしっ、ず、ズボンも内股を切り取ってパンツ丸出しで、これじゃあ痴女と言われても仕方がないよねぇ?」
     緊張なのか、声を震わせ、どもらせる。
     女とまともに喋れないのか、人との交流自体が苦手なのか。お喋りに不慣れで、接し方も不器用なのがひしひし伝わり、そして卑猥なトークでヴィヴィアンに接しようとしてきている。
     ホルボーンを信じるなら、この男はヴィヴィアンの秘密を知らない。
     従わなければいけない立場と、これが反抗しようと思う気持ちを良くしするため、つまりは自分の状況について思い知らせるための行為であることだけを、この男は知っているはず。
    「き、き、キスしよっか」
     どこか恐れつつありながら、どんな要求でもできるはずの立場の男は、本当にヴィヴィアンと性交できるのか、何でも言うことを聞かせても構わないのか、緊張混じりに迫って来る。
    「…………」
     ヴィヴィアンは思わず顔を背けていた。
     ただでさえ汚い唇から、覗けて見えた歯が黄ばんでいた。口の臭そうな男とキスなど、嫌悪感しか湧きはしない。
    「あ、あああ、あれ? いいんだよねぇ? あ、あのっ、何でも言うことを聞くんだよね?」
     男はビビっていた。
     自分は何かを間違えたのか、聞いていた話と違いはしないか。
     このままヴィヴィアンが牙を剥き、威圧的な態度で迫れば、こいつは必ず萎縮する。強い目つきで睨みつけ、チンピラのように恫喝すれば、たちまちヴィヴィアンには刃向かえなくなるだろう。
     しかし、それもまずい。
     心臓に直接かかった呪縛を思えば、キスを拒んだせいで殺されないとも限らない。
    「……ふん。すればいい」
     嫌だ。したくない。
     だが、しなければ……。
    「うひっ、うひひひひひひひ!」
     その瞬間、急に人格を入れ替えて、中身が別人になったのかと思うほど、男の表情は豹変していた。
    「そっかぁ! 本当なんだね! 何してもいいんだね! 何でも言うことを聞くんだね!」
    「…………っ!?」
     それはおぞましい欲望の表れだった。
    「ほらほら、こっちを向いて? ほらほらほらほら!」
     男はヴィヴィアンの顎に触れ、背けた顔を自分に向かせ、迷いなく遠慮なく、先ほどまでの縮まった態度からは想像できないほど大胆に、醜い唇を近づけていた。
    「――んっ!?」
     ヴィヴィアンは本気で顔を顰めた。
    
