after マルティナの検問陵辱




 ようやく手に入れた手掛かりがあった。
「そういえば、旅の途中ではぐれた仲間を探してるって女の子に会ったよ。色んな仲間の特徴を言われて、ちょうどアンタみたいな黒髪で長いポニーテールって聞いた時には、この町のことを教えたっけな。たしか、名前はセーニャとか言ったか」
 恥辱の検問を行き来して、やっと掴んだ手掛かりにマルティナは町を出る。馬車や旅人が往来する長い長い道のりも、町を離れれば離れるほど、危険な魔物の数は増えていく。
 せっかく綺麗にした服も、戦闘で汚れと臭いが気になり始め、森に着いたマルティナは木陰を見つけてメダ女の制服へと着替えていた。
 そして、足腰を休めて旅へ戻り、木漏れ日に照らし出された固い土の道を行く。何十年もかけて、何千何万という旅人や行商人によって踏み固められてきたこの道は、馬車が通るにも不自由ないほど幅は広く、しかし枝がしっかり伸びているせいか、緑が天井を成している。
 道のりの中、森の中からまたしても魔物が飛び出し、マルティナは装備した槍を振る。刃によって貫いて、見事倒してみせた時だった。

「マルティナさま?」

 おしとやかな声がかかってきて、マルティナは目を丸めた。
「セーニャ?」
 声の主に目を合わせた途端であった。
「マルティナさま! よかった! ご無事でなによりですわ!」
 セーニャは小走りで駆け寄って、ようやく会えて仲間の顔が懐かしいように覗き込む。
「あなたも無事みたいね」
「ええ、どうにか」
「それに、お揃いみたい」
 マルティナがお互いの衣服について触れた時、セーニャは少しだけ赤らんでいた。
「……そのぉ……少し臭ってきましたので、綺麗な服に着替えましたの」
 セーニャも制服だった。
 揃って同じものを着ていることに苦笑し合い、二人は今までの旅路について語り合う。離れ離れになってから、一体どう過ごしてきたか。どうやってここまでたどり着いたか。
「そうですわ。この先の町に、勇者さまがいらっしゃるかもしれません」
「なんですって?」
「きっと、おりますわ。マルティナさまの情報を聞いてから、ここまで来る途中、何人かの旅人とすれ違いましたの」
「それで、聞いたってわけ?」
「はい。勇者さまらしき人を見た、おそらくあの町にいた、間違いないだろう、と」
 吉報だった。
 マルティナがいくら探しても見つからなかったのは、町の広さもあるだろう。情報が間違っていたか、古くなったかしたのだろうと、諦めの念さえ沸いた。
 しかし、セーニャの情報でもあの町を示しているなら、きっと間違いない。たとえ既に立ち去った後でも、いたことさえ確かなら、行き先を突き止めて追いかけたい。
「そうね。見つかるといいけど……」
 ただ喜ぶばかりではいられない。
 またあの町に入るには、恥辱の検問を受ける必要がある。最後には挿入までされた悪夢を思い出し、マルティナは身震いした。
「どうなさったのです? 嬉しくはないのですか?」
「まさか、手掛かりはよかったけど、あの町はね……」
 マルティナは検問の酷さを伝えた。
 いや、全ては言えない。
 犯されたこと、失禁してしまったこと、口が裂けても言えない過去はぼかして、少なくともスカートを上げさせられたり、服の中身を確かめられたり、いやらしくて辛い検問があるとは教え、するとセーニャは青くなっていく。
「町に入るのは、やめておく?」
「いいえ、そうはいきませんわ。勇者さまと合流できる可能性があるのなら、行くしかありません」
「わかったわ。覚悟していきましょう」
 本当はどこまでされるかわからない、ひょっとすればセーニャまで犯されるかも知れない事実を伏せるのは、やはり後ろめたいことだった。
「もし……」
 マルティナは言う。
「もし、さっき話した以上の、もっと辛くて恥ずかしい目に遭うとしても、行くかしら」
「当然です」
 きっぱりと答えるセーニャ。
 あの体験を全て洗いざらい吐いたとしても、答えは同じなのだろうか。
 やはり後ろめたいままに、マルティナはセーニャと共にあの町へ向かう。
 
