終 マルティナの検問陵辱




 マルティナは図書館を訪れていた。
 あれから、淫紋に苦しみ続けるマルティナは、定期的にオナニーをしなければやっていけなくなっていた。夢の中で男とまぐわい、目覚めてみればシーツが濡れ、アソコがうずうずと切ないような日が続き、発散して鎮めなければまともにものも考えられない。
 だが、鎮めても鎮めても、淫紋が輝く間隔は短くなっていき、一日に二回以上はしなければ我慢ができないようになっていた。
 仲間達との合流もしたいのに、このままでは合流してもまともな戦力にはなれないだろう。
 マルティナが図書館を訪れ、魔法に関する書物を探して本棚に視線を走らせているのは、淫紋を解く方法を探すためだ。宿に籠もったところで、入り込んできた輩がいる。部屋が安全とは限らない。
 人が少なく、ちょっとした騒ぎも目立つ静かな空間なら、あるいは安全だろうという目算もあり、仲間達の情報を探すのはセーニャに任せ、マルティナは淫紋解除のための情報に集中していた。
 今のマルティナは安物の服を着ていた。
 また汚れることになってはたまらない。
 できるだけ買い換えやすい、安めのものを選んだマルティナは、簡素なボタン留めのシャツを着て、短なスカートを穿いていた。今までの経験から、露出の多い男に目をつけられやすそうな服は避けたかったが、セーニャが見て回ってくれた店の中では、これが一番気軽に買い替えやすいものだったらしい。
 下着はしっかり隠れるが、階段の上り下りの時に気になるスカート丈は、少し走っただけでも中身が見える。
(あったわ。紋章と魔法の関連書が)
 マルティナはそれらしい本を見つけて、その場でページを開いて読み始める。身体に紋章を刻む種類の魔法についての解説があり、これならと期待したマルティナは、瞬く間に文章の世界に入り込む。
 だから気づいていなかった。
 そもそも、図書館ならば誰も目立った行動は取らないだろうという目算からして、盲点があった。

 ジィィィ……。

 一人の男がスカートを覗き込んでいた。
 それも、床に両手を突き、四つん這いじみた姿勢で行う覗きは、見るからに目立つ行為である。周りに人がいれば注目されるに決まっているが、覗きにとっては幸いに、今日の図書館は人が少ない。
(なるほどね)
 マルティナはただひたすら、内容を頭に取り込んでいる。
 集中しているマルティナの後ろで、周りに人がいないからこそできる大胆な覗きは、息を潜めて気配も殺し、実に静かに行われている。誰かがページを捲る音、本棚を行き来する際の靴の音、そういった物音しかない中で、静寂に溶け込んでいる男の行為は、誰かが直接目撃するのでない限り、誰にもバレようがない。
 マルティナ自身が気づけば早いのだが、集中しきっているのだ。
 男は好きなだけ視姦していた。
 マルティナの下着はセーニャに借りたものだ。セーニャにはぴったりでも、マルティナの大きな尻にはサイズが小さい。慣れないうちは締めつけが気になったのもさることながら、巨尻の割れ目に漆黒のショーツは飲み込まれてしまっている。
 フルバックのはずのショーツは、いくらかTに近づいていた。ゴムの部分の、尻たぶにV字にかかる部分には、薔薇を模した飾りつけがなされている。イバラがくねり、赤い花びらも小さく施した、柄付きのゴムが巨尻を柔らかに潰している。ゴムの食い込みによる尻山の凹みは、男の性癖を大いにくすぐっていた。
 男は目を血走らせ、鼻息さえ荒げていた。
 さらには姿勢を変えてスカートをそっと持ち上げ、真正面から尻を眺めた。バレやしないか、今にも振り向いてこないかとスリルに身を浸し、ドキドキとしながら、豊満な尻の景色を目に焼き付けていた。
(勉強になるけど、いまいち手掛かりが……。でも、少しずつやっていくしかなさそうね)
 まだ、マルティナは気づいていない。
 集中しているせいでもあるが、男もまた十分すぎるほどに気配を殺し、荒いような鼻息もあまり音を立てていない。
(ん?)
 やっと、何かの気配を感じて振り返る。
(……気のせいかしら)
 しかし、先を読んだかのように、男は姿を消していた。
 手を引いたわけではない。男は本棚を回り込み、本棚を介した真正面にポジションを取っていた。この辺り一帯の本棚は、木組みのものを背中合わせに並べているが、一段ごとに細い板を貼り付けている。本さえ抜けば向こう側が覗けるもので、男はだからとあるチャンスがないかと心待ちにしているのだ。
(次の本も見てみましょう)
 マルティナがしゃがんだ。
 これこそが男の待ち望んだチャンスである。体育座りに近い、少しばかり脚を開いたポーズははしたないものだったが、周りに人がいないと思ったマルティナは、つまり油断していた。
 本のあいだに隙間を作り、向こうを覗けば、しゃがみ姿勢のクロッチが見えた。望み通りのものにありつき、男は当然のように視姦して、ハァハァと興奮しきっていた。
 クロッチにはまんべんなくイバラが茂り、トゲと花が散りばめられ、赤と黒の組み合わせからなる大人らしいセクシーさが現れている。
(これと、これも参考になりそうね)
 やはり、マルティナは気づいていない。
 目的に夢中で向こう側の気配を気にもせず、いかにも無警戒なのは、それだけ図書館の静けさを信用しているからだ。
 男としても、そう読んでの行動である。
 気配にさえ気づかれなければ警戒はされないと、実のところ常習犯である男は学んでいる。過去何度も覗きに成功し、まだ一度もバレたことはない。
 そして、だからこそ気が大きくなりもする。
 マルティナが三冊ほど本を抱え、テーブルへ移動していく後ろ姿を追いかけて、男は大胆にも隣の席に座り込んでいた。