     醜男に唇を奪われ、貪られ、おぞましさに本気で震えた。
    
     ねばっこい粘液をまとった唇に、ヴィヴィアンの唇が喰われている。不快な柔らかさが押しつけられ、ベタベタとした唾液に汚れ、舌が口内への侵入を試みる。
     きつすぎる異臭が口腔を侵食した。
     嫌に濃厚な味のする醜男の舌が、ヴィヴィアンの唇をベロベロと、前歯をねっとりと舐め込んで、奥へ向かって絡みつかせる。
     肩に両手が置かれていた。
     こんなキスの距離に迫られ、ヴィヴィアンの乳房に醜男の胸が押しつけられている。脂肪によって膨らみ、たるみ、おっぱいの出来損ないでしかない脂肪袋が、毛穴から脂分を噴き出しながら、乳房と密着しているのだ。
     丸く膨らみ大きな腹も、ヴィヴィアンの腹に当たっている。
     全身の細胞が蝕まれ、みるみるうちに腐食が広がってくるような、自分の身体がやがて腐敗物に変わっていきそうな悪寒に晒され、背中全体に寒気が走る。
    (い、嫌だ……! 無理だ……!)
     つい、押しのけようとする手を醜男に当てていた。
     本当なら、思いっきり押しのけて、突き飛ばし、直ちに剣さえ抜くところだ。
     ホルボーンの呪縛が、そんなヴィヴィアンの反射的な行動に歯止めをかけ、だから本当に突き飛ばすことはできずにいた。
    「へへへえっ、初めてキスしちゃった」
     とっくに四十代は超えているだろうに、ファーストキスであることを告白しながら、醜男は乳房を揉んだ。
    (本当に……こんなのに体を許しているのか……私は…………)
     醜男の五指が押し込まれ、乳房が潰れる。力を抜けば、ヴィヴィアンの乳房は弾力によって弾き返す。それが面白くてか、醜男は楽しい遊びを見つけたように揉み潰し、力を抜き、指が押し返されてしまうほどの弾性を堪能していた。
     しだいに腰をまさぐって、腹筋を撫で回す。
     ベッドへと押し倒し、飽きずに胸を揉みしだき、アソコにも手を伸ばして布越しの愛撫を始めた。
    「うっ……くっ…………」
     ヴィヴィアンにとって、それは汚物を塗りたくられているような、身体が不潔な異臭にまぶされていく汚辱感でいっぱいだった。不快や嫌悪の心から、顔中の表面が汗ばんでいき、歪んだ顔や目つきで耐え忍ぶ。
    「うへっ、えひひひっ、ふひぃぃぃぃ……!」
     ブラジャーでしかない胸の衣類をずり上げて、片手で乳首をつまんで転がしながら、もう片方の乳には吸いついた。
    「ううっ! うぅ……!」
     完全に、汚いものが付着してきた引き攣った反応だった。
     世にもおぞましい顔立ちの男が、自分の乳房をしゃぶっている。ベロベロと唾液を塗りつけ、甘噛みで刺激してくる。
    「ねぇ、ねえねえヴィヴィアンたんは、こういう経験あるのぉ?」
    「……初めてだ」
    「そっかぁ! 僕がヴィヴィアンたんの初めて貰えるんだぁ!」
     これほど醜い中年に、子供のような無邪気な喜び方は似合わない。鼓膜に粘液が張ってくるような、嫌にねっとりとした声質は、怖気が走るものでしかなかった。
    「ヴィヴィアンたんのオマンコはいけーん!」
     醜男はヴィヴィアンのショーツをずらし、未経験の性器のワレメが曝け出された。
    「あ、あまり見るな……」
     じっくりと凝視しようと顔が近づき、至近距離で視線を浴びて、さすがの羞恥に顔が赤らむ。
    「だめだめ、見てあげるんだから」
     醜男は親指で性器を開き、桃色の肉ヒダさえもあらわにされ、より大きな羞恥と屈辱にヴィヴィアンは苛まれる。
    「へえ? これが処女穴かぁ!」
     おもむろに指を突っ込み、やけに女を知った指使いでピストンの刺激を行う。中指一本の出入りが膣壁をうねらせて、おぞましいばかりのはずの醜男の手で、少しずつ快感が芽生えていく。
    「ぬっ、くぅ……!」
     身じろぎしながら喘ぐヴィヴィアンは、ホルボーンにかけられた魔術とその効力を思い出す。
    
    『感じやすくしておいてやる』
    
     さも恩でも売るように、ホルボーンは言ったのだ。
     この部屋で男を待つよう言われ、相手の到着まで待機する時、思いついたように事前に魔術をかけ始め、ホルボーンの魔力はヴィヴィアンの肉体に浸透した。
    
    『初めてが苦痛とあっては可哀想だからな。男の方にも術をかけ、技量を与えておいてやる』
    
     つまりヴィヴィアンには感度上昇の魔術が、醜男の方には性技上昇の魔術がかけられ、中年童貞には似つかわしくない、およそありえないはずのテクニックを醜男は発揮している。
    「気持ちよさそうだぁぁ……! ヴィヴィアンたんは僕の指で感じてくれてるんだねぇ?」
    「だ、誰が……!」
    「だってほら、こんなにヌルヌルで、反応もしちゃってるんだもん」
     中指のピストンが早まった、
    「――ぬっ、うっ、んっ、うんっ、んんっ、んっ、ぬっ」
     耐えんばかりに、ヴィヴィアンたんは唇を丸め込み、いかにも我慢している表情で醜男を睨み返した。
    「気持ちいい? 気持ちいいよねぇ?」
    「――うっ、ううっ、んっ、んっ」
     違う。魔術のせいだ。
     ホルボーンの力さえなければ、何も感じなどするものか。
    「気持ちよさそうだねぇ?」
    「ちっ、ちが――」
     アソコの快感を堪えきれない。
     歯を食い縛り、ぐっと顎に力を入れ、どうにか喘ぎ声を抑え込んでいるヴィヴィアンは、それでも髪を左右に振り乱す。腕でよがってベッドシーツ鷲掴みに、悩ましげな色を目に浮かべる。
     気持ち良くなっているのは、どこのどんな人間から見ても、隠しようがないだろう。
    
     ニタァァァァァ……!
    