     *
 
 町の出入り口となる石造りのアーチには常に門番が控え、旅人を必ず検問部屋に案内する。
 二人もまた検問室を訪れていた。
「さすがにもう来ないと思ったぜ? しかも綺麗な連れまでいるとはな」
 金髪憲兵の顔を見るなり、マルティナは身構えた。
「……うっ」
 いやらしい目を向けられ、セーニャも引き攣っていた。
「聞きたいんだけど」
「おう、なんだ?」
「長期滞在はできないのかしら」
「支払いしだいでは日数を増やしてもいい。何日伸ばせるかはアンタらしだいだ」
「わかったわ。ひとまず、始めて頂戴」
 手順は前と変わらない。
 テーブルに持ち物を並べて行き、武器や薬草の数が調書に書き込まれる。三人の憲兵のうち、誰が書くかはあまり決まっていない様子で、今回は長身憲兵が物品を調べ、巨漢憲兵が書き込みにあたっていた。
 そのあいだ、金髪憲兵がボディチェックを執り行う。
「さーて、アンタはセーニャとかいったか」
「……はい」
「ま、じっくり調べてやる。町に入りたいなら、せいぜい我慢することだ」
「わかっていますわ。始めて下さい」
 セーニャも、マルティナも、制服姿で並び立ち、後頭部に指を絡ませ両手を組む。
 最初はまだ、純粋な検査の手つきで、衣服の上からポンポンと叩いていく。腰周りから脇下へと、肩の周りに背中側、まともなボディチェックに見えたのも束の間、太ももを触るころにはいやらしい手つきに変わっていた。
「いい尻だな。ええ? セーニャちゃんよ」
 金髪憲兵はスカート越しの尻を撫で、カーブに沿って手の平は上下に動く。手つきに応じてスカートの布も上下にずれ動き、布地を摩擦するスリスリという音が聞こえた。
 お尻だけでもセーニャは唇を強く噛み締め、真正面から胸を揉まれる頃には、いつ泣き出すかもわからない涙目になっていた。
 マルティナは慣れていた。
 不快な気持ちには違いないまでも、犯されてなおここに来ただけの精神力で、どこを触られようともじっと堪える。同じようや手つきで尻をやられ、真正面から胸を揉まれても、静かに睨み返していた。
「ようし」
「終わりですか?」
 セーニャは解放されて安心のような、やっと終わった明るい声を上げていた。
「なに言ってんだ? パンツをまだ見せてもらってないだろ?」
「えっ」
 絶望したような、引き攣ったような、頬も顎も震えた表情で、カクカクとした動きでセーニャはマルティナに視線を向けた。
「ここ、そういうところなの」
「……そ、そうなのですね?」
 今にも泣きそうな顔をしていて、マルティナは心を痛める。
「おら、わかったら早く捲れ」
 やるしかない。
 渋々の思いでマルティナはスカート丈を握り、それを見たセーニャも、実に悲しげに恥ずかしそうに持ち上げる。
 セーニャのショーツは白銀だった。
 一見、純白が輝いて見えながら、まるで光る砂でも散りばめたようにキラキラとした輝きで飾られて、生地全体も滑らかな光沢を帯びている。白ではない、銀色の上質なショーツであることが見て取れた。
 マルティナのショーツはグレーだった。
 動きやすさを重視した通気性の良い材質で、ゴムの部分は黒色となっている。よく見れば横に縞々模様が入っており、濃いグレーと薄いグレーによって柄付けが成されている。
「どこで買った?」
 それはマルティナにとって、既に何度も聞かれた想定済みの質問だ。
「どこって……」
 初めてのセーニャには、予想もしないセクハラだろう。
「この町の中で、出る前に買ったものよ。汗が乾きやすいって聞いたし、材質的も履き心地が良くて気に入っているわ」
 赤らみながらも答えるマルティナに、セーニャは横でぎょっとしている。
 しかし、答えるのが普通なのだと学んだように、彼女もまた答え始めた。
「魔除けの魔法がかかっていると聞き、魔物との戦いを減らすために買いました。キラキラとしていて、とても綺麗だと思いますので、店でこれを見た時から欲しくなりましたの」
 セーニャはマルティナ以上に羞恥していた。
 明らかに頬が力んだ表情で、唇も震えている。まぶたでさえも振動を帯びんばかりに、涙の浮かびかけた表情は、マルティナにより一層の罪悪感を募らせる。
 調書には当然のように書き込まれた。
 あの紙面には、下着の色も柄も記録され、これから起こる『入場料』の支払いのことも書かれることになるだろう。
「ではアソコに何か隠していないか検査しよう」
 と、金髪憲兵はおもむろにセーニャへ迫り、何の遠慮もなしに突如として、太い指先でアソコをなぞった。
「きゃっ!」
「動くなよ? 下手に逆らえば町への攻撃と見做して兵隊を呼ぶ」
 権力を振りかざし、お前達などいつでも罪人に仕立て上げられると言外に忠告すると、セーニャは震えながら受け入れる。悲しい運命に嘆いた顔で、目尻に溜まった涙がもうすぐ溢れ出しそうな粒にまでなり、もうマルティナは堪えきれなかった。
「ちょっと!」
 マルティナは声を荒げた――勝手に下げるわけにはいかないスカートは上げたまま、ショーツが丸見えのままに怒る滑稽さは、かえって憲兵達を失笑させ、面白い光景なので喜ばせもしているのだった。
「なんだ? 異論でも唱えるのか?」
「いいえ、違うわ。あなた達は支配者のやり方に乗っかっているようだけど、どのみち『入場料』は取れと命じられているんでしょう?」
「よくわかってるな。なら、何故止める?」
「私が一人で払うわ。セーニャは先に通してあげて」
 その言葉にはっとして、驚いたような顔でセーニャはマルティナを見る。
「お前一人でか?」
「そうよ」
 マルティナは毅然としていた。
「あのっ、大丈夫なのですか?」
 いかにも不安でならない声を伸ばすセーニャに、マルティナは強く笑ってみせる。
「大丈夫よ。心配しないて、先に町に入っていて頂戴」
「は、はい……ですが……」
「いいから、行きなさい。それでいいでしょう?」
 マルティナは言葉で背中を押しながら、憲兵達にも確認の意思を示す。
「ま、いいだろう。一人で頑張ってみろよ」
 金髪憲兵は邪悪に笑う。
「望むところよ」
 対するマルティナの、決して負ける気のない態度は、これから決闘でも始めるかのようだった。