     *

 男は調書の購入者だった。
 マルティナの顔や名前は知っていて、それどころか武闘大会の準優勝者であることさえ、人伝に聞いて知っている。図書館での覗き常習犯たる彼にとって、お楽しみの空間に獲物の方から来てくれた喜びほど大きいものはない。
 テーブル席へ向かうマルティナを追い、わざわざ隣に座ってみると、ぎょっとした反応こそ見せはするが、気にないように本を開いて読み始める。これだけ静かな空間で、自分自身が騒ぐことを恐れてか、何も言わないようだった。
 何度かチラチラと視線をやり、鬱陶しそうにはしてきたので、どいては欲しいのだろう。
 しかし、マルティナは静かにページを捲り始めた。
 男はそんなマルティナの美麗な横顔を見つめ、美人ぶりを目に刻み、いよいよ太ももに手を伸ばす。いつも覗き見しかしたことのない、バレない行動だけに徹してきた男にとって、未知の冒険を行うスリルで冷や汗さえも吹き出てくる。
 伸ばす手を近づけて、太ももとの距離が縮まるにつれ、心臓の鼓動は早まっていく。今にも胸の中身が破裂するのではないかと恐怖に見舞われ、何度も手を引っ込めようとはしながらも、引きかけた手はやはり近づけていくのだった。
 やがて、ついに手を置いた。
「っ!」
 ぎょっとした反応で、頭がピクッと弾んでいたが、何故だか何も言って来ない。
 男は非常にホッとしていた。
 思ってもみれば、もしも騒がれたらどうしよう、抵抗されたら怖いといった気持ちを抱いていたはずで、それでも触ってしまうほど、男は欲望に魅入られていた。触れれば爆発するとわかっていながら爆弾に触る心境で、何も起きなかったことに安心した。
 我ながら馬鹿みたいだが、ともかくマルティナの太ももを手で味わう。
 ……いい感触だ。
 何故抵抗しないのだろう?
 マルティナが騒げば、男はたちまち痴漢として確保され――もっとも、魔物に支配されているこの町は、憲兵がまともに機能していない。犯罪者が見逃されることもある実態があればこそ、マルティナも面倒を嫌って騒がずにいるのかもしれない。
 という男の想像は、半分は当たっている。検問で散々な目に遭って、町の中でも陵辱を受けた境遇から、男を犯罪者として突き出しても、かえってマルティナが不利になるような展開になるかもしれないと、本人はそう恐れている。
 だが、他にも理由はあった。
「……んっ」
(なんだ? なんか、色っぽい声がしたような)
「ん、あっ……」
(やっぱり、感じてる?)
 男は興奮しながらも、調書にあった淫紋のことを思い出す。
 マルティナには淫紋が刻まれており、性的刺激に反応しやすくなっている。少しのタッチでアソコが濡れ、戦慄しきって固まっている反応を、男は完全には掴みかねている。人前で絶頂したり、放尿してしまったトラウマから、まずは動揺してしまい、手で払いのけるような抵抗ができずにいるわけだが、男はそこまでは理解していない。
 ただ、淫紋があるから、この女は簡単に感じる。
 こうなると男は強気になり、恐る恐るとしていた手つきは一変して活発に、スカート越しの太ももを好きなように撫で回す。それどころかスカートに手を入れて、股の隙間まで狙い始めていた。
「んっ、んぁっ、やめっ……」
「どうした? 我慢しないと声が出ちゃうぞ?」
「んんっ」
 マルティナはすぐさま口を押さえ、声を我慢し始めていた。
 守りに入ったマルティナへと、さらに攻めを強める男は、ついにアソコへ指を届かせ弄り始める。
「んぅぅ……!」
 マルティナは反射的に、ビクっとしたように背中を丸める。
「気づかれたら怖いぞ?」
 男はクロッチ越しに上下になぞり、指先に愛液を絡め取る。指の表面と生地の表面とで、みるみるうちに滑りは良くなり、上下の愛撫はスムーズなものとなっていた。
「んんっ、んんっ……」
「周りに人が少ないから、騒ぎが目立ちやすいって思うかもしれないけど、アンタってマルティナだろ?」
 名前を呼んでみた瞬間、衝撃に瞳が震えていた。
「俺も調書の写し買ったんだよ」
「んぅぅ……んんっ、んぅぅ……」
「俺がこういうことしてるって周りに知れたら、他の奴らも便乗して参加すると思うぜ?」
 不安を煽るような囁きを聞かせてやり、一方で愛撫の手は休めない。
 そのうちにマルティナは男の腕を掴み、押しのけようとしてくるが、こうも今更になって行われるか弱い抵抗では、男の指遣いが止まるはずもない。
「んっ、んんっ、んぅぅっ、んぅぅ……!」
 マルティナの感じ方は滑稽だった。
 足がやたらに動き回って、床中を踏みつけている。口を必死に塞ぎながら、背中を丸めては伸ばし、丸めてはは伸ばしてくねり動く。男の腕を引っ張ることで、股から引き抜きたいようだが、まるで力が入っていなかった。
「ほら、イッちまえよ」
 絶頂を期待しながら、男は攻めを続けた。