     と、醜男はいい気になっていた。
     自分がヴィヴィアンを気持ち良くしているのだと、心の底から勝ち誇った笑みで頬と唇を歪めていた。
    
    「挿入しよっか。ねえ、ヴィヴィアンたんも欲しいでしょう? おちんちん」
    「ほ、欲しいものか……そんなもの……」
    「僕さ、生まれて初めてセックスするけど、ヴィヴィアンたんみたいな美人が初めてで嬉しいよ。気持ち良くしてあげるからね」
     まるで話など聞いていない。
     自分のことしか頭にない醜男は、おもむろに下着を脱ぎ捨て、とっくの昔から勃起している逸物の蒸れを解き放つ。
     パンツに閉じ込められていた熱気がむわりと漂い、アソコを包んで来る心地は、質感の異なる奇妙な大気に撫でられているようなものだった。
    「さあ、ヴィヴィアンたん」
     切っ先が、ワレメに触れる。
     この瞬間、ヴィヴィアンは腹を括った。
    
     ずにゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――――。
    
     ついに肉棒が侵入してきた。
    「ぬっ、ぐぅぅぅ――!」
     太い剛直の感触が押し込まれ、切っ先がヴィヴィアンの体内へと突き進む。根元までがぴったりと収まって、醜男はますます微笑み、その表情に黒い歪みを増していた。
     笑顔の邪悪さだけで人間をやめようとしているほど、おぞましく不快な顔つきだった。
    「どう? ヴィヴィアンたんの中に僕のおちんちんが入ったよ」
    「……ふん。大したことはない」
     本当は最悪だった。
     女として、これ以上の災厄があるのだろうか。
    「僕は嬉しいよぉ? ヴィヴィアンたんのオマンコぉぉ……!」
     下劣極まりなく歪む唇から、舌なめずりをする猛獣のようにヨダレを垂らす。ぽたりぽたりと、それは乳房の上に垂れてきて、ぬかるみを帯びた液体の不快な感触に身じろぎした。
    「ひひひっ、ひひひぇ……!」
     不気味ですらある笑い声を上げながら、醜男は両手で胸を揉みしだく。
     そのまま、動き始めた。
    「――っ! んっ、ん! ん! んっ、んっぐっ、ぬっ、ふぐっ、ん、んがっ、あっ、ん! ん! ん!」
     苦しそうな声で身じろぎして、首でよがって金髪を振り広げる。
     決して、苦しいのではなかった。
     快感だった。
    「やっ、あ! あ! ん! ん! ん! んっ、んあ!」
     そして、屈辱だった。
     ホルボーンの術さえなければ、きっと感じるはずはない。ヴィヴィアンが喘いでいるのも、醜男自身の技量とは関係がない。そうであっても、その指で、その肉棒でヴィヴィアンが感じる以上、醜男は極上の気分に浸るのだ。
    「どう? どう?」
     大いに楽しむ醜男は、ヴィヴィアンの手首を押さえつけ、体重任せに抵抗を封じていた。
    「んっ、あ! くっ、こんな――どうとも――!」
     乳房が上下に揺れていた。
     裸のまま小さくジャンプを繰り返しているように、ピストンの衝撃が胸まで伝わり、ブルブルと大胆に弾んでいる。弾力と張りの強さで、すぐさま元の形に戻ろうとするものが、絶え間なく与えられる衝撃で延々と揺らされ続けた。
    「んっ、んっぐっ、ぬっ、ふぐっ!」
     頭が痺れ、快感に染まっていく。
     両足もよがり、ピストンで足首が反り返る。
    
     やがてヴィヴィアンは絶頂した。
    
     手首も、足首も、全身にかけての筋肉がブルりと震え、肉棒の出入りしていたアソコで何かが弾けた。そんな見えない破裂の感覚と共に、ヴィヴィアンは頭を真っ白にして放心した。
    「はぁ……はぁ………………」
     疲弊しきった息づかいで、それから少しずつ意識を取り返す。
    「イったね? ヴィヴィアンたん」
    「ふん」
    「もっとしたいね? 四つん這いになろうか」
    「したいには、お前の方だろう……」
     そう言いながらも、ヴィヴィアンは仰向けから背中を返し、ベッドシーツに両手を突き、言われるままのポーズを取ってしまう。
    
     ――ホルボーンめ……。
    
     調子づく醜男に対しても、恨めしい気持ちでありながら、敏感になった尻が醸し出すメスの香りは明らかに男を誘っている。散々に喘いだ証拠の蜜が、内股まで濡らしている。
    「エッチなお尻だねぇ? プリプリのむっちりだ」
     醜男の手が、尻たぶに乗せられた。
     可愛がる手つきですりすりと、味わうようにじっくりと、醜男は尻を撫で回す。
    「す、するなら早くしろっ」
     こんな時間、一秒でも早く過ぎ去って欲しい。
     いや、気持ち良くなりたい。
    
     くっ、魔術のせいだ。
    
     あれだけの快楽が生まれたセックスに、体の方が来たいをしている。挿入を待ち侘びて、尻の方では肉棒を今か今かと待っている。いつでも入って来て欲しいと、アソコの穴がヒクついている。
    「うひひっ、シてあげるね」
     醜男はヴィヴィアンの腰を両手に捕らえ、宛がった肉棒を一気に突き込み、すぐにでもピストンを開始した。
    
     ぱんっ、ぱっ、ぱん! ぱん! ぱつっ、ぱつん!
    