     †

 マルティナ一人が残った検問部屋で、金髪憲兵はニヤニヤと抱きつくと、背中にかかったロングポニーテールを弄び、次の瞬間には唇を奪い取る。
「んんっ!?」
 激しいキスにマルティなは目を見開く。
「はじゅっ、ずるぅ――じゅっ、ちゅぅぅぅ――――――」
 強引に舌をねじ込み、口内を味わい尽くすキスだった。後頭部をがっしりと手で掴み、逃がさないように頬張って、舌先でマルティナの舌を突き回す。歯茎をなぞり、唾液を送り、息継ぎのために唇が離れれば、舌同士のあいだに糸が引く。
 金髪憲兵は下の方にも手をやった。
 指はショーツ越しに絡みついたが、すぐに内側へ潜ってワレメを捏ね、指さえ穴に入れていく。巧みな技にマルティナはすぐにでも感じ始めて、喘ぐ口には唾液を押し込まれた。
 じっくりと舐め回り、マルティナの口内をよく味わう。指には愛液が染み付いて、ショーツにも付着していく。
 自分の口が味わい尽くされている感覚と、指に犯される恥辱に震えていると、やがてマルティナは壁に背中を押し付けられた。後ろに逃げ場のない形にされ、ショーツを下にずらされると、金髪憲兵はいい気になって命じて繰る。
「ヤらせてもらう。とりあえず片足を上げろ」
 マルティナが左足を持ち上げて、片側だけのM字を作ると、金髪憲兵はズボンを脱いで肉棒を押し入れる。
「ぐぅぅぅ……」
 痛みではない。また辱しめを受けている感覚に、マルティナは呻くのだった。
「あっ、あん! あん!」
 それでも快楽の喘ぎが出てしまうまで、そう時間はかからない。
 さらに金髪憲兵は、もう片方の足も上げさせた。腕力で脚を持ち上げ、彼の両腕に対して、M字の形がフックとなる。マルティナは背中を壁に押し付けられ、言ってみるなら壁をベッド代わりにした正常位で攻められていた。
「仲間思いだなぁ? 自分だけが犯されればいいなんてよぉ?」
 金髪憲兵は楽しそうに腰を振り、それを見守る後ろの手下もニヤニヤと勃起している。
「あぁぁ! あん! あぁん!」
 壁に向かって行うピストンをしばし続けるうちに、不意にそうしたくなったのか、体位を維持しながらもマルティナの身体を運んでいく。
「お前ら、今のうちに順番決めとけよ?」
 金髪憲兵は見せてやっていた。
 後ろに控えさせているだけでは、きっと自分の尻をしか見えないだろう。見ても面白くもない男の尻より、マルティナの後ろ姿の方がよほど見ごたえはあるはずだ。
 そんな『思いやり』を受け取って、長身憲兵と巨漢憲兵の二人はマルティナの背中を鑑賞する。制服を纏った後ろ姿に、長いポニーテールの尾が揺れる。金髪憲兵のピストンによってか、マルティナ自身の動きなのか、どちらによってスカートの尻が弾んでいるかの区別はつかない。
 ただ、姿勢のために宙から垂れ下がっているスカート丈は、お尻のバウンドに合わせてバサバサと揺れている。旗を振り回したり、洗濯物のシーツを広げる時に似たような、布が空気を鳴らす音は絶えることなく続いている。
「あうっ、んぅ! ん! んじゅう!」
 急に喘ぎ声が塞がるのは、金髪憲兵が再び唇を貪り始めたためだった。
 