「んっ! んぅくぅぅぅ……!」

 マルティナはテーブルに額を擦らんばかりに背中を丸め、太ももを内側に引き締める。股で男の手を締め付けながら、ビクビクと足腰を痙攣させ、そして男の指先にはおびただしい愛液の温度が広がっていた。
 だが、それだけではなかった。
「おい、お前……」
 男は絶句していた。
 マルティナは放尿していたのだ。自らの下着を汚し、スカートさえも濡らして、男の手などお構いなしに、椅子に尿を広げている。
「こんな…………」
 悲しんでいるのか、悔やんでいるのかもわからない、消えてしまいたくて仕方のなさそうな表情で、マルティナは男から顔を背けた。
「あーあー。お前、いくつだ?」
「あ、あなたが……」
「お漏らしした上に言い訳か? みっともないな」
「うぅ…………」
 何も言い返せないマルティナは、男から背けたままの顔で俯く。
「こりゃもう、余計に注目を集めるわけにはいかないんじゃないか?」
 男はさらに愛撫を続けようとした。
 マルティナはもう自分の獲物だ。このままとことん楽しんで、存分に嬲り尽くしてやる。

     *

 マルティナは立ち上がり、男から逃げ出した。
 このままではどこまでされるかわからない。最後までされるかもしれない恐怖と、絶頂によって淫紋の効果が少しは衰えたうちに逃げたい思いで、小走りで駆けていくものの、本棚のあいだに入ってから、足がもつれて転んでしまう。
 うつ伏せとなったマルティナへと、男は早足で迫ってくる。
「こ、来ないでっ」
 小声しか出せない。先ほど男が言ったように、騒ぎを聞きつけた他の人間達が陵辱に参加してはこないかと恐ろしく、とてもでないが大声は出せなかった。
 四つん這いとなり、みっともなく逃げようとするマルティナだが、すぐさま追いついてくる男に腰を掴まれ捕らわれる。
「くう……!」
 淫紋が改めて働き、ただ腰を掴まれただけで脚が震えた。
「神聖な図書館でお漏らししたんだもんなぁ?」
 男の言葉が突き刺さる。
 痴漢さえされなければ、そもそも放尿などしなかったが、そんな理屈で割り切りケロッとしていられるような事柄ではない。言葉ではっきりと責められれば、耳が赤く染まるほどには大きな恥なのだった。
「おら」
 尻に股間が押し当てられ、硬い逸物の感触が如実にわかる。男性器を意識させられ、それが当たっている不快感と、挿入されかねない予感に凍りつく。
「デカい尻しやがって、犯してくれっつってるようなもんじゃねえか」
 男にスカートを捲り上げられ、尻を見られる羞恥に赤らむ。
 セーニャからの借り物で、サイズが合わずに布が半分近くまで割れ目に食い込み、コーン状の細長い三角形と化すばかりか、ゴムの食い込みで尻山の丸みが凹み、たっぷりとはみ出たかのようである。
 男はそんな黒いショーツをずらし、ずっぷりと無遠慮に挿入した。
「あぁぁぁ……!」
「気をつけろよ? あんま声出すと、俺だけじゃ済まなくなるぜ?」
 男の言葉を聞くに、マルティナは口を押さえた。
「ん! ん! ん! ん! ん! ん!」
 マルティナは声を必死に堪えながら、男のピストンがもたらす快楽に耐えていた。好きなように腰を打ちつけられ、四つん這いの上半身を前後に揺らされ続ける屈辱に、涙さえ滲ませていた。
「ん! ん! ん! ん! ん! ん!」
 すぐに両手を突いていられなくなり、床に突っ伏してしまうマルティナは、さらに両足を引っ張られ、うつ伏せに押し潰されてしまっていた。
「エロいもん穿きやがって!」
 尻に跨がるような、そして背中に抱きつかんばかりの体勢となって、男はひたすら腰を振り、マルティナの膣を抉り抜く。
「んっ! んっ! んんん!」
 マルティナはイっていた。頭を真っ白にしながら、愛液を滝のように垂れ流し、二度目の放尿まで行う。太ももを伝った滝から愛液混じりの円は広がり、男のズボンまでもが汚されていた。
「おい、なにしてくれてるんだ?」
 ずん! と、男は腰を打ちつける。
「んんんん!」
 マルティナは大いに仰け反った。
 体中が淫紋の力に満たされ、イったばかりにも関わらず、またしても絶頂しそうになっている。男に腰を振られれば振られるほど、快感に全てを押し流され、もうまともにものも考えられなくなっていく。
「んんっ! んっ! んんん! ん、おっ、あっ!」
 意識さえ朦朧として、それでも塞ぎ続けている手の中から、おかしな喘ぎ声が漏れ続けた。