     尻から良い打音が鳴り渡り、たっぷりと愛液をまとった肉棒が、ピストンによって見え隠れを繰り返す。
     乳が揺れていた。
     姿勢によって、真下に向かって垂れ下がった豊満な乳房が、今度はバックからの勢いで前後に揺られて動いている。
    「あっ! ん! ん! なっ、んあ! あっ、ああっ!」
     何とか歯を食い縛っているヴィヴィアンが、それでも甘い声を漏らして鳴いていた。首が反り返り、突いた両手の肘が折れ、頭がベッドシーツに埋もれていく。
    「うひっ! ぶひひひっ! 気持ちいいなぁ! あ、アナルがヒクヒク動いてるよ? 可愛いねぇ? 可愛いねぇ?」
     醜男は大喜びで腰を振り、肛門に指を押し当てグニグニと揉んでいじくる。
     さらに――。
    
     ぺちん!
    
     尻を叩いた。
     肛門をほじくりつつ、もう片方の手でペチペチと、ニヤニヤと尻を叩いて虐め始めた。
    
     ぺちん! ぺちっ、ぺち! ぺん! ぺっ、ぺちっ、ぺちん!
    
     片側ばかりだけでなく、肛門弄りを一度やめ、もう片方の尻たぶでもペチペチと叩いて遊ぶ。
    「ヴィヴィアンたんで遊ぶのは楽しいなぁ!」
    「あっ、遊ぶって――あっ、あ! あん! あっ、くっ、んぁ――」
     完全に玩具として扱われていた。
     喘ぐ穴として思うようにピストンして、尻まで叩いて楽しむなど、まるでこんな程度の低い男に支配されてしまっているような、泣けてくる思いにヴィヴィアンは歯噛みする。
    「あっ、あ! あ! あん! あぁっ、あ! あぅっ、んん! あっ、んああ! んあ! んあ! あっ、あぐっ!」
     こんな男のために乱れている。
     途方もない快感が、頭が真っ白にしようと押し寄せる。ほんの少しでも油断をすれば、今にも何も考えられず、自分がただひたすらに喘ぐだけの存在になり果てそうな、どうしようもない気持ち良さに飲み込まれ、抗うことなどできなかった。
     確かに屈辱だった。
     中身にかけても最低な男に、ここまでいいように喘がされ、しかもホルボーンの術のおかげということなど忘れている。自分の力でヴィヴィアンをここまで乱していると思い込み、抗おうにも快楽のあまりに何もできない。
     もしも剣を握って醜男を殺そうと思っても、こうして挿入されたまま、ピストンされながらの状況では、ヴィヴィアンはまともに振り回すことさえできないだろう。
     いつしか、頭は真っ白になっていた。
     理性を保つことが出来なかった。
    「あぁぁあ! あ! ああ!」
    「まだいけるね? まだまだいけるね?」
    「い、いけるっ! まだ――いっ、いくらでも! おぉぉ!」
     いつの間にか体位が変わり、騎乗位となってヴィヴィアンが自ら快楽を貪っていた。
     乳が上下に暴れ回って、醜男は仰向けのまま景色を楽しむ。
     尻が、胸が、顔が、いたるところが精液に濡れていた。いつどの時に射精され、かけられたのか、ヴィヴィアンにはわかっていない。醜男がこうもたくさんの精液を出したこと自体、心が快楽に囚われるあまり、気づいていない。
     完全に堕ちていた。
     感度上昇の魔力に、そして醜男の技量上昇の術に、何らの抵抗もできないままに、ヴィヴィアンは喘ぎ続けた。セックスが気持ちいいことしか頭になく、体位を変えろと言われれば、その言葉を辛うじて理解できる意外、夢中で夢中で周りの何にも気づかない。
     一日中、セックスをした。
     セックスに疲れ、同じベッドで眠りにつくまで、二人のまぐわいは飽きることなく続いていた。
    