 ドクッ、ビュルゥゥ――!
 
 金髪憲兵は何の遠慮もなく膣内に放出する。
 マルティナがテーブルの上に下ろされ、寝かされると、次は自分とばかりに巨漢憲兵が迫っていく。
 全員の相手が済むまで、マルティナはセックスをさせられていた。
「仲間思いに免じて、滞在日数を増やしてやるよ」
 そんなサービスを金髪憲兵はしてきたが――。
 
     *
 
「マルティナさま! 大丈夫でしたか!?」
 検問所を出て町へ入れば、長いあいだ待ってくれていたセーニャが駆け寄ってきた。
「え、ええ。平気よ」
 マルティナはケロっとはしてみせるが、いつも通りの入場料も取られている。セックスが済むなり下着を取られ、着替えの間もなく町へ入れられてしまったマルティナは、実のところノーパンだ。
 このメダ女の制服はスカートの丈が長い。中身が見えるアクシデントなど、そうそう起こるものではないが、生尻の肌にスカートが触れている感覚は慣れないもので、気になって気になって仕方がない。
「なにか疲れているようですわ。よほど酷いことをされたのでは」
「大丈夫よ、心配しないで」
 確かに三人もの相手をして、体力を削り取られた。今日は早いところ宿を取り、明日に備えて休憩したい。
 もう何度も通い慣れている町だ。
 マルティナはセーニャを宿まで案内し、すぐにゴールドを払って部屋を取る。シャワーを浴びて身を清め、脱衣場の鏡に映る自分の姿にマルティナは目を伏せた。
「こんなものまで付けられて……」

 マルティナの下腹部には淫紋があった。

 三人もの相手をしたばかりか、金髪憲兵は魔法の籠った石を使って、マルティナに呪いをかけた。町の支配者が操る魔法を宿していることを自慢され、何か淫らな術をかけられたのだ。
 どんな術かはわからないが、ろくでもないに決まっている。
「とにかく、仲間の情報を集めないと」
 今は休もうと着替えを済ませ、ベッドにつく。
 