     *

 マルティナは思い出す。
「こちらをどうぞ」
 前日の晩。
 売られていた調書の存在や町の人からの情報で、マルティナの境遇を知ってしまったセーニャは、尿や精液に汚れた衣服に代わり、自分の下着を何着か貸してくれたのだ。
 そして、着替えの時。
 マルティナは三着ほどベッドに並べ、どれにしようかと選んだのだ。
 薄桃色の布をベースに、イチゴをヘタな種まで実物に似せたプリントを施し、いくつも散りばめた柄がある。黒とグレーのチェック模様で、ショーツとブラジャーの共にフロントリボンを施したものがある。
 そして、黒色布地に薔薇を飾った大人らしい柄に惹かれて、マルティナはそれを選んだのだ。
「ありがとう。セーニャ」
 感謝の念を抱きながら、マルティナは黒色のブラジャーを身につけていた。背中の後ろでホックをかけ、胸のきつさでサイズの違いを感じながらも、せっかくの厚意に対して贅沢は言えない。
 ショーツを穿く時、後ろ側の布は割れ目に食い込んできた。尻山がゴムに潰され、ブラジャーよりもさらにきついと感じたが、他に下着がないので仕方がない。自分のお尻がゴムをヨレヨレに伸ばしてしまったらどうしようと、不安もありながら着替えを済ませ、次の朝から図書館に出かけたわけだった。
 そして、見知らぬ男が隣に座ってきた時、ぞっとした。
 気にしないように本を読み、いつまでもどかないようなら自分が移動しようかと思っていたら、急に太ももを触ってきたのだ。淫紋の効果を思うと、ちょっとした愛撫だけでも自分がどうなってしまうかわからず、まずは動揺してしまった。
 静かに過ごすべき図書館で、あろうことかアソコまでも触られて、名前さえ知らない相手のごつごつとした指の不快感に耐えるうち、すぐさま気持ちよくなっていた。下手に騒げば痴漢されている場面が他の利用者に知れ渡るかのように思ってしまい、必死に声を抑えてしまった。
 一体、どこでどうしていれば、こうならずに済んだのだろう。

 マルティナは拘留されていた。

 鉄格子の内側で、図書館の椅子を汚した罪で捕らわれたのは、それから男がマルティナを司書に突き出したためである。散々犯し尽くした上、射精でショーツを汚した挙げ句の告発に、マルティナも男が痴漢や強姦をしたと訴えたが、男の主張だけが採用され、憲兵も聞く耳を持たなかった。
「……ごめんなさい」
 放尿罪、だそうだ。
 格好がつかないにもほどがある。
「本当に、ごめんなさい。巻き込んだし、それにどんな顔をしたらいいかも……」
 固い石の床にしゃがみ込み、見るからに鬱々とした顔でマルティナは落ち込んでいた。いや、落ち込むなどという生易しいものではなく、いっそうのこと死にたいほどの感情に沈みきっていた。
「いいえ、わたくしなら大丈夫です」
 隣にはセーニャもいた。
 旅の仲間は同罪らしい。
 セーニャ自身は何もしていないというのに、ただマルティナの連れというだけで、マルティナの罪に巻き込まれてしまったのだ。
「でも……」
「マルティナさま。心を強く持って下さい。魔物の支配のせいで、この町では悪い人間や自分勝手な人ばかりが大きな顔をしているのです。負けてはいけません」
「……そうね。そうかもしれないわね」
 だが、セーニャに借りた下着を放尿で汚したのだ。買ってもらった服も汚れてしまい、着替えさせてもらっていないマルティナは、臭いだってあるだろう。
「それに、いい知らせがありますわ」
 気にも留めず、セーニャは優しい言葉をかけてくれていた。
「いい知らせ?」
「はい。勇者さまの行き先が、町の名前までわかりました」
「本当に!?」
 その瞬間、マルティナの目が輝いた。
「本当です。ですから、ここを出たら勇者さまの元へ行きましょう」
「ええ、そうね。ありがとうセーニャ、少し勇気が出たわ」
 曇りきっていたマルティナは、表情を晴らしつつあった。
 その時だ。