     それから……。
    
     …………
     ……
    
     ――昨日の私は、私でなくなっていた。
    
     自分がいかに喘ぎ散らして、無様に絶頂を晒していたか。醜男なぞに散々に遊び尽くされ、気づけば彼の腕に抱かれたまま、眠りにまでついていたのか。
     快楽に堕ちた自分を思い出し、翌朝のヴィヴィアンは頭を抱えていた。
     途方もない快感を与えられ、甚振られれば、自分はあのようにされてしまう。夜中に眠り、朝に目覚めるまでの時間を置いたから、あのセックスに夢中でならない自分自身を振り返り、どれだけ乱れた姿をさらしていたかに気づいていた。
     そしてまた、ああなるかもしれない。
     しばらくすれば醜男も起きて、朝から再びセックスを始めたからだ。
    「昨日みたいに楽しもうねぇ?」
     醜男はぬっぷりと肉棒を差し込んで、正常位のままにヴィヴィアンの顔を見下ろし、悦に浸って腰を振る。
     緩やかなものだった。
     いつでも好きに乱れさせてやれることの愉悦を知り、実に余裕を身って人を見下す。そんな醜男の肉棒が、ぬるりと下がって抜けていき、ピストンにおって一気に奥まで貫いてくる。
    「――あっ」
     と、その時は軽く声が出てしまう。
     しかし、貫いた後は一度止まって、ゆっくりと息を落ち着け、何秒かの時間を待ってから、再び後退を始めている。
    「元気なものだな。あれだけの量を出しただろうに」
     悔しいが、気持ち良かった。
     無理のないペースでゆっくりと、緩やかに動く刺激も、喘ぎ疲れることなく静かに感じていられるらしかった。
    「ぶっひひひひひひっ、ずっと童貞だったからかな? 初めてあんなに気持ち良くなれたおかげで、僕のおちんちんはとっても活発になっているんだ。ヴィヴィアンたんのおかげだよ」
     いい気な顔で胸を揉み、軽やかに五指を押し込む。
    「そんなことを褒められても困るだけだな」
     醜男から顔を背けて、壁でも眺めて黙していると、耳の穴に舌を押し込み舐めてくる。唾液のぬかるみが広げられ、濡れてしまった皮膚が空気にふれてひんやりする。
    「んっ、んぅ……! んっ、あっ、あ……あ……あぁ……」
     じっと、静かに喘いでいた。
     緩やかな出入りによって、肉棒の熱気にアソコが溶け堕ちていくような快感の、肉体を蝕む甘ったるさに身を委ねていた。
    
     ――くそっ、こんな奴とのセックスに浸るとは……。
    
     いいようにされ、まんまと気持ち良くされていることの屈辱を、心のどこかで思い出し、思い出したように顔を顰めていきながら、頬を強ばらせていきながら、それでもヴィヴィアンは浸っていた。
     その時だった。
    