     *
 
 翌朝。
 手分けして情報を集めることにしたマルティナは、淫紋の不安を抱えて聞き込みをしていると、「あの武器屋へ行くといい。あそこの店主は記憶力がいいから、客の特徴をいちいち覚えてるんだ。あんたの仲間が一度でも入っていれば、何か教えてもらえるだろう」と教えられ、マルティナは店へ向かう。
 ドアを開いて声をかけ、話を聞き出そうと試みた時だ。
「おや、アンタはあれだね」
 店主はカウンターの下にしまっていたらしい一枚の紙を取り出し、その内容を読み始める。
「黒いショーツ。両サイドをリボン結び、ヒモでウェストを調整する。クロッチには蝶が大きく刺繍されている。蝶の部分は光沢を帯びる素材を使っていたため、羽模様が黒光りしていた」
 何故、紙に下着の特徴が書いてあり、わざわざ読み上げたのか、理解ができなかった。若干の遅れを伴い、紙の正体に検討がついた途端、マルティナは瞬く間に赤らんでいた。
「あなた! 検問所の調書を!」
「あれなぁ、写しを金で買えるんだよ。アンタほどの美人なら、人気も高いんじゃないか?」
 脳がくつくつと煮えそうだった。
 しかも、何かおかしい。
 確かに検問所での記録が販売され、金で入手可能というのは信じられない。あれらの出来事が知れ渡るなど最悪だが、この恥ずかしさは何なのか。
 調書の写しを握られていることが、まるで裸を視姦されているような羞恥を煽ってくる。
(嫌でも慣れているはずなのに)
 恥ずかしい目にはいくらでも遭い、犯されまでしているのに、紙に書かれた文章で恥ずかしがる神経が、いくらなんでもここまで強く残っているのか。
「そうそう、仲間の情報だったな。特徴さえ言ってくれれば、ここ一ヶ月以内に俺の店に来てれば思い出せる。俺から情報が出なければ、この店にゃ来てないことになる」
「た、頼もしいわね。是非お願いしたいわ」
「では情報料として、パンツを見せてくれ」
「え? パンツって……!」
「金ならいらんぞ? パンツじゃなきゃ教えん」
「……わかったわ」
 こうなったら、やるしかない。
 マルティナは制服の長いスカート丈を持ち上げて、今日の下着を見せつける。ピンク色のレース付きに視線が刺さり、羞恥心を刺激されると、みるみるうちに頭が熱くなる。脳が燃えそうな心地に顔を歪めて、初めてマルティナは悟っていた。
(淫紋のせいなの!?)
 下着は確かに恥ずかしいが、今更ここまでではないはずだ。
 やっと淫紋の力を思い知り、頭の焼ける気持ちを味わううちに、下腹部がヒクヒクと反応を示していた。急にアソコが何かを欲しがり、ヨダレを垂らし、クロッチには愛液が広がり始めていた。
(ま、まずいわ! なにか凄く、嫌な予感が!)
 これ以上見せては、決定的な何かが起こる。
 マルティナは慌てて隠そうとするものの、動作を取ろうとするよりも一瞬早く、マルティナは決壊した。
 
 ――じょぉぉぉぉぉ!
 
 失禁していた。
 ただパンツを見せただけで、人の店の真ん中で、木製の床に小便を広げてしまう。びちゃびちゃと跳ね返る黄色い飛沫に、自分自身の靴さえ汚し、マルティナの頭は爆発していた。
 
「――いやぁぁぁぁぁぁ!」
 
 もしも恥ずかしさで身体の一部が欠損する現象が存在したら、頭が消し飛んでいるといっても過言ではない。人前で、人の店で、営業に支障をきたしかねない真ん中で放尿してしまったショックは、誰にも計り知れないものだった。
 
「――ちーっす、新しい剣を――なにぃ!?」
「おいおい、なんで小便くせぇんだ?」
 
 銀髪剣士と茶髪剣士の二人組が、こんな時に入店してきて、マルティナはますます悶えていた。脳の中身が蒸発して消えかねない勢いだった。
 
     *
 
「へえ? 最新の調書にゃ、そう書かれてんのかい」
 何かに感心する店主。
「そーゆーわけ」
「だが、小便漏らしたのは事実だし、お仕置きとかした方がいいんじゃねーの?」
 二人組の剣士は、昨日の最新調書の購入者だった。
 だからマルティナが失禁した理由を知っていて、店主に説明してくれたわけなのだが、逆に言うなら、調書には説明があるのにマルティナ自身には何も説明がなかったのだ。
 これが淫紋の力だった。
 必要以上に恥ずかしさを感じるようになり、羞恥心に応じてアソコも反応する。オシッコが溜まっていれば、失禁する恐れもある。
「そんな……淫紋の解き方、あなた達は……」
 請うよう二人組を見るのだが、銀髪も茶髪も首を振る。
「知らないね」
「そりゃ、知ってりゃ教えてもいいけど、タダじゃあ教えないと思うぜ?」
 二人はそれぞれそう答えた。
「で、お前さん。漏らしたのは事実だ。まあ可哀想な話なんで、替えのパンツをあげてもいいが、お仕置きは受けてもらうよ?」
 店主の言葉に、オシッコを漏らした立場では逆らえない。
 
 ペン!
 