「マルティナ、お仕置きの時間だ」

 一人の看守が兵士を引き連れ、二人の鉄格子の前に姿を現していた。
「それを受けたら、ここを出られるのかしら」
 マルティナは立ち上がる。
「そうだぞ? お漏らし女」
「……っ」
 立ち向かうかのような姿勢を見せた途端、看守の返してきた言葉に、マルティナは歯を噛み締めていた。
「二人ともに受けてもらう」
「二人って、そもそもセーニャは関係ないはずよ!」
「関係なくても旅の仲間なら同罪、ここではそうなってるのさ」
「……滅茶苦茶ね」
 検問や衛兵がまともではないのだから、監獄がまともなはずもない。出られるだけマシとでも思うしかないのだろうか。
「大丈夫ですわ。わたくしも、共にお仕置きを受けましょう」
「セーニャ……」
「マルティナさま、乗り越えましょう」
 検問では泣きそうにさえなっていたセーニャが、強い瞳でマルティナを励ましてくる。ならば乗り越えなくてはと、マルティナも心を強く持とうと決意した。

     *

 ぺん!

 まさしく、お仕置きだった。

 ぺん! ぺん!
 ぺん! ぺん!

 マルティナが、セーニャが、それぞれの男にお尻を叩かれていた。男が床に膝を立て、二人はその脚に腹を乗せ、四つん這いに近い姿勢でスカートを捲り上げられている。
 マルティナの黒いショーツは、尿や愛液の香りを残したまま、まだアソコにはたっぷりと湿り気もある状態だ。染み込んだ水分の侵食が尻にも進み、布が皮膚にぴったりと貼り付いてしまっている。

 ぺん! ぺん! ぺん!

 そんな巨尻は、ゴムからはみ出た肉を振動させていた。
「わ、わたし……こんな辱めを受けるだなんて……」
 セーニャのスカートも捲られていた。

 ぺん! ぺん! ぺん!

 緑色を羽織った形の、白と緑からなるワンピースは、足首まで隠さんばかりの長い丈のスカートであったが、それが無情にも全て捲りきられている。その内側にあった赤いショーツの上から、セーニャの尻はペンペンと叩かれているのだ。
「せ、セーニャ……巻き込んでしまって……」
「いいえ、ここは耐えましょう。わたしも頑張りますから、マルティナさまも」
「そうだったわね」
 励まし合う言葉の合間にも、ペン! ペン! と、打音は鳴り続けていた。
 セーニャのショーツは赤の布地に黒を足し、黒い薔薇を刻んだものだ。マルティナとは色違いの、やはりゴムの部分がイバラを模したデザインで、クロッチ周りの布にもイバラとトゲは伸びている。そんなイバラのあいだから、黒い薔薇がいくつも咲いているのだった。

 ぺん! ぺん!
 ぺん! ぺん!

 二人は交互に叩かれていた。
 いつしか男同士でリズムを取り、マルティナが、セーニャが、二人の尻はリズミカルに打ち鳴らされ、楽器か玩具の感覚で遊ばれていた。
(やだ、わたし……)
 セーニャの身体はしだいに反応してしまい、ほのかな湿り気がショーツのアソコに浮かびつつあった。
「んっ、くっ、んぅっ、んぅぅぅ…………」
 淫紋のあるマルティナに至っては、とっくにびしょ濡れになっていた。まだ乾ききっていなかったクロッチが、新しい水分を吸い込んで、内股のあたりまでしっとりと、愛液の気配を広げている。

 ぺん! ぺん!
 ぺん! ぺん!

 やがて、マルティナは大きく背中を反らしながら、全身をプルプルと震わせていた。足腰を硬直させ、ショーツに滲む愛液の量が見るからに増えていた。
「こいつ尻叩かれてイキやがったぜ」
 マルティナの男がケラケラ笑う。
「おやおや、アンタのお仲間は随分とはしたないなぁ?」
 セーニャの尻を叩く男は、そんな風にマルティナを蔑んでみせていた。
「マルティナさまを悪く言わないで……」
「うるせぇぞ?」

 ぺん! ぺん!
 ぺん! ぺん!