    「いい姿になったな。ルーンワーデン」
    「ホルボーン……!」
     
     ヴィヴィアンをこんな目に遭わせた元凶が、無遠慮にドアを開いて踏み込んで、人の犯される有様を高みの見物とばかりに眺めていた。
    「これで余計な企みをする気持ちもなくなるだろう」
    「……はじめから選択肢などないだろう」
    「そうだがな。心まで従属させるには、こういう手は効くだろう」
    「ふん。どうだろうな――んぅぅ……あっ、ぬぁ……!」
     乳首を指で攻め抜かれ、甘い痺れが弾けて広がる。脳に電流が走ったように、頭が快感に囚われて、自分がまた昨日のように堕ちる想像がよぎって唇を噛み締める。
    「いい眺めだ。そうだな、体位を変えてくれないか? 結合部をよく見せてもらいたい」
     ホルボーンが醜男に言った。
    「だってさぁ、ヴィヴィアンたん。ちょっと変わろうか。うん、背面座位がいいよねぇ?」
     体位を変えるため、醜男は一旦引き抜く。
    「あ……」
     そうして抜かれてしまった肉棒が、アソコの穴に洞窟のような空洞を残したようで、急に膣内が寂しくなる。
    「ぐっ」
     肉棒と離れることが寂しいなど、そんな気持ちにさせられての、自分を戒めたい思いにヴィヴィアンはかられていた。
    「よいしょっと」
     醜男はベッドの横から足を下ろして、ベンチ代わりのように座ってから、ヴィヴィアンには肉棒の上に座るようにと言ってくる。
    「…………」
     ヴィヴィアンはベッドを降り、そして腰をくの字に折り曲げながら、股元にある肉棒を自らの入り口に導く。膣口が亀頭を捕らえ、あとは座れば根元まで埋まってくる。
     急に感じた膣内の寂しさが埋められる。
    「うっ、ぐぅ……んぅ……んぅぅぅ…………」
     ヴィヴィアンは座り込み、背面座位で繋がった。
     脂肪によってたるんだ腹と、垂れ落ちた胸の感触が、ヴィヴィアンの背中に密着する。醜男がヴィヴィアンの足を持ち上げて、M字の形が作られれば、それはもう見せびらかすための結合となっていた。
     大きくM字に広がった足の、その中央で、穴に肉棒が刺さっているのがよく見える。
    「はしたないな。汁を垂らして、気持ちよさそうな顔までして、その男がそんなにいいか」
    「……冗談を言うな」
    「なら一つ賭けをするか」
     何かの悪巧みでも思いついたかのように、ホルボーンは嫌みたらしく唇を歪めて微笑む。
     目が、完全に人を見下していた。
    「賭けだと?」
    「十分でいい。絶頂を堪えてみろ。我慢できれば呪縛を解く」
    「ほう? ありがたいな」
     二人が、対峙していた。
     まるで決闘が始まる直前のような、命のやりとりを前にした緊張感にも近い空気は、荒野か草原あたりで向かい合っていたのなら、きっと絵になっただろう。
     しかし、結合しているのだ。M字開脚なのだ。
     逆らえない立場だからそうしているだけとはいえ、ヴィヴィアンの左右に開ききった脚から、肉棒を深く咥えたワレメが見えている。二人の会話が終わるまでの退屈しのぎか、醜男は手慰みに乳を揉み、耳の裏側にべったりと唾液を塗って遊んでいる。
     丸々とした豊満な乳房の、皮膚の表面をじっくりと優しく撫でる手つきが両胸ともに這い回り、乳首や乳輪をくすぐりもしている。その刺激に少なからず身じろぎして、熱い吐息を漏らしている。
     埋まったまま、まだピストンの始まらない肉棒に意識がいき、快感を待ち侘びる肉体がついつい動く。少しだけ、ほんの一センチか二センチだけ腰が浮き、それを落として、まだセックスが始まらない寂しさと待ち遠しさを、本当の本当に小刻みでさりげない上下運動で誤魔化している。
     とても対等には見えない、だからホルボーンも優位の立場から見下ろしている、そんな対峙であった。
    「イった場合は、そいつに奉仕しろ。フェラやパイズリをたっぷりとしてやるんだ。どうせ何度も交わって、全身に精液を浴びた身だ。負けたところで、今更気にするような条件でもあるまい」
    「そ、そうだな……んっ……。ホルボーン。あっ……ふっ……お、お前が約束を守るようなら……あっ、あぅ…………ふはぁ……。面倒な捜し物をすることもなく、この場で解放されるというわけだ――あっ、んっ、ん……ん……んぅ」
     喘ぎ声というほどでもない、しかし確かに快感から漏れている声が、他でもないヴィヴィアン自身の、たった数センチの尻のはずみを数秒おきに小刻みに行っていることでの甘い声が出ているのだ。
    「そう上手くいくかな」
    「……耐えてやる。約束は守ってもらうぞ」
    「いいだろう。やれ」
     ホルボーンが命じた途端だ。
    
    「んんんん! ん! あ! あ! あ! あぁああ! あっ、くあああああ! あぁっ、んっ、んんんんん!」
     
     醜男はせっせと腰を動かして、それだけでヴィヴィアンの乱れようはここまで変わった。
    「どうした? 耐え抜くんじゃなかったのか?」
     ホルボーンが嘲っている。
    「ぬっ、ぬぁっ、ぐぅぅぅぅ! くっ、あ! あ! あ! あ!」
     ヴィヴィアンは懸命に堪えていた。
     全身全霊をかけて食い縛る歯が、それでも大きく開くほど、醜男は活発に突き上げている。ヴィヴィアン自身も腰を浮かせて、耐えたいはずが無意識のうちに弾んでいる。
     乳房が上下に暴れていた。
     背中が大きく反り返るほど、ヴィヴィアンは自分の背中を醜男の肉体に押しつけて、これ以上は上がりようもない密着度合いを、なおも上げようとしてしまっていた。
    「ぬぁああ! あ! あん! あん!」
     反りきった首は、醜男の肩を枕代わりにしてしまっている。
    「あ! あん! あん! んんん! んぁあ! あっ、あん!」
     ヴィヴィアンが喘ぐ分だけ、醜男は我が物顔になっていた。こいつを感じさせているのは俺だ。俺のチンポこそが、ヴィヴィアンを淫らな女にしているのだ。醜男はそんな風にいい気になって、ヴィヴィアンを自分のもののように扱っていた。
    
    「んっ! ぐぅ――――――――――――――――――――――――!」
    
     叫びが、喘ぎが、声になっていなかった。
     肺が空になるまで酸素を絞りきり、もう声が出せない喉から、なおも何かを叫ぼうと大口を開いたヴィヴィアンは、腰を痙攣させていた。脚の筋肉も震わせていた。
     手首が、足首が、反り返っていた。
     頭の中では稲妻が弾け、全ての思考や感情が消し飛んで、文字通りの真っ白となっていた。
    「イったようだな。ルーンワーデン」
    「………………」
     ヴィヴィアンの敗北だった。
     これでホルボーンは呪縛を解かない。それどころか、ホルボーンのさらなる要求で、ヴィヴィアンはこれからフェラやパイズリまでしなくてはならないのだ。
    