 それがお仕置きだった。
 片膝を立てた店主の脚で腹這いに、四つん這いに近いポーズで、スカートを全て捲りきられた状態で叩かれる。
 
 ペン! ペン!
 
 そして、二人組の剣士は鑑賞していた。
「淫紋のせいとはいえ」
「お漏らししたお仕置きでケツ叩きか」
 同情よりも、滑稽な運命を辿る姿を見て楽しむ。そんな視線が辛かった。
 
 ペン! ペン!
 
 叩かれる屈辱は大いにあるが、こんな姿を見られているのも、辱しめの一部であった。
 やがて、店主が満足するまで叩かれ続けたマルティナは、お尻の肌にヒリヒリとした感じを引きずっていた。
 店を出る前に、厚意から替えの下着をもらえた。武器屋が片手間に防具を置いていた一環で、装備効果のある女性下着がたまたまあったのだ。
 それはTバックだった。
 紐と紐を繋げただけの、クロッチの布なら辛うじてアソコを隠しうる卑猥な下着は、決して好きで穿きたいものではなかった。
 
     *
 
 それでも、マルティナは情報を探し続ける。
(めげてばかりもいられない……)
 聞き込みをしていくうちに、マルティナは恥ばかりをかいていた。
 
「お? ねーちゃん! この調書の人だろ?」
「アンタ、これで読んだことあるぜ?」
「へへっ、俺にもサービスしてくれよ」
 
 調書が出回っているのだ。
 通行人に声をかけると、調書で読んだ通りの女だと喜び始める。ここに書いてあることは本当かと、好奇心に満ちた目で聞かれる。見知らぬ人から野次まで飛ばされ、行く先々で言葉のセクハラを受けていた。
(くっ、いちいち反応して!)
 そのたびに淫紋の力が働き、言葉によってアソコが気持ち良くなってくる。
 そして――。
 やめるわけにもいかずに、辛抱強く調査をするおり、露店のカウンターに手を突きながら、その店員に聞き込みを行っていた時のこと。
「へえ? いたかなぁ? そんな奴」
「どんなことでもいいわ。覚えがあったら思い出して欲しいの」
「うーん」
 やり取りをしているあいだ、マルティナは隙だらけだった。
 周りを歩く通行人の一部がチラチラと盗み見て、ついには痴漢目的で迫っていく男が現れても、マルティナはその気配に気づかない。尻が突き出て、スカート丈を介してムンムンと色気を放っているのが、本人の知らないうちに男を引き寄せているというのに、まるで警戒できていなかった。
 その男はスカートを捲り上げた。
「え!?」
 マルティナはまず驚く。
 お尻に触れる風の感じに、周囲から聞こえるどよめきと、何よりもスカート丈を持ち上げている男の存在に、自分の尻が丸見えにされていることを悟って、マルティナは一瞬にして脳を沸騰させていた。
 丸出しと変わらない、ただ尾てい骨あたりにあるT字の交点に紐が見えるから、辛うじて穿いていることはわかる下着は、遠目にノーパンであると勘違いする者がいくらでもいた。
(いやぁぁぁぁぁ!)
 アソコが疼き、すぐさま愛液をたっぷりと分泌していた。軽い絶頂で身体が震え、そんな様子を見た男達から、様々な野次が飛ぶ。

「あんなエロいもん穿いて、見られてイったのか?」
「なんつーエロ女か」
「はしたないのう?」
「おい! アンタ! いいケツしてるぜ!」

 ますますアソコが反応する。
 マルティナ自身の気持ちなど関係なく、淫紋が言葉の数々を吸収して、嫌でもアソコに快楽を与えてくる。
「やめなさい! 見ないで!」
 慌ててスカート丈を抑え、マルティナはその場を逃げ去った。