 セーニャの言葉など聞く耳を持たず、男は尻叩きを繰り返す。
「気をつけろよ? ここで漏らしたら、また放尿罪にしてやるからよ」
「はははっ、だってよ? セーニャさん。仲間のせいでアンタの刑期が何日か延びるかもしれないぜ?」

 ぺん! ぺん!
 ぺん! ぺん!

 屈辱的な言葉を聞かせながら、男達は叩き続ける。

 ぺん! ぺん!
 ぺん! ぺん!

 それをセーニャとマルティナの二人は、ただただ耐え忍んでいるしかなかった。
 そして、最後にはショーツの没収を言い渡された。
 軽罰と罰金によって釈放するが、高額なゴールドを支払う代わりに、脱ぎたてのショーツを手渡すことで許してやるという、実に理不尽な条件で、二人は脱ぐ選択を取らざるを得ないのだった。

     *

 検問所。
 そこでは金髪憲兵が腕を組み、長身憲兵と巨漢憲兵の二人を左右に従えていた。
「悪いなぁ?」
 金髪憲兵は実に嬉しそうにニヤついていた。
「規則ってやつでな。前科持ちを町から出すにもチェックがいるのさ」
 いやらしい顔で書類を片手に、これみよがしに読んでみせている。きっと牢屋でも調書は作られ、その内容が三人の手にも渡っているのかもしれない。
「マルティナは放尿罪。セーニャもその罪に巻き込まれ、二人揃ってお尻ペンペンされてきたってわけか。笑えるなぁ? 片方はそれでイったんだってな」
 わざとらしく大声で内容を声に出し、マルティナとセーニャの二人に聞かせてくる。
「……そうよ。悪い?」
「わたしたちはこのような仕打ちには屈しません」
 だが、二人は強気であった。
 セーニャはマルティナを支えるため、マルティナはセーニャに励まされ、心を強く保とうとしている二人は、これを試練として乗り越えようとしているのだ。
「やけに勇ましいが、滑稽だよなあ? そんなパンツ見せながらよォ」
 と、金髪憲兵はせせ笑う。
 二人はスカートをたくし上げていた。
 マルティナは安物のスカートを、セーニャはワンピースのロングスカートを、それぞれショーツが見えるように持ち上げて、今日の下着を晒している。
 そういう目的だとわかっていながら、従わなければ門を開いてもらえない。そうしなければ町を出られないがため、二人は屈辱を噛み締めて、下着を見せているのだった。
 マルティナの下着は青だった。
 深海を思わせる暗い色から、太陽が海面を照らした明るさへの、グラデーションがかかった布に、星を散りばめたような輝きが貼り付けられている。キラキラとしたショーツは、これもセーニャからの借り物で、お尻のサイズが合っていない。今は前しか見せていないが、後ろ側は肉がはみ出ているはずだ。
 セーニャの下着は紫だった。
 パープルの生地を使い、腰と足のゴムの部分には黒を使った色合いで、薔薇の刺繍を刻んでセクシーに仕上がっている。クロッチに咲く大きな一輪は、紫の上にさらに紫を縫い付けて、手縫いで地道に仕上げた一品だ。
「なかなか大人っぽい」
「いいねぇ?」
 長身憲兵と巨漢憲兵は、それぞれのショーツを目で楽しむ。
「お前ら、調べてやれ」
 金髪憲兵が命じる。
「なら、こっちは貰おうかな」
「へへっ、俺はセーニャちゃん」
 二人の憲兵はニヤニヤと獲物を品定めして、それぞれの好きな方に向かって行く。長身憲兵はマルティナの背後に回り込み、巨漢憲兵もセーニャの背中に抱きついた。後ろから胸を揉み、体中をまさぐり回すタッチは、彼らに言わせればボディチェックなのだ。
「あっ、くぅ!」
 淫紋が働くマルティナは、いとも簡単に喘いでしまう。
「そっちは感じやすいみたいだねぇ?」
 セーニャをまさぐっている巨漢憲兵は、羨む眼差しでマルティナの方を眺めつつ、股間を尻に押しつける。やがて右手がアソコへ行き、左手で乳揉みをしながらの、ワレメへの愛撫が始まった。
「んぅ……んっ、んぅぅ…………」
 セーニャの声は控え目だ。
「んんんぅ! んっ、やめっ、あぁ……!」
 対するマルティナは、唾が飛びそうなほどに大きな口を開いている。存分に喘ぎ散らして髪も振り乱している有様は、淫紋のないセーニャとは対照的な感じようだ。
「そうそう。言い忘れていたが、前科者には通行料の仕組みもあってな。一人あたり十万ゴールドになる」
「じゅっ、十万って――あぁっ、あうううっ…………」
 法外な金額を示され、金髪憲兵を睨もうとするマルティナだが、ショーツの中にゴツゴツとした手が入り、自分自身の喘ぎ声が言葉を遮ってしまっていた。
「さ、最低です! んっ、んぅ……!」