         †
     
     ヴィヴィアンは無念の奥底に沈んでいた。
     目の前には肉棒。
     木の床に膝を置き、ベッドを椅子代わりに座した醜男の前で、イってしまった自分の情けなさにヴィヴィアンは俯いている。じっと床ばかりを見つめながら、やがて顔を上げ、肉棒へと手を伸ばした。
    「さあ、見せてみろ。お前の奉仕する姿を」
     そんなホルボーンの声が背中にかかる。
    「……わかっている」
     眼前の肉塊は太かった。
     こんなにも大きく膨らみ、皮に血管を張り巡らせた剛直が、今まで自分の膣内に入っていたのか。たどたどしく指で触れ、さらに根元を握ってみれば、火傷しそうな熱気が肌に染み込み、セックスの心地や激しい絶頂の快感を全身が思い出す。
    「うっひひひっ、ぶひひひっ、こんな美人が僕のになるなんて」
    「誰がお前のだ」
     所有物になるつもりはない。
     ……ないのだ。
     しかし、あの快感。あの絶頂。頭の中身が弾け飛び、何も考えることも出来ずに、ただ喘ぐだけの存在と化す瞬間。この一連のセックスで、自分は挿入には勝てないことを教え込まれて、それをすっかり全身が覚えてしまっていた。
    「お前はそいつのものだ。少なくとも今はな」
     ホルボーンはそう言った。
    「おねがぁぁぁい! 優しくしてね? ペロペロしてね?」
     聞くだけで鼓膜に何か付着した気になる気色悪い声質と、見たくもない醜い笑顔に、誰がお前など喜ばせるかと、心の中には反意が湧く。睨み上げ、自分はお前のものではないと、反抗心をアピールするが、それがどこまでもポーズでしかないことをヴィヴィアンは自覚していた。
    「ちゅむ」
     先っぽを咥えた。
     その瞬間に、逞しいオスの香りと精液の匂いが口に広がり、喉を通って鼻孔さえ通り抜け、頭をぴりっと痺れさせていた。自分はこのチンポに属しているのだという意識が広がり、もう心の大半が醜男によって蝕まれていた。
     本当にギリギリの、精神のわずかな領域だけが、無念や屈辱を根強く感じ取り、自分がチンポに従属していることへの悔しさや悩ましさにかられていた。
    「はずっ、じゅぅ……」
     ヴィヴィアンの頭が前後に動く」
    「ずっ、ずりゅっ、りゅちゅぅ……じゅっ、ずむぅ……」
     こんなものに、チンポなんかに尽くさなければならないのか。その心境がヴィヴィアンの胸を締め上げ、それでいて活発にヨダレを使う。淫らな音を立てながら、自分が仕えるチンポに懸命に奉仕していた。
    「ヴィヴィアンたんは本当におちんちんが大好きになったねぇ?」
     違う、そんなわけがあるか。
     醜男を睨み上げ、鋭い視線で頬張った。
    「くちゅ……ちゅく……ちゅっ、むちゅ…………」
     咥えていると、口内の領域を大幅に占領してくる太さに、挿入最中はこんなにも硬く立派なものが出入りしていたのかと、関心というか感慨というか、そんな気持ちを抱いていた。
    「じゅずっ、じゅむっ、じゅぷぅ……」
     この奉仕自体が、自分はチンポに屈服し、こうして仕える身となっていることの証明のようだ。
     チンポには逆らえない。チンポに負けている。
     それを教え、自覚するためのフェラチオ。
    「じゅっっ、ぽっっ……んちゅ……ずっ……ぱぁ…………」
     屈服したままでいられるものか。
     このままチンポの従者になどなりはしない。
    「えっへへへぇぇ、そろそろパイズリしてねぇ?」
     醜男は楽しげに命じてきた。
     冗談じゃない。
     そんな命令……。
    「私は別に……屈してなどいないからな……」
     ヴィヴィアンは自分に言い聞かせた。
     ホルボーンの呪縛に逆らえないだけだ。命を握られているからだ。でなければ、そもそもこんな醜男には、指一本とて触らせはしていない。そんな思いで釘を刺し、ヴィヴィアンは身体を近づける。
     乳房のあいだに肉棒を挟み、しごき始めた。
    「こんなことを……」
     パイズリなど経験のないヴィヴィアンは、コツもわからず、ただただ両手で乳圧をかけている。風船のような弾力で圧迫を与え、上下にしごきもしてみていた。
     乳房を両手で閉じ合わせての、ぴったりと隙間のない合わせ目に、醜男の肉棒は埋まっている。
    「んっ、くっ」
     谷間に亀頭が見え隠れする。
     乳房だけを手で上下に、不慣れながらもどうにかしごくヴィヴィアンは、しだいに身体ごと動いていた。無意識のうちにコツに気づいて、知らず知らずのうちに床から尻を浮かせていた。
    「どうなんだ。気持ちいいのか」
    「もちろんだよ? ヴィヴィアンたん」
    「……ふん」
     駄目だ、なっていないなど言われても嫌だったが、こんな男が悦んでいると思うと、やはり癪だ。
     しかし、疼きもする。
     自分を散々に喘がせた肉棒に、今度はこちらが至福の快楽を与えているのかと思うだけで、女としての愉悦がわく。ここまで刺激を与えて、興奮させてやったからには、もっと挿入してもらえるに違いない期待が湧いてしまう。
    