     †

 気を持ち直し、聞き込みを再開するまで、随分と時間がかかった。
(こんな呪いと付き合いながらなんて、本当に最悪よ)
 こうなったら、淫紋を解く方法についても聞き込みをしようと思い、そんなおりにマルティナは喫茶店の前を通りかかった。
(ここなら、どうかしら)
 マルティナは店に入ると、カウンターの席に座って聞き込みを開始した。
「探している人がいるんだけど」
「ご注文は」
「そうね」
 先ほどの、オシッコを漏らしてしまった恐怖から、出来れば飲み物は避けたいマルティナだが、注文無しではマスターも応じてくれない様子である。仕方がなく紅茶を頼み、ティーカップに注がれた香り良い味を啜ると、マルティナは仲間達の特徴を伝え始める。
 その時だった。
 マルティナの背後に忍び寄り、密かにポニーテールの髪を掴んで持ち上げている男がいた。
「ああ、悪魔の子とか呼ばれている奴なら、ここに一度来たらしい」
「本当!?」
「その後、どこに行ったか。いつのことだったかも、ちょっと思い出せないな」
「どうにか思い出せない? なんでもいいのよ」
「そうだなぁ」
 もちろん、マスターには見えている。
 マルティナの背後で何かをして、ニヤニヤと楽しんでいる男の存在が見えないはずもなかったが、男はゴールドを手の平でチラつかせていた。だからマスターは黙認しつつ、会話でマルティナの注意を引きさえしている。
 男はペニスを取り出し、髪を巻き付けオナニーしていた。
「はあっ、はぁ……! いい髪ぃ、気持ちいい……!」
 髪コキという、変わった趣味の変態が興奮していた。荒い鼻息を立て、血走った目で必死にしごく男のことを、周りの誰も止めようとしていない。

 ――あーあー。
 ――あれ、例のエロい調書の女だよな?
 ――なら仕方ないんじゃね?

 止めるどころか、ニヤニヤしたり、呆れた目で眺める男ばかりであった。
 髪の中に射精され、精液が染みついても、マルティナは最後まで気づかない。
 しかも、髪コキの男が離れていくと、お次は自分とばかりにまた別の男が近づいて、マルティナの隣に座るなり、何の遠慮もなく太ももに手を置いた。
「なあ、話は聞かせてもらったぜ? 俺の知ってる情報を教えてやろうか?」
「あ、あなたっ……」
「情報料はちょいとアソコを触らせてもらうとか」
 男は返事も聞かないうちから太ももの狭間に手を入れる。スカート越しの性器をなぞられると、みるみるうちに愛液が溢れ出し、スカート丈には大きな染みが出来上がる。
「あぁ……! あっ、やめっ!」
 抵抗できずにいた。
 身体がよがってしまい、まともに力が入らない。押しのけようとしてみても、腕は弱々しく、ただ男のボディにタッチをしているだけになってしまう。

「――あぁん!」

 マルティナはイった。
 愛液が染みただけでも、お漏らしと区別がつかない染みが、それは大きく広がっていた。

 ジョロロロロロロロ…………。

 その上、本当に失禁した。
 先ほどは立った状態での失禁で、スカートも捲っていたから、まだしも制服は汚さずに済んだところを、今度はスカートも小便にまみれ、椅子からも流れ落ちていく。
「あいつ! 小便漏らしてるぜ!」
「きったねーの!」
 周囲の視線は数多く、野次馬の輪も出来上がり、マルティナは地獄に落ちていた。恥ずかしくてもう死にたい、ここから消えたい。ありとあらゆる思いが巡り、脳を沸騰させ続けていた。

     †

 早いうちから宿に戻った。
 あの後、店の備品を小便で汚したことを謝罪させられ、観衆の前でお尻叩きの刑にまで遭わされて、もうこの日は活動の気力を失ってしまったのだ。
 今度は着替えを用意してもらえる厚意もなく、オシッコで汚れたまま放り出され、惨めなびしょ濡れの状態で宿に帰れば、他の客達の視線という視線が痛い。
 部屋に戻って、すぐさまシャワーを浴びた後、マルティナはまだ汚れていない二着目の制服に着替えていた。
 セーニャはまだ戻っていない。
 マルティナは一人、ベッドにうつ伏せて……。