 セーニャも声を荒らげる※、やはり感じてきてしまい、巨漢憲兵の指先で声を淫らにしているのだった。
「マルティナぁ、アンタならもうわかってんだろ? 払わずに済む方法が」
「くっ……」
「どうするよ。どうにかして、二人合わせて二十万ゴールドを稼いでくるか、今すぐに別の方法で払って町を出るか」
 そこに選択の余地などない。
 セーニャが手に入れた情報は、日数が経てば経つほど古くなり、せっかく滞在中の町の名前がわかっていても、辿り着く頃には別の場所へ移動してしまっているだろう。
 しかし、マルティナにとって、自分一人だけの決断では済まない。
 一体セーニャはどう思うのか、その表情を横目に伺った。
「……か、構いません」
 セーニャはたどたどしく、本当は抵抗感が大きくてたまらない様子で、それでも毅然とした眼差しから言い切っていた。
「セーニャ……」
「本当は嫌です。物凄く嫌ですが、わたしも耐えてみせます。ですから、わたしはマルティナさまの決断に従います」
 強い意志の宿った目がマルティナを向く。
「……すぐに出ましょう」
 マルティナが答えた瞬間だ。
「決まりだな。お前ら、ヤっていいぞ?」
 金髪憲兵はすぐに許可を出していた。
「おら、壁に手を突け!」
「セーニャもだ!」
 二人の憲兵は乱暴に背中を突き飛ばし、荒っぽく壁際に押しやった。
 マルティナとセーニャは覚悟を決めた顔をして、けれど最悪の試練に耐えなくてはならない悲痛の思いで、それぞれ壁に両手をつく。尻を突き出したポーズを取るなり、スカートは捲り上げられ、すぐさまショーツも引き下げられた。
 男達がズボンを脱ぐ。
 ベルトが外れ、チャックが下がっていく音を、二人はただ黙って聞いている。これから犯してもらうため――いや、通行料を払うため、静かに大人しくしているのだ。
 長身憲兵の亀頭がマルティナのワレメに触れる。
 セーニャのアソコにも巨漢憲兵の肉棒が当たり、二人してピクっと、腰で驚くような反応を見せていた。
 そして、二人の憲兵は挿入した。
「あぁぁぁ……! あっ、んんぅぅ……!」
 マルティナは大きく喘ぐ。
「やっ、そんな……あぁ……あっ、んぅ…………!」
 セーニャはもう少し苦悶しながら、悲しげな顔で答えていた。
「お? こっちは処女だ!」
 巨漢憲兵は大いに喜びながら、さっそくのように腰を振り、セーニャのナカを味わい始める。
「マジか。そいつは勿体ないことしたぜ」
「ま、後で変わってやるって」
「一度入ったらもう中古だろうがよォ」
「おおっと、それもそうか」
 二人の憲兵はそんな談笑を交わしながら、いかにも楽しそうなピストンで膣を抉って、長身の方はマルティナに下品なまでの喘ぎ声を吐かせている。腹部に輝く淫紋で、イキやすくなっているせいもあり、簡単に愛液が滴っていた。
 初めてのセーニャは感度が低いが、その代わり太いものを出し入れされる苦しさで、悩ましく堪える声を漏らしていた。
「くっ、くふぅ…………んんんぅぅぅぅ…………んっ、んうぅ…………」
 耐えるセーニャの背中を見下ろしながら、巨漢憲兵は腰を大胆に打ちつける。
「へへっ、最高だなぁ」
 長身憲兵は片手でポニーテールの髪を掴んで腰を振り、小刻みなピストンで尻をリズミカルに振動させる。
「俺、そろそろ」
「おい、ナカに出すなよ?」
「わかってるって」
 二人の憲兵は示し合わせたように肉棒を引き抜いて、それぞれの背中に白濁を振りまいた。セーニャの金髪に染み込んで、マルティナのポニーテールにも付着して、背中がまんべんなく汚れていた。
 そして二人は女を取り替え、今度は長身がセーニャに挿入して、巨漢がマルティナの膣を楽しむ。
「あぁぁぁ! イク! イクぅぅぅぅ!」
「あっ、ふぁ……く、くるしいです……お願いしますっ、少し……ゆっくり……」
 出て来る声は、あまりにも対照的だ。
 セーニャの股には破瓜の血が滴っているのに対し、マルティナは愛液が膝にまで伝っている。ポタポタと雫が立て、床に何滴もの染みまで作り始めている。
「おい二人とも! 最後は俺もヤるんだからよ。中出しは絶対するなよ?」
 金髪憲兵が釘を刺す。
 だからか、二度目の射精の直前も、二人の憲兵は素早く肉棒を引き抜いて、改めて背中に振りまいていた。衣服に染み込み、髪にも染み込み、ぐったりと座り込んでしまうセーニャの横で、イキ果てたマルティナは頬を蒸気させた火照った顔で膝を突き、まだアソコが切ないような、物足りないような顔をしているのだった。