     ――何を考えている。
     ――快楽にハマっては……。
    
     と、自戒しつつも。
    「口も使ってね」
     ヴィヴィアンは自らの胸元に顔を落として、パイズリどころかパイフェラさえも行って、ペロペロと舌を動かし亀頭を舐めた。
    「んっ、ちゅっ、ちゅるっ、ちゅむっ、むっ、むっ」
     谷間から飛び出る亀頭を咥え、飲み込んで、乳房の上下に合わせて頭も動かす。
    「ちゅっ」
     と、先端にキスをしている状態から、乳房と共に顔を下げ、口内に亀頭を導く。
    「んっ、んむっ、むっ、むぬ、ぬっ、んむっ、むっ」
     口内では舌を大いに踊らせながら、まるで乳房を使って肉棒にマッサージを施すように、ぐにぐにと、むにむにと、乳圧の強弱をかけてしごいている。
     こうした繰り返しであった。
     ペロペロと舐め続け、亀頭を口に出し入れさせ、咥え込んだままに刺激を与え、それを醜男が満足しきるその瞬間まで繰り返す。
    「ふひっ、ぶひひっ、ザーメン顔に浴びたら、またおちんちん挿入してあげるからねぇ? 可愛がってあげるからねぇ?」
    「そんな必要は……」
     そう言いかけ、睨み上げ、なのにアソコはきゅっと引き締まる。
     心のどこかでセックスを求め、ヴィヴィアンはそのために奉仕を懸命にこなしていた。
     ご褒美を貰うため、頑張っていた。
     そして……。
    
     どくっ! びゅりゅびゅる! どりゅ! ビクビク! ドクン!
    
     噴水のような白濁が解き放たれ、それがそのままヴィヴィアンの顔に直撃していた。
     白い射撃が鼻にぶつかり、頬や額に飛散して、なおも飛び出る精液は、髪にも唇にも張り付いた。ピクピクと脈打ちながら、出すだけ出した肉棒は、なおも先端から液体を流していた。
     温かい白濁が、肉棒の表面を流れ落ち、乳房の谷間に入り込む。
     顔と谷間を精液で飾っていた。
     ツンとした精子の香りが漂い、それがヴィヴィアンの鼻孔に流れ込む。それを吸い込んだヴィヴィアンは、ますます下腹部を疼かせて、ヒクヒクとセックスを求めていた。
    「したいのだろう? ルーンワーデン」
     ホルボーンの嘲笑う声が降りかかる。
    「欲しいのだろう? してもらえばいい。素直に挿入を求めるがいい」
    「わ、私は……」
     嫌だった。
     チンポに屈服していると思われるのが、快楽に溺れ、堕ちていると思われるのが嫌だった。
     だというのに、肉体は灼熱している。
     おちんちんが欲しい欲しいと、アソコが必死にヨダレを垂らし、ヴィヴィアンの理性を踏み倒しても、挿入を求めようと、セックスがしたいことを主張している。
    「私は………………くっ…………………………」
     わかっていた。
     もう、我慢できない。耐えきれない。
     とっくに屈しているのだ。
     本当は屈していて、堕ちていて、その上で意地を張り、気丈に振る舞う余裕を精液の香りによって奪い取られた。
    
    「挿入…………してくれ……………………」
    
     ヴィヴィアンは肉棒を求めた。
     あとはもう、醜男の思うままだった。ベッドの上にあがらされ、好きな体位を命じられ、その通りのポーズで挿入を受けて、ピストンの音がパンパンと打ち鳴らされる。
     一日中抱かれた最後、ヴィヴィアンは使い捨てられた人形のようにベッドに伸び、さらにいたるところを精液で汚して倒れていた。セックスに体力を使い切り、起きることも出来ない状態で、夜が明けてからダーククリスタルの捜索に出かけていった。
    
     その後も、性欲を持て余し……。
     ヴィヴィアンはそれからも、何度か醜男に抱かれていた。
    
    
    

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