「よし」

 一人の男が、マルティナの部屋に入り込む。
 とっくに眠りについた彼女は、侵入者に気づくことはない。そもそも、鍵をかけているはずなのに、出入りなどできないはずだ。
 この侵入者の男は、宿屋の店主にゴールドを支払ったのだ。
 調書でマルティナのことを知り、喫茶店での失禁騒動から尾行を行い、泊まっている宿を突き止め、すぐさま店主に交渉した。結果としてマスターキーでドアの鍵を開けてもらい、あとは好きにしろとばかりに去って行く背中へと、男はニヤっと礼を述べ、そうしてマルティナの肉体にありつこうとしているわけだった。
「おーう? ぐっすり寝てるねぇ?」
 ベッドに上がり、布団をどかすが、起きる様子はなさそうだ。
「どれどれ?」
 中身を楽しみにしながらスカートを捲っていくと、紫色のショーツが姿を現す。それも布面積が少ないタイプの、二等辺三角形から尻肉がはみ出たもので、細い三角形はやろうと思えば割れ目の中に埋め込んでTバック同然にできるだろう。
「まずはこのケツから楽しもうか」
 男は尻を揉みしだいた。
「おいおい、いいもん持ってんじゃねーか」
 揉み心地に興奮した男は、燃え上がった感情のままに尻たぶをペチペチと叩き、ショーツ越しのアソコに指をやる。せっかくだから起きないように気をつけて、ゆっくりと楽しみながら愛撫をするが、思いのほか早く濡れて来た。
「淫紋の効果ってか?」
 うつ伏せの、それも脚の閉じた隙間を覗き込み、ワレメをどうにか上下にしていると、指先に愛液の感触が付着してくる。滑りの良さに合わせて続けていくと、指を離す頃には長々と糸が引くようになっていた。
「はぁ…………っ、はぅ………………」
 マルティナの寝息も、どこか色っぽくなっている。
「へへっ、そろそろ頂きますかねぇ?」
 男はズボンを脱ぎ捨てて、マルティナの内股に狙いを定める。太ももの隙間を通過して、器用に膣口を探り当て、思い切った挿入を行った。

 ずん!

 と、勢いよく打ちつけた。
「やぁあ!」
 さすがのマルティナも、悲鳴なのか喘ぎ声か、背中を弾み上げていた。
「よう! 起きたか?」
「だ、誰よ! あなた――あっ、あ! あ! あん!」
 挿入によって起こされて、体勢のために顔を見ることさえできない恐怖は、マルティナにとって一体どれほどのものになろうか。
「さあ、誰だろうな!」
 男は大いに楽しげに、尻の上に腰を打ちつけ、長いポニーテールの髪を掴んだ。まるで手綱を握って馬を操る気分にでも浸ったように、面白おかしい気持ちいになって大胆にピストンを行っていた。
「あぁん! あん! あん! あん!」
「おら! 喘げ喘げ!」
「あぁああ! あっ、あぁあああ!」
 マルティナは全身を痙攣させ、失禁の勢いで愛液を広げていた。ベッドシーツに大きな染みが出来上がり、男はなおも腰を振る。
「ああああ! あっ、もう! もうイった! やめっ、もう――」
「ならもっとイけよ! おら!」
「あぁっ! あぁぁぁぁぁぁ――――――!」
 マルティナは大胆に背中を反らし、海老反りのままに固まり筋肉を震わせる。再びイってもなお男は腰を振り、やっとの射精で制服の背中を汚しても、まだ挿入し直しては膣を味わう。
「あぁあああ! あっ! あん!」
 時間が経つにつれ、ベッドシーツにたっぷりと染み込む愛液の香りが満ち溢れ、外出しの精液で制服も染みだらけになっていく。
 自分がどれほど犯されて、何回射精されたのかも、とっくにわからなくなっていた。
「あぁあああ! あん! あああん!」
 イって、イって、大量の愛液を噴き出し、ついには失禁までして尿を広げて、酷い有様になるまで解放されることはなかった。
「おらよ」
 と、男がたった1ゴールドだけを枕元に投げていき、満足そうな顔で部屋を出て行くと、後に残ったマルティナの全身が精液にまみれていた。髪にも精液はかけられて、それが乾いたせいでポニーテールの中に固まりが出来ていた。

「ま、マルティナさま! どうなされたのですか!」

 帰って来たセーニャが駆け寄って、慌てて介抱を行ったのは、それから数十分後のことだった。

     †

 知ってしまいましたわ。
 マルティナさまが検問所でどのような目に遭われていたか。町の人々に調書を持っている方達がおりましたし、わたくしも何度か嫌な言葉をかけられました。
 ああ、服もこんなに汚されて――。
 これでは着替えもほとんどありません。我慢して着るしかないのでしょうか、それでは臭いが気になります。
 勇者さまや他の仲間達のこともわかっていないのに、それでもこの町に滞在し、情報を探し続けるべきなのでしょうか。
 わかりませんわ。
 一体、どうしたら……。




 
 
 

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