     *

 最後に金髪憲兵が二人を楽しむ時、マルティナとセーニャはテーブルの上に並べられ、まるで商品のように陳列されていた。股を大きく開くポーズを命じられ、恥じらいながらもアソコを丸出しにする二人は、片膝にショーツのかかった状態で、一体どちらを先にやろうかと楽しみそうに時間をかけて迷う金髪憲兵の肉棒をただただ待ち続けるしかない。
「決めた。セーニャからだ」
「あぁぁ……!」
 金髪憲兵はセーニャの膣に肉棒を押し込んで、さっそくピストンを開始した。
「あっ、ふぅ…………んっ、くぅぅぅ…………」
 脂汗をかくセーニャの隣で、マルティナはいかにも何かを言いたげに、実に不満そうに金髪憲兵のことを睨んでいる。
「どうした? 早く欲しいか?」
「違うわ。セーニャは初めてなのよ? せめて早めに済ませて、あとは私にしなさい」
 無論、マルティナとしては仲間を庇うための発言だ。
「へえ? そんなにチンポが恋しいか? ヤり足りないってか?」
 憲兵の側に、マルティナの意思をそのままに受け取る義理はない。自分勝手に解釈して、セックスがしたくてたまらない女というレッテルを目で貼り付けるだけだった。
「ま、待ってろ。こいつに中出ししたらお前にもくれてやる」
「な、中って!」
 セーニャが驚愕する。
「嫌なら稼いでからもう一度ここに来るか? せっかくここまでしたのになァ?」
 今まで耐えてきたことが無駄になる展開をチラつかされ、黙るしかないマルティナは、孕まされるかもしれない恐怖にただただ怯えながら、全てが過ぎ去るまでを静かに待ち続けることしかできなかった。
「おら!」
 ドクドクと熱い白濁が放たれて、それはセーニャの体内に浸透していく。
「あぁ……本当に…………」
「あなたって人は!」
 マルティナは憤るが、次はお前だとばかりに肉棒をアソコに突きつけられると、快楽と絶頂の予感にマルティナは直ちに固まる。
「あぁぁぁ……!」
 マルティナは仰け反りながら喘ぎ散らした。
「あぁぁ! あっ! あっ! あん! あん! あぁん! あん!」
 ピストンのたびに背中が浮いては沈み、浮いては沈み、そんな反応がために、まるで背骨を使ってテーブルを叩き続けているかのようである。
 やがて、マルティナが絶頂すると同時に解き放ち、こちらの子宮の中にも精液が溢れかえった。
 肉棒を引き抜く。
 金髪憲兵が離れてみると、そこに広がる光景は、二人のM字開脚の女が自分のアソコから白濁をこぼし、放心した目が虚ろな表情を浮かべるものだった。

     *

 そして、二人は町を去って行く。
 勇者達一行の足取りを追い、今度こそ合流できる希望を抱きつつ、腹に出されたために妊娠したかもしれない、そんな深刻な不安を抱えていた。
 それだけではない。

 二人とも、『ひもの水着』を着ていた。

 元の衣服も、下着も、通行料の名の下に取り上げられ、代わりに別の衣服を与えられはしたものの、こんな紐状のものを着ただけの、裸同然の格好で放り出されたのだ。上は乳首しか隠しておらず、ショーツの方もヒモが前後のワレメに食い込み、アソコの肉貝も、お尻も丸見えだ。
 旅の資金、武器、道具。
 それらを没収しないだけでもありがたいと思え、という最低の言い分の元に、二人は自分達の行く末をあらゆる形で案じていた。
 すれ違う旅人には、一体どんな目で見られるのか。町に着いたら、もちろん新しい服を調達したいが、それまではこの格好で歩き回っていなければならないのだ。それに、旅の途中で通る予定の町で、またしても検問があったりしたら、こんな格好でやって来た変質者をまともに通してもらえるかもわからない。
 いや、もしまた、あの町のような最低な検問だったら、再び陵辱されるかもしれない。
 そんな暗い未来を想像して、不安を抱えながらでも、マルティナとセーニャは旅に足を進めていく。
 全ては勇者との合流を果たすため――。



 
 
 

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